弔事とは?基礎知識からマナーまで弔事を完全解説!
故人のために行う儀式には、葬儀や告別式など様々なものがあります。その中でも特に「弔事」とはどのようなことが当てはまるのでしょうか?
実際に弔事を行う際に気をつけるべきマナー等にも触れながら、基本的な知識をご紹介します。
弔事(ちょうじ)とは?
まずは弔事に関する基本的な知識を確認しましょう。
弔事とは?
「弔事」とは、通夜・葬儀・告別式・火葬といったお悔やみごとの一連の流れを指す言葉です。「弔」には「死者を弔う」という意味があるためこのように呼ばれています。
通夜・葬儀についての知識やマナーは「意外と知らないお通夜の流れとマナー」「今更聞けない葬儀・告別式のマナーと費用を地域別に徹底解説!」をご参考ください。
弔事と慶事の違い
弔事と似たような言葉に「慶事」がありますが、意味は全く異なります。「慶事」は結婚や出産などのお祝い事に使われる言葉です。
人と弔うことをメインとした弔事と、人をお祝いすることをメインとした慶事では、参列の際に気をつけるべきマナーが全く違います。故人やお祝い事の中心人物に対して失礼とならないようにしっかり使い分けましょう。
弔事と慶事が重なった場合は?
弔事であるお葬式と、慶事である結婚式などが同日に重なった場合、弔事を優先するのがマナーです。慶事は後日、ご本人にお会いすることができますが、弔事では葬儀や告別式が最後のお別れとなるからです。
ただ相手との関係性にもよりますので、後々後悔しないような判断をしましょう。
下記記事もご参考ください。
・冠婚葬祭にはどんな意味がある?それぞれの言葉の意味!
・冠婚葬祭の靴はどうすればよい?お葬式の場合を中心に靴のマナーから男女別の靴選びのポイントまで徹底解説!
弔事と法事の違い
弔事と法事は以下のように使い分けます。
弔事
通夜・葬儀・告別式・火葬・納骨といった一連の流れのこと。「故人が亡くなったことを悔やむ」というのが弔事の主な目的です。
法事
一周忌法要など、一定の周期で行われる行事のこと。弔事が故人の死を悲しむのに対して、法事は「故人の供養をきちんと行う」というのが主な目的です。
>>一周忌とは?意味・香典・お布施・お供え・マナーを完全解説!
このように、弔事では故人との最後の別れを悲しみ、法事では供養をメインにする、というように押さえておきましょう。
法事については下記記事もご参考ください。
・法事とは?日程とお布施と服装持物を徹底解説!
・法事・法要を完全解説!法事の種類・数え方・マナーを紹介
・法事・法要の香典相場はいくら?三回忌・七回忌・十三回忌と故人との関係別に解説!
弔事の際に遺族が行うこと
それでは、実際に弔事を行う際に遺族がやるべきことをご紹介します。
大切な方が亡くなり大変な時期ではありますが、故人を弔うために速やかに行いましょう。
訃報を出す
まずご家族などの近しい人物が亡くなったら、故人と関係のあった人物に訃報を連絡します。具体的には、親戚・故人の友人・故人の勤務先・近所の住民などです。
訃報の連絡手段
訃報の連絡手段としては以下のようなものがあります
●電話
●メール
●手紙
●SNS
●(故人が著名であったり地域の風習によって)新聞
訃報の際に伝えるべき内容
また、訃報の際に伝えるべき内容としては、以下を忘れなければ大丈夫です。
葬儀の日時が決まっていなければ、後日連絡しても問題ありません。また、状況によっては故人の宗派や死因を伝えることもあります。
訃報については下記記事もご参考ください。
・訃報の連絡はどう送る?伝えるべき内容から範囲、例文まで徹底解説!
・訃報のお知らせを完全解説!文例集と書き方・マナー・送り方・返信の仕方を紹介!
・訃報の連絡はどう送る?伝えるべき内容から範囲、例文まで徹底解説!
葬儀の日程については下記記事もご参考ください。
・葬儀日程の決め方とは?通夜・葬式・法事法要の日程の決め方を完全解説!
・葬式の流れを徹底解説!日程調整のポイントや必要書類とは?
通夜や葬儀をする
次に通夜及び葬儀を行います。故人が亡くなってからなるべく早めに行うのが一般的です。数日〜1週間前後と非常にスピーディーに行う必要があります。
通夜、葬儀については下記記事もご参考ください。
・お通夜のタイミングはいつ?お通夜のタイミングの決め方からお通夜のマナーまで完全解説!
・御葬式とは?意外と知らない御葬式のマナーや流れ、お通夜・葬儀・告別式の違いまで完全解説!
また、弔事では葬儀を行うまでが非常に大変です。以下のようなことを短期間で行わなければなりません。
近しい方が亡くなり大変時期ですが、なるべく速やかに済ませましょう。
菩提寺とは?
ちなみに、菩提寺(ぼだいじ)とは先祖代々のお墓のあるお寺のことです。
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弔事の際に遺族が気をつけること
弔事に当たっては上記のようなことを行います。
また、その際には以下のようなことに気をつけましょう。
①訃報の連絡は確実に伝える
訃報の連絡は、基本的に相手に伝わればどんな手段でも問題ありません。特に葬儀の準備で忙しい時かと思うので、取り急ぎメール等で送っても良いでしょう。
ただし、メールやファックス、SNSだと相手が見落としてしまう可能性もあります。余裕があれば確実に伝えるためにも電話をすると良いでしょう。
>>お悔やみメールはあり?突然の訃報に返事をする際のマナーや注意点を徹底解説!
②喪中ハガキを送る
弔事を行ってからしばらくの間は喪中期間となります。この期間は年賀ハガキによる新年の挨拶を控えるのが一般的です。その意思を示すために喪中ハガキを送りましょう。
全員に送る必要はありません。仕事の関係などで年賀状のやり取りをしていた方にまずはお知らせすれば大丈夫です。12月初旬頃には相手に届いているようにすると良いでしょう。
喪中ハガキについては下記記事もご参考ください。
・喪中ハガキの書き方は?喪中ハガキを書く際の注意点から例文まで徹底解説!
・喪中はがきとは?喪中の意味からはがきの準備方法、書く内容から出し方まで徹底解説!
③弔問客への挨拶を忘れない
弔問客に対してお礼の挨拶を忘れてはいけません。とはいえ遺族側も忙しいため、葬儀など弔事の真っ最中に関しては簡潔に感謝の気持ちを伝えられれば大丈夫です。
その代わり、弔事がひと段落ついたら改めてお礼の挨拶回りをしましょう。参列者はもちろん、弔事に力を貸してくれた人物や僧侶、近所の方々などに対して行います。
お礼の挨拶回りは、弔事当日からあまり時間が経過しないようにしましょう。初七日までに済ませておくのが理想です。この時に菓子折りなどを持っていくと喜ばれますが、地域の風習によって変わるので合わせましょう。
>>弔問とは?意外と知らない弔問の注意点とマナーを徹底解説!
初七日については下記記事もご参考ください。
・初七日とは?意味・数え方・お供え・お経・知っておきたい常識とマナー
・初七日とは?初七日までしてはいけないことや期間を徹底解説!
弔事の際に弔問客が行うこと
このように、弔事に当たって遺族側が意識すべきことはいくつかあります。
それでは今度は、弔問客側が行うべきことを確認しましょう。
喪服や香典を用意する
訃報を受け弔事への参列が決まったら、喪服と香典を準備しましょう。
弔事での喪服
基本的には、通夜・葬儀共に略喪服で参列します。正喪服は略喪服よりも格式が高いため、弔事を行う遺族側が身につけるのが一般的です。
ただし通夜に関しては、「突然の訃報だったのでまずは駆けつけた」ということを表現するために地味な平服で参列することもあります。
いずれにしても、男性は黒のスーツ・ネクタイ・靴下・バッグ、女性は黒のワンピース・ストッキング等を身につければ問題ありません。ただし黒であっても、光沢のあるものや露出度の高い服、派手なアクセサリー等は避けましょう。
弔事の喪服については下記記事もご参考ください。
・ユニクロで喪服を用意できる?ユニクロで喪服を用意する際のメリットやデメリット、注文方法を完全解説!
・急な葬儀での服装はどうする?注意点の多い女性の喪服を徹底解説!
弔事での香典
香典に関しては、故人の宗派に気をつけて表書きを記載します。また香典の包み方や渡すタイミング、包む金額にも気を配りましょう。詳しいことは後述します。
香典については下記記事もご参考ください。
・香典のお札はどうやって入れるの?香典のお札の入れ方から香典の包み方やマナーまで徹底解説!
・香典の金額はどう書けば良い?香典袋に金額を書き入れる際の書き方や注意点を徹底解説!
お悔やみの言葉を述べる
遺族に向けてお悔やみの言葉を伝えましょう。
とはいえ弔事当日は遺族も慌ただしいため、長々した言葉でなくて大丈夫です。故人を弔う気持ちを簡潔に伝えましょう。
基本的には以下のような言葉を伝えられれば問題ありません。
●「この度は誠に御愁傷様です。心からお悔やみ申し上げます」
●「この度は本当に残念なことです。どうかお力を落とされませんように……」
●「今回はあまりにも突然なことだったので言葉が見つかりません。お悔やみ申し上げます」
忌み言葉を使わないように気を付ける
言葉を足そうとして遺族に失礼とならないように気をつけましょう。以下のような「忌み言葉」を使わないのがマナーです。
●消える・浮かばれない→不吉なイメージを与える
●重ね重ね・いろいろ→不幸が繰り返されるイメージ
●生きていた→遺族をさらに悲しませることがある
また、故人の死因について聞くのもNGです。その当時の様子を思い起こさせることにも繋がり、遺族をさらに悲しませてしまうかもしれません。
お悔やみの言葉については下記記事もご参考ください。
・「ご冥福をお祈りします」の正しい使い方は?意外と知られていない、お悔やみの言葉の使い方やマナーを完全解説!
・お悔やみの言葉はどう伝えればよいの?お悔やみの言葉を伝える際の注意点を例文を交えて完全解説!
・本当にいいの?お悔やみの言葉をメールで送る際の注意点を徹底解説!
直接伺えない際の弔意の伝え方
仕事の都合などでどうしても弔事に参列できないことがあるかもしれません。その場合の伝え方をご紹介します。
弔電
弔電で弔意を伝えましょう。
弔電は、電報サービスや郵便局のレタックスから送れます。宛先を喪主にして、葬儀会場の住所に送れば大丈夫です。
この弔電は事前に遺族側で整理する必要があるため、なるべく葬儀・告別式の前日までには届くようにしましょう。
>>どうやって送るの?弔電の送り方から費用・注意点までを徹底解説!
花やお供え物を送る
また、弔電以外にも花やお供え物を送ることで弔意を示すこともできます。贈る際は葬儀社に手配してもらうのが理想です。
なぜなら、宗教など様々な理由によってお供えの方法が異なる場合があるため。できれば当日の雰囲気などに合わせたものを贈った方が良いため、葬儀社を通して手配するとミスが無くて良いでしょう。
供花については下記記事もご参考ください。
・供花の手配方法!供花の意味と費用相場と宗教ごとのマナーを紹介!
・知らないと恥をかく!供花の手配方法や相場を徹底解説!
代理人を立てる
なお、もし代理人が参列できるのであればその方に香典を預けることも可能です。弔電も良いですが、できれば誰かの言葉で直接本人の弔意を伝えたいですよね。その場合は代理人を立てましょう。配偶者や同僚、近しい友人などに依頼することになります。
代理人に関しては、故人との面識が無い人物を選んでも大丈夫です。記帳の際にきちんと「代理で参列した」という旨を伝えておきましょう。
弔問については下記記事もご参考ください。
・突然の訃報にどうする?弔問できない際のお悔やみの手紙の書き方や注意点を徹底解説!
・弔問とは?意外と知らない弔問の注意点とマナーを徹底解説!
法事の種類
このように弔事や法事の際には、遺族側・参列者側それぞれで意識するべき点があります。
それでは次に、この弔事や法事にはどのような種類があるのかをご説明しましょう。
葬儀
故人の供養においてメインとなる弔事です。告別式・僧侶による読経・火葬・会食、というようにやるべき内容が多く最も大規模になるでしょう。
基本的には「一般葬」を選ぶ方が多いですが、最近では以下のように様々な種類の葬儀があります。
忌日法要
仏教においては、故人の命日を起点とした7日ごとの日付を「忌日」と呼びます。そして、この7日ごとの忌日に行う法要が「忌日法要」です。
7日ごとのため、忌日法要には以下の種類があります。
最初の初七日に関しては、葬儀と同時に行うのが一般的です。
しかし、現代では「二七日〜六七日」の忌日法要はほとんど行われません。行ったとしても、遺族の自宅で読経をあげてもらい焼香を行なって済ませることが多いと言われています。
>>焼香とは?よく聞くけど以外と知らない焼香の意味や種類、宗派ごとにことなる焼香の作法まで完全解説!
そのため、弔事及び初七日の次に親戚一同が集まるのは四十九日法要であることがほとんどです。
忌日法要のほとんどが省略される中で、四十九日法要だけは重要度の高い扱いを受けています。なぜなら、仏教においては「故人は7日ごとに裁きを受け49日目に来世の行き先が決まる」と信じられているため。49日目が最も重要であるとされているので、故人が無事成仏できるように四十九日法要を行うのです。
年忌法要
忌日法要が7日ごとであるのに対して、「年忌法要」は故人が亡くなった命日から数えて節目の年ごとに行うものを指します。
忌日法要とは異なり、年単位である年忌法要は長きに渡り続くのが一般的です。具体的には以下のような区切りで行われます。
最初の一周忌は、翌年の故人の命日と同日に行われます。この時の命日は「祥月命日」と呼ばれます。ただし現代では仕事などの都合上きっちり命日に集まるのが難しいため、「命日直前の週末」に行うことが多いです。この一周忌までが喪中という扱いになります。
それ以降は「回忌の数から1を差し引いた年数」に年忌法要を行います。つまり、三回忌は「3-1=2年目」に行い、七回忌は6年目、十三回忌は12年目、という流れになるのです。
親族を集めて大規模な年忌法要を執り行うのは三回忌までであることが多く、七回忌以降は徐々に人数を絞ります。また、三十三回忌あるいは五十回忌を以って「弔い上げ」とするのが一般的です。
その他の法要
メインの法要は、上記の忌日法要と年忌法要です。それ以外にも、節目のタイミングで以下の法要を行うことがあります。
①納骨法要
お墓に遺骨を納める際に行われます。基本的には四十九日法要と合わせて行われることが多いです。
納骨については下記記事もご参考ください。
・事前準備が不可欠!納骨式当日の流れと準備すべき内容を解説
・納骨とは?納骨式の時期と準備・流れと費用を完全解説!
②お盆法要
旧暦の7月15日に行います。四十九日法要経過後に初めて迎えるお盆は「初盆」あるいは「新盆」と呼ばれます。
お盆については下記記事もご参考ください。
・お盆の期間はどれぐらい?地域によって異なる期間からお盆の過ごし方まで徹底解説!
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③お彼岸
お彼岸とは以下の時期を指します。
●春分の日を含めた前後7日間
●秋分の日を含めた前後7日間
この7日間で墓参りや墓掃除等を行い故人の供養を行います。
お彼岸については下記記事もご参考ください。
・今年はいつから彼岸入り?お彼岸の期間だけでなく、準備や過ごし方まで徹底解説!
・お彼岸はいつから?お彼岸の時期や意味、お彼岸の準備やマナーまで完全解説!
④開眼法要
お墓や仏壇を新しく建立した際に行います。宗派ごとに呼称が異なり、「入魂式」や「仏壇開き」と呼ばれることもあります。
⑤閉眼法要
上記の開眼法要に対して、既存のお墓を新しくしたり移したりする場合に行うのが閉眼法要です。お墓から故人の魂を抜くことで、お墓を普通の石と同じ扱いにします。
お墓については下記記事もご参考ください。
・墓標とは?意味と時期と価格相場の詳細解説!
・墓じまいとは?墓じまいの流れから費用の内訳・マナーまでを完全紹介!
・意外とお葬式以上にお金が掛かる「お墓に関する費用」
葬儀から法要の流れ
このように、法要には様々な種類があります。
それでは、これらの葬儀(弔事)から法要の流れを宗教ごとにご紹介しましょう。
仏式の場合
①通夜
まずは葬儀前に通夜を行います。「葬儀前日」に行うのが一般的です。ただし、地域の風習によって通夜のタイミングは異なるので確認しておくと良いでしょう。例えば以下のタイミングで行います。
●亡くなった当日
●亡くなった当日に「仮通夜」を執り行い、その翌日に「本通夜」という流れ
②葬儀、告別式
そして、通夜が終わった翌日に葬儀・告別式を行います。
③読経、火葬、精進落としの会食
僧侶の読経や火葬、精進落としの会食を行い弔事は終了です。
④法要
本来であれば、葬儀から7日経過してから「初七日法要」を行うのですが、現代では葬儀直後や火葬後に行うことがほとんど。これは「7日後に親戚一同が再び集まるのは難しい」という理由からです。
この流れで初七日法要まで行い、亡くなってから49日目には「四十九日法要」となります。四十九日法要が終わると、次に集まるのは「新盆」です。ただし地域によっては、命日から100日目に「百か日法要」を行うこともあります。
その後は、一周忌法要→三回忌法要→七回忌法要→……というように年忌法要が続くのが一般的です。
仏式葬儀については下記記事もご参考ください。
・仏式とは?意味・流れ・マナー・神式との違いを解説!
・仏式葬儀とは?一般的なマナーや葬儀の流れについて徹底解説
神式の場合
神式の場合は「神葬祭」と呼ばれる弔事を行うのが一般的です。具体的な流れや各名称が仏式とは異なるので注意しましょう。
①帰幽奉告(きゆうほうこく)
まず、仏式においての仏壇に相当する「神棚(祖霊舎)」に対して故人の死を報告する「帰幽奉告(きゆうほうこく)」という儀式を行います。
②枕直しの儀、納棺の儀
そして「枕直しの儀」で故人の顔に白い布を被せ、枕元に守り刀を置き、祭壇代わりの小さな台に「故人の好物・塩・水・米」を乗せます。これが終わったら「納棺の儀」で故人を棺に納めましょう。
③通夜祭、遷霊祭
これで故人を送り出す準備が整いました。ここから本格的な儀式に入ります。まず1日目に「通夜祭」を行います。これは、仏式においての通夜に相当する儀式です。神職によって祝詞が奏上されます。
この通夜祭では「遷霊祭」が行われます。これは、故人の体から魂を抜き「霊璽(位牌に相当する)」に納めるための儀式です。
④葬場祭
2日目は「葬場祭」から始まります。神葬祭のメインと言うべき儀式であり、これが仏式においての葬儀・告別式に相当するものです。
⑤火葬祭、埋葬祭
葬場祭が終わった後は、火葬前の「火葬祭」、そして遺骨を埋葬する際の「埋葬祭」を行います。この辺りも名称は異なりますが内容は仏式とほぼ同じです。
⑥帰家祭
埋葬まで完了したら、自宅で塩水等で手を清め、神葬祭が完了したことを霊前に報告しましょう。これは「帰家祭」と言われるものです。
このような一連の流れがまとめて「神葬祭」と呼ばれます。
⑦霊前祭
そして、神葬祭の後には「霊前祭」が行われます。これが仏式においての法要に相当する儀式です。
ちなみに「霊前祭」と呼ばれるのは死後100日目まで。亡くなって1年目以降の儀式は「式年祭」と呼ばれます。
霊前祭の種類は以下の通りです。
●翌日祭(神葬祭の翌日に行う)
●十日祭(亡くなった日から十日後に行う。50までは10日刻み)
●二十日祭
●三十日祭
●四十日祭
●五十日祭(四十九日法要に相当)
●百日祭(百か日法要に相当)
式年祭の種類は以下の通りです。
●一年祭
●三年祭
●五年祭
●十年祭
●以降は5年おきに「御霊祭」を行う
神式の葬儀に関しては「神式葬儀の流れとは?仏式との違いや基本的なマナーについても解説」をご覧ください。
キリスト教式の場合
キリスト教には本来通夜という概念はありません。しかし日本で行われるものに関しては、この通夜の習慣に合わせて「前夜祭」があります。
①前夜祭
前夜祭は、カトリックでは「御通夜」「通夜の集い」「通夜の祈り」と呼び、プロテスタントでは「前夜式」と呼ぶことが多いです。
いずれの場合も、花と一緒に故人の遺体を棺に納め、聖歌や賛美歌斉唱、聖書朗読、故人への祈りなどが行われます。また、僧侶の読経に相当するものとして、カトリックでは「神父による説教」、プロテスタントでは「牧師による説教」が行われるのが一般的です。
②葬儀(宗派により流れが異なる)
前夜祭が終わったら葬儀となります。葬儀の進行に関して、カトリックとプロテスタントでは大きく異なるので注意しましょう。
【カトリックの葬儀の流れ】
カトリックの場合は、葬儀と告別式を別で行います。最初に行うのは「入堂式」です。神父が登場し、遺族は棺と共に入堂します。そして神父が棺に聖水を注いで献花を行い、開式の言葉を述べたら儀式スタートです。
まず「葬儀のミサ」を行います。葬儀のミサでは2種類の儀式を行うのが一般的。聖書の朗読や説教が行われる「言葉の典礼」と、パンとぶどう酒を遺族が祭壇へ捧げ神父が信徒にパンを授ける「感謝の典礼」という儀式です。
そして、葬儀のミサが終わった後に告別式を行います。告別式では、聖歌斉唱・祈り・献花や焼香・弔電読み上げなどを行うことが多いです。
告別式も終わったら出棺となります。ここでも聖書の朗読や聖歌斉唱を行います。
以上がカトリックにおける葬儀の流れです。葬儀の後には、仏式においての法要に相当する「追悼ミサ」があります。教会で行われ、以下の日程で集まることが多いです。
●死後3日目
●死後7日目
●死後30日目
●死後1年後(死者記念ミサ)
死者記念ミサは他の追悼ミサよりも規模が大きくなります。ちなみに、これ以降の追悼ミサに関して特に決まりはありません。
【プロテスタントの葬儀の流れ】
カトリックとは異なり、葬儀と告別式を同時に行います。まずはオルガンによる演奏が流れる中で、牧師・棺・遺族が入場します。聖書の朗読及び賛美歌聖書の後、牧師による説教が行われ弔電の読み上げがあります。その後黙祷を捧げ、再び賛美歌斉唱をしてから献花。最後に遺族の挨拶を以って終了です。
以上がプロテスタントにおける葬儀の流れです。葬儀の後には、こちらも法要に相当する「記念集会」が行われます。教会あるいは自宅で行い、以下の日程で集まることが多いです。
●死後7日目
●死後10日目
●死後30日目
●死後1年後
●死後3年後
●死後7年後
●死後10年後
カトリックよりも長きにわたり行われます。これ以降は特に決まりはありません。
宗教ごとの弔事での違いについては下記記事もご参考ください。
・後悔しない祭壇の選び方:意味と宗教ごとの祭壇と相場を解説!
・前もって理解しておこう!葬儀の種類や宗教ごとの違いを解説
弔事の際の香典のマナー
弔事の際には香典を渡すのが基本です。そのため、香典に関するマナーはしっかり押さえておきましょう。
包み方
当然ですが、現金を裸のまま渡すことはありません。必ず香典袋(不祝儀袋)に包み渡します。
香典袋の種類
香典袋の種類は宗教によって異なるので、故人に合わせて包みましょう。以下のような使い分けをすれば大丈夫です。
●仏式→「白無地」「蓮の絵柄が描かれたもの」
●神式→白無地
●キリスト教式→「白無地」「十字架あるいは百合が描かれたもの」
迷ったら白無地を使用すれば問題ありません。
また、香典袋に付ける帯である「水引」も宗教によって種類が異なります。以下のように使い分けましょう。
●仏式→「黒白」「双銀」
●神式→「黒白」「双白」「双銀」
●キリスト教式→水引不要。ただし「黒白」なら付けても良い
こちらは迷ったら黒白の水引を付ければ問題ありません。
香典の包み方については下記記事もご参考ください。
・香典を完全解説!意味・歴史・金額相場・書き方・包み方・渡し方を解説!
・香典の相場を完全解説!故人との関係別・書き方・包み方・渡し方も紹介!
袱紗(ふくさ)の使い方
現金を入れた香典袋は、汚れないように「ふくさ」に包みます。ふくさは弔事用と慶事用に分かれており、弔事の場合は「紫色」「藍色」「灰色」「青色」といった暗い色のものを使いましょう。
このふくさの包み方にもマナーがあります。以下のように包みましょう。
①ふくさをひし形に広げて、中心よりもやや右寄りに香典袋を置く
②最初に香典袋の右側を折りたたみ、下→上→左という順番で折りたたむ
これで完成です。
袱紗(ふくさ)については下記記事もご参考ください。
・袱紗とは?お葬式にふさわしい袱紗の色から包み方まで完全解説!
香典の渡し方
上記の方法で香典を包んだら遺族に渡します。この渡し方にもマナーがあるので注意しましょう。
香典を渡すタイミング
まず「渡すタイミング」に気をつけます。基本的には通夜や葬儀など、弔事の際に受付で渡すことが多いです。
この時「この度は誠にご愁傷様です」など故人を弔う言葉を添えましょう。受付が設置されていない場合は遺族に直接渡します。もし遺族の方が忙しそうであれば御霊前にお供えすれば大丈夫です。
もし弔事自体に参列できない場合は、先述の通り代理人を立てるか、後日遺族の自宅に弔問した際に渡します。弔問する場合は必ず事前に伺う日時を伝えておき、当日もあまり長居しないようにしましょう。
香典の渡し方
そして「具体的な渡し方」にも作法があります。香典袋をそのまま渡すことはしません。
①香典袋をふくさに包んだまま前で取り出す
②右手にふくさを置き、それを左手で開ける
③香典袋の表書きが相手に読める形で渡す
必ずこのような流れで渡しましょう。
香典の渡し方については下記記事もご参考ください。
・葬式の香典を完全解説!マナー・金額相場・書き方・渡し方を紹介!
・香典を完全解説!意味・歴史・金額相場・書き方・包み方・渡し方を解説!
葬儀・法事における香典の相場
香典の金額相場は、故人との関係性や参列者の年代によって異なります。また、関係性が通常よりも深ければ相場が上がることもあるでしょう。
そうした事情もあるため一概に相場は決まっていませんが、参考例として以下の金額を基準にしてみてください。
葬儀の香典の相場
●両親
3万〜10万円
●兄弟姉妹
3万〜5万円
●祖父母
1万〜5万円
●叔父叔母
1万〜3万円
●甥姪
1万〜5万円
●友人関係
5千〜2万円
基本的には、故人との血縁が深くなるほど、そして参列者の年代が上がるほど相場は上がります。
法事の香典の相場
ちなみに上記は「葬儀などの弔事における」香典の相場です。一周忌など別の法事においては相場が変動します。だいたい以下の相場感で包んでおけば大丈夫です。
●両親
1万〜5万円
●兄弟姉妹
1万〜5万円
●祖父母
5千〜3万円
●叔父叔母
5千〜1万円
●甥姪
5千〜1万円
●友人関係
3千〜1万円
香典の相場については下記記事もご参考ください。
・葬式の香典を完全解説!マナー・金額相場・書き方・渡し方を紹介!
・香典を完全解説!意味・歴史・金額相場・書き方・包み方・渡し方を解説!
香典返しのマナー
弔事で香典を受け取った場合は、香典返しを準備する必要があります。香典をいただいたことに対する感謝の気持ちを伝えるためのものであるため、品物選びなどに関してのマナーを守りましょう。
香典返しを渡す時期
まず、香典返しを渡す時期について。香典返しは忌明けに渡すのが一般的なため、四十九日法要後に贈ることが多いです。法要日に発送すれば翌日あたりには届くでしょう。ただし地域によっては、葬儀当日に香典返しを渡すこともあります。
香典返しの相場
そして、香典返しの相場について。香典返しでは「いただいた香典の半額程度の品物」を渡すのがマナーです。ただし、参列者側からすると「少しでも葬儀の費用に充ててほしい」という場合もあるので、半額だとむしろ気を遣わせてしまうこともあります。その際は1/3〜1/4程度の金額の品物を渡せば大丈夫です。
香典返しに贈る物
最後に、香典返しの品物について。香典返しには「不祝儀を残さない」という考え方があります。そのため、日常で気軽に消費できるものを渡すと良いでしょう。以下のような品物を選ぶことが多いです。
●お茶
●コーヒー
●調味料
●海苔
●洗剤や石鹸
最近では、参列者の好みに合わせて渡せるようにカタログギフトを選ぶ方もいます。これであれば、日持ちしない食べ物なども選択肢に入れることができますね。
香典返しについては下記記事もご参考ください。
・香典返しのマナーを完全解説!相場・時期・挨拶状・例文・品物も紹介!
会葬御礼(かいそうおんれい)とは?
会葬御礼は、通夜や葬儀に参列して頂いた方にお渡しするもので、香典を頂いていなくても参列者全員にお渡しします。葬儀会場で直接お渡しすることがほとんどです。お清めの塩と共にタオルやお茶、のりなどをお渡しします。図書カードやギフト券をお渡しするケースもあります。
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はじめて行う葬儀の準備に戸惑うのは当然のことです。特にお葬式の規模や形式には正解がないため、どのように見送ればよいか分からず迷い悩む方も大勢いらっしゃいます。
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喪主が初めての方や、お葬式の流れに不安を感じる方でも安心してご相談ください。ご遺族に寄り添うグリーフケア研修を受けたスタッフが、公正中立な立場からご希望やご予算に合わせた最適なプランをご提案します。
2.お財布にやさしい
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3.いつでもやさしい
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生前のお葬式準備から、お葬式後の法事・法要、お墓の相談までいつでも相談可能です。
「やさしいお葬式」は、大切な方をお見送りするご遺族さまに心から寄り添い、公正中立の立場で最良のお葬式を提案させて頂きます。
ご相談や資料請求はすべて無料です。はじめての葬儀での不安や疑問があれば、どんなことでもお気軽にご相談・ご連絡ください。
弔事についてのまとめ
以上が弔事に関する知識についてです。最後に改めて今回の内容を振り返りましょう。
【弔事とは?】
●「弔事」とは、通夜・葬儀・告別式・火葬といったお悔やみごとの一連の流れを指す言葉
【慶事とは?】
●「慶事」は結婚や出産などのお祝い事に使われる言葉である
【弔事・法事とは?】
●弔事は通夜・葬儀・告別式・火葬・納骨といった一連の流れのこと
●法事は、一周忌法要など一定の周期で行われる行事のこと
【弔事で遺族が行うこと】
●訃報を出す
●通夜や葬儀をする
【弔事の際に遺族が気をつけること】
●訃報の連絡は確実に伝える
●喪中ハガキを送る
●弔問客への挨拶を忘れない
【弔事の際に弔問客が行うこと】
●喪服や香典を用意する
●お悔やみの言葉を述べる
●直接伺えない場合も弔意を伝える
【弔事や法事の種類】
●一般葬をはじめとした葬儀
●忌日法要
●年忌法要
●納骨法要などその他の法要
【葬儀から法要の流れ】
●宗教ごとに異なる。
●神式の場合は「神葬祭」「霊前祭」を行う
●キリスト教式の場合は「前夜祭」「葬儀」「追悼ミサ」「記念集会」を行う
【弔事で香典を渡す際に気を付けること】
●包み方
●渡し方
●金額の相場
【香典返しで気をつけること】
●渡す時期
●金額の相場
●香典返しの品物の内容
弔事や法事は、厳密には言葉の意味に違いがあります。しかしどちらも故人のために行うという点では同じです。大切な方が亡くなり大変な時期ではありますが、故人を無事に送り出せるように上記のような知識を押さえ正しい方法で儀式を行いましょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール