仏式とは?意味・流れ・マナー・神式との違いを解説!

仏式という言葉を聞いたことがありますか?仏式とは、仏教の形式で儀式を行うことや、その儀式のことを言います。

仏式で代表的なものといえば、お葬式でしょう。多くの方がイメージする通夜、葬儀・告別式は仏式で行われているものです。

今回は、仏式の意味や、仏式の葬儀の流れ、マナー、神道との違いなどについて詳しく解説します。

これから葬儀をあげる予定がある方や、参列する予定がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

仏式の意味

まずは仏式の基本的な意味から見ていきましょう。

仏式(ぶっしき)とは、仏教の形式で儀式を執り行うことや、儀式そのもののことを言います。

仏教というとお葬式のイメージが強いかもしれませんが、お葬式はもちろん、結婚式などのおめでたい儀式にも、仏式のものは存在します。

仏式で行われることがある儀式とのその詳細をご紹介します。

仏式葬儀とは?

仏式と聞いて一番思い浮かべやすいのが、お葬式でしょう。

日本で行われる葬儀の9割は仏式と言われているので、一般的に思い浮かべるあのお葬式が、仏式葬儀となります。

仏教の教えに則って行われる葬儀のことで、故人の成仏(宗派によって多少異なりますが、概ね、仏様の弟子になり、極楽浄土に行くこと)を祈り、僧侶が読経し、親族や参列者が焼香を行うものです。

僧侶に来てもらう必要があるため、菩提寺がある場合はまずそこに連絡をして、読経や戒名のお願いをしますが、お寺との付き合いがない場合も、葬儀社がそれらの手配をしてくれるため心配はいりません。

仏式葬儀は一般的に、通夜、葬儀・告別式、火葬という流れで行われます。

ただし、地域によっては通夜または葬儀・告別式の前に火葬を行ったり(前火葬と呼ばれる)、同じ仏教でも宗派によって葬儀の内容や作法が異なる場合があったりします。

細かな違いについては別の項目で詳しく紹介します。

仏式結婚式とは?

結婚式のようなおめでたい儀式、行事も仏式で行うことが可能です。

最近の結婚式はチャペルでウエディングドレスを着て行うキリスト教式が多いですが、仏式の結婚式もにわかに人気が高まっているそうです。

似ているものに、神式の結婚式(神前式)があります。

神前式は明治時代から行われている日本の伝統的な挙式スタイルで、神社や専用の式場で、和装で行うことが特徴です。

一方、仏式結婚式(仏前結婚式とも呼ばれる)は、基本的には寺院で行われます。

衣装は神前式と同じく白無垢や色打ち掛けなどを着ますが、黒引き振袖という衣装を用いる人もいます。

また、神前式は神職や巫女が式を司りますが、仏式結婚式は僧侶が式を執り行います。

仏教には「因縁」という教えがあり、その結婚は前世からの因縁(定まった運命)であり、先祖の慈悲によるものと考えられます。

この考えに基づき、先祖や仏様に、来世までの結びつきを誓うのが、仏前式の大きな特徴です。

お香がたかれ、雅楽が鳴り響く厳かな雰囲気の中、僧侶から新郎新婦に数珠を授ける「念珠授与」などの儀式を行います。

費用ですが、仏式結婚式は他の様式の結婚式よりも安く済むことが多く、式自体の費用は10〜25万程度と言われています。

ここに写真撮影や衣装代がプラスされます。

仏式地鎮祭とは?

地鎮祭(じちんさい)とは、家などの建物を建てる際に、その土地の神様を鎮め、使用する許可を得る儀式のことです。

祟りを防ぎ、工事の安全や建てた建物の繁栄を祈る意味があります。

神様が祀られ、神社の神主さんがお祓いをする神式の地鎮祭が一般的ですが、仏式の地鎮祭も1割程度ではありますが行われています。

また、仏式の地鎮祭は「起工式」と呼ばれます。

起工式は、有縁無縁の人のおかげで家などを建てられることを喜び、仏様に感謝するという意味合いで行われます。

ご本尊(信仰の対象となる仏様など)を祀り、焼香台も設けます。お供え物は、宗派によって異なります。

仏式葬儀の流れ

ここからは、仏式葬儀の流れを詳しく紹介します。

亡くなってからお通夜、お葬式、火葬となりますが、それぞれにだいたい決まった流れがあるので、理解しておくといざという時に使えます。

臨終から通夜までの流れ

臨終後、遺体を安置場所まで搬送します。病院で亡くなった場合は、自宅または斎場・葬儀社の安置場所に移動します。

搬送は葬儀社が行ってくれることも多いため、葬儀社と連絡を取って、安置場所と搬送方法を決めます。

自宅で亡くなった場合は、かかりつけ医がいるならかかりつけ医を呼んで、死亡診断書を交付してもらいます。

死亡診断書がないと火葬や納骨など、葬儀に関連する儀式が行えないため、必ず必要になる書類です。

かかりつけ医がいない場合は警察に連絡し、簡単な事情聴取と現場検証を受けます。

事件性がないと判断されれば、死体検案書がすぐに発行されることが多いです。

死体検案書は、死亡診断書と同等の効力を持ちます。

これらの書類が発行されたら、病院で亡くなった場合と同じく葬儀社などに連絡を取り、これからの流れを打ち合わせします。

また、菩提寺との付き合いが深い場合は、このタイミングで菩提寺にも連絡すると良いです。

ただし、最近ではお寺とのやりとりも葬儀社が行ってくれることが多いので、全て葬儀社にお任せしても問題ありません。

亡くなった後の儀式としては、故人の口を水などで湿らせる「末期の水(死に水)」、遺体を拭く「清拭(エンゼルケア)」、白い浴衣などに着替えさせる、死化粧などがあります。

病院で亡くなった場合は、医療従事者がここまでサポートしてくれることが多いですが、行われなかった場合は葬儀社に相談して、安置後に行ってもらえるようにします。

自宅での遺体の安置には作法があり、北枕に安置して顔に白布をかける、手を胸元で組ませる、数珠をつける、守り刀を置くなどの儀式を行います。

また、布団のかけ方にも決まりがあったり、腐敗防止にドライアイスを用意したりする必要があるため、これらの一連の作業も基本的には葬儀社が行います。

その際、香炉やろうそく、ご飯などを備える「枕飾り」も用意します。さらに、僧侶が到着し次第、「枕経」をあげてもらいます。

これは、故人があの世に旅立つ時、迷わず成仏できるよう、不安にならないよう願いを込めて行われるお経です。

これらの儀式が終わったら、葬儀の準備に入ります。

その間に親しい親族や近所の方がお悔やみの挨拶に来ることがあるので、親族はこちらにも対応します。

葬儀の準備は基本的に葬儀社主導で行ってくれるため、喪主や親族は都度希望を伝えて準備を進めていきます。

そして、通夜、葬儀の段取り以外で重要なものが、会葬礼状と通夜振る舞いです。

会葬礼状とは、葬儀に来てくれた弔問客にお礼として手渡す礼状で、同時に会葬返礼品を渡すこともあります。

会葬礼状は葬儀で渡すものでしたが、最近では通夜のみに参列する人が増えているため、通夜でも会葬礼状と会葬返礼品を用意することが多くなっています。

通夜と葬儀で返礼品の内容を変えるとより丁寧になります。

通夜振る舞いは、通夜の後に設ける食事の席のことです。

地域によって食事の内容が異なったり、食事ではなくお酒と折詰などを持ち帰ってもらったりすることもあるため、内容は葬儀社に相談しながら決めるのがおすすめです。

また、誰に振る舞うのかも決め、食事の手配もしておく必要もあります。

通夜の流れ

本来の通夜は、親族や親しい友人などが寝ないで故人に付き添い、故人の現世における最後の夜を共に過ごすものでした。

しかし、最近行われている通夜は「半通夜」と呼ばれるもので、18〜22時頃に行われるものとなっています。

夏場は19時頃から、冬場は18時頃から開始し、遅くても22時頃までには終わらせるのが一般的です。

首都圏で行われる仏式の通夜の流れは以下の通りです。地域や宗派によって若干流れが異なることもあります。

・納棺
・喪主、遺族着席
・参列者の受付
・僧侶入場
・僧侶による読経
・焼香
・僧侶退場
・喪主挨拶
・通夜振る舞い

納棺

通夜が始まる前に、遺族や親しい人を集めて納棺の儀式が行われます。

納棺士によって故人の旅支度を整えるのを見守り、場合によっては親族が支度の手伝いをすることもあります。

その後、通夜会場に棺が安置され、式の30分前には受付を開始します。

喪主、遺族着席

喪主や遺族は参列者の出迎えや見送りをする必要はなく、所定の位置に控えて会釈をする程度で問題ありません。

参列者の受付

参列者は10分前には受付を済ませて式場に入るようにしましょう。

入る際は先客に一礼し、遺族が参列者から挨拶を受けている時は、並んで順番を待ち、お悔やみの挨拶をします。

座席が指定されている場合は指定の席へ、指定されていない場合は、故人との関係によって座る位置を変えます。

基本的に、親族など故人と血縁が濃い人が祭壇に向かって右側の前から順に座ります。

向かって左側には、友人知人、仕事関係者などが着席し、こちらも関係が深い順に前から座ります。

ただし、厳密に分ける必要はないので、到着順でも問題はありません。

僧侶入場

僧侶が到着した場合、親族が控え室に案内しお茶菓子などでもてなします。

この辺りは葬儀社の担当者が都度案内してくれることが多いので、その指示に従えば問題ありません。

僧侶による読経

その後、時間になったら僧侶が通夜会場に入場します。

この際は司会の指示に従い、基本的には全員黙礼で迎えることが普通です。

僧侶による読経が始まったら、静かに拝聴します。

一緒にお経を唱えたり、合掌しながら聴く人もいます。

焼香

その後、焼香の指示があったら喪主から順番に焼香します。

焼香は、喪主、親族の中でも関係・血縁が濃い人から順番に行い、遺族の焼香が終わってから、一般参列者が焼香を行います。

一般参列者が焼香を行っている時は、遺族はその場に立って1人1人に黙礼します。

僧侶退場

僧侶が退場したら進行係が控え室に案内し、お茶菓子でもてなします。

この際、遺族は基本的に黙礼して見送るだけのことが多いです。

喪主挨拶

セレモニーがすべて終了したら、最後に喪主から参列者への挨拶で締めます。

通夜振る舞い

終了後、通夜振る舞いの席を設けます。

僧侶も席についてもらう場合は上座に案内し、喪主は隣に座ります。

遺族は末席に座るのがマナーです。僧侶が出席しない場合は、「御膳料」を包んで見送りをします。

食事が終わる頃になったら頃合いを見てお開きの挨拶をします。

その後、親族は翌日の打ち合わせも行います。以上が通夜当日の流れです。

また、この後昔ながらの習わしにのっとって、線香と灯明を夜通し絶やさずに故人につきそう家もあります。

その場合は、遺族が交代で故人に付き添うことになります。

一般参列者は通夜、葬儀どちらに参列しても構いませんが、最近は通夜のみに訪れる参列者も増えているため、会葬返礼品などの準備は考えて行うようにしましょう。

葬儀・告別式の流れ

通夜の翌日に葬儀・告別式が行われます。

葬儀・告別式はまとめてお葬式と呼ばれることもありますが、本来は宗教儀礼である葬儀と、遺族や参列者が故人とお別れをする告別式は別のものです。

葬儀の目的は、僧侶が読経によって故人に引導を渡し、煩悩や苦しみの世界から悟りの境地に導くことです。

その際遺族は故人の成仏を祈ります。

しかし、最近では葬儀と告別式は同時に行われることが一般的になっているため、一般参列者も葬儀から参列することが多いです。

葬儀の流れは、宗派や地域によって若干異なる場合もありますが、首都圏ではだいたい以下のように行われます。

・参列者の受付
・遺族、参列者入場
・僧侶入場
・僧侶による読経
・弔電、弔辞
・焼香
・僧侶退場
・喪主挨拶
・出棺
・納めの式
・僧侶による読経
・火葬
・骨上げ
・還骨法要、繰り上げ法要
・喪主挨拶

当日、喪主と遺族は開始時刻の1時間前には集合し、最終打ち合わせや受付の準備を行います。

受付は開式の30分〜1時間前から始まるので、参列者は開式の25〜20分前には受付を済ませて着席しておきましょう。

会場では、祭壇の両脇に親族が並び、焼香台を挟んで後ろ側に参列者が着席します。

全員が着席したら、会場係の案内で僧侶が入場するので、黙礼で迎えます。

場合によっては起立の合図がかかることもあります。その後開式となり、僧侶の読経が始まります。

続いて、弔辞の朗読や弔電の紹介が行われます。

弔辞をする方の名前や肩書き、順番、弔電をもらった方の名前などは事前に確認し、間違いのないようにしておきましょう。

名前にはふりがなを振っておくと安全です。弔辞、弔電の紹介が終わったら、焼香となります。

まず僧侶が焼香し、その後喪主、遺族、親族、一般参列者の順に行います。

焼香の作法は宗派によっても異なるので、別の項目で詳しく紹介します。

焼香終了後、僧侶が退場するので黙礼して見送ります。

その後、喪主の挨拶と閉会の辞が述べられ、出棺の準備に移ります。

一般参列者は、この時が故人の顔を見る最後の機会になることが多いので、お花などを手向けながら最後のお別れをします。

準備が整ったら出棺となります。参列者はできる限りコートを脱ぎ、合掌して静かに見送ります。

火葬場に到着したら、告別ホールで納めの式を行います。

喪主、遺族、親族の順に焼香し、僧侶がいる場合は読経をします。

この後火葬となり、骨上げ、解散となります。

場合によっては自宅または葬儀場に戻り、後飾り祭壇に遺骨、遺影、位牌を置いて、僧侶に読経してもらう還骨法要を行います。

また、初七日法要も葬儀当日に行う(繰り上げ法要などと呼ぶ)こともあります。

さらにこの後精進落としとして、食事を振る舞うこともあります。

以上が仏式の葬儀・告別式の流れになりますが、宗派によっても作法が異なることがあるので、不明点は葬儀社の担当者などに確認しましょう。

仏式葬儀のマナーと注意点

仏式の葬儀にはさまざまなマナーがあります。

また、宗派によってもマナーが異なる場合があるので、事前にしっかりと確認し、失礼がないように準備しておきましょう。

服装

仏式葬儀に参列する際は、喪服を着用します。

遺族は、親族や一般参列者よりも格式の高い喪服を着る必要があるため、遺族は正式喪服か略式喪服、親族や一般参列者は略式喪服を着用します。

正式喪服とは、男性の和装なら黒紋付の羽織袴、女性の和装なら黒の五つ紋付となります。

男性で洋装の場合は白ワイシャツにモーニング、ネクタイは黒無地を使います。

女性で洋装の場合は、黒無地のワンピースまたはフォーマルスーツを着用し、胸元が大きく開いたものやミニスカートは避けます。

ストッキングは黒、靴も黒のパンプスを履きます。

また、結婚指輪と真珠の一連ネックレス以外にアクセサリーはつけてはいけません。メイクも薄めを心がけます。

男性はブラックスーツを着用すれば問題ありませんが、親族ではない一般参列者男性の場合は、略礼服のダークスーツでも問題ありません

。男女ともに靴や鞄は紺、黒などの落ち着いた色を選び、飾り、光沢、派手な柄が入っているものは避けます。

また、鞄は、革製品を極力避けます。そのほか、派手な腕時計、カフス、ネクタイピンなどもNGです。

ただし、通夜は本来急なものであるため、平服で参列しても問題ないとされています。

喪服の方が無難ではありますが、本当に急な場合は、黒やグレーなどの落ち着いた色で、無地のスーツであれば問題ありません。

持ち物

仏式のお葬式の持ち物は、香典と数珠の2つです。香典は香典袋に入れ、「御香典」などと記載して持参しましょう。

ただし、宗派によって表書きが異なることもあるため、事前によく調べておくと良いでしょう。

基本的には「御香典」や「御霊前」で問題ありませんが、浄土真宗の場合は「御霊前」は使わず「御仏前」を使うのが正式なので、注意してください。

数珠は、念仏を唱えるために使用する仏具で、仏式の葬儀の必需品です。宗派によって持ち方が異なりますが、合掌するときは両手に通し、焼香のときは左手にかけて使うのが基本です。

また、正式な本式数珠は宗派によって色や形が異なりますが、自分の宗派のものを持参すれば大丈夫ですし、最近では宗派関係なく使用できる略式数珠が一般的になっています。

ただし、数珠は個人の持ち物になり、家族や友人でも貸し借りすることはできません。数珠がないときは合掌するだけでも問題ありません。

数珠の使い方

数珠はもともと、お経などをあげるときに数を数えるための法具でした。

また、数珠は大抵108珠の珠からできていて、持っているだけで108あると言われる煩悩を消す功徳があると考えられています。

珠の数は他にも、108の10倍の1080珠、半分の54珠、3分の1の36珠、4分の1の27珠、6分の1の18珠など、さまざまなものがあります。

現在ではお経やお題目を唱えたり、仏様にお参りしたりするときに手にかける道具となっています。

一般的な作法としては、葬儀中は左手の親指と人差し指の間にかけて持つか、両手にかけるのが基本です。

どちらを選ぶかは宗派によって異なるので、後ほどご紹介します。合唱の際は、数珠を両手の親指と人差し指の間にかけて合掌します。

焼香の順番がまわってきたら、房を下にして左手で持ち、右手で焼香をします。

右手(利き手)は不浄の手であり、いいこともすれば悪いこともする手と考えられているため、左手で持つと言われています。

移動の際は手首にかけるか、ポケットやバッグにしまいます。

また、数珠は宝具なので大切に扱い、畳や椅子の上に無造作に置くのは絶対にNGです。

置く際は、座具というケースの上にのせるか、バッグやポケットにしまっておきます。

数珠は、宗派によって形や持ち方が異なります。

相手の宗派に合わせる必要はなく、どのような宗派の葬儀でも、自分の宗派の数珠を、自分の宗派の持ち方で持てば問題ありません。

代表的な宗派ごとの数珠の種類と持ち方は以下の通りです。

浄土宗

2つの輪っかを1つに組み合わせた数珠を使い、合掌の際は、手のひらを合わせて親指と人差し指の間に数珠を挟み、数珠が親指側に来るようにして、両手首と胸の間に房をたらして使います。

浄土真宗

浄土真宗には数珠で煩悩を消す考え方がないため、片方の房が蓮如結びで結ばれ、数取りできないようになっています。

また、男性用と女性用で違いがあります。

基本的には二重にして使い、合掌する際は親指と人差し指の間に数珠を挟み、数珠が小指側に来るようにし、房は手首の外側にたらします。

天台宗

子珠に扁平な形の平玉が使われることが多いため、珠が扱いやすいという特徴があります。

主玉108珠、親玉1珠、四天玉4珠で、弟子玉(平玉20珠、丸玉10珠)が連なる2本の房も特徴的です。

合掌の際は、親珠と房が下に来るようにして、両手の人差し指と中指の間に数珠をかけます。

真言宗

長い一連の数珠を二重にして使います。

主珠が108珠、親珠から7珠目と21珠目に小さな四天珠が付き、2つの親珠にそれぞれ2本ずつの房が付いていて、別名、振分数珠(ふりわけじゅず)と呼ぶこともあります。

合掌の際は、両手の中指の外側に親珠と房が出るようにし、左右の手の外側の甲の部分に房を垂らします。

曹洞宗

親珠、その反対側にある向珠、四天珠の6つの玉の間に子珠が18珠ずつとなっています。

左手の親指と人差し指の間に挟み、右手を合わせて合掌します。

日蓮宗

それぞれ役割のある親珠2珠、四天珠4珠などを含む108珠でできています。

親珠につく房はそれぞれ2本と3本になっていて、3本の房の中の短い1本には10の玉が付いており、これを「数取玉」と呼んでいます。

また、合わせて5本の房が、人体を表しているとも考えられています。

合掌する際は、二重にして左手の親指と人差し指の間にかけます。

お題目を唱える時などは、房が2本の方を右手に、3本ある方を左手に輪を一度ひねってそれぞれの中指にかけ、房を外側に垂らして、数珠を包むように手を合わせます。

焼香の作法

仏教では、焼香は欠かせない儀式で、葬儀以外でもさまざまな祈りの際に焼香をします。

焼香には敬虔な心をささげるという意味や、芳香によって身心を清めるという意味があります。

そのため、葬儀の場では、清浄な心で故人の冥福を祈るという意味もあります。

お香には抹香と線香がありますが、仏式葬儀での焼香は、抹香をたくことが多いです。

抹香とは、香木を砕いて細かくしたものを、香炉の上に落として燃やすものです。

焼香というと、抹香をたくことをイメージするかもしれませんが、本来焼香という言葉には、線香をたく場合も含まれています。

本来は葬儀、告別式は別物と前述しましたが、焼香は、近親者は葬儀式の時間内に行い、告別式開始と同時に一般参列者の焼香が始まります。

司会者などの案内に従い、喪主、親族、参列者の順で焼香をするのが普通です。

基本的な焼香(立礼焼香)の方法は以下の通りです。

1. 立ち上がって前に進み、遺族、僧侶に一礼する
2. 焼香台の前へ出る
3. 祭壇へ一礼し、合掌する
4. 左手に数珠を持ち、右手(親指、人差し指、中指の3本)で抹香をつまむ
5. 抹香を押しいただき(額の前まで持ち上げること)、静かに香炉にくべる
6. 遺影に向かって合掌する
7. 一日下がって遺影に一礼する
8. 遺族、僧侶に一礼して自席に戻る

地域や宗派、状況によって、焼香の回数が異なります。

宗派ごとの焼香の方法は次の項目で詳しく紹介しますが、会場でアナウンスがあった場合はその指示通りの回数にします。

参列者が多い場合などは、時間短縮のために焼香は一回と指定されることが多いです。

特に指定がなければ、相手の宗派に合わせる、自分の宗派の方法で行う、どちらでも構わないとされています。

さらに焼香には、立つ・座る・回すの3種類のタイプがあります。

多くの葬儀では立って行う「立礼焼香」が行われますが、自宅などでは座って行う「座礼焼香」、焼香台をまわす「回し焼香」で行うこともあります。

また、地域によって異なることもあり、例えば北海道ではお通夜は回し焼香、告別式では立礼焼香となることが多いです。

座礼焼香の作法

会場が畳の場合などは、座礼焼香となる場合があります。

1. 次の人に会釈し、中腰で祭壇近くまで進む
2. 座ったまま遺族、僧侶に両手をついて一礼する
3. 遺影に向かって一礼する
4. 膝行(しっこう・両手で体を支え、膝をついたまま移動すること)で座布団に正座する
5. 焼香をする
6. 合掌して故人の冥福をお祈りする
7. 遺影の方を向いたまま、膝退(しったい・膝行と同じ動作で下がること)で座布団から降りる
8. 座ったまま僧侶と遺族に一礼し、立ち上がる
9. 中腰で席へ戻る

膝行、膝退は、手の親指を立て、他の指は握った状態で、両腕を体の少し前に置き、体を持ち上げるようにしながら膝を少しずつ動かして行います。

回し焼香の作法

自宅などの狭い場所で葬儀を行う場合は、人が香炉に向かうのではなく、香炉を回して焼香をする、回し焼香が行われることがあります。

1. 香炉がのった盆が回ってくる
2. 前の人に軽く会釈をし、お盆を膝の前に置く(椅子席の場合は膝の上に置く)
3. 次の人に軽く会釈する
4. 遺影に向かって一礼する
5. 焼香する
6. 遺影に向かって合掌し、故人の冥福をお祈りする
7. 盆を両手で持ち、次の人へ渡す

宗派別での焼香の作法

宗派によっても焼香の作法は異なります。

現在日本で信仰されている仏教は13宗56派と言われていますが、特に代表的な7つの宗派の焼香の作法を紹介します。

真言宗

3回押しいただく

天台宗

3回(回数に決まりはない)

臨済宗

3回(押しいただくかどうかは決まっていない)

曹洞宗

2回(1回目は押しいただき、2回目はそのまま落とす)

浄土宗

1〜3回押しいただく(回数に決まりはない)

浄土真宗

1〜2回(押しいただかない)
本願寺派1回
大谷派2回

日蓮宗

3回押しいただく(押しいただかず1回のみという説もあり)

主な宗派ごとの焼香回数は以上の通りです。

相手と自分の宗派が異なる場合、どちらの作法を採用してもいいと言われています。

もし迷った場合は、遺族のやり方にならって行うのが無難です。

遺族や周りの人のやり方を見て、同じようにやってみましょう。

先述した通り、会場の状況や参列者の数によって焼香の回数が指定される場合があります。

その場合は、指示通りの回数を行いましょう。

また、葬儀の焼香において最も大事なことは、正しい作法で行うことよりも、心を込めて行うことです。

故人の冥福を祈り、遺族に寄り添う気持ちで、心を込めて焼香を行いましょう。

合掌の作法

仏様を尊び、供養する気持ちを表すものが合掌ですが、合掌にも作法があります。

合掌の意味ですが、右手は仏様、左手は私たちを表しており、手を合わせることで私たちが仏様に近づけることを表しているとも言われています。

合掌の形にもいくつかありますが、基本は、指と指の間をピッタリとくっつけ、掌を合わせます。

胸につけず、少し前に出して、手のひらの角度を45度くらいに傾けます。

脇に力を入れず、ひじも張らず、肩の力を抜いて行います。

また、合掌の際は基本的に両手の親指と人差し指の間に、数珠をかけて行います。

喪主・親族側

仏式葬儀で喪主や親族が気をつけることやマナーの一つに、僧侶へのおもてなしがあります。

通夜の際、僧侶が到着したらまずは控え室に案内して、お茶菓子などでおもてなしをします。

喪主が挨拶をしたら通夜の打ち合わせを行います。

戒名がまだの場合は、白木の位牌を渡し、この場で書いてもらいましょう。

通夜が終わったらまた控え室に案内して、お茶菓子を出します。

その後、できれば通夜振る舞いにも参加してもらうようにします。

ただし、僧侶が2人以上いる場合は、控え室に食事を運ぶ方法を取ってもいいでしょう。

僧侶が通夜振る舞いに同席しない場合、精進料理でない場合などは、御膳料として5,000〜10,000円程度の現金を包み、御車代と一緒にお盆に乗せて渡します。

御車代は近場なら5,000円程度が相場で、菩提寺が遠い場合には交通費の実費以上の金額になるように調整します。

また、必要があれば翌日の葬儀の打ち合わせも行います。

そのほか、喪主や遺族は常に1時間程度早めに集合し、葬儀社の担当者などともしっかり打ち合わせを行いましょう。

また、参列者や手伝ってくれた方への感謝の気持ちを表すことも忘れてはいけません。

喪主は代表の挨拶もあるので、こちらの準備も行っておきます。

参列者側

参列者は、開式の20分前までには着席できるように、余裕を持って会場に向かいましょう。

お悔やみの言葉をのべる時は、なるべく手短に挨拶するのがマナーです。

また、その際に重ね言葉(「重ね重ね」「たびたび」など)や「死」「死亡」などの言葉を使うのはマナー違反なので、注意しましょう。

様々なしきたりがありますが、基本的には故人や遺族に寄り添う気持ちを忘れずにいれば大丈夫です。

仏式と神道

 

ここまで仏式について詳しく見てきましたが、最初の方でも触れたように、古くから信仰されてきたものとして、神道もあります。

仏教と神道の違い、歴史などについてもご紹介します。

仏教と神道の違い

仏教と神道の違いを簡単に解説すると、仏教は、お釈迦様(仏)の教えに基づいて修行を行い、悟りを開くことを目的とするインド生まれの宗教です。

一方神道は八百万(やおよろず)の神を信仰する日本発祥の宗教です。

神道は特定の教祖や教えを持たないという特徴もあります。

日本における仏教と神道の歴史

神道は、日本古来の伝統的な宗教で、その歴史は非常に古く、縄文時代(紀元前1万1000年頃~)を起点とし、弥生時代(紀元前450年頃)から古墳時代(250年頃~)に原型が作られたと考えられています。

一方、仏教が生まれたのは紀元前450年頃(日本は弥生時代)のインドです。

釈迦の死後にさまざまな宗派の仏教が生まれ(部派仏教と呼ばれる)、紀元前の終わり頃(日本や弥生時代の中頃)に、のちに日本に伝わる大乗仏教が始まったそうです。

日本書紀によると、日本に仏教が伝わったのは552年(飛鳥時代)と書かれています。

かつては神仏習合と呼ばれるように、神道の信仰対象である神々と、仏教の信仰対象である仏は同じだという考え方がありました。

しかし明治時代以降、神仏分離が進められ、神道と仏教、神々と仏、神社とお寺は切り離されてはっきりと区別されるようになりました。

仏式と神式の葬儀の違い

葬儀にも、仏式、神式など宗教による違いがあります。

日本で行われる葬儀の多くが仏式ですが、最近は神式の葬儀を希望する人が増えているとも言われています。

仏式と神式の考え方の違い、葬儀の特徴について詳しく見ていきましょう。

仏式と神式の考え方

仏式と神式の考え方の違いは、「普遍宗教」か「民族宗教」かであり、この考え方の違いが、葬儀の違いにつながるのです。

仏教をはじめ、キリスト教やイスラム教のように、経典(教え)が存在する宗教は、信仰の対象と基本の考え方があるため、国境、人種に関係なく、誰でも信仰することができます。これが普遍宗教です。

一方、神道には教えや経典がありません。

長い年月をかけて日本各地で伝わってきたさまざまな信仰をまとめたものであり、信仰の対象も絶対的な一つのものを信じるわけではなく、自然や天候など、さまざまなものを神格化して崇めています(八百万の神)。

これは、日本人以外が理解するのは難しい考え方らしく、そのために日本独自の民族宗教となっているのです。

葬儀の特徴・違い

仏教と神道の葬儀に関する考え方の大きな違いは、神道では死を穢れと考えることです。

葬儀は、この穢れを清めることで日常に戻すという意味合いで行われます。

また、故人を祀ることで子孫を守る神となる「先祖崇拝」の考え方もあります。

仏教でも先祖を敬いますが、魂が転生する「輪廻転生」が信じられており、死を穢れと捉えることもないので、そこが大きな違いと言えるでしょう。

読経と祝詞

仏式葬儀では、僧侶がお経を唱えることで、故人の冥福を祈ります。

しかし神式葬儀では、祝詞が唱えられます。これは、故人とともに子孫繁栄を祈るという意味で唱えられます。

焼香と玉串奉奠

仏式の葬儀には焼香が欠かせません。

焼香は、葬儀の時のように抹香で行うこともあれば、線香を用いることもあります。

しかし、神式の葬儀には焼香(抹香、線香)が存在しません。

そもそも仏式葬儀における焼香の役割は、焼香の煙が道しるべとなり、故人の魂が冥土まで迷いなくたどり着けるようにするものと考えられています。

しかし、神道では故人は守護神になるため、道しるべ(焼香)は必要ありません。

その代わりに神道の葬儀では、神前に玉串という木を捧げる「玉串奉奠(たまぐしほうでん)」が行われます。

戒名と諡

仏教では、故人は仏門に入った証として俗世の名前を捨てて、戒名をもらいます。

しかし、神道では名前は親と神からいただいた大切なものと考えられているので、魂の名前も生前と同じ名前が引き継がれます。

ただし、神道の場合は「諡(おくりな)」という名前があり、名前の後ろに故人の生前の実績や評価などが書き足され、これを死後の名前とします。

葬儀会場

仏式の葬儀は斎場やお寺などで執り行われますが、神式の葬儀は絶対に神社で行いません。

なぜなら、神道において死は穢れであり、神が祀られている神社には持ち込むべきでないと考えられているからです。

喪中に鳥居をくぐったり、初詣に行ってはいけないと言われるのも、この考え方からきています。

葬儀後の法要

仏式の葬儀では、初七日、四十九日、一周忌、三回忌、七回忌と、葬儀後にも定期的に法要を行うことが一般的です。

しかし、神式ではなんども法要を行うことがありません。

四十九日に似た儀式として、五十日祭というものを行うのみとなっています。

仏壇と御霊舎

仏教において、仏様や先祖が祀られるのは仏壇ですが、神道では、五十日祭りを終えた故人の魂は、御霊舎(みたまや)に祀ります。

御霊舎は神棚とはまた違ったもので、形は仏壇に似ています。

費用の違い

仏式の葬儀には100万円程度の費用がかかることも珍しくありませんが、神式は仏式の葬儀に比べて費用が安いと言われています。

仏式では、読経や戒名のお礼が含まれる「お布施」を僧侶に渡す必要があり、この相場が20〜30万円程度となります。

一方神式の葬儀においての謝礼は「玉串料」であり、この相場がお布施の半額程度となるため、仏式に比べて費用が安くなると言われています。

仏式についてのまとめ

仏式とは、仏教の教えに則って行われるさまざまな儀式のことを言います。

代表的なものはお葬式ですが、結婚式や地鎮祭も、仏式で行われることがあります。

今回は、主に仏式の葬儀について詳しく紹介してきました。

仏式の葬儀は一般的に、通夜、葬儀・告別式、火葬の順番に行われます。

欠かせないものが読経と焼香で、焼香には決まった形式があるため、しっかり覚えて参列するようにしましょう。

また、数珠の持ち方や焼香の仕方は、宗派によっても異なります。

基本的に自分の宗派のやり方で問題ありませんが、わからない場合は親族や周りの人のやり方を参考にするのがおすすめです。

焼香は、参列人数の関係で1回のみに制限される場合もあるので、その際はアナウンスに従いましょう。

ここまで、仏式葬儀の様々なしきたりやマナーを紹介しましたが、基本的なマナーを押さえておけば、あとは故人を偲ぶ気持ち、遺族に寄り添う気持ちが一番重要となるので、そこに気をつけて参列しましょう。

葬儀をあげる側も、僧侶に対するマナーや気配りが必要となるので、参考にしていただければ幸いです。

  • 超高齢化多死社会を迎える中、今の時代に必要なのは、ご遺族の状況に応じたプランをご提案することです。
    厚生労働省認定1級葬祭ディレクターとして、これまでの画一的な「一般的な葬儀」を一から見直し、必要な人に、必要なお葬式を自由に選んでもらうためのプランを作成しました。
    後悔のないお葬式を執り行いたいけど、シンプルなお葬式でいい。そんな方はぜひお気軽にご相談ください。