おとき(お斎)とは?意味とマナーと香典相場を3分で解説!
法事を行うにあたって、お斎という行事について聞くことがあるかと思います。今回は、お斎の意味やマナー、内容、挨拶例文などを分かりやすく解説します。
おとき(お斎)とは?(意味)
お斎とは、法事に際して法要(僧侶の読経)後に出される食事のことをいいます。精進料理が出されることも多いですが、地域によって寿司など昔は生臭物と言われたものでも出すことがあります。
お斎は、単なる会食の場ではなく、読経いただいた僧侶と法要の列席者への感謝の膳としての場であり、かつ故人を偲び供養するための大切な行事です。
お斎の由来
お斎の「斎」という字は、仏教用語である「斎食(さいじき)」からきています。これは、正午や決まった時刻にとる食事のことを指す言葉ですが、法要を行なった際の食事という意味も含みます。
お斎は必ずしなければならないか?
お斎は必ずしなければいけない訳ではありません。特に最近では新型コロナウイルスの影響で、大勢が集まって食事をするお斎はおこなわないケースが多いです。
お斎をしないのであれば、参列者にあらかじめ分かるように案内状などに記載しておきましょう。例文としては「法要後のお席は設けておりません」などです。
お斎をおこなわない場合は、来ていただいたお坊さんに「御膳料(おぜんりょう)」をお渡しする必要があります。
御膳料の相場については「御膳料とは?相場と渡し方と注意点とマナーを解説!」の記事もご参考ください。
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おとき(お斎)と精進落としの違い
前術のように、お斎とは、法事にあたって僧侶や弔問客に対しての感謝を込めて振る舞う食事全般のことを指します。
よく、精進落としとの意味の違いについて聞かれることがあります。
精進落としとは?
精進落としとは、告別式終了後や初七日法要後に僧侶や参列者に対してもてなす意味で料理を振る舞うことです。
昔は、親族が亡くなると、仏教の思想に沿って肉や魚を断ち、精進料理を食べ、四十九日の忌明けに際して通常の料理に戻す区切りとなるものが精進落としでした。
しかし、時代の変遷に伴って、徐々にその意味は変化し、初七日法要の際に僧侶と参列者をねぎらうための宴席の場となりました。そして、現代では火葬場から戻った親族や参列者に飲食をふるまう場のことを精進落としと呼ぶことが一般的になりました。
初七日法要も告別式と併せて執り行うことも増えたので、結果として告別式後にそのまま精進落としが行われることになります。
通夜・告別式の会食を総称して「お斎」と言う
通夜での会食である「通夜振る舞い」、告別式の「精進落とし」、それらを総称してお斎と言います。ちなみに、浄土真宗の場合は、「通夜振る舞い」も「精進落とし」も「お斎」と言います。
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・「お通夜のマナーとは? 服装や香典マナー、流れを喪主側参列者側で徹底解説!」「意外と知らないお通夜の流れとマナー」
告別式については、
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おとき(お斎)のメニュー
お斎の際は、具体的にどのようなメニューが出されるのでしょうか?
お斎のときに出される定番メニューについてご紹介します。
仕出し弁当
通常は仕出し弁当が出されるのが一般的です。料亭やレストランに注文をする際は、法事で利用することを伝えましょう。お斎に向いていない料理が入ってしまう可能性があるからです。
精進料理
精進料理とは肉や魚を使わない料理です。
殺生や煩悩への刺激を避けることを目的とされています。お寺のお坊さんが食べる食事としても有名です。主に野菜や豆類などが主となっている料理です。
懐石料理
懐石料理はもともと茶会で、来客をもてなした料理です。本来は一汁三菜のシンプルな形でしたが、現在では品数が増え、華やかなメニューも多くなっています。品数が多いのですが、少量ずつ盛られていて食べやすいのも特徴です。
お斎で出してはいけない食材
お斎に不向きな食材をご紹介します。昔よりも厳密には制限されていません。
メインで無ければ肉や魚もOK
本来は四十九日法要があけるまで殺生が禁止られている為、肉・魚を使った料理は避けなければいけません。しかし、 現在は、肉や魚などもメインで無ければお斎に出しても良いとなっています。
鯛や伊勢海老などの華やかなメニューは避ける
上記のように肉や魚もメイン料理で無ければ問題ありませんが、鯛や伊勢海老など華やかでお祝いの席に出されるような料理はお斎には適しません。
自宅で作る場合や、レストランや料亭に頼む場合は注意しましょう。
お斎の場所の決め方
お斎はどこで開催するのがよいでしょうか?
一番、参列者に負担が無いのが法要を行った場所でお斎をすることです。例えば、自宅で法要を行ったのであればそのまま自宅でお斎をおこないます。お寺であれば、お斎用の部屋が別途用意されていることが多いです。
自宅やお寺でお斎ができない場合は、できるだけ会場から近場のホテルやレストラン、料亭でおこないます。
お斎では位牌と遺影を飾る
お斎の際は、位牌と遺影をセッティングします。忘れずに持参するようにしましょう。
置く場所は上座で、前には「陰膳」(いんぜん)という参加者と同じ食事をお供えします。
おとき(お斎)の席次・席順の決め方
席次についても、その場で戸惑ってしまいがちですが、あまり難しいルールはありません。まず、上座の中でも最も故人に近い席に僧侶に座っていただき、僧侶と会話ができるよう、施主は隣または向かいに座ります。それ以降は、親族以外の列席者に座っていただき、施主以外の親族は末席に座ります。
考え方としては、列席者をもてなす場として捉えていただければ理解しやすいかと思います。僧侶がお斎に参加されない場合は施主のみ故人に近い席に座り、それ以外の親族は末席に座るようにしましょう。
おとき(お斎)の挨拶の仕方と例文
お斎を始める前と、お斎を終了する時には、喪主が挨拶を行います。法要のタイミングによって少し内容も変わるので、例文としてご紹介します。基本的には、列席いただいた方々に向けて感謝の気持ちを伝えます。
四十九日法要でのお斎挨拶例文
本日は、亡き●●の四十九日法要にお集まり下さいまして、誠にありがとうございました。
皆様が●●の思い出話に花を咲かせながら食事を召しがって頂ければ、●●もきっと喜ぶことと思います。
本日は、ささやかなおもてなしではございますが、お時間の許す限り、どうかごゆっくりとお過ごしください。
四十九日法要でのお斎を終了する時の挨拶例文
そろそろお時間となりましたので、これにてお開きにしたいと存じます。
●●が亡くなり、残された私どもは寂しくなりましたが、どうか今後とも、ご指導賜りますよう、何卒お願い申し上げます。
本日はご多忙の中、誠にありがとうございました。
四十九日法要については「四十九日法要のお布施を完全解説!相場・地域・宗派を詳しく紹介!」「四十九日の香典相場を完全解説!書き方・マナー・故人との関係別相場も紹介!」の記事もご参考ください。
一周忌法要でのお斎挨拶例文
本日は、亡き●●の一周忌にお集まり下さいまして、誠にありがとうございました。
早いもので、●●が亡くなりもう一年が経過しました。
当初は●●が亡くなったことで私どもは寂しくなりましたが、ようやく元気を取り戻してまいりました。
これも、皆様方のお力添えのおかげでございます。誠に感謝しております。
ささやかなおもてなしではございますが、お食事をご用意いたしました。故人の思い出話などもお聞かせ頂ければ幸いでございます。どうか、ごゆっくりとお過ごしください。
一周忌法要でのお斎を終了する時の挨拶例文
そろそろお時間となりましたので、これにてお開きにしたいと存じます。
残りました家族一同、●●の分まで助け合いながら今後とも精進して参ります。
どうか皆様、今後とも変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。
一周忌法要については「一周忌とは?意味・香典・お布施・お供え・マナーを完全解説!」「意外と相場がわからない!一周忌の香典の相場やマナーを完全解説!」の記事もご参考ください。
お斎がない場合の挨拶例文(法要終了のタイミングで)
「誠に恐縮ではありますが、本日はこれにてお開きとさせて頂きたく存じます。
ご多忙中にもかかわらず足を運んで頂き、本当にありがとうございました。
何のおもてなしもできませんでしたが、ささやかながら折詰をご用意いたしましたので、どうぞお持ち帰りください。どうか今後とも、ご指導賜りますよう、何卒お願い申し上げます。
献杯時の挨拶文例
お斎の場では、列席者から代表者が献杯の挨拶を行うことがあります。乾杯と似ていますが、献杯では、代表者の「献杯」の発声の後に、全員が軽く杯を持ち上げ「献杯」と唱和します。
あくまでも、お斎は故人を悼むための場になるので、杯を高く持ち上げて勢いよく唱和したり、拍手したりは行いませんので注意しましょう。また、隣の方と杯をぶつけて音を鳴らすこともマナー違反になります。
献杯にあたっては、お酒を飲み干すわけですが、必ずしも飲み干す必要はないですし、お酒が苦手な方は飲む必要もありません。ソフトドリンクでももちろん大丈夫です。
続いて、献杯時の挨拶文例をご紹介します。
故人の友人、●●と申します。
●●くんとは毎年の年末に会い、お酒を飲みながら近況報告をしあっており、また来年も、と話をしておりましたので本当に残念です。
本日は●●くんを囲んで酒を酌み交わし、●●くんとの思い出話に浸り、ご冥福をお祈りしたいと思います。
●●くん、どうか安らかにお眠りください。それでは献杯させていただきます。
献杯。
故人との関係、簡略な思い出話、そして故人の冥福を祈ることを、簡潔に、1分程度にして話すのが基本です。間違っても長く話し続けることのないようにしましょう。
おとき(お斎)に参加するときの服装(喪主側・列席者側)
お斎は法要の後に行われるので、服装は法要そのままで参加となります。ですが、この場は故人の思い出を語り合う会食の場になるため、上着を脱いでいても問題ありません。
列席者側の服装
また、きちんとしていれば平服に着替えても問題はありません。特に夏場など、喪主が先んじて上着を脱いでおいてもいいですし、くつろいでもらうために上着を脱いでいただいて構わない旨を会の前に伝えることも可能です。
喪主側の服装
喪主は、列席者が遠慮し過ぎないように配慮するとよいでしょう。列席する際には、喪主からの気遣いがあればそれに応じ、くつろいで過ごすとよいでしょう。
注意すべき点としては、リラックスするのはよいですが、故人を偲ぶ場であることは変わらないので、お酒を飲みすぎたり、大声を出したり、故人のネガティブな話をするといった行為は絶対に行わないようにしましょう。
弔事の服装については「ユニクロで喪服を用意できる?ユニクロで喪服を用意する際のメリットやデメリット、注文方法を完全解説!」「急な葬儀での服装はどうする?注意点の多い女性の喪服を徹底解説!」の記事もご参考ください。
おとき(お斎)に参加するときの香典の有無と相場
お斎に参加するにあたって、香典と別にお金を渡す必要はありません。しかし、もし気になるようでしたら、法要の際の香典に5千円程度多めに包むようにしましょう。
香典については「香典の正しい書き方を完全解説!金額・表書き・中袋・のし袋の書き方を紹介!」「香典を完全解説!意味・歴史・金額相場・書き方・包み方・渡し方を解説!」の記事もご参考ください。
おとき(お斎)の金額相場
気になる金額相場ですが、一般的に3千円から1万円程度になる場合がほとんどです。
寺院で法要を行った後に、そのまま寺院で催す場合や、近くの飲食店・ホテルなどへ移動して行う場合もあり、会場や料理の内容によって金額が前後することもあるので、事前に問い合わせし確認しておくとよいでしょう。
おとき(お斎)の引き出物を渡すタイミング
お斎の終了の時間が迫ってきたら、引き出物(返礼品)を列席者のお膳の前に配っていきます。順序としては、まず最初に僧侶にお渡しし、その後順に配ります。
列席者の人数が多い場合には、事前にお膳の横に置いておくことも無礼には当たらないため一つの手としてあります。
斎場で行うにあたって施設のスタッフがいる場合、事前に引き出物を置いておくのか、お開きの時間に合わせて配布して頂くのか、事前に相談して決めておくようにしましょう。
おとき(お斎)の注意点・マナー(喪主側・列席者側)
お斎に関して、これまで紹介したものも含めて、注意点についてまとめて解説します。
喪主の役割について「施主と喪主の違いとは?葬儀における施主の役割を解説!」もよく読まれています。
喪主側
・お斎の場に臨むにあたって
読経いただいた僧侶と法要の列席者への感謝の膳としての場であり、かつ故人を偲び供養するための大切な行事であることを理解し、臨むようにしましょう。
・引き出物を渡すタイミング
お斎の終了の時間が迫ってきたら、引き出物(返礼品)を列席者のお膳の前に配っていきます。列席者の人数が多い場合には、事前にお膳の横に置いておくことも無礼には当たりません。
列席者側
・お斎の場でのマナー
故人を偲ぶ場であることを理解し、お酒を飲みすぎたり、大声を出したり、故人のネガティブな話をするといった行為は絶対に行わないようにしましょう。
・献杯の挨拶をする場合
前述した挨拶文例のように、簡潔に、1分程度にして話しましょう。
・お斎を欠席する場合
もし、お斎に参加できない場合には、事前にはっきりと伝えましょう。人数分の食事を用意するため、曖昧な返事や当日のキャンセルはとても迷惑になります。
よほどの理由が当日に発生しない限りは、欠席する旨も事前に伝えるようにしましょう。
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おとき(お斎)に関する知識のまとめ
「お斎」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。
【おとき(お斎)とは?】
●法事に際して法要(僧侶の読経)後に出される食事のこと
【おとき(お斎)のメニュー】
●仕出し弁当、精進料理、懐石料理などがある
●肉や魚などもメインで無ければお斎に出しても良い
●鯛や伊勢海老などの華やかなメニューは避ける
【おとき(お斎)の席次・席順の決め方】
●最も故人に近い席に僧侶に座っていただく
●施主は僧侶の隣かまたは向かいに座る
●施主以外の親族は末席に座る
【おとき(お斎)に参加するときの香典】
●法事の香典と別にお金を渡す必要はない
●気になるようであれば、香典に5千円ほど多く包んでおく
【おとき(お斎)の金額相場】
●3千円から1万円程度
●会場や料理の内容によって変わる
【おとき(お斎)の注意点とマナー】
●喪主側
・僧侶と法要の列席者への感謝の膳としての場であることを意識する
・お斎の終了の時間が迫ってきたら引き出物(返礼品)を渡す
●列席者側
・故人を偲ぶ場であることを理解し、お酒を飲みすぎたり、大声を出したりしない
・献杯の挨拶をする場合は1分程度
・欠席する場合は早めに連絡する
お斎は単なる会食の場ではなく、故人を偲び、僧侶をもてなし、列席者の交流の場にもなる大切な場です。
マナーや注意点を押さえ、施主としても列席者としても気持ちよく終えられるようにしましょう。
【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール