香典の相場を完全解説!故人との関係別・書き方・包み方・渡し方も紹介!
(2021/4/2 情報更新)
ある程度年齢を重ねると、近親者を含めて葬儀等に参列する機会が増えていきます。その時に大切になるのが香典です。
社会人になれば、故人の死を悼む意味でもきちんと香典を包むのが礼儀。
しかし今までそういった経験がないと、金額の相場や包む際のマナーなどがわかりませんよね。
故人への供養やご遺族の急な出費を助けるという意味も込めて、マナーに沿ってお渡ししましょう。
香典とは?
香典(こうでん)とは、亡くなった方のお花や線香の代わりに供養の気持ちをお金として包みお渡しするものです。「香典」という言葉は、葬儀でお香を使うので、お香を持ち寄っていたことから発祥したと言われています。
遺族の金銭的負担を軽減させる意味もあります。葬儀に参列できない場合は、供物や供花をお渡しする場合もあり、故人の霊前へ供えます。
香典の由来・歴史
昔は現代のように金銭ではなく、食料が送られていました。僧侶や参列者へ頂いた食料を使って食事を振舞いました。
金銭のやり取りが行われたのは、室町時代から明治時代にかけてと言われています。
家族葬や一日葬での香典について
現在では、家族葬や一日葬、直葬などさまざまな葬儀形態があります。どんな葬儀での形であっても基本的に香典はお渡しするのがマナーです。
遺族側から香典辞退の連絡が無ければあらかじめ用意しておくのが無難でしょう。
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香典の金額と相場(年齢・故人との関係・通夜・葬儀・法事・法要別)
香典の金額はあなたの年齢や故人との関係性によって変わります。自身の属性やその場に合わせた金額を包みましょう。
以下に、年代別に金額の目安をまとめたので参考にしてください。ただし、地域によって多少異なります。
通夜・葬儀・告別式で渡す香典の金額相場は?
参列者が20代の場合
〜親戚関係〜
両親:3万〜10万円
兄弟・姉妹:3万〜5万円
祖父母:1万円
おじ・おば:1万円
甥・姪:1万〜3万円
いとこやその他の親戚:3千〜1万円
〜友人関係〜
友人・知人:5千円
友人・知人の両親:3千〜5千円
先生・恩師:3千〜5千円
子供の先生:0〜5千円
隣近所:3千〜5千円
〜職場関係〜
上司:5千円
上司の家族:3千〜5千円
同僚・部下・後輩:5千円
同僚・部下・後輩の家族:3千〜5千円
参列者が30代の場合
〜親戚関係〜
両親:5万〜10万円
兄弟・姉妹:3万〜5万円
祖父母:1万〜3万円
おじ・おば:1万〜3万円
甥・姪:1万〜5万円
いとこやその他の親戚:3千〜2万円
〜友人関係〜
友人・知人:5千円〜1万円
友人・知人の両親:3千〜1万円
先生・恩師:3千〜1万円
子供の先生:0〜5千円
隣近所:3千〜1万円
〜職場関係〜
上司:5千円〜1万円
上司の家族:3千〜1万円
同僚・部下・後輩:5千円〜1万円
同僚・部下・後輩の家族:3千〜1万円
参列者が40代の場合
〜親戚関係〜
両親:10万円〜
兄弟・姉妹:5万円〜
祖父母:3万〜5万円
おじ・おば:1万〜3万円
甥・姪:1万〜5万円
いとこやその他の親戚:3千〜3万円
〜友人関係〜
友人・知人:5千円〜1万円
友人・知人の両親:3千〜1万円
先生・恩師:3千〜1万円
子供の先生:0〜5千円
隣近所:3千〜1万円
〜職場関係〜
上司:5千〜2万円
上司の家族:5千円〜1万円
同僚・部下・後輩:1万円〜
同僚・部下・後輩の家族:3千〜1万円
香典の金額の考え方
基本的に香典の額は血縁が近くなるほど高くなります。ただし義理の両親や兄弟・姉妹であっても同額です。
近しい親戚であれば香典を包むのが一般的ですが、全く交流の無い親戚であれば香典を出さない場合もあるので、自分の交流度合いを考慮して決めるのが良いでしょう。
隣近所に関しても同様で、交流度合いによって支払うかどうかを決める場合が多いです。
個人で出すか連名で出すかも確認しておく
ちなみに、祖父母・恩師・会社関係者への香典は連名で出す場合もあります。そのため個人で香典を出すかどうか、きちんと確認しておくのがベストです。
もちろん上記の金額はあくまでも目安。香典は急な出費である場合も多いため、包んだ金額が少ないこともあるでしょう。
香典の連名での書き方については「香典を連名で出す場合は?香典を連名で出す際の書き方やマナー、注意点を徹底解説!」の記事もご参考ください。
香典を二度渡しに行くのはマナー違反
しかしだからといって、もう一度香典を渡しに行くのは厳禁。なぜなら香典を追加で渡すことは「不幸が重なる」という意味になってしまうからです。
喪主側も参列者には感謝の気持ちがあるため、よほど相場から外れた金額でなければ気にしないでしょう。
また、喪主の経済的負担を考慮したり深い関係性だった故人へのお気持ちとして、金額を多少上乗せすることは問題ありません。
ただしあまりに相場よりも多すぎる金額だと気を遣わせてしまうため、そこは考慮する必要がありますね。
弔事についての不明点や疑問は『やさしいお葬式』から24時間365日無料相談も承っています。電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。『やさしいお葬式』では葬儀の見積もり、遺影写真、参列者のリストアップなど事前準備をおすすめしています。葬儀の作法や服装などについてもご相談できます。
法事・法要で渡す香典の金額相場は?
上記は通夜や葬儀、告別式で渡す香典の相場です。しかし実際には「新盆」「初七日」「四十九日」「年忌法要」などの法事・法要もあり、そこでも香典を渡します。ではそういった場では、どのくらい渡すのが相場なのでしょうか?以下に法事・法要別に金額の相場をまとめました。
初七日から四十九日までの金額相場
宗派によって多少違いますが、基本的には死後7日目から故人の生前の行いに関する裁判が始まると考えられています。これがいわゆる「初七日」。ここから7日ごとに裁判が行われ、最後の四十九日に最終判断が下されます。
なので本来法事・法要は7日ごとに行うのが良いのですがそれは現実的ではありません。そのため現代では葬儀と初七日は同じ扱いとされることが多いです。
そのためほとんどの場合、「葬儀と初七日」「四十九日」という風に分けて考えます。以下の金額は、初七日を別で行う場合や四十九日単体での相場です。
〜親戚関係〜
両親:3万〜10万円
兄弟・姉妹:1万〜5万円
祖父母:5千〜3万円
おじ・おば:5千〜3万円
いとこやその他の親戚:3千〜1万円
甥・姪:5千〜3万円
〜その他の友人や仕事関係など〜
3千〜1万円
初七日については「初七日とは?初七日までしてはいけないことや期間を徹底解説!」「初七日とは?意味・数え方・お供え・お経・知っておきたい常識とマナー」
四十九日法要については「四十九日法要のお布施を完全解説!相場・地域・宗派を詳しく紹介!」「四十九日の香典相場を完全解説!書き方・マナー・故人との関係別相場も紹介!」もご参考ください。
一回忌から三回忌までの金額相場
年忌法要は省略されやすいですが、一回忌と三回忌は比較的行われることが多いです。この年忌法要は宗派問わず行われ、法要としての規模は徐々に小さくなっていきます。
それに伴い身内だけで完結することも多くなるので、遠慮して欠席するという方やそもそも行わない場合も増えていくでしょう。その場合も考慮し、相場より少し多めに渡すこともあります。
〜親戚関係〜
両親:1万〜5万円
兄弟・姉妹:1万〜5万円
祖父母:5千〜3万円
おじ・おば:5千〜1万円
いとこやその他の親戚:3千〜1万円
甥・姪:5千〜1万円
〜その他の友人や仕事関係など〜
3千〜1万円
七回忌以降の金額相場
七回忌以降では親族以外が参列することはほぼありません。そもそも遺族が法要を行うこともあまりないので、アットホームな法事になることも多いです。ちなみに金額相場自体は、年忌法要を重ねるたびに下がっていくのが自然です。
〜親戚関係〜
両親:1万〜3万円
兄弟・姉妹:1万〜3万円
祖父母:5千〜1万円
おじ・おば:5千〜1万円
いとこやその他の親戚:5千〜1万円
甥・姪:5千〜1万円
〜その他の友人や仕事関係など〜
3千〜1万円
年忌法要については下記記事もご参考ください。
【一周忌】
・一周忌とは?意味・香典・お布施・お供え・マナーを完全解説!
・意外と相場がわからない!一周忌の香典の相場やマナーを完全解説!
・親が死んだらすることは何?亡くなってから一周忌までを時系列順に解説!
【三回忌】
・三回忌のお布施を完全解説!金額相場・書き方・渡し方・喪主・参列者のマナーを紹介!
・三回忌とは?意味と施主と参列者が知っておくべき法事・法要のマナーとは?
・法事・法要の香典相場はいくら?三回忌・七回忌・十三回忌と故人との関係別に解説!
【七回忌】
・七回忌とは?意味とお布施・香典の相場と出席マナーを解説!
【十三回忌】
・13回忌とは?13回忌の準備から招待された場合のマナーまでを完全解説!
【二十三回忌】
・23回忌とは?23回忌の準備から注意点まで徹底解説!
香典の書き方
お金を包む香典袋に書く文字を「表書き」と呼びます。この表書きは相手の宗派に則り書き方を変える必要があるため、必要な金額だけでなくこちらにも気を配りましょう。
最近では香典用のハンコやスタンプなどもありますが、故人を偲ぶ気持ちを伝えるためにもやはり手書きが理想です。
香典の書き方のポイント
薄墨で書く
まず香典袋の表書きを何で書くかですが、一般的なのは薄墨です。これは普通の墨よりも薄く書けるため「故人を失った悲しみの涙で墨が滲んでしまった」という気持ちを表現しています。手元に無ければ、コンビニ等で薄墨の筆ペンを購入しましょう。
表書きを書く場所
表書きは、香典袋の水引き部分の上に書きます。そして水引きの下に自分の名前をフルネームで書きましょう。名前は表書きと同列となるよう中央に寄せると綺麗です。
中袋が入っている場合
最近では、香典袋の中に「中袋」が入っているケースも増えています。中袋が入っている場合はそこにお金を入れましょう。
金額は漢数字で記載する
金額は中袋の表面に書きます。記載は「金壱萬円」か「金壱萬円也」という形が一般的です。
この金額表記は「一」「二」のような現代の漢数字でも問題はありません。しかし旧字体を使うのが正式であるため、可能なら「壱」「弐」などを使いましょう。
裏面に書くべきこと
そして裏面の左下辺りに、住所と名前を書きます。一緒に電話番号などもあると、ご遺族が連絡しやすくなりますね。ちなみに中袋に書く際は普通の黒ペン等で構いません。
中袋が入っていない場合
中袋が入ってない場合は、香典袋の裏面に金額と住所を記入しましょう。裏面の右側に金額、左側に住所を記入するのが一般的です。
では具体的に、宗派ごとに表書きの種類をご紹介していきます。
香典の書き方については「香典の正しい書き方を完全解説!金額・表書き・中袋・のし袋の書き方を紹介!」「香典袋の正しい書き方を完全解説!表書き・中袋・名前・その他のマナーも紹介!」の記事もご参考ください。
仏式
日本国内では仏式の葬儀や法事が多いため、一番覚えておくと良いでしょう。仏教では、忌明けの四十九日法要まではまだ御霊がこの世にいるという考えから、
・御霊前
・御香料
・御香典
・御悔
などを使います。香典は通夜や告別式で渡すため「御霊前」などが一般的ですね。
四十九日以降の法事では、故人が極楽浄土に成仏したという考えから「御仏前」と記入します。
ただし浄土真宗に関しては違います。浄土真宗では「死後すぐに浄土に召されて仏になる」という考えがあるため、四十九日以前でも「御仏前」と記入しましょう。
そこまで細かく気にする方も少ないとは思いますが、香典を受け取る方によっては浄土真宗の教えに背くことを失礼にあたると考える場合もありますので、事前にしっかり確認しておくのがベストです。
仏式の葬儀については「仏式とは?意味・流れ・マナー・神式との違いを解説!」「仏式葬儀とは?一般的なマナーや葬儀の流れについて徹底解説」の記事もご参考ください。
キリスト教式
キリスト教の場合は「カトリック」と「プロテスタント」という宗派があるため、多少使い分ける必要があります。
どちらの宗派でも使える表書きは以下の通りです。
・御花料
・御花代
・献花料
カトリックでしか使えないのが「御霊前」です。なぜならプロテスタントでは、御霊を異教の偶像崇拝として認識しているため「御霊前」は不適切にあたるからです。また、プロテスタント独自の表書きとして「忌慰料」も使えます。
神式
神式の場合、亡くなってからの50日間は「御霊前」を使うのが一般的。これは、神道において死後50日間は霊であるという考えがあるためです。
50日経過してから行う五十日祭以降は、故人が家の守護神になるという考えから「御神前」を使いましょう。
ちなみに以下のような表書きも可能です。
・玉串料
・御玉串料
・御榊料
・御饌料
・神饌料
神式の葬儀については「神式葬儀の流れとは?仏式との違いや基本的なマナーについても解説」の記事もご参考ください。
宗派がわからない場合は?
ではもし宗派や宗教がわからないときはどうすればいいのでしょうか?この場合は「御霊前」と記入しておくのが無難とされています。
しかし先述の通り、浄土真宗やキリスト教のプロテスタントの場合はマナー違反にあたるので注意が必要です。そういった失礼を確実に避けるのであれば、宗派問わず使える「御香料」「御幸資」「御香奠」を使いましょう。
無宗教の葬儀については「無宗教葬儀を完全解説!流れ・費用・マナー・供養方法を紹介!」「仏教のお葬式と何が違うの?無宗教で行うお葬式」の記事もご参考ください。
香典のお金の入れ方
香典袋にお金を入れる際は、金額はもちろん正しい入れ方をすることが大切です。香典を使うのは急であることが多いとは思いますが、事前に知っておき慌てず対応できるようにしておきましょう。
お札を入れる向き
お札を入れる向きに気をつけます。肖像画が描かれている方を下向きにして、肖像画が印字されている側を底の方になるように入れるのが一般的です。
複数枚ある場合はお札の向きが一緒になるようにしましょう。開いたときにお札の顔が見えないようにしておけば大丈夫ということですね。
使うお札の種類
香典として使うお札に新札やピン札を使うのは避けましょう。なぜなら新札はおめでたい行事の際に包むものであるため、香典には向かないからです。最近ではあまり問題ない場合もありますが、それでも気になる方は一回折ってから入れるといいでしょう。
お札の枚数
お札の枚数にも気をつけなくてはいけません。理想的な数字は奇数で、特に1・3・5枚が良いとされています。なぜなら偶数は割り切れる数字のため、故人との縁が切れるということを想像させるからです。他にも「4=死」「9=苦」を連想させるため避けましょう。
最近では「4」以外であれば偶数でも良いとされている
上記で説明したように偶数は避けた方が良いとされてきました。
しかし、最近は2万円、6万円など偶数でも良しとなってきています。ご遺族は香典返しや会食などの負担があるからというのが理由です。
袱紗(ふくさ)の色
お金を香典袋に入れてそのまま渡すことはしません。「ふくさ」や布に包んで渡すのが一般的です。ふくさは、お金を汚さないようにするという習慣から使われおり、冠婚葬祭の際にはほぼ使用するので普段から持っておきましょう。
ふくさは「お祝い事用」「お悔やみ事用」の二つに分けられます。使い分けは色で決まるので、間違えないようにしておきましょう。
お祝い事用の場合
お祝い事では以下のような明るい色を使います。
・赤色
・オレンジ色
・朱色
・ピンク色
お悔やみ事用
反対にお悔やみ事の際は以下のような落ち着いた色を使います。
・青色
・緑色
・紺色
・鼠色
・紫色
・藍色
・灰色
・うぐいす色
ちなみに紫色は慶弔兼用であるため、どちらでも使用できます。
ふくさの包み方
では実際に香典袋をふくさに包む際はどのようにすればいいのでしょうか?基本的な包み方は以下の通りです。
①ふくさをひし形に広げ、中央からやや右側に香典袋を置く。
②香典袋の右側を折り込み、下側→上側→左側の順番で折り込む。
左からたたむとお祝い事用になるので、必ず右からたたむようにしましょう。
ちなみにふくさにはいくつかタイプがあります。基本の包み方はほぼ同じですが、若干異なる特徴があるので覚えておきましょう。
〜爪付きふくさ〜
最もポピュラーといわれるふくさです。四角い布状で、ふくさがほどけないように留め具が付いています。包み方は基本的に上記と同じです。留め具があるかどうかの違いですね。
〜台付きふくさ〜
香典を乗せるための小さなお盆が付いているタイプです。お盆は両面使えるので、お祝い事ではオレンジ色側を表に、お悔やみ事では黒色側を表にします。この上に香典袋を乗せて左開きになるように包みましょう。
受付で渡すときは香典袋だけを渡します。もしご遺族に直接渡す場合は、ふくさを開きお盆の上に香典袋を乗せた状態で差し出しましょう。
〜金封ふくさ〜
袋状になっており、香典袋を包みやすい形になっているふくさです。芯が入っているので型崩れなく包むことができ、お財布のように使えます。難しい包み方がないので、主にこれを使う方も増えているそうです。
しかし簡易式なので、目上の方や金額が大きい場合には別のタイプを使うのが無難でしょう。
香典のマナーについては「葬式の香典を完全解説!マナー・金額相場・書き方・渡し方を紹介!」「お通夜のマナーとは? 服装や香典マナー、流れを喪主側参列者側で徹底解説!」の記事もご参考ください。
香典を渡すタイミング
ふくさの包み方だけでなく、香典の渡し方やタイミングにも気を配らなくてはいけません。故人への敬意を示すのはもちろんですが、お祝い事の場合と同じ渡し方になってしまっては失礼です。しっかり覚えておきましょう。
香典は渡すタイミングは「通夜」「葬式」「告別式」のどれかが一般的です。香典を何度も渡すことは、不幸が重なることをイメージさせるため必ず一回で渡しましょう。
一般的には通夜でお渡しする
基本的には一番初めに参列する通夜で渡しますが、急なことで香典を用意できない方もいるかと思います。その場合は葬式や告別式で渡しても問題ありません。
通夜以降全てに出席するのが理想ですが、もちろん仕事の都合などで難しい場合も考えられます。そのときは自分が参列したタイミングで渡しましょう。
受付が設置されていない場合
ちなみに受付で渡すことが多いですが、通夜では受付が設置されていない場合もあります。そのときはご遺族に直接渡すか世話役の方に渡すといいでしょう。
香典の渡し方
香典の渡し方は「通夜や葬儀で渡す場合」「後日渡す場合」「郵送で渡す場合」とで作法が違います。
通夜や葬儀で渡す場合
受付がある場合は、受付で香典を渡します。自分の順番になったら記帳を済ませ、受付の方に一礼してお悔やみの言葉を述べましょう。
お悔やみの言葉を言う場合
お悔やみの言葉は「この度はご愁傷様です」「この度はお悔やみ申し上げます」などです。端的に故人を弔う気持ちを伝えるために、手短に済ませましょう。
ただし、宗派によっては使えない言葉もあるので注意が必要です。例えばキリスト教やイスラム教、浄土真宗などでは「ご冥福をお祈りいたします」は使いません。
これは宗教によって死後の世界への解釈や教えが異なるためです。そのため「死後の世界での幸福を祈る」という意味を持つ言葉は好まれない場合もあるので覚えておきましょう。
他にも「たびたび」「重ね重ね」「再び」「次々」「迷う」などは、不幸が重なることをイメージさせるため使わないのが無難です。
お悔やみの言葉については「亡くなったときにかける言葉は?お悔やみの言葉の基本から注意点まで徹底解説!」「本当にいいの?お悔やみの言葉をメールで送る際の注意点を徹底解説!」の記事もご参考ください。
香典を渡すときのマナー
以上の点を考慮しながらお悔やみの言葉を述べつつ、香典を渡します。このとき香典袋をそのままの状態にしておくことは避けましょう。あらかじめふくさで包んだまま持参し、渡すときに香典袋を取り出すのがマナーです。
取り出すときは、右手にふくさを置き、左手でふくさを開いて香典袋を取り出します。渡すときは、受付の方から見て名前が読めるように渡しましょう。
受付が設置されていない場合
受付が設置されていない場合は、喪主やご遺族に直接手渡すか、御霊前にお供えします。ご遺族に渡す場合でも作法は受付の時と同じです。
受付の方に関してはもしお悔やみの言葉が無くても失礼にはなりません。しかしご遺族に直接手渡す場合は必ず一言添えるのがマナーです。
御霊前にお供えする場合は、表書きをこちら側に向ける形で置きましょう。
後日渡す場合
特に遠方ではないが仕事の都合で行けないという場合も考えられます。そのときは自宅へ弔問した際に渡しましょう。
いきなり訪問するのはご遺族の負担になることもあるため避けるべきです。事前に迷惑にならない時間帯を確認し、日程調整をしておきましょう。
この時に、通夜や葬儀に行けない旨をお詫びするのがいいですね。この弔問もあまり長居しないように心がけましょう。
郵送で渡す場合
遠方の場合や参列者が高齢であるため、どうしても行けないことも考えられます。
現金書留を利用する
そのときは香典を現金書留で送りましょう。
送り先は喪主の自宅に設定します。多忙だとしても、可能な限り早めに弔電を送り1週間以内には届くようにしましょう。
できれば手紙も添える
また、香典と一緒に手紙も添えておきます。お悔やみの言葉だけでなく、参列できない理由とそのお詫びをする旨も書いておきましょう。
お悔やみの言葉を書く際は、先述した不幸が重なるイメージを持たせる言葉は使わないようにします。ちなみに、もし後日弔問が可能ならその旨も書いておくといいですね。
>>香典を郵送で送る際には手紙を添える?香典を郵送する際の注意点から手紙を添える方法を徹底解説!
香典は葬儀から1ヵ月以内にはお渡しする
葬儀に参列できなかった場合、香典をお渡しするのは遅くとも1ヵ月以内にはお渡しできるようにしましょう。何カ月も先になってしまわないように気を付けましょう。
香典に関するマナー
上記でご紹介した以外にも、要所要所で細かいマナーがあります。知らないうちに失礼を働かないように確認しておきましょう。
香典袋を選ぶ時のマナー
香典袋の選び方
香典袋を選ぶ際は、金額と袋のバランスがとれているものを選びましょう。香典の金額がそれほど多くないにも関わらず、香典袋は豪華なもの……というのはマナー的にもよくありません。
香典の金額が5千円以下であれば、水引がプリントされた略式袋を。5万円以下であれば、水引が付いている袋、それ以上の金額であれば双銀の水引が付いたものなど、バランスを合わせましょう。
香典袋の柄
蓮の花が描かれた香典袋は、宗派が仏式の時のみ使えるので注意しましょう。プロテスタントの場合は十字架、カトリックの場合はユリか十字架が描かれたものが適切です。
迷ったら、どの宗派でも使える無地の香典袋を使いましょう。
水引の色
水引きの色は黒白が適切です。黒色は悲しみを表現する一番深い色のため間違えないようにしましょう。
結び方は、不幸がこれ以上起きないでほしいという願いを込めて「結び切り」が使われます。これはどの宗派でも同じなので覚えておきましょう。
黄白色の水引について
関西や北陸では黄白色の水引が使われます。ただし、この黄白色の水引は、法事・法要のときに限られます。葬儀や告別式、通夜などでは使用しませんので、間違えないように気を付けましょう。
香典を包むときのマナー
最低でも3千円は包む
個人で包むときも連名で包むときも、最低でも一人あたり3千円は包みましょう。なぜならこれ以下の金額では、ご遺族の方が出す通夜料理や香典返しの方が高くなる場合があるからです。
上司よりも高くならないように注意
ただし会社関係で連名にするときは、上司よりも高い金額を包まないように注意してください。
あまりに高額な香典は入れないようにする
香典はあまりに高額な金額は避けるべきです。確かに香典には遺族の経済的負担を軽減させる意味合いがありますが、香典返しなどでお返しする必要もあるからです。高額であれば良いほど喜ばれるというものではありませんので、注意しましょう。
「4」と「9」の数字は避ける
お札の枚数と同様に、包む金額を「4」と「9」が入ったものにするのは避けましょう。
孫であっても成人していれば香典を用意する
自分の親の葬儀であっても、喪主でない限りは香典を出すのがマナーです。祖父母の場合は、孫が成人しているなら香典を出します。
さらにお気持ちを示したいときのマナー
香典を複数回に分けて渡すのは厳禁です。しかしどうしても上乗せしたいと思ったら、四十九日の際などにお供え物や供花を送りましょう。これだとご遺族に香典返しなどの心配りをさせずに済みます。
お供え物については「一周忌とは?意味・香典・お布施・お供え・マナーを完全解説!」「供物とは?意味と葬儀・法要での正しい贈り方と相場!」
供花については「知らないと恥をかく!供花の手配方法や相場を徹底解説!」「供花の手配方法!供花の意味と費用相場と宗教ごとのマナーを紹介!」
をご参考ください。
香典袋の書き方に関するマナー
代理で出席した場合
代理で出席している場合は表書きの書き方を少し変えます。妻が夫の代理で参列する場合、夫の名前の左下に「内」と書きます。
上司の代理の場合は、社名と上司の名前の左下に「代」、会社を代表している場合は「社名と代表者氏名」を書きましょう。
連名でお渡しする場合
連名の場合は最高3名まで名前を水引きの下に書けます。それ以上の数の場合は、代表者の名前の左下に「外一同」と書きましょう。
そして中袋に全員の名前、住所、それぞれの金額を書きます。これはご遺族が香典返しを送る際に、送り先の確認に時間を取られないようにする配慮です。
香典袋の渡し方に関するマナー
あまり親しくない間柄の参列者の代理として香典を預かるのは場合によっては大丈夫です。ただし親しい友人や家族の代理で香典を預かるのはマナー違反なので注意しましょう。
香典返しを辞退するときのマナー
ご遺族の負担軽減を考えたり、連名で香典を包み個人では少額になった結果、香典を辞退するケースも増えてきています。これ自体は失礼なことではありませんが、きちんと文面でその旨を伝えましょう。
書く場所は、香典袋の裏側やお金を入れる封筒(中袋)の裏側などで大丈夫です。文面は「香典のお返しはご無用に願います」など、丁寧に書きましょう。
口頭だけでは社交辞令の可能性もあるため、ご遺族が戸惑ってしまいます。そのため必ず文面で残すことが大切です。
香典返しについては「香典返しのマナーを完全解説!相場・時期・挨拶状・例文・品物も紹介!」の記事もご参考ください。
香典を包まなくても良いケース
基本的に成人している場合であれば、香典はお渡しするべきですが香典をお渡ししなくても良いケースもあります。
喪主の場合は香典は包まない
自らが喪主を行った場合は、香典は渡しません。例え亡くなったのが同居していない家族だったとしても同様です。
故人と同居していた場合は、一般的には包む必要はありません。ただし、地域や風習によっては同居していた家族が亡くなった場合も香典を包むこともあります。
香典を辞退している
現代は家族葬などの通夜や葬儀の形が増えてきた影響で、香典を辞退するケースも増えてきています。その理由は「故人の遺言」「参列者に負担をかけたくない」「葬儀を簡略化したい」など様々です。
そういった場合はご遺族の気持ちを尊重し香典の持参は控えましょう。無理に渡しても逆に負担になる場合もあります。
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香典の相場に関する知識のまとめ
以上が香典の相場とそれを渡すまでの流れです。ポイントを簡単にまとめておきましょう。
【香典の相場】
●香典の相場は、故人との関係性や参列者の年齢で決まる。関係の深さなども考慮してお金を包むことが大切。多少上乗せすることは問題ない。
【香典袋の表書き】
●故人の宗派を考慮し、香典袋の表書きにはふさわしいものを書く。個人ではなく連名などで出す場合もマナーを守って書く。
【香典の渡し方】
●お札の種類や枚数、ふくさの種類も考慮しながら包む。
●香典は一番初めに自分が参列した時点で渡す。
●言葉遣いに注意し、お悔やみの言葉を述べながら渡す。やむを得ず後日渡す場合や郵送でもマナーを守る。
通夜や葬儀は故人と最後にお会いできる場所。生前お世話になった方へお別れを告げるのは寂しいですよね。
しかしご遺族はさらに大変な思いをされています。香典は故人を偲ぶと共に、そのようなご遺族の手助けとなるように渡すものです。
きちんとマナーを守って包み、故人を気持ちよく送り出してあげましょう。
香典に関する記事の一覧
<香典の相場や渡し方、マナーについて>
・香典を完全解説!意味・歴史・金額相場・書き方・包み方・渡し方を解説!
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール