合掌とは?よく聞く「合掌」の作法やポイントについて徹底解説!
日本では、仏教を信仰する家が多いことから、合掌という行為が自然と生活に馴染んでいる傾向にあります。小さい頃から大人の真似をして、食事をいただく前であったり、お墓の前や仏壇の前で手を合わせたりすることを当たり前のように身につけた人も多いのではないでしょうか?
この記事では、私たちの生活に密接に関係している合掌について、実はあまり知られていない作法やポイントについて徹底的に解説していきます。
合掌とはなにか?
合掌とはなにか、まずは合掌の持つ意味や実際に行うシーンについてご紹介していきます。
合掌の持つ意味
合掌とは、胸や顔の前で両手の手のひらを合わせる行為です。日本では、葬儀やお墓参り、仏壇の前で手を合わせる際に行うことが一般的です。
合掌の発祥地
合掌は元々インド発祥で、仏教が日本に伝わるのと同時に浸透していきました。右手は仏を象徴すると言われており、知性と清白さを表しています。
一方で左手は、生きとし生けるものや、不浄のある自分を表しています。この二つの手を合わせることで仏様と一体になることができ、成仏を願う意味合いになると言われています。また、合掌には敬意を示す意味合いもあり、アジアなど他の国では、挨拶の時に合掌をすることもあります。
合掌の種類
なお、合掌の種類には、「堅実心合掌(けんじつしんがっしょう)」、「虚心合掌(こしんがっしょう)」 、「金剛合掌(こんごうがっしょう)」の3種類があります。
堅実心合掌(けんじつしんがっしょう)とは?
堅実心合掌は、最もオーソドックスな合掌と言われており、両手の手のひらとそれぞれの指を隙間なくぴったりとくっつける合掌です。純粋で嘘のない祈りの気持ちを表していると言われています。
虚心合掌(こしんがっしょう)とは?
つづいて、虚心合掌は、堅実心合掌と同様、手のひら同士を合わせますが、その際に少しだけ隙間をあけるようにします。純粋無垢な心を表していると言われています。
金剛合掌(こんごうがっしょう)とは?
そして、3つ目の金剛合掌は、右親指が一番上に来るように、指を少し開いて、指同士を交互に合わせるようにします。仏や神へのより強い信仰を表すと言われています。
日常で行われる合掌と葬儀での合掌の違い
合掌は葬儀の時だけ行われる行為ではありません。
食事の前の合掌
たとえば、日本においては、例えば食事の前の「いただきます。」の時と、食事を終えた後の「ごちそうさまでした。」など、日常の何気ないシーンにおいても使用されています。この際の合掌では、命をいただく感謝であったり、挨拶の意味で使用することが一般的です。
葬儀で行う合掌
一方で、 葬儀で行う合掌は、「仏様の世界へと故人が無事成仏できますように」という願いの意味が強く現れています。つまり、成仏できることを故人に対して祈るだけではなく、仏様へ故人の成仏をお願いするために合掌するということです。
礼拝とは?
礼拝とは、仏様や神様を拝むことです。仏教では「らいはい」と呼び、キリスト教やイスラム教などでは「れいはい」と呼びます。
仏教での合掌礼拝
仏教においては礼拝と言うと、合掌礼拝のことを指すことが一般的です。合掌礼拝は、仏様に向かって数珠を持ちながら合掌をし、念仏を唱えながら軽くお辞儀をする行為です。
もし、初めて行う方であれば、具体的な作法がわからないかもしれません。そういった場合には、あらかじめ礼拝の前に親しい人に確認しておくか、もしくは周囲の人を真似しながら行うのでも良いでしょう。なお、仏教における礼拝は、仏様に対してお礼をするという意味があり、お祈りとは若干意味合いが異なるので注意が必要です。
仏教以外の礼拝
一方で、仏教以外のキリスト教やイスラム教など他の宗教における礼拝とは、主に祈祷を意味します。キリスト教の場合、「日曜礼拝」が毎週日曜日に教会で礼拝が行われます。礼拝の一連の流れとしては、讃美歌から始まり、挨拶とお祈り、聖餐式(パンとぶどうジュースを分けてもらう)、献金を行い、説教で締めくくられます。
イスラム教では、1日に5回メッカの方向を向いて礼拝をします。礼拝の時間は、夜明け、昼、午後、日没時、夜と決められており、手足や鼻、耳までを水で清めてから礼拝を行います。
合掌の作法
合掌はなんとなく手を合わせればいいと思っている人もいるかもしれませんが、正式な作法があります。ここからは、合掌の具体的な作法についてご紹介していきます。
合掌の方法
合掌は、両手の手のひらをそっと合わせ、親指以外の4本の指が前方を向くようにします。この時に指と指の間に間隔ができないよう気をつけましょう。角度としては45度程度が目安です。
なお、合掌には座って行う座拝と、立ちながら行う立拝があります。座っているか立っているかの違いですが、座る場合はきちんと正座をし、立つ場合には姿勢をただして、合掌をする際には45度ほど上体を傾けましょう。
数珠を持っている場合は、左手の親指で持ち、右手を添える持ち方と、両親指に数珠を引っ掛けて、そのまま両手を合わせる方法があります。合掌を終えた時には、数珠の房と呼ばれる部分を下にし、左手で持って移動するようにしましょう。
合掌を行う際のポイント
改めて、合掌を行う上での手順やポイントについてまとめていきます。そもそも、合掌に関しては宗教宗派によって意味合いも異なるのですが、所作としては静かな振る舞いが共通ルールです。
合掌を行う姿勢
全身の力を抜き、肩や肘などに変に力を入れすぎないようにします。脇は広げずにしめて、あごは少し引いて立つと綺麗に見えます。手を合わせる時には、指と指の間に変に空間を作ったりせず、自然とピッタリ合う箇所で手のひら同士を合わせます。この時に手は胸にくっつけるのではなく、少し離して余裕をもたせておくとより自然でしょう。
さらに、合わせた手と一緒に頭も少し前方に傾けて、目を静かに閉じます。できるだけ心を穏やかにリラックスさせながら、手を合わせて、故人への弔いの気持ちと仏様へのお祈りを心で唱えましょう。
自分の所作に自信がない場合は、周りの人の様子を伺い、真似をしてみるのをおすすめします。合掌において重要なポイントは、仏様や故人への挨拶であったり、敬意や感謝を示すものであることを忘れないようにしましょう。
合掌を行う際の注意点
合掌を行う際に注意すべき点としては、宗派によって所作などに少し違いがあるので注意が必要です。宗派ごとにポイントをまとめていきます。
真言宗
●数珠の玉の数が108個ある長い数珠を二連にして使用する(略式のものでも可)
●数珠は両手の中指にかけ、3回数珠をこすり合わせる
●数珠をかけた状態で合掌をする
●読経の際には、数珠は左腕にかけておく
>>真言宗はどんな戒名をつけるの?戒名の意味から真言宗の戒名の特徴、生前戒名まで徹底解説!
浄土宗
●2つの輪が交差した数珠を使用する
●数珠の2つの輪を両親指にかけて合掌する
●数珠についている房は指の手前側に下ろす
>>戒名とは?浄土宗の戒名の特徴から他宗の特徴、生前戒名まで徹底解説!
浄土真宗
●2つの輪が交差した数珠を使用する(厳密な決まりはなし)
●数珠は両親指にかけて合掌する
●合掌の際に「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と唱える
天台宗
●数珠の玉の数が108個ある長い数珠を二連にして使用する(男女で玉の大きさに違いあり)
●数珠は人差し指と中指の間にかけ、それを合わせて合掌する
●数珠についている房は下に垂らしておく
●読経が終わるたびに一度数珠を擦り合わせて鳴らす(最後は3回鳴らす)
禅宗
●数珠の玉の数が108個ある長い数珠を二連にして使用する
●数珠は左手の親指に挟み込み、右手を添えて合掌する
●数珠についている房は下に垂らしておく
上記のように宗派によって合掌までの手順が異なるため、注意しておきましょう。また、合掌はお祈りの意味合いだけではなく、本来は仏様への敬意や感謝の気持ちを示すものであることを忘れないでおきましょう。
もちろん「故人が無事に成仏できますように」という祈りの気持ちも含まれていますが、合掌の本来の意味を押さえておくことも作法を知る上では重要です。
宗派ごとの弔事の違いについては下記記事もご参考ください。
・後悔しない祭壇の選び方:意味と宗教ごとの祭壇と相場を解説!
・前もって理解しておこう!葬儀の種類や宗教ごとの違いを解説
仏教以外の合掌
仏教以外の合掌に関してもまとめていきます。宗派によっては合掌の意味合いが異なってくるため、知識として頭に入れておくと良いでしょう。
神道
神道においては、手を合わせるだけでなく、拍手(かしわで)を打つのが特徴的で、主に神社への参拝の際にする行為です。
参拝の作法
ちなみに、この参拝の時の作法としては、「二礼二拍手一礼」です。まず最初にお賽銭箱へとお賽銭をそっと置くように入れ(投げるのはNG)、鈴を優しく鳴らし、神様をお呼びしてから2回お辞儀を繰り返します。お辞儀の角度の目安としては、90度程度で、深く丁寧に行うと良いでしょう。
2回お辞儀が終われば、2回ゆっくりと拍手を打ってから、手を合わせてお祈りをします。ちなみに、拍手には神様に対する敬いの気持ちを表していると言われています。拍手を打つ際には、右手を下へ少しずらして打つ行為は、神様から一歩引いた立場であること、へりくだりを意味しています。
そして、最後に1回お辞儀をしてお参りの一連の流れは終わりとなります。
神道(神式)については下記記事もご参考ください。
・神社のお葬式とは?神道のお葬式の流れから作法まで完全解説!
・神式葬儀の流れとは?仏式との違いや基本的なマナーについても解説
キリスト教
キリスト教においても神様に対するお祈りを表現するポーズがあります。ただし、仏道や神道の時の合掌のように手の平同士を合わせるのではなく、両手のそれぞれの指を交差させ、握りしめて手を合わせます。
キリスト教で手を合わせる意味
ちなみに、キリスト教における手を合わせる行為の意味としては、神様に対して現世での行いに関する救いを求め、さらにそれらに対する許しを乞うことにあります。したがって、キリスト教の場合は祈りは神様とコミュニケーションを取る場面でもあるため、時間としては仏教や神道よりも長くなることが一般的です。
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合掌についてのまとめ
「合掌」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。
【合掌とはなにか?】
●合掌とは、胸や顔の前で両手の手のひらを合わせる行為
●日本では、葬儀やお墓参り、仏壇の前で手を合わせる際に行うことが一般的
【合掌の種類】
●堅実心合掌
-最もオーソドックスな合掌と言われており、両手の手のひらとそれぞれの指を隙間なくぴったりとくっつける合掌
●虚心合掌
-堅実心合掌と同様、手のひら同士を合わせますが、その際に少しだけ隙間をあけるようにします。
●金剛合掌
-右親指が一番上に来るように、指を少し開いて、指同士を交互に合わせるようにする
【日常で行われる合掌と葬儀での合掌の違い】
●食事の前の合掌
-この際の合掌では、命をいただく感謝であったり、挨拶の意味で使用することが一般的
●葬儀で行う合掌
-葬儀で行う合掌は、「仏様の世界へと故人が無事成仏できますように」という願いの意味が強く現れている
普段何気なく行っている合掌がどういう意味を持つかお分りいただけましたか?合掌はもともと仏教とともにインドから日本に伝来したものですが、現在も仏教を信仰する家庭が多い日本にとって、知らず知らずのうちに馴染み深いものになっています。
日本において合掌は、食事の前後であったり、葬儀やお墓まいり、仏壇に手を合わせる時に自然と行うことが多いですが、もともとの合掌の意味は、「敬意」「感謝」です。故人を思う気持ちのほか、仏様への敬意や感謝を示すものとして、合掌は存在しているのです。
ちなみに、本場のインドであれば「ナマステ」という挨拶とともに合掌をするなど、挨拶として使用されているケースもあります。国や宗教、宗派によっても合掌の際の作法やポイント、意味が少しずつ異なってくるため、改めて確認してみるとよいでしょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール