仏教のお葬式と何が違うの?無宗教で行うお葬式
皆さまはお葬式と聞くとどのような光景をイメージをしますでしょうか?おそらく、お寺さまが通夜と葬儀に呼ばれ、お経を行う中で御焼香を行うお葬式のイメージが多いと思います。たしかに日本人の8割から9割は「仏教」でのお葬式と言われており、このイメージが定着しているのではないでしょうか。
一方宗教にとらわれず、個々の考えでお葬式やお別れを行いたいという考えも増えてきております。今回は「無宗教形式」のお葬式について、お伝えさせて頂きたいと思います。
無宗教とは?
「無宗教」とは特定の宗教を信仰していないことを指します。仏教や神道をはじめ、世界にはキリスト教やイスラム教、ヒンズー教など多種多様な宗教があり、信仰の形もそれぞれ異なります。
無宗教者は信者が多い少ないに関係なくどの宗教も信仰していない人のことをいいます。
日本は無宗教者が多い
日本では特定の宗教を信仰している人の割合が諸国に比べて少ない傾向にあります。日本人が無宗教者が多いのは、下記理由があげられます。
理由①独特の宗教感の為
日本では、お正月には神社にお詣りをしたりクリスマスにはキリスト教の行事であるクリスマスを行うなど、特定の宗教を信仰していません。
理由②お寺との関わりが薄れている為
昔は必ず寺院の檀家になることが定められていました。しかし、現代では、お寺との関わり合いが全くないという人も珍しくありません。
>>檀家とは?最近あまり聞かなくなった檀家制度について、その由来から長所短所まで徹底解説!
無宗教であっても葬儀を執り行うことは可能
宗教的な意味合いが強い葬儀ですが、無宗教者であっても葬儀をおこなうことは可能です。無宗教葬での葬儀は、僧侶により読経や焼香をおこなわないなど、自由に選ぶことができます。その為、無宗教葬は「自由葬」と呼ばれることがあるのです。
無宗教葬であることのデメリット
自由に葬儀形式を選ぶことができる無宗教葬ですが、選ぶことでトラブルになることもあり得ます。
親族とトラブルになる可能性がある
年配の方の中には、通常の仏式葬儀を行わないことに嫌悪感を示す方もいらっしゃいます。特に、日ごろからお寺との関りあいの深い方にとっては、僧侶の読経を行わないといったことは抵抗感がある可能性が高いです。トラブルを避ける為にも、無宗教葬を行うことの理由(故人が望んでいた……など)を事前にしっかりと伝えましょう。
納骨を拒否される可能性がある
先祖代々のお墓がお寺にあり、そこでの納骨を考えている場合は、お寺や僧侶を呼ばない無宗教葬では納骨を拒否される可能性があります。こちらも事前にお寺に相談するか別の納骨先を検討するなど、事前確認が必要となります。
無宗教の方の納骨方法として、散骨などの方法もあります。
無宗教については下記記事もご参考ください。
・無宗教葬儀を完全解説!流れ・費用・マナー・供養方法を紹介!
無宗教の葬儀「無宗教葬」
一言で言うと、形にとらわれない自由な形のお葬式を指します。
特定の宗教・宗派の葬儀の方法ではなく、自由に内容を組み立てて行うお葬式です。近年この無宗教葬を希望する方も増えており、新しい形の葬儀として注目をされておりますが、いくつか注意をすることも必要となります。
無宗教葬ではどんなことをするの?
宗教に拘らずに自由に行いたいので無宗教葬をしたいという方は一定数いらっしゃるのですが、いったいどのようなことをするのかまでは、わからない方が多いのではないでしょうか?
自由にしてもいいと言われても、普通の人は思いつきません。そこでいくつか例を出していきましょう。
無宗教葬でおこなうことの例
●故人に対して黙祷
●思い出のスライド写真を作成し故人を偲ぶ
●お好みの曲を演奏にあわせて歌う
●楽器の演奏をする
など、色々な方法がございます。決まった形がないために、ある程度ご遺族が行いたいことを担当者に伝えて頂く必要があります。
無宗教葬を行うのに必要なもの
無宗教葬では、故人の個性を重要視して、故人がどのような方であったのかを参列をして頂いた方にしっかりと伝える必要があります。しかし、故人のことを伝えるためにはご遺族はどのようなものを準備されるのでしょうか?
個性ある祭壇
無宗教葬の場合、仏教等を気にしていないため、ほとんどの場合、生花祭壇を選択されます。この生花祭壇にお花をさらにプラスして、個性ある生花祭壇を準備されるかたもいます。
好きな花の種類や色・趣味をイメージした祭壇・経営者であれば会社のロゴなど祭壇そのものにアレンジを加えることもできます。
祭壇については下記記事もご参考ください。
・後悔しない祭壇の選び方:意味と宗教ごとの祭壇と相場を解説!
・葬儀の祭壇はどう選ぶ⁉︎葬儀に使用する祭壇の種類について
故人の写真
出来る限り多くの写真が必要となります。故人の幼少期から大人を経て、最近撮られたお写真までどのようなお姿、人生であったかが一番わかる媒体です。
>>遺影写真の原稿で悩まないようにするには
故人の好きだった音楽
故人が好きでよく聞いていた音楽を式場に流すことは多く、故人が聞いていた音楽は思い出の記憶としてご遺族に残ることになります。
手紙
故人へ向けての手紙です。通夜・葬儀の中で故人に向けてのお別れの言葉を述べて頂く際に必要です。もちろん、そのままお棺に納めるという形で弔う方もいらっしゃいます。
お悔やみについては下記記事もご参考ください。
・身近な人が亡くなった時にかける言葉は?お悔やみの言葉を伝える手段から伝える際のポイント、例文まで完全解説!
・突然の訃報にどうする?弔問できない際のお悔やみの手紙の書き方や注意点を徹底解説!
・お悔やみの言葉はどう伝えればよいの?お悔やみの言葉を伝える際の注意点を例文を交えて完全解説!
故人の愛用品・洋服
故人がよく使用していた仕事道具や趣味道具、お召しになっていた洋服を持参して頂きます。出来るだけ数が多い方がよく、故人が生前どのような仕事や趣味、服装をしていたのかを感じることができます。
>>死装束とは?意味と着せ方と注意点を徹底解説!
最近ならでは…故人の動画
生前の故人が写っている動画があると遺族や参列をされた方の反応がやはり違います。生前の故人の肉声は予想以上に人々の心に残ります。中には生前に家族に対して、メッセージを残される方もいらっしゃり、動画が手軽になった時代だからこそ思いを伝える良い方法ではないでしょうか?
そして写真や動画から発展し、最近では「自分史」を作成される方までいらっしゃるようになりました。個性を重視し、生きた証を残す時代になったからこそ、このような準備をされる方もいらっしゃいます。
参列を行う側:無宗教葬ではどのようにお参りをする?
参列を行う側は無宗教葬では「どのようなお参り」を行えば良いのでしょうか?
焼香ではなく、献花でのお参りが多い
特に参列を行う側としては、仏教での焼香が献花でのお供えに替わるくらいです。中には焼香で手を合わせて、お参りをしてもらう無宗教葬のお葬式もございます。
特に宗教色がありませんので、献花でも焼香でもどちらでも良いとされております。
献花の場合の作法ですは、お花を葬儀社スタッフから受け取ったあと、祭壇側に茎をむけてお供えをしましょう。
弔事での花については下記記事もご参考ください。
・供花の手配方法!供花の意味と費用相場と宗教ごとのマナーを紹介!
・知らないと恥をかく!供花の手配方法や相場を徹底解説!
・枕花とは?枕花の贈り方から贈る際の注意点、枕花に用いる花の種類まで徹底解説!
無宗教葬儀に参列する際の服装と持ち物
無宗教葬儀に参列する際の服装と持ち物についてご紹介します。喪主から服装や持ち物について特別な連絡がない限りは、基本的には一般葬に参列する際と同じ服装や持ち物で問題ありません。
服装
男性、女性共に黒を基調とした準喪服を着用します。服だけでなく、靴や鞄なども黒で統一しましょう。
弔事での服装については下記記事もご参考ください。
・お通やの服装は?急な訃報に準備が必要なお通やの服装についてマナーや準備方法などを完全解説!
・急な葬儀での服装はどうする?注意点の多い女性の喪服を徹底解説!
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持ち物
持ち物も一般葬で持っていくもので問題ありません。具体的にはハンカチ、財布、数珠、香典などです。
数珠を持って行くか迷う方も多いと思いますが、無宗教葬であっても数珠が必要になる場合がありますので、念のため持参しておきましょう。
香典
こちらも持ち物と同様に、香典辞退の連絡がない限りは必ず持参しましょう。香典相場は、故人との関りあいの深さにより異なりますが、5千円~3万円ほどが相場となります。
香典については下記記事もご参考ください。
・香典金額の相場を完全解説!地域別の金額・書き方・包み方・渡し方も紹介!
・香典の書き方は?しっかり確認したい香典袋の書き方や香典に関するマナーを完全解説!
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無宗教での供養について
前述したように、宗教的な意味合いを持たない無宗教ではお寺に納骨を断られる場合があります。その為、しっかりと供養先の確認と確保をしておく必要があります。下記に無宗教であっても可能な供養方法についてご紹介します。
海洋散骨
ご遺骨を粉末状にし、海に撒く散骨方法です。お墓を購入する必要がなく無宗教者であってもおこなうことができます。ただし、場所によっては散骨が禁止されていたり、散骨をおこなう上でのマナーも存在します。個人ではなく専門業者への依頼が確実です。
海洋散骨については『やさしい海洋散骨』でもご相談を受け付けております。ご家族に代わり散骨する「代理プラン」、少人数で散骨をする「合同プラン」、船を貸切る「貸切プラン」や「ペット散骨」などからお選びいただけます。オプションでは手元供養のお骨壺や遺骨リングなども作成可能です。
海洋散骨については下記記事もご参考ください。
・海洋散骨を徹底解説!注意点・マナーや費用相場、提供事業者まで一気に解説!
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・海洋散骨にかかる費用は?散骨方法・自分で行う際の費用相場と流れを完全解説!
樹木葬
墓石の代わりに樹木の下に埋葬する樹木葬も最近人気の供養の方法です。海洋散骨と同様に、お墓の管理がいらないことやコストがそれほどかからずに行えるなどのメリットがあります。
樹木葬については下記記事もご参考ください。
・最近人気の樹木葬とは?その歴史や種類から費用相場や注意すべきポイントまで徹底解説!
・木や樹に関するお葬式を聞いたことがありますか?近年人気の樹木葬について、特徴や長所短所を徹底解説!
無宗教葬を行う際の費用
無宗教葬をおこなう際の費用ですが、一般的な葬儀と違い自由にカスタマイズが可能な無宗教葬では費用相場を出すことが難しいです。ただし、どんなに質素な無宗教葬であっても最低限、火葬は行わなければいけません。その為、火葬のみをおこなう直葬(火葬式)の費用が最低限、かかる費用と考えても問題ないでしょう。
直葬(火葬式)については下記記事もご参考ください。
・直葬(火葬)の費用を完全解説!相場・流れ・メリット・デメリットを紹介!
・火葬(直葬)の費用を完全解説!相場・内訳・費用を抑える方法を紹介!
・葬式をしないことは可能なのか?儀式を行わない直葬という選択肢を完全解説!
どのような方が無宗教葬に向いている?
いったいどのような方が無宗教でのお葬式に向いていると思いますか?以下一例となります。
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●家族や親戚が決まった宗派に所属しておらず、無宗教葬の理解が得られやすい方
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●無宗教葬で行うことに抵抗がなく、気持ちの心残りやわだかまりがない方
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状況によっては勝手に無宗教葬を行ってしまい、のちの葬儀・お墓に関するトラブルになったという事例も少なくありません。だからこそ慎重に葬儀会社も確認を行います。
最終的にはやはりどのような形でお葬式を行いたいのか、家族の意思が大事となります。
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まとめ:「宗教者を呼ぶ」葬儀
「無宗教で行う」葬儀 どちらも大事な弔い方
「無宗教のお葬式」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。
【無宗教葬とは?】
●「無宗教者」とは特定の宗教を信仰していないことを指す
●無宗教葬では、自由に葬儀形式を選ぶことができる
【無宗教葬を行うデメリット】
●通常の仏式葬儀を行わないことに嫌悪感を示す方もいる為、親族とトラブルになる可能性がある
●お寺や僧侶を呼ばない無宗教葬では納骨を拒否される可能性がある
【無宗教葬ではどんなことをするか?】
●故人に対して黙祷
●思い出のスライド写真を作成し故人を偲ぶ
●お好みの曲を演奏にあわせて歌う
●楽器の演奏をする
●お別れの言葉を読む(弔辞)
●焼香の代わりに献花を行う
【無宗教葬を行うのに必要なもの】
●個性ある祭壇
●故人の写真
●故人の好きだった音楽
●手紙
●故人の愛用品・洋服
●故人の動画
【無宗教葬儀に参列する際の注意】
●焼香ではなく、献花でのお参りが多い
-献花の場合の作法ですは、お花を葬儀社スタッフから受け取ったあと、祭壇側に茎をむけてお供えをする
●無宗教葬儀に参列する際の服装と持ち物は一般葬と変わらない
●香典も一般葬と同様の金額を包む
宗教者を呼ぶお葬式も無宗教葬、どちらが優れているということはありません。家族の考えや状況でこれらはどちらを選択しても間違っておりません。
大事なことは故人がどのような形でのお葬式を希望し、家族が故人の意思と今後どのように行うべきかを真剣に考え、実行をすることです。
急に起こるお葬式に備えた対策や考えは事前に持っておくことが、お葬式で後悔をしない方法なのです。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
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