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エンゼルケアとは?聞いたことはあっても詳しくは知らないエンゼルケアについてその目的や内容を徹底解説!

皆さんはエンゼルケアという言葉をご存知ですか?エンゼルケアとは、人が亡くなってから行う死後の処置や死化粧の総称です。

感染症予防のほか、故人に対する尊厳や遺族のケアのために行うとされ、病院関係者が行なったり葬儀社に依頼することがあります。

この記事では、エンゼルケアの概要や具体的にはどのようなことをするのか、費用や注意点などについて詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

エンゼルケアとは?

エンゼルケアとは、人が亡くなった後に行う処置や着替え、死化粧などをまとめて指す言葉です。

死後処置や逝去時ケアなどの呼び名もありますが、今ではエンゼルケアという呼称が使用されるのが一般的です。

医療機関で亡くなった場合には看護師が、自宅で亡くなった場合には訪問看護師や納棺師などが行います。

エンゼルケアの役割

エンゼルケアは感染症対策や故人の尊厳を保護するためなどの理由がありますが、故人に対する最後のケアという意味で、重要な役割があります。

エンゼルケアは医療行為に当たらないので、必ずしも医療関係者しか行なってはいけない訳ではありません。

また、保有しておかなければならない資格や実務経験なども存在していないことが現状です。

遺体感染管理士の資格とは?

ただし、「有限会社 エル・プランナー」による「遺体感染管理士」と呼ばれる資格が存在します。

2021年6月現在の認定資格者の対象は、「看護師・介護福祉士・医療者・介護施設管理者を対象に勤務経験3年以上の方」になります。

エンゼルケアの意味

エンゼルケアは遺体からの感染症を予防したり、遺族や故人に対するケアを行うために必要な処置です。特に遺体については亡くなってから、遺族や葬儀社、斎場の関係者、僧侶など様々な方が関わります。そういった方々の安全を確保するために、エンゼルケアは行われます。

エンゼルケアを行う目的

それでは、エンゼルケアを行う目的はどのようなものが挙げられるでしょうか。

目的①感染症の予防

一つ目は感染症の予防という観点です。

遺体は死後間も無く細菌が活性化するため、放っておくと何らかの感染症を引き起こす可能性があります。

そのほかにも体内に残っている排泄物なども取り除いたり傷跡を塞ぐなどの処置を行う必要があります。

目的②個人の尊厳の保護

二つ目は個人の尊厳の保護があります。

長期にわたる入院で身体がやつれてしまっていたり、事故などで身体が傷ついていたりする場合には、できる限り生前の姿に近づけることで、故人の尊厳を保護することができるという考えがあります。

目的③遺族の心のケア

三つ目は遺族の心のケアがあります。家族の一人が亡くなったことで、遺族の方々は深い悲しみに包まれています。そのため、エンゼルケアを行うことで故人のために尽くすことができたという納得感などが生まれ、グリーフケアにつながると言われています。

このように、エンゼルケアには様々な目的があるため非常に重要な役割を担っています。

エンバーミングとの違い

エンゼルケアと混同されがちなものに「エンバーミング」というものがあります。

エンバーミングとは?

エンバーミング(embalming)とは、遺体を長期間(2週間前後)に渡って保存するための技術のことで、日本語では「遺体衛生保全」と訳されることが多いです。エンバーミングを行う人物は「エンバーマー」という資格が必要で、日本ではFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)という団体がエンバーミングの専門団体として存在します。

エンバーミングは遺体の長期保存が可能

エンバーミングでは遺体を殺菌・消毒することで感染症の原因である病原菌やウイルスを殺菌し、防腐剤などを投与して遺体の腐敗を遅らせます。そして大きな傷跡や治療痕を修復し、生前の姿にできるだけ近づけるように化粧を施します。

つまり、エンバーミングは遺体を長期間衛生的に保存するための技術で、エンゼルケアは遺族のケアや故人の尊厳の保護などを重視した施術になります。

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エンゼルケアの種類

エンゼルケアの種類には、医療行為として行うものと葬儀を行うためのものの2種類があります。それぞれエンゼルケアの内容自体はどのように違うのか、見ていきましょう。

医療行為としてのエンゼルケア

医療行為としてのエンゼルケアは、基本的に看護師だけで行うか、遺族の希望によっては看護師と遺族の合同で行います。

また、医療行為としてのエンゼルケアの目的は、死後の遺体と関わる様々な人々が安全に行えるためというものが挙げられます。

遺体は腐敗が進むことで異臭が生じ、病原菌が活発になることから敗血症(MRSA)や結核症などの感染症が発生することがあります。そのため、エンゼルケアを行い遺体を清潔にして感染予防対策が行われます。

そのほかにも遺体を故人の尊厳を保つためや、遺族の方へのケアなどを含め、長期にわたる治療などで変化し外観を整えるといった意味があります。

具体的な作業内容としては、入院治療中だった場合は医療器具の抜去や体内の内容物などの除去、傷や損傷箇所の修復などが挙げられます。 

葬儀のためのエンゼルケア

では葬儀のためのエンゼルケアはどのようなことが行われるのでしょうか。

葬儀のためのエンゼルケアは看護師が行うのではなく、専門の方が行います。感染症対策を行った上で処置を行うほか、遺族の方のために丁寧な死化粧を施してくれるほか、遺族の意向に合わせた内容で処置を行ってくれます。

湯灌とは?

また、葬儀社によってはエンゼルケアの他にオプションとして湯灌(ゆかん)などを行うことができます。

湯灌とは遺体をお湯で清める儀式のことで、宗教的な意味合いの他に故人への労いなどが挙げられます。

専用の槽で湯灌師によって遺体を清め、髭を剃ったり髪を整える他、アロマを付けたりすることがあります。 

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エンゼルケアの内容(病院)

では具体的にエンゼルケアの内容を見ていきましょう。まずは病院でエンゼルケアを行う場合についてですが、大きく「医療器具の抜去」と「傷や口腔内の処置」の2つの手順に分けることができます。ここではそれぞれの手順について詳しく解説します。

医療器具を取り外す

病院で亡くなった場合には、基本的に遺体に多くの医療器具が繋がれている状態になっています。

そのため、点滴やドレーンチューブ、カテーテルなどはすぐに遺体から取り外す必要があります。

ただし、遺体から外す場合には注意が必要で、注射痕やドレーン抜去痕からは体内ガスや分泌物が放出される可能性があるため、専門家による丁寧な施術が必要です。 

傷や口腔内などの処置

手術痕や事故などで遺体が損傷している場合には、ガーゼや防水シートなどを使用して体液の漏出を防ぐために手当を行います。

また、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液による口腔ケアを行います。このケアは腐敗を抑える効果や悪臭の発生を遅らせる働きがあります。

その他に鼻や口からは血液や体液が漏出する恐れがあるため、体内に残っている血液や体液を取り除いた後に、脱脂綿や吸収剤を詰める処置を行います。

エンゼルケアの内容(葬儀社)

続いては葬儀社が行うエンゼルケアの内容について解説します。葬儀社でのエンゼルケアは主に故人の見た目に対して処置を行い、生前の姿へ近づけるような内容のものが中心となっています。

こちらは「個人の肌を整える」、「表情や髪型などを整える」、「死装束を着せる」、「死化粧を施す」の4つの手順に分けることができ、それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。

故人の肌を整える

まずは故人の肌を整える処置を行います。遺体の肌は乾燥していることがほとんどなため、ベビーオイルや乳液などの保湿剤を使用し、うるおいを与えるために塗り込んでいきます。

故人の表情や髪型などを整える

続いては表情を整える作業です。遺体は時間が空くと少しまぶたが開いていたり、口が開いていたりすることがあります。

そういった表情をきちんと整えていきます。死後硬直によって簡単にまぶたが閉じなかったり、口が閉じないような場合には、顔を入念にマッサージすることで筋肉をほぐし閉じるようにする必要があります。

また、髪型も寝転んだ状態だと崩れていますので、生前のような髪型に近づけます。

この時、遺族の希望によっては髪を染めたりカールさせたりすることがあります。その他に男性の場合は髭を剃る場合があります。

死装束を着せる

死装束とは白一色の着物のことで、正式名称を「経帷子(きょうかたびら)」と言います。白一色の理由として、仏教では白色は「穢れがない」という考え方があるからとされています。

元々、死装束は宗教ごとに分けられていましたが、最近では遺族の意向などによって特別な縛りなどは無くなってきています。

たとえば故人が愛用していたスーツなどがあり、その他にも専門のエンディングドレスというものも販売されています。

もし、正式な経帷子を着用させる場合には襟を左前にさせます。

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死化粧を施す

最後は死化粧を施します。遺体の顔に黄疸(おうだん)が発生していることがあるため、そういったものを見えにくくしたり、長期にわたる治療などでやつれてしまっていることがあるため、できる限り生前の元気な姿に近づけるようにメイクを施します。 

この死化粧を施すためには、エンゼルケア同様に特に資格や実務経験は必要がありません。そのため、遺族や看護師など誰が処置を施しても問題はありません。

死化粧の資格「美粧衛生師」

しかし、死化粧に関する専門的な知識を備えたことを証明する「美粧衛生師」という民間資格を「エル・プランナー」が認定しています。

この美粧衛生師の資格保有者が葬儀社に在籍していることもあります。

美粧衛生師の認定資格は「葬祭業就業年数3年以上の葬祭業従事者」が全課程を修了し、試験に合格することで取得できます。 

死に化粧の方法

故人のイメージに近づけるためには、写真を用意しておくとより一層近しいメイクを施してくれます。

男性の場合でも、顔色が良くない場合にはナチュラルメイクを施すほか、唇にリップを塗ることがあります。

故人が愛用していたイヤリングなどのアクセサリーを付けられることもあるので、もし付けたい場合にはあらかじめ業者に確認しておきましょう。

死化粧が済んだら、胸の上で合掌させ顔に白い布をかぶせ、身体を白いシーツで覆います。

「合掌バンド」を使用することも

合掌させる際には搬送中に腕がズレないよう、合掌バンドと呼ばれる固定具を使用することもあります。

しかし、装着したままにしておくと腕に跡が残ってしまう恐れがあるため搬送が完了したらすぐに取り外すようにしましょう。また、最近では使用しないこともあります。

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エンゼルケアの費用相場

ではエンゼルケアはいったいいくらくらいかかるのか、知る方は多くありません。

実はエンゼルケアの費用は業者や病院によって大きく異なります。それぞれのケースにおいてどの程度費用がかかるのか見ていきましょう。

医療機関で行う場合

エンゼルケアを医療機関で行う場合、無料の施設もありますが多くは5,000円〜20,000円が相場だと言われています。

エンゼルケアについては医療保険適用外となるため、実費負担となります。

また、費用については病院のパンフレットに「死後処置料金(エンゼルケア)」と記載されていることがあるので事前に確認しておきましょう。

また、もし料金の詳細や内容について疑問がある場合には、必ず施術が行われる前に確認しておくことが大切です。 

葬儀社が行う場合

葬儀社にエンゼルケアを依頼する場合、基本的にはオプションでの費用となることが多いです。

料金の相場は30,000円〜100,000円程度と幅広いですが、それには理由があります。

葬儀社に依頼する場合、遺族の意向に沿った施術が行われるため様々なオプションや項目に対応してくれることが多いからです。 

特に湯灌などを行う場合には、高額になることが多いです。

遺族の意向に沿ってくれるというのはメリットではあるので、もし故人のためにしっかりとしたエンゼルケアを行ってあげたいという場合には、葬儀社と打ち合わせを行い理想の内容ではいくらくらい費用がかかるのか相談してみてください。 

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エンゼルケアの注意点

エンゼルケアは感染症対策などの観点から、必須の処置とされています。

しかし、未だこの言葉自体が完全に広まっているわけではなく、初めて聞いた方もいるかもしれません。

最近では病院看護師や葬儀社だけでなく、訪問看護師におる在宅での処置も行われてきています。今後エンゼルケアの知識は必要となるケースがあるかもしれないので、ぜひここで注意点について押さえておいてください。

要望があれば先にしっかりと伝える必要がある

医療行為のエンゼルケアは、故人が亡くなってから感染症予防のためすぐに処置を施すことが一般的です。

そのため、遺族への事前説明が少なかったり場合によっては無かったりすることがあります。

なので、もし遺族側からこうしてほしいなどの要望がある場合には、事前にしっかりと伝える必要があります。

保険が適用されない

医療機関によるエンゼルケアの場合でも、エンゼルケアの費用は医療保険適用外になります。

そのため、あとで請求書をチェックした際に気づくケースが多く、金額に疑問を抱くことがあります。そのため、もし費用について事前に把握しておきたいような場合には、処置が施される前に確認しておきましょう。

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エンゼルケアについてのまとめ

ここまでエンゼルケアの概要や具体的な内容などについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?ここでは今までの内容をわかりやすく要点を箇条書きでまとめていきます。 

・エンゼルケアとは、人が亡くなった時に行う処置や死化粧までの一連の流れを指す言葉である。

・エンゼルケアを行うにあたって必要な資格や経験などは特に無いが、「有限会社 エル・プランナー」による「遺体感染管理士」という資格がある。

・エンゼルケアの目的は感染症予防対策と遺族へのケア、個人の尊厳の保護である。

・エンゼルケアと混同されがちなものに「エンバーミング」がある。ただし、エンバーミングは遺体の長期間の保管を目的としているためエンゼルケアとは異なる処置である。

・エンゼルケアには医療行為としてのものと葬儀社によるものの2種類がある。

・病院でのエンゼルケアは、医療器具を取り外し傷や口腔内などの処置を行う。

・葬儀社でのエンゼルケアは、故人の肌や表情、髪型を整えて死装束を着せ、死化粧を行う。また、遺族の意向を汲むために湯灌などのオプションが用意されていることが多い。

・エンゼルケアは医療機関で行う場合、5,000円〜20,000円が相場である。また、葬儀社が行う場合は30,000円〜100,000円程度と幅が広い。理由としては、葬儀社の場合は遺族の意向に応えるために様々なオプションが用意されているからである。

・エンゼルケアの注意点として、行なって欲しい要望があれば先にしっかりと伝える必要があるという点と、医療保険適用外であるという点である。

このようにエンゼルケアは感染症予防対策以外にも、故人の尊厳を守るためや遺族への心のケアなど重要な役割があります。

ぜひこの記事でエンゼルケアに対する知見を深めていただき、故人へ最後のケアが心ゆくまで行えるように願っております。

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

プロフィール

運営会社

会社概要

会社名 LDT株式会社
Life Design Technologies co.,Ltd


https://le-tech.jp/
資本金 11,930万円(資本準備金含む)
代表取締役 白石 和也
設立 2019年9月
所在地 〒105-0004
東京都港区新橋5丁目23-10片山ビル6階
TEL:0120-538-175
FAX:03-6800-5820
事業内容 AgeTech(エイジテック)プラットフォーム事業
AgeTech(エイジテック)関連のソフトウェア開発・提供事業
AgeTech(エイジテック)関連のコンサルティング事業

企業理念

ライフエンディング(葬儀)の後悔をなくす

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葬祭ディレクターとして10年以上培った経験を活かし、多様化する価値観の中でご相談者様にとって
どのようなご葬儀を選択することがよいのかを丁寧にヒアリングさせていただき、ご提案いたします。

お葬式セミナー講師
エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。