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相続権を完全解説!優先順位・割合を紹介!

2021/8/9 情報更新

いつかはやってきてしまう身近な人の死。

特に親の死の場合、子は相続権を持つために、きちんと法律関係の手続きやお金の管理などを行う必要があります。

相続とは親が亡くなった場合に、子などの相続人が親の財産や借金等の権利義務を引き継ぐことを指し、またこのように相続する権利のことを相続権と呼びます。

今回は相続権の優先順位や割合、様々なケースからご紹介していきます。

INDEX

01
相続順位の解説
02
相続割合の解説
03
ケース別法定相続人と法定相続分
04
相続権に関する注意点
05
相続権に関してよくある疑問
06
相続権がない場合
07
相続権のない人に相続させたい場合
08
相続権についてのまとめ
09
相続についての記事一覧

相続順位の解説

相続権を持つ人は、基本的に被相続者の配偶者や子、父母や祖父母などの直系尊属、そして兄弟姉妹が挙げられ、この法的に決められている範囲での相続を法定相続と言います。

ただし、この相続権を所持する人達には相続する優先順位が決められており、ケースバイケースで相続人は変化します。

ここでは相続権を有する人の優先順位について詳しく解説していきます。

配偶者の相続権(相続順位外)

相続権を持つ配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹に該当する人物は全ての人が相続人になるわけではありません。

しかし、配偶者に関しては必ず相続することが決定しています。

つまり、厳密に言うと配偶者は相続順位の中には含まれていないということになります。 

血族相続人の優先順位

先ほどご説明した配偶者を除き、血族相続人にはそれぞれ優先順位があります。なお、相続人の順位は次の通りです。 

・第一順位:子

・第二順位:直系尊属

・第三順位:兄弟姉妹

たとえば、被相続人に配偶者と子がいる場合には、配偶者と第一順位の相続権を持つ子が相続人となります。

したがって、直系尊属や兄弟姉妹は相続人となりえません。

子がおらず、第二順位の直系尊属に権利が移行、もしくは直系尊属もいない場合には兄弟姉妹が相続人となるというシステムなのです。

第一順位(子)について

前述の通り、第一順位に当たるのが子、もしくは代襲相続人です。

>>代襲相続を完全解説!範囲・割合・相続放棄のルールを紹介!

被相続人に子と配偶者がいる場合には、その配偶者と子が相続人に該当します。

また、代襲相続人に関しては後述で詳しくご説明しますが、簡単に言うと同じ状況でも子が何かしらの理由で被相続人より先に他界していた場合に、その子の子(孫)が子の代わりに相続する権利を譲渡されるというものです。

なお、代襲相続は、権利がそのままコピー移動することを指すため、孫が第一順位に当たります。

第二順位(直系尊属)について

続いて第二順位が直系尊属です。直系尊属とは、被相続人から見た父母、祖父母のことを指します。

ただし、父母が存命している場合、祖父母には相続権はありません。

なお、子や孫のように後の世代に存在しつつ直接的な血縁のあるものを直系卑属と呼びます。 

第三順位(兄弟姉妹)について

そして最後の第三順位は兄弟姉妹、もしくはその代襲相続人が該当します。

被相続人に子と直系尊属のような第一順位、第二順位がいなかったり、相続権を放棄している場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続権を行使し、相続人となります。 

法定相続人を確認したい場合

相続をおこなう際に、誰が法定相続人であるかを確認したい場合は、戸籍謄本で確認します。被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を確認することで、血縁者を確認することができます。

相続については下記記事もご参考ください。
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相続割合の解説

遺産を誰がどの程度もらえるかという相続割合に関しては民法で定められています。

この相続の割合でポイントとなってくるのが遺言の有無。遺言というのは、個人が生前に自分の遺産を誰にどのくらい譲渡するのかを明記したもので、もっとも優先される効力を持つものです。

遺産分割とは?

仮に、相続人が1人であればその人が全ての遺産を引き継ぐため、名義変更までの流れはスムーズなのですが、相続権を持つ人が複数人いる場合、

①誰が②何を③どれだけ継承するのかを相続権を持つ人間が、それぞれの合意のもと決定させなければなりません。 

なお、複数人で相続をする場合には一旦相続人全員の共有となり、そこから遺産をどのように分配するのか話し合います。

これを遺産分割といい、遺言があれば遺言に従った分割となり、ない場合には原則として前述の法定相続人が法定相続分を相続することになります。

>>遺産分割を完全解説!流れ・割合・揉めない方法を紹介!

ここからは、誰がどのくらい相続する権利があるのか、相続の割合についてご説明していきます。

相続人ごとの法定相続分

被相続人が遺言書を作成せずに死亡した場合など、相続財産の分配に関する被相続人の意思が明らかとならないときには、民法の基準に従って相続財産の分配を行うことになります。

その規定を法定相続分と言います。

法定相続人の範囲

相続できるのは一定範囲の親族に限定されており、具体的には次に該当する人が法定相続人として相続権を持ちます。

・配偶者

・子などの直系卑属(場合によっては孫)

・父母などの直系尊属

・兄弟姉妹(場合によっては甥や姪)

また、上記の法定相続人の相続割合についても民法900条によって以下のように定められています。 

①子供と配偶者とが相続人であるとき

子供および配偶者の相続分はそれぞれ2分の1ずつ 

②配偶者と父母といった直系尊属が相続人であるとき

配偶者の相続分は3分の2、直系存続の相続分は3分の1 

③配偶者と兄弟姉妹とが相続人であるとき

配偶者の相続分は4分の3、直系存続の相続分は4分の1 

④子や直系尊属、または兄弟姉妹が相続人であり、数人で相続するとき

それぞれの相続分は等しく分配。

ただし、父母のどちらか片方のみ同じである兄弟姉妹の相続分は、父母の双方が同じである兄弟姉妹の相続分の2分の1 

なお、配偶者と子はどのような場合であっても相続人として法定相続分を相続することが一般的です。

また前述にもある通り、直系尊属や兄弟姉妹にも同様に相続権はありますが、必ずしも相続人となるわけではありません。

配偶者と子がいる場合にはそちらの相続権が優先されるためです。 

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遺言による指定がある場合

遺言とは、被相続人の生前の意思を尊重し、死後にその意思を実現させるための制度を指します。

死を目前に家族へと送る手紙などとは違い、法的に効力を持つため形式に沿って書面化します。

被相続人が遺言書にて相続人間の相続分を指定している場合には、原則として被相続人の指定した相続に従って相続財産が分配されます。

遺言については下記記事もご参考ください。
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遺留分

遺言書をもってしても、侵害することのできない相続人の最低限の権利のことを遺留分と呼びます。

故人との関係性によって割合や遺留分の割合は異なります。

遺留分減殺とは?

なお、遺留分を侵害している相続人に対して、遺留分を請求することを遺留分減殺と言います。法定相続人は基本的に遺留分を請求することができます。 

遺留分については下記記事もご参考ください。
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ケース別法定相続人と法定相続分

ここからはケース別に、法定相続人と遺言がない場合を想定とした法定相続分をそれぞれご紹介していきます。

配偶者と従兄弟

配偶者と従兄弟の場合、法定相続分は配偶者がすべて相続することになります。従兄弟に相続する権利はありません。

基本的に相続する権利があるのは、配偶者、子(代襲相続を含む)、直系尊属、兄弟姉妹に限られています。

したがって、ここで法定相続人として相続権を持つのは配偶者であり、従兄弟は遺産を相続することはできません。

特別縁故者になれば相続は可能

従兄弟が法定相続人として自然に遺産を相続することはできませんが、被相続人に法定相続人がいない場合に限り、従兄弟が特別縁故者になり遺産を相続することは可能です。

被相続人と遺産を相続するに値するような特別な関係にある場合に、家庭裁判所に相続を申し出ることができます。 

配偶者と子ども1人

配偶者はどのような場合であっても基本的には相続するため、厳密には相続人の中で順位づけされない立場にあります。

また、配偶者に次いで優先的に相続できるのが被相続人の子です。

子は第一順位の相続権を持っており、配偶者と子供一人の場合、遺産はそれぞれ2分の1ずつ配分されます。

配偶者と養子1人

配偶者と養子の場合、配偶者は相続権を持っていることは想像に易いですが、少し悩ましいのが養子の相続権がどうなるかということでしょう。

結論から言うと、養子も実子と同様の相続権があります。法定相続分も配偶者に半分、もう半分を子供の数で割った分を相続できます。

ただし、養子の人数が多い場合には、相続税の計算上では一部の養子を法定相続人の数に含めないこととなっています。

これは、養子を増やすことで相続税から免れようとするケースが横行したためと言われています。

とはいえ、あくまでこれは相続税上での話で、養子が何人いたとしても子として相続権を持ちます。

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配偶者と子ども2人

配偶者と子供が2人の場合、もっとも優先される相続権を持つ人物であるため、どちらも相続人となります。

この場合の相続分は、配偶者が2分の1、そして子供が2分の1ですが、子供が2人いる場合には、子供が相続する2分の1を2等分した4分の1が子供一人あたりの相続分となります。

したがって、子供の人数によって遺産の2分の1がさらに分割されていくということです。

なお、配偶者は2分の1の取り分のまま変わることはありません。

配偶者と子ども2人と親1人

配偶者と子供2人と親が1人いる場合、先ほどのケース同様、相続できるのは配偶者と子供2人です。

相続権を持つ配偶者は常に相続人になりますが、この相続人の中でも優先される順位があり、最上位の人のみが相続人となります。

子供は第一順位の相続人で、親は第二順位の相続人にあたるため、ここでは親は相続人になることはできません。

したがって、この場合の相続人は配偶者と子供となり、配偶者が2分の1、子供2人が残りの2分の1を等分にした4分の1ずつをそれぞれ相続することになります。

配偶者と親1人

配偶者と親1人の場合、もっとも優先される相続権を持つ第一順位の子供がいないため、相続人となる人物が相続権第二順位の親へ移ります。

そして、このケースの法定相続分は、配偶者が3分の2、親が3分の1となります。

なお、両親共に健在の場合は3分の1を父母で等分し、それぞれが6分の1ずつ相続することができます。

配偶者と養子縁組していない連れ子1人と親1人

配偶者と養子縁組していない連れ子が1人と親1人の場合、相続権を持つのは配偶者と親になります。

養子縁組した子供は実子と同じように相続人となり相続権を持ちますが、連れ子は相続権は認められていません。

したがって、相続分は配偶者が3分の2、親が3分の1という割合で相続することになります。

前妻の子ども1人と後妻の子ども1人

被相続人が配偶者である妻と離婚し、そして再婚し、前妻との間にも後妻との間にも子がそれぞれ1人ずついる場合、前妻の子供1人と後妻の子供1人ではどちらも第一順位として相続権を持ち、相続人となります。

しかし注意しなければいけないのが、配偶者とみなされるのは法律上の契約を交わした配偶者のみであるため、この場合前妻には相続権がありません。

したがって、相続分は法律上の妻である後妻に遺産の半分である2分の1を、そして残りの2分の1を前妻の子と後妻の子との2人で等分することとなります。 

認知した子ども1人と配偶者との間の子ども1人

認知した子供1人と配偶者との間の子供がそれぞれ1人いるケースです。

婚姻関係のない相手との間にできた子を非嫡出子と呼び、この非嫡出子についても被相続人が自分の子として認知した場合は、婚姻関係の有無に関わらず相続権があります。

ちなみに、かつて非嫡出子は嫡出子の2分の1の相続分しか認められていなかったときもあり、平成25年に民法が改正されたことにより、非嫡出子と嫡出子の相続分が同等になりました。 

なお、事実婚などによる内縁の配偶者は相続人になることができません。

したがって、認知した子供1人と配偶者との間の子供が1人いる場合の相続割合は、2分の1に配偶者、残りの2分の1を認知した子供と配偶者との子供がそれぞれ等分することとなり、1人あたり4分の1ずつ相続することになります。

両親と兄弟姉妹2人

両親と兄弟姉妹2人がいるケースです。おさらいですが、相続権を持つ人間の中での優先順位は①子②直系存続③兄弟姉妹です。

したがって、相続権がより優先されるのは第二順位の直系尊属に該当する両親となり、兄弟姉妹は相続人にはなりえません。

このケースのように配偶者と子がそれぞれいない場合、両親が全ての相続分を譲り受けることとなります。

なお、両親が健在の場合は父母それぞれに半分ずつ配分されます。

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兄弟姉妹4人

最後に、子も両親もおらず、兄弟姉妹4人がいるケースについてです。

この場合、第一順位の子と第二順位の直系尊属がいないため、相続人は第三順位の兄弟姉妹にシフトします。

したがって、兄弟姉妹4人のみで均等に分配して相続することとなり、1人あたり4分の1ずつ相続することとなります。

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相続権に関する注意点

相続権を持つ人間は被相続人の親族の中でも限られた範囲の者であるということをここまで述べてきましたが、あくまでもこれは基本的な相続権の考え方です。

家族の形や背景は千差万別であるからこそ、遺産相続も複雑化する可能性もあります。ここからは相続権に関する注意点についてご紹介していきます。

行方不明の人にも相続権がある

相続権を持つ人間は親族の中でも、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹が一般的であると述べてきましたが、万が一行方不明などである相続人の生存確認ができない場合、その人物の相続権はどうなるのでしょうか?

結論から言うと、行方不明の人間にも依然として相続権が与えられています。 

しかし、相続人の中に行方不明の人物がいれば、遺産分割協議で相続人達の間で合意形成をはかることが困難となります。

この場合の対処方法として、まずはその行方不明者の居場所や連絡先を知る必要があります。

親族を辿り、行方不明者の所在地を知っている人がいないか確認し、もしわからなければ、戸籍の附票という本籍地からの住所の変遷が記録されている書類を入手して住所を調べましょう。

ただし、この附票を手に入れるためには行方不明者の本籍地のある市町村に申請しなければならないため注意してください。

また、他の手段としては失踪宣告や不在者財産管理人の手続きを行うことが挙げられます。

失踪宣告とは?

失踪宣告とは、行方不明の相続人がすでに他界しているとみなす手続きのことです。

失踪宣告は行方不明者の生死が7年間不明である場合や、震災などに見舞われた際に事後1年間生死不明である場合に家庭裁判所へ必要書類などを準備して申請することができます。

申し立てを行い、家庭裁判所による調査によって失踪宣告が行われた場合、行方不明者は死亡したと判断されます。

なおこの場合、宣告後10日以内に行方不明者の失踪届を提出しなければなりません。 

不在者財産管理人

一方で、不在者財産管理人とは、文字のごとく行方不明者(不在者)の相続人の代理で財産を管理する立場にある人間のことを指します。

遺産相続は法定相続分が自動的に該当者に分配されるといったシンプルなものではなく、遺産分割協議という会議を行うことで、相続権を有する者達が話し合いをし、遺産を誰がどの程度相続するのかということを決定させます。

しかし、相続権を持つ人間の中に行方不明者がいる場合には、この遺産分割協議での話し合いができないため代理の人間が必要となります。

また、この不在者財産管理人は、家庭裁判所が選定を行います。

利害関係のない親族や友人などが選ばれることもありますが、司法書士や弁護士などが任命されるケースも珍しくはありません。

なお、不在者財産管理人を立てることは、行方不明者が失踪してから7年はまだ経っておらず、失踪宣告の申し立てを行うことができない場合に検討されることが一般的です。

相続放棄すると次順位の相続人に権利が移る

相続権を持つ人物の中でも順番があると繰り返し述べてきましたが、相続人がシフトする条件は主に2つあります。

相続人に権利が移る条件

1つ目が、優先される立場にある相続人がそもそもいない、そして2つ目が、相続権を持ち、かつ優先される立場にある人物が自ら相続権を放棄することです。 

相続財産はプラスとなる財産だけではなく、借金などのマイナスの財産もあります。

プラスの財産よりマイナスの財産の方が多い場合であっても、相続人は遺産を相続することとなり、負担を被ります。

そういった場合に相続放棄を行うことで、たとえ被相続人が借金などの負の遺産を遺していたとしても相続人が返済する義務はなくなります。

相続放棄の方法

相続放棄は個人ですることも相続人全員ですることも可能ですが、自分自身で相続するかしないかを決めることができます。

相続放棄をすると次順位の相続人に相続権が移るため、相続人全員で行うのがより一般的です。

相続放棄の時効は3ヶ月

もし相続放棄を行いたい場合は、被相続人が死亡してから3ヶ月以内(熟慮期間)に家庭裁判所に申請する必要があります。

もう少し具体的には、相続放棄申述書と呼ばれる書類に必要事項を記載し、相続放棄を行います。

なお、一度相続放棄を行ってしまうと撤回することができないため、十分に注意しましょう。

また、どうしても3ヶ月以内に相続するか否か決断できない場合、正当な理由があれば熟慮期間の延長を申し出ることもできますが、基本的には3ヶ月以内に決めなければいけないと考えておきましょう。

様々な事情で遺産を相続したくない人は、メリットデメリットをしっかりと精査して行いましょう。 

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相続順位よりも遺言が優先される

相続は本来、一定の範囲内にいる親族にしか相続権がありません。しかし、遺産を法定相続人以外に渡すこともできるのです。

法定相続人以外に相続させることができる

その方法とは遺言を残すこと。遺言書があれば誰にでも遺産を相続することができ、また相続順位は関係なく遺言書に書かれた人物への相続権が優先されます。

たとえば、本来被相続人の子の配偶者に相続権はありませんが、根気よく介護をしてくれたお礼で遺産を渡したいと被相続人が望む時には、遺言書を残すことで子の配偶者を相続人に指名することもできるのです。

他にも個人ではなく、会社や団体などの人物以外にも遺産を渡すことができます。

遺言書は法的に効力のある形式でないといけない

ただし、遺言書はどんなものでもいいというわけではなく、民法が定める方式に従って遺言を残さなければ無効となってしまうため、十分に注意が必要です。

具体的にどのような内容が法的に効力を持つのかということですが、まず「相続に関すること」、そして「相続以外の財産処分に関すること」、また「身分に関すること」などが挙げられます。

たとえば「相続に関すること」としては、法定相続分とは異なる割合での法定相続分の設定が可能となります。

配偶者と子が相続権を有する場合、規定された割合であればそれぞれ2分の1ずつ相続することになりますが、仮に遺言書で配偶者に3分の1、子に3分の2と記されていれば、その割合が有効となります。 

また、「相続以外の財産処分に関すること」においては、相続人以外の特定の人間に対して財産を与えることができます。

財産を譲渡することを遺贈という

このように遺言を残すことで、ある特定の人間に財産を譲渡することを遺贈と呼びます。

遺贈によって財産を贈る者を遺贈者、また受け取る者を受遺者と言います。

法定相続人にあたる人間に遺贈という形式を取ることも可能ではありますが、遺言による遺産分割方法の指定や、相続分の指定とも解釈できるため、あえて遺贈という言葉は使用せず、相続として扱われるのが一般的です。

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子の認知や未成年の後見監督人の指定もできる

最後に「身分に関すること」ですが、婚姻関係のない配偶者との間に生まれた子の認知や未成年の後見監督人の指定を行うことなどが可能です。

そもそも遺言とは故人の生前の意思を表示したものであり、その内容は法によっても縛られることなく尊重されます。 

代襲相続が起こる範囲

相続における財産の譲渡は親から子、そして子から孫へと順々に継承されるというのが基本的な考え方ですが、何かしらの事情によって親よりも子が先に逝去している場合も考えられます。

この場合、この亡くなった子にすでに子がいれば、その孫が子に代わり相続権を獲得し、相続人になります。

代わりに相続する人を代襲相続人と呼ぶ

この仕組みのことを代襲相続と言い、本来相続するはずであった人の代わりに相続する人を代襲相続人と呼びます。

また、代襲相続は、子と兄弟姉妹のみにおいて認められていますが、この代襲相続が孫やひ孫と直系卑属が続く限り承認されるのに対し、兄弟姉妹の代襲相続は一代限りと決められています。

理由としては、故人との血の繋がりがより近い者が相続する権利を有することが望ましいという価値観があるためと考えられています。

なお、第三順位まで辿ったとしても相続人が確認できず、さらに遺言もない場合には遺産は国庫に移されることになります。

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相続権に関してよくある疑問

家族の形や故人と周囲の人間の関係性が千差万別であることからも一概に相続とは絶対にこのようなものであるという風に語ることは難しいです。

複雑であるからこそ相続権で悩まされる人も少なくありません。ここからは相続権に関する代表的な疑問についてご紹介していきます。 

養子は法定相続人になるのか?

改めてになりますが、相続権を持つ人間というのは、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹という順番ですでに法的に決まっています。

基本的に子は相続権を持つ範囲の中の人間の中でも配偶者の次に優先される立場にあります。 

では、その子が血縁関係のない養子である場合、相続権はどのようになるのでしょうか。

養子も相続人としての権利がある

結論から言うと、養子も相続人としての権利を持ちます。養子縁組としてその子と親子の関係性を結んでいれば実子と変わらない権利を持ちます。

また、節税対策として養子縁組を意図的に行う人もいます。

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相続税とは?

どういうことかと言うと、遺産相続する際には相続税という税金がかかるのですが、この相続税は法定相続人の数が多いほど少なくなる特徴があります。

相続税は基礎控除額という「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」という算式のもと、相続財産の金額がこの数値より上回った場合に相続税が発生するためです。

なお、相続税は相続権を持ち、その財産を取得した人間が納める必要があり、被相続人が他界してから10ヶ月以内に申告と納税を行わなければなりません。 

養子の人数は制限されている

さて、先ほど法定相続人が多いほど基礎控除額が増えて相続税の負担が減るとご説明しましたが、この考え方によって過去に節税目的で不当に養子縁組を行うケースが横行していました。

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したがって、現在では相続税の計算に含むことのできる養子の人数が制限されています。

ただし、これはあくまで相続税の計算の上での養子の数であるため、法的には養子の数に制限はありません。

なお、実子がいる場合には養子は1人まで、いない場合には養子は2人まで法定相続人として認められます。

現状、本来普通に事が進めば相続権を持たない人間に対し、相続権を与えることができる制度であるため、たとえば介護を献身的に行ってくれた義理の娘への感謝の気持ちとして遺産を渡したいといった場合や、家業を継承してくれる孫に早めに遺産を相続しておきたいといった場合などに養子縁組を結んで相続権を付与することも珍しくはありません。 

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前妻や前夫は法定相続人になるのか?

現在の日本では3組に1組が離婚をするという背景もあり、前妻や前夫という存在が少なからず存在するようになりました。

この前妻や前夫は婚姻関係にあった時にはもちろん配偶者として相続権を有していることとなりますが、すでに婚姻関係を解消している場合は他人となっているため、法定相続人には該当しないのが普通です。 

近年では、婚姻届を提出せずに事実婚を選択するパートナー同士も増えてきましたが、民法においてはこのような内縁にある妻や夫を配偶者と認めておらず、伴って相続権が認められていないのです。

ただし、被相続人が遺書で前妻や前夫を相続人として指名している場合には例外ではなく、相続権を獲得する可能性がゼロとは言えません。

前妻や前夫の子は相続人になるのか?

基本的に血縁関係のない他人である過去の配偶者に相続権はありませんが、その人物との間に授かった子供に関しては相続権を有します。

したがって、仮に現在新しい配偶者がおり、かつその間に子供がいる場合であっても、前の配偶者との子供の相続権に離婚が影響することはありません。

この場合であれば遺産の半分を現在の配偶者が取得し、残りの半分を現在の配偶者との子、前の配偶者との子の2人で等分するということになります。

相続権は配偶者を除くと、血の繋がりが重要視されるシステムと言えるのです。

法定相続人の1人が死亡している場合

法定相続人は必ずしも1人であるとは限らず、また相続人の1人がすでに死亡しているケースも考えられます。

たとえば配偶者と子がいる場合、配偶者が被相続人よりも先に死亡していたとしたら、相続人は子のみになります。

子が複数いる場合には遺産全体を人数分で等分して継承します。

また、逆に子が被相続人よりも先に他界している場合、子のもとに子がいればその人物が代襲相続人として相続権を得ることとなり、配偶者と半分ずつ遺産を相続します。

なお、この直系卑属による代襲相続人が存在しない場合には、配偶者が全てを継承します。 

このように法定相続人のうちの1人が死亡している場合には、残りの相続人が相続することになるのが普通ですが、相続権を持ち相続人となる人物は、第一順位から第三順位の相続権を持つ人間の範囲内で順番に移行していく可能性もあります。 

法定相続人の1人が行方不明の場合

つづいて、法定相続人の1人が行方不明の場合、相続権はどのようになるのでしょうか?たとえ消息が不明であっても死亡が確定していない相続人においては、相続権を持っているということになります。

たとえば、相続人の中に災害などによって避難したまま消息が不明という人がいる場合、遺産相続において必要な遺産分割協議を実施することが困難になってしまい、話が進まず難航してしまう可能性があります。 

このように行方不明の相続人がいるケースでは、失踪宣告と不在者財産管理人という手段を取ることが考えられます。

失踪宣告と不在者財産管理人とは?

失踪宣告、不在者財産管理人に関してはすでに前述でご説明していますが、簡単に述べると、法定相続人である人物の死亡を申告する方法と、法定相続人が見つかるまで代理を立てて遺産分割協議などを進行していく方法を指します。

失踪宣告を受けた相続人は7年間以上の失踪が認められて初めて死亡したとみなされます。

また、災害や戦争、沈没した船の中にいたといった場合においては特別失踪と呼び、死亡となる原因が明確であることから、事後それぞれ1年以上経過していれば、利害関係にある人間による請求によって失踪宣告を行うことができます。

なお、不在者相続管理人は、配偶者や相続人などの利害関係人や検察官によって家庭裁判所へ不在者相続管理人の選任の申し立てを行うことで、本来の法定相続人の代わりに遺産分割協議に参加することが認められます。

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相続人が未成年の場合

相続権を持った相続人が未成年である場合も考えられます。

未成年は遺産分割協議に参加できない

しかし、未成年である場合には遺産分割協議に参加することができません。

その場合は未成年の相続人である親が法定代理人として遺産分割協議に参加することとなります。 

ただし、親も相続人である場合にはこの法定代理人となることができません。

自分の都合のいいように遺産分割を行う恐れもあり、公平性に欠けてしまうためです。

特別代理人を選任する

以上のような時には、特別代理人と呼ばれる人物を選任し、遺産分割協議に代理で参加してもらいます。 

なお、この特別代理人は未成年の相続人ひとりひとりに立てる必要があり、もし未成年の相続人が複数人いる場合には、それぞれ別の代理人を立てなければいけないため、注意してください。

なお、特別相続人は成人していれば基本的に誰でも選出することが可能ですが、相続の問題は繊細であるため親族の中から選ぶのが良いと言えるでしょう。

胎児に相続権があるか?

代襲相続など様々な理由によって、お腹の中にいる赤ちゃんが相続人に該当する場合も考えられます。

子は相続ができる一定範囲の親族の中でも第一順位に値する相続権を持つ立場にあります。

したがって胎児にも相続権はありますが、死産にならなかった場合に相続人となります。 

遺言書がなく、相続人もいない場合

遺言書などによる個人の意思表示がなく、家族構成や相続放棄などの要因で相続人がいない場合、相続権はどうなるのでしょうか。生涯独身で配偶者や子、親兄弟や代襲相続人にあたる人物が不在であれば、被相続人の遺産を相続することができません。 

この場合は相続財産管理人と呼ばれる代理人によって、遺産を管理されることになります。

なお、この相続財産管理人は弁護士などが家庭裁判所によって選任され、故人に変わって遺産を管理することとなります。

この間、相続財産管理人は相続人を捜索しますが、一定期間該当人物が現れない場合には、遺産は最終的に国の国庫へと移されることになります。 

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相続権がない場合

相続権は基本的に法定相続人や遺言書によって指名された人間に認められるものであると述べてきましたが、特別な理由で相続権を失うケースもあるのです。ここからは相続権がない人やその特徴についてご説明していきます。

相続権がない人

まず、相続権がない人というのは、法定相続人に該当しない者、つまり配偶者や子、親や祖父母などの直系尊属、そして兄弟姉妹に該当しない者のことを指します。

ただし、本来相続権を持つこれらの範囲の人間であっても相続権を失うケースもあり、自らが望んで相続を放棄したり、何かしらの理由で相続権を剥奪される場合がそれに当たります。 

相続欠格の場合

相続権のない者の一例として、相続欠格があります。

相続欠落とは?

相続欠格とは、その名の通り相続人の権利が剥奪されることを指します。

本来であれば相続人として認められている人物であっても、社会的な正義に反する行動をとった人間に関しては、被相続人の意思とは関係なく相続の権利を失効させられるという決まりがあります。具体的には以下のような行動が挙げられます。 

・被相続人や相続人を殺害した

・被相続人が殺害されたことを知りながらも、告発や告訴を行わなかった

・詐欺や脅迫によって遺言を妨げた

・遺言書を偽造した 

また、相続欠格には特別な申請などは必要はありません。

ただし、相続欠格であったとしても代襲相続においては認められます。

なお、相続欠格となった相続人が、被相続人の預金や不動産登記の手続きを行なっていた場合でも、他の相続人によって相続の無効を申し立てすることが可能です。

相続人廃除となった場合

相続欠格と同じように相続権を剥奪される制度の1つに相続人排除があります。

相続人排除とは?

相続人排除とは、被相続人の意思で相続人の相続権を奪うことを指します。

遺言書などによって個人の遺産の継承の意思も尊重されますが、逆に相続させたくないという気持ちも同様に尊重されます。

たとえば、子供が親に対して暴言を吐いたり、暴力によって被相続人をひどく傷つけていた場合などに、子供に対して遺産を渡したくないと遺言書で明記していたとしても、子は遺留分といって最低限度の遺産を相続する権利があるため、その遺留分を請求されてしまえばいくら遺言を残していたとしても遺産を渡してしまう結果になります。 

そこで一切の遺産を渡したくないという被相続人の意思を尊重することのできる制度で相続人の排除というものがあります。

相続人廃除になると遺留分も請求できない

これは相続人の相続権を排除し、遺留分の請求もできなくなります。なお、排除が認められるには次のような理由が挙げられます。

・被相続人を虐待した

・被相続人に重大な侮辱行為を行なった

・その他、相続人による著しい非行があった 

また、排除を認めてもらうには、家庭裁判所に判断をあおぐ必要があります。

どのようなことが排除の原因となり、相続権を剥奪するに値するのかを慎重に判断するのです。

保障されている遺留分さえも認めない制度であるため、認定には相当な理由が必要であるというのも現実です。 

この相続排除は兄弟姉妹には認められていないことも特徴の1つとして挙げられます。

兄弟姉妹は遺留分の制度がないためです。したがって兄弟姉妹に遺産相続をさせてくない場合には、その旨の遺言書を作成しなければなりません。 

相続排除も相続欠格同様に代襲相続は認められており、基本的に相続人が行なった非行へのペナルティーと言えます。

相続放棄した場合

最後に相続権を失うケースである相続放棄についてご紹介します。

相続財産には現金や不動産などの相続人にとってプラスとなるものが印象に強いですが、実は借金などのマイナスの遺産も相続しなければなりません。

事情を把握しておらず適切な対処を怠れば、残された家族が借金の返済に見舞われることになりかねません。

このように借金が多い場合など相続したくない理由があれば、相続人は相続を自主的に放棄することが可能であり、これを相続放棄と呼びます。

そもそも相続には3つの方法があり、1つ目が単純相続、2つ目が限定承認、そして3つ目がこの相続放棄です。

単純相続

単純承認はマイナスの財産も含めて全ての相続財産を引き継ぐことを指し、限定承認では相続財産の範囲内で債務を支払う条件で相続財産を継承することを指します。

限定承認

なお、限定承認では、プラスの遺産とマイナスの遺産のどちらの方が多いかわからない場合に選択されますが、相続人全員で行わなければならず、手続きが複雑であることからも選択されにくい手法であると言われています。 

相続放棄

そして、自分は相続権を破棄すると自主的に申し出る手法が相続放棄です。

借金が多かったり、相続権を持つ他の人間に遺産を譲りたい場合などに選択される手法です。

相続放棄での注意点

相続放棄において注意したいのが、たとえば「被相続人の介護を最後まで献身的に行なっていた人間に相続権を譲りたい」といった事情がある場合にそのまま相続放棄を行うのは特に問題はないのですが、借金などを背負いたくないという後ろ向きな理由から相続放棄を選択する場合には、自分が相続放棄した後に同順位や次順位の相続人へと相続権が移るため、別の人に債務を背負わせてしまうことになります。

・相続放棄は相続人全員が放棄する

したがって、負の遺産の相続をしたくないために相続放棄する場合には、相続人全員が放棄することが望ましいでしょう。

相続放棄の落とし穴として、このようなケースがあります。

Aさんという人が友人のBさんという人の連帯保証人となっていたとします。

Bさんが死亡した後、立て続けにAさんも死亡してしまった際に、Bさんの相続人達は相続放棄を行ないました。

しかし、事情を知らなかったAさんの相続人達は、AさんがBさんの連帯保証人となっていたことで残っていた借金の支払いを請求されてしまうこととなってしまったのです。

上記のようなことから、被相続人に負債がないか確かめることはもちろん大切ではありますが、周囲の状況に関してもしっかりと必要があり、自分達を守るためにも相続放棄を選択するべきであるシチュエーションもあるということを覚えておくと良いでしょう。

相続放棄をすると代襲相続ができなくなる

なお、相続放棄を行うと、最初からその人は相続人ではなかったとみなされるため、代襲相続ができなくなります。

また、相続人としての相続権を放棄することで権利義務は失いますが、形見分けや仏壇、お墓などは相続財産ではないため、受け取りができます。 

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相続権のない人に相続させたい場合

特定の人に遺産を渡したいものの、その人は法定相続人ではなく相続権を持っていない場合にはどのような対処方法があるのかを最後にご説明していきます。

法定相続人が全くいない場合

たとえば、もともと身寄りがなかったり、相続人が全員相続放棄したりなどの理由で遺産を相続できる親族もいない場合、相続権を自然に持っていない人への相続を検討するかもしれません。

このように法定相続人がいないケースでは、遺言書を残すことで法定相続人以外の人間にも財産を引き渡すことができます。

遺言書には決められた書式で記載する必要があるため注意が必要です。 

なお、遺言によって特定の人間に相続させることを遺贈と言います。

特定遺贈と包括遺贈

遺贈には特定遺贈と包括遺贈というものがあり、特定遺贈では「Aさんに自宅を」などといった具合に、誰に何を渡すかを具体的に決めている方法で、一方、包括遺贈とは「Aさんに全体の遺産の2分の1を」といったように何を渡すかは特定せず、相続分を割合で示す方法を指します。 

包括遺贈を受ける側の人は、相続人でないにかかわらず、相続人と同じ権利を持つこととなります。

したがって、相続人と同じように遺産分割協議に参加する義務が生じます。

また、遺贈はあくまでも被相続人からの意思表示であるために、受け手はそれを拒否することができます。

なお放棄する際、特定遺贈の場合は他の相続人へと相続放棄の旨を伝えれば良いのですが、包括遺贈の場合、前述の相続放棄同様に家庭裁判所への申し立てが必要となります。 

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法定相続人以外にも遺産を相続させたい場合

続いて、法定相続人がいるものの他の人にも遺産を相続させたいケースについてです。

基本的には遺言がなく法定相続人が生存している場合においては、相続人間で遺産分割協議が実施され、その後法定相続分に法り相続分が決められます。 

遺言書を残す

このケースにおいても遺言書を残すことで法定相続人以外にも遺産を相続させることができます。

ここまでですでにお分かりかもしれませんが、遺言書があれば誰にでも遺産を渡すことができるのです。

したがって、遺言書は強力な法的効力を持つということが理解できたかと思います。 

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生命保険で受取人に指定する

生命保険の受取人に指定することで、お金を特定の人に残すことができます。ただし、生命保険の受取人は配偶者と第二親等(子や両親、祖父母、孫、兄弟姉妹)以内と決まっています。

また、特例として事実婚や同性パートナーを受取人に指定できる保険会社もあります。

生前贈与する

生きている間に財産を渡す生前贈与をすることで、相続人以外にも財産を渡すことができます。ただし生前贈与の場合は、贈与税がかかりますので渡す金額には注意しましょう。

家族信託を利用する

家族信託とは自分に万が一があった場合に財産の管理を、信頼のできる家族に任せることができる方法です。老後に寝たきりや認知症になった場合に備えられ、信託銀行と違い費用も不要です。

家族信託について詳しくは下記記事をご参考ください。
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相続権についてのまとめ

「相続権」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。

【相続権とは?】
●被相続者の配偶者や子、父母や祖父母などの直系尊属、そして兄弟姉妹が相続権を持つ
●配偶者は必ず相続することができる
●配偶者以外の優先順位
 -第一順位:子 第二順位:直系尊属(父母、祖父母) 第三順位:兄弟姉妹

【相続権に関する注意点】
●行方不明の人にも相続権がある。
 -失踪宣告:生死が7年間不明である場合や、震災などに見舞われた際に事後1年間生死不明である場合に家庭裁判所へ失踪宣告を申請することができる
 -不在者財産管理人:行方不明者(不在者)の相続人の代理で財産を管理する
●相続放棄する場合
 -被相続人が死亡してから3ヶ月以内(熟慮期間)に家庭裁判所に申請する
 -一度相続放棄を行ってしまうと撤回することができない
●相続順位よりも遺言が優先される
 -相続順位は関係なく遺言書に書かれた人物への相続権が優先され
 -民法が定める方式に従って遺言を残さなければ無効となってしまうため、十分に注意が必要

【相続権がない場合】
●相続権がない人
 -配偶者や子、親や祖父母などの直系尊属、そして兄弟姉妹に該当しない人
●相続欠格者
 -被相続人や相続人を殺害するなど、相続人の権利が剥奪されている人
●相続人廃除
 -被相続人の意思で相続人の相続権を廃除された人
 -相続人廃除になると遺留分も請求できない

【相続権のない人に相続させたい場合】
●遺言書を残すことで法定相続人以外の人間にも財産を引き渡すことが可能
●遺言によって特定の人間に相続させることを遺贈という
●特定遺贈 
 -誰に何を渡すかを具体的に決めている方法
●包括遺贈
 -何を渡すかは特定せず、相続分を割合で示す方法を指す

相続権は誰しも持ちうる権利の1つではありますが、知らないうちに借金を背負わなければいけなくなってしまったなど、不利益を被る可能性も十分に秘めています。

また、家族の形はますます多様化している背景もあるため、正しい相続権の知識を持っていることは自分をはじめ家族を守るためにも決して無駄ではありません。

したがって、それぞれの家族の状況をくまなく調査し、いきなり相続について話し合う時が来たとしても落ち着いて対処できるように日々準備を心がけることをおすすめします。

なお、相続権について何かお困りのことがあれば、弁護士や行政書士、司法書士といった専門家に相談するのも1つの手でしょう。

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高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
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