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【相続プロ監修】権利が無い内縁の妻に相続させる6つの方法と注意点

2021/7/19 情報更新

一般的な「妻」とは、役所に婚姻届を提出することで法的に配偶者と認められる女性のことをいいますが、世の中には婚姻届は出していないけれど、結婚の意思を持った上でパートナーと一緒に暮らしている「内縁の妻」という女性もいます。

一見すると同じ「妻」のように思えますが、夫に万一のことがあった場合、妻と内縁の妻との間には法的な「壁」が立ちはだかり、相続に関する手続きにおいてはそれが如実に表れます。

妻なら大丈夫だけど内縁の妻はだめ、ということもあれば、内縁の妻であっても適用されるルールもあるのです。

今回は、内縁の妻が相続に直面した場合の財産継承方法についてお伝えしたいと思います。

【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

プロフィール

内縁関係とは?

内縁関係とは「婚姻届は未提出だけど夫婦同然の関係にある男女」のことをいいます。

婚姻届を提出するかしないかは本人たちの自由ですし、提出の是非を法律で義務付けているわけでもありません。

お互いを生涯の伴侶として連れ添うことに対する法的な制約は何もないのです。

内縁関係は法的な配偶者と認められていない

内縁関係は法律上「婚姻に準ずる関係」となってはいますが、法的な「配偶者」と認められているわけではないので、公的な支援や優遇措置の適用などを受けることはできません。

ただし、民法上の揉め事(相続など)については、婚姻に準ずる関係として一定の権利や利益の保護が与えられる場合があります。

内縁関係の判断基準と効果

内縁関係の判断基準

内縁関係は「事実婚」ともいいます。その判断基準のひとつとして「お互いが結婚の意思を持ち、なおかつ3年以上同居していること」というものがあります。

単に「ひとつ屋根の下で一緒に暮らしている同居人であればいい」ということではないのです。

内縁関係の効果

内縁関係であると認められれば「正式な配偶者ではないけれども法的には夫婦同然」ということになりますが、民法上における夫婦と同じ権利や義務が生じると同時に、それらが認められないケースもあるということだけは認識しておいたほうがいいでしょう。 

内縁関係の法律上における位置付け

前述の通り、内縁関係は「法律上婚姻に準ずる関係(事実婚)」ですので、夫婦としての権利が与えられるのと同時に義務も発生します。

内縁関係に関する法的な権利と義務については下記の通りです。 

〇民法上における権利および義務

・貞操義務(浮気や不倫をしてはいけません)

・同居・協力・扶助の義務(お互いに協力して助け合いましょう)

・婚姻費用分担の義務(生活費はお互いに負担しましょう)

・日常家事の連帯責任の義務(夫がしたことは妻にも責任があり、その逆も同じです)

・帰属不明財産の共有推定(どちらの財産かわからないものは夫婦共有の財産です)

・財産分与(もしも別れることになったら財産は分けましょう)

・嫡出の推定(内縁関係中に子どもが生まれたらそれはふたりの子どもです)

〇内縁関係には認められない権利義務

・夫婦の同姓(同じ苗字を名乗ることはできません)

・成年擬制(未成年者でも結婚したら成人と同じ扱いになるという考え方)

・準正(結婚と認知の届出をすれば正式にふたりの子どもとして認められます)

・配偶者の相続権(結婚していないと相続権はありません) 

〇特別法で夫婦と同じに認められる項目

(内縁の夫に万一のことがあった場合に受け取ることができるもの)

・遺族補償年金

・労働災害の遺族補償

・退職手当

(内縁の妻が亡くなった場合は、一部の項目に受け取りに関する制約がありますので専門家へお問い合わせください) 

「愛人」との違い

内縁関係と愛人関係は、傍目から見たら同じように見えるかもしれませんが、法的な解釈の下ではその性質が大きく異なります。

愛人関係は、お付き合いしている男性が既婚者であることを知った上で交際しているケースがほとんどです。

いわゆる「不倫関係」にあたり、お互いが既婚者であれば「W不倫」などと表現されることもあります。

愛人には法律上の保護が一切ない

内縁関係なら法律上一定の保護がありますが、愛人関係の場合は一切ありませんので注意しましょう。

相続についてのご相談はやさしい相続でも無料で承っていますので、お気軽にご連絡下さい。24時間365日無料で専門オペレーターが対応致します。

内縁の妻と相続権

「内縁の妻には相続権がない」これは法律にきちんと書かれています。

ですが、どんな状況であっても「内縁の妻」というだけで一円たりとも受け取ることはできないのでしょうか。

そして、ふたりの間に子どもを授かっていた場合についてはどうなるのでしょうか。そのことについて見てみましょう。

内縁の妻の相続権

内縁の妻は、法律で決められている一定範囲の相続人(法定相続人)の中に入ることはできません。

どんなに長い間苦楽を共にしてきたとしても、献身的な介護を毎日続けてきたとしても、内縁の妻に財産を相続する権利はありません。

婚姻届というたった1枚の書類が、相続においては明暗を分けてしまうのです。

ただし、内縁の妻であっても条件次第では相続に参加することができる場合あります。これについては後ほどお伝えします。

法定相続については下記記事もご参考ください。
法定相続分を完全解説!範囲・割合を紹介!
法定相続を完全解説!範囲・割合を紹介!

内縁の妻の子どもの相続権

ふたりの間に子どもが生まれた、あるいは妻に連れ子がいる場合、その子どもに相続権はあるのでしょうか。

子どもは「非嫡出子」「婚外子」となる

内縁関係の男女の間に子どもが生まれた場合、その子どもは「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」または「婚外子(こんがいし)」という立場になります。

ちなみに、結婚している夫婦の間に生まれた子どもは「嫡出子(ちゃくしゅつし)」といいます。

認知されていれば相続人になれる

基本的に非嫡出子には相続権がありませんが、「認知」という手続きを行えば相続人になることができます。

以前の法律では、非嫡出子の相続割合は「嫡出子の半分」とされていました。

相続権は認められているものの、非嫡出子であるという理由だけで、同じ子どもの立場でも不利な状況になっていたのです。 

ですが、平成25年9月に下された最高裁判所の判決によって12月に民法改正が行われ、「嫡出子も非嫡出子も同等の相続割合を有する」と法律が変わりました。

他にも「内縁関係にあった夫が亡くなった後に子どもを認知させて相続権を得る」というケースも、稀ではありますが存在します。

例えば「亡くなった時点では認知されていなかったけれど遺言書に子どもを認知すると書かれていた」などという場合は、一定の条件をクリアすれば認知と認められ、このようなケースを「死後認知」といいます。 

養子縁組であれば子どもと同様の権利を得れる

なお、妻の連れ子には「養子縁組」という手続きを行うことで、生まれた子どもと同様の権利を得ることができますが、連れ子の場合は相続への道がもっと狭くなります。

連れ子は、内縁の夫とは血のつながりがありません。法的に子どもと認められる唯一の方法が養子縁組ですが、養子縁組をしていなければ相続権はありません。

生前に養子縁組がされていなかった時は、遺言で相続人として特別に指定されていない限り、遺産を受け取ることはできないので注意が必要です。 

遺言については下記記事もご参考ください。
遺言とは?意味・種類・書き方・効力を紹介!
遺言書を完全解説!種類・効力・扱い時・費用を紹介!

親が子を認知する方法

母親と子どもの関係は「出産」という事実から親子関係を証明することができるため、認知という制度は適用されません。

親が内縁関係の状態で亡くなった場合、子どもは母親の財産を相続する権利はありますが、父親の財産を相続する権利は持っていません。

そのため、父親の財産を相続するためには、父親から「認知されている」という事実が必要になります。 

認知届を役所に提出する

なお、子どもの認知は父親が役所に認知届を提出することで完了します。

認知にはいくつかの方法がありますが、内縁関係における子どもの認知には「通常認知」「胎児認知」「死後認知」の3つの方法があります。

通常認知は、子どもが生まれた後に届出をすることです。生まれた直後でも、子どもが成人してからでも、いつでも手続きをすることができます。

認知届を出した日がいつであっても、認知の効力は「子どもが生まれた日」から発生します。

通常認知の一般的な手続きや必要書類は以下の通りですが、事前に役所に確認されることをおすすめします。

〇届出人(認知届を提出する人)

 父親(母親の同意は不要です)

〇認知届の提出先

 父親または子どもの本籍地もしくは父親の所在地(住民登録しているところ)の市町村役場 

〇必要書類

 ※必ず用意するもの

 認知届(書類は市町村役場にあります)

 届出人の印鑑(インク式のゴム印は不可)

 届出人の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)

 ※必要に応じて用意するもの

 ・本籍地以外の場所で認知届を提出する時…父親と子どもの戸籍謄本を各1部

 ・子どもが成人している時…認知届を提出することを了承したという承諾書 

胎児認知は、子どもが生まれていない時(妊娠直後~出産直前)に届出をすることです。

この場合、効力が発生するのは認知届を提出した日ではなく「子どもが生まれた日」になります。

胎児認知の手続きについても、事前に役所に確認されることをおすすめします。 

〇届出人(認知届を提出する人)

 父親(母親の同意が必要です)

 ※母親の同意が得られない場合は出産後に通常認知を行うことになります。

〇認知届の提出先

 母親の本籍地がある市町村役場 

〇必要書類

 ※必ず用意するもの

 認知届(書類は市町村役場にあります)

 母親の承諾書

 届出人の印鑑(インク式のゴム印は不可)

 届出人の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)

 ※必要に応じて用意するもの

 ・本籍地以外の場所で認知届を提出する時…父親と子どもの戸籍謄本を各1部

死後認知は、父親が亡くなった後に子どもの認知をすることです。

死後認知には「遺言による認知」と「裁判認知」2つの方法があります。

遺言による認知は、遺言書に「子どもを認知する」という旨の記載をすることが条件で、裁判認知は「裁判を起こして認知を認めさせる」ことが必要になります。

父親が亡くなってから3年以内に認知を求める裁判を起こせば認知が認められる場合もありますが、死後認知や裁判認知には法的な解釈と手続きが必要になるので、弁護士などの専門家に相談してから手続きされることをおすすめします。 

遺言書については下記記事もご参考ください。
遺言書の書き方を徹底解説!ケース別文例・有効な書き方を解説!
遺言書の書き方を完全解説!効力・有効な遺言書の書き方を紹介!
遺言書を完全解説!種類・効力・扱い時・費用を紹介!

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内縁の妻が財産を相続できる場合

前述の通り、内縁の妻には相続権がありません。

ですが、ケースによっては内縁の妻でも夫の財産を相続できる場合があります。以下に内縁の妻が相続を認められるケースをまとめました。 

特別縁故者として認められる

特別縁故者とは?

特別縁故者とは、亡くなった人(内縁の夫)が、生前に一緒に生活していた人や身の回りの世話をしてくれた人などに対して、特別に相続権が認められる人のことを指します。

ただし、特別縁故者として認めてもらうためには、 

・亡くなった人の法定相続人がひとりもいない

・法定相続人はいるけれど全員が相続を放棄した

などのように「相続人が誰もいない状態」であることが条件になります。

特別縁故者の認定には家庭裁判所への申立が必要で、審議の結果「特別縁故者に相当する」と判断されてはじめて特別縁故者となることができるのです。

なお「法定相続人がいない」「特別縁故者もいない」という場合は、亡くなった人(内縁の夫)の財産は最終的には国のものとなります。

遺言書がある

遺言書がある場合は、内縁関係であっても遺産を受け取ることができます。

遺言書による相続を「遺贈」という

遺言書により相続することを「遺贈」といい、遺言書に「〇〇を内縁の妻〇〇に相続させる」という内容の文言が入っていれば、形式上問題ありません。

ですが、「財産の『全て』を内縁の妻〇〇に相続させる」などと書かれていた場合は注意が必要です。

遺言書があっても法定相続人が優先される

法律では「遺言書の内容は法定相続分よりも優先される」とありますが、内縁の夫に法定相続人(親、子どもなど)がいる場合は、内縁の妻よりも相続権が上位になります。

法定相続人には遺留分を請求する権利があるため、遺言書が遺留分を超える内容で書かれていた場合、法定相続人から「遺留分侵害額請求」という申立をされる可能性があるからです。(遺留分と遺留分侵害額請求については後述します。)

>>遺留分を完全解説!関係別の割合・金額例・取り戻し方を紹介!

遺言書の内容で相続させたいと考えている場合は、自分亡き後に遺された者同士で争わないように、 

・公証人役場で遺言書を作成する

・法定相続人がいる場合は遺留分を侵害しない内容にする

この点に留意した上で遺言書を作成することをおすすめします。 

>>公正証書遺言を完全解説!書き方・流れ・費用を紹介!

内縁関係では遺留分は認められない

上記にご紹介したように内縁の妻は法定相続人ではなありませんので、法定相続分だけでなく遺留分もありません。その為、内縁の夫が遺言書などを残さなければ、財産を受け取ることはできません。

その他(生前贈与、生命保険金など)

内縁の妻が夫の財産を相続するためには、上記以外に生前贈与や死因贈与、生命保険の受け取りといった方法を取ることもできます。

生前贈与とは?

生前贈与とは、内縁の夫が生きている間に前もって財産を受け取っておくことです。生前贈与は「契約行為」にあたるため、生前贈与をする場合は、

・年間の贈与額を110万円以下に設定する

・遺留分を侵害しないようにする

ことに注意が必要です。年間の贈与額が110万円を超えた場合は、贈与税がかかってしまうからです。

そして、遺留分を超える贈与を行ってしまうと、相続が発生した時に法定相続人から遺留分侵害額請求をされる可能性があります。

>>遺留分侵害額(減殺)請求を完全解説!侵害された財産を取り返し方を紹介!

また、贈与の対象が不動産の場合は、正式な夫婦であれば2,000万円までの「贈与税の配偶者控除」がありますが、内縁関係の場合はこれが適用されません。

ちなみに、生前贈与には「暦年贈与」と「連年贈与」があり、税務署から連年贈与と認定されると贈与税がかかります。 

内縁の妻に対する生前贈与を、税務署から暦年贈与であると認めてもらうには、 

・生前贈与のたびに日付入りの「贈与契約書」を作成する

・内縁の妻が管理している本人名義の口座に振り込む

・登記や登録を必要とする財産(土地や建物など)を贈与する場合は名義変更する

これらの対応をしておくと安心です。 

・死因贈与

一方死因贈与とは、贈与する人が亡くなった時に贈与が成立することです。

死因贈与は、事前に贈与する人(贈与者)と贈与を受ける人(受贈者)との間で、贈与の内容についてお互いに合意していることが前提となります。

極端なことを言えば「亡くなる直前に枕もとで交わした口約束でも成立する」ということです。

ただし、口頭でのやり取りは後日争いへと発展する可能性があります。

そのため、事前にそれを証明する人の存在を明らかにし、相続人全員の承諾を得ておくことが必要です。

死因贈与も契約のひとつですので、揉め事を未然に防ぐためにも「死因贈与に関する契約書」を作っておくことをおすすめします。

死因贈与の契約書に決まった形はありませんが、以下のポイントを押さえた上で作成すれば問題ないでしょう。 

・死因贈与契約を結んだ日付

・贈与者と受贈者の詳細(住所や氏名など)

・受贈者が合意したことを示す文言

・贈与は贈与者の死亡によって効力が発生するという文言

・贈与する財産の詳細(預貯金なら金融期間名や口座番号、不動産なら建物名や土地の面積など)

・贈与者と受贈者の住所と署名捺印

・立会人や贈与執行者がいる場合はその人の住所と署名捺印

・負担事項がある場合はその内容 

なお、死因贈与は贈与する人が「気が変わった」などの理由で契約を破棄することはできませんし、贈与する人が亡くなった後に、贈与を受ける人が契約を拒否もしくは不履行することも原則的にできませんので、死因贈与契約を結ぶ際は十分に考えた上で締結することをおすすめします。

ちなみに、死因贈与は人が亡くなったという事実を基準とするため、贈与ではなく「相続」扱いとなり、相続が始まって税金が発生した場合は「相続税」の対象となります。

贈与については下記記事もご参考ください。
遺贈とは?相続と贈与との違い・注意点を完全解説!
家の名義変更を親から子にする際の節税方法を完全解説!贈与税を非課税にするには?

・生命保険

さらに、生命保険の死亡保険金の受取人指定によって財産を相続することも可能です。

つまり、亡くなった人(内縁の夫)が契約していた生命保険の保険金受取人欄に、内縁の妻の名前が記入されているということです。

一般的な保険金受取人として指定できる人の範囲は、配偶者および2親等以内の血族(子・孫・兄弟姉妹・父母・祖父母)としている保険会社がほとんどです。

内縁の妻は法律上親族ではないため、本来であれば死亡保険金の受取人になることはできません。

ですが、事実婚や夫婦別姓のカップルが増えてきているという社会的状況を踏まえ、内縁の妻でも保険金を受け取ることができるタイプの商品も販売されています。

ちなみに、内縁の妻を受取人に指定する生命保険の契約には、一例として以下の条件を設けられていることが多いです。 

・契約者(内縁の夫)および受取人(内縁の妻)の双方に戸籍上の配偶者が存在いないこと

・3年~5年程度の同居期間があり、かつ生計を一にしていること(期間の定めは各保険会社によって違います)

・それらを証明できる公的な書類を提出できること(戸籍謄本、住民票、所得証明など) 

なお、保険金目当ての犯罪を未然に防止するため、保険会社によっては契約締結前に現地調査を行う(自宅訪問など)こともあるようです。

保険手続きについては下記記事もご参考ください。
葬儀後の手続きに必要なのは?相続から保険、年金関係まで、必要な手続きを徹底解説!

借家の賃借権を援用

内縁関係にある男女が賃貸物件で生活していた場合、内縁の夫が亡くなった後でも、内縁の妻は引き続きその物件に住み続けることができます。

これが「借家の賃借権の援用」です。

「たとえ内縁関係であったとしても、夫は夫。ご主人が亡くなったんだから奥さんは出て行ってくださいね」というのは人道的観点から見てもあまり良くありませんし、大家さんや不動産業者の「権利の濫用」にあたると言われても仕方がありません。

過去の判例では「内縁関係にあった者を保護する」という内容が大半ですので、内縁の夫が亡くなったからという理由だけで強制的に引っ越しさせることはできないと考えられます。

もちろん引っ越しするかしないかは自由ですが、引っ越ししない場合は「わたしはここに住み続けます」という意思を主張することが重要です。

なお、そのまま住み続ける場合は当然家賃の支払いが発生します。

遺族年金

遺族年金は、亡くなった人(内縁の夫)の遺族が受け取ることのできる年金です。

内縁関係でも認められれば遺族年金は受け取れる

基本的には配偶者が受け取りますが、亡くなった人から生計を維持されていたことや内縁関係であることが認められれば、内縁関係の妻であっても遺族年金を受け取ることができる場合もあります。

内縁関係であるかどうかの認定を受け遺族年金の受給申請するためには、年金の受け取り前に事前調査があります。その際は以下の資料が必要です。

・死亡診断書の写し

・亡くなった人(内縁の夫)と遺族年金を請求する人(内縁の妻)の戸籍、除籍謄本もしくは抄本

・亡くなった人の住民票の除票

・遺族年金を請求する人が記載されている世帯全員の住民票

・遺族年金を請求する人の所得証明

・亡くなった人と遺族年金を請求する人の年金手帳

・遺族年金を請求する人の預貯金通帳

・内縁関係であることと生計を一にしていることに関する申立書 

なお、子どもがいる場合は遺族年金の受給はできません。

※遺族年金受給における子どもの定義 

・子どもが18歳になってから初めて迎える3月末まで(一般的にいうところの高校卒業まで)

・障がいのある子どもについては、障がいの等級が1級もしくは2級の場合は20歳になるまで

ただし、内縁の夫に配偶者(本妻)がいる場合、遺族年金の受給権は配偶者にあるため、内縁の妻は遺族年金を受け取ることはできませんが、 

・内縁の夫と本妻の関係が破綻している

・本妻との離婚は成立していないけれど、内縁の妻と長期間暮らしている(目安として10年以上)

などの実態があれば、内縁の妻が遺族年金を受給できるかもしれないという可能性はあります。

このような事実関係を証明することは素人には難しいので、事前に弁護士などの専門家に相談するほうがいいでしょう。 

亡くなった後の手続きについては下記記事もご参考ください。
家族が亡くなくなった時こそ冷静に!死亡に際して必要な手続き
親が亡くなったら何から始めれば良い?必要な手続きについて解説
死亡手続きを完全解説!するべきこと・期間・費用を一覧で紹介!

内縁の妻に相続する場合の相続税の注意点

これまで「内縁の妻であっても内容によっては財産を受け取ることができる」ことをお伝えしてきましたが、相続できるということは「相続税を払うことになる」可能性が生じる場合もあるということです。

内縁の妻が相続した場合と配偶者が相続した場合との間に、どのような差があるのかを見ていきましょう。 

相続税が2割加算される

相続で財産を受け取った人は、基本的に相続税を払うことになります。

ですが、1親等(亡くなった人の配偶者、親、子ども)にあたる人には「基礎控除」があるため、余程のことがなければ相続税を払わなくて済むケースが多いのですが、1親等以外の人が財産を相続した場合は「相続税が2割加算」されます。

内縁の妻は法律上正式な配偶者ではありませんので、相続税の支払い要件に該当した場合は通常より多い相続税を支払うことになります。 

基礎控除額が増えない

前述の通り、1親等にあたる人には相続時に基礎控除というものがあり、計算式はこのようになります。

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

例えば、夫が亡くなって配偶者と子ども3人が法定相続人である場合は、

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円 が基礎控除額ということになります。

ですが、内縁の妻は法定相続人にはなれないため、+の部分に入ることはできません。

内縁の夫が亡くなった時点で法定相続人が存在せず、内縁の妻が特別縁故者として認められて相続する場合は、基礎控除は3,000万円だけということになるのです。

配偶者の税額軽減が適用できない

婚姻届を提出した正式な夫婦ならば、どちらが先に亡くなったとしても「配偶者は常に相続人」になります。

「遺された配偶者の生活を守る」という趣旨により、配偶者に対する税額軽減措置が定められているので、最低でも1憶6,000万円までは相続税がかからないようになっていますが、内縁の妻の場合はこの特例を受けることができません。

小規模宅地等の特例が適用できない

「夫が亡くなった後、土地や建物の名義を変更して妻と子どもたちがそのまま住み続ける」というケースはよくあります。

この場合、相続の際に「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができます。これは「相続する土地の面積が330㎡以下であれば、最大80%まで土地の評価額を下げることができる」というものです。

例えば、土地の評価額が5,000万円だったとすると、それが1,000万円まで下がるということです。

ですが、この特例を受けられるのは親族だけです。内縁の妻は親族ではないので、相続で土地をもらっても特例を受けることはできません。 

不動産相続については下記記事もご参考ください。
土地の相続を完全解説!手続き・分け方・必要書類・費用を紹介!
不動産名義変更を完全解説!流れ・費用・必要書類・期間を紹介!
家の名義変更を完全解説!流れ・費用・必要書類・期間を紹介!

死亡保険金の非課税枠

亡くなった人が契約者および被保険者で受取人が本人以外(たとえば妻や子どもなど)となっていた場合、相続によって保険金を受け取った人には相続税が加算されますが、保険金には「非課税枠」というものが設定されているため、一定の金額までは相続税が課税されない仕組みになっています。

ちなみに、非課税枠の計算式は下記の通りです。 

500万円 × 法定相続人の人数

例えば、夫が亡くなって配偶者と子ども3人が法定相続人である場合は、

500万円×3人=1,500万円が基礎控除額になるというわけです。

しかし、内縁の妻は法定相続人ではないため、仮に保険金を受け取ったとしても非課税枠には該当しないのです。

なお、亡くなった人が勤め人だった場合、勤務先から支払われる死亡退職金についても同じような取扱いになります。 

については下記記事もご参考ください。

相続税については下記記事もご参考ください。
相続税から控除できる葬儀費用とは?控除の可否を完全解説!
葬儀費用で相続税控除できる?葬儀費用に関わる相続税の考え方を完全解説!
相続税理士の選び方を完全解説!依頼の流れ・費用・期間を紹介!

その他の内縁の妻に相続する場合の注意点

正式な配偶者であれば利用できる制度も、内縁の妻の場合は利用できないケースが多いことをお伝えしました。

この他にも、内縁の妻が遺産を相続するにあたって気をつけなければならないことがあります。それは一体どのようなことなのでしょうか。 

遺留分侵害額請求

遺留分とは、法定相続人が最低限受け取ることができる遺産のことです。

遺言書の内容通りに遺産分割すると最低限の取り分すらもらえない、生前に贈与があったなどという場合は、法定相続人は他の相続人に対して「遺留分をください」と訴えることができます。

これが「遺留分侵害額請求」です。遺留分の請求が認められるのは「亡くなった人の兄弟姉妹以外の法定相続人」ですが、内縁の妻は法定相続人ではありませんので、遺留分を請求することはできません。 

遺留分については下記記事もご参考ください。
遺留分を完全解説!関係別の割合・金額例・取り戻し方を紹介!
遺留分侵害額(減殺)請求を完全解説!侵害された財産を取り返し方を紹介!
遺留分を完全解説!計算方法・侵害請求権の行使方法を紹介!

居住権

居住権は「その場所(家)に住む権利」のことです。家の所有者である内縁の夫が亡くなった場合、内縁の妻は出ていかなくてはならないのか、ということになります。

法律上、内縁の妻にそのまま住み続ける権利は保障されていませんが、家を相続した人がすぐに使う必要がなく、内縁の妻が退去すると物理的経済的に相当のダメージが生じることが予測できる場合、相続人が内縁の妻に対して家からの立ち退きを強要することは権利の濫用とみなされ、明け渡し請求を認めてもらうことはできません。 

しかしながら、相続によって持ち主は内縁の夫から他の人に変わったことは事実ですので、やむを得ず引っ越ししてもらわなければならない理由がある時は、それなりの期間を定めた上で立ち退き料を支払うなどの配慮が必要になりますし、そうなった場合は退去せざるを得ないでしょう。

離婚した相手の相続分

内縁の夫に離婚歴がある場合、過去の配偶者であった元妻に相続権はありませんが、内縁の夫と元妻との間に子どもがいた場合、その子どもには相続権が発生するので注意が必要です。

反対に、婚姻届を提出した夫婦に連れ子がいる場合、その子どもには相続権はありませんので、相続させたい場合は事前に養子縁組を行うことで、実子と同じ割合で財産を相続することができます。

相続については下記記事もご参考ください。
相続を完全解説!相続の方法・手続き・費用・流れを紹介!
相続相談を完全解説!弁護士・税理士・司法書士・行政書士・銀行を徹底比較!
相続権を完全解説!優先順位・割合を紹介!

内縁の妻への相続についてのまとめ

「内縁の妻」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。

【内縁関係とは?】
●内縁関係とは「婚姻届は未提出だけど夫婦同然の関係にある男女」のことをいいます
●内縁関係は法律上「婚姻に準ずる関係」となってはいますが、法的な「配偶者」と認められているわけではないので、公的な支援や優遇措置の適用などを受けることはできません
●内縁関係は「事実婚」ともいいます。その判断基準のひとつとして「お互いが結婚の意思を持ち、なおかつ3年以上同居していること」というものがある

【内縁の妻と相続権】
●内縁の妻は、法律で決められている一定範囲の相続人(法定相続人)の中に入ることはできない
●基本的に非嫡出子には相続権がありませんが、「認知」という手続きを行えば相続人になることができる
●「養子縁組」という手続きを行うことで、生まれた子どもと同様の権利を得ることができる

【内縁の妻が財産を相続できる場合】
●亡くなった人(内縁の夫)が、生前に一緒に生活していた人や身の回りの世話をしてくれた人などに対して、特別に相続権が認められる人のことを指す
●遺言書により相続することを「遺贈」といい、遺言書に「〇〇を内縁の妻〇〇に相続させる」という内容の文言が入っていれば、形式上問題ない
●生前贈与や死因贈与、生命保険の受け取りといった方法もとることができる

【内縁の妻に相続する場合の相続税の注意点】
●1親等以外の人が財産を相続した場合は「相続税が2割加算」される
●内縁の妻は法定相続人にでない為、基礎控除を増やせない
 -通常は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
●配偶者の税額軽減が適用できない
●小規模宅地等の特例が適用できない
●内縁の妻は法定相続人ではないため、仮に保険金を受け取ったとしても非課税枠には該当しない

【その他の内縁の妻に相続する場合の注意点】
●遺言書の内容通りに遺産分割すると最低限の取り分すらもらえない、生前に贈与があったなどという場合は、法定相続人は他の相続人に対して「遺留分をください」と訴えることができる
●居住権は内縁の妻でも認められる
●内縁の夫と元妻との間に子どもがいた場合、その子どもには相続権が発生する

内縁の妻が相続に直面した時に想定される様々なケースについてお伝えしました。

お互いを生涯の伴侶と決めて連れ添っていたとしても、婚姻届の提出の有無だけでこれだけの差が出てきてしまうということに、驚きを隠せないかたがいるかもしれません。

内縁の妻というだけで適用されないルールが多い中、内縁関係を証明するさえできれば主張できる権利があることも事実です。 

結婚を選ぶか事実婚を選ぶかはお互いの意思で決めることですが、愛する人を失って悲しみに打ちひしがれる人にたちに更なる苦しみを与えないため、遺される妻や子どもを守るため、生前にできる限りの対策を立てておくことが必要なのかもしれません。

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運営会社

会社概要

会社名 ライフエンディングテクノロジーズ株式会社
Life Ending Technologies Co.,Ltd
https://le-tech.jp/
資本金 11,930万円(資本準備金含む)
代表取締役 白石 和也
取締役 栗本 喬一
設立 2019年9月
所在地 〒105-0004
東京都港区新橋5丁目23-10片山ビル6階
TEL:0120-538-175
FAX:03-6800-5820
事業内容 葬儀関連のインターネットメディアの企画・開発
葬儀関連のシステム開発・運営
葬儀関連のシステム開発・運営
取引銀行 みずほ銀行、三井住友銀行

企業理念

私たちは、誰もが直面する「死」に対し、『真心』と『テクノロジー』をもって本気で向き合い、お客様の悔いのないライフエンディングに全力を尽くします。

やさしいお葬式

「丁寧なお葬式を適正価格で」 ご家族のお葬式や終活に関わる出来事は一生に何回もございません。しかし、必ず身内の葬儀や終活は誰もが経験することであり、家族のお葬式や終活に関する出来事は緊急を要します。緊急性が高いものであるからこそ、事前に備え行動をしておかなければなりません。また日本の各地域に多くの家族経営の葬儀社があり、サービス内容は一律ではございません。葬儀社には相談しにくい葬儀や葬儀以外の終活相談であっても、やさしいお葬式のスタッフは親身になり、ご相談対応をさせて頂きます。地域の葬儀物価の違いはありますが、「やさしいお葬式」は適切な基準、価格を設けご相談者様へご案内をさせて頂きます。

やさしいお葬式監修

葬祭ディレクターとして10年以上培った経験を活かし、多様化する価値観の中でご相談者様にとって
どのようなご葬儀を選択することがよいのかを丁寧にヒアリングさせていただき、ご提案いたします。

お葬式セミナー講師
エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。