遺産相続の兄弟の割合・トラブル・手続きを完全解説!

いざ兄弟で相続人となったときに「結局どのように遺産相続するのだろう?」や「長男や次男で相続する割合が異なったりするのだろうか」とお悩みの方もいるかも知れません。

この記事では、遺産相続の概要や遺産分割の手続き、兄弟間で起こりうるトラブルやその対処方法について詳しくご説明していきます。

INDEX

01
遺産相続と遺産分割
02
兄弟での遺産相続の割合
03
遺産分割協議の流れ
04
遺留分とは
05
遺産分割の方法
06
兄弟での相続例:亡くなった人の兄弟が遺産を相続する
07
兄弟での相続例:亡くなった親の遺産を兄弟で相続する
08
遺産相続において兄弟でトラブルが起きる原因
09
兄弟の相続争いを避けるには
10
起きてしまった相続争いを解決するには
11
兄弟での遺産相続についてのまとめ

遺産相続と遺産分割

相続や遺産分割は正しく理解している人は少なく、間違った理解は後々トラブルの元となります。

まずは遺産相続と遺産分割の基礎についてしっかりと理解していきましょう。

遺産相続とは

遺産相続とは、亡くなった人の財産(貯金、不動産など)を家族などが引き継ぐことをいいます。

病死であっても事故死であっても死亡の事実があれば、相続は開始します。

また、相続に関する規定を定めているのは民法で、相続といえば「財産相続」に限定されているのですが、現金や土地の所有権だけではなく、借金の返済義務や売掛代金の支払い義務や保証人としての保証債務を負う義務なども相続することになります。

したがって、相続するにあたり、負債の方が多いケースもありえるため、まずは相続をするのか、しないのかを決める必要があるのです。

遺産分割とは

遺産分割とは、各相続人の相続分に応じて相続財産を具体的に分割することです。

たとえば、不動産は◯◯さんに、預貯金は◯◯さんにといった具合に、相続人によって細かく分配することができます。

遺産の内容も各相続人の事情もまちまちであるため、遺産分割がこじれれば親族間で争いが起きる可能性もあります。 

また、故人の遺言、相続人全員の協議、家庭裁判所の審判によって5年以内は遺産分割を禁止することも可能です。

これは共同相続人のうちの1人の行方が不明な場合などに利用します。

相続は最終的に相続人が被相続人のそれぞれの財産を円満に継承することがもっとも重要なことです。 

そのためには相続の前提である相続財産にはどんなものがあるのか、そしてその財産にはどの程度の価値があるのか、負債はなかったかなどをしっかりと調査せねばなりません。

前述の通り、相続は現金、預貯金、不動産などといった相続人にとってプラスとなる財産だけではなく、借金や保証債務などのマイナスになる財産も同様に相続しなければなりません。

相続人が相続開始の旨を知ってから相続手続きを何も進めずに3ヶ月が経ってしまうと、相続を受け入れるという意思表示をしたとして手続きが進められていきます。

すなわち、何もしなければプラスの財産もマイナスの財産もどちらも相続しなければならないということです。

被相続人がどのような財産管理を行っていたかは、一緒に生活していたとしても難しい場合があり、もし離れて住んでいればなおさらわかりにくいでしょう。

兄弟での遺産相続の割合

ここからは兄弟の遺産相続の割合が具体的にどのような配分になるのか、具体的な例をあげながら、ご説明していきます。

法定相続割合

まず法定相続割合という割合が存在します。

これは相続人が被相続人の遺産をそれぞれどのくらい相続できるのかを定めた割合のことを指します。

法定相続は遺言などによって相続人が指定されているのではなく、あくまでも民法で定める範囲の相続人における相続分です。

また、現在の相続制度では、配偶者相続と血族相続の2パターンがありますが、まず配偶者は相続の順位にかかわらず常に相続人となります。

さらに配偶者だけでなく、相続人となる人の範囲と優先順位も民法で決められています。

なお、第一順位が子(仮に子が死亡していた場合は孫)です。実子でも養子でも特に子としての違いはありません。

また、事実婚の夫婦の間に生まれた子(婚外子、非嫡出子)であっても、被相続人の認知をえていれば、子として見なされます。 

つづいて、第二順位が父母、祖父母といった直系存続と呼ばれる立場の人間が該当します。

実父母であっても養父母であっても相続人となります。もし、父母が死亡している場合に祖父母が相続人となります。

最後に第三順位が兄弟姉妹です。なお、被相続人の死亡時にすでに兄弟姉妹が死亡している場合には、甥や姪が代わりに相続人になります。

以上のように、第一順位の人がいれば、第二順位と第三順位の人が相続することはできません。

つまり、先順位の相続人がいない場合に限り相続をすることができるのです。具体的な相続割合については次の項目から解説します。

被相続人の配偶者とその子どもが相続人の場合

被相続人の配偶者とその子どもが相続人である場合、法定相続の割合は、子供が何人いようと配偶者の相続分は2分の1です。

また、残りの2分の1を子供の人数で均等に割ります。仮に2人兄弟である場合は、4分の1ずつ相続することになります。

この場合は長男であろうが次男であろうがそこに優劣はありません。なお、配偶者はどのような場合でも基本的に相続人となります。

被相続人の配偶者とその兄弟姉妹が相続人の場合

被相続人の配偶者とその兄弟姉妹が相続人の場合では、被相続人に子と父母、祖父母がいないことが状況として考えられます。

法定相続分に沿って考えると、配偶者の相続分は4分の3で、残りの4分の1を兄弟姉妹の人数で均等に割ってそれぞれに分配されます。

ただし、必ずしも兄弟姉妹が全員同じ割合で相続するわけではなく、例外もあります。

父母一方のみを同じくする兄弟姉妹が相続人の中にいる、つまり腹違いの兄弟姉妹がいる場合です。

たとえば、母が死亡した後に父が再婚して生まれた子などが例として挙げられます。

法律上では半血の兄弟姉妹と呼びます。この半血の兄弟姉妹の相続分は、通常の兄弟姉妹の2分の1となります。 

被相続人に配偶者がいない場合

被相続人に配偶者がいない場合、すなわち被相続人が生前にすでに離婚していたり、被相続人死亡時にすでに配偶者も死亡している場合はどうなるのでしょうか。

この場合、第一順位の子が相続財産の全てを相続することになります。

もし兄弟が3人いれば全体の相続分を3分割して相続することになります。また、たとえ被相続人に両親や兄弟がいても相続権はありません。

ちなみに、同じ被相続人の子であっても、内縁の妻や愛人との間にできた子(非嫡出子)は、被相続人から認知を受けている場合、もしくは家庭裁判所にて認知が認められた場合にのみ相続人となることができます。

一方で、被相続人に配偶者も子もいない場合は、第二順位の父母もしくは祖父母が相続権を持ち、第二順位の相続人もいない場合には兄弟姉妹が相続することになります。

遺言書による指定

相続の形態は世界各国で異なりますが、日本においては法定相続と遺言による相続の2種類があります。

遺言者は自分の所有する財産を遺言という形で、相続人あるいは法人に遺贈する旨を意思表示することができます。

被相続人は遺言を残すことで遺産の分割方法に関して細かく指定することができるのです。 

遺言書という言葉は今やよく耳にする言葉となりましたが、この遺言書は大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

自筆証書遺言は全文を自署し捺印することで作成できるもっとも手軽な手法です。

一方で公正証書遺言は、公証人に遺言書を作成してもらう手法で、多少の手間と費用がかかりますが、もっとも安全で秘密の保持も可能な方法となっています。

この遺言書を作成すると、遺言書の内容が実現されます。(遺言の執行) 

なお、遺言による相続が優先ということになっているため、被相続人が遺言を残していなかった場合に初めて、法律で定められている相続人が、法定相続割合に沿って法定相続を行うことになっています。

たとえば、本来であれば特に指定がない場合には、相続人は配偶者や子が一番に優先される立場ですが、遺言書で被相続人が兄弟に全ての遺産を譲るとの旨を記載していればそちらが法律では優先されるのです。

したがって遺言書は相続人おいてもっとも効力を持つものなのです。 

遺産分割協議による決定

遺産の中の何を誰がどのくらい相続するのか、兄弟など相続人の間でしっかりと話し合いを行う必要があります。

これを遺産分割協議と言います。相続が開始したのちに、相続人全員が必ず参加する必要があります。

また、この協議では、法定相続分通りの遺産分割がなされていなくとも、各相続人の自由意志によってその分割は有効となります。

しかしながら、遺産分割と一口に言っても各相続人にはそれぞれが抱える事情があり、財産を完全に平等に分配することも難しいのが現実です。

民法も事細かく分割の方法を示しているわけではないので、分割協議は相続人お互いが理解しあい、ある程度譲歩しあって進めていかなければいけません。 

なお、相続人には担保責任があり、たとえば相続人が債務を継承したものの支払えない場合には、債権者は他の相続人から損失を請求することができるのです。

また、遺産分割協議によって話し合いが進まないときには、家庭裁判所に遺産分割の調停・審判の申し立てをすることができます。 

遺産分割協議の流れ

遺産分割協議に入るためには、その前段階で遺産分割協議書の作成と相続財産の調査を済ませておくことが必要です。

ここからは、遺産分割協議の手順や実施方法について詳しくご説明していきます。 

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議を行う上でまず遺産分割協議書を作成する必要があります。

後々の紛争を防ぐためだけではなく、その後の遺産名義変更を行うにあたっても必須となります。

遺産分割協議書に決まった様式はありませんが、以下のようなことに注意しましょう。 

①誰が何を相続するのかを明確に特定する

土地、建物の場合は、登記事項証明書の通りに記載することで、その後の不動産登記がスムーズに行えます。

また、預貯金については、銀行名、支店名、口座番号などを記載しておくと、銀行での手続きに役立ちます。 

②分割協議書の最後には、協議に合意した相続人全員の署名および実印での捺印をする

相続人の住所に関しては印鑑証明書に合わせて記載します。

また、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割(後述)などの分割方法や、相続人同士で取り決めた条件を明記する必要があります。

相続財産の確定

相続財産の確定も遺産分割協議には必要不可欠で、最終的には財産目録という書類を作成しなければなりません。

相続財産の確定にあたって、被相続人の所有していたプラスの財産だけではなく、マイナス財産についても全て洗い出し、そこから財産目録を作成します。

財産目録に決まった形式はありませんが、遺産分割協議の基本資料になるため、資産と負債とを分けて一覧表にしておくとわかりやすいでしょう。

なお、不動産については、不動産の登記をしていることが一般的です。 

相続財産を確定する上では事前の調査も欠かせません。

まずは不動産登記の権利証などを確認し、被相続人の所有している不動産を確認しましょう。

仮に権利証がない場合でも、被相続人あてに届いている固定資産税の納付書などを手掛かりに、市町村役場にある名寄帳を調べることで不動産の有無を調査することができます。 

さらに、被相続人の預貯金に関してですが、どの金融機関の口座にいくら預金されているのかを正確に把握しなければなりません。

被相続人の遺品である通帳などをてがかりに探しましょう。

口座が無事わかったら、金融機関の支店あてに死亡時点の「預金残高証明書」の発行を依頼し、これを取得しましょう。

これは、預貯金の財産状況を証明する重要な書類となります。 

なお、借金の有無についてもしっかりと調査しておきましょう。

負債は被相続人が隠しているケースも珍しくないので、契約書やクレジットカード、督促状などがないかくまなく探しましょう。

借入先が銀行であれば残高証明書を取得することで確認することができます。

遺産分割協議の実施

遺産分割協議は原則として、相続人全員での話し合いが基本です。

したがって遺産分割協議の実施にあたり、相続人全員が出席できる日程を調整しなければなりません。

ただ、交流があまりない相続人同士の場合、連絡調整すら難しく、遺産分割協議すら開催できるのか怪しいという状況も考えられるので、日頃から親族との付き合いは大切となってきます。

そして遺産分割協議の調整が無事済めば、いよいよ全員出席のもと遺産分割協議が行われます。

ただし、全員がその場に立ち会えない場合には、電話などで連絡を取り合って進行することも可能です。

話し合いの材料としては、相続財産の確定の際に作成した財産目録をもとに、具体的な遺産分割の話し合いを進めていきます。

なお、遺産分割協議を実施する際には議事進行役をあらかじめ決めておくと、話し合いがスムーズに進行できます。

そして最終的に決まった内容を遺産分割協議書にまとめ、書面化します。

遺留分とは

前述で遺言の優位性について少しご紹介しましたが、実は遺言でも100%個人の思い通りにできないことがあります。

たとえば「長男だけに全財産を譲る」といった極端な内容の遺言がまかり通ってしまうと、他の相続人の生活に影響を及ぼしかねないため、相続上、たとえ遺言であっても侵すことのできない一定の保障割合があります。

これを遺留分と言いますが、具体的にどのようなことを指すのかご説明していきます。 

遺留分とは

相続人には最低限これだけは相続できるという割合があり、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人には、遺産の一定部分を必ず与えなければいけないことになっています。

このような遺産の一定部分を遺留分と呼びます。

もし、この遺留分が侵害されれば、遺留減殺請求権という権利を行使し、自分がもらえるはずだった遺産を返すように求めることができます。

たとえば、親が死亡し、1億円の遺産が残されている状況で相続人が子である兄弟だけの場合、兄弟それぞれに2分の1にあたる5000万円を遺留分として受け取る権利が認められています。

もし、仮に被相続人である親が遺言で「長男に全ての財産を譲る。」と書いていたとしても、弟は遺留分減殺請求を行使して、遺留分の5000万円を返すように兄に請求することができるのです。

ただし、もしこの権利を行使するのであれば、相続の開始から1年以内に手続きをしなければいけません。

また、遺留分を侵害されていることを知らなかった場合でも、相続開始のときから10年経過すれば、遺留分減殺請求権を使用できなくなります。

なお、遺留分減殺請求権の行使のしかたについては、侵害されている側が一方的に意思表示すればよいことになっています。

法的には口頭でもいいですが、確実に証明するためにも、配達証明付き内容証明郵便で通知することを推奨します。

兄弟姉妹の遺留分

遺留分は相続人に認められている権利であると述べましたが、厳密には被相続人の兄弟姉妹以外の相続人には遺留分が認められています。

つまり、第三順位の被相続人の兄弟姉妹に関しては遺留分が認められておらず、付随して兄弟姉妹の代襲相続である甥や姪にも遺留分は認められていません。

理由は諸説ありますが、相続人の中でも子や配偶者、直系尊属に比べると、被相続人の遺産財産がなければ生活が立ち行かないなどといった状況が考えにくいことなどが1つポイントとして挙げられています。

なお、兄弟姉妹以外の遺留分の割合は、基本は相続人全員で遺産の2分の1、もしくは相続人が父母など直系尊属だけの場合は、相続人全員で3分の1が遺留分となります。

遺産分割の方法

遺産分割は相続において大変重要なものです。

人数に応じてそれぞれの割合に沿って平等に分けられたら話は早いのですが、財産が現金や預貯金のように分けやすいものばかりだとは限らず、中には不動産や事業資産などのようにすぐに現金化が難しいものもあります。

さらに、分けにくい財産に関しては複数の相続人で分けることになった場合、相続人全員が納得のいく方法で分けるのはなかなか大変です。

ここからは、遺産分割で取れる方法とその特徴についてまとめていきます。

なお、遺産分割の方法は現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4つがあり、遺産分割協議でそれぞれの状況に合った妥当な手段を選ぶことができます。 

現物分割

現物分割とは、遺産をそのままの形で分割する方法です。土地は長男に、株式は長女にというように分割します。遺産分割の中では一般的な手法です。

また、分割の際に手間がかからず、財産をそのまま残すことができるというメリットがあります。

一方で、現物分割では、相続分きっかりの分割が難しいことも特徴としてあげられます。

土地の価格と株式の評価額が必ずしも一致するわけではないので、どうしても完全に平等に分配することは難しいのです。

したがって、現金などの現物で分けられる財産が多い場合に選択される手法です。 

代償分割

代償分割とは、遺産の現物を1人(複数人でも可)が取得し、その取得した人が、相続分に相当するお釣り分を金銭で支払う方法です。

現物が相続分よりも価値が高い場合に、他の相続人に対して相当額を支払います。 

代償分割は、財産の売却が難しい場合に取られる手法です。

たとえば、自宅を取得した相続人が他の相続人に対し、多く相続した分を代償金として支払います。

ただし、それだけの資金が用意できるか、また代償金をきちんと支払ってくれるかという問題もあります。

なお、代償分割の資金を用意する方法として、生命保険を活用する方法もあります。

代償分割は、公平な分割が可能であり、農地や事業資産などを細分化せずにすむ一方で、代償金を支払う能力がないと実現できず、支払ってもらえないリスクがあります。

したがって、親と同居の親族が自宅を相続している場合や、事業継承で後継者に株式等を集中的に相続させたいと考えている方に選択されます。

換価分割

換価分割とは相続財産を売却し、現金化してから分割する方法です。

現物分割が難しい場合や、農地といった現物の分割が妥当でない場合、もしくは現物を分割してしまうと価値が下がってしまう場合にとられる手法です。

公平というメリットがありますが、その財産が現在誰かが住んでいる不動産などの場合、簡単に売却することができません。

また、売却益には所得税などがかかり、財産が減ってしまうというデメリットもあります。

換価分割をまとめると、公平な分割が可能で、現物では分割しにくい財産の分割も可能であることが利点であり、一方で売却の手間と費用がかかることや、財産の現物が残らないことは不利な点と言えます。

したがって、遺産に現金が少ない場合や、自宅は別にあって売却しても問題ない場合に選択される分割方法です。

共有分割

1つの財産を複数人の相続人で持ち合う方法です。

財産をそのまま残すことができるというメリットがあり、公平さはありますが、個人で自由に使用したり、処分できない特徴があり、将来的に権利関係が複雑化するというデメリットもあります。

したがって、好ましいとは言えませんが、近い将来売却して現金化する予定がある場合などに、選択される手法と言えます。 

兄弟での相続例:亡くなった人の兄弟が遺産を相続する

たとえば、どういう状況になると亡くなった人の兄弟が遺産を相続するのでしょうか?実際に例を見ながら確認していきましょう。 

亡くなった人に配偶者がいない場合

亡くなった人に配偶者がいない場合、兄弟が相続人となる可能性はありますが、相続人としての優先順位は高くはありません。

というのも、遺言書での指定がない限り、配偶者は基本的にどのような状況であっても相続人となりますが、もし亡くなった人に配偶者という存在がいない場合、まず相続人として考えられるのは子に当たる人物です。

また子の次に優先順位が高いのは直系尊属に当たる父母(祖父母)で、兄弟姉妹はその次の第三順位に該当するためです。

つまり、配偶者がいなくとも、配偶者との間に子供や父母・祖父母がいれば、兄弟は相続人として認められないのです。

亡くなった人に配偶者がいる場合

一方で、亡くなった人に配偶者がいるケースについても考えてみましょう。

配偶者が生存している場合は基本的に配偶者が必ず相続人となります。

さらに子供がいれば、配偶者と第一順位の子供とが相続人として相続権を有することとなり、遺産は半分ずつ分配されることになります。

仮に被相続人に子供がおらず、父母(祖父母)は生存しているという状況では、配偶者に遺産の3分の2、父母(祖父母)に残りの3分の1が渡されます。

そして、最後に被相続人に子供も父母(祖父母)がおらず、配偶者のみが存在している場合には、兄弟は配偶者とともに相続人となります。

この場合では、配偶者に遺産の4分の3、そして兄弟姉妹に4分の1の割合で分配されることになります。

相続人になるはずの兄弟がすでに死亡している場合

もう1つ別のケースで、相続人になるはずだった兄弟がすでに死亡している場合についてご説明します。

結論から言うと、その相続人になるはずだった兄弟の子にあたる甥や姪が相続人となります。

このしくみを代襲相続と呼びます。なお、代襲相続は兄弟姉妹だけにある制度ではなく、たとえば相続人である子が、被相続人よりも先に死亡していたり、相続権を失っている場合には、子の子である孫が代襲相続人として、相続権を持つことになります。

つまり、被相続人に子やそれより下の世代がいる限りは、代襲相続が次々と認められるのです。 

また、代襲相続は相続するはずであった兄弟姉妹がすでに死亡している場合のみならず、相続欠格や相続排除と呼ばれる制度によって相続権を剥奪された場合にも認められています。

ただし、甥や姪もすでに死亡している場合に、その甥や姪の子が代襲相続することはできませんので注意が必要です。 

兄弟での相続例:亡くなった親の遺産を兄弟で相続する

続いての相続例は、亡くなった親の遺産を兄弟で相続するケースです。

改めてにはなりますが、子は第一順位の相続人なので、被相続人への虐待や暴言などが原因で、相続人としての権利を剥奪されない限りは基本的に相続することが多いでしょう。

もう一方の親がすでに死亡している場合

まず、兄弟の一方の親がすでに死亡している場合について考えていきます。

たとえば、被相続人である父が亡くなった際にすでに配偶者である母が他界していた場合、相続人となるのは第一順位の子にあたる子どもたちです。

したがって、仮に父が遺産を5000万円残していた場合、基本的には子どもたち(兄弟)で均等に分けるため、兄弟の人数が2人であれば、1人2500万円ずつ相続することになります。

ただし、遺言で他人への遺贈を明記していたり、兄弟の誰か、もしくは全員に相続人の廃除などが行われている場合はこの分配割合に必ずしも限定されるわけではありません。

なお、相続では、被相続人の相続させたくないという気持ちも尊重されるため、仮に相続人が被相続人に暴力を振るっていたり、暴言を吐いていたりしたなどの理由で「いっさい相続させない」という意思を被相続人が主張している場合には、いくら子であっても相続人としての権利を廃除されてしまうのです。

これを相続人の廃除と言い、遺留分の権利も剥奪されます。 

もう一方の親が健在の場合

一方で、被相続人の配偶者、つまり片親がまだ存命している場合であっても、子どもたち(兄弟)も配偶者とともに相続人となります。

たとえば、被相続人の遺産が1億円あったとして法定相続分で考えると、

配偶者であるもう一方の親に半分の5,000万円、もう半分の5,000万円を兄弟で分割するので、兄弟が2人であればそれぞれ2,500万円ずつ相続することになります。

もうすでにお分かりかもしれませんが、相続において兄弟に優劣はなく、被相続人の「子」として見なされます。

したがって、兄弟が関係する相続において長男であるから次男よりも多くの遺産を相続できるなどといった仕組みはないのです。 

遺産相続において兄弟でトラブルが起きる原因

ここまで相続について細かくご説明してきましたが、遺産分割などの相続手続きを進めるにあたり、兄弟という近しい関係性であるからこそ避けられない問題もあります。

ここからは遺産相続において兄弟間でトラブルが起きる原因についてご説明していきます。 

遺産を公平に分けることができない

前述の通り、遺産はきっかりと等分するのが難しいのが現状です。

いくら兄弟で同等の遺産を相続する権利があるからといって、完璧に半分ずつ分け合うというのは想像より難しいことなのです。

理由としては、遺産というのは現金のように平等に分けられるものだけではなく、不動産のように分けづらい財産もあるためです。 

また、分割方法によっては、財産を売却して金銭に換えてから分配したりすることも可能ですが、そうなると財産の現物が残らなかったり、手間と費用がかかってしまう側面があります。

このように、遺産を公平に分けることができない点は兄弟トラブルに発展する危険性を秘めています。

そのため、完全に平等に分けられないことを理解した上で、それぞれが相手の状況を思いやりながら、相続財産の決定を行うことが非常に重要です。 

話し合いができていない

そもそも相続の話し合いができていないケースも兄弟間で見受けられます。

終活という言葉を最近耳にすることも多くなりましたが、自分が相続する側として事前に準備を行う人はそこまで多くないでしょう。

ただ、日頃から兄弟の間で相続についての見通しを話している状態で相続手続きや遺産分割協議に参加するのか、もしくは全く何もない状況で相続の話し合いを行うのかでは、合意形成までのスピードは天地の差でしょう。 

いくら兄弟であって気心が知れている関係だとしても、相続に対する考えや価値観までが一致するとは限りません。

また、急に親や親族などの大切な人が死亡した状況下で、いきなり相続の話になってもうまく気持ちを切り替えられなかったり、思わず感情的になってしまう人もいます。

1人の人間同士、自分の意見を主張しつつも、譲歩する余地を自身が持っていなければ有意義な話し合いはできず、そのように相手を思いやる余裕のある話し合いを行うためには、あらかじめ相続についてお互いの認識をすりあわせておくことが大切です。 

兄弟の配偶者が口を出す

兄弟がもめている場合には、実は兄弟の配偶者が遺産相続において、細かく口を挟んでいることで状況がややこしくなっているケースも考えられます。

本来、遺言での指定がない限り兄弟の配偶者に相続権はありませんが、実質兄弟が相続すれば同じく生活をともにするその配偶者の生活にも少なからず影響を及ぼすことになります。 

したがって、相続人である兄弟の配偶者が、相続手続きに過剰に介入してくる可能性もありトラブルの原因となりえるのです。

なお、兄弟の配偶者といえども親族である以上は、今後の人生で関わり合うことを避けにくい存在であり、相続が原因で関係性が破綻してしまうのは望ましい状況ではないため、兄弟の配偶者を含む、全体的な意見をできる限り汲み取りながら慎重に進めていく姿勢がポイントです。

親の死後に別に兄弟がいることが分かった場合

親の死後に別に兄弟がいることが発覚するケースもトラブルの一因として挙げられます。

基本的に養子であっても婚外子であっても、被相続人の認知があればその子は実子と変わらず、子として第一順位の相続権を得ることになります。

つまり、もし兄弟以外に被相続人のもとに子供がいて、かつ認知されていればその子の分も分け与える必要があるのです。 

事実婚や離婚は今や珍しいことではありませんが、家庭によっては腹違いの子供の存在を子に教えない人もいます。

ただ、状況はどうであれ、仮に親の死後に別に兄弟がいると知った場合、その子を知らなかったとしても、相続権を剥奪したりすることは基本的に不可能です。

また、養子であっても非嫡出子であっても、相続割合は実子と何も変わらず、法定相続人として相続することが一般的です。 

遺産が実家の不動産のみの場合

遺産が不動産のみである場合も兄弟間のトラブルになりかねません。

現金であればわかりやすく等分が可能なのですが、不動産となるとそうもいきません。

たとえば、遺産である実家が相続では兄のものになったとしても、弟が実家住まいのケースも考えられます。

寄与分があると主張する相続人がいる場合

たとえば、親が財産形成を行っていたとして、子供がその事業を手伝っていることは特に珍しくはありません。

こういった状況では、子供も親の財産形成に貢献したと言えるでしょう。

そこで、この子供の財産形成におけるサポートにより、親の財産維持と増加への寄与があった相続人の相続分には、その寄与分を相続分に加算し、相続における公平性を保っています。

兄弟間の相続トラブルでは、どちらかがこの寄与分を主張する可能性もあります。

しかし、この寄与分は算定が難しい上に争いのもとになりやすいことが特徴です。

したがって、寄与分が原因の家庭裁判所での調停では、寄与分は取り下げられて、調停が成立することが多いようです。

兄弟の相続争いを避けるには

それでは兄弟の相続争いを避けるためにはどうすればよいのでしょうか?兄弟間の争いを避ける対処方法についてお伝えします。

遺言書を作成する

第一に考えられるのは、遺言書を作成することです。

被相続人が遺言書を作成している場合と、用意していない場合での相続における話し合いのスムーズさは雲泥の差でしょう。

遺言書がなければ、まず遺産を洗い出すところから始まり、場合によっては市役所や銀行に足を運んで書類を準備したりするなど手間や労力もだいぶと変わってきます。

また、遺言書で明確に遺産分割における意思を明記していれば、基本的にはその遺言に沿って相続は進むため、一から全部自分達兄弟だけで相続について決めていくよりも話をのみ込みやすく順調に進むことが多いのです。

生命保険に加入する

生命保険は、受取人の固有財産であるため、もし受取人が被相続人であれば生命保険は相続財産となります。

一方で受取人が被相続人以外である場合は、相続財産ではないため、遺産分割の対象になりません。

たとえば、被相続人が保険料を支払い、「自分が死亡した際には兄弟のうち兄が保険金を渡す」という生命保険に加入していれば、その保険金は兄固有の財産となり、弟と遺産分割をする余地がないのです。

つまり、生命保険は遺産分割の対象にならないため、指定した受け取り人が受け取るほかないというシンプルな構造であるため、遺産分割におけるトラブルを避けられるのです。

起きてしまった相続争いを解決するには

それではもし相続争いが起きてしまったらどうすればよいのでしょうか?

状況によっては、訴訟問題になってしまうこともあるため、最悪の事態に備えておきましょう。 

遺産を多く相続する人が代償金を支払う

遺産価値の高いものを相続した人が、受け取りすぎた分を代償金として支払うことで解決できるケースがあります。

たとえば、兄弟のどちらかが不動産や株式などの現物を相続した場合に、そこで不公平な相続割合となっているのであれば、その過分を金銭で支払うことで公平性を保てます。

相続分を譲渡する

また、相続分を譲渡してしまうのも相続争いを避ける1つの手です。

相続において争いが起きるのは、遺産分割協議での話し合いがまとまらないことが挙げられます。

たとえば、兄は自分の相続分に不満はなくても、弟が相続内容に納得がいっていないケースでは、兄が自分の相続分を弟に譲渡する代わりに、譲渡分の財産に匹敵する金銭を返還してもらうといった方法をとることで、遺産分割協議に参加する必要がなくなります。

したがって、相続分を譲渡することで相続争いからは離脱することが可能なのです。

なお、この相続分譲渡は有償でも無償でも行うことができます。 

遺留分を放棄する

相続に執着がなく、とにかく相続争いに巻き込まれたくないとお考えの方には、遺留分を放棄するのもよいかもしれません。

なお、遺留分とは前述の通り相続人に最低限度保証された相続分のことで、本当に相続に関わりたくない人向けの対策と言えるでしょう。 

ただし、遺留分を放棄しても相続権がなくなったわけではありません。

相続権は継続して持っている状態であるため、場合によっては負債を相続することになったりするケースもあります。

以上のようなことから、遺留分を放棄を行うプラス、相続放棄(相続権そのものを放棄する)と、より安心して相続争いを避けることが可能になるでしょう。 

弁護士に相談する

全く埒があかない場合には、第三者であり、専門家である弁護士に相談するのもおすすめです。

葬儀などを終えた後、多くの人は疲弊した精神状態で冷静な判断などがしにくくなっているため、費用はかかってしまいますが、まずは専門家の指示を仰いで、それぞれが公平に相続できる環境や状況について一緒に整理していくのが賢明な場合もあります。

弁護士の相談費用相場

弁護士への初回の相談費用は30分5,000円〜6,000円程度が相場とされています。

そして、相続争い問題の解決について依頼するとなると、相続財産の金額や成功した場合の利益の金額にもよりますが、30万以上はかかると考えておいてよいでしょう。

なお、弁護士の報酬のしくみに関してですが、構成項目は「着手金」と「成功報酬」の2つに分けられます。

着手金は、遺産財産の◯%という風に決められています。

例えば、相続財産が300万円以下の場合は着手金はその8%と設定されており、300万円以上3,000万円以下の場合は5%+9万円という割合で料金を支払わなければなりません。

一方、成功報酬は文字通り、成功した場合に発生する料金で、こちらは最終得られた経済利益に◯%かけた金額を支払うものです。

たとえば300万円以下の場合は16%という決まりがあります。したがって、相続財産の金額で料金は変動するのです。 

兄弟での遺産相続についてのまとめ

遺産の分割のされ方や相続方法について正しい知識を持ち得ていないことで、たとえ気心の知れた兄弟であっても遺産相続で争いが起こってしまう可能性があります。

良好な兄弟の関係性を保ちながらも後腐れのない相続ができるよう、遺産相続についてお互い意識しながら、できれば早い段階で一度意思のすり合わせを行っておくのがよいでしょう。

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