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家族信託を完全解説!手続き・費用・認知症対策を紹介!

近年新たな財産管理の方法として注目を浴びている「家族信託」。

従来の制度よりも効果的に財産を管理・運用できる面もありますが、もちろんデメリットもあります。

今回はそうした様々な側面から家族信託について見ていきましょう。

INDEX

01
家族信託の基礎知識
02
家族信託が注目される理由
03
認知症への備えとしての家族信託
04
認知症の備えとしての活用事例
05
家族信託のメリット
06
家族信託のデメリットとリスク・注意点
07
家族信託の手続きと費用
08
家族信託についてのまとめ

家族信託の基礎知識

はじめに「家族信託とは具体的にどういうものなのか?」ということをご説明します。

家族信託とは・家族信託の基本的な仕組み

これまで「信託」は、被相続人の財産を銀行や会社などに管理してもらうというのが一般的でした。

ただし、免許を取得している信託銀行や会社にしか依頼できません。

さらに費用もかかるため、始めるためのハードルが少し高いということもありました。

そのため現在では、家族に財産管理を一任する「家族信託」という手法が広まりつつあります。 

この家族信託の良いところは、やはり「信頼できる家族に財産管理をしてもらえる」という点でしょう。

今がどれだけ元気でも、いつ認知症や病気などにかかってしまうかはわかりません。

そのような状態になれば、自分自身の財産を管理することは非常に難しいでしょう。

その時に信頼できる家族や親戚に財産を管理してもらうことで、大切なお金や不動産などを安全に守ることができるのです。

この家族信託は、基本的に以下のような三者間の仕組みで成り立っています。 

まず、現在財産を所有している人物を「委託者」と呼びます。家族信託の目的は、この委託者の財産を管理することです。

財産は、委託されることで「信託財産」と呼ばれるようになります。 

上記の信託財産を委託者に代わって管理・運用する人物を「受託者」と呼びます。

受託者が決まったら、信託財産の名義人もこの受託者に変更するのが一般的です。 

そして、受託者が運用する信託財産によって発生した利益を、実際に受け取る権利を持つ人物を「受益者」と呼びます。

この受託者と受益者が別人でも問題ありません。

成年後見制度との違い

この家族信託制度が開始する前は、「成年後見制度」という制度によって財産を管理することが多かったです。

しかしこの制度では、運用の際にいくつかのルールがあったため利用しにくさもありました。

それは「家庭裁判所によって財産が適切に管理されているかを監督される」というものです。

一番の理想は、財産管理を任された人物が思うように資産運用したり不動産を売却したりできる、というものでしょう。

管理を任せる側としても「家族に自由に運用してほしい」という考えがあったかと思います。 

しかし成年後見制度では、家庭裁判所に対して「どのように運用したか?」などを定期的に報告する義務が生じます。

そしてもしその報告内容に問題があると判断されれば、選任された「後見監督人」によって後見人の動向をチェックされてしまうのです。

こうした管理の目がある以上、いくら財産を任された身であるとはいえ自由に運用することはできません。

しかもこの後見監督人に支払う月額報酬(1〜2万円程度)は後見人の負担となります。

管理され続ける限りずっと支払う必要があるため、いくら財産を引き継ぐとはいえ負担は増えていくでしょう。

一方で、家族信託の場合はこのような手間や負担はありません。

委託者と受託者の合意があれば、基本的には両者の希望通りに財産を管理できるのです。

これにより、成年後見制度よりも委託者の意向を色濃く実現できると言えるでしょう。

民事信託・商事信託との違い

信託は大きく「商事信託」「民事信託」の2種類に分けられます。

「商事信託」とは、信託銀行が営利目的で運営している信託のこと。それ以外の信託を「民事信託」と呼びます。

今回取り上げた家族信託は、この「民事信託」の中の一部。特に信頼できる家族や親戚に財産管理を任せる行為のことを指すのです。

家族信託が注目される理由

このように、成年後見制度などに変わり新たな財産管理の方法として注目されている家族信託。

それでは具体的にどのような点が注目されているのでしょうか? 

認知症への備え

高齢化が進行している日本では、自分がいつ認知症や重い病気にかかり寝たきりになっても不思議ではありません。 

もしもそのような状態になってしまうと、生活面だけでなく財産の管理面においても大きな困難が生じます。

認知症にかかれば正常な判断を行うのが難しくなるため、そこから急いで本人の意思を確認して財産を分配しようとしても、そもそもその「本人の意思」にどれだけの信頼性があるかは保証できません。

だからといって、いくら家族でも他人の財産を勝手に運用したり分配することは禁止されています。 

このように、被相続人の意思を確認できなくなってからでは遅いのです。

そうした状態を回避するために、家族信託によって信頼できる人物に委託することが重要になりつつあります。 

任意後見制度の利用に対する限界

この「任意後見制度」でも、家族信託と同じように財産を管理してくれる後見人を指定することができます。 

ただし、この制度によって指定された後見人が実際に権限を発揮するのは「被相続人の判断力が低下してから」です。

現実的に考えれば、いつから判断力が低下したのかなどということは正確にわかるはずがありません。

しかも被相続人が後見人と離れて暮らしていた場合は、その判断がさらに難しくなります。

それに加えて先述のような家庭裁判所により縛りもあるため、実際の運用はなかなか不便だったと想定できるでしょう。

こうした問題も含めて考えると「任意後見制度は限界ではないのか?」という声もあり、家族信託に注目が集まり始めたのです。

財産の承継に対する安心感

信託銀行や会社を信頼していないわけではありませんが、それでもやはり「ずっと一緒にいた家族に財産を管理してもらった方が安心」という考えの方もいるでしょう。 

家族信託であれば信頼できる人物に財産を任せられるだけでなく、適切な管理・運用がされているかを間近で確認できるためその点でもかなり安心です。

任意後見制度とは異なり、普段通りの判断ができるうちに財産管理を確認できるのは大きなメリットでしょう。

認知症への備えとしての家族信託

上記でご紹介した通り、家族信託は特に認知症への備えとしても有効的な手段として注目を集めています。それでは具体的にどういうことかをご説明しましょう。

認知症でできなくなる可能性があること

そもそも、認知症が発生することでどのようなことができなくなってしまうのでしょうか?それに当てはまるものとして以下のようなものが考えられます。

・家族信託の契約を結ぶ

・不動産売買

・株の運用

・遺産分割協議

・預貯金の引き出し及び預け入れ

・遺言書を作成する

「認知症によって正常な判断を行うのが難しい」とされれば、家族信託契約自体はもちろん、上記のような様々なことができなくなります。 

不動産の所有権とは

より詳しい話をするために、まずは不動産の「所有権」についてご説明します。

「所有権」とは、不動産の持ち主に対して与えられた権利のことです。

主に「管理する権利」「お金を受け取る権利」を行使することができます。 

「管理する権利」で行えるのは、不動産の売却や建て替えなどです。

そして「お金を受け取る権利」で行えるのは、不動産の売却代金の受け取りや家賃の回収などです。 

所有者が認知症になってしまった場合

それではもし、上記の所有権も持つ所有者が認知症になった場合はどうなるのでしょうか?

実はそのような時であっても、所有者以外の人物が不動産を売却したり建て替えたりすることはできません。

なぜなら、仮に所有者の判断力が低下した場合でも所有権に関しては失効されないためです。 

しかし家族信託にしておくことで、不動産の管理・運用を家族に任せながらも利益自体はそのまま所有者が受け取ることができます。

これなら認知症になってしまっても、信頼できる家族に財産を運用してもらえるので安心です。 

成年後見制度でできること・できないこと

先述の通り成年後見制度では、家庭裁判所による管理の目が強くなかなか自由に財産を運用できないという実情があります。

だからといって全てが悪いわけではありません。当然成年後見制度にも「できること・できないこと」の両方が存在します。

まず「被相続人の預貯金の解約」「保険金受け取り」「遺産分割手続き」などは問題なく行えます。

また、家庭裁判所の許可は必要ですが、被相続人名義となっている住居用の不動産を処分することも可能です。

さらに成年後見制度に関しては「身上監護」を行う権利もあります。

詳細は後述しますが、簡単に言えば被相続人の介護や入院のために必要な手続きを代行できることです。

さらに「悪徳業者と契約してしまった」というような場合も後見人によって解約ができます。 

反対に成年後見制度でできないこととしては「株式を実際に運用する」「不動産や預貯金などの名義を勝手に後見人名義に変更する」「管理している財産の勝手な売却や贈与」などです。

基本的に後見人というのは、被相続人の財産を管理するのがメインの仕事。そのためこうした利益に繋がるような行為はできません。 

生前贈与との税金の違い

不動産を中心に、財産の管理を全て任せるための手段としてこれまでは「生前贈与」が一般的でした。

これにより完全に所有権が移るので利益も引き継げます。

しかしその分、贈与税をはじめとして不動産贈与に必要な「登録免許税」「不動産取得税」といった税金も必要でした。

さらにこの贈与の実行を専門家に依頼した場合は、依頼料も含めてより多額の費用がかかってしまいます。

一方で家族信託の場合は、あくまでも「管理する権利だけを移す」ため利益が発生せず、贈与税なども必要ありません。

不動産の登録に登録免許税が必要ですが、それ以外は節約できるのでかなり負担は減ると言えるでしょう。

遺言書の代わりとしての活用

家族信託では、財産管理を任せるだけでなく遺言書としての効果も期待できます。

例えば、「財産の運用自体は受託者である長男に任せるが、利益を受け取るのは受益者である妻」というような形です。

これを行うことで、現金の利益はもちろんですが家賃収入なども被相続人の希望通りになるでしょう。

家族信託をはじめるべきタイミング

それでは具体的に家族信託はどのようなタイミングで始めるべきなのでしょうか?

一番理想なのは「判断力がまだ健在している」というタイミングでの開始です。

遅くとも、自分の体調や意識に問題を感じ始めた段階で家族信託を契約しておくべきでしょう。 

そうでなければ、その契約自体に信頼性があるか疑わしくなってしまいます。

委託者の財産を希望通り確実に守るためにも、早めに家族信託は始めておきましょう。

認知症の備えとしての活用事例

認知症の備えとして家族信託を活用する際にオーソドックスなものは以下のようなケースです。

『現在、高齢の父が管理しているアパートがある。今はまだ大丈夫だが、もし認知症等になってしまうと家賃の回収や改築などの際に支障が出てしまうだろう。

そこで、「父→委託者兼受益者」「子供→受託者」となるような家族信託を契約することで、父の身に万が一のことが起きても子供の権限でアパートを管理できるようにした。』

このように、高齢の親に代わり子供が不動産などの財産を監視するというのが一般的でしょう。

家族信託のメリット

それでは具体的に家族信託にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

振り込め詐欺の防止

振り込め詐欺は、基本的に判断力の低下した高齢者の方をターゲットにして行われます。

もし認知症等になってしまうと、犯人の要求に応えてしまうかもしれません。 

しかし、家族信託によって預貯金の名義人を子供に変更しておけば、そうした支払い関係の管理を全て任せることができます。

そうすれば「犯人に騙されて振り込んでしまった」という事態も防げるでしょう。 

預金の封鎖の防止

預貯金に関する名義人である親が認知症等になってしまうと、定期預金を解約できないなどの問題が発生します。

そのため、口座の中に資産が入っているのに自由にそれを活用できないというような事態になりかねません。

しかし名義人を子供に変更しておくことで、親の資産を自由に引き出し有効的に活用することができます。

贈与税なく名義が移転できる

もしも不動産等の名義を「贈与」という形で子供に引き継いでしまうと贈与税などが必要になってしまいます。 

しかし家族信託であれば、贈与ではなく財産管理にあたるためそうした税金がかかりません。

財産管理の見える化ができる

家族信託では、被相続人の判断力がしっかりある間に財産管理を任せることができます。

そのため被相続人自身の目で「適切に管理されているか?」ということを確かめることが可能です。 

遺言の代わりになる

先述の通り、家族信託では財産管理を任せるだけでなく、最終的にどのような形で相続させるのかという点についても定めています。

そのため、面倒な遺言書の作成をせずとも遺言書と同等の効果を発揮することができるのです。 

遺言にできない承継策ができる

基本的に被相続人が遺言で相続に関しては指定できるのは、直接の相続人である「一次相続」に関することのみです。

つまり「息子の◎◎には相続させるが、その娘の××には相続させない」というようなことはできません。

××は◎◎にとっての相続人なので、どのような相続を行うかは◎◎に決める権利があります。 

しかし家族信託であれば、上記のようなことが可能です。例えば「息子の◎◎が亡くなった後は、受益者としてその娘の××ではなく□□を指定する」というような形になります。

これは「受益者連続信託」と呼ばれており、被相続人の意思をさらに実現しやすいものであると言えるでしょう。 

さらに「財産承継の順位づけ」を行うこともできます。

遺言書では相続人の指定はできますが、「指定した相続人が亡くなったりした場合の相続人」に関しては指定できませんでした。 

しかし家族信託では財産承継の順位づけができます。

例えば「相続人第一順位の××が認知症にかかったり突然の死亡などにより相続できない場合は、第二順位の●●が相続する」などです。 

このように家族信託では、一次相続だけでなくその後の相続人の決定に関しても大きな権限を持てるようになります。 

相続税の節税策が継続できる

家族信託では上記の通り、二次相続以降のやり方に関しても被相続人に決定権があります。

そのため、相続税対策に活用される「各種控除」「小規模宅地の特例」等を「どのタイミングでどのようにして活用するのか?」ということまで決めることができ、なるべく相続税負担を抑えた承継を実現できるのです。 

運営コストを安くできる

成年後見制度を利用して財産管理を行うと、家庭裁判所の介入やそれに伴う実費負担などが発生します。

しかし家族信託の場合ではそのようなことは必要ありません。基本的には家族間の合意があれば自由に財産を管理することが可能です。 

家族信託のデメリットとリスク・注意点

これまでメリットをメインにご説明してきましたが、もちろん良い面だけではありません。

下記のようなデメリットもあるため、こうしたこともきちんと認識した上で家族信託の利用を検討しましょう。 

受けてくれる家族がいないと簡単にできない

そもそも財産を任せられる家族がいない場合は、家族信託を利用することができません。

もし家族がいたとしても、何らかの事情により信頼関係が結ばれていない場合は財産を任せるのは難しいでしょう。 

「家族はいないが財産の管理は依頼したい」という場合に、一般社団法人を設立するというやり方もあります。

しかしこれには手間がかかる上に仕組みも難しくなるため、あまり現実的ではありません。

登記料がかかってしまう

不動産を信託財産にすることも可能です。しかしその場合は新たに登記を行う必要があるため「登記料」が必要になります。

この金額もそこまで無視できるものではないため、家族信託をする上ではこうした支払いも考慮しなければなりません。 

身上監護はできない

被相続人の医療や介護などに関する行為を後見人が代理で行う定めのこと「身上監護」と呼びます。

具体的には、各種施設への入所手続きや病院の入院手続きなどです。

被相続人本人での手続きが難しい場合は、こうしたことを後見人が代行する責任があります。

特に成年後見制度の中には「身上配慮義務」というものがあるため、義務としてこれらのことにも取り組む必要があるのです。

被相続人としては、確実に自分の補助をしてもらえるので安心でしょう。 

それに対して、家族信託に関しては身上監護に関する取り決めがありません。

そのためこうした手続きまで代行してほしい場合は、新しい遺言書を作成しその中で「身上監護に関する希望」を記載しておく必要があります。 

成年後見や遺言でないとできない事もある

先ほど述べた身上監護に加えて、家族信託では「契約時点で確認できなかった財産は対象にならない」という面もあります。

例えば、信託契約を結んだ時点で「全ての財産を網羅したはずだったが後から不動産の存在が判明した」となった場合、その新たに見つかった不動産に関しては別途遺言書で相続人などを指定しなければいけません。

遺言書であれば新しいものを作成することができますが、家族信託はそれができないためです。

受託者を誰にするかで争いになる可能性

大前提として、家族信託はお互いの信頼がある上で成り立っています。

しかしいくら家族といっても、財産を自由に運用できる以上は身勝手に管理される可能性も0ではありません。

そのような事態になれば家族一同から反感を買うでしょう。 

そうしたトラブルを避けるために、受託者を慎重に選ばざるを得ない時もあるかもしれません。

そんな時でも他の相続人が全員納得した上で選任できれば問題ないのですが、そうでない場合は身内で争うことにもなりかねないので注意が必要です。

さらに委託者の中には「名義人を変更する」ということに不安を感じ方もいるでしょう。

場合によっては自分の財産を取り上げられてしまったと感じる方も少なくありません。

制度上は名義変更をしても何ら問題はありませんが、そうした感情的な反発が起こる可能性は予測しておいても良いでしょう。 

節税効果は期待できない

家族信託は活用次第では節税効果を生むことができるかもしれません。

しかし基本的に「家族信託制度そのもの」に関しての節税効果はありません。

相続や生前贈与の場合は基礎控除などがありますが、家族信託ではそのような効果を期待して運用はしない方が良いでしょう。

それだけではなく、受益者に対してまだ利益が発生していない場合でも「すでに財産を相続している」と認識されるため、税負担などが発生する可能性もあります。 

遺留分侵害額請求の対象となる可能性

兄弟姉妹以外の法定相続人には「遺留分」という制度によって最低限の分配割合が保証されています。

基本的にこの遺留分制度は家族信託にも適用されるため、いくら被相続人の意思といえどもこの割合を無視した内容にした場合は遺留分請求を出されてしまうでしょう。 

しかし、実は遺留分に関しては専門家によって「家族信託では遺留分請求が適用されない」という判断が出されることもあるので注意が必要です。

なぜ意見が異なるのかというと、この家族信託自体が比較的新しい制度であるためです。

そのため、実際のケースや専門家によって意見が異なる場合があるのです。

損益通算ができなくなるリスク

「損益通算」は投資においてよく用いられる考え方です。これは「ある期間内に出た損失と利益を相殺する」ということであり、財産の運用にも適用されます。

例えば財産不動産の運用によって利益が出た場合、そこには税金がかかるのが一般的です。

しかし損失分があれば、損益通算によってその分を利益分から減額し、結果的に税金を抑えることができます。

ただし家族信託で運用した財産においては、この損益通算が使えない場合もあるのです。

税務申告の手間が増える

家族信託で運用した財産に利益が発生した場合に、通常とは別の手続きが必要になる場合もあります。

例えば不動産運用によって利益が発生した場合、確定申告の時に「信託財産の明細書」が必要です。

また、信託財産の運用によって年間3万円以上の収入が発生した場合、「信託計算書合計表」「信託計算書」という書類も用意しなければなりません。

このような通常とは違う手続きを煩わしく思う方にとっては少し不便に感じるでしょう。

実務に精通した専門家が少ない

基本的にこのような法律が絡む事柄に関しては、税理士などの専門家に依頼して手続きを進めてもらうのが一般的です。

自分たちでもできないことはありませんが、どこで手続きをしくじるかわかりません。

しかし、この家族信託制度自体の歴史が浅いため、専門家の中でも意見が分かれてしまうのが正直なところです。

例えば、先述の遺留分に関しても「家族信託は遺留分の対象外である」という意見もあれば、そうでない意見もあります。

そのため、依頼する専門家を吟味しなければ支払額などで損をする可能性もあるので注意しましょう。

できる限りこうした案件に関する実績の多い専門家を選ぶことがオススメです。

長期にわたって当事者を拘束する

先述の通り、家族信託では自分の直接の相続人に関することだけでなく「二次相続以降」に関しても定める権限があります。

確かにこれにより被相続人の意思を色濃く実現できるようにはなったでしょう。

しかし世代を超えて1人の意思を引き継ぐため、いずれ大きなトラブルが発生する可能性も否定できません。

自分が特に親しくしていたわけでもない被相続人の意思が次の世代まで反映されては、当事者にとっては納得できないこともあるでしょう。 

それを考慮すると、家族信託で次の世代にも影響を及ぼす内容を決めるときは、そうしたトラブルが起きないようにさらに慎重に設計する必要があります。

家族信託の手続きと費用

家族信託の契約に必要な流れと費用は以下の通りです。

手続の流れ

①委託者・受託者・受益者の3名を決める

②この3名で契約内容について話し合う

③公正証書を利用して、話し合った内容を「信託契約書」にまとめる

④不動産が信託財産となった場合は受託者名義に変更する(信託登記)

⑤受託者名義の口座を開設しそこに信託財産を入れることで手続き完了

家族信託にかかる費用

家族信託は家族間で完結する契約のため、基本的には費用等は必要ありません。

ただし、「家族信託に間接的に関わること」においては必要に応じて費用がかかるので確認しておきましょう。

まず、公正証書を作成する際の手数料が必要です。公正証書は、証人と一緒に役場で作成する書類です。

そのため、信頼性は担保されますが手数料がかかります。1〜5万円くらいになるのが一般的です。

専門家に家族信託の相談等を行えばその分の費用もかかります。金額は事務所によってばらつきがありますが、相場としては「財産額が1億円以下であればその内の1%が手数料となります。

それより高い金額部分に関しては0.5%が手数料」となることが一般的です。 

他にも、不動産の登記に必要な「登録免許税」や、信託監督人など第三者に関わってもらう場合に必要な費用もあります。

こうしたものを含めて、トータルでどのくらいの費用が必要になるのかをしっかり確認しておきましょう。

家族信託についてのまとめ

以上が家族信託を様々な視点からご説明した内容になります。それでは最後に改めてご紹介した内容をまとめて確認しておきましょう。

◎家族信託とは「信頼できる家族に財産管理をしてもらう」という新たな管理手法のこと。基本的には以下の三者間の仕組みで成り立っている。

・現在財産を所有している「委託者」

・託財産を委託者に代わって管理・運用する「受託者」

・受託者が運用する財産によって発生した利益を、実際に受け取る権利を持つ「受益者」

◎家族信託制度が開始する前は「成年後見制度」という制度によって財産を管理することが多かった。しかしこの制度では「家庭裁判所によって財産が適切に管理されているかを監督される」という手間があるため、財産を任された身であるとはいえ自由に運用することはできない。

◎信託は大きく「商事信託」「民事信託」の2種類に分けられる。「商事信託」とは、信託銀行が営利目的で運営している信託のこと。

それ以外の信託を「民事信託」と呼ぶ。家族信託は、この「民事信託」の中の一部である。 

◎家族信託が具体的に注目されている理由は以下の通り。

・認知症への備え

被相続人の意思を確認できなくなってからでは遅いため、そうした状態を回避できるように家族信託によって信頼できる人物に委託することが重要になってくる。

・任意後見制度の利用に対する限界

この制度によって指定された後見人が実際に権限を発揮するのは「被相続人の判断力が低下してから」であるが、いつから判断力が低下したのかということは正確にわかるはずがない。

そうした問題も含めて「任意後見制度は限界ではないのか?」という声があった。 

・財産の承継に対する安心感

信託銀行や会社を信頼していないわけではないが、「ずっと一緒にいた家族に財産を管理してもらった方が安心」という考えの方も多い。 

◎家族信託は認知症への備えとして有効的な手段であるが、具体的に有効な点というのは以下の通り。

「家族信託の契約を結ぶ」「不動産売買」「株の運用」などの行為は、認知症にかかると行うことが難しい。

また、不動産の所有権も持つ所有者が認知症になった場合も同様である。

しかし家族信託にしておくことで、不動産の管理・運用などを家族に任せながらも利益自体はそのまま所有者が受け取ることが可能になる。

◎成年後見制度で「できること」は、「被相続人の預貯金の解約」「保険金受け取り」「遺産分割手続き」など。

家庭裁判所の許可があれば被相続人名義の住居用不動産を処分することも可能。さらに「身上監護」を行う権利もある。 

反対に成年後見制度で「できないこと」は、「株式を実際に運用する」「不動産や預貯金などの名義を勝手に後見人名義に変更する」「管理している財産の勝手な売却や贈与」など。 

◎生前贈与との税金の違い

財産の管理を任せる手段としては「生前贈与」が一般的だが、各種税金等が必要である。しかし家族信託の場合は、そうした贈与税などが必要ない。

◎家族信託では、財産管理を任せるだけでなく遺言書としての効果も期待できる。

◎家族信託「判断力がまだ健在している」というタイミングで開始するのが理想である。 

◎認知症の備えとして家族信託を活用する際にオーソドックスなものは「高齢の親に代わり子供が不動産などの財産を監視する」というケース。

◎具体的な家族信託のメリットは以下の通り。

・振り込め詐欺の防止

家族信託によって預貯金の名義人を子供に変更しておけば、振り込め詐欺の防止につながる。 

・預金の封鎖の防止

預貯金に関する名義人である親が認知症等になってしまうと、定期預金を解約できないなどの問題が発生する。

しかし名義人を子供に変更しておくことで、親の資産を自由に引き出し有効的に活用することができる。

・贈与税なく名義が移転できる

家族信託であれば、贈与ではなく財産管理であるため贈与税がかからない。

・財産管理の見える化ができる

家族信託では、被相続人自身の目で「財産が適切に管理されているか?」ということを確かめることが可能。 

・遺言の代わりになる

家族信託では財産管理を任せるだけでなく、最終的にどのような形で相続させるのかという点についても定めることが可能。 

・遺言にできない承継策ができる

家族信託であれば、「息子の◎◎が亡くなった後は、受益者としてその娘の××ではなく□□を指定する」というような遺言の作成が可能。

・相続税の節税策が継続できる

家族信託では、相続税対策に活用される各種控除などの利用タイミングも含めて決めることができるため、なるべく相続税負担を抑えた承継を実現できる。 

・運営コストを安くできる

家族信託の場合では、家庭裁判所の介入などによる費用がかからない。 

◎家族信託に関するデメリットは以下の通り。

・受けてくれる家族がいないと簡単にできない

そもそも財産を任せられる家族がいない場合は利用できない。

・登記料がかかってしまう

不動産を信託財産にする場合は新たに登記を行う必要があるため、「登記料」が必要である。

・身上監護はできない

被相続人の医療や介護などに関する行為を後見人が代理で行う定めのこと「身上監護」と呼ぶ。成年後見制度の中には「身上配慮義務」によって義務としてこれらに関する定めがあるが、家族信託に関しては身上監護に関する取り決めがない。

・成年後見や遺言でないとできない事もある

家族信託では「契約時点で確認できなかった財産は対象にならない」という面もある。

・受託者を誰にするかで争いになる可能性

他の相続人が全員納得した上で受託者を選任できれば問題ないが、そうでない場合もある。 

・節税効果は期待できない

基本的に「家族信託制度そのもの」に関しての節税効果はない。 

・遺留分侵害額請求の対象となる可能性

基本的に遺留分制度は家族信託にも適用されるため、いくら被相続人の意思といえどもこの割合を無視した内容にした場合は遺留分請求を出されてしまう。

ただし、専門家によって意見はわかれている。

・損益通算ができなくなるリスク

財産不動産の運用によって利益が出た場合税金がかかるが、損益通算によって損失分を利益分から減額し、結果的に税金を抑えることができる。

ただし家族信託で運用した財産では損益通算が使えない場合もある。

・税務申告の手間が増える

家族信託で運用した財産に利益が発生した場合に、通常とは別の手続きが必要になる場合もある。

・実務に精通した専門家が少ない

家族信託制度自体の歴史が浅いため、専門家の中でも意見が分かれてしまうのが正直なところである。

・長期にわたって当事者を拘束する

世代を超えて1人の意思を引き継ぐため、いずれ大きなトラブルが発生する可能性も否定できない。

◎家族信託の契約に必要な流れは以下の通り。

①委託者・受託者・受益者の3名を決める

②この3名で契約内容について話し合う

③公正証書を利用して、話し合った内容を「信託契約書」にまとめる

④不動産が信託財産となった場合は受託者名義に変更する(信託登記)

⑤受託者名義の口座を開設しそこに信託財産を入れることで手続き完了

◎家族信託は家族間で完結する契約のため、基本的には費用等は必要ない。

ただし、「家族信託に間接的に関わること」においては必要に応じて費用がかかる。 

まだ新しい制度である家族信託には、専門家ですら意見が分かれる部分もあります。

そのため全てを丸投げせず、上記のメリット・デメリットの両側面から「自分たちには家族信託が合っているのか?」ということをきちんと考慮することが必要です。

家族の財産を守るためにも、このような制度を適切に活用していきましょう。

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【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

プロフィール

運営会社

会社概要

会社名 LDT株式会社
Life Design Technologies co.,Ltd


https://le-tech.jp/
資本金 11,930万円(資本準備金含む)
代表取締役 白石 和也
設立 2019年9月
所在地 〒105-0004
東京都港区新橋5丁目23-10片山ビル6階
TEL:0120-538-175
FAX:03-6800-5820
事業内容 AgeTech(エイジテック)プラットフォーム事業
AgeTech(エイジテック)関連のソフトウェア開発・提供事業
AgeTech(エイジテック)関連のコンサルティング事業

企業理念

ライフエンディング(葬儀)の後悔をなくす

私たちは超高齢社会に適した情報インフラとサービスインフラを構築することにより、人々のQOLの向上に寄与し、社会に貢献し続けます。

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エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。