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遺贈とは?相続と贈与との違い・注意点を完全解説!

財産を引き継ぐ方法には、相続だけでなく「遺贈」や「贈与」というものもあります。

言葉が違うのはわかりますが、具体的な内容はどのように異なるのでしょうか?この記事ではそれらを比較しつつ、遺贈の知識をメインにご説明していきます。

遺贈(いぞう)とは?

まずは遺贈に関する最低限の知識から確認していきましょう。 

遺贈とは?

被相続人が遺した財産は、原則として法律で定められた相続人である「法定相続人」が引き継ぎます。

法定相続人に当てはまる人

ちなみに法定相続人に当てはまるのは、「配偶者・子供・父母・兄弟姉妹」です。 

分配割合を法定相続分と呼ぶ

もし遺言書の中で被相続人による分配割合などの取り決めが無い場合、この法定相続人に対して財産が分配されることになります。

この分配割合のことを「法定相続分」と呼び、法定相続分が適用される人物に対して財産が渡ることを「相続」と言うのです。 

遺贈は法定相続人意外に財産を引き継げる

それに対して「遺贈」は、法定相続人以外に被相続人の財産を引き継ぐことを指します。

例えば、遺言書の中で「相続人ではない◎◎に財産を遺す」「□□という団体に財産を寄付する」などの記述があれば、それらは遺贈に当てはまるということです。

この遺贈の対象となった人物や団体のことを「受遺者」と呼び、財産を引き受けるかどうかを決める権利があります。 

受遺者は法人でも可能

受遺者は必ずしも個人である必要はありません。法人や団体などを受遺者に指定することも可能です。

遺贈の種類

遺贈は2種類に分けられます。それが「包括遺贈」「特定遺贈」です。具体的な内容は後述します。

>>包括遺贈の説明へ
>>特定遺贈の説明へ

遺贈の効力

遺言書に記載された内容は、民法985条1項に則り「被相続人が亡くなった時」から効力を発揮します。

遺贈の効力が発生するのもそのタイミングです。そのため被相続人が存命の間は遺言書に記載された権利等は発生しません。 

遺贈では代襲相続は発生しない

それではもし、被相続人よりも先に受遺者が亡くなった場合はどうなるのでしょうか?

法定相続人への相続において相続人が先に亡くなった場合は、その相続人の直系尊属(子供など)に財産を引き継ぐ「代襲相続」という制度が適用されます。 

しかし遺贈の場合はそのような制度はありません。あくまでも財産を受け取れるのは「受遺者本人のみ」です。 

代襲相続については下記記事もご参考ください。
代襲相続を完全解説!範囲・割合・相続放棄のルールを紹介!
代襲相続人を完全解説!相続割合・権利・範囲を紹介!

遺贈にかかる税金と控除

財産を遺贈で引き継ぐ際に必ず発生する税金が「相続税」です。これは贈与税とは違います。

遺贈は贈与税の対象外

贈与税が発生するのは「財産を被相続人の存命中に引き継いだ」という場合のみ。

遺贈は対象外となるので注意してください。

遺贈にかかる相続税は高くなるので注意

ちなみに、法定相続人に対してかかる税率よりも遺贈にかかる相続税の方が「1.2倍高い」ので注意が必要です。

この1.2倍の対象となるのは「下記の人物以外の受遺者」なので、遺贈を考えている方はしっかり確認しておきましょう。

・法定相続人

・被相続人の配偶者

・一親等の親戚

さらに基礎控除の面でも違いがあります。法定相続人に対する相続税には一定の財産額までは税金が発生しませんが、遺贈を適用することで引き継がれた財産にはこの基礎控除が適用されないのです。

認定NPO法人に遺贈した場合は非課税となる

先ほどご紹介したように遺贈は相続税が高くなってしまいます。しかし、認定NPO法人へ遺贈した場合は非課税となります。その為、節税の為にNPO法人に遺贈される方もいらっしゃいます。

基礎控除の計算方法

ちなみにこの基礎控除の金額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」という計算式で算出されます。

先ほどの1.2倍の税率と合わせると、それだけで税額がさらに上がっていくでしょう。 

登録免許税の計算方法

遺贈する財産の中に不動産がある場合は、法務局にて登録申請を行う必要があります。

この申請の際に必要となるのが「登録免許税」です。

これは申請にかかる手数料のようなものであり、具体的な金額は「市区町村によって算定された不動産の評価額×20/1,000」によって決定します。 

ちなみに法定相続人が支払うのは「市区町村によって算定された不動産の評価額×4/1,000」で算出された金額です。

この数式からも分かる通り、相続税と同様に遺贈を適用した財産の引き継ぎの方が高い税率となっています。

動産取得税の計算方法

これに加えて「不動産取得税」が発生する場合もあるので注意しましょう。

これが発生するのは「法定相続人以外の人物に不動産を遺す際に特定遺贈を利用した」という時です。

遺贈だから必ずこの税金がかかるというわけではありません。

この不動産取得税の具体的な金額は、「相続した不動産の価格(課税標準額)×税率」という計算式によって決定します。

遺贈のメリット

この遺贈を行うことによって具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか?

◎遺贈の内容を秘密にできる

まず「被相続人は遺贈の内容を秘密にできる」という点が挙げられます。

遺贈を行うかどうかは、被相続人の希望により遺言書へ記載するというのがほとんど。

これは、受遺者から特別な了承等を得なくても記載することができます。

そのため自筆証書遺言や秘密証書遺言で作成した遺言書であれば、被相続人が亡くなるまでは内容を知られることが無いのです。 

◎受遺者は財産を受け取るかどうかを選択できる

先述の通り、遺贈の場合は相続税や不動産取得税などが割高です。

いくら財産を引き継げるとはいえ、税金の影響で支払いがあまりにも大きくなるようだと受け取るのをためらってしまいますよね。

そのような場合に受け取り辞退を行うことが可能です。

相続税については下記記事もご参考ください。
相続税から控除できる葬儀費用とは?控除の可否を完全解説!
葬儀費用で相続税控除できる?葬儀費用に関わる相続税の考え方を完全解説!

遺贈のデメリット

もちろん、遺贈もメリットだけではなく、デメリットもあります。

◎遺贈が無効になる条件も存在する

遺贈自体が無効になるのは「遺言書に記載された内容が法的要件を満たしていない」という場合です。これは遺贈に限らず相続にも当てはまりますよね。

遺贈による分配割合などは、被相続人が遺言書に記載して内容に沿って決まります。

しかし、その遺言書自体に「署名が無い」「作成年月日が無い」「代筆部分がある」など法的要件を満たさない部分があった場合、記載された内容は全く適用されません。

せっかく遺贈したい相手がいてもこれでは意味がありませんよね。

このような事態を避けるために、公正証書遺言を作成しプロの手によって内容をチェックしてもらうということを検討してみても良いでしょう。

公正証書遺言については下記記事もご参考ください。
公正証書遺言を完全解説!書き方・流れ・費用を紹介!

相続についてのご相談はやさしい相続でも無料で承っていますので、お気軽にご連絡下さい。24時間365日無料で専門オペレーターが対応致します。

包括遺贈とは?

先述の通り、遺贈には「包括遺贈」「特定遺贈」の2種類があります。それぞれご説明していきましょう。まずは「包括遺贈」についてです。

包括遺贈(ほうかついぞう)とは?

包括遺贈とは、「被相続人が自身の財産の全て(あるいは一部)を受遺者に遺贈する」という仕組みの遺贈です。

例えば「甥の××に財産の1/4を遺贈する」というような形で記載されます。

包括遺贈の権利義務

包括遺贈の特徴は「法定相続人と同じ権利義務が受遺者に与えられる」という点です。

そのため必要に応じて遺産分割協議に参加することを求められます。

さらにそれだけではなく、財産の中に借金などの負債がある場合はそれも負担しなければいけません。

その額が大きければ受遺者が損をする可能性もあるので、受け取りは慎重に行うべきでしょう。 

包括遺贈のメリットデメリット

包括遺贈にはそれぞれ次のようなメリットやデメリットがあります。 

◎メリット

包括遺贈の場合は法定相続人と同じ権利義務があるため、遺産分割協議の際に自分の意見を述べることが可能です。

また、遺言書を作成してから被相続人が亡くなるまでの間に財産が変化してしまっても、遺言書に記載された通りの割合で権利が保障されます。

◎デメリット

法定相続人と同じ権利義務がある以上、借金などの負債も引き継がなければいけません。

また、引き継いだ負債と実際に受け取る財産の額を考慮して遺贈を辞退することも可能ですが、相続の開始日から3ヶ月以内に辞退をしないと自動的に承認されてしまうので注意が必要です。

なお、この辞退の申請は家庭裁判所でしか行えません。

そしてメリットとして「遺産分割協議に参加できる」という点を挙げましたが、これがデメリットになる場合もあります。

仮に法定相続人との関係が良好でない場合、分割の際にトラブルになる可能性も否定できません。 

遺贈については下記記事もご参考ください。
遺贈を完全解説!相続との違い・流れ・控除内容を紹介!

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特定遺贈(とくていいぞう)とは?

それでは次に「特定遺贈」についてご説明します。 

特定遺贈の仕組み

特定遺贈とは、「受遺者に遺贈する財産を被相続人が具体的に指定する」という仕組みの遺贈です。

例えば「姪の◎◎に、〜〜〜にある土地を遺贈する」というような形で記載されます。

この特定遺贈では、引き継ぐ財産を必ず具体的に特定させなければなりません。

そのため、上記のように土地を遺贈する場合は「不動産登記上の住所」「家屋番号」などの細かい情報まで確認し、預金であれば「金融機関名」「支店名」「口座番号」などの情報を抜け漏れなく記載しておきましょう。

特定遺贈の特徴

特定遺贈によって引き継がれるのは、純粋に「遺言書に記載された財産のみ」です。

先述の包括遺贈ではその財産に残っている借金などの負債も引き継がなくてはいけませんが、特定遺贈ではそのようなことがないため安心と言えるでしょう。

相続人による催告

特定遺贈を受け取るかどうかは受遺者が自由に判断できます。

辞退する場合の期日は決まっていない

辞退する場合は法定相続人へその旨を伝えるのが一般的ですが、特に「いつまでに返事をしなければならない」という期日があるわけではありません。

そのため、ルール上はいつ辞退の手続きをしても良いということです。

しかし現実的に考えれば、回答を引き延ばすほど他の法定相続人への分配に影響が出てしまいます。

そのような事態を防ぐために、法定相続人は受遺者に対して「この期間内に財産を辞退するか受け取るかを決定するように」という催告を行うことが可能です。

期間内に返答が無ければ承認となる

もしこの期間内に返事をしなければ「財産を受け取る」と見なされ、遺贈が承認されることになります。 

特定遺贈のメリットデメリット

特定遺贈にはそれぞれ次のようなメリットやデメリットがあります。

◎メリット

遺贈の内容が曖昧では、取り分などで法定相続人と意見が分かれる可能性もあります。

特に第三者に財産を引き継ぐとなれば納得しない法定相続人が出てきてもおかしくないでしょう。

●受遺者に残す財産が明確に指定されている

しかし特定遺贈の場合は、受遺者に引き継がれる財産が明確に指定されているためそうしたトラブルを避けることが可能です。 

●負債を引き継ぐ必要がない

また、財産にかかる負債を引き継ぐ必要がないというのも特定遺贈を選択するメリットになります。

先述の通り遺贈の場合は相続税などが割高になるケースが多いです。

それに加えて財産にかかる負債まで引き継ぐとなると、場合によっては財産を受け取っているのに損をしてしまう可能性もあるでしょう。

そういったリスクを減らせるのは魅力的です。 

●財産を受けとるかの回答期限が無い

さらに、特定遺贈では「財産を受け取るかどうか」に対する回答への期限がありません。

法定相続人から催促を受けたらそれに従う必要がありますが、基本的には自分のペースで決めることができるので安心です。

◎デメリット

●不動産取得税を支払う必要がある

もし受遺者が特定遺贈によって不動産を引き継いだ場合、不動産取得税を支払わなくてはいけません。さらなる税金がかかるので注意しましょう。 

●遺留分を侵害していると判断されると無効となる

また、指定された財産の割合が「法定相続人の遺留分を侵害している」と判断された場合、例えその分配が被相続人の意思であっても無効になります。

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負担付遺贈とは?

包括遺贈や特定遺贈であっても、条件を付けることで負担付遺贈を行うことができます。

条件付きの遺贈が可能

遺贈をする際に受遺者に条件や義務を課すことができます。例えば、不動産を遺贈するのと引き換えに管理を行うなどといった条件を付けることができるのです。仮に受遺者が条件を飲めないということであれば、遺贈を放棄することができます。

遺贈と相続

「遺贈」と「相続」で違うのは言葉だけではありません。税金や権利などの色々な部分で相違点があります。

それではこれまでご紹介した相違点などを振り返りつつ、改めてどのような点で異なるのかを確認していきましょう。 

前提となる遺贈と相続の違い

原則としては、「相続する=財産を法定相続人に引き継ぐ」「遺贈する=財産を法定相続人以外の人物や団体(受遺者)に引き継ぐ」という使い分けをします。 

ちなみに、受遺者に対しては「遺贈」という表現しか使いませんが、法定相続人の場合は「遺贈」と「相続」のどちらを使用しても問題ありません。

ただし「遺贈」という表現を使用すると、先述の税率のように若干不利になるような場合もあるので言葉の扱いには注意すべきでしょう。 

相続税に関する違い

遺贈と相続では相続税の税率が違います。財産を「遺贈する」場合は、税率が1.2倍高くなるのです。

基礎控除も無くなるため、財産を「相続する」場合よりも金額面で損をする可能性が高いでしょう。

不動産登記に関する違い

遺贈を利用して不動産を引き継いだ場合は、法務局で登録申請を行う際に「登録免許税」が必要です。金額は「市区町村によって算定された不動産の評価額×20/1,000」という計算式で算出されます。

相続によって不動産が引き継がれる場合の金額が「市区町村によって算定された不動産の評価額×4/1,000」なので、こちらも相続税と同じく遺贈の方が割高となるのです。 

農地取得に関する違い

同じ土地でも「農地」を引き継ぐ場合は別の相違点があります。

農地が法定相続人の手に相続された場合は、特別な許可や手続きなどを行わなくても登記を申請することが可能です。

農地が遺贈された場合は承認が必要

しかし受遺者の手に遺贈された場合は、知事や農業委員会の承認を得る必要があります。

これは農地法によって定められていることです。

そのため、農業関係者以外の受遺者が承認を求めても許可されないこともあるので注意してください。

しかし、包括遺贈によって遺贈された農地は対象外です。 

借地権・借家権の取得に関する違い

被相続人の財産に「借地権及び借家権」が含まれている場合、法定相続人に相続するのであれば賃貸人の承認が無くても相続ができます。

しかし受遺者に遺贈する場合は賃貸人の承認が必要です。

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遺贈と贈与

遺贈の他にも「贈与」という方法で財産を遺すことも可能です。これは具体的にどのような内容なのでしょうか? 

贈与とは?

贈与とは「被相続人の財産を指定の人物に無償で渡す行為」のこと。

この贈与を受け取った人物のことを「受贈者」と呼び、これだけだと遺贈と同じように思えます。

しかし、遺贈は受遺者の承認を取らなくても遺言書に記載しておくことで成立するのに対し、贈与はあらかじめ受贈者と話し合い合意を取っておかなければなりません。

また、贈与は口約束だけでも成立します。 

生前贈与と死因贈与

この贈与は「生前贈与」と「死因贈与」の2種類に分かれます。

「生前贈与」とは、被相続人が存命の間に受贈者に財産を贈与すること。双方が同意の上で「贈与契約書」などの書面を作成しておくのが一般的です。

「死因贈与」でも同様に、被相続人の存命中に贈与契約を結んでおきます。ただし受贈者の手に渡るのは被相続人が亡くなった後です。 

遺贈と贈与の共通点

遺贈と贈与には以下のような共通点があります。

◎財産の扱いについて

いずれの場合も財産は被相続人が自由に扱うことができます。そのため、被相続人が財産を渡したいと思う人物に引き継ぐことができるのです。

◎負担付きに変更できる

どちらも「財産の受け取り手に対して定められた義務を課す(負担付きにする)」ということが可能です。

例えば「被相続人の子供の面倒を見る」「定期的にボランティア活動を行う」というような形になります。

ただしいずれの場合も、明らかに「引き継いだ財産に見合わないような義務」であった場合、それを超える部分に関しては履行をしなくても構いません。

もちろん適切な範囲の義務であれば履行する必要があります。

もし「受遺者」が適切な範囲の義務にも関わらず履行しなかった場合、法定相続人は期日を定めてそこまでに義務を履行するように催促することが可能です。

それでも履行されなければ家庭裁判所に遺言内容の取消請求を行えます。 

ちなみに「受贈者」が義務を履行しなければその時点で贈与契約を解除される可能性もあるので注意しましょう。

◎死因贈与には遺贈の規定が適用される

遺贈と死因贈与に関しては「実際に引き継がれるのは被相続人が亡くなった後」という共通点があります。

そのため死因贈与には遺贈の規定が適用されるのが一般的です。 

遺贈と贈与の違い

続いては遺贈と贈与の違いについてです。

◎合意の有無

遺贈は被相続人の独断により遺言書に記載することで成立するのに対し、贈与はあらかじめ受贈者との合意を取っておく必要があります。

合意さえあれば良いので口約束だけでも贈与は成立可能です。

しかし実際には、その後のトラブルを防ぐためにも契約書を作成するというのが一般的でしょう。 

◎撤回の可否

遺贈に関しては遺言書を作成し直すことで撤回することが可能です。

しかし贈与の場合は、すでに生前に契約が成立しているので簡単には撤回できません。

特に負担付き贈与の場合は、すでに受贈者がその義務を履行している場合もあるでしょう。

例えば「介護をする代わりに財産を遺す」というような場合です。そうなると撤回はさらに困難になります。

この辺りは個別の事情によって変わるので専門家に相談してみると良いでしょう。

ただし死因贈与に関しては、先述の通り遺贈の規定が適用されるため撤回が可能な場合もあります。 

◎税金面

遺贈には「相続税」、生前贈与には「贈与税」、死因贈与には「相続税」がそれぞれ適用されます。

贈与税は基礎控除額が少ない上に高い税率が設定されているため、相続税よりも割高になる可能性は高いです。 

ただし、生前贈与の基礎控除は「1年に110万円までは贈与税がかからない」という内容であるため、これを活用して節税する方もいます。

それは「暦年贈与」という節税方法です。1年ごとに基礎控除内の金額を贈与することで、贈与税の適用を回避することができます。

この方法を行う場合は、毎年の支払いタイミングごとに贈与契約について話し合い、その都度新しい契約を結んでおきましょう。 

もしこれをやらずに、毎年ただ単純に小分けにした財産を贈与してしまうと「定期贈与」扱いになり、一括払いの際と同じ金額の贈与税がかかってしまいます。

例えば、一番最初に「2,000万を贈与する」という契約を交わして、それ以降毎年100万円を振り込むだけでは「2,000万--110万=1,890万円」に対して贈与税が適用されてしまうのです。

そのため毎年の契約は必ず行いましょう。

また、死因贈与で不動産を引き継いだ場合は「不動産取得税」「遺贈よりも税率が高い登録免許税」もかかります。

このように税金に関しては、節税に取り組まないと贈与関係の方が多少割高になる可能性があるので注意しましょう。

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遺贈の注意点

では実際に遺贈を行う場合、どのような点に注意すべきなのでしょうか?

相続人の遺留分に注意する

原則として遺言書に記載された分配割合等は、被相続人の最後の意思表示として優先的に適用されます。

遺贈も然りで、仮に第三者への引き継ぎであっても有効です。 

遺留分制度が遺贈よりも優先される

だからといって、分配の全てが被相続人の遺言通りになるわけではありません。

なぜなら法定相続人には「遺留分制度」というものがあり、最低限度の分配割合が定められているためです。 

仮に遺言書に「全財産を生前お世話になった◎◎に遺贈する」という記載があった場合、このまま実行してしまうと法定相続人には一切財産が渡らないということになってしまいます。

確かに被相続人の意思は尊重されるべきですが、このままでは遺された方々が納得できないですよね。

法定相続人が遺留分請求を行える

そのような場合に、法定相続人は遺留分の請求を行い最低限度の取り分を確保することが可能です。

遺留分の請求が発生すると、その手間だけでなく当人同士でのトラブルとなる可能性もあります。

そういった事態を起こさないように、被相続人の方は遺留分に留意しつつ遺贈の割合を決めましょう。 

遺留分請求の時効

ただし、遺留分の請求には時効があるので注意が必要です。原則として、以下のどちらかを満たしてしまうと時効となります。 

・法定相続人が気づかない間に相続が発生していた場合は10年以内

・法定相続人が遺留分の侵害に気づいていた時点から1年以内

代襲がないことへの対策

先述の通り遺贈の場合は代襲制度がありません。

ただし、遺言書にあらかじめ「受遺者が先に亡くなった場合の財産の引き継ぎ先」を記載しておくことはできます。 

例えば「財産を◎◎に遺贈する。もし◎◎が被相続人よりも先に亡くなった場合は、その子供の□□に財産を遺贈する」というような記載です。

このような対応をしておけば結果的に代襲と同じように引き継いでもらうことが可能になります。 

他の相続人が放棄しても相続分が増えない

もし法定相続人が相続を放棄した場合、宙に浮いた相続分を「他の法定相続人のみ」で分割することになります。そのため受遺者の取り分は増えません。 

しかし、そのような事態を想定して遺言書の中に「受遺者にも分割する」という旨を記載しておけばそれが適用されます。

特定遺贈か包括遺贈かをはっきりさせる

遺贈は種類によってメリットやデメリットが違います。特に包括遺贈では負債まで引き継がれてしまうので大きな問題です。

そのため遺言書に記載する際は、誰が見ても財産の内容がはっきり判別できるように文言や言葉の選び方には細心の注意を払いましょう。

遺言執行者を選定しておく

遺贈は第三者に財産を引き継ぐ制度です。そのため、遺留分の請求も含め法定相続人との間でトラブルになる可能性は十分にあります。

そうした事態に備えて「遺言執行者」を指定しておくと良いでしょう。 

遺言執行者とは?

遺言執行者とは、遺言書の内容をチェックし民法に則り正しく実行するための権限を与えられている人物です。

法定相続人同士のトラブルを仲裁し、正確に分配を完了させることが求められます。 

遺言執行者の指定は、必ず行わなければならないというものでもありません。

ただ、上記のようにトラブルを解決できるだけの権限が与えられているため、念のため決めておいた方が無難です。

誰を遺言執行者に指定するかは、遺言書の中に記載しておけば問題ありません。 

法定相続人及び受遺者は、原則として遺言執行者の決定には従う必要があります。

遺言執行者は私情を挟まず遺言内容を実行する

反対に遺言執行者は、どの人物に対しても対等に接し私情を挟まず遺言の内容を実行しなくてはいけません。

権限があるからこそ、それを乱用してはいけないのです。もしそのような行為が見受けられた場合は解任請求を出されることもあります。 

このように遺言執行者は様々なことに気を使わなくてはなりません。しかしそれに対しての報酬も準備されています。

具体的な報酬内容は遺言書の中に記載しておくのが一般的です。もし記載が無ければ法定相続人との話し合いで決定します。

遺贈を放棄したい場合

遺贈の種類によって放棄の方法が異なります。

包括遺贈を放棄する場合

包括遺贈の場合は、相続が開始されてから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し出る必要があります。

先述の通り包括遺贈では財産だけでなく負債も引き継がなくてはいけないため、そうした事情を考慮し放棄する場合は早めに手続きをしておきましょう。

特定遺贈を放棄する場合

特定遺贈の場合は、放棄に関する期限がありません。そのためじっくり考えることが可能です。

しかしそれでは他の法定相続人の分配に影響が出る可能性もあるでしょう。そのため、受遺者に対して返答の期日を設けることが可能です。

受遺者はその期日までに返答をしなければ自動的に遺贈が承認されるので気を付けましょう。 

遺贈で注意すべき遺留分の計算事例

遺贈では遺留分の侵害をするような分配はできません。それでは、遺留分の取り分はどの程度のものなのでしょうか? 

相続人が配偶者のみ

財産の1/2

相続人が配偶者+子ども2

配偶者が財産の1/4で、子供が財産の1/4×2人分 

相続人が配偶者+子ども4人

配偶者が財産の1/4で、子供が財産の1/4×4人分

相続については下記記事もご参考ください。
相続遺留分とは?割合・取り戻す方法・費用を紹介!
遺贈を完全解説!相続との違い・流れ・控除内容を紹介!
相続を完全解説!相続の方法・手続き・費用・流れを紹介!

遺贈についてのまとめ

以上が遺贈に関する基本的な知識などです。それでは最後に、今回の内容を改めて振り返っておきましょう。

・「遺贈」は、法定相続人以外に被相続人の財産を引き継ぐことを指す。

遺言書の中で「相続人ではない◎◎に財産を遺す」「□□という団体に財産を寄付する」などの記述があれば、それらは遺贈に当てはまるということ。

この遺贈の対象となった人物や団体のことを「受遺者」と呼び、財産を引き受けるかどうかを決める権利がある。 

・遺言書に記載された内容は、民法985条1項に則り「被相続人が亡くなった時」から効力を発揮する。

遺贈の効力が発生するのもそのタイミングである。もし被相続人よりも先に受遺者が亡くなった場合であっても、法定相続人とは違い代襲相続が無いため特に子供に引き継がれたりはしない。 

・財産を遺贈で引き継ぐ際に必ず発生する「相続税」は、法定相続人に対してかかる税率よりも1.2倍高い。

・法定相続人に対する相続税には基礎控除があるため一定の財産額までは税金が発生しないが、遺贈を適用することで引き継がれた財産にはこの基礎控除が適用されない。

・遺贈する財産の中に不動産がある場合は、法務局にて登録申請を行う必要がある。この申請の際に必要となるのが「登録免許税」。

具体的な金額は「市区町村によって算定された不動産の評価額×20/1,000」によって決定される。 

・「法定相続人以外の人物に不動産を遺す際に特定遺贈を利用した」という時は不動産取得税も発生する。

具体的な金額は、「相続した不動産の価格(課税標準額)×税率」という計算式によって決定される。 

・遺贈のメリットは「遺贈の内容を秘密にできる」「受遺者は財産を受け取るかどうかを選択できる」という2点。

・遺贈のデメリットは「遺言書が法律の要件を満たしていなければ遺贈が無効になる」という点。

・遺贈には「包括遺贈」「特定遺贈」の2種類がある。

・包括遺贈とは「被相続人が自身の財産の全て(あるいは一部)を受遺者に遺贈する」という仕組みの遺贈。

例えば「甥の××に財産の1/4を遺贈する」というような形で記載される。

包括遺贈を行うと、法定相続人と同じ権利義務が受遺者に与えられるようになる。

・包括遺贈のメリットは「包括遺贈の場合は法定相続人と同じ権利義務があるため、遺産分割協議の際に自分の意見を述べることが可能」「遺言書を作成してから被相続人が亡くなるまでの間に財産が変化してしまっても、遺言書に記載された通りの割合で権利が保障される」という2点。

・包括遺贈のデメリットは「法定相続人と同じ権利義務がある以上、借金などの負債も引き継がなければいけない」「法定相続人との関係が良好でない場合、遺産分割の際にトラブルになる可能性がある」という2点。

・特定遺贈とは「受遺者に遺贈する財産を被相続人が具体的に指定する」という仕組みの遺贈。

例えば「姪の◎◎に、〜〜〜にある土地を遺贈する」というような形で記載される。

・特定遺贈では、純粋に「遺言書に記載された財産のみ」が引き継がれる。包括遺贈とは違い借金などの負債を引き継ぐ必要はない。

・法定相続人は受遺者に対して「この期間内に特定遺贈の財産を辞退するか受け取るかを決定するように」という催告を行うことが可能。

もしこの期間内に返事をしなければ「財産を受け取る」と見なされ、遺贈が承認される。 

・特定遺贈のメリットは「受遺者に引き継がれる財産が明確に指定されているため、分割などのトラブルを避けることが可能」「財産にかかる負債を引き継ぐ必要がない」「財産を受け取るかどうかに対する回答への期限がない」という3点。 

・特定遺贈のデメリットは「受遺者が特定遺贈によって不動産を引き継いだ場合、不動産取得税を支払わなくてはいけない」「指定された財産の割合が法定相続人の遺留分を侵害していると判断された場合、例えその分配が被相続人の意思であっても無効になる」という2点。

・「遺贈」と「相続」で違うのは、「言葉の使い分け方」「相続税の税率」「登録免許税の金額」「農地取得の容易さ」「借地権・借家権の取得の容易さ」の5点。

・遺贈の他にも「贈与」という方法で財産を遺すことも可能。贈与とは「被相続人の財産を指定の人物に無償で渡す行為」のこと。

贈与はあらかじめ受贈者と話し合い合意を取っておかなければいけない。

・贈与は「生前贈与」と「死因贈与」の2種類に分かれる。「生前贈与」とは、被相続人が存命の間に受贈者に財産を贈与すること。「死因贈与」でも被相続人の存命中に贈与契約を結んでおくが、受贈者の手に渡るのは被相続人が亡くなった後。 

・遺贈と贈与の共通点は「財産の扱いは自由」「負担付きに変更できる」「死因贈与には遺贈の規定が適用される」という3点。

・遺贈と贈与の違いは「合意の有無」「撤回の可否」「税金面」という3点。

・実際に遺贈を行う場合に注意すべきなのは、

「相続人の遺留分の割合」

「代襲相続が無いため、その対応」

「他の相続人が放棄しても相続分が増えない」

「特定遺贈か包括遺贈かをはっきりさせる」

「遺言執行者を選定しておく」

「遺贈の放棄の方法」という6点。 

このように遺贈は、法定相続人以外にも財産を遺せる便利な制度です。

しかし活用するにあたっては、相続や贈与などの似ている制度との違いを認識し、正しく遺贈を行う状況を整えることが必要になります。

「財産の引き継ぎ」という大切なことだからこそ、上記のような内容をしっかり覚え、いざという時にスムーズに引き継ぎを実行できるようにしておきましょう。

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【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

プロフィール

運営会社

会社概要

会社名 LDT株式会社
Life Design Technologies co.,Ltd


https://le-tech.jp/
資本金 11,930万円(資本準備金含む)
代表取締役 白石 和也
設立 2019年9月
所在地 〒105-0004
東京都港区新橋5丁目23-10片山ビル6階
TEL:0120-538-175
FAX:03-6800-5820
事業内容 AgeTech(エイジテック)プラットフォーム事業
AgeTech(エイジテック)関連のソフトウェア開発・提供事業
AgeTech(エイジテック)関連のコンサルティング事業

企業理念

ライフエンディング(葬儀)の後悔をなくす

私たちは超高齢社会に適した情報インフラとサービスインフラを構築することにより、人々のQOLの向上に寄与し、社会に貢献し続けます。

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お葬式セミナー講師
エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。