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遺贈を完全解説!相続との違い・流れ・控除内容を紹介!

2021/7/17 情報更新

遺言者の遺した財産は、民法で定められた相続人はもちろんそれ以外の第三者に対しても引き継ぐことができます。

これによって「相続人ではないがお世話になった人にいくらか渡したい」「慈善団体に寄付したい」など、遺言者の最後の意思を実現することが可能になるということです。

では、そのような引き継ぎを行う際にはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか?相続との違いも含めて詳しくご説明します。

遺贈とは?

それではまず、遺贈に関する基本的な知識をご説明します。

遺贈とは?

通常は法定相続人が財産を引き継ぐ

基本的に遺言者の遺した財産は、民法で定められた「法定相続人」に対して引き継がれます。

この法定相続人には、配偶者・子供・両親・兄弟姉妹などが当てはまり、特に遺言等が無ければこれらの法定相続人に対して「法定相続分」に応じた金額が分配されることになるのです。

この法定相続人に対して財産が分配されることを「相続」と呼びます。 

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希望があれば法定相続人以外に財産を残せる

しかし遺言者の希望があれば、上記の法定相続人以外の第三者や団体などに自身の財産を無償で譲ることが可能です。

このように相続人以外に財産を引き継ぐことを「遺贈」と呼び、遺贈の対象者は「受遺者」と言われています。

遺贈の種類

受遺者に引き継がれる遺贈には2種類あります。

◎包括遺贈(ほうかついぞう)

この「包括遺贈」は、遺言者が遺した財産の全て、あるいは一定の分配割合を指定して受遺者に遺贈するという形式です。

具体的には「Aさんに財産の1/3を遺贈する」「Bさんに財産の半分を遺贈する」というような形になります。

ただし財産の一部だけを遺贈する場合は、相続人と一緒に遺産分割協議を行うことが必要です。 

しかし一点注意すべきことがあります。それは「包括遺贈で財産を譲り受けた場合は、財産の分配割合に応じて遺言者の遺した借金などの負債も引き継がなければいけない」ということです。

そのため負債金額によっては受遺者が損をする場合もあるので慎重に判断しましょう。 包括遺贈の場合、どの割合で相続をするか選択することもできます。

●単純承認

単純承認した場合は、財産も負債もすべてを相続するということになります。もし、負債が大きい場合は相続放棄をすることができます。

●限定承認

限定承認とは、相続によって得た財産の範囲内で負債も相続することです。負債の方が多い場合は、相続放棄をした方が良いということになります。限定承認は相続人だと知った時から3か月以内に申立てを行う必要があります。

●相続放棄

包括遺贈は相続放棄することもできます。詳しくは、下記でもご紹介していますが「3ヶ月以内」の期間がありますので、放棄する場合は注意が必要です。

◎特定遺贈

この「特定遺贈」は、遺言者が指定した財産のみを遺贈するという形式です。

具体的には「Aさんに東京都中野区◎◎3丁目□番地の土地を遺贈する」というような形になります。

特定遺贈の場合は遺言書に記載された内容だけを引き継ぐため、包括遺贈のように負債まで引き継ぐ必要はありません。

遺贈にかかる税金

遺贈の場合は「相続税」を支払う必要があります。贈与税というものもありますが、こちらは「生前に遺言者から贈与された財産」にかかる税金なので、遺贈には当てはまりません。

さらに遺贈によって不動産を引き継いだ場合は不動産取得税がかかります。これらの税金の詳しい税率などは後ほど詳しくご説明します。

遺贈を放棄する場合

上記のように引き継ぐ負債金額が大きかったり、そもそも遺贈を引き継ぐ意思が無いという方もいるでしょう。

その場合受遺者は遺贈を放棄することができます。放棄の方法は遺贈の種類によって異なるので確認しておきましょう。

◎包括遺贈を放棄する場合

「相続が開始されたと判明した日から3ヶ月以内」に、家庭裁判所へ申請しなくてはいけません。

この期間を経過してしまうと自動的に遺贈が承認されてしまいます。先述の通り、包括遺贈を承認すると負債も引き継ぐことになります。

そうした負担を避けたい方は忘れずに放棄の手続きをしておきましょう。

◎特定遺贈を放棄する場合

特定遺贈に関しては特に放棄に関する期間の定めが無いため、いつでも手続きをすることが可能です。

ただし、だからといっていつまでも回答を保留にしていると、他の相続人の財産分配に影響が出る可能性があります。

その場合は、相続人から受遺者に対して「この期間内に財産の遺贈を承認するかどうか決めてほしい」という催告を行うことが可能です。

そこで定めた期間内に回答をしなかった場合は、遺贈を承認したとみなされるので注意しましょう。

遺贈については下記記事もご参考ください。
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財産の種類によっては遺贈を断られる場合も

例え遺言によって遺贈の意志があったとしても、財産の種類によっては遺贈を断られるケースもあります。例えば、金銭に換えるのが難しい土地や地方の不動産などは遺贈として受け取ってもらえない可能性があります。 

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遺贈にかかる税金と控除

上記のような遺贈には、先述の通り税金がかかる場合もあります。それぞれ具体的にご説明しましょう。 

遺贈にかかる税金

先述の通り、遺贈には「相続税」がかかります。

遺贈にかかる税率は1.2倍になる

ただし遺贈における相続税の税率は、相続人に財産が渡った場合よりも「1.2倍」高くなるので注意してください。

この1.2倍の税率の対象となるのは「相続人・配偶者・一親等の親戚」以外の受遺者です。

受遺者は基礎控除が発生しない

また「基礎控除」にも違いがあります。

相続人に対する相続税には基礎控除があるため、「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」の範囲内であれば相続税が発生しません。

しかし受遺者に対する相続税にはこの基礎控除がないため、より税額が高くなってしまうのです。

不動産取得税がかかる場合も

さらに不動産を遺贈する場合には「不動産取得税」がかかる場合もあります。

この税金がかかるのは「相続人以外の人物が特定遺贈によって不動産を引き継いだ場合のみ」です。

それ以外の場合は、例え遺贈であっても不動産取得税はかかりません。

ちなみに、不動産取得税の金額は「相続した不動産の価格(課税標準額)×税率」によって決まります。 

また、遺贈された不動産は法務局で新たに登録申請をしなければいけません。この申請の際に手数料として「登録免許税」が必要になります。

金額は「市区町村によって算定された不動産の評価額×20/1,000」です。

この税率も相続人に不動産が引き継がれた場合よりも高くなっています。

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認定NPO法人への遺贈

上記のように、遺贈によって発生する各種税金は通常の金額よりも高くなる傾向にあります。

そのため、遺贈をしても税金面でのメリットが生まれないという場合が多いでしょう。

ただし、認定NPO法人へ遺贈を行う場合は相続税がかかりません。そのため、節税を考えている方は認定NPO法人への遺贈を検討してみてもいいでしょう。 

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遺贈を行う際の流れ

それでは具体的に、遺贈はどのような手続きで行うのでしょうか?

専門家に相談

まずは専門家へ相談することがオススメです。遺贈は法律が関わることですし、相続人への分配割合にも影響する大切なこと。

そのため万が一のトラブルを避けるため、弁護士や司法書士などに相談しながらしっかり内容を決めると良いでしょう。

相談内容は「具体的に誰に(どの団体に)遺贈するのか?」「どの程度の割合を遺贈するのか?」ということです。 

遺言執行者の指定

上記でしっかり内容を決めておいても、分配割合などに不満を持つ相続人が出てくる可能性は十分あります。

そのため、トラブルを中立的な立場から仲裁でき遺言書の内容実現のために裁量を与えられた「遺言執行者」を指定しましょう。

遺言執行者は必ず必要?

遺言執行には専門的な知識が必要なため、先述の弁護士や司法書士を指定する場合が多いです。

この遺言執行者は必ず指定しなければいけないというものでもありません。

仮に指定が無くても遺言書は効力を発揮します。ただ、相続人の中で「指定は無かったが相続に関するトラブルを避けたい」と考える方もいるでしょう。

その場合は、家庭裁判所に申告することで裁判所側から遺言執行者を選任してもらうこともできます。

遺言書の作成

内容が決まったら遺言書を作成します。

少しでも遺言書としての要件を満たしていないと、その書面の内容全てが無効になる可能性もあるので、ここも専門家と相談しながら書いていくと良いでしょう。 

遺言書作成時の注意

遺言書には「誰に(どの団体に)どの財産をどのくらい遺贈するのか?」ということを、誰もがわかるよう明確に記載してください。

不動産であれば「どの住所の土地をどのくらいの面積で遺贈するのか?」まで記載し、口座であれば「どの銀行のどの口座を遺贈するのか?」までを詳細にしておきます。

この記載が曖昧だと、のちに相続人と受遺者の間でトラブルになりかねません。 

遺言書の保管

作成した遺言書は大切に保管します。

「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の場合は自分で保管しておくため、遺言者が保管場所を言わずに亡くなってしまうとその捜索から始めなければいけません。 

遺言書は「公正証書遺言」がおすすめ

しかし「公正証書遺言」であれば、公証役場によって原本を保管してもらえるため安全度でいえばこちらが確実と言えるでしょう。

ちなみに、自筆証書遺言に関しては「自筆証書遺言書保管制度」という制度を活用することもできます。

いずれにしても、なるべく紛失のリスクが無いような方法で保管しておくというのが大切です。

>>公正証書遺言を完全解説!書き方・流れ・費用を紹介!

死亡

遺言者が亡くなったら、ご遺族や通知人を通じて遺言執行者へ逝去のお知らせを届けます。

お知らせを受けた遺言執行者は遺言書を確認し、そこに記載された内容に従って遺言を執行してください。

ただし、遺言書は遺言執行者であっても勝手に開封してはいけません。

遺言書の種類によっては検認が必要

「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」は基本的に、遺言者以外には内容がわからない状態で作成されています。

そのため勝手に開封すると改竄の恐れがあるため、それを防ぐために家庭裁判所の検認を受ける必要があるのです。

ただし「公正証書遺言」に関しては、すでに公証人によって内容の確認を受けているので開封しても問題ありません。 

遺言書の開示

遺言書の内容を確認したら、その遺言書のコピーを記載された遺贈先に送付します。

そして受遺者はその内容を確認し、財産を引き継ぐかどうかを決めるのです。包括遺贈の場合は放棄に関しての期日があるので注意しましょう。 

財産の引き渡し

受遺者が財産を引き継ぐ場合は、その引き渡しが行われます。特に問題が無ければ、遺贈に関する手続きはこれで終了です。

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遺贈と相続

このように遺贈には様々な点で相続とは違うところが発生します。では改めて、遺贈と相続の各種違いなどについてご説明しましょう。

前提となる遺贈と相続の違い

基本的には、法定相続人に対しては「財産を相続する」と使い、法定相続人以外の受遺者に対しては「財産を遺贈する」という表現を使います。

これは、受遺者に関しては「財産を無償で譲る」という意味合いがあるためです。

ちなみに法定相続人に対しては「相続する」「遺贈する」という両方の表現を使うことができます。

ただし、「相続する」「遺贈する」という表現の違いによって財産への税率などが変わることもあるので要注意です。

具体的に以下のような面で異なります。

法定相続人

相続には「法定相続人」という形で、民法で定められた相続人が存在します。特に遺言も無く遺贈も行われないということであれば、この法定相続人で財産を分配するというのが一般的です。

法定相続分

上記の法定相続人に対して、それぞれどの割合で分配されるのかは「法定相続分」によって決まっています。

このように「相続」に関しては、誰に分配されるのかということや最低限の取り分が決まっているのです。

しかし「遺贈」に関しては、このような決まりがありません。誰にどのくらいの財産を遺すのかは遺言者の意思によって決定されます。 

>>法定相続分を完全解説!範囲・割合を紹介!

相続税に関する違い

先述の通り、遺贈の場合は相続税が変わります。相続人に引き継がれた時よりも「1.2倍」高くなるので注意してください。

さらに基礎控除も無いためさらに金額が高くなります。 

不動産登記に関する違い

こちらも先述の通り、受遺者が新たに不動産登記を行う場合は相続人よりも高い税率で「登録免許税」がかかります。

金額は「市区町村によって算定された不動産の評価額×20/1,000」です。

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農地取得に関する違い

「相続」によって農地を引き継ぐ場合は、特に許可などを得なくとも登記を新たに申請して行うことができます。

しかし「遺贈」によって農地を引き継ぐ場合は、(包括遺贈を除いて)農地法の定めによって農業委員会あるいは知事の許可を得る必要があるのです。

そのため、受遺者が農業関係者でないと許可が得られない可能性があります。

借地権・借家権の取得に関する違い

借地権や借家権が財産の場合、「相続」であれば賃貸人の許可は必要ありません。 

しかし「遺贈」の場合は賃貸人の許可を得る必要があります。

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遺贈と遺留分

基本的に遺贈では、遺言者が希望した相手に財産を引き継ぐことができます。

しかしだからといって全ての財産を思い通りにできるというわけではありません。

最低限の財産は遺留分として受け取れる

兄弟姉妹を除く法定相続人には、「遺留分」という形で最低限の財産を引き継げる権利があります。 

例えば「全ての財産を認定NPO団体Aに対して遺贈する」という遺言があった場合、法定相続人に対して財産が遺らないということになってしまいますよね。

それでは当然納得できるはずがありません。しかし遺留分があることによって、遺言書の内容に関わらず最低限の取り分を請求することができるのです。

遺留分請求には時効がある

この遺留分の請求には時効があるので注意しましょう。

時効には2つのパターンがあり、「財産の相続が発生しその遺留分が侵害されていると知った日から1年」「相続人が知らない間に財産の相続が発生してから10年」のどちらかを満たすと時効となります。

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遺言執行者とは?

このように相続人以外の受遺者に財産を相続する場合、遺留分の問題やそもそも第三者に財産を渡したくない相続人との間でトラブルになる可能性も否定できません。

そうした事態に備えて「遺言執行者」を決めておくことも検討してみてはいかがでしょうか? 

遺言執行者とは?

この「遺言執行者」とは、遺言者が亡くなった後にその意思を引き継ぎ、遺言書の内容をスムーズに進めるための権限を持った人物のこと。

基本的に相続人は、遺言執行者が遺言書の内容を実現するために取り組む行為を妨害することができません。

遺言執行者は遺言書の中で遺言者によって指定されることが多いですが、必ずしも指定する必要はないです。 

遺言執行者がおこなうこと

相続全体に関する責任を持つため、担当する業務は多岐に渡ります。さらに遺言執行者は、私情を挟まず遺言書の内容を実現することが要求されるため、全ての相続人に対して平等に接しなくてはいけません。

個人的な事情で誰かを贔屓したりすれば解任請求を出される可能性もあるので注意しましょう。

このように大変な業務ですが、遺言執行者にはそれ相応の報酬が支払われます。

報酬内容は遺言書の中で指定されることが多く、もし記載が無ければ相続人との話し合いによって決定するのが一般的です。

遺言執行者を選任するメリット

相続開始後に遺贈実現のための行為を行う「遺贈義務者」には、基本的に相続人全員が指定されます。

しかし、血の繋がっていない第三者に財産を引き継ぐということも可能であるため、場合によっては相続人からの反発を受けることもあるでしょう。

そのような状況で遺言執行者の指定が力を発揮します。

上記のように遺言執行者は、相続に関する大きな権限が与えられている人物です。

そのため相続人は遺言執行者による行動を妨害することができません。

遺言執行者はトラブルを事前に防ぐことが可能

そのため、遺贈のように第三者に財産を引き継ぐことで生じる可能性がある相続人とのトラブルを、事前に防ぐことが可能なのです。

これが遺言執行者の選任における大きなメリットと言えるでしょう。 

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遺贈についてのまとめ

以上が遺贈に関する基本的な知識や相続との違いなどについてのご説明です。最後に改めて、今回ご説明した内容をまとめて確認しましょう。

・基本的に遺言者の遺した財産は、民法で定められた「法定相続人」に対して引き継がれる。

しかし遺言者の希望があれば、上記の法定相続人以外の第三者や団体などに自身の財産を無償で譲ることが可能。

このように相続人以外に財産を引き継ぐことを「遺贈」と呼び、遺贈の対象者は「受遺者」と言われている。 

・受遺者に引き継がれる遺贈には、遺言者が遺した財産の全て、あるいは一定の分配割合を指定して受遺者に遺贈する「包括遺贈」という形式と、遺言者が指定した財産のみを遺贈する「特定遺贈」という形式の2種類がある。 

・遺贈の場合は「相続税」を支払う必要がある。 

・受遺者は遺贈を放棄することが可能。放棄の方法は遺贈の種類によって異なる。

包括遺贈を放棄する場合は「相続が開始されたと判明した日から3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申請する。

特定遺贈を放棄する場合は特に放棄に関する期間の定めが無いため、いつでも手続きをすることが可能。

・遺贈を行うと、最大で「相続税」「不動産取得税」「登録免許税」という3種類の税金がかかる可能性がある。

ただし、認定NPO法人へ遺贈を行う場合は相続税がかからない。

・具体的に遺贈を行う流れは以下の通り。

「専門家に相談→遺言執行者の指定→遺言書の作成→遺言書の保管→死亡後にご遺族や通知人を通じて遺言執行者へ逝去のお知らせを届ける→遺言書の開示→財産の引き渡し」 

・遺贈と相続における各種違いは以下の通り。

「法定相続人に対しては財産を相続するという表現を使い、法定相続人以外の受遺者に対しては財産を遺贈するという表現を使う」

「遺贈の場合は相続税が変わり、相続人に引き継がれた時よりも1.2倍高くなる」

「受遺者が新たに不動産登記を行う場合は相続人よりも高い税率で登録免許税がかかる」

「相続によって農地を引き継ぐ場合は、特に許可などを得なくとも登記を新たに申請して行うことができる。

しかし遺贈によって農地を引き継ぐ場合は、(包括遺贈を除いて)農地法の定めによって農業委員会あるいは知事の許可を得る必要がある」 

「借地権や借家権が財産の場合、相続であれば賃貸人の許可は必要ない。しかし遺贈の場合は賃貸人の許可を得る必要がある」

・基本的に遺贈では、遺言者が希望した相手に財産を引き継ぐことができる。

しかし、兄弟姉妹を除く法定相続人に定められた「遺留分」を侵害するような遺贈を行うことはできない。

・相続人以外の受遺者に財産を相続する場合、遺留分の問題やそもそも第三者に財産を渡したくない相続人との間でトラブルになる可能性も否定できない。

そうした事態に備えて「遺言執行者」を決めておくとスムーズに手続きできる。 

このように、言葉の違いだけでなく「相続」と「遺贈」には注意すべき相違点がいくつか存在します。

これらを知らないと受遺者と相続人の間に無用なトラブルが発生することもあるでしょう。

遺言者の最後の意思である遺贈や相続をスムーズに終わらせるためにも、こうした基本的な知識はしっかり身につけておくことが大切です。

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【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

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高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
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