3分で分かる法事のお金の相場(香典・お布施):お金の入れ方と袋の書き方!
法事に際しては、必ずお金に関する慣習やマナーが存在します。
「法事で支払うお金(お布施・香典)の相場が分からない」
「法事で支払うお金(香典)の包み方、書き方が分からない」
「法事で支払うお金はキリスト教、神道では必要?」
などたくさんの疑問があると思います。ここでは、香典とお布施について分かりやすく解説します。金額の相場や袋の書き方など参考にしてみてください。
法事に支払うお金の種類(香典・お布施)
法事の際に払うお金の種類はいくつかありますので、まとめて簡単に紹介します。
施主側から寺院/僧侶に渡すもの
お布施
納骨や四十九日法要、一周忌法要といったタイミングでお経をあげていただいた菩提寺の本尊への感謝の気持ちとしてお渡しするものです。
御膳料
法事においては、僧侶を招きお経をあげていただいた後に、「お斎(とき)」という食事の席を設けることが一般的ですが、僧侶がそのお斎をどうしても辞退せざるを得ないことがあります。
その際には、御膳料としてお金を包んで僧侶に渡す、という慣習が一般的になりました。お斎を省略する場合にも、僧侶に御膳料をお渡しします。
御車代
自宅や斎場などで法事を行う際には、僧侶に出向いていただくことになり、それに対する交通費としてお渡しするものになります。したがって、法事を行うのが寺院で、こちらが出向く場合には必要ないものになります。
列席者側から渡すもの
香典
法事に際して持参するお金です。詳しい解説は後述します。
法事のお金(香典)とは?
香典は、「香奠(こうでん)」という普段は見慣れない漢字を本来は書きます。「香奠」の「香」はそのまま「香(線香)」の意味で、「奠」は「供える」「まつる」という意味があります。元々、香典とは、仏前に香を供えるという意味でした。
しかし、昔は香料も高級品で、なかなか一般庶民には手が出ないものでもあったため、いつからか香の代替物として米や野菜を持ち寄り仏前に供える、という文化が定着しました。
そこから徐々に貨幣経済へと変遷する中で、故人に供えるという意味に加え、急な不幸になにかと要り用になる喪家の負担を親族や近所の人たちで相互に負担しよう、という意味合いも持たれるようになり、お金を入れることが一般的になりました。
香典については「香典を完全解説!意味・歴史・金額相場・書き方・包み方・渡し方を解説!」「葬式の香典を完全解説!マナー・金額相場・書き方・渡し方を紹介!」でもご紹介しています。
法事のお金(お布施)とは?
お布施は、法要の場で僧侶から読経や戒名の授与を頂いたりした際に、謝礼として金銭を渡すことですが、その由来や本来の意味を紹介します。
お布施とは、六波羅蜜という修行法の中にある修行の一つのことです。そして、このお布施には、「財施」・「法施」・「無畏施」の3つの考えが存在します。
「財施」とは、金銭・食料・衣服などの財を施す行為、「法施」は、法話などで釈迦の教えを説いたり読経をする行為、そして、「無畏施」は畏怖を取り除く行為の意味です。
僧侶が行っていることは「法施」にあたり、檀家が行っていることは「財施」にあたります。
つまり、本来の仏教の教えに当てはめると、僧侶も檀家も互いにお布施をしている、ということになります。
お布施については「お布施を完全解説!意味・相場・表書き・裏書などを解説!」「法事とは?日程とお布施と服装持物を徹底解説!」の記事もご参考ください。
法事にお金(香典・お布施)は必要?
お布施について
結論から言うと、必要なものです。
決して安い金額ではないため、渡すことへの疑問を持つ方も増えています。本来、お布施とは僧侶への報酬や対価ではなく、御本尊のある寺院への寄付のために存在していました。
日頃からお墓を守っていただいているお寺に対して、感謝の気持ちを示す意味がありました。
どうしても金額ばかり気にしてしまって、お布施の本来の意味を忘れてしまうケースがありますが、お寺と僧侶に対して感謝の気持ちを示すものだと理解し、心を込めて渡しましょう。
香典について
最近では、小規模な家族葬の増加や故人の遺言によって、香典辞退をされるケースも増えてきています。
「香典は辞退します」と言われると慣れていないので戸惑ってしまい、結果的に用意してしまうということもありますが、その場合は香典を用意する必要はありません。
それでも無理に用意してしまうと、遺族にとっても予定外の香典返しが必要になってしまいますので、気をつけましょう。
それでも、「何か弔意を示したい」という人は香典以外の供物や供花を送るという方法もあります。
供物や供花については葬儀社にお願いすれば用意してもらえます。供物や供花も辞退されている時には、何もしないことが一番です。
葬儀に参列し、心を込めて手を合わせ、焼香し、故人を送り出すことをすれば十分に弔意を示すことは可能です。
逆に言うと、香典辞退をされない限りは、自分の意思で出さない、ということはしないようにしましょう。
法事の香典相場(年齢・故人との関係性別)
香典の金額が特に気になるのは、通夜・告別式(葬儀)の時です。基本的な考えは、親等が近く、日常生活でも近しい親族ほど金額が高くなる、というものです。
それに加えて、年齢と社会的立場で金額の目安は変わります。次にまとめたので参考にしてみてください。
20代以下:故人との関係性に対する金額
故人との関係 |
金額の目安 |
両親 |
3-10万円 |
兄弟/姉妹 |
3-5万円 |
祖父母 |
1万円 |
父/叔母 |
1万円 |
甥/姪 |
1-3万円 |
いとこ、その他親戚 |
3千円-1万円 |
友人/知人/恩師/仕事関係 |
3-5千円 |
30代:故人との関係性に対する金額
故人との関係 |
金額の目安 |
両親 |
5-10万円 |
兄弟/姉妹 |
5-10万円 |
祖父母 |
3万円 |
父/叔母 |
1-3万円 |
甥/姪 |
1-5万円 |
いとこ、その他親戚 |
5千円-2万円 |
友人/知人/恩師/仕事関係 |
3千円-1万円 |
40代以上:故人との関係性に対する金額
故人との関係 |
金額の目安 |
両親 |
10万円以上 |
兄弟/姉妹 |
5-10万円 |
祖父母 |
5万円 |
父/叔母 |
3万円 |
甥/姪 |
1-5万円 |
いとこ、その他親戚 |
5千円-3万円 |
友人/知人/恩師/仕事関係 |
3千円-1万円 |
※こちらはあくまでも目安となるので、故人との関係性や遺族側の気遣いも考慮して決めるようにしましょう。
夫婦連名で渡す場合
夫婦で参列する場合は、香典の金額は一人で参列する時と同じ金額になります。香典の表書きには夫の名前を記載するようにしましょう。ただ、夫婦で故人との付き合いがあった場合は、連名で記載しても問題ありません。その場合は、下中央に夫の名前を書き左側に妻の名前を書きましょう。
夫の代理で参列した場合
葬儀の日程が合わず、夫の代わりに妻が参列するという場合があります。その場合は、香典には夫の名前を記載して左側に「内」と記載します。これは、代理で来たという意味を表しています。同様に、受付で名簿に記帳をする際も、夫の名前の左横に「内」を記載しましょう。
香典返しは一世帯につき一つ
香典返しは一世帯につき一つが原則ですので、香典返しも一つだけ受け取りましょう。
香典を夫婦連名で出す場合は「香典を連名で出す場合は?香典を連名で出す際の書き方やマナー、注意点を徹底解説!」の記事でもご紹介しています。
孫の場合
判断が難しい故人との関係が孫の場合についてですが、これは、孫が成人しているか、就職しているかの判断になります。既に社会人として就労しており給与所得者であれば、香典を持参した方が良いでしょう。香典を出した方が良いか迷った場合は、親や親族に相談してみましょう。
法事の香典相場(状況ごと)
年齢や故人との関係での金額の相場について解説しましたが、こちらでは法要ごとに改めてまとめています。
通夜・告別式(葬儀)
先ほど解説したように、故人との関係性でも変わりますが、3千円から5万円が一般的に相場となります。
通夜と告別式(葬儀)の両方に参列する場合、香典は通夜のときに出し、告別式(葬儀)では記帳のみを行います。「不幸が重なる」という意味になるため、二度渡すことはしません。
通夜・告別式については「お通夜のマナーとは? 服装や香典マナー、流れを喪主側参列者側で徹底解説!」「告別式とは?知っておくべき遺族側・参列者側必読のマナー!」の記事もご参考ください。
初七日法要
初七日とは、故人が亡くなってから7日目に営む法要のことです。初七日法要の香典は故人との関係で変わりますが、通夜・葬儀と同様に3千円から5万円程度が相場と言われています。
初七日法要については「初七日とは?意味・数え方・お供え・お経・知っておきたい常識とマナー」の記事もご参考ください。
四十九日法要
四十九日とは、故人が亡くなってから49日後に行われる法要のことです。四十九日法要での香典額の相場は、1万円から10万円程度とされており、故人に近い関係の人ほど金額が大きくなります。
四十九日法要については「四十九日の香典相場を完全解説!書き方・マナー・故人との関係別相場も紹介!」「四十九日法要のお布施を完全解説!相場・地域・宗派を詳しく紹介!」の記事もご参考ください。
一周忌
一周忌とは、故人が亡くなって1年に当たる命日に行われる法要のことです。香典額の相場は、近い親族で1万円から10万円、遠い親戚や知人は3千円から1万円程度とされています。
四十九日法要に参列できなかった人が、相場の5割増し程度で包むこともあります。
以下では、親族以外が参列することがほぼなく、省略されることも多くなっている三回忌以降の法事での香典についても解説します。
法事の後に会食がある場合には、香典の相場とは別で(人数分×5千円から1万円)を合わせて包むのがマナーです。
一周忌については「意外と相場がわからない!一周忌の香典の相場やマナーを完全解説!」「一周忌とは?意味・香典・お布施・お供え・マナーを完全解説!」の記事もご参考ください。
三回忌
三回忌とは、故人が亡くなって2年目の命日に行われる法要です。3年目ではなく2年目なので注意してください。必要な香典額の相場は、故人が親族の場合は5千円から5万円、親族以外の場合、3千円から1万円程度となっています。
三回忌については「三回忌のお布施を完全解説!金額相場・書き方・渡し方・喪主・参列者のマナーを紹介!」「三回忌とは?意味と施主と参列者が知っておくべき法事・法要のマナーとは?」の記事もご参考ください。
七回忌
七回忌法要とは、故人が亡くなって6年目の命日に行われる法要のことです。年忌法要が「三」と「七」のつく年に行われるのは、仏教において大切にしている数字に沿っているためです。
七回忌以降は、香典額の相場も下がるのが一般的です。故人が親族の場合は5千円から3万円、親族以外の場合、3千円から1万円程度となります。
七回忌については「七回忌とは?意味とお布施・香典の相場と出席マナーを解説!」の記事もご参考ください。
十三回忌
十三回忌法要は、故人が亡くなって12年目の命日に行われる法要となります。故人が親族の場合は5千円から3万円、親族以外の場合は3千円から1万円程度となります。以後、十七回忌、二十三回忌というように続いていきますが、直接故人を知る人も少なくなってくるため、弔い上げをして年忌法要を終えることになります。
十三回忌については「13回忌とは?13回忌の準備から招待された場合のマナーまでを完全解説!」の記事もご参考ください。
法事の香典相場については「法事・法要の香典相場はいくら?三回忌・七回忌・十三回忌と故人との関係別に解説!」の記事もご参考ください。
法事の香典袋の書き方・例文
香典袋に書く基本的な内容は、とてもシンプルです。
外袋
表書き、名前
中袋表面
金額
中袋裏面
郵便番号、住所、名前
会社が学校での連名で包む人数が多くなる場合には、別で郵便番号、住所、氏名、金額の明細を用意することもあります。
それでは、順番に書き方を解説します。
中袋
表面に金額、裏面に郵便番号・住所・名前を書くことになりますが、これは遺族が香典返しをするときに参考にできるように、という意味があります。記入がない場合、遺族が調べさせてしまうことになり手間を増やすことになりますので、必須のマナーとして書くようにしましょう。
中袋表面の金額の書き方(縦書きの場合)
一般的に、香典の金額を書く際には第三者が簡単に改ざんしたりできないよう、旧漢字(または大字)で書きます。「円」は大字で「圓」と書き、数字の前に「金」を書きます。例えば、10,000円の場合、「金壱萬圓」という表記になります。「金壱萬円」でも可能です。「金壱萬圓也」のように「也」を書くか迷う人も多いですが、必ず付けなければいけないという決まりはないので、どちらでも大丈夫です。漢数字と大字の書き方をまとめたので参考にしてみてください。
三千円:参仟圓・参阡圓
五千円:伍仟圓・伍阡圓
七千円:七仟圓・七阡圓
一万円:壱萬圓
三万円:参萬圓
五万円:伍萬圓
七万円:七萬圓
十万円:拾萬圓・什萬圓
中袋表面の金額の書き方(横書きの場合)
香典の金額を書く際は、縦書きが一般的なものですが、最近市販されている香典袋では、金額を書く欄が中袋に横書き用で印刷をされているものもあります。その場合は、漢数字や大字ではなく算用数字で金額を書くことになります。
中袋裏面の書き方
こちらも基本的には縦書きでの記入になります。裏面の左側半分の箇所に、右から郵便番号、住所、氏名の順に書きましょう。名前は必ずフルネームで書きましょう。
中袋がない場合
場合によっては、水引が印刷された状態の封筒タイプの香典袋を使用したり、「袋が二重になっていることは不幸が重なることであるのでよくない」と考える風習のある地域では、中袋を使用しないケースがあります。その際は、香典袋の裏側に、郵便番号、住所、氏名、金額を記入しましょう。
外袋(表書き)の書き方
表書きは、贈り物をする際の内容を示すための目録が簡略化されたものだと言われています。市販されている香典袋には、表書きが印刷されているものが多くなっています。
法事の香典は薄墨で無くてもよい
本来、葬儀に持って行く香典袋の表書きは薄墨で書く風習があります。薄墨とは通常の墨よりも薄い墨のことです。しかし、法事の場合は事前に日付が分かっている為、薄墨で書かなくても良いとされています。
香典袋の書き方については、「香典の袋の書き方を完全解説!金額相場・書き方・渡し方を紹介!」の記事もご参考ください。
法事の水引の選び方
ここでは、水引の選び方と外袋(表書き)の書き方、それに類する注意点について解説します。表書きは、故人の宗教によってタブーになることもありますので参考にしてください。
仏教の場合
「御霊前」や「御仏前」とすることが多いです。仏教においては、四十九日の忌明け法要までは、故人は御霊(みたま)となり、この世にいると考えられています。そのため、通夜・告別式(葬儀)では「御霊前」とすることが多いです。「御霊前」や「御仏前」の他に、「御香典」や「御香料」でも可能です。
また、水引は黒白または銀一色の物を選ぶようにしましょう。結びきりの水引を使うのは、「二度と不幸が起こらないように」という意味が込められているからです。
仏教(浄土真宗)の場合
浄土真宗においては、人が亡くなるとすぐに浄土に召されて仏になると考えられています。御霊という考え方はないので、「御霊前」と書くことは失礼になります。故人が浄土真宗だった時には、「御仏前」と書きましょう。結びきりの水引で黒白または銀一色の物を選ぶようにしましょう。
神式(神道)の場合
神式(神道)では、「御榊料」、「御玉串料」、「神饌料」と書きます。ご神前に捧げるものなので、「御仏前」はNGで、「御霊前」は可能です。そして、黒白、銀または白一色の結びきりの水引を選びましょう。香典袋に蓮の花の絵が書かれている場合、それは仏教用になりますので選ばないように注意しましょう。
神式については「神式葬儀の流れとは?仏式との違いや基本的なマナーについても解説」の記事もご参考ください。
キリスト教の場合
カトリック
「御花料」や「御ミサ料」がスタンダードですが、「御霊前」を使用することも可能です。キリスト教では、お香を焚くことはありませんので、「御香典」はNGです。また、「御仏前」もNGとなるので注意しましょう。
プロテスタント
「御花料」や「献花料」、「忌慰料」とします。プロテスタントにおいては、「御霊前」は異教の偶像崇拝として不適切となり失礼に当たるので注意しましょう。
キリスト教の宗派は教会名から調べられますが、分からない場合は、どちらでも対応可能な「御花料」にするのが無難です。一般的に、キリスト教用の香典袋を使いますが、仏式の香典袋を使用する際は、黒白か銀一色の結びきりの水引、白無地のものにしましょう。
法事での香典の包み方
香典袋の用意をし、お金を包む際にもいくつか注意点がありますので、解説します。
中袋にお金を入れる
中袋の表側から開き、人物が描いてある面を反対に向け、かつ人物の描かれている側が下になるようにしましょう。(つまり、中袋の裏側から見ると、人物の描かれている面が見えるように、ということになります)
これは、悲しみで顔を伏せている様子を表すという意味があります。いつも迷ってしまいますが、意味を理解することで迷いをなくせます。
中袋を外袋に入れる
中袋を外袋(香典袋)に入れる際の注意点は、水引を外さないようにすること、です。手順としては以下のようになります
①香典袋を裏返し、下の折り目を引き抜く
②下側から中袋を差し込み入れていく
③引き抜いた下側の折り目を元に戻す
香典袋を袱紗(ふくさ)に入れる
香典袋は袱紗(ふくさ)に入れて持参するのが、正しいマナーです。袱紗は、現金、のし袋、進物や大切な品物などを、包んだり覆ったりするための四角い布を指し、最近では様々な色やデザインのもの、使いやすく金封タイプのものも市販されています。弔辞や仏事の際は、紺や紫や深緑などの寒色系かつ無地のものを用いるようにしましょう。
金封タイプのものを利用するのが楽でおすすめですが、四角い布タイプのものしか手元にない、ということもあるかと思います。それぞれ簡単に解説します。
袱紗(ふくさ)の包み方(爪付き布)
①爪を左にし、袱紗の内側の台の上(中央より右側)に香典袋を置く
②右側からたたむ
③次に下側をたたむ
④上側をたたむ
⑤最後に左側(爪のある方)をたたむ
⑥爪を留めて完成
袱紗(ふくさ)の包み方(金封タイプ)
金封タイプで注意すべき点が一つだけあります。それは、弔事(通夜や葬儀)と慶事(結婚式など祝い事)で開き方が異なるということです。
・弔事の際は、「左開き」になるように入れる
・慶事の際は、「右開き」になるように入れる
これだけ守れば大丈夫です。
法事の香典を渡すタイミング・渡し方
ここまでできれば、あとは実際にお渡しする場面になります。こちらについても簡単に解説します。
①受付の前で、袱紗をバッグや懐から出す。(並んでいる間に出すことはしない)
②右手の上に袱紗を乗せ、左手で袱紗を開き、中から香典袋を出す。
③香典袋を、相手から見て正面向きになるように向きを変える。
④「ご愁傷様でございます」と述べながら一礼し、黙礼しながら香典を渡す。
お悔やみの言葉を言う時には、必ず深く頭を下げ、相手を悼む気持ちを表わすようにしましょう。
よく使われる言葉としては、
「このたびはまことに突然のことで。(心よりお悔やみ申し上げます)」
「(このたびは)まことにご愁傷様でございます(ました)」
があります。
ただし、キリスト教式葬儀の場合には、「故人が天国に召されたことを喜ぶ」場になるため、お悔やみの言葉でなく、故人の安息を祈る言葉に変えて添えることになります。
例としては、
「●●様の魂の平安をお祈りします」
「神様の平安がありますように」
「お知らせいただきありがとうございました」
「安らかに眠られますようお祈りいたします」
などがあります。
法事のお布施の相場
香典などと同様に、やはり、お布施についても一般的な金額相場が気になるものです。お布施は、僧侶に対する感謝の気持ちだとされてはいるものの、失礼にならない金額感については知っておきましょう。
注意点として、お布施は地域により金額にかなり幅があります。また、法要を菩提寺の僧侶にお願いするしない、寺院との親しさの度合い、などによってもお布施の金額は変わります。
そういった条件があることを踏まえた上で、一般的な金額相場を紹介します。
通夜・葬儀(戒名と読経まで)
15万円から35万円
四十九日法要での読経
3万円から5万円
お盆での読経
5千円から2万円
新盆での読経
3万円から5万円
一周忌法要での読経
3万円から5万円
三回忌以降の法要での読経
1万円から5万円
祥月命日法要での読経
5千円から1万円
上記はあくまでも一般的なお布施の金額相場なので、実際には親族や地域の詳しい方に事前に確認しておくのがよいでしょう。
お布施の費用を抑えたい場合
先祖代々のお世話になっているお寺がある場合は、法事も菩提寺にお願いするのが良いでしょう。菩提寺が無い場合は、葬儀社に僧侶を手配してもらうことも可能です。
このように先祖代々のお墓を管理しているお寺を「菩提寺(ぼだいじ)」と呼びます。昨今は、お寺とのお付き合いも薄くなってきており菩提寺を持っていない方も多いです。その場合は僧侶を手配することもできます。
法事に関しては、『やさしいお坊さん』でもご相談を受け付けております。追加費用が不要でお車代、御膳料、お心づけなども必要ありません。
法事のお布施の包み方
お布施を包む際には、白の封筒もしくは『お布施』と印刷されている封筒を用いるのが簡単です。白の封筒は二重袋になっていないか、だけ注意してください。水引は必要ないですが、あえて選ぶ際には、黒白、または双銀の鮑結びのものを選びます。
奉書紙で包むのが正式なマナーですが、最近では封筒を使う人も増えているので問題はありません。
お札の入れ方
これも毎回悩んでしまいますが、お布施の際には、封筒の表面とお札の表面(肖像画のある方)を揃え、かつ肖像画が封筒の口側になるように入れましょう。
香典とは異なり、悲しみの気持ちを表現するものではないからです。また、使うお札もなるべく新しいものを選ぶようにしましょう。
お布施の書き方
香典とは異なり、濃墨の筆で書きます。お布施は感謝の気持ちを込めたもので、悲しみを表現するものではないからです。
封筒の表面、上半分中央に「御布施」と書き、下半分中央に「●●家」と書きます。裏面には金額も含めて何も書かなくて大丈夫です。これは、あくまでも感謝の気持ちであることが理由です。
購入した封筒に中袋がついていて、金額や住所氏名を書く欄がある時には書いても構いません。
神式(神道)の場合
神式の場合には、御布施という言葉を使いません。「御礼」、「御祭祀料」、「御祈祷料」のいずれかを使うようにしましょう。
法事のお布施に関しては「法事とは?日程とお布施と服装持物を徹底解説!」もご確認ください。
法事のお布施を渡すタイミング・渡し方
基本的には法事が終わり、僧侶が帰られる際にお渡しします。「本日は手厚い供養をありがとうございました。どうぞお納めください」と一言添えながら渡しましょう。
御布施、御膳料、御車料をまとめてお渡しすることもありますが、一番上に御布施を重ねるようにしましょう。
切手盆に乗せてお渡しすることが基本ですが、その際、切手盆を畳や床において滑らせるように渡すことは行儀の悪い行為になりますので注意しましょう。
切手盆がない場合には袱紗で代用することができます。僧侶の前で袱紗を開き、字の向きを僧侶側に向け、袱紗をたたんで金封を乗せて渡すようにしましょう。
その他の法事のお金についての注意点
その他に覚えておきたいマナーとしては、金額があります。
香典では偶数の金額は避ける
2万円などの偶数は「割り切れる」ことから、4(死)や9(苦)とともに、不吉な数字とされています。そのため、もし2万円を準備するのであれば、1万円1枚と5千円2枚にして、お札が3枚になるように準備するとよいでしょう。
新札は入れない
葬儀と同様に弔事では、新札は使わないのがマナーです。もし、新札しか無い場合はあらかじめ折り目を付けてから香典袋に入れましょう。
法事を欠席した場合の香典の渡し方
法事には欠席したが、香典は渡したいという場合の渡し方についてご紹介します。
代理で渡してもらう
香典を出席する人に代わりに渡してもらうことができます。ただ後日、訪問する予定があるのであればできるだけ直接、本人が渡した方が弔意を表すことになります。
郵送する
香典を郵送で送ることも可能です。その際は普通郵便ではなく、必ず現金書留で送るように気を付けましょう。また、香典だけでなく手紙なども添えると良いでしょう。
後日訪問時に渡す
後日、訪問時に渡すことも可能です。その際もいきなり訪問するのではなく、必ず事前に確認をとってから弔問するように心がけましょう。
法事の服装
法事に参列する場合は、略礼式の喪服を着るようにしましょう。略礼式とは男性であればブラックスーツ。女性は黒のワンピースかスーツを指します。出来るだけアクセサリーなど華美な物は控えましょう。
法事に供物は持って行くべきか?
法事には香典を持って行くため、基本的にはお供え物は必要ありません。ただ、地域の風習などによっては持って行った方が良い場合もあります。心配な場合は事前に親や親戚に相談してみましょう。
供物に適している物については「供物とは?意味と葬儀・法要での正しい贈り方と相場!」の記事をご覧ください。
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法事のお金に関する知識のまとめ
いかがでしたか?香典やお布施については、それぞれ意味があり、その意味を理解することが正しいマナーにもつながります。形式的なことだけ覚えようとせず、その由来や背景も含めて理解し、法事に臨むようにしましょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール