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借地権相続のトラブル回避法!全流れと必要な4つのポイントを解説

2021/8/2 情報更新

自分の家を建てるために土地を借りる場合もあります。新しく土地を購入することが難しい方にとっては便利な権利ですが、借り物である以上完全に自由にすることはできません。この記事では、借りた土地を適切に取り扱うための注意点などをご説明していきます。

借地権とは?

そもそも借地権とは一体どういうものなのでしょうか?基本的な知識からご説明します。

借地権とは?

借地権とは、簡単に言えば「土地を借りることができる権利」のことです。

具体的には、自分の住居などの建物を建てることを目的として土地を借りる際に発生する権利を指します。 

借地権と所有権の違い

「借地権」と「所有権」ではどちらも土地を所有することができます。しかし細かい点を見るといくつかの違いがあるので注意しましょう。

借地権では地主の承諾が必要

まず「土地の自由度」について。「借地権」に関しては、その名の通りあくまでも地主から借りている土地にすぎません。

そのため売却や遺贈、名義人変更など必要に応じて地主の承諾を得る必要があります。

勝手にこれらのことを行うと契約違反になる恐れがあるのです。

さらに契約で定めた期間を過ぎると土地を地主に返却する必要もあるため、先祖代々同じ土地を使いたいと考えている方にとっては不便かもしれません。

所有権では自由に売却や遺贈が可能

それに対して「所有権」では、その土地は完全に名義人の持ち物となります。

そのため売却や遺贈に関してはもちろん、物件の建築なども自由に行うことが可能です。

例えばマイホームなどを建てる場合には将来のことを考え所有権のある土地にしておいた方が無難でしょう。

借地権では地主への支払いが必要

次に「必要な費用」について。「借地権」に関しては、地主に対して権利金や更新料、保証金などを支払う必要があります。

また、名義変更を行う場合は「名義書換料」、土地の上にある建物を増改築などする場合は「建て替え承諾料」、遺贈によって土地を引き継ぐ場合は「譲渡承諾料」など、費用が発生する機会が非常に多いです。

借りているとはいえ、土地に何かをしようとするたびに費用が発生するというのはかなりの手間に感じるでしょう。

ただし借地権がある土地は所有権と比べて評価額が下がる傾向にあるため、最初の購入金額に関しては安くできる可能性があります。 

所有権では固定資産税が発生する

それに対して「所有権」では、完全に名義人の持ち物なので上記のような費用は発生しません。

その分固定資産税などがかかりますが、ことあるごとに支払いをする必要はないのでその点は手間が無くて良いでしょう。

ただし、所有権のある土地は借りている土地よりも評価額が上がる傾向にあるため、購入時には少し高く感じるかもしれません。

このように借地権と所有権では、主に「自由度」と「必要な費用」をしっかり比較する必要があります。

また、地主との関係性や契約内容によっても支払い金額は変わるので、一概にどちらが良いとは言えません。

自分が将来的に建物をどうしたいのかということをきちんと考えた上で、適切な判断を行うと良いでしょう。

旧借地権と新借地権の違い

「新借地権」とは1992年施工の借地借家法を基準にして適用されるものであり、1992年以前の法律を基準にしている「旧借地権」とはいくつか異なる点があります。

◎借地権の種類

旧借地権には「普通借地権」しかありません。後述しますが、新借地権にはもう1種類の借地権である「定期借地権」が存在するのです。 

◎存続期間

旧借地権では建物の種類により権利の存続期間が異なりますが、新借地権では存続期間が「一律30年」と定められています。

◎借地権更新後における存続期間

旧借地権では、権利を更新した後の存続期間が「コンクリートなどの強固な建物は30年・木造などの非強固な建物は20年」と定められています。

しかし新借地権では「更新1回目が20年・それ以降の更新は10年」と変更されており、地主と借主の間で合意があれば期間を延長することも可能です。

◎更新の拒否について

旧借地権では、地主は基本的に契約更新を拒否することができませんでした。「正当な理由があれば拒否も可能」と規定されていましたが、そもそも「正当な理由」というものが明確に定義されていなかったため、トラブルになることも多かったそうです。 

しかし新借地権では、この「正当な理由」が明確に定義されている上に、立ち退き料さえ支払えれば更新を拒否できるようになりました。 

◎建物が失われた場合

これは「火事などによって建物が無くなってしまった」というような状況のことです。

旧借地権では、特に地主からの異議等が無ければ定められた通りの存続期間が適用されます。 

しかし新借地権においては、建物の復旧などを行う場合「それが1回目の更新であり地主の承諾を受ける」ということが必要です。

借地権の種類

この借地権は、主に「普通借地権」「定期借地権(一般定期借地権)」の2種類に分けられます。 

普通借地権とは?

1つ目は「普通借地権」について。基本的に「借地権」と言われればこちらが該当することがほとんどです。

普通借地権では、土地を借りている借主が地主に対して契約期間の更新や延長を要求できます。

仮にそれらの要求を拒否されてしまった場合は、借主がその土地を購入しても問題ありません。 

定期借地権とは?

2つ目は「定期借地権」について。こちらは一般定期借地権とも呼ばれており、基本的に契約期間の更新や延長を要求することができません。

そのため、借地権の存続期間が終了した段階でこの借地契約が消滅することは確定します。

さらに、借りていた土地を購入することもできません。「定期」と名前にある通り、一定期間内での使用しか認められていないということです。 

そのため契約期間が終了した際には、建物を取り壊して地主に返却する必要があります。

さらに立ち退き料などを要求することもできないため、普通借地権と比べると地主に与えられた権限の方が強いと言えるでしょう。

ちなみに、定期借地権には「事業用定期借地権」なども含みます。

借地と底地(そこち)の違い

相続において「底地(そこち)」という言葉を聞く機会があるかもしれません。借地とは「借りている土地」のことを指し、底地は地主側からみた「貸している土地」のことです。

つまり、見方が違うだけで借地も底地も同じ土地をあらわしています。

相続についてのご相談はやさしい相続でも無料で承っていますので、お気軽にご連絡下さい。24時間365日無料で専門オペレーターが対応致します。

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借地権と相続

上記の借地権は、どのように相続と関わってくるのでしょうか?

借地権も相続の対象になる

被相続人が上記の借地権を所有していた場合、それも相続することが可能です。

基本的に、配偶者や子供などの法定相続人が借地権を相続する場合に関しては、地主の許可は必要ありません。

ただし、それ以外の人物への譲渡や遺贈などは地主の許可が必要です。 

相続する際の手続き

基本的には借地権の名義変更手続きを行うことで完了します。先述の通り、特に地主の許可などは必要ありません。

ちなみに、建物の登記簿を名義変更しておくことで、自動的に借地権の名義変更も完了します。

ただし、許可は必要ありませんが「相続をした」という旨はきちんと地主に通知しておきましょう。

新たな名義人と契約書を交わす必要があるためです。後から更新の際などにトラブルとならないように、こうした手続きは速やかに終わらせておきましょう。 

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借地権の評価方法

それでは具体的に借地権はどのようにして評価されるのでしょうか?

普通借地権の評価方法

普通借地権の財産としての価値は以下の計算式で算出されます。

自用地の評価額×借地権割合=借地権の相続評価額 

自用地の評価額とは?

自用地の評価額とは「借りている土地を更地にした場合の評価額」であり、借地権割合とは「路線価図に記載されている割合」のことを指します。

なお、この「路線価図」とは、路線(道路)に接している標準的な宅地1㎡あたりの価格を地図上に記載しているものです。

こちらは国税庁のHPから閲覧することができます。

ちなみに、上記の数式で求めた評価額はあくまでも目安です。借主と地主の関係値や売却先によっても評価額は異なるので注意しましょう。

定期借地権の評価方法

定期借地権の財産としての価値は以下の計算式で算出されます。 

土地の価格×(①÷②)×(③÷④) 

それぞれの数字に当てはまるのは以下の内容です。

①→定期借地権を設定した際に借主に発生する経済的利益の総額

②→定期借地権を設定した際の宅地の通常取引価格

③→相続した時点での残りの契約期間に応じた基準年利率における複利年間減価率

④→定期借地の設定期間に応じた基準年利率における複利年間減価率 

基本的には、被相続人が亡くなった日や実際に財産を引き継いだ日などの「課税時期」に対して、

「借主に発生した経済的利益や存続期間はどのくらいあるのか?」ということを基準にして評価を行います。

ちなみに「基準年利率における複利年間減価率」に関しては国税庁のHPに掲載されているので確認しておきましょう。 

路線価方式と倍率方式

土地を相続する際の評価額の計算方法としては「路線価方式」「倍率方式」の2種類があります。 

路線価方式とは?

「路線価方式」とは、対象となる土地に接している道路の価格を基準にして計算する方法です。

先述の路線価図には「A〜G」のアルファベットが記載されており、そのアルファベットに応じて借地権割合が決まります。

具体的には「A→借地権割合90%」「B→借地権割合80%」「C→借地権割合70%」というように数字が10%ずつ減少していくのです。

倍率方式とは? 

「倍率方式」とは、上記のような路線価が定められていない土地に適用される計算方法です。

具体的には、対象となる土地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛け合わせることで計算します。 

相続対象の土地がどちらの方式で計算されるのかは国税庁のホームページで確認しましょう。

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借地権の扱い方

それではここから、具体的な「借地権の扱い方」についてご説明していきます。

借地権を相続することは可能ですが、だからといって全てを相続人の自由にできるわけではありません。

借地権を売却する場合

例え相続した借地権であっても、それを売却する際には必ず地主の許可を得る必要があります。

さらに、売却だけではなく「相続ではなく譲渡を行う場合」「建物を改築等を行う場合」「家屋を処分する場合」にも地主の許可が必要です。

もしも地主の許可を得ずに上記のような行動をしてしまうと、契約違反とみなされ借地権の返還を要求される可能性もあるので注意しましょう。

遺贈によって借地権を取得する場合

配偶者や子供などの法定相続人に対して相続を行う場合は地主の許可は不要です。

しかし、それ以外の人物に借地権を遺贈する場合は「地主の許可」「地主への承諾料」が必要になります。 

それでは、その場合の具体的な手続きの流れを解説しましょう。

承諾請求

まず「遺贈によって借地権を引き継ぐ」という旨を地主に通知することで承諾請求を行います。 

この承諾請求には、借地権を現在保有している「遺贈者(遺贈を行う側)」と、遺贈を受け取る側である「受遺者」双方の連署が必要です。 

承諾

この請求を承諾する場合、地主はその旨を遺贈者あるいは受遺者に通知します。

法律上は口頭でも問題ありません。しかし後からトラブルになることを避けるために、できれば内容証明郵便などで通知を送ると良いでしょう。 

移転手続き

地主の承諾を得た後、遺贈するのが借地権が付いている建物の場合は「所有権移転登記」を行いましょう。 

ちなみに借地の上に建っている建物を遺贈した場合、借地借家法という法律の適用を受ける建物借地権に関しては、不動産の引き継ぎによって建物の権利を得た人物に対しても権利を正当に主張できるものとなります。 

賃借人(地主)の承諾が得られなかった場合

もし地主の承諾を得られなかった場合は、家庭裁判所に申請することで地主に代わって承諾を受けることができます。

ただし、家庭裁判所からも申請が却下された場合は基本的に遺贈はできません。「どうしても遺贈をしたい」という場合は弁護士に相談してみてください。

借地権を譲渡する際は承諾料に注意

上記の申請によって、借地権の売却や建物の改築等に対して許可が降りた場合は、地主に「譲渡承諾料」を支払わなければなりません。

この譲渡承諾料は「借地権評価額の1割程度」が一般的と言われています。

ただしこれはあくまでも目安の数字です。

借地契約の内容はそれぞれで異なるので、実際の更新料等を考慮した上で実際に支払う金額を決めます。

なお、目安は以下の計算式で算出することが多いです。

譲渡承諾料=掛率約1割×更地の価格×借地権割合

地主が亡くなってしまった場合

承諾を得る前に地主が亡くなってしまうこともあるでしょう。その場合は、その地主の相続人が新たな地主としての地位を引き継ぎます。

地主の相続人に引き継がれたとしても、それまでの借地契約の内容が変わることはありません。 

地主に返還する場合

借主の状況によっては借りていた土地を地主に返還することもあるでしょう。その場合は、更地にした上で地主に返還します。 

更地にする必要があるため、建物は解体しておきましょう。

この解体費用は建物の所有者が負担するのが一般的ですが、地主が一部負担してくれる場合もあります。

これは地主との交渉次第なのであらかじめ話し合っておきましょう。

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借地権を相続放棄したい場合

借地権を相続したくない場合は放棄することも可能です。ただし、相続放棄は相続を知ってから三カ月以内に家庭裁判所で申告をおこなう必要があります。また、借地権だけでなく他の財産に対しても権利を主張できなくなります。

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起こりうる借地権のトラブルと注意点

それでは、こうした手続きの中で起こりうるものも含めて、借地権ではどのような場合にトラブルの発生が想定されるのでしょうか? 

子供名義で建物を新築する

基本的に「借りている土地の名義→父・その上の新築家屋の名義→息子」というようなことは避けるべきです。

無断転貸禁止条項に抵触する

なぜなら、地主の承諾を得ずに家屋の名義人を土地の名義人と別にしてしまうと、土地賃貸契約書の「無断転貸禁止条項」に抵触してしまいます。

これに抵触してしまうと、債務不履行を理由に土地の契約解除を請求される恐れがあるのです。 

もし借りている土地の上に別名義の新築を建てたい場合は、「息子名義で新たに土地賃貸契約を締結し、新築家屋は親子共有名義にする」という流れを踏む必要があります。

二世帯住宅の新築を許可なく実行する

二世帯住宅を新築するために、土地の名義人とは違う人物(例えば息子)が家屋を建ててしまうと、地主から「名義書換料と承諾料」を請求される可能性があります。

また、こちらも上記の無断転貸条項に抵触する恐れがあるので要注意です。 

二世帯住宅の建築には地主への承諾が必要

二世帯住宅を検討している場合は、まず地主に対して「親の借地権を子供に転貸する」ということへの承諾を得ましょう。

無事に承諾を得たら、今度は転借人である子供の方から「借りている土地の上に新築物件を建てても良いか?」ということに関する承諾を得なくてはいけません。

このように二本立ての申し立てが必要となるので注意しましょう。 

地代の値上げを要求された

地主側から地代の値上げを要求される可能性もあります。しかし要求されたからといって、全てを鵜呑みにする必要はありません。 

基本的に地代は、「物価変動」「近隣相場の変動」「公租公課の変動」などの影響を受けた場合は増減額の請求ができます。

つまり、地主が値上げを要求できるのと同じように、借主側も減額請求をすることが可能なのです。 

このような交渉を通すためにも契約書はしっかり作成しておきましょう。

また、減額交渉の余地を残すために「地代は固定資産税の□□倍とする」というようなルールを作っておくことも効果的です。

建物の建替えを地主が承諾しない

必ずしも地主の承諾が得られるわけではありません。そのため、申請を拒否されたらまずはその理由を確認しましょう。

「期間満了にも関わらず更新料が支払われていない」「地代の減額請求をされた」「前の借主との仲があまり良くなかった」などの理由があるはずです。

その理由を聞いて解消できる問題なら良いのですが、必ずしもそうとは限りません。その場合は地主からの承諾を得るのが難しいため、家庭裁判所への申請を行った方が良いでしょう。 

勝手に土地が売却された場合

「現在の地主が第三者に土地を売却したため地主が交代する」というケースも考えられます。

変わるだけであれば特に問題は無いのですが、もしもこの新しい地主から立ち退き等を要求されればそれに従わなければいけません。

とはいえ、いきなり現れた人物から立ち退きを要求されたりするのは少し納得ができないですよね。

その場合に効力を発揮するのが「借地権の対抗要件」というものです。

借地権の対抗要件

「借地権の対抗要件」とは、以下の2つの条件に当てはまれば新しい地主からの要求にも対抗できるようになることを指します。

①建物に借地人名義での登記が完了している

「借りている土地の名義人」と「建物の名義人」が一致している場合は地主への対抗が可能です。

こうした事態に備えて、やや面倒でも両方の名義人は揃えておきましょう。 

②借りている土地の上に建物が実際にある

借りている土地にある建物に住んでいれば自動的に成立します。もちろんこの建物にも登記が必要です。

ただし、火事などの不慮の事態で建物が無くなった場合は、その土地の上に「建物を特定するのに必要な情報」「今後新築の予定がある」という旨を2年間掲示しなければいけません。 

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古家や空き家の借地権を相続した場合

古家や空き家の建っている借地であっても引き継ぐことはできます。しかしその場合、管理面で面倒に感じる可能性は高いです。 

まず、そもそも空き家なので建物の老朽化が進んでいることがほとんど。基本的には住めないのでなかなか管理が大変でしょう。 

また、建物が老朽化することで「倒壊」「窃盗」「火事」などの発生確率がグッと上がります。そのため定期的にメンテナンスする必要があるでしょう。

これらの条件が重なり、もしも法律により「特別空き家等」に指定されてしまうと、建物の所有者に対して行政からの勧告が通知されることも視野に入れておく必要があります。

空き家と一緒に借地を引き継ぐということは、こうしたリスクも引き継ぐことであると知っておきましょう。

相続人が複数いる場合

法律上、借地権が付いている建物の相続を複数人で行うことはできます。特に異論が無ければ、相続人の数に合わせて等分をするのが一般的です。 

とはいえ、複数人で相続することに関しては若干のややこしさもあります。

例えば、相続人の1人が「自分の相続分を売却したい」となった時に、借地権などを自分の分配割合に応じて売却するのは物理的に難しいです。

そもそも借地権などの権利に関してはなかなか価格が付きにくいため、複数人で分けるというのはあまり現実的ではないでしょう。

もし建物や土地以外の財産があれば、そこと合わせて等分するというのが理想です。

あるいは名義人を1人に絞った上で売却を行い、その利益を相続人全員で分けるという方法もあります。

そうした形の方が、後からトラブルになるリスクも少ないです。

また、大前提として「借りている土地とその上にある建物の名義人は一緒である」というものがあります。

複数人で分けるとその前提に反することもあるため、よく考慮する必要があるでしょう。

生前贈与する場合

借地権の付いている建物を生前贈与する場合は「名義書換料」を支払う必要があります。

名義書換料とは?

これは地主に対して支払うものであり、譲渡承諾料と同じような意味合いのものです。 

この時も基本的には無断転貸が禁止のため、例えば生前贈与によって「土地の名義人は親・その上にある建物の名義人は子供」というような形になることは避けましょう。

このような形にしたい場合は必ず地主の承諾が必要です。

地震や火事により建物が無くなった場合

地震や火事により借地した土地に建てていた建物が消失した場合でも、借地権は無くなりません。ただし、建物の消失から2年経過しても新しく建物が建てられなかった場合は、借地権を主張できなくなってしまう場合がありますのでご注意ください。

贈与については下記記事もご参考ください。
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借地権の相続についてのまとめ

以上が借地権に関する基本的な知識や注意点についてです。それでは最後に、今回ご説明した内容をまとめて確認しておきましょう。

◎借地権とは、簡単に言えば「土地を借りることができる権利」のこと。

具体的には、自分の住居などの建物を建てることを目的として土地を借りる際に発生する権利を指す。

◎借地権と所有権では、主に「自由度」と「必要な費用」をしっかり比較する必要がある。

自分が将来的に建物をどうしたいのかということをきちんと考えた上で、適切な判断を行うと良い。

◎「新借地権」とは1992年施工の借地借家法を基準にして適用されるものであり、1992年以前の法律を基準にしている「旧借地権」とはいくつか異なる点がある。具体的には以下の通り。

・借地権の種類

・存続期間

・借地権更新後における存続期間

・更新の拒否について

・建物が失われた場合の扱い 

◎借地権は「普通借地権」「定期借地権(一般定期借地権)」の2種類に分けられる。

基本的に「借地権」と言われれば「普通借地権」が該当する。

普通借地権では、契約期間の更新や延長の要求、それらが拒否されてしまった場合の土地の購入などができる。

定期借地権に関しては、基本的に契約期間の更新や延長を要求することができない。

◎借地権は以下のように相続と関わってくる。

・借地権も相続の対象になる。ただし、法定相続人以外の人物への譲渡や遺贈などには地主の許可が必要。

・基本的には借地権の名義変更手続きを行うことで相続が完了する。建物の登記簿を名義変更しておくことで、自動的に借地権の名義も変更される。

◎借地権は以下のようにして評価される。 

・普通借地権の評価方法

自用地の評価額×借地権割合=借地権の相続評価額

・定期借地権の評価方法

土地の価格×(①÷②)×(③÷④) 

それぞれの数字に当てはまるのは以下の内容である。

①→定期借地権を設定した際に借主に発生する経済的利益の総額

②→定期借地権を設定した際の宅地の通常取引価格

③→相続した時点での残りの契約期間に応じた基準年利率における複利年間減価率

④→定期借地の設定期間に応じた基準年利率における複利年間減価率 

◎土地を相続する際の評価額の計算方法としては「路線価方式」「倍率方式」の2種類がある。

相続対象の土地がどちらの方式で計算されるのかは国税庁のホームページで確認する。 

◎具体的な「借地権の扱い方」は以下の通り。

・借地権を売却する場合には必ず地主の許可を得る。

さらに、売却だけではなく「相続ではなく譲渡を行う場合」「建物を改築等を行う場合」「家屋を処分する場合」にも地主の許可が必要である。

・遺贈によって借地権を取得する場合は「地主の許可」「地主への承諾料」が必要。

その流れは「地主への承諾請求→地主の承諾を得る→移転手続き→譲渡承諾料を支払う」である。

・地主が亡くなってしまった場合は、その地主の相続人が新たな地主としての地位を引き継ぐ。

・地主に土地を返還する場合は、更地にした上で返還する。 

◎借地権で起こりうるトラブルは以下の通り。

・子供名義で建物を新築してしまい、土地賃貸契約書の「無断転貸禁止条項」に抵触・てしまう

・二世帯住宅の新築を許可なく実行してしまう

・地代の値上げを要求される

・建物の建替えを地主が承諾しない

・勝手に土地を売却された。この場合は「借地権の対抗要件」があることで対応できる。

・古家や空き家の借地権を相続した場合は、メンテナンス等に気をつける。

・相続人が複数いる場合は、借地権などを配分で揉めることがある。

・生前贈与する場合は「名義書換料」を支払う必要がある。また、この時も基本的には無断転貸は禁止である。

借地権は借りている土地に関する権利であるため、必要に応じて地主の承諾や各種費用の支払いなどが必要になります。

しかし土地自体は最初から準備されているものを借りるため、いきなり土地を購入するよりもハードルが低いという側面もあるでしょう。

「借地権が良いのか、所有権が良いのか」ということは人によっても異なるため、自分のプランに合わせて最適な方法を見つけていきましょう。

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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代表取締役 白石 和也
設立 2019年9月
所在地 〒105-0004
東京都港区新橋5丁目23-10片山ビル6階
TEL:0120-538-175
FAX:03-6800-5820
事業内容 AgeTech(エイジテック)プラットフォーム事業
AgeTech(エイジテック)関連のソフトウェア開発・提供事業
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企業理念

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お葬式セミナー講師
エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。