相続手続きを完全解説!手順・期限・必要書類を紹介!

皆さんは相続の手続きについて詳しくご存知でしょうか。相続をするためには必要な手続きや用意しなくてはならない書類、守らないといけない期限など、やらなければいけない手続きがたくさんあります。 

そこでこの記事では、相続の手続きについて詳しく知りたいという方のために時系列で行わなければいけない手続きの詳細について詳しく解説していきます。

もし相続についてこれから関わるという方はぜひ参考にしてみてください。

INDEX

01
相続手続きの流れと期限の理解が必要な理由
02
亡くなった直後の手続き(期限あり)
03
14日以内に行う手続き(期限あり)
04
3ヶ月以内に行う手続き(期限あり)
05
3ヶ月以内を目安になるべく早い方がいい手続き(期限なし)
06
4ヶ月以内に行う手続き(期限あり)
07
6ヶ月以内に行う手続き(期限あり)
08
10ヶ月以内に行う手続き(期限あり)
09
10ヶ月以内を目安になるべく早い方がいい手続き(期限なし)
10
2年で時効になる手続き
11
3年で時効になる手続き
12
5年で時効になる手続き
13
相続手続きについてのまとめ

相続手続きの流れと期限の理解が必要な理由

相続の手続きには、被相続人が死亡してから●日までに行わなければいけないといった、期限付きの手続きが多くあります。

期限を過ぎてしまうと、罰則や追徴課税が課されたり、後々の手続きを進めるにあたって障害になってしまうものがあります。 

人が亡くなったらゆっくりと気持ちの整理を行いたいと思うのが普通だと思いますが、中には人が亡くなってから一週間以内に行わなければいけない手続きもあります。

そのため、いざという時のために、事前に流れを理解しておくと慌てず対応することができますので、頭に入れておくと良いでしょう。 

亡くなった直後の手続き(期限あり)

被相続人が死亡した直後の手続きとして、死亡日から7日以内に「死亡届」を自治体に提出しなければいけません。

死亡届は医師が作成する死亡診断書と一体となっています。

この死亡届を提出することで、遺体を火葬・埋葬する許可を得ることができます。では、具体的な死亡届の提出方法について解説していきます。

死亡届の提出

死亡届の提出は、被相続人が死亡してから7日以内に行わなければいけません。

死亡届とは、「死亡診断書」と一体となっている書類です。

死亡診断書とは医師から発行してもらう書類で、人が死亡したことを証明するものとなっています。

病院で死亡した場合には担当あるいは立ち会った医師から発行してもらいます。

自宅で死亡した場合には、死亡を確認した医師から、事件、事故死などの場合には「死体検案書」という書類を発行してもらいます。

作成費用は5,000円から10,000円程度ですが、この費用は相続財産の控除を受けることができます。 

この死亡診断書の左側が死亡届の記入欄になっています。記入する内容は、死亡した人の名前・最終住所・死亡時刻・届出人の名前・届出人の本籍などです。

注意しておきたいこととして、届出人は誰でも良い訳ではありません。

届出人の条件は、親族・同居人・後見人・保佐人・補助人・任意後見人・家主・地主・家屋管理人・土地管理人などです。

また、死亡届を提出する先は死亡した人の本籍を管轄している役所の戸籍係・死亡した場所を管轄している役所の戸籍係・届出人の現住所を管轄している役所の戸籍係になります。 

また、死亡届を提出する際に、提出窓口で「死体火葬許可申請書」を提出しておくと二度手間にならずに済みます。

死体火葬許可申請書は、遺体を火葬するために必要な書類です。

死亡届を提出する窓口でもらえることができるため、ここで記入して提出しましょう。

提出が済んだら「火葬許可証」を受け取れます。この火葬許可証は火葬場へ提出します。

14日以内に行う手続き(期限あり)

被相続人が死亡してから14日以内に行う手続きは、「年金の受給停止」と「世帯主変更届」・「健康保険」・「介護保険資格の喪失届け」の4種類です。

年金の受給停止を行わないと年金が振り込まれてしまうため、不正受給となってしまいます。

その場合には後に受け取った分を返還しなくてはならないため、うっかり停止手続きをしないと大変なことになってしまいます。

このように、早めに手続きを行わないと後で困るようなものもあるので、注意が必要です。ではそれぞれの手続きについて詳しく見ていきましょう。 

年金の受給停止手続き

被相続人が国民年金に加入していた場合、被相続人が死亡したから14日以内に年金の受給停止手続きを行わなければいけません。

年金の受給停止手続きは、年金事務所あるいは年金相談センターで行います。

この時に必要な書類は、「年金受給者死亡届」と被相続人の年金証書、被相続人の死亡届の写しなどです。

年金受給者死亡届は日本年金機構の公式ホームページからダウンロード、あるいは年金事務所でいただけます。 

年金受給者死亡届に記載する内容は、被相続人の基礎年金番号・名前、死亡した日付、届出人の名前などです。

受給停止の手続きを行わない場合には、年金が振り込まれ続けるため、不正受給となりあとで変換する必要が出てきます。

また、年金の受給停止を行う際には「未支給年金の請求」を合わせて行うと手間が省けます。

未支給年金の請求とは、年金を受け取っていた被相続人が死亡した場合に、遺族が受け取ることができる支給されなかった分の年金のことです。

未支給年金は相続財産に当てはまらないため、相続放棄を選択していても受け取ることができます。

未支給年金の請求を行う際に必要な書類は、被相続人の年金証書、被相続人の住民票・請求者全員の住民票、戸籍謄本、入金してほしい口座の通帳などです。

もし不明点がある場合には、「ねんきんダイヤル」に相談してみると良いでしょう。

ちなみに加入していた年金が「厚生年金」の場合は、被相続人が死亡してから10日以内に行わなければいけないので注意してください。 

世帯主変更届の提出(住民異動届)

世帯主変更届の提出は、死亡した被相続人が世帯主の場合のみ必要となります。

しかし、残された世帯員が一人だけの場合、あるいは15歳未満の子どもとその親権者だけの場合には提出する必要はありません。

提出先は死亡した被相続人の最終住所の管轄の役所になります。届出の提出の際に必要なものは、届出人の印鑑と本人確認書類です。

健康保険の手続き

もし死亡した被相続人が世帯主だった場合には、国民健康保険の手続きが必要になります。

国民健康保険は世帯単位で加入するため、被相続人の国民健康保険証の返却と国民健康保険資格喪失届の提出に合わせて被扶養者の国民健康保険の加入手続きも合わせて行いましょう。

手続きを行う場所は被相続人の最後の住所の管轄の役場で、必要な書類は死亡届、または戸籍謄本と届出人の身分証明書、印鑑、死亡者の国民健康保険資格喪失届と国民健康保険の保険証になります。

介護保険資格の喪失届

介護保険資格の喪失届は、死亡した人物が65歳以上あるいは40歳以上65歳未満で要介護認定を受けていた人の場合に提出が必要です。

手続きを行う場所は被相続人の最後の住所の管轄の役場で、必要な書類は介護保険の資格喪失届と介護保険被保険者証になります。 

3ヶ月以内に行う手続き(期限あり)

被相続人が死亡してから3ヶ月以内に行う手続きは、「相続放棄・限定承認の申述」です。

遺産を相続する場合、相続の方法には「単純承認」と「限定承認」、「相続放棄」の3種類があります。

もし単純承認ではなく限定承認か相続放棄を選択する場合には、家庭裁判所で手続きを行わなければいけません。

では、具体的に行う手続きについて見ていきましょう。 

相続放棄・限定承認の申述

もし遺産を相続する際に相続放棄、または限定承認を行う場合には、被相続人が死亡して自分が相続をするという事実を知った日から3ヶ月以内に手続きを行わなければいけません。

もし3ヶ月以内に何の手続きもしなかった場合には、自動的に単純承認をしたとみなされることになります。

つまり、被相続人が死亡してから3ヶ月以内に遺産の調査を終わらせておく必要があるということになります。

遺産の調査を行うことで、遺産の総額がプラスになるのか、もしくはマイナスになるのかが判明します。

プラスであった場合には単純承認、または限定承認を行えば良いですが、もしマイナスであった場合には単純承認をしてしまうと借金を肩代わりすることになってしまいます。

そのため、相続放棄や限定承認を行うためにはあらかじめ遺産の総額を調査しておく必要があります。

相続放棄の手続き

相続放棄の手続きは、被相続人の最終住所の管轄である家庭裁判所で行います。

この時に必要な書類は、被相続人の戸籍謄本・住民票、相続放棄を行う人物の戸籍謄本、相続放棄申述書、収入印紙(800円)、返送用の切手になります。相続放棄申述書は、裁判所のホームページでダウンロードすることができます。

直接家庭裁判所でもらうこともできます。相続放棄申述書は未成年とそれ以外の場合でフォーマットが異なるため間違えないようにしましょう。 

記載する内容は、提出先の家庭裁判所の名称、申述人の名前、申述の趣旨・理由などです。

申述の理由には、相続の開始を知った日にちや相続放棄の理由、相続財産の概略などを記載します。

これらを家庭裁判所に提出したら、後日家庭裁判所から照会書が届きます。

これに署名、捺印を行い返送します。無事受理されたら「相続放棄申述受理通知書」が送付されてきます。 

限定承認の手続き

限定承認の手続きは、被相続人の最終住所の管轄である家庭裁判所で行います。

この時に必要な書類は、被相続人の戸籍謄本・住民票、相続放棄を行う人物の戸籍謄本、限定承認申述書、収入印紙(800円)、返送用の切手になります。

限定承認申述書は、裁判所のホームページでダウンロードすることができます。

記載する内容は被相続人の本籍・生年月日、申述人の名前・本籍・住所、申し立ての趣旨、申し立ての理由、遺産目録になります。 

限定承認を行う際に注意しておきたいこととして、相続人が複数いる場合には全員が限定承認に同意を得なければならないということです。

1人でも単純承認を行えば、他の相続人は限定承認を行うことはできなくなります。

もし3ヶ月以内に限定承認または相続放棄の選択ができないという場合には、3ヶ月以内に家庭裁判所に「期間の伸長の申し立て」を行うことができます。

家庭裁判所が正当な理由だと判断した場合には、期間を延長してもらえますが受理されなかった場合には延長されることはありません。 

3ヶ月以内を目安になるべく早い方がいい手続き(期限なし)

明確な期限は設けられていませんが、3ヶ月以内を目安になるべく早い方がいい手続きとして、「公共料金等の名義変更・解約」・「遺言書の有無の調査」・「遺言書の検認手続」・「相続人の調査」の4つがあります。

期限がないからといって後回しにしておくと、後々手間が増えて後悔することになるため、しっかりと何をやるべきなのか頭に入れておくと、スムーズに手続きを進めることができます。

それでは、それぞれの手続きについて見ていきましょう。 

公共料金等の名義変更・解約

もし死亡した人物が公共料金などの名義人となっていた場合には、名義変更・解約の手続きが必要です。

ここでいう公共料金とは、電気・ガス・水道の類です。もし誰も引き継いで使用しない場合には解約をすることになり、誰かが使用する場合にはその人に名義変更を行います。

電気・ガス・水道の名義変更・解約は電話かインターネットで行うことができます。

行うタイミングとしては、引き落とし口座が凍結されている場合には被相続人が死亡してから初回の引き落としの前に行っておく必要があります。

遺言書の有無の調査

もし被相続人が遺言書を作成していたかどうかが分からない、あるいは遺言書を作成していた可能性がある場合には、遺言書の有無の調査を行わなければいけません。

もし作成された遺言書が「公正証書遺言」の場合には、公証役場に保管されているはずなので公証役場に問い合わせれば遺言書の有無が分かります。

また、問い合わせの際には、被相続人の戸籍謄本、被相続人との関係性が分かる戸籍謄本、身分証明書、印鑑が必要になります。

もし「自筆証書遺言」の場合には、相続人が自力で探す以外の方法はありません。

銀行や自宅の金庫に保管されていることもあるので、探すまでに労力と時間が必要になります。 

「秘密証書遺言」の場合には、公正証書遺言の場合同様に公証役場に問い合わせることで遺言書の有無までは調べることができます。

しかし、遺言書自体は公証役場に保管されているわけではないため、自筆証書遺言同様に自力で探す必要があります。

また、調査をする上で注意しておきたいこととして、自筆証書遺言と秘密証書遺言を発見した場合には勝手に開封しないようにしましょう。

開封する場合には家庭裁判所で行わなければならず、もし開封してしまった場合には処罰の対象となってしまう可能性や遺言書の内容を偽造したと疑われてしまう可能性があるからです。

遺言書の検認手続(公正証書遺言以外の場合)

もし公正証書遺言以外の遺言書が見つかった場合には、家庭裁判所で遺言書の検認を受けなければいけません。

この検認を受けないで遺言書を開封してしまうと、処罰などを受ける場合があるため注意しましょう。

検認の手続きは、被相続人の最終住所の管轄である家庭裁判所で行います。 

この時に必要な書類として、検認申立書、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、法定相続人全員の戸籍などがあります。

検認申立書は裁判所のホームページからダウンロードすることが可能です。

記載する内容は申立人・被相続人の住所や名前、申し立ての趣旨と内容についてです。

これらの必要書類と家庭裁判所に提出したら、約1ヶ月後に遺言書検認日の通知が送られてきます。

検認日には申立人が遺言書を持参し、検認します。この検認手続きは弁護士や税理士などに依頼することができます。

しかし、代理人として出席できるのは弁護士だけなので注意しましょう。 

相続人の調査

相続が発生した際に相続人が複数いる場合、かつ遺言書が無い場合には「遺産分割協議」を行います。

遺産分割協議とは、相続人同士で誰がどの割合で遺産を相続するかを話し合うもので、相続人全員で行わなければなりません。

相続人が欠けていた状態で行われた協議は無効になってしまいます。

また、被相続人が実は養子縁組を行なっていた場合や認知していた子供がいる場合があります。

その場合には他の相続人が把握していないケースがあります。そのため、相続人の調査が必要になってくるのです。 

では具体的に相続人の調査とは何をするのでしょうか。

基本的には被相続人の出生から死亡までの「戸籍謄本」・「除籍謄本」・「改正原戸籍謄本」を集め、死亡時から出生まで遡るように読み解いていきます。

戸籍謄本は原則、本籍のある役所でしか手に入れることができません。

そのため被相続人の本籍が遠方にあり、気軽に行けないような場合には郵送で対応してもらいましょう。

ただし、戸籍謄本を取り寄せることができるのは戸籍の構成員または直系親族だけとなります。

また、戸籍は多くの場合一通だけでなく複数に及びます。

例えば結婚や法改正があれば、その度に戸籍は変更になるからです。

なので、集めた戸籍が連続しているかどうか日付や本籍地で確認するようにしましょう。 

相続人調査で一番難しいものはこの戸籍の収集です。

戸籍謄本などを全て集めるだけでも大変ですし、古いものだと筆で書かれていたりして読解がしにくいです。

また、もし全部集めたと思っていても抜けているようなケースもあります。

そのため、相続人調査自体は司法書士などの専門家に依頼することを検討してみても良いかもしれません。

4ヶ月以内に行う手続き(期限あり)

被相続人が死亡してから4ヶ月以内に行う手続きは、「所得税の準確定申告」です。

所得税の準確定申告とは、もし被相続人が確定申告を行わなければいけなかった場合に、相続人が代わりに確定申告を行うというものです。

では、被相続人がどのような場合に準確定申告は行わなければいけないのか、また、通常の確定申告とは手続きの仕方が異なるのかなどについて見ていきましょう。

所得税の準確定申告

被相続人が確定申告を行わなければいけなかった場合、相続人が被相続人に代わって「相続の事実を把握してから4ヶ月以内」に準確定申告を行う必要があります。

準確定申告とは、被相続人の1月1日から死亡した日までの期間分の確定申告です。

ただし、準確定申告は必ずしも行わなければいけないわけではありません。

該当する人は下記の要件に当てはまる場合ですので確認しておきましょう。

・事業所得もしくは不動産所得がある場合

・給与収入が2,000万円以上の場合

・土地や建物を売却した場合

・2カ所以上から給与を受け取っている場合

・生命保険などの一時金や満期金を受け取っていた場合

・年金による収入が400万円を超えている場合

・給与所得、もしくは退職所得以外の所得の合計金額が20万円を超えている場合

準確定申告を行う際に必要な書類は、「確定申告付表」と「委任状」です。

それぞれのフォーマットは国税局のホームページでダウンロードすることが可能です。

また、書類の提出先は被相続人の最終住所の管轄である税務署です。

確定申告付表には、相続財産の価値や納付税額、還付される税金の受け取り場所などを記入します。

委任状には被相続人の住所・名前や受任者の住所・名前などを記入します。

6ヶ月以内に行う手続き(期限あり)

被相続人が死亡してから6ヶ月以内に行う手続きは、「故人の未支給失業等給付の請求」です。

故人の未支給失業等給付の請求とは、故人が雇用保険などにより失業給付を受けていた場合、遺族が死亡した日の前日までの給付金を受け取ることができるというものです。

それでは、未支給失業等給付の請求の方法について見ていきましょう。

故人の未支給失業等給付の請求

もし故人が雇用保険などに加入しており、失業給付を受けていた場合には生計を共にしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹が死亡の前日までの失業給付を請求することが可能です。

手続きはハローワークで行います。 

その際に必要な書類としては、「未支給失業等給付請求書」、死亡診断書の写し、生計を共にしていたという証拠になる住民票記載事項証明書などが必要です。

また、加入していた保険によって必要書類が異なるため、もし不明点などがあればハローワークに相談してみると良いでしょう。

6ヶ月を過ぎてしまうと請求ができなくなるため注意してください。

10ヶ月以内に行う手続き(期限あり)

被相続人が死亡してから6ヶ月以内に行う手続きは、「相続税の申告」です。

遺産を相続した場合、相続した遺産の総額が一定の基準額を超えると相続税が課されることになります。

ただし、全ての遺産に相続税が課されるわけではなく、相続税の対象となる財産とならない財産があります。

基本的には全ての遺産が対象となりますが、対象とならない財産には祭祀財産と呼ばれるお墓や墓地、仏壇が該当します。

また、生命保険金も金額によっては対象となりません。

具体的には「500万円×法定相続人の数」の数で求めることができ、法定相続人が4人の場合、500万円×4=2,000万円となるため2,000万円までは生命保険金を受け取っても相続税の対象とはなりません。

また、相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求めることができます。

つまり、法定相続人が4人の場合、3,000万円+600万円×4=5,400万円となるため遺産の総額が5,400万円を超えない限り、相続税は課されないことになります。

では、具体的な相続税の申告方法を見ていきましょう。

相続税の申告

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った翌日から10ヶ月以内に行わなければいけません。

申告場所は被相続人の最終住所の管轄である税務署です。

もし10ヶ月を過ぎてしまったら、「小規模宅地等の特例」などの特例を利用できなくなったり、追徴課税を支払わなければならなくなります。 

追徴課税には、無申告加算税、過少申告加算税、重加算税、延滞税の4種類があります。

無申告加算税は、10ヶ月の期限内に申告しなかった場合に課されることになります。

自分で期限後に申告した場合には5%、税務調査によって期限後に申告した場合には納税額の50万円の部分までは15%、50万円以上の部分は20%の税金が課されます。

過少申告加算税とは、本来支払わなければならなかった税金よりも少なく申告した場合に課せられることになります。

自分で少なかったことに気づいて申告をした場合には課されることはありませんが、税務署に指摘されてから申告した場合は10%、税務署の指摘により申告した場合で「期限内申告税額」もしくは「50万円」のどちらかが多い金額の場合に15%が課せられます。

重加算税は遺産の一部をわざと無かったことにしたり書類を隠蔽した場合に課せられます。

故意に隠蔽して申告した場合には35%、申告をしなかった場合は40%が課せられます。

延滞税は納付期限を過ぎた期間によって課せられます。納付期限の翌日から2ヶ月以内に納付した場合は、「年7.3%」と「特例基準割合+1%」のどちらか低い方で、2ヶ月を超えて納付した場合には、「年14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のどちらか低い方が課せられることになります。 

申告自体は被相続人の最終住所の管轄の税務署で行います。

相続税の申告書は国税庁のホームページでダウンロードができます。

記載する内容は申告を行う相続人の氏名・住所、取得財産の金額や課税対象の財産の金額、被相続人の債務などです。

申告書以外に必要な書類は、被相続人の全ての戸籍謄本・住民票の除票、相続人全員分の戸籍謄本・印鑑証明書、被相続人の相続開始前の過去6年分および相続開始後の通帳や定期預金の証書、相続人の相続開始前の過去6年分および相続開始後の通帳や定期預金の証書、不動産がある場合には登記簿謄本、債務がある場合には葬式に関する領収書もしくは請求書、火葬に関する領収書もしくは請求書、お布施などです。

申請が済んだら納付を行いますが、基本的には現金での一括納付になります。

しかし、遺産の価値が高く、相続税分の現金が期限までに用意できないという場合には延納の申し立てを行うことができます。

延納の条件には、相続税の金額が10万円以上、延納税額と相当の担保を用意するなどがあります。

これらの条件に全て当てはまり裁判所が認めれば、延納することができます。

ただし、延納する場合にはその分だけ利子がつくことになるため注意しましょう。

10ヶ月以内を目安になるべく早い方がいい手続き(期限なし)

被相続人が死亡してから10ヶ月以内を目安になるべく早い方がいい手続きは、「遺産分割協議書の作成」、「預貯金・有価証券等の名義変更」、「不動産の名義変更」です。

これらの手続きに関しては特に期限などは設けられていませんが、最低でも被相続人死亡後10ヶ月以内に済ませておくことが無難です。

それでは、各種手続きについて見ていきましょう。 

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議とは、相続人全員が集まって遺産の分割方法や割合について話し合いです。

この話し合いには相続人全員の参加が義務付けられているため、相続人調査を行って相続人全員を確定させてから行う必要があります。

また、話し合いで決着をつけなければ遺産の相続が行えないため、できる限り早めの時期に行なっておく必要があるのです。

遺産分割協議書とは、この遺産分割協議で決まったことを書面として残しておくものです。

遺産分割協議書には特に決まった様式はないため、パソコンでも手書きでも構いません。

記載しておくべき内容としては、相続人の誰がどの遺産を相続するかについてです。

相続人全員分の作成が必要で、また、全員分の署名と捺印が必要になります。 

預貯金・有価証券等の名義変更

被相続人が死亡した場合、その名義で契約していた口座は凍結されてしまい現金の移動や引き落としができなくなってしまいます。

そのため、口座の現金を使用できる状態にするためには、口座の名義変更を行う必要があります。

名義変更に必要な書類は銀行や証券会社によって異なりますが、多くの場合被相続人の全ての戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書などが必要になります。

もし不安点などがあれば、契約している銀行・証券会社に何が必要なのか問い合わせてみると良いでしょう。 

不動産の名義変更

不動産を相続する場合には、法務局で不動産の名義変更を行わなければなりません。

この名義変更のことを「相続登記」と言います。

名義変更に必要な書類は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、住民票の除票、相続人全員分の印鑑登録証明書、相続登記申請書などです。

名義変更を行わなければ不動産を処分することができないため、注意しましょう。

<h2>1年で時効になる手続き</h2>

被相続人が死亡してから1年で時効になる手続きは、「遺留分侵害額(減殺)請求」です。遺留分とは、法定相続人が相続できる遺産の割合を保証する制度です。遺留分の権利者は法定相続人全員が当てはまるわけではなく、被相続人の配偶者、被相続人の子、被相続人の父母、祖父母になります。被相続人の兄弟姉妹は当てはまらないため注意しましょう。

 

この遺留分を請求する場合とは、例えば遺言書によって「配偶者に全ての遺産を譲渡させる」と記載されていた場合、本来遺産を相続できるはずだった子どもが相続できなくなってしまいます。

そういったことを避けるために、遺留分という制度が存在します。

この場合、子どもは親に対して遺留分侵害額(減殺)請求を行うことができます。

また、遺留分の割合については「父母などの直系尊属が法定相続人の場合は法定相続分の三分の一、それ以外の場合は法定相続分の二分の一」と定められています。

では、どのように遺留分侵害額(減殺)請求を行えば良いのかその手順について見ていきましょう。

遺留分侵害額(減殺)請求

遺留分侵害額(減殺)請求は、下記の順に進めることになります

1:内容証明郵便送付と話し合い

2:遺留分侵害額(減殺)請求調停

3:遺留分侵害額(減殺)請求訴訟 

一番初めは遺留分を侵害している相手に対して、遺留分請求額の請求書を内容証明郵便で送付し、話し合いを行います。

もし当事者同士での話し合いで解決できなかった場合には、遺留分侵害額(減殺)請求調停に移行します。

ここでは当事者以外に調停委員や裁判官が仲介として間に入ります。調停でも解決方法は話し合いによって行われます。 

これでも解決ができなかった場合には、遺留分侵害額(減殺)請求訴訟へ移行します。

遺留分侵害額(減殺)請求訴訟は簡易裁判所あるいは地方裁判所で行われます。

最終的に裁判官から判決を下され、それによって遺留分の請求は終了となります。

法律や金銭が関わってくるため個人で行うにはトラブルに発展しやすく、弁護士などに一任することもできます。

もし1年の間に1度も遺留分を侵害している相手に対して請求を行わなければ時効になり、請求できなくなってしまうため注意しましょう。

また、遺留分の請求対象となるものは「遺贈」・「死因贈与」・「生前贈与」の3種類です。

遺贈とは遺言書によって法定相続人以外の人物に遺産を場としたい場合に使われるものです。

死因贈与とは、贈与者(遺産を譲渡する人)が死亡した際に受遺者と契約していた財産を譲渡するために使われます。

生前贈与は贈与者が生前のうちに法定相続人などに財産を譲渡する場合に使われます。

遺贈の場合は分かりやすいのですが、生前贈与の場合には自分の知らないところで行われ、いつの間にか遺留分を侵害されていたということになりかねませんので、注意しましょう。

2年で時効になる手続き

被相続人が死亡してから2年で時効になる手続きは、「葬祭費・埋葬費の請求」、「高額療養費の請求」、「国民年金の寡婦年金請求」、「国民年金の死亡一時金請求」です。

主に国民年金や健康保険に加入していた場合に対象となるものが多いため、自分が対象となっているのかどうかを確認しながらチェックしてみてください。 

葬祭費・埋葬費の請求

葬祭費の金額は故人が加入していた健康保険によって異なります。具体的な種類と金額は下記になります。

・国民健康保険:50,000円から70,000円

・後期高齢者医療制度:30,000円から70,000円

・国民健康保険組合:50,000円から100,000円 

もし葬式の形式が火葬式だった場合、受け取れないことがあるため確認しておく必要があります。

また、葬祭費は相続放棄をしていても受け取ることができます。

埋葬費は故人が共済組合などの社会保険に加入していた場合に受け取ることができます。

金額は50,000円で、受け取ることができる人物は、故人によって生計を維持されていた人物になります。 

高額療養費の請求

高額療養費とは、国民健康保険、後期高齢者医療制度、健康保険のいずれかの加入者が1ヶ月間に支払った医療費が自己負担額を超えた場合に払い戻しを受けることができる制度のことです。

高額療養費の該当者になっていた場合には、約2ヶ月後に保険年金課から「高額療養費支給申請書」が送付されてくるため、確認してみましょう。

国民年金の寡婦年金請求

国民年金の寡婦(かふ)年金とは、故人が国民年金の第1号被保険者で10年以上保険料を納付していた場合、かつ故人の妻が10年以上の婚姻関係があった場合に妻が受け取ることができる年金のことです。

このほかの条件として、夫が老齢年金や障害年金等を受給したことがない、死亡一時金を受給していないなどが挙げられます。

支給される時期は妻が60歳〜65歳の5年間です。さらに、妻が再婚した、あるいは養子となった場合にも受け取ることができなくなります。

国民年金の死亡一時金請求

国民年金の死亡一時金とは、故人が国民年金の第1号被保険者で国民年金を36ヶ月以上納めていた場合、老齢基礎年金、障害基礎年金も受け取らず死亡した場合に生計を同じくしていた配偶者、子、父母などの遺族が受け取ることができるものです。

具体的に受け取れる金額は下記の通りです。 

・36ヶ月以上180ヶ月未満:120,000円

・180ヶ月以上240ヶ月未満:145,000円           

・240ヶ月以上300ヶ月未満:170,000円           

・300ヶ月以上360ヶ月未満:220,000円

・360ヶ月以上420ヶ月未満:270,000円

・420ヶ月以上:320,000円

死亡一時金は遺族基礎年金を受け取れる場合にはそちらが優先され、寡婦年金とどちらかしか選ぶことができません。

また、請求先は年金事務所や年金相談センターになります。

その時に必要な書類は国民年金死亡一時金請求書、故人の年金手帳・住民票の除票、受け取り先の銀行の通帳の写し、印鑑などです。

3年で時効になる手続き

被相続人が死亡してから3年で時効になる手続きは、「生命保険金の請求」です。

ただし、生命保険の会社によっては手続きが5年以内など異なる場合もあるので、契約書をよく確認しておく必要があります。

では生命保険金の請求について見ていきましょう。

生命保険金の請求

生命保険金とは、生命保険の加入者が死亡した場合に受取人に指定された人物が受け取れるお金のことを指します。

保険金の請求期限は加入している保険会社によって異なりますが、多くの保険会社が請求の期限を加入者が死亡してから3年以内と設定していますが、商法においては死亡日から2年以内が支払い期限と定められているため、契約書の確認が必要です。

契約している受取人が自ら保険会社へ連絡をして、送付されてくる書類に記入し手続きを進めていきます。 

特に不備がない場合には、保険会社が支払いの可否と判断して支払いに該当するとなった場合に指定の口座に振り込まれることになります。

生命保険金は法律上では相続財産には該当しませんが、相続税の計算の際には「みなし相続財産」としてカウントされます。

この場合、「500万円×法定相続人の数」を超えた金額を受け取るような場合には、課税対象となるため注意しましょう。 

5年で時効になる手続き

被相続人が死亡してから5年で時効になる手続きは、「遺族(補償)給付の請求」、「児童扶養手当の請求」、「故人の未支給年金の請求」、「遺族年金の受給申請」です。

それぞれ受給要件や手続きが複雑なため、自分が該当するか判断しにくいかもしれません。

もし少しでも疑問があれば実際に問い合わせてみることをおすすめします。 

遺族(補償)給付の請求

遺族(補償)給付とは、故人が労災によって死亡した場合に受け取ることができるものです。

遺族(補償)給付には、遺族補償年金と遺族補償一時金の2種類があります。

遺族補償年金とは、故人によって生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹のうち、もっとも受給権者の位が高い人が受け取ることができます。

ただし、年齢もしくは障害の要件が求められます。その要件は下記になります。 

・妻あるいは60歳以上か障害を持つ夫

・60歳以上か障害を持つ父母、祖父母

・55歳以上60歳未満の父母、祖父母、夫、兄弟姉妹

・18歳未満の子ども、障害の子

・18歳未満の孫、障害の孫

・18歳未満の兄弟姉妹、60歳以上または障害の兄弟姉妹 

遺族補償一時金は、遺族補償年金の対象者がいない場合に受給できるものです。

受け取ることができるのは、配偶者、生計を維持されていた子ども・父母・孫または祖父母、生計を維持されていなかった子ども・父母・孫または祖父母、兄弟姉妹の順になります。

申請先は故人が務めていた会社の所在地の管轄の労働基準監督署になります。

児童扶養手当の請求

児童扶養手当はひとり親の家庭が受け取ることができる手当てです。

支給の要件は18歳未満もしくは障害の状態にある未成年の児童で、そのほかに下記のようなものがあります。

・父あるいは母が死亡、もしくは生死不明の場合

・両親が離婚した後に、父あるいは母と生計を同じくしていない

・父あるいは母が障害の状態ある場合

・父あるいは母による申し立てで保護命令を受けている場合 

受給できる金額は、児童一人当たり月額43,160円になります。

しかし、支給要件以外にも所得制限があり、扶養人数が0人で受給資格者本人が受け取る場合には、前年の所得が49万円以上の場合には、全部支給を受けることができません。

児童扶養手当の手続き自体は現住所の役場で行うことができるため、自分が該当するなどうかや必要な書類などについて詳しく問い合わせてみましょう。 

故人の未支給年金の請求

未支給年金とは、年金を受給していた人物が死亡した場合に、まだ受け取っていなかった分の年金のことを指します。

未支給年金を受け取ることができるのは、故人と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の3親等以内の親族です。

請求できる金額は故人が死亡したタイミングによって異なります。

また、手続きは加入していた年金の種類によって異なり、老齢基礎年金の場合は故人の最終住所の管轄の年金事務所、それ以外の年金は故人の最終住所の管轄の役所になります。

この時に必要な書類には下記のようなものが挙げられます。

・故人の年金証書

・年金受給権者死亡届

・死亡したことを確認できる書類(死亡診断書の写しなど)

・受給者の戸籍謄本

・故人の住民票除票

・希望する受取先の通帳

未支給年金は相続財産とならないため、相続放棄をしていても受給できますし、遺産分割協議の対象ともなりません。 

遺族年金の受給申請

遺族年金とは、故人が国民年金もしくは厚生年金に25年以上加入していた場合に受け取ることができる年金です。

故人が国民年金の加入者だった場合には遺族基礎年金を受給できます。

受給資格のある人物は、故人によって生計を維持されていた「子どもがいる配偶者」あるいは「子ども」です。

ここでいう子どもとは、20歳以下の独り身で、かつ障害等級1級または2級の障害状態にある人物です。

故人が厚生年金の加入者だった場合には、遺族厚生年金を受給できます。遺族厚生年金の支給要件は下記の通りです。

1:1級もしくは2級の障害厚生年金を受けられる人物が死亡した

2:老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人物が死亡した

3:被保険者が死亡した時もしくは被保険者期間中に負った怪我や病気が原因で、初診の日から5年以内に死亡した 

受給資格のある人物は、故人に生計を維持されていたとされる妻、55歳以上の夫・父母・祖父母、20歳以下の障害等級1級あるいは2級の障害状態にある子どもか孫です。

遺族年金の請求を行う際に必要な書類の一例を下記にあげます。

・故人の年金請求書

・故人の年金手帳

・故人が死亡したと判断できる書類(死亡診断書の写しなど)

・世帯全員の住民票の写し

・希望の受取先の銀行口座の通帳 

相続手続きについてのまとめ

ここまで相続の手続きを時系列順に見てきましたが、いかがだったでしょうか。

相続を行うにあたって必要な書類の収集、作成や厳守しなければならない期限などがあるためとても複雑だということが分かったと思います。 

相続は故人が死亡した時点から発生するため、気持ちの整理ができていない状態でこの手続きを行わなければいけません。

ですから、事前に少しでも相続の手続きの流れについて理解しておくことで、いざという時に慌てず対処できるかと思います。 

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