新盆とは?さまざまあるお盆の種類やそれぞれの期間を徹底解説!
お盆が近づくと、必ずと言っていいほど帰省ラッシュがニュースになります。混雑する新幹線や高速道路を使ってでも郷里に帰る人が多いのは、家族や親戚と一緒に先祖の霊をお迎えし、供養する大切な期間だからです。
しかし、一口に「お盆」と言っても、地方によってお盆の時期が異なることは意外に知られていません。
特に注意したいのが、初めてお盆を迎える故人がいる場合です。この記事では「新盆」を始めとするお盆の種類やそれぞれの期間、準備などを詳しく解説します。
お盆とはなにか?
お盆は日本の夏を象徴する行事です。亡くなった人や先祖を偲び、供養をする期間とされています。
日頃はなかなか会えない遠方の家族や親戚が集まって、お経をあげたりお墓参りをしたりして過ごすことが多いようです。
では「お盆」とはどんな意味があり、どのように過ごすべきなのか、ご存じでしょうか?まずは、お盆の由来やお盆の種類、それぞれの期間について紹介します。
お盆とは?
お盆の由来は旧暦の7月13日から16日に行われる「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という仏教行事です。
先祖の霊があの世から帰ってくる期間
亡くなった人や先祖の霊(精霊=しょうりょう)があの世から帰ってくる期間とされています。現世に生きる家族は準備をしてお迎えし、お盆の間は読経や供物で供養して再び送り出します。
お盆の由来
旧暦の7月15日は仏教では僧侶たちが一か所に集まってする修行(安居:あんご)が明ける日(解夏:げげ)にあたります。
釈迦の十大弟子の一人・目連(もくれん)が、この日に僧侶たちに食事を施したことで、功徳が餓鬼道に堕ちた目連の母にまで届き、天界への転生も叶ったという「盂蘭盆経」の教えが基という説が有力です。
また、旧暦7月15日は道教の中元(ちゅうげん)でもあります。
中国ではすべての罪を赦す大帝の誕生日とされ、供物や灯明をお供えする風習がありました。この中元の儀礼が盂蘭盆会と融合して伝来し、日本古来からの祖先崇拝が加わって「先祖の霊を供養する」期間になったと考えられています。
もともとは宮中だけの行事でしたが、徐々に貴族や武家へと広まりました。庶民にも浸透したのは、鎌倉時代の終わり頃です。
盂蘭盆会が西暦552年(一説では538年)に仏教とともに伝来したとすれば、その歴史は1400年以上。長い間に形式が変化したとはいえ、お盆の風習は現代まで受け継がれてきました。
先祖を敬い、供養するお盆は、時代は変わっても日本人にとって重要な行事と言えるでしょう。
お盆については「お盆(盂蘭盆会)とは?期間・意味・マナーを完全解説!」もご参考ください。
旧盆(月遅れのお盆)、新盆、旧暦盆の違い
お盆の由来である盂蘭盆会が7月と知って「あれ?お盆は8月じゃないの?」と思う人もいるでしょう。実はお盆には時期や期間によって異なる3種類があります。
旧盆
・旧盆:一般的に「お盆」と言ったら旧盆のことです。8月盆、月遅れの盆とも呼ばれます。
かつて、農村や漁村では農作業の区切りや行事の目安は旧暦で行われていました。そのため明治6年(旧暦では明治5年)に新暦が導入されると、約1か月のずれが生じ、不都合なことが多くなったのです。お盆も例外ではありませんでした。
新暦の7月15日前後は、農業においては繁忙期にあたります。かといってお盆の準備をおろそかにするわけにもいきません。
そこで、1か月遅れの8月15日前後とすることで、お盆を旧暦とほぼ同じ時期にしたのです。
新盆
・新盆:新盆は、新暦に切り替わっても日付を重視して7月に迎えるお盆のことです。
東京の都市部や金沢旧市街地、静岡市など一部の地域で行われているため、東京盆・新のお盆とも呼ばれます。都市部は農作業など、旧暦でないと都合の悪いことが少なかったため定着したと考えられています。
新盆については下記記事もご参考ください。
・新盆とは?よく聞く新盆についての意味や歴史から準備まで徹底解説!
・初盆とは?お供えは何を用意すべき?基礎知識やマナーを徹底解説!
・初盆(新盆)のお布施を完全解説!金額相場・渡し方・マナーを紹介!
旧暦盆
・旧暦盆:沖縄・鹿児島奄美地方のお盆は、月の満ち欠けを基準とした旧暦に忠実に行われます。
29日周期のため、毎年お盆の日付が異なるのが特徴です。
それぞれのお盆の時期
次に、それぞれのお盆の時期と期間について紹介します。
・旧盆:旧盆では8月13日を迎え盆、16日を送り盆としています。企業や個人商店などのお盆休みも、13日から16日が多いようです。
・新盆:新盆では7月13日が迎え盆、16日が送り盆になります。ただし、東京に多いと言っても、この時期がお盆休みになることはほぼないでしょう。
・旧暦盆:旧暦盆は毎年お盆の日付が変わりますが、おおむね8月の中旬~下旬です。期間は旧盆・新盆よりも1日短い3日間となっています。
新盆とは?
新盆には「家族が亡くなってから最初に迎えるお盆」という意味もあります。四十九日が明けてから最初のお盆のことで、初盆とも言います。
それよりも先にお盆が来る場合は、翌年が新盆(初盆)となるので、家族に亡くなった人がいる場合は注意が必要です。
新盆の読み方
「にいぼん」「あらぼん」と言うこともあるので、会話の中で意識することはあまりないかもしれませんが、知っておくとよいでしょう。
新盆(初盆)には、僧侶を呼んで法要をするのが一般的です。家族だけでなく、親戚や故人と親しかった人が集まって故人を偲びます。
新盆の持ち物
新盆(初盆)の法要に招かれたら、数珠を持参して喪服で参列します。香典や供物も持って行きましょう。家族(遺族)は法要の後、参列者にお礼として食事をふるまいます。また、香典や供物のお返しの用意も必要です。
香典については下記記事もご参考ください。
・香典の正しい書き方を完全解説!金額・表書き・中袋・のし袋の書き方を紹介!
・香典袋の正しい書き方を完全解説!表書き・中袋・名前・その他のマナーも紹介!
・香典を完全解説!意味・歴史・金額相場・書き方・包み方・渡し方を解説!
お彼岸との違い
春と秋のお彼岸も仏教に関わりのある行事です。お盆と同様に、お墓参りに行く人も多いでしょう。では、お盆とお彼岸はどう違うのでしょうか?
お彼岸
お彼岸にはあの世とこの世が近くなると言われています。このため、お彼岸はこの世に生きる者があの世に近づいて、仏道修行や先祖の供養をする時期とされているのです。
お彼岸の行事は、西に極楽浄土があるという浄土思想に基づいています。春分・秋分の日は太陽が真東から昇り、真西に沈みます。
そのため、仏教者はこの日を中日とした前後3日、合計7日間に修業を行えば、悟りの境地=彼岸に到達できると考えられていました。また、仏教者でなくても、お彼岸に先祖の供養をすることで極楽浄土に行けるという信仰のもとに、庶民の間に広まっていきました。
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お盆
対して、お盆はこの世に帰ってくる先祖の霊を迎えて供養する時期です。この世に生きる者が迎えにいくわけではありません。この点でお彼岸とは大きく異なっています。
お盆の準備
先祖の霊はお盆の間家にとどまり、家族とともに過ごすと言われています。大切なお客様をおもてなしするつもりで、お迎えしてから送り出すまでの準備をしておきましょう。
お盆が始まる前の準備
お盆の準備は釜蓋朔日(かまぶたついたち)と呼ばれる7月または8月の1日から始めます。この日は地獄の釜の蓋が開いて、閉じ込められていた先祖の霊がこの世に向かい始めるとされています。
■お墓の掃除
お墓の掃除は迎え盆までに必ず済ませておきましょう。お墓の掃除にはバケツやスポンジ、新しい雑巾やタオル、ゴミ袋、軍手など、屋外の掃除に使うものを持参します。
墓石に使われている石には「細孔」というごく小さな隙間が開いています。そのためタワシや掃除用のブラシなどで強く擦ったり、食器用洗剤や家庭用洗剤を使ったりすると、傷や変色、色ムラの原因になります。水洗いで十分きれいになるので、柔らかい布やスポンジなどで丁寧に洗うことを心がけましょう。
彫刻や家名を刻んだ部分は綿棒で汚れを落とし、花台や線香台など金属製の付属品は外してスポンジやブラシで洗います。最後にもう一度きれいな水をかけて洗い流し、水気をふき取って完了です。敷地内の雑草や枯葉、古い花や線香の灰などはゴミ袋に入れて持ち帰りましょう。
■仏壇の掃除
仏壇の掃除も外せない準備の一つです。普段の掃除は毛ばたきでホコリを払うくらいで十分ですが、お盆などの行事の前には少し念入りに手入れをしておきたいものです。
仏壇には黒檀や紫檀を使った唐木仏壇と金箔を塗った金仏壇があります。掃除はそれぞれの仏壇の特徴に合った方法で行いますが、共通しているのは「上から下に向かって掃除すること」です。また、掃除を始める前と終わった後には、必ず線香を上げて仏壇に手を合わせましょう。
唐木仏壇は、木材や塗りの部分を濡らして固く絞った布で拭きます。彫刻などの細かい部分は、毛ばたきや仏壇掃除用の筆でホコリを取りましょう。仏壇の材質に合ったワックスをかけておくと、ホコリや汚れがつきにくくなります。
金仏壇は金箔がはげやすいので、毛ばたきや専用の筆でホコリを払うだけにしておきましょう。また、素手で触ると指紋や手の皮脂が残ることがあるので注意が必要です。もし跡がついてしまったら、柔らかい布でそっと拭きます。水拭きやワックスは厳禁です。自分できれいにする自信がない場合は、専門業者に頼むことも検討してみましょう。
■菩提寺に棚経や施餓鬼の依頼
お盆には菩提寺の僧侶が檀家を一軒一軒回って、精霊棚や仏壇にお経をあげる「棚経」を行います。7月または8月に入ったら早めに申し込んでおきましょう。迎え盆から送り盆までの4日間の間に行わなくてはならないので、大きな寺院になると直前の申し込みは受け付けてもらえない場合があるからです。
>>棚経とは?宗教ごとに違うお盆の棚経を完全解説!
>>盆棚とは?意味・飾り方・時期を完全解説!
また、地域によっては「盆施餓鬼」の法要も行うことがあります。先祖の霊だけでなく、無縁仏や生前の悪行によって餓鬼となった霊にも施しをする行事で、さらに徳を積むことができるとされています。事前にお布施(3,000~10,000円ほど)を添えて申し込むのが一般的です。
新盆(初盆)の法要を行う場合は、5~6月には菩提寺に申し込んでおきましょう。四十九日のときに菩提寺の方で予定してくれることもありますが、事前に確認しておくと安心です。合わせて親戚や亡くなった人の友人などにも知らせておくとよいでしょう。
先祖代々のお墓を管理しているお寺を「菩提寺(ぼだいじ)」と呼びます。昨今は、お寺とのお付き合いも薄くなってきており菩提寺を持っていない方も多いです。その場合は僧侶を手配することもできます。
僧侶派遣は『やさしいお坊さん』でもご相談を受け付けております。追加費用が不要でお車代、御膳料、お心づけなども必要ありません。法事・法要は業界最安値の34,000円からご依頼可能です。
僧侶手配については下記記事もご参考ください。
・寺院手配サービスとは⁉︎寺院(僧侶)を手配する方法とは?
・宗教者・お坊さんの手配の仕方とは⁉︎身内が亡くなった時・法事の時の宗教者手配方法
■精霊棚やお飾りの準備
精霊棚(しょうりょうだな)はお盆の間、帰ってきた先祖の霊が滞在する場所とされています。お供えするものは早めに準備しておき、お盆の当日、迎え火を焚くまでには設えるようにしましょう。地方によっては7月または8月の7日を盆の入りとして、精霊棚を用意するところもあります。
■迎え火・送り火の準備
先祖の霊をお迎えする迎え火と、送り出す送り火に必要なオガラ(皮を剥いだ麻の茎)と、焚くための焙烙(素焼きの皿)は早めに準備しておきましょう。お盆の前にはスーパーやホームセンターなどで販売されていますが、直前になってからだと売り切れてしまっていることもあるからです。
■お布施や香典・供物のお返しの用意
新盆(初盆)に、親戚や故人の友人などから香典や供物をいただくことがあります。お返しはあらかじめ準備しておきましょう。お盆の返礼品は「消えもの」と言って、使ったり食べたりして後に残らないものが基本です。
日持ちのする和菓子や焼き菓子、素麺や食用油、石けんなどがよいでしょう。金額の目安は、いただいた香典や供物の価格の半分ほどとされています。当日に渡せないときや、郵送で届けられた場合は、後日できるだけ早くお返しをするようにしましょう。
お盆の法要や棚経に来てくれる僧侶にはお布施を渡します。法要の場合は30,000~50,000円が相場ですが、お食事代やお車代が別途必要になることがあります。また、棚経のお布施は3,000~10,000円ほどを目安にするとよいでしょう。
お布施については下記記事もご参考ください。
・お布施を完全解説!意味・相場・表書き・裏書などを解説!
・3分で分かる法事のお金の相場(香典・お布施):お金の入れ方と袋の書き方!
・初盆(新盆)のお布施を完全解説!金額相場・渡し方・マナーを紹介!
初日に行うこと
お盆の初日は、先祖の霊が帰ってくる大切な日です。準備を整えてお迎えしましょう。
■お墓参り
お墓参りはできれば午前中に、遅くとも迎え火を焚くまでには家族揃って行くようにしましょう。本来は盆提灯を持参して、お墓の前でろうそくに灯した火を分けて持ち帰り、迎え火の火種にします。しかし、実際には火を持ち歩くのは難しいので、無理に行わなくてもよいでしょう。
■供物を供える
精霊棚には霊供膳や、炊きたてのご飯や汲みたての水、季節の果物や故人の好きだったものなど、五供(ごくう・ごく)に従って供物を供えます。果物は皮を剥いて切り、お菓子は菓子皿に載せたり袋から出したりして、先祖の霊がすぐに食べられるようにしておきましょう。
■迎え火を焚く
先祖の霊は迎え火を目印に帰ってくるとされています。夕方頃に、自宅の玄関や門口で焚きましょう。
お盆の間に行うこと
お盆中日の14・15日(旧暦盆では2日目)は、家族や親戚で集まって会食したり、お経をあげたりして過ごします。新盆(初盆)の場合は、どちらかの日に法要をすることが多いようです。
■読経(棚経)
棚経とは、お盆の4日間に僧侶が檀家を回って、各家庭の精霊棚に向かってお経をあげることです。読経の間はできるだけ同席し、静かに手を合わせて亡くなった人や先祖の霊を偲びましょう。お布施とお茶、汗を拭くおしぼりなどを用意しておき、読経が済んだら頃合いを見て盆に載せ、僧侶に渡します。
>>棚経とは?宗教ごとに違うお盆の棚経を完全解説!
■ご飯や水を取り替える
供物のご飯や水は毎日炊きたて・汲みたてのものと取り替えます。供えたものは傷まないうちに早めに下げて家族で食べましょう。
■灯明は消さない
精霊棚の灯明は基本的にお盆の間は消しません。しかし、火災になるリスクがあるので、無人になるときや夜間は消してもかまいません。電気式なら夜間もつけたままにしておけるので便利です。
■新盆の場合は法要を行うことも
新盆(初盆)の場合は、この日に法要を行うことが多いようです。僧侶に渡すお布施やお食事代、お車代などを用意しておきましょう。また、参列してくれる親戚や亡くなった人の友人などにふるまう食事の用意や、当日の段取りも忘れずに確認しておきます。
最終日に行うこと
お盆の最終日は先祖の霊を送り出す日です。新盆(初盆)を迎えた故人も、来年は先祖の霊に加わることになります。感謝と供養の気持ちを込めて送りましょう。
■棚経が最終日になる場合もある
寺院の都合によって棚経がお盆最終日になることがあります。しかし、先祖の霊があの世に帰るのは夕方頃とされているので、午前中に来てもらえるのであれば問題ありません。最終日に僧侶の読経で締めくくってもらうつもりで、お盆初日や中日は家族で読経しておいてもよいですね。
■送り火を焚く
送り火は夕方、少し暗くなってきた頃に焚きます。迎え火よりも遅い時間にするのが一般的ですが、地方によっては夜遅くに焚くところもあります。地域の風習に従って焚きましょう。
■精霊棚や盆提灯、供物の片づけ
送り火を焚いたらお盆の行事は終わりになります。精霊棚や盆提灯、供物の片付けを始めましょう。送り火を焚くのが夜遅い場合は、翌日に持ち越しても構いませんが、いずれにしてもできるだけ早く取り掛かるようにしましょう。
・精霊棚のお飾り
精霊馬や精霊馬、お飾りなどは本来なら土に埋めますが、現代ではなかなか難しいでしょう。そこで奉書紙に包んでお清めの塩を振り、可燃ごみとして出すことをおすすめします。
精霊棚そのものは来年以降も使えるので、畳んで仕舞っておきましょう。
・盆提灯
新盆(初盆)用の白提灯は、菩提寺に焚き上げをお願いするか、やはり塩でお清めをして奉書紙にくるみ、可燃ごみとして処分します。お飾りも含め、生ごみなどの生活ごみと一緒にするのでなく、専用のごみ袋を一枚用意してまとめるとよいでしょう。
・供物
食べられるものは家族で早めに食べますが、ご飯や汁物などで長時間お供えしてあったものは傷んでいることがあります。「ちょっと危ないかな?」と思ったら無理に食べる必要はありません。お清めをして処分しましょう。
お菓子や果物などの供物で、分けられるものは親戚や近所の人、勤務先などに「お下がりですがどうぞ」とお裾分けするのもおすすめです。
>>供物とは?意味と葬儀・法要での正しい贈り方と相場!
■沖縄県などでお盆に行うこと
沖縄県では、お盆の最終日に先祖をあの世へ送る儀式(ウークイ)を行います。家族や親戚が集まって、線香を灯して拝んだ後、家族一人一人がウチカビ(あの世のお金)を3枚ずつ、送り火のように燃やして送り出します。
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お盆に行われることや特徴
お盆の準備やお盆の間に行うことの中で、特に重要なものを紹介します。お住まいの地方によって異なる場合があるので、事前に照らし合わせて確認しておくとよいでしょう。
迎え火
迎え火はお盆の初日、夕方頃に焚きます。焙烙に茎を折ったオガラを重ねて火をつけます。住宅が密集している地域やマンションなどの集合住宅では、迷惑にならないよう注意が必要です。どうしても焚くのが難しい場合は、盆提灯が代わりになるとされているので、玄関や門口に吊るしておきましょう。
送り火
送り火はお盆の最終日、迎え火よりやや遅い時間に焚きます。先祖の霊をしっかり送り出したという印です。
方法は迎え火と同じです。ただし、住宅事情で難しければ無理に焚く必要はありません。「来年もまた帰ってきてください」と気持ちを込めて送り出せば十分です。
盆提灯
先祖が道に迷わないように、絵柄や家紋の入った盆提灯を飾ります。本来は玄関や門口に吊るしますが、現代では仏間に置いたり吊るすことがほとんどです。
新盆(初盆)には白い提灯を飾ります。親類や故人の友人から供物として贈られることもあります。
もし自分が贈る側であれば、置き場所はあるか、他からもらう予定はないかなど、先方の都合を必ず確認します。
白提灯は一つあればよいので、すでに用意しているようであれば、御提灯料として不祝儀袋に3,000~10,000円ほど包んでもよいでしょう。
精霊馬
先祖の霊がこの世に戻ってくるときとあの世に帰るときの乗り物となるものです。キュウリで作る精霊馬はあの世から急いで帰ってこられるように、ナスの精霊牛はできるだけゆっくり行くようにという家族の思いが込められています。
また、精霊馬は先祖を迎える意味で家の中に向け、精霊牛は送っていくため外向きに飾ります。
お墓参り
お墓参りはお盆の初日に家族そろって、できれば午前中に行きます。遅くとも暗くなるまでには済ませておきましょう。
地方によっては14・15日にお参りする「留守参り」の風習が残っているところもあります。これは先祖の霊が家に帰るため、留守となるお墓を守ってくれる仏様に感謝の意を表すためとされています。
お盆のお供え物
精霊棚は正式には二段または三段のものや、葬儀の時の飾り机を使用しますが、難しければ小型の棚や小机でも構いません。位牌を仏壇から取り出し、扉を閉めてその前に設えます。
精霊棚にはまこも(イネ科の植物)のゴザを敷きます。これは釈迦が病人の下に敷いて治療したという逸話にちなんでいます。宗派によって精霊棚の飾りつけは少しずつ異なりますが「まこものゴザを敷く」ことだけはほぼ共通しています。
四隅には笹竹を立て、しめ縄をめぐらせて結界とします。奥のしめ縄には、ほおずきや昆布、素麺などを吊るしましょう。位牌は精霊棚の最上段か、小机を使う場合は奥に置き、その前にお飾りや供物を供えます。
五供とは?
仏教では供物の基本は「香・花・灯明・水・飲食」の五供(ごくう・ごく)とされています。その内容をお盆のお飾りと合わせて見ていきましょう。
・香:線香や抹香(粉末状のお香。焼香に使われる)を焚きます。香炉は位牌の手前に置きましょう。
・花:季節の花や故人が好きだった花を飾りましょう。香りの強い花やトゲや毒があるもの、つる状のものは避けてください。花台は位牌の手前に、香炉と並べて置きます。
・灯明:ろうそくのことです。位牌の手前に香炉・花台と並べて置きます。火を消すときは息を吹きかけず、手であおぐようにします。
・水:水やお茶を供えます。水は水道水でよいので汲みたてのもの、お茶は一番茶にしましょう。
・飲食:一汁三菜の霊供膳(れいぐぜん・りょうぐぜん)をお供えします。椀に炊きたてのご飯を丸く盛り、汁物や煮物、和え物、香の物を添えます。肉や魚などの生ものを使わない精進料理が基本です。
専用の膳セットも市販されていますが、用意するのが難しい場合は、故人が好きだった食べ物や季節の果物でもよいでしょう。その場合も炊きたてのご飯は必ず添えるようにします。精霊棚にお供えして手を合わせたら、長時間そのままにせず、早めに下げて「お下がり」として家族でいただきましょう。
・盆提灯:亡くなった人や先祖の霊は、盆提灯を目印に帰ってくるとされています。盆提灯には精霊棚の左右に置く大内行灯、天井から下げる御所提灯、位牌の左右に置く霊前灯の3種類があります。通常は絵柄や家紋が入っていますが、新盆(初盆)の場合は白い盆提灯を使うとされているので注意しましょう。
・精霊馬:キュウリやナスを馬や牛に見立てたもので、先祖の霊があの世とこの世を行き来する乗り物になると言われています。
・ほおずき:盆提灯同様、先祖の霊が帰ってくる目印となります。
・素麺:精霊馬や精霊牛の手綱になるとされています。ほおずきと一緒に、しめ縄に吊るすか精霊棚にお供えしましょう。
・水の子:さいの目に切ったキュウリやナスと洗った米を閼伽水(あかみず:仏前にお供えする水)と混ぜて蓮の葉の器に乗せたものです。
・ミソハギ:精霊花とも呼ばれる紫色の花です。閼伽水に5~6本のミソハギを生けたものを飾ります。水の子にはこの水を毎日振りかけます。
この他、曹洞宗では新盆(初盆)には精霊棚に白い布をかける、日蓮宗では仏壇の最上段の中央に日蓮上人の像、最奥に曼荼羅をかけて精霊棚は仏壇の前に置くなど、宗派によって異なる点があります。菩提寺に問い合わせるなどして、自分の家の宗派に準じたお供えや飾りつけをするようにしましょう。
お盆由来の風習
お盆の時期にはさまざまな行事があります。ここでは観光の目玉になっているものや、意外にお盆由来と知られていない風習について解説します。
盆踊り
お盆の中日(14・15日)に行われることが多い盆踊りは夏の風物詩の一つです。
盆踊りの起源
基になったのは時宗の空也上人や一遍上人による踊念仏(鉦や太鼓を叩き、踊りながら念仏などを唱える)とされています。
やがて念仏を唱える人と踊る人が分かれて、念仏踊りという芸能になっていきました。
この念仏踊りとお盆が組み合わさって、踊りながら先祖の霊を送り出す盆踊りになったと言われています。
盆踊りはイベントとしての側面も持っています。江戸時代にはすでに男女の出会いの場となっていました。
現代でも「デートで盆踊りに行った」というカップルは少なくないでしょう。
また「町内盆踊り大会」など、地域の住民同士の交流の場になっているところも多いのではないでしょうか。
代表的な盆踊り
特に有名なのは「徳島・阿波踊り」「岐阜・郡上踊り」「秋田・西馬音内盆踊り」の日本三大盆踊りです。その他にも「富山・越中八尾おわら風の盆」「愛知・綾渡の夜念仏と盆踊り」「大阪・河内音頭」など、ニュースで話題になる盆踊りは日本各地に見られます。また、沖縄のエイサーも本土の盆踊りにあたります。
五山の送り火
「大文字焼き」の俗称で有名な京都のお盆を象徴する行事です。祇園祭・葵祭・時代祭と合わせて京都四大行事に数えられています。
8月16日午後8時頃に、大文字山(如意ケ嶽)の「大」を皮切りに、西山・東山「妙・法」、船山「船形」、大文字山「左大文字」、曼荼羅山「鳥居形」の5つの山で京都の町を囲むように時間差で松明が灯されていきます。
京都の送り盆の夜を彩る五山の送り火は、多くの観光客が訪れるだけでなく、ニュースなどで日本全国の人が目にする夏の一大イベントと言えるでしょう。
精霊流し
主に長崎県でお盆に行われる行事です。新盆(初盆)を迎えた家族らが、亡くなった人の霊を極楽浄土へ送るために精霊船と呼ばれる船を造ります。精霊船には家族が出す「個人船」の他、町内会などが合同で出す「もやい船」があります。
精霊流しでおこなうこと
精霊船は盆提灯や造花、故人が好きだったものなどで飾り立て、鉦を叩き、爆竹を鳴らしながら賑やかに町中を練り歩きます。「流し場」と呼ばれる終着点まで数時間かかることも珍しくありません。
精霊流しは観光イベントとしても有名です。長崎市では毎年精霊流しの様子が録画中継されています。
また、精霊流しという行事は長崎県以外でも見られますが、全国的には文字通り川に精霊船や灯籠を流すところがほとんどです。
お中元
お中元は親しい人や、日頃お世話になっている人への感謝の気持ちを込めて品物を贈る風習です。
旧盆か新盆(新暦のお盆)かで時期が異なりますが、お盆の中日(15日)までに届けるとされています。
お盆にお参りを兼ねてお中元を持っていくという人も多いでしょう。
では、なぜお中元はお盆の時期に贈るとされているのでしょうか?それは「お中元」という言葉がお盆と縁が深いからです。
お中元の由来は古代中国の「三元」とされています。三元とは1月15日の上元、7月15日の中元、10月15日の下元の3つの日を指します。
このうち7月15日は、地官赦罪大帝という神様の誕生日で、お供えをすると犯した罪が赦されると信じられていました。
この風習が同じ日である盂蘭盆会とともに日本に伝わり、お盆に訪問して日頃のお礼をする「盆礼」と結びついてお中元となったと考えられています。
新盆の期間についてのまとめ
「新盆の期間」について特に重要となるポイントを下記に箇条書きでまとめました。
・お盆は日本の夏を象徴する行事です。亡くなった人や先祖を偲び、供養をする期間とされています。
・お盆の由来は旧暦の7月13日から16日に行われる「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という仏教行事です。
・旧盆とは一般的に「お盆」と言ったら旧盆のことです。8月盆、月遅れの盆とも呼ばれます。
・新盆は、新暦に切り替わっても日付を重視して7月に迎えるお盆のことです。
・旧暦盆とは、沖縄・鹿児島奄美地方のお盆は、月の満ち欠けを基準とした旧暦に忠実に行われます。
お盆の期間は地方によって異なりますが、いずれの場合でも新盆(初盆)には普段のお盆に加えて特別な準備が必要です。
新盆(初盆)は亡くなった人を偲び、お供えや読経をする期間にしたいもの。心を込めて供養すれば、先祖の霊とともに、きっと家族を見守ってくれることでしょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール