口座凍結で抑えるべきポイント7つ!解除と相続の手順&対処法を解説
「口座凍結するのはなぜ?」
「口座が凍結すると一体どうなるの?」
「いつからいつまで凍結するの?」
口座凍結とは、「財産の確定」や「財産の流出防止」をするため、以下の4つの場合に銀行が行う取引停止の措置です。
【口座凍結のタイミングと期間】
タイミング |
凍結期間 |
1.口座名義人の死亡が判明したとき |
解除及び相続手続き後、早ければ相続人に1~2週間程度で振り込まれる。 |
2.口座名義人が認知症と認められたとき |
成年後見制度の利用により、後見人の選定に2~3ヶ月程度要する。 |
3.債務整理をするとき |
銀行が弁護士や司法書士から任意整理を知らせる受任通知を受け取ってから、保証会社が銀行へ代位弁済するまでの3ヶ月程度。 |
4.口座が犯罪に利用された疑いがあるとき |
警察や弁護士との連携で凍結口座名義人リストから削除されるまで。削除されないケースもある。 |
口座凍結では、通帳やキャッシュカードが利用できなくなり、現金の入出金や振込、クレジットカードや公共料金などの自動引き落としまで停止してしまいます。
たとえ口座に預金があっても、お金を自由に使えなくなると日常生活に支障が生じて、生活できないのでは!?と、目先の生活費さえ不安になってしまいますよね。
特に、口座名義人が亡くなった場合は、病院への支払いや葬儀代、お墓の準備などで多くの費用が必要になるうえ、相続に至るまで心配事が募ってしまうでしょう。
だけど、心配は無用!
難しい知識を学ぶ必要もありません。
万一のときにスムーズに対処できるよう、この記事では『口座凍結の解除手続き』と『相続の手続き』をたった『3つの手順』で簡潔に済ませる方法をご紹介します!
また、口座凍結には『抑えるべき7つのポイント』があり、心得として知っておくことで、トラブルを回避して、速やかに対処できるため、ぜひご覧ください。
「どうしたら口座凍結しているか調べられるの?」
「口座凍結していても預金を引き出す方法はある?」
「未然に口座凍結を防ぐ方法はある?」
このような疑問にも安心&満足いただける情報をお届けしますので、どうぞ最後までお目通しいただき、万一の備えとして身近な方々へも教えてあげてくださいね。
口座凍結する4つのタイミング
口座凍結で「なぜ?」「いつからいつまで?」と、よくある疑問に関して、一般的に口座凍結が起こりやすい順に、4つのタイミングと凍結期間をご紹介します。
【口座凍結のタイミングと期間】
タイミング |
凍結期間 |
1.口座名義人の死亡が判明したとき |
解除及び相続手続き後、早ければ相続人に1~2週間程度で振り込まれる。 |
2.口座名義人が認知症と認められたとき |
成年後見制度の利用により、後見人の選定に2~3ヶ月程度要する。 |
3.債務整理をするとき |
銀行が弁護士や司法書士から任意整理を知らせる受任通知を受け取ってから、保証会社が銀行へ代位弁済するまでの3ヶ月程度。 |
4.口座が犯罪に利用された疑いがあるとき |
警察や弁護士との連携で凍結口座名義人リストから削除されるまで。削除されないケースもある。 |
銀行には『預かる・貸し出す・決済する』という3つの役割があり、『財産の確定』と『財産の流出防止』を行うために、口座凍結の措置を行います。
突然の口座凍結では焦りや苛立ちを感じてしまいがちですが、口座名義人や相続人たちの財産を保護する目的があることを知っておくと、冷静に対処できるでしょう。
1.口座名義人の死亡が判明したとき
口座名義人の死亡が判明した場合、資産の流動や相続人同士のトラブルを避ける目的で口座凍結が行われることがありますが、誰もが必ずしも凍結するとは限りません。
また、銀行は役所や保険会社などと個人情報を共有していないため、死亡届の提出や保険金の請求などによって、銀行が死亡を把握する心配は無用です。
銀行が口座名義人の死亡を把握する3つのきっかけ
銀行が口座名義人の死亡を確認するのには3つのきっかけがあるため、一般的に多いケースの順序でご紹介します。
口座名義人の死亡が分かるきっかけ |
内容 |
1.相続人や親族からの連絡 |
銀行窓口や電話連絡により、相続人にあたる遺族や親族から故人が死去したことを直接確認した場合。 |
2.銀行員の営業や業務上での確認 |
銀行員が地域の方々の口コミや斎場の看板などで死亡を確認した場合。 |
3.報道や新聞などの訃報欄 |
有名人が亡くなった場合はテレビのニュースや新聞記事で報道が行われるほか、地域によっては新聞の訃報欄(お悔やみ欄)で告知する習慣があるため、これらを機に認知される。 |
口座凍結の解除と相続完了は早ければ1~2週間程度
口座凍結の解除と、口座の名義変更や相続人の口座への振り込みにあたっては、早ければ1~2週間ですが、3~4週間以上の日数を要するケースもあります。
通常、口座凍結の解除は、手続き完了後10営業日程度と言われていますが、原則として、預金口座の現金は名義人である本人しか引き出すことができません。
つまり、口座名義人が亡くなっている場合は、相続人による口座の名義変更や、故人の口座の解約や相続の手続きを伴うため、日数がかかってしまうのが実態です。
そのため、家計のやりくりで故人名義の口座を利用していると、生活費などお金の捻出に困ってしまうと思いますが、落ち着いて対処することで失敗や後悔を防げます。
対処方法に関しては、後述「故人の口座凍結で抑えるべき8つのポイント」で詳しく解説しますので、ぜひご確認ください。
2.口座名義人が認知症と認められたとき
口座名義人が認知症になって判断力を失うと、家族からの申請に関わらず、銀行では口座凍結によって預貯金の引き出しを行えない措置を施します。
なぜなら、振り込め詐欺や悪徳商法などの犯罪に巻き込まれやすいほか、思いがけない用途に預金を使用してしまう可能性があるためです。
口座凍結を解除して、預金を正しい用途で使用するには『成年後見制度』を利用し、家庭裁判所への申し立てによって、調査や成年後見人の選任を行う必要があります。
一般的には手続きに3ヶ月程度の期間を要するうえ、費用負担も生じるため、詳しくは「 成年後見人の役割を解説!手続きと費用・メリットとデメリットも紹介」の記事で事前に心構えをしておくと安心です。
なお、成年後見人は家族や親族のほか、単身者や財産をしっかり運用したい場合は専門家が最良のため、「 【成年後見人になるには】手続きからメリットとデメリットまで全解説」の記事を参考になさってください。
3.債務整理をするとき
借金の返済などにより債務整理を行う際は、次の3つの方法で債権のある銀行が強制的に財産を差し押さえる目的で口座凍結を行います。
債務整理の種類 |
特徴 |
1.任意整理 |
弁護士や司法書士が債権者となる貸金業者やクレジットカード会社と金利や返済の分割回数を交渉して、返済額を減額できる。 |
2.個人再生 |
再生計画案を作成して裁判所へ認可してもらうことで、5,000万円未満の債務を100万円から負債額の1/10の金額まで減額できる。 |
3.自己破産 |
借金返済の見込みがない場合に支払いを免除してもらうことをいい、自宅などの財産を守れる個人再生に対して、資産はすべて失うことになる。 |
4.口座が犯罪に利用された疑いがあるとき
架空請求や特殊詐欺、悪質商法などの犯罪では、早期解決と被害の拡大を防ぐ『振り込め詐欺救済法』として、資金が振り込まれた口座を凍結します。
消費者庁における主な消費者政策(消費者庁)
また、事件性があるとみなされると、警察庁が保管する『凍結口座名義人リスト』に登録され、他の金融機関も含めて、すべての口座が凍結される仕組みもあります。
このような犯罪では、個人情報の悪用によって架空口座を作られてしまうこともあり、口座凍結は身に覚えのないケースでも起こり得ることを知っておきましょう。
口座凍結がわかる方法はATMで残高照会を行うと簡単
口座凍結しているかどうかを調べるには、キャッシュカードを利用してATMで『残高照会』を行うと簡単で、凍結では「お取り扱いできません」と表示されます。
キャッシュカードの暗証番号が分からない場合は、『預け入れ』によりお金を入金してみて、エラーにならなければ口座凍結されていないことが分かるでしょう。
この際、相続前に預金口座に触れると相続人同士でトラブルになる可能性があるため、入金した証拠となるよう『利用明細票』を保管しておくようにします。
また、口座名義人の死亡を知ると、銀行は口座凍結を行いますので、銀行窓口を利用する際は、くれぐれも故人の死去を口外しないようにご注意ください。
口座凍結で【解除+相続】手続きをスムーズに行う3つの手順
故人の口座凍結では、解除の手続きのみならず、『相続』も踏まえる必要があるため、次の3つの手順で手続きするとスムーズです。
1.銀行へ口座凍結の解除依頼の連絡をして相続の必要書類を確認する
2.手続きに必要な書類を4つのパターンから選択して準備する
3.必要書類を銀行へ提出して手続きを行う
なお、口座凍結の解除のみ行う場合の必要書類は次の4種類が一般的です。
【口座凍結の解除だけの必要書類】
・故人の出生から死亡までを確認できる戸籍謄本
・法定相続人全員の戸籍謄本
・法定相続人全員の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
1.銀行へ口座凍結の解除依頼の連絡をして相続の必要書類を確認する
最初に銀行へ連絡し、口座凍結の解除を申し出るとともに、相続手続きまで行うための必要書類を確認します。
手続きに必要な書類は銀行によって異なる場合があるため、念のため事前に確認すると、面倒な二度手間を防ぐことができて安心です。
2.手続きに必要な書類を4つのパターンから選択して準備する
相続手続きに必要な書類は、遺言書と遺産分割協議書の有無と、遺言執行者の有無によって、以下のとおり異なります。
【手続きの必要書類】
手続きの種類 |
遺言書 |
遺産分割協議書 |
遺言執行者 |
必要書類 |
1.遺言書と遺産分割協議書がない共同相続の場合 |
× |
× |
- |
・故人の出生から死亡までを確認できる戸籍謄本
・法定相続人全員の戸籍謄本(法務局発行の法定相続情報一覧図の写しがある場合は不要)
・法定相続人全員の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
|
2.遺言書がなく遺産分割協議書がある場合 |
× |
◯ |
- |
・遺産分割協議書
・故人の出生から死亡までを確認できる戸籍謄本
・法定相続人全員の戸籍謄本(法務局発行の法定相続情報一覧図の写しがある場合は不要)
・法定相続人全員の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
|
3.遺言書があり遺言執行者がいない場合 |
◯ |
× |
× |
・遺言書
・家庭裁判所の検認済証明書
・法定相続人全員の戸籍謄本(法務局発行の法定相続情報一覧図の写しがある場合は不要)
・故人の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
|
4.遺言書があり遺言執行者がいる場合 |
◯ |
× |
◯ |
・遺言書
・家庭裁判所の検認調書または検認済証明書
・法定相続人全員の戸籍謄本(法務局発行の法定相続情報一覧図の写しがある場合は不要)
・遺言執行者と故人の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
|
遺言書と遺産分割協議書がない共同相続の場合
故人の遺言書と相続人全員で合意のうえ作成した遺産分割協議書がない場合、法定相続人によって法律に基づく法定相続分により、以下のとおり権利を有します。
【法定相続人の法定相続分】
法定相続人 |
法定相続分 |
配偶者 |
配偶者以外 |
配偶者 |
子 |
父母 |
兄弟姉妹 |
有 |
無 |
1 |
- |
- |
- |
子 |
1/2 |
1/2 |
- |
- |
父母 |
2/3 |
- |
1/3 |
- |
兄弟姉妹 |
3/4 |
- |
- |
1/4 |
無 |
子 |
- |
1 |
- |
- |
父母 |
- |
- |
1 |
- |
兄弟姉妹 |
- |
- |
- |
1 |
【必要書類】
・故人の出生から死亡までを確認できる戸籍謄本
・法定相続人全員の戸籍謄本(法務局発行の法定相続情報一覧図の写しがある場合は不要)
・法定相続人全員の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
法定相続分に関しては、『 知らないと損!法定相続分の4つのルールと割合を相続プロが簡単解説』『 法定相続を完全解説!範囲・割合を紹介!』の記事でも詳しくご紹介していますので、確認しておくと安心です。
遺言書がなく遺産分割協議書がある場合
故人の遺言書がない一方、相続人全員で法定相続分とは異なる遺産の配分を決定した場合は、遺産分割協議書を準備します。
【必要書類】
・遺産分割協議書
・故人の出生から死亡までを確認できる戸籍謄本
・法定相続人全員の戸籍謄本(法務局発行の法定相続情報一覧図の写しがある場合は不要)
・法定相続人全員の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
参考:遺産分割協議書の作成例
なお、遺産分割協議書の作成方法は『 遺産分割協議書作成について7つのポイント&項目別の書き方と注意点』の記事で解説しているため、不備がないようポイントと注意事項を踏まえましょう。
さらに、後々まで遺産相続による親族トラブルを防ぐためには、『 無知は損!遺産分割で絶対に知るべき8つの流れと9つの注意点を解説』『 遺産相続における兄弟の割合!4つの基礎知識と6つのトラブル回避法』の記事をご覧になり、事前に揉め事にならないように努めることが重要です。
遺言書があり遺言執行者がいない場合
故人が遺言書を作成している場合、遺言執行者が指名されているか否かによっても必要書類は異なり、遺言執行者がいない場合は以下の書類を準備します。
【必要書類】
・遺言書
・家庭裁判所の検認済証明書
・法定相続人全員の戸籍謄本(法務局発行の法定相続情報一覧図の写しがある場合は不要)
・故人の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
なお、「遺言書」は「遺書」とは異なるため、正式な遺言書であるかどうかを判断するには、『 遺言書を完全解説!種類・効力・扱い時・費用を紹介!』『 遺言書の書き方を完全解説!効力・有効な遺言書の書き方を紹介!』の記事をご覧いただくと、効力を確認することができます。
遺言書があり遺言執行者がいる場合
遺言書があり、遺言執行者がいる場合には、以下の書類を準備します。
【必要書類】
・遺言書
・家庭裁判所の検認調書または検認済証明書
・法定相続人全員の戸籍謄本(法務局発行の法定相続情報一覧図の写しがある場合は不要)
・遺言執行者と故人の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
遺言執行者には役割があるため、指名されている方は『 遺言執行者の役割と流れ!事前に知っておくべきメリット&デメリット』の記事で知識を学んでおきましょう。
また、『 「財産目録」の書き方のポイントは5つだけ!簡単な作成のコツを解説』の記事では遺言執行者が作成すべき財産目録の作成方法をご紹介していますので、併せて参考にすると便利です。
3.必要書類を銀行へ提出して手続きを行う
必要書類がすべて揃ったら、銀行へ書類を提出して相続手続きを行いますが、この手続きの際、どのぐらいの日数がかかるかを事前に確認しておくことがオススメです。
また、相続にあたっては、故人の口座を名義変更するか、口座を解約して自分名義の口座へ振り込んでもらいますが、より速やかな方法を選択するとよいでしょう。
銀行別の口座凍結の解除手続き方法
大手メガバンク各社の口座凍結の解除手続きに関して、該当の案内ページをご紹介しますので、対象の銀行があればご参考になさってください。
・ ゆうちょ銀行
・ 三菱東京UFJ
・ 三井住友銀行
・ みずほ銀行
・ りそな銀行
故人の口座凍結で抑えるべき8つのポイント
口座名義人が亡くなって口座凍結されたときは、抑えるべきポイントがあるため、素早く対処できるよう、確認すべき時系列順にご紹介します。
1.すべての口座が凍結しているとは限らない
2.保険金の受け取り手続きを早急に行う
3.口座凍結していても預金を払い戻す方法がある
4.口座凍結の解除には相続人全員の同意が必要
5.他の口座を含めて故人の財産をすべて把握しておく
6.事前に遺産相続人全員であらかじめ遺産相続協議を行う
7.遺産相続は死亡から10ヶ月以内に納税の申告を行う義務がある
8.最後の入出金から10年経過すると休眠口座となり預金を失う
すべての口座が凍結しているとは限らない
故人の1つの口座が凍結しているからといって、すべての口座が凍結しているとは限らないため、預金を引き出したい場合は他の銀行も確認してみましょう。
銀行では、他の金融機関と口座凍結情報を共有して、連帯することはありません。
お金を引き出さなければ生活できないと不安のある方は、ぜひチェックしてみてください。
保険金の受け取り手続きを早急に行う
故人が対象となっている生命保険や死亡保険に加入している場合、口座凍結の対処を待つよりも、保険会社への保険金の請求手続きの方が入金が早いことが一般的です。
保険会社によっても異なりますが、保険金は通常、必要書類の提出から5営業日程度で指定口座へ入金されるため、早急に手続きすることがオススメです。
口座凍結していても預金を払い戻す方法がある
画像引用元: 遺産分割前の相続預金の払戻し制度のご案内|全国銀行協会
2019年に成立した『相続預金払戻し制度』を利用すると、口座凍結していても相続前に最大150万円まで預金を引き出す手続きが可能です。
詳しくは、後述「相続預金払戻し制度なら相続前でも150万円まで出金可能!」で解説しますので、ぜひご覧ください。
口座凍結の解除には相続人全員の同意が必要
銀行へ提出する書類には、相続人全員の同意のもと押印も必要となるため、スムーズな手続きのためには相続人全員の協力が必要です。
仲の良い兄弟姉妹であってもお金を巡る相続トラブルは起こりやすい一方、相続人が1人でも拒むと相続手続きの進行に支障をきたすためご注意ください。
他の口座を含めて故人の財産をすべて把握しておく
相続にあたっては、故人の財産すべてを把握して、遺言書や法律に則って正しく相続する必要があります。
銀行の残高証明書は、相続人、遺言執行者、相続財産管理人などの相続権利者のいずれか1人の依頼によって、1通880円(2023年1月現在)で発行可能です。
なお、故人が借金をしていた場合など、総合的に判断して相続を拒む際は、故人の死を知ったときから3ヶ月以内に手続きが必要となります。
相続の放棄の申述(最高裁判所)
もし相続放棄をする場合は、故人の預金の引き出しや、口座凍結の解除による相続が行えませんので、注意しましょう。
詳しくは、「 本当に相続放棄していいの?知っておくべき4つのデメリットと対処法」「 【令和4年度版】相続放棄の費用と無駄をおさえる5つのポイント!」の記事をご覧になり、メリット・デメリットまでしっかりとご確認ください。
事前に遺産相続人全員であらかじめ遺産相続協議を行う
親族同士で後々までトラブルにならないようにするためには、誰が何をどのように相続するかを書面化して記録に残せるよう、『遺産分割協議書』を作成しましょう。
遺産分割協議書を自分で作成するのが難しいと思う場合は、司法書士へ委ねると、遠方に住む相続人とのやりとりまで対応してもらえるため、スムーズで的確です。
特に、土地建物の不動産では代償分割を行うケースもあるため、「 代償分割を完全解説!意味と課税価格の計算方法と注意点を解説!」の記事で概要をご確認のうえ、専門家への依頼をご検討ください。
遺産相続は死亡から10ヶ月以内に納税の申告を行う義務がある
遺産相続では、故人の死亡から10ヶ月以内に納税の申告を行うことが義務付けられています。
相続税の申告と納税(法務省)
空き家・空き地の問題を回避する目的で、2024年4月1日から相続登記は3年以内に行わなければならない義務化が開始されるため、相続登記の検討も必要です。
相続登記・遺産分割を進めましょう(法務省)
相続登記に関しては、「 【相続プロ監修】相続登記の流れ・必要書類~登記完了までの全工程」の記事で詳しく解説しているため、どうぞ参考になさってください。
最後の入出金から10年経過すると休眠口座となり預金を失う
故人の預金口座をそのまま残しておくと、休眠口座とみなされ、預金を失うことになるためご注意ください。
休眠預金とは、死亡日や相続発生の時期ではなく、『最後の入出金等がおこなわれた日』を基準日として、10年が経過した場合です。
つまり、故人の口座に限らず、皆さまの銀行口座でも同じように注意する必要があります。
なお、休眠預金は預金保険機構へ移管され、民間公益活動に活用される仕組みになっているため、詳しくは以下のサイトをご覧ください。
長い間、お取引のない預金等はありませんか?(金融庁)
相続預金払戻し制度なら相続前でも150万円まで出金可能!
相続預金払戻し制度とは、2019年7月にできた新しい制度で、故人名義の口座が凍結していても、相続する前に預金を引き出せる仕組みです。
相続に関するルールが大きく変わります(法務省)
引き出せる金額は以下のとおり、2つのルールによって決まっていますので、最大150万円となります。
1.計算式:相続人が単独で払い戻しできる金額=相続開始時の預金額×1/3×相続人の法定相続分
2.ただし1口座につき最大150万円までの安い方の金額
遺産分割前の相続預金の払戻し制度のメリットとデメリット
メリット |
デメリット |
相続前でも故人の財産から病院の費用や葬儀代などの支払いができる。 |
遺言相続などでNGの場合や遺産放棄はできなくなる可能性がある。 |
上記のように、相続預金の払戻し制度にはメリットとデメリットがあるため、目先の預金の引き出しにとらわれないよう、くれぐれもご注意ください。
相続預金の払戻し手続きの3つの手順
相続預金の払戻し手続きは、次の3つの手順で行うと、無駄を省いてスムーズに執り行えます。
1.銀行へ相続預金の払戻しの希望を連絡して必要書類を確認する
2.相続預金の払戻しに必要な4つの書類を準備する
3.銀行に書類を提出して相続預金の払戻し手続きを行う
銀行へ相続預金の払戻しの希望を連絡して必要書類を確認する
銀行へ相続預金の払戻しを行いたい旨を連絡して、事前に必要な書類を確認しておくと、漏れや無駄な手間を防ぐことができます。
相続預金の払戻しに必要な4つの書類を準備する
一般的に相続預金の払戻しの手続きで必要な書類は次の4種類です。
・故人の除籍謄本
・故人の出生から死亡までを確認できる戸籍謄本または全部事項証明書
・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
・預金を払い戻す人の印鑑証明書
銀行に書類を提出して相続預金の払戻し手続きを行う
必要書類を揃えたら銀行へ提出して手続きを行いますが、この際、いつ頃の入金になるかを確認しておくと、支払いにあたって都合を伝えやすく安心できるでしょう。
規定以上の預金の払戻しは家庭裁判所の仮処分が必要
規定の金額で足りない場合は、家庭裁判所の審判によって、裁量の範囲で銀行預金の払い戻しを行うことができます。
しかし、遺産分割調停や審判の申し立てを行っている必要があるなどの条件があり、基本的にスムーズに相続が捗らない方のための措置です。
手続きのみを専門家へ依頼するなら司法書士で問題ありませんが、トラブル時には弁護士へ相談することが好ましいため、「 知らないと損をする!相続弁護士を選ぶ9つの要点と費用を抑える準備」の記事で、注意点や費用をご確認ください。
口座凍結や相続手続きの不明点は無料相談で解決しよう!
「お葬式後の慌ただしい時期に銀行手続きは困難」「仕事が忙しい」といった場合、司法書士へ依頼すると完全代行してもらえるため、手間が省けて便利です。
また、自分に万一のことがあった場合に口座凍結を防いで、子どもに迷惑をかけないようにするには、『成年後見制度』や『家族信託』の手続きをオススメします。
これらの制度に関しては、『 【成年後見人の手続き】流れから必要書類・期間・費用・注意を全解説』『 簡単解説!家族信託とは?知っておくべき8つのメリット・デメリット』『 家族信託を完全解説!手続き・費用・認知症対策を紹介!』以下の記事で解説していますので、将来に備えて準備すると安心です。
弁護士や司法書士は、何より費用負担が心配だと思いますが、『 やさしい相続』では最寄りの専門家を検索できるうえ、無料相談にも対応していますので安心です。
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【代行できる手続き】
・相続人調査
・相続財産調査
・相続税申告
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・遺産分割協議書の作成
・不動産の名義変更
・相続放棄手続きなど
【ご紹介できる専門家】
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・公認会計士
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・司法書士
・行政書士
・ファイナンシャルプランナー
葬儀社(運営サイト『 やさしいお葬式』)ならではのお客様志向で、皆さまの立場になって葬儀後のお困りごとをサポートしていますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
1.口座凍結する4つのタイミング
【口座凍結のタイミングと期間】
タイミング |
凍結期間 |
1.口座名義人の死亡が判明したとき |
解除及び相続手続き後、早ければ相続人に1~2週間程度で振り込まれる。 |
2.口座名義人が認知症と認められたとき |
成年後見制度の利用により、後見人の選定に2~3ヶ月程度要する。 |
3.債務整理をするとき |
銀行が弁護士や司法書士から任意整理を知らせる受任通知を受け取ってから、保証会社が銀行へ代位弁済するまでの3ヶ月程度。 |
4.口座が犯罪に利用された疑いがあるとき |
警察や弁護士との連携で凍結口座名義人リストから削除されるまで。削除されないケースもある。 |
口座名義人の死亡が分かるきっかけ |
内容 |
1.相続人や親族からの連絡 |
銀行窓口や電話連絡により、相続人にあたる遺族や親族から故人が死去したことを直接確認した場合。 |
2.銀行員の営業や業務上での確認 |
銀行員が地域の方々の口コミや斎場の看板などで死亡を確認した場合。 |
3.報道や新聞などの訃報欄 |
有名人が亡くなった場合はテレビのニュースや新聞記事で報道が行われるほか、地域によっては新聞の訃報欄(お悔やみ欄)で告知する習慣があるため、これらを機に認知される。 |
・口座凍結の解除と相続完了は早ければ1~2週間程度だが、3~4週間以上かかることもある。
2.口座凍結で【解除+相続】手続きをスムーズに行う3つの手順
1.銀行へ口座凍結の解除依頼の連絡をして相続の必要書類を確認する
2.手続きに必要な書類を4つのパターンから選択して準備する
3.必要書類を銀行へ提出して手続きを行う
【手続きの必要書類】
手続きの種類 |
遺言書 |
遺産分割協議書 |
遺言執行者 |
必要書類 |
1.遺言書と遺産分割協議書がない共同相続の場合 |
× |
× |
- |
・故人の出生から死亡までを確認できる戸籍謄本
・法定相続人全員の戸籍謄本(法務局発行の法定相続情報一覧図の写しがある場合は不要)
・法定相続人全員の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
|
2.遺言書がなく遺産分割協議書がある場合 |
× |
◯ |
- |
・遺産分割協議書
・故人の出生から死亡までを確認できる戸籍謄本
・法定相続人全員の戸籍謄本(法務局発行の法定相続情報一覧図の写しがある場合は不要)
・法定相続人全員の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
|
3.遺言書があり遺言執行者がいない場合 |
◯ |
× |
× |
・遺言書
・家庭裁判所の検認済証明書
・法定相続人全員の戸籍謄本(法務局発行の法定相続情報一覧図の写しがある場合は不要)
・故人の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
|
4.遺言書があり遺言執行者がいる場合 |
◯ |
× |
◯ |
・遺言書
・家庭裁判所の検認調書または検認済証明書
・法定相続人全員の戸籍謄本(法務局発行の法定相続情報一覧図の写しがある場合は不要)
・遺言執行者と故人の印鑑証明書
・預金通帳・証書・キャッシュカード・銀行印・貸金庫の鍵など
|
【法定相続人の法定相続分】
法定相続人 |
法定相続分 |
配偶者 |
配偶者以外 |
配偶者 |
子 |
父母 |
兄弟姉妹 |
有 |
無 |
1 |
- |
- |
- |
子 |
1/2 |
1/2 |
- |
- |
父母 |
2/3 |
- |
1/3 |
- |
兄弟姉妹 |
3/4 |
- |
- |
1/4 |
無 |
子 |
- |
1 |
- |
- |
父母 |
- |
- |
1 |
- |
兄弟姉妹 |
- |
- |
- |
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3.故人の口座凍結で抑えるべき8つのポイント
1.すべての口座が凍結しているとは限らない
2.保険金の受け取り手続きを早急に行う
3.口座凍結していても預金を払い戻す方法がある
4.口座凍結の解除には相続人全員の同意が必要
5.他の口座を含めて故人の財産をすべて把握しておく
6.事前に遺産相続人全員であらかじめ遺産相続協議を行う
7.遺産相続は死亡から10ヶ月以内に納税の申告を行う義務がある
8.最後の入出金から10年経過すると休眠口座となり預金を失う
4.相続預金払戻し制度なら相続前でも150万円まで出金可能!
1.計算式:相続人が単独で払い戻しできる金額=相続開始時の預金額×1/3×相続人の法定相続分
2.1口座につき最大150万円までの安い方の金額
故人の死で憔悴しているときに、口座凍結や相続などのお金の問題が生じると、心身ともに疲弊してしまいがちですが、実は多くの方々が同じような経験をしています。
まず、医療費や葬儀代やお墓などの高額な支払いでは、病院や葬儀社、納骨先や石材店へ生命保険の受け取りまで待ってもらえないかどうかを相談しましょう。
一方で、止まってしまうと困る携帯電話の支払いなら、督促の案内や振込用紙が届くため、未払いの精算とともに解約手続きを行えば問題ありません。
このようなアドバイスが聞けるのも『無料相談』ならでは!困ったときは悩む前に相談をして、すぐに問題を解決してくださいね。
この記事によって、口座凍結に関する疑問の解明や不安の解消となり、皆さまの安心に繋がれば幸いです。
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【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)
- 略歴
- 高橋圭 (たかはし けい)
- 青山学院大学法学部卒業。
- 2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
- 司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員
プロフィール