おくりびととは?資格取得の方法と費用・年収・将来性を徹底解説!
家族が亡くなり、ご遺体を棺に納める「納棺の儀」を行うとき、少しでも生前の姿に近くなるようきれいに納めてあげたいと思われる方がほとんどかと思います。
納棺の儀において必要な作業を行うのが、「おくりびと」と呼ばれる職人です。おくりびとは、ただ棺にご遺体を納めるだけでなく、仕事内容が多岐に渡っており、ご遺族と深い関わりを持って業務を行う必要があります。
この記事で、おくりびとの詳しい仕事内容や歴史、生活や給与など、おくりびとについて詳しく解説します。
おくりびととは?
おくりびとの正式名称は「納棺師」
おくりびととは、正式には「納棺師」と言います。呼称は他にもあり、「湯灌師」「復元納棺師」などと呼ぶこともありますが、どれも意味は同じです。
故人を棺に納めるために必要な処理を施すための、専門の職人を指しています。故人の身体を清潔にしたり、必要に応じて修復作業を行ったり、衣服を着せたりしながら、ご遺体の状態を管理していきます。
納棺にかかる時間は1時間ほど
おくりびとが仕事を行うのは、家族を失ったご遺族が深い悲しみにくれている時となります。納棺の処置を行う時間は30分から1時間ほどと限られています。
その中でご遺族とコミュニケーションをとりつつ、可能であればご遺族にお声がけをして作業に参加いただくことで、故人とご遺族の最期の時間を大切に過ごすお手伝いも進めていきます。
おくりびとの仕事によって、故人が旅立つ支度を整えることで、ご遺族もきちんとお別れができるように心の整理ができるでしょう。
>>納棺師とは?資格取得の方法と費用・年収・将来性を徹底解説!
おくりびとの主な仕事
おくりびとは、具体的にどのような仕事をするのでしょうか。一つずつ、詳しく解説していきます。
末期の水
末期の水とは、「死に水」と呼ばれることもあり、息を引き取った故人の口に水を含ませて潤す儀式を言います。この儀式は、お釈迦様があの世へ旅立つときに水を欲しいとおっしゃったことに由来しています。
末期の水をおこなう理由
故人の喉を潤すと同時に、生き返って欲しいという願いも含まれています。浄土真宗においては、末期の水をとる習慣はありませんので注意しましょう。
末期の水の手順
末期の水は、湯灌(ゆかん)を行う前に行います。まず、箸先に脱脂綿(しきみ、菊の葉っぱ、鳥の羽根などを使うこともある)を巻き、白い糸で結びます。
箸ではなく、新しい筆を使う場合もあるため、地域の慣習や病院・葬儀社などからの指示に従ってご家族を先導します。
桶やお椀に水を入れ、脱脂綿を浸して湿らせ、故人の唇にあてていきます。行うのは血縁が濃い順となり、配偶者または喪主、子、親、兄弟姉妹、子の配偶者、孫の順に進めていきます。
あてるときは、上唇の左から右へ、次に下唇の左から右へと箸を動かしましょう。
終わったら、次に顔を拭き上げます。「お疲れさまでした」「ありがとう」などと声をかけながら、おでこの左から右へ、鼻の上から下へ、顎の回りを左から右へ気持ちを込めて拭いてあげましょう。
できるだけ、多くの親族が参加することが理想ですが、小さなお子さんがいらっしゃる場合は無理に参加いただく必要はありません。
湯灌(ゆかん)
湯灌(ゆかん)とは、故人のご遺体を入浴し、きれいにする作業のことを言います。ご遺体は、死後2時間から3時間ほどすると徐々に死後硬直(ご遺体の筋肉が硬くなっていくこと)が始まるため、お湯を使ってご遺体を温めることで少しでも硬直を遅らせる目的もあったと言われています。
湯灌の流れ
湯灌の大まかな流れとして、まずご遺体を洗い流す専用の槽を準備してから、全身にマッサージを施します。その後、ご遺体にお湯をかけながら、お清めを進めていきます。
処置を行うときは、必ずご遺体にタオルをかけるようにします。足元から胸元へとお湯をかけますが、ご遺族が参加しやすい処置ですので、できればお声がけをすると良いでしょう。
もちろん、無理に参加いただく必要はありません。
ご遺体にかけるお湯の温度を調整するとき、水に熱湯を足して調整します。これを「逆さ水」と言い、普段と反対の行動をすることが、葬儀に関わる場面ではよく見られます。
同じ理由で、地域によって利き手と反対の手でお湯をかける風習もあります。
次に、洗髪や顔剃り、爪切りなどのお手入れを行い、タオルで拭き上げドライヤーで乾かし、仕上げをします。ご遺体の鼻や口の中に、綿を詰めることがありますが、これは顔全体をふっくらとさせて元気だったころの表情に近づけるための処置です。
湯灌をおこなう人
湯灌の処置は、おくりびとが担当することもあれば、湯灌専門のスタッフが行うこともあります。また病院によっては、ご臨終を迎えた後で看護師が湯灌の処置を行う場合もあります。
どのようなケースにも対応できるように、おくりびとは湯灌の知識を身につけておく必要があります。
エンバーミング
エンバーミングとは?
エンバーミングとは、薬剤などを使ってご遺体を保存できるようにしたり、必要に応じて外傷を修復したりする特殊な技術のことを言います。
火葬が主流である日本では、あまり一般的ではありませんでした。しかし、2011年に発生した東日本大震災の際に、身元確認のためエンバーミング処置が行われたことで、広く浸透するようになりました。
また、感染症が原因で亡くなられた場合に、感染予防対策としてエンバーミング処置を施すことが必要です。
海外で亡くなられた方のご遺体を日本へ移送するときにも、現地でエンバーミングの処置が先に行われます。
交通事故や自殺、その他損傷が激しい状態の場合にも、ご遺族のショックを少しでも和らげるために、きれいな状態にするためにエンバーミングを行うケースもあります。
おくりびとはエンバーミングは行わない
エンバーミングの処置をおくりびとが行うケースはなく、専門の資格を持ったエンバーマーまたは医療従事者が行います。(おくりびとがエンバーマーの資格を持っている場合は、この限りではありません)また、日本ではエンバーマーの有資格者や対応可能施設が少ないため、地域や設備によって対応できない場合もあります。
その場合には、ドライアイスで冷やして保全されるケースが多く見られます。
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新型コロナウイルスで亡くなった故人へのエンバーミングプランと最後の面会プランと直葬プラン(火葬)とお別れ会プラン(後葬)への対応を開始しました。
棺へご遺体を納める
湯灌やエンバーミングの処置が終わったら、ご遺体を棺に納めます。
死に装束を着せる
納める前に、死に装束を着せ、死に化粧や整髪などをした上で身だしなみを整えていきます。
死に装束は左前で合わせますが、衣服と同じように着せる場合と上から被せる場合があり、状況に応じて対応します。
装束を身につけたら、上帯(うわおび。着物のいちばん外側で締める帯)、手甲(てっこう。武器の一つで、手首や手の甲を覆うようにつける)、脚絆(きゃはん。足のすねに巻く)などを着け、六文銭(ろくもんせん。三途の川を渡る時の渡し銭と言われている)を入れた頭陀袋(ずだぶくろ。故人の首にかける布袋)をかけます。
死装束とは?意味と着せ方と注意点を徹底解説!
納棺
そして、おくりびとと家族が支えながら、棺へご遺体を納めます。
棺に納めたら、杖、網笠、草鞋などを納め、生前故人が愛用していた品物を副葬品として納めていきます。副葬品として選ばれることが多いのは、洋服や手紙、千羽鶴、写真などです。
飲み物を副葬品として納める場合は、紙パックのものを選ぶか、もしくは紙コップに移してから納めます。次のものは、選ぶのを避けるようにしましょう。
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副葬品として選ぶのを避けたい物
・有害物質が発生する可能性があるもの(ビニール素材、毛皮革素材、プラスチック製品、ゴム製品、化学合成繊維など)
・不燃物(金属、陶磁器、瓶など)
・不燃物ではないが燃えにくいもの(水分の多いもの、分厚い紙類、布団、大型のぬいぐるみなど)
・破裂したり爆発したりする危険性があるもの(ペースメーカー、ライター、スプレー、缶、電池など)
・カーボンでできた製品(テニスラケット、ゴルフクラブ、釣り竿、竹刀など)
書籍であれば、厚さ2cm程度までは大丈夫とも言われています。また、プラスチックに関しては、少量ならば問題ありません。
あまりにも多くの副葬品を入れると、ご遺骨がきれいな形に残らなくなってしまう恐れがあるため、できるだけ最小限にしたいものです。
最期のお別れをするときに入れる花は「別れ花」と言い、副葬品のうちには含まれません。副葬品を納めたら、棺の蓋を閉めます。
>>棺桶(御棺)とは?意味と選び方と副葬品に入れてよいものダメなものを解説!
おくりびとの歴史
日本では仏教式の葬儀が多く、火葬によってご遺体が荼毘に付されることがほとんどです。そのため、ご遺体をきれいに保存する必要性はあまり高くないとされていました。
おくりびとは「洞爺丸台風」がきっかけ
おくりびとの仕事が始まったのは、1954年(昭和29年)の事です。この年の9月に発生した台風15号が、全国に甚大な被害をもたらしたのですが、日本海を北上するときに発達しながら勢力を強めていきました。
北海道では、降水量はそれほど多くなかったのですが、風速30m以上の暴風が吹き荒れました。函館港から出港していた「洞爺丸」を始め、5隻の青函連絡船が暴風と高波で遭難しました。
この遭難により、洞爺丸の乗員乗客1,139名が死亡する大惨事となってしまったのです。
のちに「洞爺丸台風」と呼ばれたこの台風全体の死者は1,361名、行方不明者も400名にのぼり、現在でも日本海難史上最大の惨事と言われています。
洞爺丸は、元々沈没船だった輸送船「昌慶丸」を突貫工事で修理して1946年(昭和21年)に作ったものです。戦後の品不足の影響もあり、とても頑丈とはいえない造りでした。
遭難した当時は、海運の需要が高まっていたのと、船の数が不足していたことから、定員オーバーで海を渡っていたのも、大惨事となった原因と言えるとのことです。
事故現場が岸から近かったため、函館の海岸にはご遺体がたくさん打ち上げられました。とはいえ、突発的な事故で犠牲者も多く、地元の葬儀社も一度にたくさんのご遺体を処理することが困難な状況でした。
ご遺体の管理や身元確認を住民に手伝ってもらった
そこで葬儀社は、函館の住民の方々に依頼し、ご遺体の管理や身元の確認など一部の業務を手伝ってもらったのです。これが、納棺師すなわち「おくりびと」の職業が生まれたきっかけだと言われています。
葬儀会社や医療従事者が、自らの仕事にプラスして行っていた、故人に対するケアという仕事を専門的に扱う職業として、定着していきました。
仏教や日本の文化とおくりびとの歴史に、直接的な関係はありません。しかし、日本人が元来持っている細やかさと、ご遺体に対する心遣いに通じる所が多いため、日本の葬儀において重要な役割を果たすようになりました。
おくりびと関連の著書・映画
映画・おくりびと
おくりびとに関連した映画と言えば、何と言っても「おくりびと」です。この映画によって、日本においておくりびとという職業の認知度が高まり、注目を集めるようになったと言っても過言ではありません。
映画「おくりびと」は、2008年9月に公開されました。納棺師の見習いとして働き出した、本木雅弘さん演じる主人公と、広末涼子さん演じる妻を中心に、さまざまな旅立ちのお手伝いをする姿が描かれています。
同年に開かれた第32回モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門でグランプリを獲得したほか、翌2009年の第81回アカデミー賞授賞式において外国語映画賞を受賞しました。
死と向き合う姿を描いていますが、決して悲しいだけの物語ではなく、納棺という日本の文化および、ヒューマンドラマとして1人の男性の成長も描いた作品なのです。
おくりびとの原点は「納棺夫日記」
この映画の原点となったのが、「納棺夫日記」です。1993年に出版された書籍ですが、この書籍を読んだ本木さんが強い感銘を受け、原作者との度重なる交渉の末、全く別の作品として世に送り出されたのです。
納棺夫日記の著者である青木新門氏は、実際に葬儀の現場に携わっていたことがある方で、著書には当時の経験も綴られているとのことです。
おくりびとの資格を持っている有名人
おくりびととしてのスキルを持っている有名人は、お笑い芸人の「おくりびと青木」さんがいます。芸人活動と平行し、実家の葬儀会社で納棺師として勤務しています。
また、おくりびとではありませんが、先述したエンバーマーの資格を持っているのが、タレントの壇蜜さんです。「壇蜜」という芸名の意味が、「壇」は仏壇、「蜜」はお供え物を表しているそうです。グラビアデビューをする前に資格を取って、実際に仕事をしていた時期もあったとのことです。
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おくりびとの一般的な生活
おくりびとの具体的な業務内容が分かったところで、次におくりびとの一般的な1日をご紹介します。
おくりびとの1日
納棺の作業は、2人から3人のチームであたることがほとんどです。
納棺の現場は毎日変わる
納棺場所は故人の自宅ばかりでなく、葬儀場や病院になることもありますので、毎日現場が変わります。
朝、勤務先へ出勤したのち、その日に回る現場の場所などを確認します。そして現場へ出発し、現場に到着したらご遺族とうまくコミュニケーションをとりながら処置を進めます。
納棺の処置は、1件につき90分ほどが目安となります。
納棺を済ませたら、ご遺族に挨拶し、次の現場へ向かいます。これを繰り返し、その日の業務が終わったら帰社・次の日の準備・退勤という流れです。
勤務はシフト制であることがほとんど
納棺師の勤務はシフト制をとっているところがほとんどで、休日などは不規則になることが多いです。ご遺族の希望や葬儀の時間帯によっては、時間外勤務が発生する可能性もあります。
葬儀体系は、地域性も大きく関係してくるので、地域に合った納棺の作法や、ご遺族の悲しみに寄り添いながら希望も取り入れ、かつスピーディーに処置をしなくてはいけません。
おくりびととは、まさに納棺のプロフェッショナルなのです。
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おくりびとになる方法と費用
おくりびとになるには、特別な資格は不要ですが、2013年に設立された「おくりびとアカデミー」という学校で学ぶのも一つの方法です。
おくりびとになるための費用
この学校は、映画「おくりびと」の撮影時に技術指導を行った講師陣から指導を受けられる、日本初かつ唯一の納棺師育成スクールです。
費用は半年で120万円となっており、課程の修了者にはアカデミー認定の資格が付与されます。
おくりびとアカデミー以外にも、専門学校の学科で納棺師になるためのカリキュラムを組んでいるところも見られます。
専門学校で学ぶ場合の費用は年額100万円前後で、これにプラスして実習などの費用がかかることもあります。
納棺師は資格を持っていなくても可能
ただ、納棺師の仕事は、資格を持っていなくても行うことが可能です。葬儀会社もしくは納棺専門業者へ就職したのち、必要な知識を身につけていきます。
葬儀会社へ就職した場合、おくりびとだけでなく、葬儀全体の仕事に携わることがほとんどで、納棺の仕事のみ行うのは難しいのが現状です。
このため、専門的に納棺師の仕事に就きたい場合は、専門学校から就職先をあっせんしてもらうか、または求人募集の内容を注意して見る必要があるでしょう。
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おくりびとの給与・年収
先述したように、おくりびとの就職先は葬儀会社や納棺専門会社が主流です。このため、給与の水準も、それぞれの会社に沿ったものとなります。
ただ、葬儀会社の方が、納棺専門会社よりも給与水準は若干高くなる傾向があるようです。
平成30年度の国税庁調査によると、男女を合わせた日本人の平均年収は440万円ですが、納棺師の年収はそれよりも低く、300万円から400万円ほどとなっています。
おくりびとは国家資格ではないため、資格手当は発生しません。ただし、納棺の業務を行う時間帯によって、急な残業が発生することもあり、残業手当が付く可能性が高いです。
地域によって、身内のみで納棺の儀を行うところもあり、納棺師の需要が低くなる場合があることも覚えておくと良いでしょう。
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おくりびとの将来性
葬儀の形式は刻々と変化しており、家族葬に代表されるように葬儀の簡素化や合理化が進んでいます。
湯灌の儀式も、病院で看護師がご遺体を拭き上げるのみの工程になることも増えていて、末期の水の儀式も省略するケースが多く見られます。
ただ、専門の納棺師の数は少なく、多様化している葬儀に対応できる人材が求められているのも事実です。
今後、日本でますます高齢化が進んでいく中で、納棺に対応できる人材が増えていくのはとても大切なことです。
納棺師に求められるのは、専門の技術や知識だけでなく、細やかな気遣いができ、ご遺族に寄り添うことができる心配りの精神なのです。
おくりびとに向いている人
おくりびとに向いている人は、精神力が強く他者への気遣いや思いやりができる人です。大切な家族を亡くされたばかりのご遺族に対し、真摯に向き合い対応できる方が適しています。
死というものに対して、軽い気持ちで臨めるような職業ではありません。誠実におこなえる心構えが必要です。
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おくりびとについてのまとめ
「おくりびと」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。
【おくりびととは?】
●おくりびととは、正式には「納棺師」と言う
●「湯灌師」「復元納棺師」などと呼ぶこともある
●故人の身体を清潔にしたり、必要に応じて修復作業を行ったり、衣服を着せたりしながら、ご遺体の状態を管理していく
【おくりびとの主な仕事】
●末期の水
-「死に水」と呼ばれることもあり、息を引き取った故人の口に水を含ませて潤す儀式
-故人の喉を潤すと同時に、生き返って欲しいという願いも含まれています。浄土真宗においては、末期の水をとる習慣はない
●湯灌(ゆかん)
-湯灌(ゆかん)とは、故人のご遺体を入浴し、きれいにする作業のことを言う
-湯灌の大まかな流れとして、まずご遺体を洗い流す専用の槽を準備してから、全身にマッサージを施します。その後、ご遺体にお湯をかけながら、お清めを進めていく
●エンバーミング
-エンバーミングとは、薬剤などを使ってご遺体を保存できるようにしたり、必要に応じて外傷を修復したりする特殊な技術のことを言う
-エンバーミングの処置をおくりびとが行うケースはなく、専門の資格を持ったエンバーマーまたは医療従事者が行う
●棺へご遺体を納める
-納める前に、死に装束を着せ、死に化粧や整髪などをした上で身だしなみを整えていく
●納棺
-棺に納めたら、杖、網笠、草鞋などを納め、生前故人が愛用していた品物を副葬品として納めていく
【おくりびとの歴史】
●1954年(昭和29年)に起きた「洞爺丸台風」がきっかけ
●事故現場が岸から近かったため、函館の海岸にはご遺体がたくさん打ち上げられご遺体の管理や身元確認を住民に手伝ってもらったのが原点
●葬儀会社や医療従事者が、自らの仕事にプラスして行っていた、故人に対するケアという仕事を専門的に扱う職業として、定着していった
【おくりびとの一般的な生活】
●納棺場所は故人の自宅ばかりでなく、葬儀場や病院になることもありますので、毎日現場が変わる
●納棺を済ませたら、ご遺族に挨拶し、次の現場へ向かいます。これを繰り返し、その日の業務が終わったら帰社・次の日の準備・退勤という流れ
●納棺師の勤務はシフト制をとっているところがほとんどで、休日などは不規則になることが多い
【おくりびとになる方法と費用】
●「おくりびとアカデミー」という学校であれば、費用は半年で120万円
●専門学校で学ぶ場合の費用は年額100万円前後で、これにプラスして実習などの費用がかかることもある
●納棺師の仕事は、資格を持っていなくても行うことが可能
【おくりびとの給与・年収】
●平成30年度の国税庁調査によると、男女を合わせた日本人の平均年収は440万円ですが、納棺師の年収はそれよりも低く、300万円から400万円ほどとなっている
おくりびとは、ご遺族とともに故人の旅立ちの準備をお手伝いすることで、ご遺族の心をケアする役割も担っています。
故人が少しでも生前に近いきれいな状態で旅立つことができれば、たとえ少しだけでもご遺族の気持ちが落ち着くのではないでしょうか。
おくりびとは、ご遺体と直接向き合う仕事ですので、決して楽な仕事ではありません。しかし、ご遺族から感謝の言葉をかけられたときのやりがいは計り知れないでしょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール