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エンバーミングの処置をしようとする画像

エンバーミングとは?聞き馴染みのないエンバーミングについてその役割や方法、長所短所まで徹底解説!

皆さんはエンバーミングという言葉を聞いたことはあるでしょうか?

エンバーミングとは遺体を保存することを目的とした技術ですが、日本国内全体としては現状ではあまり浸透していません。

そこでこの記事では、エンバーミングとはそもそもどう言うものなのか、長所や短所のほかに実際の手順なども詳しく解説していきます。エンバーミングが気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。

エンバーミングとは?

エンバーミングとは、遺体に特別な処置を施すことで遺体を保存する施術のことです。

遺体を衛生的な状態で約14日程度にかけて保存することを目的としており、その起源は古く、紀元前からだと言われています。ここでは、エンバーミングとはそもそも何なのか、歴史や役割について詳しく見ていきましょう。

エンバーミングとはなにか?

エンバーミング(embalming)は遺体の保存や修復をしておくために防腐・殺菌処理などを行う技術のことです。

日本では「遺体衛生保全」などと訳されます。エンバーミングを行う技術者は「エンバーマー」と呼ばれ、専門の資格が必要です。また、日本におけるエンバーミングの専門団体はIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)と言います。

主に海外で行われている施術であり、土葬文化によって埋葬した遺体から感染症が広がらないように防止する目的もあるとされています。

エンバーミングの方法

エンバーミングの具体的な流れについては、まず遺体を殺菌・消毒を行った上で血液を排出させホルマリンなどを投与します。

エンバーミングによって遺体を保存できる期間は10日間から14日程度だとされています。このことにより、海外で亡くなった遺体を運んだり、事故などで亡くなった方の遺体を修復できるようになりました。

遺体は殺菌、消毒されているため直接触れることができるため、お別れの仕方に自由度が増すとされています。

エンバーミングの歴史

古代エジプトのミイラが起源

エンバーミングの起源は古代エジプト(紀元前3,200年~紀元前650年)だと言われています。ミイラを作る際に臓器を体内から摘出し、薬用植物を詰めることを行なっていました。

その後、17世紀〜19世紀にヨーロッパにおいて血管に防腐剤を注入するほかにホルマリンの発見が行われました。

そして1861年の南北戦争で戦死者の遺体を故郷などに送る際に、長距離間の移送でも遺体の腐敗が進まないようにエンバーミングが行われ、一般に普及したと言われています。

日本に導入されたのは1974年

日本に導入されたのは1974年、川崎医科大学だとされています。そして1988年に日本初のエンバーミングセンターが埼玉県川口市にオープン。1993年にIFSAが発足されました。

エンゼルケアとの違い

エンゼルケアとは?

エンゼルケアは、人が亡くなった際に行う死後の処置から死化粧のことです。病院で亡くなった場合には病院関係者が、自宅で亡くなった場合には遺族や専門の業者が行います。では、エンゼルケアの具体的な流れについて見ていきましょう。

エンゼルケアの方法

エンゼルケアはまず、遺体に繋がれていたドレーンなどの医療機器を外します。そして糞尿や胃の内容物を取り除き、口腔内の吸引を行います。

続いて体を清潔にするため清拭(せいしき)を行い、入院着から浴衣などの衣装に着替えさせます。最後に綺麗に見えるよう髪を梳かしたり、髭剃りをしたり化粧を行います。

また、混同されがちなものに湯灌(ゆかん)というものがあります。

湯灌とは?

湯灌とはお湯で遺体を清めることで穢れを落とす、死後硬直を和らげるといった説があります。湯灌を行う際にはお湯を入れる専用の槽を用意し、硬直をほぐすために遺体をマッサージします。湯灌師によって遺族へ湯灌の説明が行われ、お清めを行います。この場合、専門の湯灌師だけで行うか遺族が参加するかは選べます。

そして洗髪や髭剃りが行われた後にシャワーで全身を清め、着付けと化粧を行います。

湯灌の費用相場

湯灌は多くの場合、オプションで追加することになるため基本料金とは別の可能性が高いです。湯灌の相場は50,000円〜100,000円ほどとなっており、必ず行わなければいけないわけではありません。ご遺族の意思によって決められます。

エンゼルケアは故人の尊厳を守るために遺体を綺麗にしたり、遺族へのケアを目的としていますが、エンバーミングはあくまでも遺体を長期間にわたって衛生的に保つことを目的としています。

エンバーミングの役割

エンバーミングはIFSAによって4つの処置についての役割が説明されています。ここではその処置の概要について見ていきましょう。

1:消毒・殺菌

遺体の消毒を行うことで、感染症の原因となりうる病原菌やウイルスを殺菌する。

2:腐敗の防止

遺体は気温や室温によって急激に腐敗します。そのため、防腐剤などの薬剤を投与し、できる限り遺体の腐敗の進行を遅らせます。

3:修復および化粧

遺体の損傷箇所を修復し化粧を施すことで、かつて元気だった状態へ近づけ遺族が故人に対して良い思い出を残せるようにします。

4:心ゆくまでのお別れ

エンバーミングによって遺体を10日間から14日程度腐敗しないようになります。そのため、遺族は遺体に直接触れたり心ゆくまで故人とのお別れを行うことができます。

日本ではどれぐらい行われるのか?

では、実際に日本ではどれぐらいエンバーミングは行われているのでしょうか。実は日本以外の海外ではほとんどの遺体にエンバーミングの処置が施されています。1992年の調査ではアメリカ・カナダでは90%、イギリスや北欧では70%ほどの遺体がエンバーミングを行なっているとされています。

続いて日本での状況について見ていきましょう。日本にエンバーミングの技術が導入されたのは1974年の川崎医科大学です。

そして1995年の阪神・淡路大震災によって急激に普及し始め、2011年の東日本大震災でもさらに広まっていきました。

日本では446,034件

2017年時点では、日本のエンバーミング施設は24の都道府県に合計61施設。累計で446,034件がエンバーミング処置を施されたそうです。

また、エンバーミングの資格を保有している人数は150人程度だと言われています。

日本はそもそも火葬文化が定着しています。ですから人が亡くなったら数日後には火葬をすぐに行うため遺体の保全を行う必要がないという考え方があり、現状ではあまり日本でエンバーミングは普及していません。

しかし、現在では神奈川県にIFSAに認定されたエンバーマーを養成する専門学校ができたほか、数々の震災によって世間に広まりつつある今では、日本でもエンバーミングを行う件数が増えており、今後も増えていくことが予想できます。

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エンバーミングが必要なケース

ではエンバーミングは通常どのようなケースにおいて行う必要があるのでしょうか。

エンバーミングが必要なケースは大きく分けて、葬儀までに長い時間がかかるケース、遺体を空輸するケース、遺体に損傷があるケースの3パターンが考えられます。ではそれぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

葬儀までに長い時間がかかるケース

基本的に人が亡くなったら、火葬場の混雑状況などによりますが数日後には火葬をすぐに行います。遺体を安置してから葬儀までは、遺体の腐敗が進まないよう保冷剤やドライアイスなどを使用します。

しかし、この方法では短期間しか腐敗の進行を抑えることができません。そのため、何かしらの事情で逝去から葬儀まで長い時間がかかるような場合には、エンバーミングを施すことがあります。 

ご遺体の安置については下記記事もご参考ください。
故人様を預かる施設が足りない⁈都会のご安置所事情

遺体を空輸するケース

もし海外出張や旅行などで遠方に行っている状態で亡くなった場合には、遺体を国内へ送る必要があります。

飛行機で空輸する場合には、安全上の理由からドライアイスによって遺体を保冷することができないため、エンバーミングを行い遺体の腐敗を防ぐ必要があります。

国内での空輸の場合は葬儀社に依頼をして遺体の搬送を行います。この時、死亡診断書や死亡届が必要となることがあります。

海外からの空輸の場合、故人のパスポートと死亡診断書、非感染症証明書、遺体証明書、防腐処理証明書などが必要となります。

空輸する場合の費用

国内で遺体を空輸する場合には、総計で300,000円前後がかかると言われており、海外からの空輸の場合はその3倍~5倍程度だとされています。

ご遺体の搬送については下記記事もご参考ください。
ご遺体の長距離搬送とは⁉︎長距離搬送を手配する方法・段取りについて
海外搬送とは⁉︎海外への故人様の搬送手配・手続きについて

遺体に損傷があるケース

老衰や病気などではなく、交通事故や事件などで亡くなった場合には遺体が損傷していることがあります。

>>老衰とは?近年割合が増えている老衰の定義や前兆について完全解説!

そのような場合、遺族が遺体を見たときに精神的にショックを受けてしまう可能性があります。

故人を生前のような状態で見送りたい、元の綺麗な姿にしてあげたいなどの意向から、エンバーミングを行うことがあります。

エンバーミングの長所

エンバーミングの概要や必要なケースについて見てきましたが、エンバーミングにはどのような長所があるのでしょうか。エンバーミングの長所には、遺体を長い間保管できる、感染症の予防につながるという2点が挙げられます。それぞれについて見ていきましょう。

遺体を長い間保管できる

通常では遺体の腐敗はすぐに進行するため、ドライアイスや保冷剤などで冷却し進行を抑えます。

しかし、あくまでも腐敗の進行を抑えるだけにとどまるため、1日〜3日程度ほどしか効果がなく、さらに夏場などでは大量の保冷剤を必要とするため費用がかさばる可能性があります。

しかし、エンバーミングを施すことで10日間から14日程度ほど腐敗を起こさず保管することが可能なため、季節や場所などを問うことがありません。

感染症の予防につながる

遺体の腐敗が進むことで、異臭や黄疸が生じることがあります。

エンバーミングによってこのような現象を防ぐことができるほか、死亡直後から病原菌が活発になるため肝炎ウイルスや敗血症(MRSA)、結核症などの危険な感染症のウイルスを殺菌・滅菌が行われます。

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エンバーミングの短所

では逆にエンバーミングにはどのような短所があるのでしょうか。エンバーミングの短所は処理に時間がかかるという点です。この短所について詳しく解説しますので、短所をしっかりと把握しておきましょう。

処理に時間がかかる

エンバーミングは葬儀社で行えるわけではなく、行える施設に限りがあります。そのため遺体を施設に搬送する必要があることからエンバーミングの処置までに時間がかかる可能性があります。特に地域差が激しく、近くに施設がないとかなり日数が生じてしまうリスクがありますので注意しましょう。

エンバーミングの行い方

では次にエンバーミングの具体的な手順について解説します。エンバーミングを処置するまでには大きく分けて下記の5つの手順に分けることができます。

1:必要な手続きを行う

2:搬送し、洗浄や消毒をする

3:体内洗浄と防腐処置をする

4:修復作業をする

5:死化粧をして、納棺する

エンバーミングはだいたい3~4時間程度かかるとされています。ここからはそれぞれの手順について詳しく見ていきましょう。

必要な手続きを行う

エンバーミングを申し込む場合は基本的に葬儀社を通してになります。その際に必要な書類として、エンバーミング依頼書(第二親等以内の遺族の同意書)と死亡診断書(死亡検案書の写しなど)を提出します。

可能であれば生前の故人の写真をお渡ししておくと良いでしょう。また、もし着替えさせたい衣装などがあれば衣装を持参する必要があります。

搬送し、洗浄や消毒をする

自宅あるいは病院などの安置している場所から、エンバーミング施設まで遺体を搬送します。遺体の状態を確認し、洗浄および消毒を行います。

体内洗浄と防腐処置をする

続いて遺体の一部(右鎖骨上部もしくは太ももなど)を1.5cm~2.0cm程度切開し、血液や体液を排出した上で防腐液(メチルアルコールやホルマリン)を注入します。

防腐液を注入する際に遺体の全身にマッサージを施し、血液の排出を促進させます。そして胃の中に残っている残存物などを取り除きます。体内の洗浄と防腐処理が済んだら、遺族の希望に応じて髭剃りや洗顔・洗髪を行います。

修復作業をする

防腐剤を注入する際に切開した部分を縫合し、そのほかに事故などで損傷している部位がある場合には修復作業を行います。

死化粧をして、納棺する

最後に遺族の希望に応じて、髪型を整えたり死化粧および納棺を行います。ただし、ここでの納棺は納棺式とは別のものになります。

全ての手順が完了したら、指定の安置場所へとお送りします。葬儀社によっては施術後のアフターフォローを行なっていることがあり、火葬を行うまでに化粧直しなどを受けてくれることがあります。

納棺については下記記事もご参考ください。
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エンバーミングの費用相場

日本では、「一般社団法人 日本遺体衛生保全協会(IFSA)」によってエンバーミングの基本料金が150,000円〜250,000円と定められています。ただし、事故などによって遺体が大きく損傷しているような場合には費用が上がることがあります。

また、基本料金に含まれている内容は下記になります。

・着付け

・死化粧

・納棺

・エンバーミングによる施術

基本料金に含まれていないことが多い内容は下記になります。

・衣装費用

・納棺する棺代

・ドライアイスなどの保冷剤

・自宅や病院からエンバーミングを行う施設までの搬送料

・遺体の大きな損傷部位

また、エンバーミングを行わずドライアイスなどの保冷剤を使用する場合、一日の費用は8,000円〜10,000円程度です。そのため、14日以上保冷をするような場合には、エンバーミングを行う方が費用を抑えられるケースが考えられます。

エンバーミングについてのまとめ

ここまでエンバーミングの概要や長所や短所のほかに、実際の行う手順などについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?ここでは今までの内容を簡単に箇条書きでまとめていきます。

・エンバーミングとは遺体を長期間保存する技術のことで、日本では「遺体衛生保全」と呼ばれることがある。

・エンバーミングの起源は古代エジプトだと言われており、その後にヨーロッパで技術が進化、アメリカの南北戦争で普及したとされている。

・日本に導入されたのは1974年の川崎医科大学である。

・エンバーミングは消毒・殺菌、腐敗の防止、修復・化粧、心ゆくまでのお別れの役割を持つ。

・エンバーミングが必要なものは、葬儀までに長い時間がかかる、遺体を空輸する、遺体に損傷があるケースである。

・エンバーミングの長所は遺体を長い間保管できる、感染症の予防につながるという点が挙げられる。

・エンバーミングの短所は処理に時間がかかるという点である。

・エンバーミングの費用相場は「一般社団法人 日本遺体衛生保全協会(IFSA)」によって基本料金が定められており、150,000円〜300,000円前後である。

火葬文化である日本では、あまりエンバーミングは浸透していませんが外国ではかなりの遺体にエンバーミングは施されています。

今ではエンバーミングを学ぶための養成学校もあるため、今後もしかしたらエンバーミングが普及していく可能性があります。

衛生面のほかに故人と過ごす時間をゆっくりと確保できると言う点でメリットがありますが、費用の負担などのデメリットもあるため、周囲の親族の同意を得るようにしておきましょう。

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

プロフィール

運営会社

会社概要

会社名 LDT株式会社
Life Design Technologies co.,Ltd


https://le-tech.jp/
資本金 11,930万円(資本準備金含む)
代表取締役 白石 和也
設立 2019年9月
所在地 〒105-0004
東京都港区新橋5丁目23-10片山ビル6階
TEL:0120-538-175
FAX:03-6800-5820
事業内容 AgeTech(エイジテック)プラットフォーム事業
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企業理念

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お葬式セミナー講師
エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。