お墓ディレクターとは?資格取得の方法と費用・年収・将来性を徹底解説!
樹木葬や納骨堂、散骨葬など様々なスタイルのお墓が登場してきた現在、お墓の歴史や文化に深い知識をもっているお墓ディレクターの存在が重要なものになりつつあります。
お墓ディレクターとは、お墓や墓石に関する専門知識をもって、お墓を必要としている方にアドバイスをしたり、お墓の手配を行ったりする人のことです。
超高齢化社会の中で注目されるお墓ディレクターですが、具体的にはどのような仕事をしているのでしょうか。
この記事では、お墓ディレクターの仕事内容やお墓に関する本などを紹介します。さらに、お墓ディレクターの資格を取得したい方に向けて資格取得の方法や条件を解説しますので、お墓に関して悩みをもっている方はぜひ読んでみてください。
お墓ディレクターとは?
お墓ディレクターとは、お墓やお墓を作る際に必要となる石材やお墓の形、お墓に関する歴史や文化などついて専門知識を有していることを証明する資格です。お墓ディレクターは国家資格ではないので、お墓ディレクターの資格をもっていなくてもお墓関連の仕事をすること自体は可能です。
一方、お墓ディレクターの資格をもっていれば、消費者の方により深く信頼してもらうことができます。また最近では、お墓ディレクターがいるお店にマークを出せることとなり、お墓が必要な人にとってはお店選びの基準となる資格だといえるでしょう。
お墓ディレクターの試験を主催しているのは、一般社団法人日本石材産業協会となっています。お墓に関する正しい知識を多くの方に広めるため、検定試験が始まりました。
今後は葬儀の数が増えるにつれ、正しい知識をもつお墓ディレクターを求める方も増加していくでしょう。
お墓ディレクターの主な仕事
お墓ディレクターの主な仕事は、お墓をどうやって決めるべきか悩んでいる消費者に向けて、おすすめのお墓を紹介したり、適切な価格で墓石などを販売したりすることです。
具体的に説明すると、お墓ディレクターは以下のような仕事を行っています。
お墓ディレクターの主な仕事一覧
・お墓に関する相談の受付
・トレンドに沿ったお墓のアドバイス
・お墓の選び方に関するアドバイス
・お墓の手配
・石材を見分けて提案
・お墓の適正価格を定時
・墓石の優良度に関する判断
お墓ディレクターは、単に石材のことだけでなく、樹木葬や合祀墓、共同墓など、さまざまな形のお墓に関する知識をもち、相談に来た方にとって最も適切なものをおすすめします。
さらに石材を使ってお墓を作る場合、墓石の適正価格を判断し、予算面でも精神面でも顧客に最も適した石を選びます。
お墓ディレクターなら、一見同じように見える石であっても仕入れ元や石の状態、産地の実績などから石の価値を見分けることが可能です。
超高齢化社会となっている日本では、今後お墓に関する相談が増えると考えられますがお墓ディレクターならお墓に関するどんな質問にも答えます。
これからお墓ディレクターを目指す方は、お墓に関するトレンドなど様々な知識を貪欲に吸収して仕事に活かす必要があるでしょう。
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お墓ディレクターの歴史
お墓ディレクターの資格試験が始まったのは2004年。お墓ディレクター試験を運営する日本石材産業協会が誕生した3年後になります。お墓ディレクターの資格ができるまでは、お墓を作りたい消費者が石材屋などに行きお墓を注文していました。
現在も注文方法等は同じですが、良い墓石業者と悪い墓石業者を見分ける基準がなかったため、外国産の安い石材を高額で買わされたり、加工料として法外な金額が請求されたりするなどのトラブルが起こっていました。
故人を納得のいく形で偲ぶためにも、こうした墓石関係のトラブルはなるべく防ぎたいと考える方は少なくないでしょう。そこでスタートしたのが、お墓ディレクターという資格です。お墓ディレクターの資格を取得するには、お墓やお墓の関連業に勤めている必要があります。
さらにお墓ディレクターの中で最も難しい1級試験では、最低でも3年以上お墓かお墓関連の仕事に従事した経験がなければ、そもそも受験ができません。そのため、お墓ディレクターの資格は、お墓関連の仕事をしている方の実力を示すものとして、顧客が業者を選ぶ際の参考にもなっています。
お墓ディレクター関連の著書
お墓ディレクターは超高齢化社会の中で必要な存在ですが、お墓ディレクターを中心とした小説や映画はまだ登場していません。しかし、家族と別の家に住んでいる方が増えたことにより、お墓の選び方や仕舞い方に関して悩みを抱える方は多くいます。
そこでここからは、お墓に関する悩みを解決するための著書を2つご紹介します。今、お墓に関するどんな問題が起こっているのか知るため、ぜひ読んでください。
著書『お墓づくり入門講座』お墓ディレクター1級をもつ著者・渡邊 統宏さんが、お墓に関連する悩みを解決するためにお墓づくりの基礎を分かりやすく解説する本です。
これからお墓をどうやって選ぶべきか、どんな業者に依頼すれば良いのか、などお墓に関する悩みを抱えた消費者に向けて書かれた本ですが、今お墓を巡ってどんな問題が発生しているのか知るには最適です。
今後、顧客目線に立ってアドバイスができるお墓ディレクターを目指す方は、ぜひ読んでおいてください。
著書『お墓どうしたら?事典―お墓をめぐるあらゆる問題で悩んだら最初に読む本』この本は、第一生命経済研究所主席研究員で葬祭問題の研究を行っている小谷みどりさんが、これからのお墓に悩む多くの方に向けて書いた著作です。
直接お墓ディレクターと関連する本ではありませんが、墓じまいやお墓の引っ越し、新しい供養の方法など、ライフスタイルに合わせた新しいお墓の形についてQ&A方式で答えており、今後消費者が抱く問題を明確に解説しています。
これから出会うお客さんがどのような悩みを抱えがちなのか把握し、お墓に関係する仕事に就く者としてレベルアップを図りたい方におすすめです。
お墓ディレクターの資格を持っている有名人
お墓ディレクターを取得していると公表している有名人の方は、2020年現在まだいないようです。やはりお墓ディレクターの資格を取得するには、お墓に関連する仕事に就いている必要があるため、芸能活動と同時にお墓ディレクターを目指すのは難しいといえるでしょう。
しかしお墓の販売業や加工、墓苑の管理や運営をした経験があるという有名人は、公表していないものの少なからずいると考えられます。
お墓に関する仕事は特別時給が良いわけではありませんが、日本全国どのエリアでも求められている仕事です。そのため、アルバイトやパートとして関連する仕事に就いたことのある方はいるでしょう。
今後、葬祭業全体が注目されるにつれてお墓ディレクターの資格を取得する有名人が出てくる可能性もあります。お墓ディレクターの資格を取りたいと考えている方は、エンタメも含めお墓に関するニュースに注目しておくと良いでしょう。
お墓ディレクターの一般的な生活
お墓ディレクターの多くは、墓石の販売や加工、または墓苑関連の会社に勤務しています。お墓に関して専門知識があり、他の資格をもっている方は開業も目指せますが、現状はお墓ディレクターだけで独立するのは困難だといえるでしょう。
そのため、お墓ディレクターは会社や個人経営事業の従業員として勤務します。会社などに努めている場合、お墓ディレクターの勤務体系は会社の規定に寄ります。お墓ディレクターは、葬儀と直接関係しない方も多いので突然通夜や葬儀の予定が入ることは基本的にはありません。
仕事が突然増えた、同僚が病気で会社を休んだなど特別な事情がなければ、会社の定めた通り自由に休日を過ごすことができます。しかし、お墓ディレクターの生活は、勤める会社によって大きく変わります。余裕のある会社であれば、福利厚生も充実しており、有給休暇などもきちんと取れる可能性が高いでしょう。
一方、従業員が足りない状況の会社では、休日出勤が発生したり、勤務日の残業が非常に長くなったりすることもあります。お墓ディレクターとして働くなら、就職先の勤務規定や勤務実態についてきちんと調べておくことが大切です。
お墓ディレクターになる方法と費用
お墓に関わる仕事に就くだけなら、お墓ディレクターの資格は必要ありません。資格がなければお墓ディレクターを名乗ることはできませんが、一般の従業員としてお客さんのお墓選びをサポートすることは可能です。
しかしお墓ディレクターの資格があれば、より多くの方に信頼してもらえるうえ、自分の実力を示すこともできます。そのため、お墓に関わる仕事でキャリアアップを目指すなら、お墓ディレクターの資格を取得しておくと良いでしょう。
ここからは、お墓ディレクターの資格を取得する方法と、資格取得までにかかる費用について解説していきます。お墓を通して様々な人と関わっていきたい方は、ぜひ参考にしてください。
お墓ディレクターの資格を取得する方法
お墓ディレクターの資格を取得するには、日本石材産業協会の定める認定試験を受験し、合格する必要があります。お墓ディレクターの試験では、お墓に関連する宗派やお墓の形状、お墓に関する歴史や文化、そして石材の種類や加工方法などの問題が出題されます。また、墓地や埋葬に関する法律の知識も問われます。
お墓ディレクターの試験は1級と2級に分かれており、1級はアルバイトを除く実務経験3年以上が受験条件で、お墓やお墓に関する仕事に就いていなければ受験ができません。また2級では実務経験は問われませんが、お墓やお墓に関する仕事に従事している必要があります。
1級と2級で大きく異なるのは、難易度です。1級の方が、より高レベルな知識を求められますので実務経験を積んだ上で、十分勉強した後に受験しましょう。
お墓ディレクター1級の受験内容
正誤判定30問、多肢選択20問(マークシート式)
記述式(100〜200文字程度を記述式で回答)
お墓ディレクター2級の受験内容
正誤判定50問、多肢選択50問(マークシート式)
となっています。記述問題がある分、1級の難易度はかなり上がります。お墓ディレクターとしてレベルアップしたい方は、まず2級を取得してから1級を目指しましょう。
お墓ディレクターの資格取得にかかる費用
お墓ディレクターの資格試験を受験するには、1級、2級ともに30,500円となっています。ただし日本石材産業協会の会員及び会員企業の従業員、または全建石会員は18,500円で受験することができます。
また、本格的に試験合格を目指すなら、日本石材産業協会が推奨するテキストや問題集の購入も必要となるでしょう。日本石材産業協会公式サイトで紹介されている参考書などは、次の通りです。
推奨されているテキスト・問題集
検定用テキスト「お墓の教科書」・・・15,000円(税別)
問題集「過去検定問題集2019」・・・1,500円(税別)
参考資料「日本人のお墓(第一集・第二集)」・・・合計4,000円(税別)
以上の金額となっており、それなりの出費が必要です。ただし会社によっては資格取得に関して補助金や支援金を出してくれるケースもあるので、お墓ディレクターの資格を取るならまず現在勤務している会社に相談してみましょう。
お墓ディレクターの給与・年収
お墓ディレクターの給与・年収は勤務している会社によって大きく異なります。たくさんの顧客ネットワークをもつ会社であれば、お墓のプロフェッショナルとして月収20〜25万円以上に加えインセンティブとして報酬をもらうことも可能です。
しかし、経営が苦しい会社の場合は月収20万円ほどでボーナスもなかなか出ないというケースもあります。そのため、お墓のプロフェッショナルとして安定した収入を得るには会社選びが非常に大切になってくるでしょう。
お墓ディレクターの資格取得には手間とお金がかかるものの、現在はまだ有力な資格として認知されていません。そのため有資格者であるにも関わらず、資格をもっていない方と待遇が一緒になることもありえます。
しかし高齢化が加速する中で、お墓ディレクターのニーズは増加すると考えられます。お墓と関わりながら多くの方の悩みを解決したい方は挑戦してみると良いでしょう。
お墓ディレクターの将来性
お墓ディレクターの将来性は、非常に良好だといえます。現在日本は、高齢化社会を超えて超高齢化社会となっています。そのため、これから葬儀を行い、お墓を求める人の数は増加していくでしょう。その中で、お墓に関する深い知識をもったお墓コーディネーターが必要とされるケースも増加すると予想されます。
今はまだ、お墓コーディネーターという資格が一般の方にあまり知られていない面もあります。ところが、資格試験を運営する日本石材産業協会では顧客にお墓ディレクターの良さを知ってもらうためのパンフレットや、お墓コーディネーターが在籍するお店であることを示すのぼりを作成し、周知に努めています。
今後葬祭業が注目されるにつれ、お墓ディレクターのニーズはますます高まっていくでしょう。
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お墓ディレクターについてのまとめ
消費者に正しいお墓の知識を伝え、適切なアドバイスを行うお墓ディレクターは、今の日本に必要とされる存在です。しかし、お墓ディレクターの資格を取得するためには、お墓やお墓に関する仕事に従事していなければいけません。お墓ディレクターに興味がある方はまず、お墓に関する仕事を探してみましょう。
また、資格取得を目指す場合、現在就いている仕事が、お墓に関する仕事として日本石材産業協会が認めている職種なのかどうかを確認する必要があります。お墓のことで悩んでいるたくさんの方をサポートするため、お墓ディレクターを目指す方は、お墓に関連することについて少しでも多く勉強しておきましょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
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