九州の葬儀・葬式での目覚まし(めさまし)とは?書き方・金額・マナーを完全解説!
葬儀での風習は全国地域によってさまざまなものがありますが、「目覚まし」 と聞いて何のことなのかわかる人は少ないと思います。
突然の訃報を聞きほかの地域の葬儀に参列することになったが、独自の風習があり、恥ずかしい思いをしてしまったことってありませんか?
今回、「目覚まし」 について他の地域の方が参列しても恥をかかないようにご説明していきます。
葬儀・葬式での目覚まし(めさまし)とは?
葬儀・葬式での目覚まし(めさまし)というのは、 お通夜の時に持参し、遺族に対してお渡しするお菓子やお酒、 お金の表書きに使われる一部の地域で残る風習のことです。
目覚ましの3つの意味
目覚ましには3つの意味があります。
①「もう一度目を覚めてほしい」という願い
1つ目は「愛する方にもう一度目を覚めてほしい」と願う気持ち。故人の死というものはとても悲しいものです。
もし、かなうのであればもう一度目を覚ましてほしい。そういった気持ちから「目覚まし」 と書くようになったと言われています。
②遺族に対し「お線香を絶やさないようにして欲しい」という気持ち
2つ目は遺族に対し「お線香を絶やさないように、 これで目を覚ましてください」という気持ち。
今では、現金を包んで渡すことが一般的となっていますが、 以前はお酒や食べ物などを渡していました。
遺族の方が“目を覚まして、一晩中お線香を絶やさず過ごすため“に、「 どうぞお食べください」「お使いください」 といった意味があると言われています。
③故人の死を通しての「仏法の目覚め」
3つ目は故人の死を通しての「仏法の目覚め」残された人たちが故人をしのび思うことで、 仏法への理解が深まると考えられています。
元々目覚ましは、通夜の際に線香の火を絶やさないように見守る、寝ずの番をする遺族に対して「これを食べて目を覚ましてください」という意味が込められています。
線香やロウソクを夜通し灯す習慣は、亡くなった人の体に虫や悪い霊がつかないようにするためにうまれ、現代でも行われています。
そして、不幸があった家で煮炊きすることはよくないと言われており、近しい間柄の人たちで食べ物などを持ち寄り、一晩を過ごしたというのが、目覚ましの由来ともされています。
昔は食べ物やお酒に直接「目覚まし」と書いていましたが、最近ではお金を包み渡すように変化してきています。
通夜については、
・「お通夜のマナーとは? 服装や香典マナー、流れを喪主側参列者側で徹底解説!」
・「これさえ知れば大丈夫。通夜の知識と遺族・参列者のマナー!」
目覚まし(めさまし)のある地域
特に、熊本県で目覚ましの風習が浸透していると言われています。
そのほか、一般的に近親者で行われる「通夜振る舞い」に対し、宮崎県では近隣の人たちがまんじゅうやお団子などのお菓子を準備し参列者に持ち帰ってもらうことを「目覚まし」とする風習があります。
また、長崎県の島原地域では、5合〜1升のお米を近隣の人たちが持ち寄る「目覚まし」としての形で風習が残っています。
県外から九州での葬儀に参列される場合には、目覚ましを用意していく必要があるのか、事前に確認することが望ましいです。
目覚ましの風習が残っている地域の葬儀場のHPには、「目覚まし」に関して記載されているところもあります。
もし、目覚ましの風習がある地域の方が、目覚ましの習慣がない地域の葬儀に参列する場合には、受付の方も戸惑ってしまう可能性がありますので、事前に確認することが大事です。
地域での弔事の違いについては、
・「ご先祖のお骨壺の大きさを知っていますか?地域で大きさ・種類が違うお骨壺について」
・「地域でこんなに違う「火葬料金」」
・「亡くなった日にお通夜ができる地域もあれば、1週間以上待つ地域もある」
目覚まし(めさまし)が必要が確認するには?
とは言っても嫁いできたばかりや、転勤、引っ越してきたばかりだった場合、「目覚まし」が必要かどうか確認するのが難しいかも知れません。
その場合は、葬儀をおこなう葬儀社のサイトを確認するのがおすすめです。実際に熊本県の葬儀社のサイトには「目覚まし」について記載されています。
もしくは、地元の友人や近所の方、親戚に確認する方法もあります。
目覚まし(めさまし)の書き方
熨斗袋の書き方は地域によって違うようですが、「お目覚まし」「御目覚まし」「お目覚まし料」「御目覚まし料」などと書きます。
熨斗袋の選び方
熨斗袋にはさまざまな種類がありますが、金額によって使い分けます。
5,000円ぐらいまでは水引が印刷されたものを使用し、実際の水引がついたものは10,000円以上を包む時に用いますが、目覚ましは目安として3,000円ぐらいなので水引が印刷されているものを使用します。
水引の選び方
蝶結びの水引は固く結ばれ簡単に解けないことから、繰り返したくない弔辞全般で使用します。
薄墨を使って書くのが理想
葬儀当日に渡す香典の表書きは「硯に涙が落ちて墨が薄くなった」「涙で墨が滲んで薄くなった」という弔意を表す「薄墨」 を用いるのが良いとされています。
そして、法要の香典の場合には「故人への想いを込めて墨をすった」という心境を表すために普通の墨を使います。
薄墨で書けなくても問題ない
しかし市販の香典袋の場合、表書きが墨の色が濃い場合もあります。
昔は印刷されているものがなく、自分で墨をすり表書きを書いていました。
現代は墨を使用して文字を書くことも少なくなり、訃報を知り急いで熨斗袋を準備する時には最近ではコンビニでも手に入れることができます。
そのような現代事情も踏まえ、自宅に薄墨がなければ普通の墨を使っても問題ありません。
それよりも重要なのは、住所や名前をはっきりと書くことです。遺族の方に故人とどういった関係の人だったのかなどわかるようにするためです。
香典については
・「香典を完全解説!意味・歴史・金額相場・書き方・包み方・渡し方を解説!」
・「香典の正しい書き方を完全解説!金額・表書き・中袋・のし袋の書き方を紹介!」
目覚まし(めさまし) の金額と相場(年齢・故人との関係・法要別)
香典の金額の相場は故人との関係性によって変わります。
両親:3〜10万円
兄弟・姉妹:3〜10万円
祖父母:1〜3万円
叔父・叔母:1〜3万円
甥・姪:1〜5万円
親戚:3千〜3万円
友人・仕事関係など:3千〜1万円
主に親等が近い、または日常生活において近しい親族が高くなります。
では、目覚ましの金額はいくらになるのかというと、故人との関係性で包む金額が変わりますが、一般的に1,000円〜3,000円と言われています。
香典の相場については
・「香典の相場を完全解説!故人との関係別・書き方・包み方・渡し方も紹介!」
・「葬式の香典を完全解説!マナー・金額相場・書き方・渡し方を紹介!」
菓子折りを目覚ましとして渡す場合
菓子折を直接目覚ましとして渡す場合にも同額程度の品物を渡しましょう。
お世話になった、また親しい間柄といって相場以上の金額を包んでしまうと遺族側が困ってしまう場合もあるので、3,000円程度までにするのが良いでしょう。
菓子折りの選び方
菓子折の選び方のポイントとしては、持ち帰ることを前提に選ぶ必要があるので、すぐに食べないことも考慮して、生ものや生クリームを使ったもの、冷蔵する必要があるものは避け、常温保存できるものを選ぶことが大切です。
日持ちしないものばかりが集まってしまうと当日に食べきれずに最悪処分しないといけない場合があります。
こうなってしまうと、「せっかくの厚意を無駄にしてしまった」という気持ちに遺族の方をさせてしまうかもしれません。
また、持ち帰らずにその場で頂くことも考え、切り分ける手間のかからない、個包装されたお菓子を渡す心遣いも必要です。
これをふまえていくつかおすすめする菓子折は以下の和菓子になります。
・せんべい
・まんじゅう
・羊羹
・どら焼き
・カステラ
・最中
もし、何を持っていけばいいのかわからない場合にはお店の人に相談して決めるのも一つの方法です。
目覚まし(めさまし)の入れ方
新札は使わない
香典のお札の入れ方と一緒になります。結婚式などでのご祝儀では新札を入れることが礼儀とされていますが、香典の場合は新札を使わないようにしましょう。
新札だと「あらかじめ用意していた」と思われてしまう場合があるからです。
そのような事態を避けるためにも、新札ではないが比較的綺麗なお札を用いるか、新札であれば一度折り目をつけるようにしましょう。また、香典袋に入れる前にお札の裏表を確認しましょう。
お札を入れる向き
みなさんがイメージしている通りだとは思いますが、人物が描かれている方が「表」人物が描かれていない方が「裏」になります。
香典袋に入れるお札の向きについては一般的に、袋の“表”に対して、お札は“裏”になるように入れます。
お札を裏向きに入れるのは、香典はお悔やみであるため「顔」を伏せるという意味合いであるとされています。お札の上下に関しては人物(顔)が下になるようにして入れましょう。
香典袋の中袋について
一つに香典袋といっても中袋・中包みがある場合とない場合があります。
中袋・中包みの役割としては一般的にお金を入れるために使われるとともに、中に入っているお金を外から見せないようにしたり保護したりするためにあると言われています。
しかし、必ずしも中袋・中包みが必要というわけではありません。香典袋が2枚重なっている状態を不幸の連続を連想させるから避ける地域もあるように、地域によって考え方が違います。
香典袋を準備する際に家族や知り合いの方に相談してみるとよいでしょう。
中袋がある場合のお札の入れ方
香典袋に直接入れるのではなく中袋に入れるのが一般的です。その際、中袋のおもてに対してお札の裏側になるように入れましょう。
中包みがある場合
中包みはお金を包む形になります。この際、折り目に沿ってお金を入れるようにすればいいのですが、この場合も中包みのおもてに対してお札が裏側になるように入れましょう。
中袋の書き方
また、中袋には金額・住所・氏名を記入しましょう。中袋の表側に金額、裏側に住所・氏名を記入しますが、香典の金額は改ざんできないように旧漢字で書くのが一般的です。
中袋がない場合には香典袋の裏側に金額・住所・氏名を書きます。書き方は中袋裏面と同じように書けば問題ありません。
香典の入れ方については
・「3分で分かる法事のお金の相場(香典・お布施):お金の入れ方と袋の書き方!」
・「香典金額の相場を完全解説!地域別の金額・書き方・包み方・渡し方も紹介!」
目覚まし(めさまし)を渡すタイミング
目覚ましは通夜の時にお持ちする通夜見舞いです。そのため、通夜の時に持参し、受付で渡します。その際には「目覚ましです」と一言添えて渡すと受付の方も対応しやすいかと思います。
目覚まし(めさまし)の渡し方
目覚ましの風習がある地域では、香典を渡す場所と目覚ましを渡す場所とで分かれていることもあります。
香典の後に目覚ましを渡す
目覚ましを包む場合には別で香典を包むことがほとんどです。香典と目覚ましの渡す順番ですが、受付が分かれている場合には香典の後に目覚ましを渡すのが一般的です。
袱紗(ふくさ)に包む
また、一般的な香典と同じく目覚ましを現金で渡す時には、熨斗袋を袱紗に包んで持ち歩くのがマナーです。
日本ではものを包む際に古くから用いられていたものといえば「風呂敷」ですが、袱紗は風呂敷を原型として発展したものになります。
先方の気持ちを大切に考え「喜びや悲しみを共にする」という日本特有の礼儀を重んじる中で、金封を裸で持ち歩くのは失礼と考えられているため袱紗を用いるようになりました。
袱紗(ふくさ)の色
慶事・弔事で使用する袱紗ですが、弔事で使用する場合は寒色系、紺色や藍色などの青系や緑、グレー、茶色など落ち着きのある色を選びましょう。
しかし、慶事と弔事で別々に袱紗を準備するのが面倒だと感じる人は両方で使える「紫色」を持っていると便利です。
袱紗(ふくさ)の包み方
弔事での袱紗の包み方は以下のようになります。
・袱紗を裏向きでおく
・その上に香典の表書きが読める向きで中心よりも右側におく
・右側を中に折り込む
・その後、下側→上側→左側を折って包みつめをさして留める
渡し方の作法
そして、受付で渡す際には以下のような作法で行います。
・お悔やみの言葉を述べる
・袱紗を取り出し、右手にのせて左手で開く
・反時計に回し香典を相手の正面に向ける
・袱紗をたたみ、両手で渡す。
香典、目覚まし2つある場合にでも1つの袱紗に包んでも構いません、くれぐれも袱紗に包まず香典袋のまま持ち歩くことのないように注意しましょう。
袱紗(ふくさ)が無かった場合はハンカチで代用
しかし、袱紗を持っていない、持っていたとしても普段使わないからすぐに見つけることができない、といった方もいるでしょう。
そんな時は「ハンカチ」で代用が可能です。その際、香典は不祝儀ですので紺・グレー・黒など暗めの色合いのものを使用するのがいいでしょう。
香典のマナーについては
・「葬式の香典を完全解説!マナー・金額相場・書き方・渡し方を紹介!」
・「香典を連名で出す場合は?香典を連名で出す際の書き方やマナー、注意点を徹底解説!」
目覚まし(めさまし)と香典の違い
香典は線香や花、抹香の代わりで故人の霊前等に備える金品ですが、目覚ましは遺族に対して渡す差し入れのような役割を持ちます。
目覚ましは香典の代わりにはならない
目覚ましが香典の代わりになることはないので、目覚ましを包む場合には別で香典を包むのがほとんどです。
目覚ましには基本的には香典返しはない
目覚ましは香典と違いお返しの必要が基本的にはありません。
香典をいただいた時にお渡しする香典返しはお通夜や葬儀でお供えいただいた金品(香典)へのお返しで、弔辞が滞りなく終えたことやお礼の気持ちを伝えるために送ります。
しかし、目覚ましの風習がある地域の葬儀社では通夜用返礼品(目覚まし用)といった形で葬儀社が返礼品を準備している場合もあります。
>>香典返しのマナーを完全解説!相場・時期・挨拶状・例文・品物も紹介!
香典の代わりに目覚ましのみはマナー違反
前述したように、目覚ましは香典の代わりにはなりません。
その為、香典を持参せずに目覚ましのみをお渡しするのはマナー違反になります。反対に、香典を持って行き目覚ましは持って行かないのはマナー違反にはなりません。
目覚ましはあくまでも、遺族に対しての「差し入れ」です。
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目覚まし(めさまし)に関する知識のまとめ
・目覚ましとは九州の一部地域にある風習のこと。
・香典と目覚ましは別々で準備をする。
・金額は1,000円〜3,000円であり、物を渡す場合も同額程度。
・目覚ましを渡すタイミングは葬儀の通夜の時に受付で渡す。
・袱紗に入れて持ち歩く
いかがでしたでしょうか。
目覚ましというのは限られた地域で行なっている葬儀における風習です。
亡くなった大切な人に「目覚めてほしい」と言った意味合いが込められていると言いましたが、「あなたも必ず死を迎える、あなたの人生は喜びが多いものですか?」と亡くなった人が皆に呼びかけており、残された人たちがちゃんと受け止め、「目覚めること」を故人は望んでいるのではないでしょうか。
大切な人が亡くなることは悲しいことですが、その方がなくなったことを通して改めて自分の人生を見つめ直すことに繋がるのかもしれません。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール