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法事・法要を完全解説!法事の種類・数え方・マナーを紹介

Jun 15 2020

多くの人は、親族の葬儀や法要を経験したことはあると思います。しかし、法事と法要の違いについて明確に答えることができる人は少ないのではないでしょうか?本記事では法事・法要の基本。法事・法要の種類や数え方、マナーや作法についても解説していきます。

多くの人は、親族の葬儀や法要を経験したことはあると思います。しかし、法事と法要の違いについて明確に答えることができる人は少ないのではないでしょうか?

本記事では法事・法要に関する基本情報だけでなく、法事・法要の種類や数え方、マナーや作法についても解説していきます。

法事とは?

法事・法要とは、どちらも亡くなった方の冥福を祈るために集まって行う仏式儀式のことです。

本来、通夜や葬式の後に行われる仏教の行事全般を意味します。本来、法事と法要は異なるものです。

法事と法要の違い

そして、法事とは「法要とその後の会食も含んだ行事全体」のことを指します。つまり、法事は法要も含んでいることになります。 

法要とは?

法要とは「故人の冥福を祈って供養をする行事」です。

僧侶に読経をしていただく法要をすることで、故人は極楽浄へ行くことができるとされています。法要とは故人を供養するために必要な儀式なのです。 

法要が行われる頻度

法要は、四十九日目まで七日ごとにあります。初七日(しょなのか)と四十九日を除いては遺族のみで営まれるのが一般的で、四十九日までは忌中(きちゅう)と呼びます。

喪中と忌中の違いは?

忌中とよく間違われる「喪中」という言葉があります。

忌中と喪中はどちらも故人の死を偲び身を慎む期間です。両者の違いは偲ぶ期間です。上記にもあるように忌中は四十九日ですが、喪中の期間は約一年間となります。

追善法要とは?

四十九日以降の法要は、故人の忌日に死後の世界である「冥界」での幸福を祈って行う法要を「追善法要(ついぜんほうよう)」と言います。

一般的に法要と呼ばれるのは、四十九日以降に行われる追善法要のことです。 

中陰法要とは?

仏教では、故人の魂が生まれ変わる期間が四十九日間とされています。この四十九日間の期間を中陰といい、この間に行われる法要を「中陰法要(ちゅういんほうよう)」と言います。「初七日(しょなのか)」「二七日(ふたなのか)」、「三七日(みなのか)」などがこれにあたります。

年忌法要とは?

年忌法要とは、年の節目に行う法事・法要のことをさします。

一周忌法要や三回忌法要などが年忌法要にあたります。

法事・法要の種類、数え方、意味

法要とは、故人が極楽浄土に向かう供養、と考えられています。宗教によって極楽浄土に行くタイミングが異なります。

例えば、浄土真宗では亡くなったと同時に南無阿弥陀仏によって極楽浄土へと導かれると考えられているため、浄土真宗での法要は、故人を偲んで、遺族や残された人々が仏の教えを聞く場として行われています。

仏教では人が亡くなった命日から数えて、7日ごとの計7回が忌日です。

仏教では、故人の魂は、49日間はこの世とあの世の狭間を成仏せずにさまよっている、とされており、遺族や遺された人が7日おきの閻魔大王などから裁きを受けるタイミングで法要を行い、来世の行き先が決まる49日目で極楽浄土に辿り着くようにすると考えられています。

計7回の裁きにあわせた法要は、「初七日(しょなのか)」から始まり、「二七日(ふたなのか)」、「三七日(みなのか)」…と順番に続き、最後に49日目にあたる「七七日(なななのか)」が来ます。

命日の100日後に「百か日法要」が営まれます。それからは「一周忌」、「三回忌」、「七回忌」と、「三十三回忌」まで法要が行われます。

 ここまでご説明した法要も「忌日法要(きじつほうよう)」と「年忌法要(ねんきほうよう)」の二種類に分かれ、忌日法要は百か日法要までのこと、一周忌以後の年の単位で行う法要を「年忌法要(ねんきほうよう)」と呼びます。

数え方ですが、亡くなった当日が命日で、その日を初日とします。西日本など地域によっては、命日の前日を初日と考えることもあります。

亡くなった年は、命日の翌年を「一周忌」とし、その翌年(亡くなってから2年後)を「三回忌」とします。

「初七日」法要

故人の魂は、三途の川へ7日目に辿り着くとされています。このときの裁きで、三途の川を渡る道(川の流れの試練)が決まるとされており、遺族は故人に苦労が少ないように法要を行います。僧侶による読経とお焼香や会食であるお斎(とき)を行います。

しかし現在では、葬儀の後に再度遠方の親族や友人・知人に集まってもらうことは負担が大きいため、葬儀の後に初七日を続けて行うことが多いです。

これを「式中初七日」と呼びます。

初七日についての詳細は『初七日とは?意味・数え方・お供え・お経・知っておきたい常識とマナー』もよく読まれています。

「七七日忌(なななのか)・四十九日(しじゅうくにち)」法要

ご逝去された日を含めて49日目になります。故人が極楽浄土に行けるように、遺族や親族、そして友人・知人も列席しての法要を執り行います。

葬儀同様に喪服を着用し、読経の後にはお焼香を全員で行います。

たくさんの人に集まって頂くため、休日での実施が多く、49日目が来る前に実施することが多いです。納骨はこの日に行うケースが多いです。

四十九日が終わると、故人の魂は極楽浄土へと旅立ちます。それにより、遺族は忌明け(きあけ)となり、通常の日常生活に戻ります。

また、最近多くみられる「偲ぶ会」は、四十九日法要の近辺で行われます。故人に縁のある方が集まって故人とのお別れをする会です。

決まった形式はなく、故人の好きだったものなどを用意し、その人らしいお別れのセレモニーとして準備します。

四十九日法要については「四十九日法要のお布施を完全解説!相場・地域・宗派を詳しく紹介!」の記事もご参考ください。

「百か日」法要

命日を含めて100日目に行われる法事・法要です。四十九日の審判で、故人は思いもよらない世界に行ってしまうことがあると言われています。

100日目には、再審が行われるとされ、遺族や親族の供養があれば救済出来ると言われています。

この法要は、遺族のみで場所は自宅で行うことが多い法要です。僧侶の読経やお焼香については省略され、仏壇に手を合わせます。 

「新盆(初盆)」法要

四十九日法要が終わって初めて迎えるお盆のことを「新盆(初盆)」と呼び法要を行います。

一般的には、親族だけではなく友人・知人、お世話になった方を招くことが多いです。 

時期は地域により異なり、7月13日~16日の場合と8月13日~16日の場合があります。49日よりも前にお盆を迎えた場合は、翌年が新盆になります。

少し早めに6月頃から新盆法要の準備である僧侶の手配や招待する方への案内、お料理、返礼品(引き物)の用意などを行います。

お盆の時期に僧侶は忙しくなるため、早めの連絡が必要です。

お盆については下記記事もご参考ください。
初盆とは?お供えは何を用意すべき?基礎知識やマナーを徹底解説!
初盆(新盆)のお布施を完全解説!金額相場・渡し方・マナーを紹介!
お盆(盂蘭盆会)とは?期間・意味・マナーを完全解説!

一周忌法要

故人が亡くなり満1年を迎える故人の亡くなった月日と同じ月日「祥月命日(しょうつきめいにち)」に行う法要です。

現代では、休日(命日の直前)に設定されることが多く、時間は午前中に行う場合が多いようです。

遺族や親族、親しかった友人・知人を招いて比較的大規模で行います。

告別式同様に喪服の着用で、御仏前を用意します。一周忌法要も僧侶の手配や参列者へのご案内など準備が必要です。

通常2~3ヶ月前から準備をはじめ、日程や参列者数が決まり次第、料理や返礼品(引き物)を手配します。

一周忌については下記記事もご参考ください。
一周忌とは?意味・香典・お布施・お供え・マナーを完全解説!
意外と相場がわからない!一周忌の香典の相場やマナーを完全解説!
親が死んだらすることは何?亡くなってから一周忌までを時系列順に解説!

三回忌法要

逝去して満2年の年の祥月命日に行います。知人や血縁関係の薄い方には声をかけず一周忌よりも少ない人数で行うことがあります。

一周忌の法要の時と同じような段取りをして営みます。 

三回忌については下記記事もご参考ください。
三回忌のお布施を完全解説!金額相場・書き方・渡し方・喪主・参列者のマナーを紹介!
三回忌とは?意味と施主と参列者が知っておくべき法事・法要のマナーとは?
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七回忌法要

亡くなった年から満6年を迎える年の法要です。三回忌同様に祥月命日に行います。

親族や知人を自宅にお招きするか、お寺での読経で執り行います。この法要を機に、葬儀の規模は縮小します。

七回忌の詳細は『七回忌とは?意味とお布施・香典の相場と出席マナーを解説!』もよく読まれています。

十三回忌法要

逝去から満12年の法要です。祥月命日に、自宅か寺院で執り行います。十三回忌以降は法要の規模が縮小され、これ以降は小規模にて行うことが多いとされています。

以降、十七回忌(亡くなって満16年)、二十三回忌(満22年)、二十五回忌(満24年)、二十七回忌(満26年)、三十三回忌(満32年)と続きます。

宗派によっては三十三回忌法要で弔い上げとなり、個人の位牌から先祖代々の合祀された位牌になります。そのため、三十三回忌法要までが一連の年忌法要と考えられています。 

>>亡くなった方の法事法要は「いつまで」行うことが多いの?

一三回忌以降の法要については下記記事もご参考ください。
【十三回忌】
13回忌とは?13回忌の準備から招待された場合のマナーまでを完全解説!

【二十三回忌】
23回忌とは?23回忌の準備から注意点まで徹底解説!

【三十三回忌】
33回忌(三十三回忌)とは?弔い上げの意味から33回忌に注意したいマナーまで完全解説!

その他の法事・法要

施餓鬼(せがき)法要

お盆時期に執り行われ、特定の先祖ではなく、有縁無縁の諸霊を供養するための法要です。菩提寺(ぼだいじ)に檀家が集まって営まれます。 

彼岸法要

この世とあの世が最も近くなると考えられているお彼岸の時期にご先祖様を供養し、仏様を讃えるために行われます。お寺の本堂で行うことが一般的ですが、お寺以外にも霊園が彼岸法要を主催する場合もあります。

亡くなってから初めてのお彼岸の場合は、お坊さんが個別に彼岸法要をしてくれることもあります。

還骨(かんこつ)法要

火葬が終わり、遺骨を持ち帰って行われる法要で、宗派によって「還骨勤行(かんこつごんぎょう)」など呼ばれます。

遺骨と遺影、線香、ろうそくを用意して供養します。

納骨法要

火葬された遺骨をお墓や納骨堂へ納める法要のことをいいます。四十九日の法要後にあわせて行われることが多いです。

お坊さんに読経してもらい、故人の魂を供養します。 

納骨については下記の記事もよく読まれています。
事前準備が不可欠!納骨式当日の流れと準備すべき内容を解説
納骨とは?納骨式の時期と準備・流れと費用を完全解説!
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開眼法要

開眼法要とは、墓石に魂を入れ安置する開眼供養のことです。別名で、入魂式、御魂入れ、御性根入れ、お精入れなどとも呼ばれ、お墓を新しく改装した場合にも行われます。

落慶法要

落慶法要とはお寺を新しく建てたときや修理が完了したのをお祝いする為の法要です。神社の場合には、落慶式と呼ばれます。

仏教以外(キリスト教・神式)の儀式

キリスト教では法事・法要と呼ばず、相当する儀式があります。カトリックでは「追悼ミサ」、プロテスタントでは「記念式」と呼びます。

本来の決まりはないですが、仏式同様に区切りの良い日や年に行われます。 

キリスト教

・カトリック

故人を追悼するミサは、教会や自宅にて、亡くなられた日から数えて3日目、7日目、30日目の昇天記念日と呼ばれる日に行われます。

遺族と親族や知人などを招待し執り行います。ミサの後は、故人を偲ぶ茶話会(さわかい)を催します。それ以降は、毎年の命日にあたる昇天日に追悼ミサを行います。

また、11月1日は「All Saints’ Day」という、全ての聖人と殉教者を記念する万聖節(諸聖人の祝日)です。

これは、仏教のお彼岸にあたるような日で、万聖節の翌日の11月2日は「死者の日」と呼び、亡くなられたすべての方を追悼するミサがあります。

お墓は掃除をしておき、ミサの後にお墓にお花をお供えします。 

・プロテスタント

プロテスタントの「記念集会(記念式)」は、自宅や教会などで、亡くなられた日から数えて7日目、10日目、30日目に執り行われます。

お祈りを捧げて、追悼の茶話会などをして故人を偲びます。

その後の定期的な会に決まりはないですが、教会や自宅で1年目、3年目、7年目の命日(昇天記念日)に記念式を行うことが一般的です。 

神道・神式

神道の法事・法要にあたる行事は、「みたままつり(霊前祭)(御霊祭)」と呼ばれています。一般的には行う日が決められています。

忌中の間は、神棚のお供えや参拝はせずに、お正月の参拝や門松なども控えて50日が経ったらこれらを解禁します。

仏教でいう仏壇に相当する「御霊舎(みたまや)」に御霊をお祀りします。仏教で言う位牌は「霊璽(れいじ)」と呼びます。

神道(神式)においては、神職者の祈祷のあと、玉串を捧げる儀礼「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」があり、これは仏教の行事におけるお焼香に相当するものです。 

神式については『神式葬儀の流れとは?仏式との違いや基本的なマナーについても解説』もよく読まれています。

十日祭

仏式の初七日にあたり、親族や友人・知人を招き、神職が祭儀を行います。

五十日祭

仏式の四十九日にあたり忌明けとされます。「清祓い(きよはらい)の儀」で忌中の間に神棚や御霊舎に貼っていた白紙をはがします。

その後、霊璽を御霊舎に移して祀る「合祀祭」を行います。 

百日祭

死後百日目に行われます。仏式の百か日法要と同様の行事です。

式年祭・祖霊祭

仏式の年忌法要にあたり故人の祥月命日に行います。

満年数で行い、一年祭、二年祭、三年祭、五年祭、十年祭、二十年祭、三十年祭、四十年祭、五十年祭、百年祭と続きます。

一般的には自宅での一連の祓い行事のあと、出席者には会食でおもてなしをします。

法事・法要を行うにあたって

日程・時間・場所の決め方、注意点

基本的には命日に行うものではありますが、参列しやすくするために集まりやすい休日に行うことが多いです。

命日ではない日に行う場合は、命日よりも前の日程に行うのが常識とされています。法事を行う場所は、自宅か寺院か葬儀会館などです。

自宅以外の場所を使用する場合は早めに予約が必要になります。

遅くとも一カ月前には準備を始める

法事を行う際は、会場やお寺の都合もあります。遅くとも一カ月前から準備を始めましょう。また、会場は日程の都合が合わない場合もありますので、複数候補を挙げておいた方が無難でしょう。

寺院の手配と注意点

法事の日程の準備で何よりも大切なのは、寺院への連絡になります。寺院の都合を配慮しながら日程や場所を決めましょう。

休日は他の法事などで忙しい場合が多いので、早めに連絡するのが良いでしょう。 

先祖代々のお墓を管理しているお寺を「菩提寺(ぼだいじ)」と呼びます。昨今は、お寺とのお付き合いも薄くなってきており菩提寺を持っていない方も多いです。その場合は僧侶を手配することもできます。

僧侶派遣はやさしいお坊さんでもご相談を受け付けております。追加費用が不要でお車代、御膳料、お心づけなども必要ありません。

 

僧侶手配については下記記事もご参考ください。
宗教者・お坊さんの手配の仕方とは⁉︎身内が亡くなった時・法事の時の宗教者手配方法

法事・法要の案内

会場を決めたら、法事・法要の案内状の準備を行います。往復はがきか返信用のはがきを入れた封書で案内状を送り出欠を伺います。

親族のみの場合であれば電話での連絡でも大丈夫です。

ある程度、人数が決まったら料理の手配を行います。お祝いの意味がある伊勢海老や鯛といった慶事用の食材は避けましょう。 

法要のお返し(引き出物・引き物)について

法要のお返し(引き物)の熨斗の水引は、黒白あるいは双銀の結び切りです。

不祝儀であるために、あとに残らないものを選びましょう。

遠方より足を運ばれる方がいらっしゃる場合は、重くてかさばるものは避けた方が良いです。

現代では、不祝儀専用のカタログギフトの利用も多くなっており、予算的には2千円~5千円ほどが相場です。

法事・法要の流れ

法事・法要の当日の流れについては、特に決まった形式や型はありません。典型的な当日の流れを解説します。 

お仏前には、僧侶が座る場所を用意します。遺族の席次は、故人との関係が深い人ほど前方に座ります。お仏前の中央の僧侶の真後ろには、施主(喪主)が着席します。

続いて、喪主により開始の挨拶を行い、僧侶がお経を読み上げ、お焼香は喪主から始め、前の方に座っている方から順番にお焼香を行います。

その後は、僧侶から法話を聞いて、僧侶退場となります。 

続いて、お墓参りを行います。(墓地が遠い場合は行いません。)お墓参り、もしくはお斎が済んだら、喪主による法事・法要の終了の挨拶を行います。

法事・法要の食事

法事・法要の後には、故人を偲ぶためや参列者へのお礼を兼ねた会食の席が設けられることがあります。

お通夜のあとの会食は「通夜振る舞い(つやぶるまい)」と呼ばれます。法要の後、列席者を招待して行なう食事(会食)をお斎(とき)と言います。

>>おとき(お斎)とは?意味とマナーと香典相場を3分で解説!

通夜振る舞い(つやぶるまい)とは?

通夜が終わった後、弔問してくださった方々に別室にて酒食をふるまうことを「通夜振る舞い」と言います。

お通夜の後は、通夜振る舞いで最後に故人との食事をともにするのが一般的です。遺族から通夜振る舞いへの案内をされたら、座ってお食事をいただきましょう。 

故人を偲んで思い出をお話しする場なので、節度を持ち、そして長居は禁物です。ただし、地域の慣習で通夜振る舞いがない場合もあります。

通夜のマナーについては下記の記事もよく読まれています。
お通夜のマナーとは? 服装や香典マナー、流れを喪主側参列者側で徹底解説!
お通夜の開始時間と所要時間は?流れ・遅刻する場合の対応方法!
意外と知らないお通夜の流れとマナー

お斎(とき)とは?

仏事においての会食のことをお斎(とき)と呼びます。通夜振る舞いの食事もお斎のひとつとなります。 

喪主は、僧侶や参列者に対する感謝の思いを示した席として準備をし、参列者全員で故人を偲びます。

お斎をおこなわない場合

お斎を省く際には、法要後に喪主が挨拶を行う時に感謝の旨を述べ、返礼品(引き物)をお渡しします。また、お坊さんがお斎に参加されない場合、「御膳料」をお包みするのが通例です。
>>御膳料とは?相場と渡し方と注意点とマナーを解説!

お斎で出される料理

お斎では、正式には精進料理を振る舞いますが、近年は形式へのこだわりもなくなり、ホテルでの食事や仕出し弁当など、列席者に合わせたスタイルが増えています。

ただし、お祝いのイメージがある鯛や伊勢海老などの食材は避けるようにしましょう。

お斎の席順

お斎には、法事と同様に席順があります。僧侶は、上座の中でも最も故人に近い席に座っていただきます。

僧侶の隣には喪主が座ります。その付近には親族以外の参列者に座っていただき、親族は末席です。

あくまで、参列者をもてなす席なので、僧侶と喪主以外は、故人との関係が近い人ほど下座に座ることがマナーになります。

なお、僧侶が参加されない場合は、親族が末席以外に決まりはありません。 

お斎の詳細は『おとき(お斎)とは?意味とマナーと香典相場を3分で解説!』がよく読まれています。

お斎の金額

お斎の相場は地域や出す料理によって変わってきます。

3千円~1万円程度のケースが多いです。法要を寺院で行った後にその場所でお斎を行う場合や、近くの飲食店、ホテルなどで行うパターンもあります。 

精進落としとは?

初七日法要の一連の法要が済んだところで、僧侶や世話役などの関係者の労をねぎらう精進落としの食事をします。

これは初七日の間は、精進料理を食べる習慣からきています。

元々は、四十九日の忌明けに精進料理から通常の食事に戻す際の会食を意味していましたが、現代では49日間も精進料理を食べ続ける習慣はなく、火葬後に初七日法要も併せて行われることが多いことから、葬儀後の会食のことを精進落としと言うようになりました。

僧侶や関係者をねぎらう宴席です。

法事・法要のマナー

法事・法要に参列する際には、どのような服装をしていったら良いのか、参列者が法事・法要に参列する際に準備するべきことを説明します。 

基本的なマナー

案内状を受け取ったら、すみやかに返事をします。

法事・法要の持ち物

当日、持参するものは、仏事で欠かせない数珠です。もうひとつ忘れてはいけないものが、供物または供物料です。

>>供物とは?意味と葬儀・法要での正しい贈り方と相場!

一般的に供物料として現金を包みます。不祝儀袋に入れて、表書きは、四十九日法要までは「御霊前」とし、四十九日以降の年忌法要においては「御佛前」です。

線香など供物を持参する場合にも、表書きは供物料と同様で、四十九日法要以降が「御佛前」となります。また四十九日の前後関係なく「御供」としてもよいです。 

法事の開始時間には遅れないようにし、大声で笑ったり騒ぐことは慎み、故人の供養に静かに集中し、途中で帰ることはしないようにします。

服装に関しての注意点

喪服は、正喪服・準喪服・略式喪服の3種類あります。

最も格式の高い正喪服は、喪主や遺族が葬儀・告別式で着ます。

その他の参列者は初七日から四十九日までの法事・法要の際は準喪服とよばれるもの、年忌法要においては略式喪服、または黒やグレーの服装です。

準喪服とは、男性はブラックスーツ(シングル・ダブルどちらでも問題ありません)、女性はブラックフォーマルになります。

略式喪服は、男性はブラック、グレー、濃いネイビーのスーツです。ストライプのスーツでも、柄が目立たない色味であれば大丈夫です。

原則、シャツは白、ネクタイやベルト、靴は黒色です。

女性は、基本的にダークカラーのスーツやワンピース、パンツスーツも可能です。

スーツの中のインナーも黒やダークカラーで、靴やバッグも黒に統一します。ストッキングは基本は黒、三回忌以降は肌色のストッキングでも問題ありません。

法要に履く靴は、飾りのない落ち着いたデザインで、エナメルは避けてください。案内状に「平服で」とあっても、派手な服装やカジュアルな服装はNGです。

弔事についての不明点や疑問はやさしいお葬式から24時間365日無料相談も承っています電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。やさしいお葬式では葬儀の見積もり、遺影写真、参列者のリストアップなど事前準備をおすすめしています。葬儀の作法や服装などについてもご相談できます。

法事・法要に関するお金について

1,お布施・御車代・御膳料

法事・法要にあたり寺院・僧侶に「お布施」をします。

自宅や会場まで僧侶に来てもらう場合は、「御車代」を、僧侶にお食事の用意をしない場合は「御膳料」もお渡しします。

>>御膳料とは?相場と渡し方と注意点とマナーを解説!

お布施の相場

お布施の金額に明確な決まりはありませんが、法要の種類によった一般的な相場にあわせるのが得策です。 

お布施の相場についてですが、一般的に3万円〜10万円です。法要の後の会食に同席していただく場合には、御車代として5千円~1万円を渡します。

出席をされない場合は御膳料をお渡しします。

四十九日法要でのお布施

四十九日法要でのお布施は地域、宗派、お寺との関係性で異なりますが、相場が3万円~5万円です。

一周忌法要でのお布施

一周忌法要のお布施は、3万円~5万円、それ以降は1万円~5万円です。三回忌の場合には一周忌と同じ額をお包みすることがあります。 

お布施のマナー

お布施の封筒の表書きは、一般的に濃墨を使います。法事・法要の際のお布施のお札は、新札でも古いお札どちらでも失礼ではありません。 

ただし、汚れが付いているお札やあまりにも汚いお札は避けましょう。

また、封筒を直接渡すのではなく、お盆に載せた状態や袱紗(ふくさ)で包んで僧侶へお渡しするように配慮しましょう。

お布施の渡し方とタイミング

法要の際は、僧侶が退場される時に、お布施・御車代・御膳料をお渡しします。僧侶がお斎に参加される場合は、お斎の終了後にお布施と御車代をお渡しします。

お布施の詳細は下記の記事もよく読まれています。
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2,法事・法要に関する会食

参列者へのお礼を兼ねた会食は、飲食を楽しむためではなく、亡き人を偲んだり、法話を聞くなど、お互いに語りつつ会食する、すなわち仏様と仏弟子が食事をともにするイメージの仏事のひとつです。

列席者が決まったら会食の手配をします。

法事・法要会場、または食事のできる場所で行う場合もあれば、自宅や寺院での会食で仕出し業者などに料理を運んでもらうこともあります。 

レストランや仕出し業者には「法事」ということを伝えて、祝い事で使用する食材は避けてもらいましょう。

会食代の相場です。仕出し料理は3千円~1万円、ホテルや飲食店の利用ですと5千円~1万2千円です。ほかに飲み物代金がかかります。 

3,引き出物・引き物

参列者への品物です。

近年では結婚式など慶事での手土産を「引き出物」、仏事の場合は「引き物」というように使い分けることが多いですが、どちらの場合も「引き出物」と言うのは間違いではありません。

熨斗は、香典返しや法事の引き物には「志」、法事は「粗供養」・「忌明志」を使うことが多いです。

一般的に、関東では「志」や「粗供養」、関西は「満中陰志」の表書きを使用することが多いようです。

引き物を用意する際の注意点

仏事の引き物は残らない消耗品(お茶・海苔など)が定番でしたが、今は特に決まりはありません。

とはいえ、消耗品や日常の実用品などが主流です。法事に来ることができなかった方からお供物料などを頂いた場合は別でお返しをします。

発送する際には、お礼状を同封するとより丁寧です。

引き物の相場

包んで頂いた金額に応じてでもありますが、2千円〜5千円くらいのものを用意します。 

4,お礼状

お礼状には、お忙しい中で法事・法要に参列してくださったこと、お手伝いなどに感謝をあらわします。

参列者だけではなく、親族や友人・知人などへも、お供物料やお花を頂く都度、お礼状を送付することもマナーです。

お礼状の注意点

お礼状は基本的には縦書きで、「句読点と繰り返し言葉を使用しない」ことがマナーです。

繰り返し言葉がNGな理由は不幸を繰り返さないという意味です。句読点には文章を止める意味があります。

そのため、法事・法要に関係する文章では句読点を打たないことで行事がスムーズに進むようにという意味があるのです。 

お礼状の文例

「拝啓」ではじめ文末は「敬具」でしめます。内容は、来ていただいた感謝の意を相手に伝える内容にします。四十九日法要の例文です。 

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拝啓

  故(亡)【続柄】【名前】儀 四十九日法要に際しましては 御多用中にもかかわらず足をお運びいただき 心より厚く御礼申し上げます

つきましては一々拝趨の上御礼を申し上げるべきところではございますが 略儀ながら書中にて御礼申し上げます

敬具

令和○○年○○月○○日

住所・名前

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文中の「拝趨」は急ぎ出向くことをへりくだっていう言葉です。

「略儀ながら~」は直接お礼をお伝えするべきところを書面でのご挨拶となることへのお詫びの旨になります。 

香典やお供えを頂いた場合には、頂いた金額に応じたギフトなどを引き物(香典返し)とし、お礼状も添えて1ヶ月以内に郵送します。

先にお礼状だけを送る場合は1週間以内に送りましょう。

一般的な例文です。

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故(亡)【続柄】 【名前】儀 【〇回忌など】法要に際しましては 御繁盛中にもかかわらず御厚志を賜り心より厚く御礼申し上げます

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親しい方には、電話やメールでも問題はありませんが、お礼状は丁寧な印象となるので用意することをおすすめします。

法事・法要に参列する時に準備するもの

法事・法要に参列する時に準備するものは「香典」・「供物」・「数珠」です。

香典

香典の相場

香典の金額に決まりはありません。一般的な相場で準備をしましょう。法要だけか、会食であるお斎に参加するのか、故人との関係、年齢に応じて金額は異なります。

まず、故人と友人・知人であった場合、法要のみは5千円~1万円程度が相場となります。会食に参加する場合は、1万円~3万円でしょう。

故人と血縁関係だった場合、法要のみ1万円〜3万円、会食ありは2万円~5万円が相場です。

また、友人同士または夫婦の場合は、予定の金額×人数分が礼儀です。もしも、故人が親戚で、夫婦連名で持参する場合は1人分の金額でも問題ありません。

>>香典を連名で出す場合は?香典を連名で出す際の書き方やマナー、注意点を徹底解説!

香典(不祝儀)で避けた方が良い金額は、割るや切れるをイメージさせる「偶数」、そして死や苦をイメージさせる「九」は縁起が悪いとされています。

ただし、例外として2万円は認められていることが多いです。

香典の表書き

香典の表書きには「御香典」、「御佛前」、「御香料」と書きます。神道の場合は「玉串料」、キリスト教の場合は「御花料」です。

プロテスタントで追悼ミサに参加する際は「献花料」または「弔慰料」と表書きした香典袋を使います。

いずれの場合も、水引は黄白・白黒・双銀で、文字は葬儀や四十九日までは薄墨、四十九日以降の法要では黒の墨でも問題ありません。

当日、受付がある場合は、記帳をして香典を差し出します。受付がないような小規模な法事・法要の場合は、お悔やみの言葉とともに喪主に手渡します。

香典の注意点

香典袋の中には、中袋(中包み)を入れます。表には、縦書きで金額を記載しましょう。

数字は漢数字を用います。千の字は「千」もしくは「阡」、万の字は「万」もしくは「萬」です。漢数字は、一(壱)、二(弐)、三(参)と記載します。

中袋の裏には、遺族側が香典返しをしやすいように郵便番号・住所・氏名を記載します。 

紙幣の向きは、中袋の表面に紙幣の裏面が来るように、裏面に向けて入れます。明細は横書きでも問題ありません。

香典の詳細は下記の記事もよく読まれています。
<香典の書き方>
香典の正しい書き方を完全解説!金額・表書き・中袋・のし袋の書き方を紹介!
香典袋の正しい書き方を完全解説!表書き・中袋・名前・その他のマナーも紹介!

<香典の相場>
香典金額の相場を完全解説!地域別の金額・書き方・包み方・渡し方も紹介!
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供物(くもつ)

供物とは、「供花(きょうか)」や「お供え物」のことを言います。お供え物を持参する場合には、前もって主催者側に持参することを連絡しておきましょう。

お供え物だけで香典を持参しないのはマナー違反です。お供え物と香典を持参する場合、香典の相場である5千円以上を用意するのが礼儀となります。

供花はフラワーアレンジメントなどが一般的です。

祭壇の脇を華やかにし、故人を偲ぶことができます。供花札を立てることやメッセージカードを添えることもできます。

費用は5千円〜1万円くらいが相場となります。お供え物には、線香やお菓子、果物、飲み物などが一般的です。お菓子の場合は、日持ちのするものを選ぶのが良いでしょう。

供物については「供物とは?意味と葬儀・法要での正しい贈り方と相場!」の記事もご参考ください。

供花については下記記事もご参考ください。
知らないと恥をかく!供花の手配方法や相場を徹底解説!
供花の手配方法!供花の意味と費用相場と宗教ごとのマナーを紹介!

数珠

法事で必要になるのは数珠です。数珠は、数珠は本来その人のお守りとなるもののため、家族や他人のものを借りることはよろしくありません。

そのため、ご自分のものを用意しておくのがよいでしょう。 

数珠の種類

数珠には、本式数珠と、略式数珠があります。基本的に、数珠の玉の数は、人間の煩悩をあらわす108個、各宗派に決まりのある正式な数珠を本式数珠と言います。

それに対し、玉の数や種類の決まりはなく、どの宗派でも使用することが出来る略式数珠があります。

一般的な葬儀、法事では、略式数珠を持っていれば問題なく対応できます。

数珠の素材や色、サイズ

また、数珠の玉の素材や色には、様々な種類がありますが、特にこだわらずご自分のお好みのもので問題ないでしょう。

ただし、男性用と女性用があり、女性用の数珠は、大きさによってサイズが分けられています。

手の大きさに個人差があるので、数珠の輪の大きさや玉のサイズを購入の際に相談すると良いです。 

数珠の使い方

数珠の使い方について2種類の方法を説明します。1つ目は、数珠を左手にかけ、右手を添えるように合わせます。

もう一つは、合わせた両手にかけて親指で数珠を軽く押さえて、合掌します。

上記の方法で、焼香の際には数珠を手に合掌礼拝をしたり、墓前や仏前での合掌をするようにします。

どのような素材の数珠も使った後には、柔らかい布などで軽く拭きましょう。

薬品を使うこと、水洗いは避けてください。また、保管の際には数珠袋や桐箱、紙箱に入れるようにしてください。

法事・法要での挨拶

法事・法要の当日は、喪主の挨拶のタイミングは多々あります。挨拶はできるだけ簡潔に、1~3分以内が目安となります。

内容は、故人の冥福を祈り、別れを告げる最後の言葉、そして遺族の代表として参列してくださった皆さまへ感謝の気持ちを伝えます。

挨拶については、法要やタイミングにより様々です。

大切な人を亡くしたばかりでの挨拶は、負担にはなりますが、メモを見ても問題ないのでゆっくりと自分のペースで話すことがポイントです。

法事・法要の挨拶のマナー

挨拶では縁起の悪さを連想させる忌み言葉などは禁句です。

不幸が重なる事を意味する「重ね重ね」「ますます」「わざわざ」や、不吉なイメージの「消える」や、生死に直結する「死亡」「急死」などが忌み言葉にあたります。

また、宗教によっては注意したい言葉があります。

キリスト教式の「空の上から見守っている」は仏式葬儀ではあまり使わない表現です。

浄土真宗やキリスト教式では、仏式葬儀の「冥福を祈る」は使いません。キリスト教式では「安らかでありますように」と言います。

お通夜での挨拶

僧侶を迎える前に、お手伝いをお願いしている方への内輪の挨拶から通夜の段取りが行われます。

「初めてのことで行き届かない事が多いかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。」とひとことお伝えしましょう。

僧侶をお迎えする時

ご挨拶をするのと、祭壇周りが正しいかどうか?を確認し、通夜の進行についても打ち合わせをしておきましょう。

また、受付では来ていただいた方に「お忙しいところ、本日はありがとうございます。」などお礼を述べます。 

通夜の終了時

僧侶が退場をしたら、喪主の挨拶となります。遺族代表として祭壇前に立ち、お越しいただいた方々に向けて挨拶を行います。

通夜の終了の挨拶では、5つのポイントを入れると良いでしょう。

まず「参列のお礼」、「逝去した時の様子や、その時間と年齢」、「故人の死について自分の気持ち」、「通夜振る舞いへの招待・ご案内」、そして「葬儀や告別式についての案内」です。

一般的な文例です。 

「本日はお忙しい中、【続柄】【名前】のためにお越しいただき、誠にありがとうございました。

父はむかしからお酒が大好きで、毎晩のように楽しく晩酌をしていました。

当日も上機嫌で晩酌をし、いつも通り11時には就寝をして、そのまま眠るように息を引き取りました。

享年85歳でしたので、若いころは仕事に一生懸命取り組み、晩年はゆったりと趣味の水墨画と晩酌を楽しみ、幸せな人生だったと信じております。 

皆様の生前のご厚誼(こうぎ)に感謝を申し上げます。 

生前の父の話をぜひお聞かせ願えればと思い、ささやかなお食事を用意いたしましたので、ぜひお召し上がりください。

なお、葬儀・告別式は明日の午前11時より、こちらの斎場にて行います。どうぞよろしくお願いいたします。 

本日は誠にありがとうございました。 」 

通夜振る舞いの開始時と終了時

通夜振る舞いでは、開始の挨拶の際に、献杯を他の方にお願いする事もあります。

開始の挨拶の一例です。

「皆様、お忙しいところ、父のためにお時間を作っていただき、まことにありがとうございます。

父もさぞかし喜んでいることと思います。

賑やかなことやお酒が大好きだった父なので、皆様も楽しんでいただければと思います。

ささやかな席ではございますが、始めさせていただきます。

○○様、献杯のご挨拶をお願いできますでしょうか?」

献杯の挨拶については、のちほど紹介します。 

通夜振る舞いの終了時の挨拶は、長引かないように、そして葬儀・告別式の告知を再度して、丁寧にお見送りをしましょう。

「皆様、本日はまことにありがとうございました。

遠くからお越しいただきました方もいらっしゃいますので、これにて終了とさせていただきます。

なお、明日の告別式は午前11時から、こちらの斎場でおこないます。

ご都合がよろしければ、ご会葬頂ければ、と存じます。

本日はありがとうございました。

皆様、どうぞ足元にお気をつけてお帰りください。」

葬儀・告別式での挨拶

通夜と同様に、お手伝いの方への挨拶や、僧侶・ご参列者を迎える際に挨拶をしましょう。 

告別式では、出棺時に参列者に対して挨拶がある場合や、精進落とし(遺骨法要後の会食)の開始と終了の挨拶も行うこともありますが、必ず行うのは、告別式終了時の挨拶です。

参列者に対して、ご足労いただいたことへのお礼と、法要を行うことの2点について手短に述べましょう。 

葬儀・告別式の終了の時

告別式の終了前に喪主が簡単な挨拶をします。葬儀の規模が大きい時や、すでに火葬が済んでいる場合は、出棺時に喪主挨拶が行われることもあります。

基本的な挨拶の基本的な例文はこちらです。

「本日はお忙しいところ、【続柄】【名前】の葬儀にご会葬くださり誠にありがとうございます。

皆様から心のこもったお別れの挨拶を賜り、故人も喜んでいると存じます。

生前中はご厚情(こうじょう)をたまわり、厚く御礼申し上げます。

私どもは未熟ではありますが、精進していく所存でございます。

今後とも故人同様、ご指導、ご鞭撻(べんたつ)をお願い申しあげ。ご挨拶に代えさせていただきます。

本日は誠にありがとうございました。」

喪主が故人の子供の場合は、挨拶には父や母への思いや、幼い頃のエピソードを盛り込み、これからは家族を自分が守るという決意表明などが適しています。

最初に自己紹介から始め、幼いころのエピソードから集まってくださった方への感謝に繋げるとスムーズです。 

「遺族を代表いたしまして、皆様にひとこと、ご挨拶を申し上げます。わたくしは、故人【名前】の長男【名前】でございます。

本日は、ご多用にもかかわらず、ご会葬・ご焼香をたまわりまして誠にありがとうございました。

父は、まじめで仕事第一に生きた人間でした。忙しい中でも家族と一緒に過ごす時間も大切にし、毎年家族旅行を企画してくれるような楽しく、心の温かい人でした。

【思い出を盛り込みましょう】

生前は、家庭内以外での父を知る機会はありませんでしたが、本日多くの方々に父との別れにお集まりいただきましたことを有難く思います。

皆さまの生前の父へのご厚情に、心よりお礼を申し上げます。

父がいなくなりまして寂しくなりますが、遺された家族一同で助けあっていきたいと思いますので、どうかこれからも変わらぬご支援・ご指導のほどよろしくお願い申しあげます。

本日は、本当にありがとうございました。」

会食時の挨拶

精進落としの時や、法事のお斎の中で行われます。会葬のお礼と、食事会の開会にあたりひとことの挨拶の代表例を紹介します。

「本日はお忙しい中、亡き【続柄】の【1周忌法要】にお越しいだだきましてありがとうございました。

【続柄】もさぞかし安心してくれたと思います。

おかげさまで【一周忌法要】を滞りなく済ませることができました。

これより、短い時間ではありますが、皆様と一緒に【続柄】を偲びたいと思います。

まず、はじめに【続柄】の【40年来の友人である◯◯】様にひとことお願いします。」

※親族もしくは故人の友人代表に、「献杯の言葉」を依頼しておきましょう。

喪主または遺族の代表が、献杯の挨拶を依頼した人を紹介します。依頼された人は、故人との思い出など簡単に話して最後は「献杯」と言って、皆で静かに献杯をします。 

喪主が「どうぞお食事を召し上がって下さい」などの言葉で食事をすすめ、会食が始まります。頃合いをみて、喪主が終了の挨拶を行います。

「皆様、本日はお忙しい中、最後までお付き合い下さいまして、本当にありがとうございました。これにてお開きとさせて頂きたいと存じます。

どうかこれからも変わらぬご支援のほど、よろしくお願い申しあげます。

本日は誠にありがとうございました。 」

喪主は、挨拶をする機会が多くなりますが、まずは参加頂いた方へのお礼の気持ちを伝えること、そして個人への思いを素直に言葉にのせて挨拶をしましょう。

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法事・法要についてのまとめ

もともとは、釈迦の教えを知るために集まる席のことを「法要」・「法事」と呼んでいました。

ただ、現代の法事・法要は、それを営む人のためのものでもあります。

人の死は、生きている私達には切り離せない、やがては必ず自分自身が死に向き合うことに気付く場でもあると言えるでしょう。

亡くなられた方が、最後にそのように生きている私達に気付きを与えてくれ、普段は会う機会の少ない親戚や、故人の知人・友人に会う機会を設けてくれているのかもしれません。

事前に流れを確認しておくことで、滞りなく法事・法要を執り行うことができ、さらに出席者も安心して参加することができます。

しきたりや最低限の作法を守り、心や気持ち、そして故人やご先祖への想いを大切にして臨んでください。

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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