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老衰とは?近年増えつつある老衰死について、その意味や前兆、老衰への備えを徹底解説!

最近では人が死ぬ要因の中で老衰が増加傾向にあることをご存知でしたか?

老衰は病気や事故ではなく、加齢による身体機能の低下が原因の自然死の事を指します。

高齢化社会や医療科学の進歩により、元々は少なかった老衰が増えてきていることにより、老衰を迎えることに対して備えなければいけないことや考えておくべきことなどが浮き彫りになってきました。この記事では、老衰の定義や老衰の備えなどについて詳しく解説していきます。

老衰とは?

老衰とは病気や事故などではなく、加齢による自然死を指します。

日本では高齢化社会や医療科学の進歩など、様々な要因により老衰で亡くなる方が増加傾向にあり、これまで以上に注目されつつある死因の一つです。

ここでは老衰の定義や一体何歳から老衰扱いになるのか、現代社会における老衰の考え方などについて詳しく解説していきます。

老衰については下記記事もご参考ください。
老衰とは?近年割合が増えている老衰の定義や前兆について完全解説!

老衰とは一体何なのか?

老衰とは、病気や事故などの要素ではなく、加齢による心身の機能低下などによる自然死のことです。

老衰では体がどんどんやせ細っていき、看取る側からの視点では「苦しくないだろうか」、「辛くないだろうか」などの不安や心配が募ってしまうと思いますが、体全体の機能が低下していくため苦しむ時間が少ないとされています。

老衰の定義

また、厚生労働省の「平成30年度版死亡診断書(死亡検案書)記入マニュアル」によると下記のように定義づけられています。

・老衰は高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ用います。

仮に老衰が進んでいても、直接の死因が他の病気であればそちらの病名が死亡診断書に記載されることになります。

そのため、患者を看取った医師が死亡診断書に書いた病名が老衰であれば、そのまま老衰として診断されます。

何歳から老衰になるのか?

実は何歳以上から老衰での死亡扱いになるかどうかについて、明確に定められていません。厚生労働省の資料によると、男女の平均寿命は80歳前後とされています。

令和元年簡易生命表_1 主な年齢の平均余命」によると、2019年の男の平均寿命は81.41歳、女の平均寿命は87.45歳となっています。

そのため、老衰の多くはこの平均寿命である80歳をボーダーとしていることが多く、平均寿命を超えた状態で、病気や事故などの死因以外で自然死だと認められる場合に老衰と判断されるようです。ただし、あくまでも医師の判断によるものということを認識しておきましょう。

老衰死の現状

厚生労働省が発表している「平成30年(2018)人口動態統計(確定数)の概況」によると、死亡数が136万2470人で死因の1位が悪性新生物(ガン)で 373,584人、2位が心疾患で208,221人、3位が老衰で109,605人となっています。

つまり、2018年に死亡した人数の約8%が老衰によるものだということになります。

ちなみに平成29年(2017)では、死因の老衰は4位となっているほか、2009年では5位で38,670人が老衰による死亡だと判断されており、わずか10年前後で老衰は約3倍にも増えており、だんだんと増加傾向にあるということが分かります。

社会で許容されつつある老衰死

2018年・2019年の2年連続で三大死因となった老衰ですが、理由としては超高齢化社会によるものや医療科学の進展などが考えられています。

医療科学の進歩により、今まで手の施しようが無かった病気などに対して完治させたり進行を遅らせることができるようになっていきました。 

そのほかにも医療制度の充実によって治療を受ける負担の減少が図られていたり、行政などによる健康診断によって早期発見が行える体制が強化されたなど、様々な要因が考えられます。

このように、あらゆる要因によって老衰を迎える方が増加傾向にあるため、今後はより社会に対する認知度も合わせて増えていき、許容されていくことが考えられます。

老衰の前兆

老衰の前兆としては体の様々な機能の低下が始まります。特に筋肉や内臓機能の低下から、体重が減少する、身体能力が低下する、寝る時間が増える、の3点が挙げられます。それぞれの現象について詳しく見ていきましょう。

体重が減少する

年齢を重ねるにつれ、胃や腸などの臓器の機能は低下していきます。

そのため、今まで通り食べ物を摂取することが難しくなり、少しの食事で満腹になってしまうほか、栄養の吸収効率が悪くなっていきます。

また、噛む力や飲み込む力なども低下していくため食事をとること自体が億劫になってしまうこともあります。そのため、だんだんと食事の量が減っていき体重が減少していきます。

身体能力が低下する

全身の筋肉量が低下していくため、疲れやすくなり歩く距離や運動量が減少していきます。

そのため、凹凸がない場所でもつまずいてしまったり、階段などの段差の上り下りだけでも疲れてしまうことで、より身体能力が低下していきます。

寝る時間が増える

体重の減少および身体能力の低下によって、体を動かすことが減るため横になっている時間が増えていきます。

さらに、神経細胞の減少などにより脳機能が低下。脳が疲れやすくなるほか、意識障害や覚醒時間の短縮などから寝る時間が増えていきます。

このことにより、さらに体の機能が低下していくことに拍車をかけていきます。 

老衰と密接な「終末期」とは?

老衰と密接な関係を持つ「終末期」という言葉をご存知でしょうか?終末期とは病気や老衰で、治療による回復が望めない場合の余命期間を指します。

終末期の定義

具体的には厚生労働省が2007年に制定した「終末期医療に関するガイドライン」では、下記の3点が終末期だと定義づけられています。

1:複数の医師が客観的な情報を基に、治療により病気の回復が期待できないと判断すること

2:患者が意識や判断力を失った場合を除き、患者・家族・医師・看護師等の関係者が納得すること

3:患者・家族・医師・看護師等の関係者が死を予測し対応を考えること

終末期の治療をターミナルケアと言う

また、この終末期に関する治療を「ターミナルケア」と言います。

ターミナルケアでは病気だけで無く老衰などで余命がいくばくかの人に対して、余生を心置きなく過ごせるよう満足した最期を迎えることを目的とした治療です。

このターミナルケアを行うタイミングや可否については患者や家族の意思によるもので、かつターミナルケアを行うということは延命治療をストップすることへ直結するため、重要な意思決定になります。

リビング・ウィルとは?

この意思決定をする上で重要なことが「リビング・ウィル」というもので、生前のうちに自分の意思を文書として残しておくことです。

リビングウィルでは人工呼吸器や薬剤の投与について、病状などによって継続するのか中断するのかを事前に決めておきます。

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老衰への備え

ではいざ老衰になった時に備えるためには、何をしておくことが大切なのでしょうか。基本的に老衰状態になると、自分での意思決定などが難しくなってしまうことがほとんどです。

そのため、老衰への備えとして重要なことは「伝えるべきことは、伝えられるうちに伝える」という点と「最後の過ごし方を話し合う」という点です。

それぞれについて、ここで詳しく解説します。 

伝えるべきことは、伝えられるうちに伝える

老衰を迎える場合、点滴などをしない状態で食事などを摂取できなくなってから一週間程度だと言われています。

そうなってしまうと、意識が朦朧としていたり意識レベルの低下により、家族へ伝えたいことを伝えることができない状態へ移ってしまう可能性が高いです。

なので、自分の意識が正常な状態のうちに、伝えるべきことは、伝えられるうちに伝えましょう。 

エンディングノートを作成しておく

もしものときを考えて、終活の一環として「エンディングノート」を作成しておくのも良いでしょう。

エンディングノートとは、自分の老後や死後のこと、お葬式やお墓についての希望などについてまとめておくノートのことです。

特に記載にあたってのルールなどはないので、自分の希望だけでなく、家族に対してのお礼の言葉などを記載しても問題ありません。ただし、遺言状とは異なり法的拘束力を持つものではないので、財産の管理や相続関係などについては記載しないようにしましょう。

もし記載してしまうとトラブルを招く恐れがあります。

エンディングノートについては下記記事もご参考ください。
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最後の過ごし方を話し合う

病状や体調が悪化した場合、人工呼吸器や人工透析などの延命治療を行うかどうかなどの意思確認を事前に行っておくことは大切です。そのほかにも自宅で最期を迎えたいのか、それとも病院なのかなども重要な選択です。

人が亡くなる場所は病院がほとんどですが、今では訪問看護や訪問診療などが発展してきているため、比較的在宅での治療を受けることが可能になってきていますので、選択肢としては可能です。

アドバンス・ケア・プランニングとは?

このように自分の人生の最期をどのように迎えたいか、過ごしたいかについての家族会議のことを「アドバンス・ケア・プランニング」と言います。

家族に対して自分の死の直前などについて話し合うことは難しいかもしれませんが、事前に話し合っておくことでお互いにすれ違いが起きないよう希望の最期を迎えることができるようになります。

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老衰についてのまとめ

ここまで老衰の定義や前兆の他に、老衰への備えなどについて詳しく解説してきましたがいかがだったでしょうか?

ここでは今までの内容をわかりやすく箇条書きでまとめていきます。

・老衰とは、事故や病気などではなく加齢に伴う自然死のことである。

・老衰は年齢で明確に決められているわけではない。しかし、日本の平均寿命である80歳以上が目安になっていることが多い。

・老衰は2018年と2019年共に死因3位となっている。また、2009年には38,670人ほどだったが、現在では約3倍まで増加している。

・老衰の増加要因としては、高齢化社会や医療科学の進歩の他に、様々な社会要因が考えられる。

・老衰の前兆として、体重の減少、身体能力の低下、寝る時間が増えるという3つの点があげられる。

・老衰と密接した関係にある言葉には「終末期」というものがある。終末期とは治療による回復が見込めない場合の余命期間である。

・老衰への備えとしては、事前に最後の過ごし方を家族と話し合っておくことと、もし伝えたいことがあれば伝えられるうちにしっかりと伝えておくことである。 

このように、最近では老衰で亡くなる方が増えてきており、まだしばらくはこのまま増加傾向にあるかもしれません。

そのため、事前に老衰に対する知見を深め、お互いに最良の方法で最期を迎えられるような用意ができるようにしておくと良いかもしれません。

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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お葬式セミナー講師
エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。