【もし大切な人が余命宣告されたら】後悔しないための4つのポイント
「大切な人が余命宣告されたら、どうすればいいの?」
「間違えた行動をとって傷つけたくない」
「後悔しないために、何ができるの?」
こうした悩みを抱えていませんか?
余命宣告をされた本人に限らず、その家族や大切に思っている友人たちは、気持ちが引き裂かれるような出口が見えない大きな絶望で、気持ちばかり焦ってしまいますよね。
しかし、余命宣告がされたからといって、必ずしも寿命が決定したわけではありません。
なぜなら、余命宣告とは、医師が過去のデータから予測した統計上の目安に過ぎないからです。実際、「余命1年」と宣告されても3年以上長生きした方や、治療を行いながら5年以上生きた方もいます。
気持ちを整理しながら、以下4つのポイントを順番に把握することで、今後の余生を後悔せず一緒に送れるようになるでしょう。
1.慌てず冷静な行動を心がける
1.本人への告知は慎重に行う
2.声かけや接し方には十分配慮する
3.支える家族も無理をしない
2.心療内科や臨床心理士などの専門家のサポートを受ける
3.今後の治療方針について検討する
1.セカンドオピニオンを受ける
2.完治を目指す治療
3.延命治療
4.緩和ケア
4.備えておきたい4つの準備
1.高額医療費制度の検討
2.保険内容の確認
3.相続の準備
4.葬儀の準備
本記事では、「余命宣告とは何か」を説明しながら、今の気持ちを整理し、今後行わなければいけない治療法を含めた選択肢や準備するべきこと、後悔しないための4つの行動や注意点も合わせて紹介します。
余命宣告された場合、自暴自棄になったり、周囲の声すら「他人事だと思って」と聞き入れられなかったり、ネガティブな感情になってしまうのも当たり前です。
しかし、少しでも「何ができるのか」「何がしたいのか」を明確にしておくことで、後悔しないための行動ができます。頭の整理を行うためにも、ぜひ最後まで読んでください。
もし大切な人が余命宣告をされたら行うべき4つのこと
自分が何をしなければいけないかを、行うべき順番に紹介していきます。
大切な人が余命宣告をされたら、突然のことに戸惑いながらも、冷静になろうとして「今後どうすればいいのか」と考えるでしょう。
しかし、全てをまとめて考えてしまうと正常な判断ができず、ただ考えるだけで行動に移せません。
以下、順番に読み進めることで、気持ちの整理にも繋がり「今後何をしなければいけないか」を理解できます。
【行うべき4つの順番】
- 1.慌てず冷静な行動を心がける
- 2.心療内科や臨床心理士などの専門家のサポートを受ける
- 3.今後の治療方針について検討する
- 4.「万が一」の時に備えて準備を始める
慌てず冷静な行動を心がける
余命宣告をされて、すぐに気持ちの整理ができる人はいません。やり場のない怒りで周囲に八つ当たりしてしまう人もいますが、それも気持ちを整理するには必要だといえます。
気持ちは個人差にもよりますが、不安定な気持ちが完全に晴れることはないとしても、2〜3週間程度で心境に変化が表れるでしょう。
慌てずに冷静な行動を心がけるとともに、気をつけなければいけない本人への対応法と自分の気持ちの問題について順番に解説していきます。
【気をつけなければいけない心の問題】
- 1.本人への告知は慎重に行う
- 2.声かけや接し方には十分配慮する
- 3.支える家族も無理をしない
本人への告知は慎重に行う
人によっては、余命宣告されたことで自暴自棄になってしまい、病気の進行を早めてしまう可能性もあります。本人の健康や精神状態、性格などを考慮しながら、慎重に判断することが大切です。
医師が余命宣告するにしても、直接本人に伝える前に、家族から先に伝える可能性があります。
本人の性格や病状を把握した上で、医師を交え家族全員で話し合い、告知するかを決定しましょう。
声かけや接し方には十分配慮する
自分が余命宣告された事実を把握している、またはしていないに関わらず、軽率な励ましはしない方がいいです。良かれと思った言葉でも、相手を傷つけてしまうかもしれません。
具体的には、以下のような何気ない言葉でも、根拠に欠ける言葉や想像力に欠ける発言は、本人の心に深い傷を負わせる危険もあるため、十分に注意してください。
- ●がんばってね
- ●今日は顔色がいいね
- ●治るかもしれないから
- ●前向きになって
- ●病気のステージは?
- ●いつ死ぬか分からないから皆一緒
- ●自分は長生きなんてしたくない
- ●かわいそうに
- ●大丈夫
- 普段の生活が間違ってたからではないか?
ただ「つらかったね」と共感し、一緒に泣くことだけでも、気持ちが楽になる可能性があります。
どの言葉を言えば正解だという答えはありません。相手を思い、寄り添うことが何よりも大切です。
支える家族も無理をしない
余命宣告された本人はもちろん辛いのですが、支える家族も辛く大きな負担となることを忘れてはいけません。
宣告されてから、この先長生きしてくれる場合もあれば、宣告通りに逝去してしまう場合もあり、それは医師にも断言することはできないのです。
どうなるか分からない闘病生活を送るためには、まずあなた自信が無理をしすぎないようにしましょう。つい本人の辛さを「全て受け止めなければ…」と思い、根を詰めすぎて自分自身が体調を崩す可能性もあります。
大切な人が病気になった時こそ、まずは自分の身体を大切に考え、自分の気持ちを整理しながら、時には大切な人とは距離を置いて、友人や知人と息抜きをすることも大切です。
心療内科や臨床心理士などの専門家のサポートを受ける
本人だけではなく、家族も辛い気持ちや不安を担当医や心理士といった専門家からサポートを受けるようにしましょう。
家族では心を許しているからこそ、なかなか進まない話し合いもあります。第三者を交えて話し合いをすることで、改善できる場合もあるのです。
もし、自分の気持ちや相談するタイミングが分からない場合は、以下の項目に1つでも当てはまる方は、専門家からのサポートを受けることをおすすめします。
【心理状態のチェック項目】
- ●食欲が湧かない
- ●ご飯が食べられない
- ●食欲が増して止められない
- ●眠れない日がある
- ●急に涙が出る
- ●何かに集中できない
- ●朝起きられなくなった
担当医も家族のサポートを行ってくれますが、厚生労働省が行っている相談窓口に相談するのもおすすめです。聞いてもらうだけでも、気持ちに変化が出てくるでしょう。
【こころの相談窓口】
今後の治療方針について検討する
気持ちが少し落ち着いたら、次に治療方針を考えます。医師の説明を聞き、余命宣告を受けた本人と家族でどうするかを相談しましょう。
余命宣告される病気は、がん以外にも白血病やくも膜下出血、脳梗塞などが挙げられます。
細かい治療法は病気や病状によって異なりますが、どれも方針は以下の4つから選択することになるため、行った方がいい順番に詳しく説明していきます。
4つの選択肢と向いている人 |
治療費 |
1.セカンドオピニオンを受ける
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現在の診断結果や治療方針に納得ができない方 |
1万円~2万円程度/30分 |
2.完治を目指す
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病気を完全に治して元気になりたい(なってほしい)方 |
年間平均約66万円
+手術費や治療で約300万円
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3.延命治療
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大切な行事へどうしても参加したい、約束の日まで生きたい方 |
月額30万円~50万円
※医療費3割負担の場合
|
4.緩和ケア
|
病気の苦しみから開放されたい、穏やかな最後を迎えたい方 |
1万円~1万5千円
(3割負担の1日あたり)
|
セカンドオピニオンを受ける
治療法や現在の診断結果に対して、不満や納得がいかない場合、セカンドオピニオンという現在の担当医とは別に、違う医療機関の医師に「第2の意見」を求めることができます。
担当医とは別の角度からの意見を検討でき、仮に同じ診断や治療方針だったとしても、病気に対して理解を深められます。
選択の幅も広がったり、本人や家族が納得のいく治療方針を選択できるため、後悔や不安を和らげながら、治療に臨めるでしょう。
余命宣告された病気が「がん」であった場合、全国に設置されたがんの相談窓口で相談すれば、その地域のセカンドオピニオン外来を行っている病院や、専門的な情報を得られます。
がん情報サービス|「がん相談支援せんたー」とは
TEL:0570-02-3410 または 03-6706-7797(土日・祝日を除く平日10時~15時)
完治を目指す治療
完治を目指す場合、外科手術や投薬のほか、がんであれは放射線治療といった方法で、病気の原因を取り除く治療を行っていきます。
外科手術は身体に大きな負担となり、投薬や放射線治療では副作用によって、身体がボロボロになっていく姿を見なければいけません。
治療費も膨大で、互いに心身ともに苦しい道になることを理解しておいてください。
本人が余生の多くを病院で過ごす可能性もあるため、どうしていくべきかは常に考えていく必要があるでしょう。
しかし、今は時間稼ぎだとしても、その間にも医療技術は日々進歩しています。諦めずに治療を続けていけば、新しい技術が生まれ他の治療を受けられる可能性もあるのです。
延命治療
延命治療は病気の完治や根治を目指すものではなく、寿命を伸ばすための治療法であり、主に人工呼吸や人工栄養、人工透析を指します。
例えば、「もうすぐ生まれる孫に会いたい」「自分の子が結婚するから晴れ姿だけでも見たい」といった理由から、延命治療を選択する方も多いです。
費用はかなりかかってしまうものの、家族との時間や終活の準備が落ち着いてできるといったメリットがあります。
完治を目指した治療と同じく、ほとんどを病院で過ごす可能性がありますので、自宅で過ごしたいという方には注意が必要です。
緩和ケア
緩和ケアは、病気の完治や延命目的ではなく、ただ病気による苦痛を少なくし、穏やかな最後を迎えられるように努める治療法です。
病気の痛みや苦しみから解放されると日々の生活が楽になり、本人が最後までいきいきと、活動的に生きられるようになるでしょう。
また、緩和ケアは通院や入院、在宅療養の3つから選択できるため、入院せずに自宅で残りの人生を過ごせ、医師との相談しながら、容態によっては旅行などで思い出づくりもできます。
緩和ケアについては「緩和ケアの定義と制度を解説!療養場所の決め方と知るべき5つの注意」の記事で詳しく説明していますので、ぜひご参考下さい。
備えておきたい4つの準備
余命宣告を受けた後、気持ちの整理や治療方針が決まったら、次に行うべきことが手続き関係です。
以下、準備しなければいけない順番に紹介していきますので、順序に沿って実行していきましょう。
【4つの準備】
- 1.高額医療費制度の検討
- 2.保険内容の確認
- 3.相続の準備
- 4.葬儀の準備
-
高額医療費制度の検討
高額医療費制度とは、怪我や病気で高額な医療費を支払わなければいけない場合に、自己負担限度額を定め、超えた分を払い戻してくれる制度のことです。
1つの医療機関で1回の支払いが21,000円以上の場合、高額医療費に該当します。
しかし、1つの医療機関であっても、複数の科(外科や内科、歯科、入院と外来など)は分けて計算しなければいけません。
ただし、70歳以上に限り、金額に関わらず自己負担額の合算額が上限を超えていれば高額医療費の対象になります。
例えば、医療費負担が30万円の場合、約21万円を公的医療保険(協会けんぽ・共済組合・国民健康保険など)から払い戻され、実質自己負担は約9万円の支払いで済みます。
詳しい計算式や詳細は、以下より参照ください。
厚生労働省|高額医療費制度を利用される皆様へ
高額医療費の中でも以下のような費用は対象外で、全て自己負担になるので注意が必要です。
- ●入院時の食事代や居住費(所得により負担の軽減措置あり)
- ●ベッド代
- ●先進医療
- ●その他雑費(タオルや衣類など)
【申請方法】
- 1.自身が加入している協会けんぽや国民健康保険などの公的医療保険に申請。
- 2.医療機関などの窓口で「限度額適用認定証」を提示しておくと、自己負担限度額での支払いになる。
※「限度額適用認定証」は前もって各公的医療保険に申請が必要。
※国民健康保険の場合、住んでいる各市区町村役所の「保険年金課」に問い合わせ。
-
保険内容の確認
加入している保険会社に問い合わせを行い、契約内容や特約を確認しながら、内容を見直します。治療に役立てられるか、現金も得られるかも、合わせてチェックしてください。
保険金があれば金銭的にも余裕が生まれ、さらに保険会社に分からない点を何度も聞くことで、やらなければいけない手続きに焦ることなく対処できるでしょう。
先進医療特約に加入の有無
先進医療特約とは、先進医療として厚生労働大臣に認可をされた治療を受けた際に、かかる費用の全額または特約の上限内で保証されるものです。
メインとなる医療保険やがん保険に対して、月数百円程度で追加できるオプションプランになるため、加入していない場合も多いでしょう。
先進医療は、各医療機関によって具体的な費用や医療技術も異なります。
さらに、健康保険対象外になる場合が多く、高いものだと300万円を超える治療もあります。先進医療特約に加入しておくことで、金銭的負担を軽減することが可能です。
リビングニーズ特約の確認
リビングニーズ特約は、余命が6ヶ月以内と判断された場合に、死亡保険金の一部または全部を生前に受け取れるという特約です。
受け取った給付金は、治療費の他にも自由に使用可能なため、残った時間を有意義に過ごすこともできるでしょう。
この特約は無料で追加でき、余命6ヶ月以内になった原因を問われることなく、すべての病気や怪我が対象です。
仮に余命期間よりも長く生き続けたり、症状が安定してきたりしても、受け取った給付金を返す必要はありません。
リビングニーズ特約は、死亡保障を目的にした生命保険には自動的に付加されています。しかし、古い契約では付加していない場合もありますので、必ず契約書を確認してみましょう。
付加していなかったとしても途中から付加できますが、一部ネット生保(ライフネット生命など)では、扱っていないため注意が必要です。
以下、実際にリビングニーズ特約を行っている保険会社2社を紹介します。
- 1.第一生命
TEL:0120-157-157(平日9:00~18:00 土曜のみ9:00~17:00)
※祝日・年末年始は除く
※担当者が届けた名刺などの連絡先へ直接連絡するとスムーズ
- 2.フコク生命
TEL:0120-259-817(平日9:00~17:00)
※年末年始を除く
※入院や手術・保険金などの請求は「1」を押す
-
相続の準備
相続のトラブルを防ぐために、財産(家や土地などの不動産、車、銀行預金、株や証券、年金など)の確認をし、誰に何を相続されるかを、本人の意思を確認し行います。
相続準備で欠かせないのは主に「記録を残すこと」と「遺言書を書くこと」の2つです。
ただし、エンディングノートでは法的拘束力がないため、必ず「遺言書」を作成してください。詳細は「エンディングノートや遺書を用意する」で詳しくご紹介致します。
相続財産の目録を作成し、借金や事業(駐車場や賃貸経営なども含む)を行っている場合には、状況に応じて弁護士や税理士、行政書士に依頼するとスムーズです。
なお、遺言書には以下3つの種類があり、その中で自分にあった遺言書を作成するといいでしょう。
- 1.自筆証書遺言
特別な手続きが必要なく作成できるが、開封時には家庭裁判所に提出し、検認を行わないといけない。
遺言者が遺言書の全文・日付・氏名を全て自筆し、押印して作成する。ただし、添付する財産目録だけは自筆でなくていい。
- 2.公正証書遺言
本人であることを証明する実印と印鑑証明書が必要で、2名以上の証人と一緒に公証役場に行き、公証人に遺言内容を作成してもらう。
遺言者が亡くなった場合には最寄りの公証役場で遺言内容を確認し、相続の手続きを行う。
- 3.秘密証書遺言
パソコンや代筆で作成した遺言書に遺言者が署名・押印を行い、2人以上の証人と公証役場に持ち込み、遺言書の存在を保証・保管してもらう。
開封時には、家庭裁判所で検認してもらう必要がある。
しかし、遺言書は書き方を誤ると無効になる可能性があるため、“正しい”遺言書の書き方を知る必要があります。
特に証人を立てずに書く場合には、「遺言書の書き方を完全解説!効力・有効な遺言書の書き方を紹介!」「【文例付き】相続プロが教える!有効な遺言書の書き方完全マニュアル」の記事を参考にし、慎重に行ってください。
葬儀の準備
気持ちの整理や手続きが落ち着いてきたら、本人と家族、葬儀社を交えて葬儀の準備を行います。
いくら余命宣告をされていたとしても、亡くなってから葬儀の準備をすると、悲しみやショックから心の余裕がなく、プランや見積もりをしっかりと確認できません。
早い段階から複数社に相談を行うことで、プランや見積もりをしっかりと確認でき、費用の相違といった問題が起こりづらくなります。
また、存命中に本人が納得できる葬儀プランにもできるでしょう。
葬儀社によっては「生前相談」といわれる、本人が葬儀について相談できるサービスを行っているところもあります。
本人が亡くなった後に、家族に迷惑をかけたくないと考えている場合、提案してみるといいでしょう。
冷静に準備をするためにも「【保存版】葬式準備に必要な8つのポイントと4つの注意をプロが解説」の記事もぜひ、ご参考ください。
後悔しないための4つの行動と注意点
今まで、必ず行わなければいけない手続き関係を中心に紹介しましたが、家族や友人としてまだまだできることがたくさんあります。
以下、後悔しないための4つの行動をやった方がいい順番に紹介しながら、注意点も一緒に解説します。
【後悔しないための4つの行動】
- 1.やりたいことをリスト化して実行する
- 2.友人や知人に連絡をとる
- 3.家族との写真を残す
- 4.エンディングノートや遺書を用意する
やりたいことをリスト化して実行する
まずは、やりたいこと100項目をリスト化します。旅行に行きたい、美味しいものを食べたい、チャレンジしてみたいこと何でもいいので、箇条書きで書き出してみましょう。
100項目のリスト化をすることで、以下のような5つの効果が期待できます。
【期待できる5つの効果】
- 1.自分のやりたいことが分かる
- 2.今の自分と向き合える
- 3.願いを叶えられる
- 4.人生が楽しくなる
- 5.余生の道標になる
実際の医療現場で、生きる希望を見出すために実施しているところも多いです。
100項目は難しいと感じると思いますが、以下に具体的な書き方のポイント3つを簡単に説明していきます。
【書くためのポイント3つ】
- 1.統一性や現実的な考えはいらない
空を飛びたい、太平洋を泳ぎたい、ヨットで世界一周といった全く現実性がなく、欲望や探究心であってもいい。
- 2.具体的なイメージを想像する
世界を旅したいのであれば、世界のどこに行き、何をしたいかを考える。例えば、カナダに行き、オーロラを見たいという風に具体的に考えてみる。
- 3.一週間程度で書き上げる
1日で書こうとせず、一週間程度かけて完成させる。
100の項目を完成させたとしても、思いついたら、その都度書き換えてもいいです。
完成できれば、「自分が何をしたかったのか」「自分という人間はこんな人間だった」と思い出させてくれるでしょう。
闘病生活で気持ちが落ち込み、辛くて迷ってしまった時に読み返せば、再度道標にもなります。
実現できるところから徐々に行っていくことで、毎日の生活に意欲や楽しさが生まれてくるので、ぜひ実践してください。
友人や知人に連絡をとる
仲が良かった友人や知人に連絡をすることも、辛い闘病生活の中で楽しさを感じられます。今なら簡単にLINEやSNSなどで繋がれ、息抜きにもなるでしょう。
気心が知れた仲間なら、今までと変わらず接してくれる姿に、勇気づけられることもあります。
しかし、一方で身体が辛い時や眠い時の見舞いは避けてほしいという声もあるため、見舞いをする際には家族などによく確認しておくことが大切です。
もし、余命宣告をされた友人に何をしたらいいか迷っている場合、以下を参考にしてください。
- ●見舞いに行かなくても、メールやメッセージで伝えてもいい
- ●メッセージなどの後には「返信不要」と追加しておく
- ●何か必要な物があれば届ける旨を伝える
- ●訪問時には必ず確認
- ●生花は免疫力低下した方には感染リスクがあるため、フラワーギフトは避ける
家族との写真を残す
余命宣告された方に限らず、葬儀の準備をする際に、故人との写真が少ないことに後悔される方が意外にも多いです。
特に、男性は男親と一緒に撮った写真がなかったり、1人で撮った写真もなかったりするため、遺影を探すのが大変だったという話もあります。
恥ずかしがらずに、ツーショットで写真を撮っておくと、後々いい思い出にもなるでしょう。
意識しないと、写真に収められないこともありますので、日頃からカメラを持ち歩いてみてください。
ただし、病院内ではプライバシーや個人情報保護のため、撮影などが禁止されている場合が多いです。撮影する場合には、病院スタッフに必ず確認してから行ってください。
エンディングノートや遺書を用意する
「遺言書」とは別に、エンディングノートや遺書を用意することをおすすめします。
エンディングノートは遺言書のように公式の文書ではないため、形に囚われることなく自由に書くことが可能です。
仮に、突然危篤状態となったとしても、エンディングノートがあれば、家族や大切な人に思いを伝えることができるでしょう。
書き方の決まりはありませんが、以下の情報を書いておくと家族の助けにもなります。
- 1.氏名、生年月日、住所、連絡先
- 2.財産について
通帳などの保管場所やクレジットカード、遺言書の保管先など
- 3.生い立ちや経歴、職歴、趣味
葬儀などの挨拶で必要になる場合もある
- 4.配偶者や子、孫、兄弟姉妹などの氏名と住所、連絡先
- 5.友人や知人の氏名、住所、連絡先
- 6.かかりつけの病院や入所している介護老人ホームなどの名称、住所、連絡先
- 7.葬儀社や寺院(菩提寺)、治療法の指示
- 8.家族への感謝の言葉、今までの気持ちなど
実際に書こうとすると、どういう形で書けばいいのか、何に書けばいいのかと考えてしまい、なかなか先に進めないこともあります。
書き方のコツや市販されているエンディングノートのおススメは「30代での遺書の書き方|ポイントやメリット・遺言書との違いを紹介」「エンディングノート最新人気ランキング20選!書き方も完全解説!」で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
無理は禁物!事前準備をしてから行動を!
以上のことを行う前に、必ず担当医に相談してから行ってください。実行したい気持ちよりも、自分の身体を一番に考えましょう。
外出時には、以下5つの項目を必ず確認し、大丈夫だと判断してもらってから実行してください。
- ●医師の許可を得る
- ●薬
- ●保険証
- ●外出先のバリアフリーの確認
- ●最寄りの病院
少しでも体調がおかしい時は無理をせず、すぐに申し出てください。もし、無理をして体調が悪化してしまえば、せっかくの楽しい思い出が台無しになってしまいます。
さらに、行き先の情報収集をせずに出かけてしまうと、車椅子の移動ができず、十分に楽しめない可能性ももあるため、よく確認した上で実行してください。
まとめ【余命宣告されたら、気持ちの整理から行う】
余命宣告とは、あくまで統計上の予測であり、余命が3ヶ月だと宣告されたからといって、必ずしも3ヶ月後に亡くなるわけではありません。
症状などの過去データから導き出された予測値を元に、「大体3ヶ月程度で亡くなった」と伝えているだけなのです。
そのため、病状や医師の考え方によって余命宣告の期間も異なり、1年以上生きた事例も多く存在します。
余命宣告をされたら、まずは気持ちの整理をしながら、以下の1〜4までを順番通りに進めて行けば、手続きなどの「やらなければいけないこと」は対処できるでしょう。
- 1.慌てず冷静な行動を心がける
本人への告知も含め、接し方に気をつける。しかし、一番は看病をする自分が体調を崩さないように、無理をせず、本人と距離をとりながら、息抜きをすること。
良かれと思って発した言葉も、相手にとっては辛い言葉ということもあるため、発言には十分に気をつける。
- 2.心療内科や臨床心理士などの専門家のサポートを受ける
本人だけではなく、家族も一緒に担当医や心理士などの専門家からサポートを受ける。
気持ちが落ち込んでいて、眠れない、食欲がないといった場合には、早めに受診する。
- 3.今後の治療方針について検討する
治療法や診断結果に納得がいかない場合には、セカンドオピニオンを受ける。
納得した上で、完治を目指す治療や延命治療、緩和ケアを行った方が後々後悔しない。
- 4.「万が一」の時に備えて準備を始める
保険の確認→相続の準備→葬儀の準備の順に行う。
加入している保険内容や先進医療特約、リビングニーズ特約について保険会社に確認する。次に相続の準備を行い、合わせて葬儀の準備もしておくと、後々家族が困らない。
気持ちの整理や手続き関係が落ち着いたら、今度は後悔しないための行動をしていきましょう。
- 1.やりたいことをリスト化して実行する
100項目のやりたいことリストを書き、少しずつ実行していく。
- 2.友人や知人に連絡をとる
仲が良かった友人や知人に連絡をとることで、日々の楽しみが増える。
- 3.家族との写真を残す
思い出は多いほど、今後のいい思い出になるので、積極的に写真を撮る。
- 4.エンディングノートや遺書を用意する
家族や友人への思いなど、遺言書とは別にエンディングノートを書いておくと、残された家族の助けとなる。
余命宣告をされたら、心の中に激しい衝撃を抱え、辛い気持ちにも耐えながらも、今後の治療のことや相続などの細かい手続きを行っていかなければいけません。
残された時間がどれほど残っているかは、医師にもはっきりと分かりません。だからこそ、本人の心に寄り添いながら、毎日迎えられる日々を大切にしていってください。
【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール