葬儀ローンの審査と分割払いの方法!費用が払えない時の対処法7選
葬儀費用の全国平均は約150万円前後だと言われています。
葬儀費用の支払いは、葬儀が終わった日から一週間以内に支払わなければいけないことが多いため、手元に現金がない場合は支払うことができません。
そういった時のために用意されているのが葬儀ローンです。葬儀ローンとは葬儀会社や金融機関が取り扱っているサービスで、葬儀費用を分割で支払うことができます。
この記事では、葬儀費用の相場や葬儀ローンのメリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。
葬儀ローンとは?
葬儀費用は平均150万円前後だと言われています。
この葬儀費用は、葬儀の当日からだいたい一週間以内に葬儀会社に支払う必要があります。
しかし、葬儀は突発的に起こるため手元にお金がないといった状況も考えられます。そのような場合に利用するのが葬儀ローンです。
葬儀ローンとは、葬儀費用の支払いを分割で行うためのサービスです。
葬儀ローンは金銭の借り入れだけでなく、クレジットを利用する場合も含まれることが一般的です。
葬儀ローンには大きく分けて葬儀会社のサービスとクレジットカード、金融機関のサービスの三種類があります。
葬儀会社のサービスでは、通常信販系の商品を扱っていることが多いです。
また、葬儀会社が行っているサービスのため、手続きや説明について分かりやすく進めることができるという利点があります。
クレジットカードでは支払い方法を自分で変更できるので、自分の給料などに合わせて一括にも分割にも変更することができます。
注意したいのが、クレジットカードには利用限度額が設定されているため、設定金額を超える利用はできません。
しかし、一時的に限度額を増額することができる場合もあるので、契約しているクレジットカード会社に問い合わせてみましょう。
また、葬儀会社にはローンサービスを請け負っていない会社もあります。
その場合に検討しておきたいのが、金融機関が取り扱うサービスです。
銀行によって葬儀ローンという名称ではなくメモリアルローンや多目的ローンなど異なるため、契約している銀行に問い合わせてみると良いでしょう。
また、葬儀ローンの利用には年齢や職業、年収などの与信審査があるため通らなければ利用はできません。
葬儀の種類と葬儀費用の相場
葬儀には宗教・宗派や規模によって様々な種類があります。また、葬儀にかかる全体費用は平均1500万円前後だと言われています。それでは葬儀にはどのようなものがあるのか、それぞれに費用相場と合わせて解説していきます。
一般葬
名前の通りの通常に行われる一般的な葬儀です。
遺族や親族だけでなく友人や近所の人など参列者の層が広いことが特徴です。
通夜、葬儀、告別式、火葬、骨上げを行います。費用相場は100〜150万円程度です。
家族葬
家族葬は、家族だけで行うわけではなく親しい友人や身内だけで行う規模が小さい葬儀のことです。
葬儀の内容は一般葬と変わりはありません。家族葬を行うメリットとして、人数が少ないため故人の意向をくみ取った葬儀内容にすることができたり、故人との別れの時間を確保できるというものが挙げられます。
費用相場は50~100万円ほどです。
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社葬
社葬とは、社長や役員など会社の発展に貢献した人物や業務中などの事故死の場合などに行う葬儀です。
多くの社員が集まるため、他の葬儀に比べて大規模になることが多いです。
費用は会社が全額負担する場合と、一部を会社が負担する場合などがありますが、人数によってかかる費用が変わるため、相場には幅があり数百万〜一千万円を超えることもあります。
社葬についての詳細を知りたい方には『社葬の目的は追悼だけではない!企業が行う目的や費用について解説』もよく読まれています。
直葬
直葬は通夜や葬儀を行わず火葬だけで終える葬儀です。
葬儀の中で最も費用を抑えることができるのが直葬ですが、通夜などを行わないため周囲の反対を受けることがあります。
そのため、直葬を希望する場合には事前に親族の同意を得てからにしましょう。費用相場は20〜50万円です。
直葬についての詳細を知りたい方には下記の記事もよく読まれています。
・火葬(直葬)の費用を完全解説!相場・内訳・費用を抑える方法を紹介!
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一日葬
通常の葬儀は通夜と告別式は二日間の日程に分けて行いますが、一日葬は時間的都合のために葬儀の行程を一日にまとめて行う方法です。
通夜振る舞いなどの食事に関する費用を抑えることはできますが、一日にまとめたからといって費用が大幅に抑えられるわけではありませんので注意してください。
費用相場は50〜150万円程度です。
一日葬についての詳細を知りたい方には『負担は軽くても心を込めた見送りができる!一日葬の内容を解説』もよく読まれています。
密葬
密葬は、親しい友人や遺族だけで行う葬儀で、周囲の人たちに亡くなったことを伏せて行います。
家族葬と異なる点は、後日改めて本葬やお別れ会を行うのが前提だということです。
本葬の内容には特に決まったものはありません。費用相場は50〜150万円程度です。
一日葬についての詳細を知りたい方には『密葬とは何?密葬を行うメリット・デメリットなどを徹底解説』もよく読まれています。
無宗教葬
宗教や宗派に縛られない葬儀で、葬儀場の許可を得ることができれば楽器の演奏などを行うこともできる比較的自由な葬儀です。
無宗教葬は人によって行う内容が異なるため、相場がありません。葬儀会社との打ち合わせで予算や行いたい内容などを伝えて見積もりを出してもらいましょう。
地域別での葬儀費用相場
葬儀費用の全国平均は約150万円程度だと言われています。では、地域ごとにどのくらい差があるのか見ていきましょう。具体的な数字は下記の通りです。
北海道:130万円前後
東北:110万円前後
関東:140万円前後
中部:200万円前後
関西:170万円前後
四国:140万円前後
九州:150万円前後
関東と関西では葬儀の内容が異なります。
例えば通夜についてですが、関東では通夜振る舞いを行いますが、関西ではあまり見られません。
また、骨上げについても違いが見られます。関東では通常全ての遺骨を拾い骨壷に納めますが、関西では頭部や喉仏、胸などの主要な部位の遺骨だけを拾い骨壷に納めます。
葬儀に関わる費用
実際に葬儀を行うにあたってどのような費用が発生するのでしょうか。
葬儀では主に、葬儀一式費用・接待費用・寺院費用がかかり、これらは「お葬式の三大費用」とも呼ばれます。
葬儀一式費用では、葬儀を行う施設利用料や火葬代、遺影写真やスタッフの人件費、霊柩車のレンタル費用などが含まれます。
この中でも特に費用がかかるのが祭壇にかかる料金です。祭壇料金は宗派や装飾によって異なり、高額なものだと数十万円ほどになります。
接待費用では、通夜振る舞いや精進落とし、参列者への返礼品代が含まれています。
通夜振る舞いではオードブルなどを提供し、一人当たり数千円程度で見積もることができます。
精進落としは葬儀後に行う僧侶や故人への感謝として行う食事会のようなものです。ここでは懐石料理などを提供し、費用は通夜振る舞いよりも高額になります。
また、一般的に葬儀へ参列してくれた方に対して、返礼品をお渡しします。返礼品は持ち帰りやすいもので、お茶などが多いです。香典をいただいた方には後日に香典返しを行わなければなりません。
目安としては、受け取った金額の30%〜50%ほどの金額で商品を選びましょう。
商品を選ぶ時の注意点として、後に残らない洗剤やお菓子などを送ることが一般的です。
寺院費用では、読経料や戒名料・御車代などが含まれます。読経料は、お経を唱えてくれた僧侶への感謝としてお支払いします。
戒名料は僧侶から授かるものですが、戒名の宗派やランクによって費用が変動します。
また、戒名を授かる際には注意しなければならない点があります。
一つ目は、菩提寺があるのかどうかの確認です。
もし菩提寺がある場合に、他の寺院で戒名を授かると納骨の際に納骨拒否をされることがあるからです。
そのため、事前に故人に菩提寺があるかどうかを確認しておきましょう。
葬儀ローンのメリット・デメリット
葬儀ローンを利用するメリットとして、高額な融資を受けやすいという点があります。
葬儀ローンは、資金使途が明確なためその他のローンと比べて利用可能な金額時の上限が高いです。
また、葬儀費用を支払うのは葬儀から一週間以内のことが多いため、それに間に合うように審査が早いのも特徴です。早ければ即日や翌日には利用できる会社もあるようです。
デメリットとしては、葬儀ローンもローンの一種のため支払利息や分割手数料が発生するため借りた金額よりも返す金額の方が大きくなってしまいます。
分割手数料も長期に渡れば渡るほど支払い総額が増えることになります。そのため、低金利のローンを利用するようにしましょう。
そのほかに、一定期間の支払いを継続しなければならないということも挙げられます。
支払い期間が長期であればあるほど、毎月の支払い金額を用意しておかなければなりません。そのため、利用する際はなるべく短期間で支払えるように設定しておきましょう。
葬儀ローンの種類
葬儀ローンには、葬儀会社が提供しているサービスと金融機関独自のサービス、クレジットカードローンの三種類が挙げられます。
それぞれのローンの特徴について詳しく解説していきます。
葬儀会社のローン
葬儀会社によっては、信販会社と提携して葬儀費用の支払いに利用できる葬儀ローンを取り扱っていることがあります。
メリットとして、審査の基準が緩く、かつ与信審査のスピードが早く即日で終えることができるという点と、葬儀会社を通すので申し込みなどの契約がスムーズに行えるという点が挙げられます。
デメリットとしては、審査が緩い分金利が他のローンと比べると高い傾向にあるという点です。
金融機関のローン
銀行や労働金庫では、葬儀ローンという名前ではなく多目的ローンなどと呼ばれる借り入れを行うことができます。
与信審査にかかる時間は銀行によって異なりますが、だいたい一週間前後です。
銀行では他のローンに比べると長期間の返済に対応していることが多いです。
また、労働金庫や信用金庫の場合には、審査基準が厳しいものの金利を抑えることができるというメリットがあります。
クレジットカードローン
葬儀会社がクレジットカード払いに対応している場合には、クレジットカードローンで対応することができます。
クレジットカードで支払うことで、契約によって分割払いなどに自由に変更することができるのと、ポイントが貯まるというようなメリットがあります。
しかし、クレジットカードには限度額が設けられているため、それを超えてしまうような支払いの場合には使用できないので注意しましょう。
葬儀ローンの返済例
それでは実際に葬儀ローンを返済していくにあたって、毎月の費用はどのくらいになるのでしょうか。
下記に305,800円の葬儀プランを実質年率10%で契約した場合、各分割払いの際の具体的な支払いについての例を記載していきます。
12回払いの場合
初回返済額:27,815円
2回目以降の月々の返済額:26,800円
分割手数料:16,815円
支払い総額:322,615円
24回払いの場合
初回返済額:14,366円
2回目以降の月々の返済額:14,100円
分割手数料:32,866円
支払い総額:338,666円
36回払いの場合
初回返済額:12,222円
2回目以降の月々の返済額:9,800円
分割手数料:49,422円
支払い総額:355,222円
このように、分割の回数を増やすことによって支払い総額は増えていきます。そのため、できる限り支払いを伸ばさないように契約すると良いでしょう。
葬儀ローンの申込方法
では、葬儀ローンは実際にどのように申し込むのでしょうか。葬儀会社や金融機関によって申し込み方法が異なるので、それぞれについて解説していきます。
葬儀会社の場合
まずはじめに、葬儀会社に直接葬儀ローンを使用したいという旨を伝えましょう。
葬儀会社が用意してくれる申込書に記入して、葬儀会社が信販会社に送り与信審査が行われます。
与信審査を通過することができれば、契約書に記入をして申し込みが完了となります。
金融機関の場合
銀行や労働金庫の場合には、窓口で葬儀ローンを申し込みたいという旨を伝えましょう。
金融機関側から渡される申し込み書類に記入を行い、仮の与信審査が行われます。
それに通過すると正式な与信審査を行うために連絡が来て、収入などを証明する書類等を提出します。正式な与信審査に通過すれば、契約書に記入をして申し込みが完了となります。
葬儀会社と金融機関それぞれによってインターネットで申し込みなどを行うことができることもあるので、場所が遠いなどの事情があれば事前に確認しておくことをおすすめします。
葬儀ローンに申込する時の注意点
葬儀ローンに申し込む上で、注意しておかなければならない点があります。
与信審査に通らなかった時のことを考えておく
一つ目は、与信審査に通らなかった時にどうするのかを検討しておかなければならないということです。
葬儀会社のローンを利用する場合には、契約前に審査の結果を知ることができるため特に問題はありませんが、金融機関の場合には結果が出るまでに数日を要するので、葬儀の内容などが決まった後に結果が来ることがあります。
そういった場合のために、事前に与信審査を通過できないことを考えておくと良いでしょう。
もし与信審査に通らなかった場合には、色々な制度について確認してみましょう。
例として、生活福祉資金貸付制度というものが挙げられます。生活福祉資金貸付制度は、65歳以上の世帯か低所得者の世帯、あるいは障害者世帯の方が申請できる制度です。
葬儀に利用する場合は最大50万円まで借りることができます。連帯保証人がいれば無利子で、いなかった場合には年利1.5%で借りることができます。
申請する窓口は、各自治体の社会福祉協議会になります。
毎月の支払い額
二つ目は、毎月の支払い額が自分の支払い可能な金額に収まっているのかということです。
ローンを組むことで、毎月固定の支払い金額が発生します。
もし他社での支払いなどがある場合には、重複して支払うことになるため自分の生活を圧迫しすぎることにならないよう注意しておきましょう。
金利や手数料を複数社で比較する
三つ目は金利や手数料を複数社で比較しておくことです。
葬儀費用は百万円単位になることがあるため、金利が1%でも高いと支払い総額に数万円以上の差が生じることがあります。
支払う金額ができるだけ少なくなるように、しっかりと葬儀ローンを用意している会社を比較しておきましょう。
葬儀費用を安く抑えるポイント
葬儀費用を安く抑えるポイントとして、一つ目は葬儀の種類を安いものにするというものがあります。
例えば、通常の一般葬であれば費用は100〜150万円程度かかりますが、家族葬では50~100万円程度で抑えることができます。
また、葬儀の種類で最も費用を抑えることができるのは直葬です。直葬であれば費用相場は20〜50万円です。直葬を選択することで、葬儀にかかる費用を半額程度まで抑えることができます。
二つ目は公営の葬儀場・火葬場を利用する方法です。葬儀場や火葬場を使用するにあたって施設利用費が発生します。
葬儀場は一般的にセレモニーホールや寺院などで行われます。
この葬儀場や火葬場は大きく分けて公共団体が運営する公営のものと、民間企業が運営する民営のものがあります。
公営のものは自治体が税金で設置しているため、利用費が安い特徴があります。
しかし、公営の施設はそもそもの数が少ないため、予約を取ることができない可能性があります。
葬儀ローンが向いている人
ではどのような人が葬儀ローンを利用するのに向いているのでしょうか。
一つ目は手元にまとまった現金を残しておきたい方です。突発的な事故や病気など、いつ現金が必要になるかはわかりません。
そのために手元の現金を残しておきたいという方は葬儀ローンを利用することがおすすめだと言えるでしょう。
二つ目は、故人の意向や遺族側で葬儀を盛大なものにしたいというような場合、手元の資金で賄えないような時に足りない分だけ葬儀ローンを利用することで賄うというような方法があります。
葬儀費用を補填する方法
葬儀費用を少しでも補填したいという場合に、あらかじめ知っておきたい知識として給付金制度や補助制度、葬儀保険などのようなものがあります。
それぞれに申請期限や必要書類、受け取れる金額が異なるので注意しておきましょう。
給付金制度の活用
故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度、そのほかの医療保険に加入していた場合に給付金を受け取ることができる制度があります。
受け取れる給付金の種類として、葬祭費・埋葬料・埋葬費の三種類があります。
葬祭費は被保険者が亡くなった時に、葬儀を行った場合給付金を受けられるものです。
申請期限は死亡した日から二年以内で、支給される金額は自治体によって異なりますが数万円程度です。
埋葬料は被保険者もしくは被扶養者が亡くなった時に、被保険者もしくは被扶養者に給付金を受け取ることができるものです。
申請期限は死亡した日から二年以内で、支給される金額は五万円です。
埋葬費は被保険者が亡くなった時に埋葬料の申請を行う人がいない場合に、実際に埋葬を行った人に対して給付されるものです。
申請期限は死亡した日から二年以内で、支給される金額は五万円です。
申請先は医療保険の種類によって異なりますが、国民健康保険の場合には加入先の国民健康保険組合へ、国民健康保険の場合には住んでいる地域の自治体です。
必要な書類や手続きの流れは保険によって異なりますので、給付金を考えている方は事前に問い合わせてみましょう。
また、葬祭費は振り込まれるまでに1〜2ヶ月程度かかります。そして葬祭費については相続税や確定申告などの必要はありません。
香典総額
葬儀費用を賄う方法として、参列者からいただいた香典を利用するという方法が一般的です。
参列者が多いほど香典自体は多く集まりますが、葬儀の規模が大きくなるため葬儀にかかる費用が高くなってしまいます。
香典と葬儀の規模のバランスによって収支が異なるため注意しましょう。
家族葬などの葬儀自体の規模が小さくても、参列者が近親者のみのため香典の額が高い傾向にあります。そのため、葬儀費用の大半を賄うことができるかもしれません。
香典の相場平均ですが、故人が仕事関係や友人の場合は5千円、親兄弟は5万円、その他親戚は1万円程度だとされています。
香典についての詳細は下記の記事もよく読まれています。
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・香典袋の正しい書き方を完全解説!表書き・中袋・名前・その他のマナーも紹介!
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市民葬・区民葬の活用
市民葬・区民葬とは、各自治体が葬儀会社と提携してそこに住む市民や区民が利用できるサービスです。
遺族の負担を減らすために、行政が葬儀代を負担するため利用者は比較的安価で利用することが可能です。
利用する条件として、故人もしくは喪主が利用する自治体に住んでいる(いた)ことが挙げられます。所得制限などは設けられていません。
葬儀の内容は通常のものと特に変わりはありませんが、必要最低限のものなので追加のオプションなどを加えていくと一般の葬儀会社の方が安い場合もあるので注意しましょう。
市民葬・区民葬の申し込み方法は、各種自治体によって異なりますので希望する際は問い合わせてみてください。
補助・扶助制度の活用
遺族が生活保護を受給していて葬儀代を支払うことができない、もしくは故人が生活保護を受給していた場合、遺族以外が葬儀を執り行う場合に葬祭扶助制度を利用することができます。
葬祭扶助制度で支給される金額は最低限のみで、葬儀の内容も基本的には直葬を選ぶことになります。
葬祭扶助の基準金額は、十二歳以上の場合は206,000円以内、十二歳以下の場合は164,800円以内と定められています。
この基準額の範囲で自治体ごとに上限金額が定められています。
葬祭扶助の申請は、親族が葬儀を執り行う場合には親族が住んでいる自治体もしくは福祉事務所へ、それ以外の方は故人が住んでいた自治体もしくは福祉事務所へ申請します。
申請する際は葬祭扶助申請書が必要なので、事前にインターネットでダウンロードしておくことをおすすめします。
また、葬祭扶助は事前に申請しないと扶助を受けることはできないので注意しましょう。
葬祭扶助についての詳細は『生活保護者の葬儀を無料で行う方法とは?補助金の申請条件と手順を徹底解説! 』もよく読まれています。
葬儀保険の活用
葬儀保険とは「少額短期保険」とも呼ばれ、葬儀費用の一部を賄うための保険で2006年4月1日に保険業法などの内容を一部改正するために施行された制度です。
一般の保険とは異なり、少額の保険料で申し込むことができます。
また、上限の年齢も高く設定されており、審査も比較的厳しくはありません。しかし、少額のため保険期間や最大の保証金額に下記のような制限が設けられています。
・保険期間は1年、損害保険の場合は2年
・死亡した時の保険金は被保険者一人につき300万円まで
・最大保証金額は被保険者1人につき1,000万円まで
葬儀保険にも様々な種類があります。支払い方法が口座振替かクレジットカードかを選べたり、契約できる年齢が満40歳からや満50歳など条件も違うので、自分にあった保険を選択しましょう。
事前申し込みの活用
葬儀会社によっては、葬儀の事前申し込みで割引を行なっている会社もあります。
また、事前に申し込みを行い支払いまで済ませておけば、相続税の節税効果も見込めます。
さらに、葬儀会社を先に決めておくことで、遺族が慌てて葬儀会社を探す手間を省くこともできます。
遺産相続での支払い
遺産を相続した相続人は、相続した財産から葬儀費用を支払うことができます。
そして、葬儀費用を相続した財産から支払うことで、相続税の控除を受けることができます。
しかし、葬儀費用の中でも控除対象になるものとならないものがあるので注意しましょう。
控除の対象となるものは、葬儀に直接関わるものが多く具体的には下記のようなものが挙げられます。
・葬儀、お通夜の費用
・火葬、埋葬、納骨
・供花
・心付け
・お通夜・葬儀時の飲食費用
・寺院へ支払ったお布施・戒名代など
また、控除されないものは葬儀後に発生する費用のものが多いです。具体的には下記が挙げられます。
・香典返し
・墓地や墓石の購入代金
・仏壇・仏具の購入代金
また、相続税が課せられるのは基礎控除金額を相続した財産が上回る場合のみです。
基礎控除の計算方法は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で求めることができます。
仮に法定相続人が三人であれば。「3,000万円+(600万円×3)=4,800万円」となるため、4,800万円を超えていなければ相続税は課せられません。
また、控除の対象となる人は実際に葬儀費用を支払った人のみとなります。
そのため、相続人全員で葬儀費用を支払うことによって全員が控除の対象となることが可能です。
また、葬儀費用を相続財産で支払った後に相続放棄することについても可能です。
相続には放棄・単純承認・限定承認の三種類があります。
放棄は全ての相続を放棄し、単純承認は全ての遺産を相続し、限定承認は財産から負債などを引いて利益になる場合に相続するといったものです。
本来相続を放棄する前に遺産を使用してしまうと単純承認となってしまい放棄はできませんが、葬儀費用の場合は放棄が可能となります。
しかし、相続遺産で葬儀費用を支払っても控除の対象外になる人がいます。
その条件は二つあり、一つ目は制限納税義務者である場合です。
制限納税義務者とは、相続や遺贈が発生した時点あるいは相続、遺贈が発生した時点から遡って5年以内に、日本国内に住所がない人のことです。
二つ目は相続人および包括受遺者以外の場合です。相続人および包括受遺者以外の場合とは、遺言によって特定された財産を遺贈された人を指します。
覚えておきたいこととして、凍結口座からの引き出しについて、があります。
本来銀行口座は名義人が死亡したという連絡が来た場合、口座が凍結されて現金を引き出すことができなくなります。
しかし、2019年の法改正により相続人によって凍結口座からの引き出しの手続きが簡易化されました。
しかし、引き出すにあたって必要な書類と上限金額が定められています。
必要な書類として、本人確認書類や名義人の戸籍謄本などがありますが、金融機関によって異なりますので事前に確認しておくことが大切です。
また、引き出せる金額は法定相続分の三分の一までで、一つの銀行につき150万円までとなっています。
葬儀ローンについてのまとめ
ここまで葬儀ローンの種類やメリット・デメリットについて解説してきましたがいかがだったでしょうか?ここで今までの内容をわかりやすく箇条書きでまとめていきます。
・葬儀ローンとは急な葬儀で支払いができない場合などに利用することができるサービスで、葬儀費用を分割して支払うことができる。
・葬儀ローンには葬儀会社のサービス、金融機関のサービス、クレジットカードの三種類がある。
・葬儀ローンのメリットとして、与信審査が早く基準が比較的緩和されているものが多い。また、上限金額が高額なものが多い。
・葬儀ローンのデメリットとして、ローンの一種のため金利が発生し返済金額がもともと借りた金額よりも高額になる。
・葬儀ローンを申し込む際に注意したいのは金利の設定である。各サービスによって金利が異なるため、比較検討を行ってから申し込むようにすると良い。
・葬儀費用を安く抑えるポイントとして、公営の葬儀場や火葬場を利用する。また、直葬や家族葬を選ぶと良い。
・葬儀費用を補填するために、各種給付金や保険、遺産相続での支払いを検討すると良い。遺産相続での支払いは相続税の控除対象となる項目もあるため、税理士に相談して行う。
葬儀費用を支払えない場合には、各種給付金や葬儀の方法について調べてみましょう。
また、葬儀ローンは与信審査が早く高額な融資が得られるため時間がない場合には葬儀ローンの利用も検討してみると良いでしょう。
【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール