【PR】「丁寧なお葬式を適正価格で」驚きの理由とは?
遺留分

【遺留分は任意請求】不公平な遺言書に打ち勝つ5つの知識を徹底解説

「遺留分って何のこと?」

「遺留分請求って何をどうしたらいいの?」

遺留分は自分が請求しなければもらえません。そのため、不利益なことが起こらないようにするために、状況に応じた『正しい知識』を得ることが最も重要です。

そもそも遺留分とは、該当する法定相続人が最低限もらえる保障された権利のことです。この権利は、遺言書で「あなたに遺産は渡さない」と書かれていたとしても奪えません。

しかし、遺留分を侵害された相続を知ってから1年以内に手続きを行わなければ、請求の権利が失われてしまうのです。

請求できる人は、相続人である以下の人物が挙げられます。


【遺留分の民法で定められた法定相続人】

相続人例 相続財産に対する遺留分の割合 各相続人に対する割当
配偶者 その他の相続人
配偶者のみ 1/2 1/2  
配偶者・子ども 1/2 1/4 子ども:1/4
配偶者・故人の父母 1/2 1/3 父母:1/6
配偶者・故人の兄弟姉妹 1/2 1/2 兄弟姉妹:なし
子どものみ 1/2   子ども:1/2
父母のみ 1/3   父母:1/3
兄弟姉妹のみ なし   兄弟姉妹:なし

例えば、故人が「全財産を長男に!」と遺言を遺していても配偶者は全財産の1/4は受け取る権利があるのです。

さらに、以下のような事例に該当する方が、遺留分請求の権利が与えられるため、泣き寝入りをせずに、堂々と遺留分を請求することができます。

【遺留分請求をするべき事例5つ】

1.自分の兄弟(長男)に遺産全額を譲ると遺言書に書いてあった。

2.生前贈与を受けていたのに、遺産ももらっていた相続人がいる。

3.愛人やその子どもに全額遺産を持っていかれてしまった。

4.配偶者が全額相続。自分は連れ子で一銭ももらえなかった。

5.配偶者がすでに他界し、遺言書はなく長子だからという理由で全額相続してしまった。

また、本記事では、遺留分の事例や説明だけではなく、以下5つの知識についても詳しく解説します。

【遺留分に関する5つの知識】

1.遺留分の該当する法定相続人一覧表

2.遺留分請求を行う3つの流れ

3.遺留分請求を行うなら3つの時効に注意

4.遺留分請求が認められない!必ず確認するべき4つの項目

5.遺留分問題を回避するための方法5つ

遺留分は正当な権利で、必要な知識を正しく理解しておけば、スムーズな請求や解決ができるようになります。

分かりやすく解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。

遺留分とは『最低限もらえる遺産のこと』

遺留分とは『遺留分侵害額請求(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅう)』といい、対象となる法定相続人が不利な遺言に対抗するためにできた法律で、定められた遺産の割合分を受け取れることが決められています。

そのため、遺言書で「あなたに遺産は渡さない」と、弁護士を通して作成していたとしても、遺留分の権利を放棄していなければ、一定の割合分を請求可能なのです。

相手は、正当な遺留分請求をされた場合、拒否することはできません。しかし、あの手この手で遺留分請求から逃れようとしてくる可能性がありますので、十分に注意しましょう。

しかし、遺留分が拒否できないといっても、例外もあります。

遺言書より遺留分が優先!侵害額請求をされる前にできる5つの対策法」では、請求できない事由も紹介しているので、合わせて読んでおいてくださいね。

遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求

遺留分侵害額請求は現法の正式名称であり、旧法では遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)と呼ばれていました。

遺留分で検索すると遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求の2種類の名前が出てくることがありますが、現在では遺留分侵害額請求と呼ばれていますので、しっかりと覚えておきましょう。

【現法と旧法の違い】

  現法 旧法
正式名称 遺留分侵害額請求

(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅう)

遺留分減殺請求

(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)

内容の違い 2019年7月1日以降より、生前贈与は亡くなる前の10年間が対当

※支払いの猶予がある

※原則お金による精算となる

2019年6月30日以前は、法定相続人に与えた生前贈与がすべて対象

※即時返還が求められる

※土地や株式などの現物返還

上記の違いのように、今では土地や株式などの現物返還は認められず、原則金銭での精算となります

調停や訴訟に発展すれば、相続したものが不動産関係なら、相手は土地を売って金銭を用意する必要があるため、支払いにはかなりの時間がかかると思っておきましょう。

また、「 遺留分侵害額(減殺)請求の対象者と割合表|相続の対処法&費用解説」では、遺留分侵害額請求との違いだけでなく、請求時の費用について詳しく紹介しています。

遺留分と法定相続分の違い

遺留分と法定相続分は、勘違いする方も多いですが全く違うものです。法定相続分とは法定相続人に認められている遺産のことで、強制力はありません。

そのため、遺産相続が起こったときに、遺言書がなく相続方法が分からない場合に、相続人全員で遺産分割協議を行い、法定相続分を目安に割合を決めます。

一部の相続人に遺産を渡さないという事実が確認された場合、遺留分請求が行え、遺産を取り戻せるのです。

【法定相続分の順位と相続分例】

相続順位 相続人 相続割合例
必ず相続人 被相続人(遺言作成者)の配偶者 配偶者のみ:財産全額
第1順位 被相続人の子ども(直系尊属) 配偶者:1/2、子ども:1/2
第2順位 被相続人の父母(直系尊属) 配偶者:2/3、父母:1/3
第3順位 被相続人の兄弟姉妹 配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4

法定相続分は、すべての相続人が該当します。上記で紹介した割合も、あくまで目安であるため、相続人全員の同意があれば、自由に遺産を分けられます。

法定相続分の詳しい対象相続人や具体的なケース例については、「 知らないと損!法定相続分の4つのルールと割合を相続プロが簡単解説」で紹介しています。

相続権を持たない人や相続時の注意点も詳しく解説していますので、自分が該当していないかどうかを、必ずチェックしておきましょう。

遺留分の該当する法定相続人一覧表

遺留分侵害額請求ができる人は、被相続人の配偶者と被相続人の子どもや孫である直系卑属、直系尊属の父母や祖父母のみです。

法定相続分とは違い、被相続人の兄弟姉妹や甥や姪は遺留分が認められません。また、順位もないため、民法で以下のように割合が定められています。

【遺留分の民法で定められた法定相続人】

相続人例 相続財産に対する遺留分の割合 各相続人に対する割当
配偶者 その他の相続人
配偶者のみ 1/2 1/2  
配偶者・子ども 1/2 1/4 子ども:1/4
配偶者・故人の父母 1/2 1/3 父母:1/6
配偶者・故人の兄弟姉妹 1/2 1/2 兄弟姉妹:なし
子どものみ 1/2   子ども:1/2
父母のみ 1/3   父母:1/3
兄弟姉妹のみ なし   兄弟姉妹:なし

遺留分を請求する・しないに限らず関係するのが相続税問題です。税金は放置していると加算税を課せられる可能性もあります。

遺留分請求したなら相続税の修正申告をしよう|3つの場面を徹底解説」では、請求する側やされた側のそれぞれ対応方法を紹介していますので、参考にしてくださいね。

【ケース1】第一子に対して配偶者+第二子が遺留分請求


遺言書に第一子である長男に遺産の全額(4,000万円)を渡すとあり、配偶者と第二子である次男が遺留分請求を行いました。

遺産の全額4,000万円で、そこから1/2である2,000万円が遺留分として請求ができますが、相続人が3人いるため、配偶者と子ども2人で分けることになります。

【計算式】

配偶者と子どもが相続人の場合の割合=1/4

配偶者:4,000万円(遺産総額)×1/4=1,000万円

子ども:4,000万円(遺産総額)×1/4÷2人(子どもの人数)=500万円/1人あたり

すなわち、長男が全額相続していたとしても、遺留分計算の際には含められるため、次男は遺産の1/8である500万円を請求できます。

また、配偶者の割合はそのままですが、子どもの割合は兄弟が増えるごとに減ります。たとえば、子どもが3人いた場合は以下のようになります。

【配偶者+子ども3人が相続人の場合の遺留分額】

配偶者(遺産の1/4):1,000万円(そのまま)

子ども:4,000万円×1/4÷3人(子どもの人数)=333万円/1人あたり

【ケース2】第一子が全額相続し、被相続人の兄弟が遺留分請求

配偶者はすでに他界しており、被相続人の遺言書で1人っ子である長女に全額相続させる旨が書かれており、遺言書に則って全額(5,000万円)相続しました。

その後、被相続人の弟である叔父が、「自分にももらう権利があり、1人で相続するなんて非常識だ」と主張してきました。

しかし、被相続人の弟である叔父は、法定相続分の権利はあるものの、遺留分の権利自体がないため、請求したとしても無効となり、遺留分はもらえません。

被相続人の兄弟姉妹の相続問題は、「なぜ遺留分の権利がないのか」と分からない方が多く、突然現れた兄弟姉妹に困惑し、トラブルになる可能性があります。

兄弟に遺留分がない4つの理由&確実に遺産をもらう2つの方法を解説」では、被相続人の兄弟姉妹関係について詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてくださいね。

遺留分請求を行う3つの流れ

遺留分請求を行う具体的な方法と流れは、以下のとおりです。

【遺留分請求を行う3つの流れ】

1.話し合い(交渉)

2.調停を申し立てる

3.訴訟を起こす

流れを知れば、今後何をしなければいけないかが分かり、落ち着いて対処できるようになります。見出しの順番に理解すれば、全体像が分かりますので、ぜひ参考にしてくださいね。

1.話し合い(交渉)


まず最初は、自分の遺留分を侵害している遺産を相続した相続人に対して、「遺留分を侵害されているため、定められた金額を請求する」と主張します。

同時に、相手に決められた金額を払う意思があるかも確認しましょう。このとき、必ず口頭で伝えるのではなく『配達証明付き内容証明郵便』を送り、証明書を残しておきます。

もし、話し合いで支払いの意思が確認され、解決できた場合は、『合意書』を作成して指定した期日と金額を支払ってもらうようにしてくださいね。

本人同士で話し合いをして、解決できるのなら一番費用も時間もかかりませんが、スムーズに解決するためにも、早めに弁護士に依頼するとより安心して話し合いも行えるでしょう。

2.調停を申し立てる


配達証明付き内容証明郵便を送付しても、相手が無視してきたり、話し合いを行っても合意が得られなかったりするのであれば、家庭裁判所で遺留分侵害額請求の調停を申し立てます。

申立書の書類は上記のようなもので、他にも以下の書類が必要となりますので、漏れがないように用意しておきましょう。

【申し立てに必要な主な書類】

必要書類 入手場所
・申立書 裁判所HPで入手可能

参考: 遺留分侵害額の請求調停の申立書

・被相続人の戸籍謄本

(すでに死亡している相続人や代襲相続人がいる場合、出生から死亡まで必要)

被相続人の本籍地にある市区町村役場で入手可能

※過去5年以上さかのぼると時間がかかる可能性がある

・相続人全員の戸籍謄本 各相続人の本籍地にある市区町村役場で入手可能
・遺言書の写し、または検認調書謄本の写し 遺言書の検認期日の通知は、郵便で送られる

または、検認が行われた裁判所で遺言書検認調書謄本の交付申請も可能

・登記事項証明書(相続財産に不動産がある場合、必要) 登記所や法務局証明サービスセンターの窓口

上記の書類を家庭裁判所に提出後、受理され認められると、調停委員を交えての調停が行われるという流れになっています。

3.訴訟を起こす

調停委員との話し合いを行っても、支払いに応じない際は、裁判所にて訴訟を起こします。

相手を訴訟するためには、被相続人が最後に住所があった地域の管轄である地方裁判所、または簡易裁判所に訴状を提出します。

ただし、裁判所は請求金額によって異なりますので、以下の表を確認しておきましょう。

【裁判所の決め方】

・地方裁判所 請求金額が140万円を超える
・簡易裁判所 請求金額が140万円以下

証明ができれば、遺留分請求では裁判所が相続人に対して支払い命令が出せ、差し押さえもできますので、合わせて検討するといいでしょう。

遺留分請求を行うなら3つの時効に注意

遺留分請求を行う場合には、以下3つの時効に注意しなければいけません。期間が過ぎて請求した場合、請求の権利があったとしても無効となってしまいます。

【遺留分侵害額請求に関する3つの時効】

1.遺留分を侵害されていると知った 事実を知ってから1年で権利が消滅時効する

※1年以内に意思表示していれば時効は止まる

2.遺留分を侵害されていると知らなかった 相手が相続してから10年で自動的に権利がなくなる
3.遺留分侵害額請求を行った状態で何もしなかった 5年間何もしなければ、消滅時効する

ただし、2020年3月31日以前の遺留分請求の場合は消滅時効が10年

たとえば、相続人から「あなたには相続させず、私が全額相続します」と知らされていたとします。

しかし、1年間何もせず1年後に遺留分侵害されていたと主張したとしても、時効を迎えているため、遺留分請求の権利はありませんので注意してくださいね。

遺留分請求が認められない!必ず確認するべき4つの項目

遺留分請求は正しく行えば必ずもらえるものですが、何か1つでも抜けていたり、間違えていたりした場合、減額や無効となる可能性があります。

そうならないために、以下4つの項目を確認しましょう。

【遺留分請求で確認するべき4つの項目】

1.遺留分請求の権利を持っている

2.遺留分の時効(最長10年)を迎えていない

3.請求する遺留分額が正しいか

4.10年以内に生前贈与を受けていない

今回は、確認するべき順番に紹介しますので、流れに沿って必要事項を確認すれば、不利な状況も回避できますので、参考にしてくださいね。

1.遺留分請求の権利を持っている


何よりも一番最初に、自分に遺留分請求の権利があるかを確認してください。請求の権利がある相続人は、以下の表を参考にしましょう。

【遺留分の権利表】

権利の有無 相続人
被相続人(遺言作成者)の配偶者
被相続人の子ども(直系尊属)
被相続人の父母(直系尊属)
× 被相続人の兄弟姉妹

遺留分の権利を持っている相続人は、配偶者や子ども・孫といった直系卑属と直系尊属の父母や祖父母であり、内縁の妻や被相続人の兄弟姉妹には遺留分は認められません。

自分がどの立場に当たるのかをしっかりと把握して、主張を無効化されないようにしましょう。

2.遺留分の時効(最長10年)を迎えていない

遺留分の時効である最長10年を迎えていないかを確認しましょう。時効については上記の見出し「遺留分請求を行うなら3つの時効に注意」で詳しく紹介しています。

時効は法律で定められているため、「相手がいつ相続したのか」「遺留分侵害を受けているといつ知ったのか」をしっかりと把握しておきます。

万が一、相手がすでに相続していたにも関わらず、事実を知らずに10年経過していた場合は、時効を迎えているため、主張したとして無効にされてしまうので注意してくださいね。

3.請求する遺留分額が正しいか

自分が請求する遺留分額が正しいかを確認します。不安がある場合は、専門家である弁護士に依頼しましょう。


基本の計算は非常に簡単です。しかし、相続を開始前に行われた過去10年以内の生前贈与(不動産や金銭による援助など)があった場合、遺留分額から引かれることが一般的です。

【遺留分の民法で定められた法定相続人】

相続人例 相続財産に対する遺留分の割合 各相続人に対する割当
配偶者 その他の相続人
配偶者のみ 1/2 1/2  
配偶者・子ども 1/2 1/4 子ども:1/4
配偶者・故人の父母 1/2 1/3 父母:1/6
配偶者・故人の兄弟姉妹 1/2 1/2 兄弟姉妹:なし
子どものみ 1/2   子ども:1/2
父母のみ 1/3   父母:1/3
兄弟姉妹のみ なし   兄弟姉妹:なし

たとえば、遺産総額が5,000万円を配偶者が全額相続し、被相続人の子どもが遺留分請求した場合、総額の1/2である2,500万円を配偶者が子どもに支払わなければいけません。

法律が関わる計算はややこしい部分が多く、減額や無効化されないためにも、できれば弁護士を入れて正しく計算してもらうことをオススメします。

4.10年以内に生前贈与を受けていない

過去10年以内に被相続人から生前贈与を受けていなかったかどうかを確認します。もし、生前贈与が行われた事実があった場合、減額される可能性が高くなります。

そもそも生前贈与とは、被相続人が存命のときに、身内やお世話になっている人に対して、財産を無償で渡すことをいい、以下のようなものが該当します。

・不動産や金融資産

・特別受益(とくべつじゅえき)※にあたる生前贈与(婚姻や養子縁組・生計時の資本金、生命保険が該当)

・遺留分を侵害すると知ってから行われた贈与など

※特別受益:特定の相続人が被相続人から受け取った利益または財産のこと。

上記のようなものを受け取っていた場合、生前贈与に当たり、遺留分から減額されます。金額が大きければ、無効となる可能性もあるでしょう。

相手が弁護士に相続財産調査を依頼すると分かってしまうので、必ず正しい金額を調べて請求するようにしてくださいね。

遺留分問題を回避するための方法5つ

そもそも遺留分問題を起こさないために、以下5つの回避方法を紹介します。

【遺留分問題を回避する方法5つ】

1.遺言書作成の段階で遺留分を考慮した内容にしてもらう

2.生前贈与を行っておく

3.相続人を増やす

4.予め遺留分を放棄してもらう

5.司法書士または弁護士を選任しておく

問題が起こらなければ、遺留分の請求といった精神的苦痛や手間もかかりません。ここでは簡単に行えて、オススメの順番に解説します。

どんなに回避したとしてもトラブルに発展してしまう方は、「 遺言書より遺留分が優先!侵害額請求をされる前にできる5つの対策法」で対策法も紹介していますので、参考にしてくださいね。

1.遺言書作成の段階で遺留分を考慮した内容にしてもらう

遺言書を作成する段階で、付言事項(ふげんじこう)である「相続人の指名・分け方・理由」を記載しておきます。

付言事項とは、相続人へ宛てたメッセージのことです。相続人になぜ遺産を渡したいのか理由を書き、自分の思いを伝えることで、遺言書の内容を理解してくれるかもしれません。

ただし、付言事項には法的効力がありません。遺留分侵害をされる相続人へのお願いとなり、絶対的な約束ではないので、注意が必要です。

遺言書についてだけではなく、効力を高める方法について、「 遺言書の効力と4つの無効なケースを解説!納得いかない場合の相談先」で紹介していますので、ご参照ください。

2.生前贈与を行っておく

生前贈与を行い、遺産額を減らすことで遺留分も減額できます。しかし、年間110万円以上を渡すと課税対象になってしまいます。

贈与目的で非課税枠になるものを、以下簡単にまとめましたので参考にしてくださいね。

【生前贈与で非課税対象のもの】

種類 贈与限度額
教育資金 1,500万円まで
結婚や子育て資金 1,000万円まで
住宅資金 省エネ住宅:1,000万円まで

その他住宅:500万円まで

生命保険 1人あたり500万円まで

ただし、相続を開始した日から過去10年以内に行われた生前贈与は、遺留分請求に含まれてしまうので、注意が必要です。

そのため、できる限り早い段階から対策はしておくことをオススメします。

3.相続人を増やす

相続人を増やすことは相続分が減ってしまいますが、同時に遺留分も減額できます。

たとえば、養子縁組で子ども1人だったところを2人に増やした場合、遺留分請求の割合(参照:遺留分の該当する法定相続人一覧表)を2人で分けるため、減額できるのです。

遺産を渡したい人(子どもの奥さんや孫など)と養子縁組をすると、遺産を渡したくない人の相続分も減らせて、相続税対策にもつながるため、オススメの方法ともいえます。

しかし、親子関係を形成する意思がない場合は、無効になる可能性があるので、行う際には入念な準備が必要です。

4.予め遺留分を放棄してもらう

予め遺留分請求をしそうな相続人に、遺留分放棄してもらえば問題は起こりません。被相続人が生前の内に、遺留分放棄するように話し合いを行いましょう。

被相続人の死後に行う場合は、相続人へ「遺留分を請求しない」と意思表示するだけで問題ありません。

しかし、被相続人が生前に遺留分放棄するときは、必ず家庭裁判所で「遺留分放棄の許可」を受ける必要があります。

そのため、以下のような例に該当するとどんな理由があったとしても、許可が下りない可能性がありますので注意が必要です。

【家庭裁判所の許可がおりない例】

・遺留分を放棄する合理的な理由がある

・相続人に相当な対価(生前贈与)が与えられている

上記の例のように、家庭裁判所は一方的な遺留分放棄は認めません。必ず、侵害される本人が遺留分放棄をしなければいけませんので、無理矢理は絶対に行わないようにしましょう。

5.司法書士または弁護士を選任しておく

司法書士または弁護士を選任しておくと、遺言書を執行するときに、実現しやすくなります。

被相続人の死後に遺言の内容を執行する人のことを遺言執行者といい、必要な手続きを行います。未成年や破産者などの身元が不安定な人以外は、誰でもなれます。

身内を遺言執行者にする方も多いですが、親族同士でのトラブルが起こりやすくなってしまうため、可能であれば法の専門家である司法書士や弁護士に依頼しましょう。

プロが関われば、相続問題を想定して動いてくれ、関係するすべての相続人が納得しやすくなります。

しかし、専門家への依頼はかなりの費用がかかります。詳しい選任方法や費用は「 遺言執行者の役割と流れ!事前に知っておくべきメリット&デメリット」を参考にしてくださいね。

遺留分で困ったときの相談先3選

遺留分請求をすることに限らず、請求される側や遺留分で不安な部分があるのであれば、以下3つの相談先に話してみましょう。

3つの相談先 費用目安 特徴
1.弁護士

5,000円~(30分)

※初回相談のみ無料の事務所もある

法的に有効で、内容的に適切な遺言書をスムーズに作成することができる。
2.行政書士

0円

※初回相談のみ

遺言書の文案・内容についての細かいアドバイスがもらえる。作成費用は弁護士より安い。
3.無料相談を利用して専門家を紹介してもらう

0円

※初回相談のみ

どの専門家にお願いすればいいのかなどのアドバイスがもらえる。

遺留分は法律だけではなく相続税といった税金も関わり、非常に複雑です。自分だけで解決しようとすると、知識不足で損をしてしまう可能性もあります。

ここでは、相談先としてオススメな順番に紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

1.弁護士に相談しよう

遺留分請求が起こる前の遺言書の作成段階で、相続に対して不安を感じるなら、予め弁護士に相談しておくとスムーズです。

遺産は、必ずしもプラスなものとは限りません。マイナスの遺産でも被相続人名義のものは、相続対象となります。

さらに、金額や遺産の種類などによっては、弁護士に依頼した方が早く相続問題を解決できるようにもなります。

とはいえ、弁護士にも得意分野があるため、どこに依頼してもいいわけではありません。

知らないと損をする!相続弁護士を選ぶ9つの要点と費用を抑える準備」では、相続に強い弁護士の選び方を紹介していますので、合わせて読んでおきましょう。

2.遺言書の段階なら行政書士に相談しよう

遺言書の作成だけが現状問題となっている場合は、行政書士に相談してください。弁護士よりも気持ち的に依頼しやすく、費用も格段に安くすみます。

ただし、遺言書作成の相談や代行を請け負っている事務所でないと依頼できないため、電話やホームページを確認し、問い合わせするとより安心です。

検索エンジンで「行政書士 遺言書 〇〇(お住まいの地域名)」で検索すると、近くで遺言書を扱っている行政書士事務所が出てきますので、試してみてくださいね。

3.無料相談を利用して専門家を紹介してもらおう

弁護士や行政書士を探すのが大変だったり、依頼しにくいと感じたりする方は、「無料相談」を利用するのをオススメします。

たとえば、「抱えている問題はどこに相談するべきか」「遺留分について聞きたい」などの疑問も『 やさしい相続』の24時間365日無料相談で承っています。

電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。しつこい勧誘等も行いません。大切なことだからこそ、丁寧に・確実に進めていきましょう。

まとめ【正しい知識で確実な遺留分請求をする】

遺留分は自分が請求しなければもらえません。しかし、対象となる相続人が請求すれば、確実にもらうことができる権利です。

この法律は、対象となる法定相続人が不利な遺言に対抗するためにできた法律で、定められた遺産の割合分を受け取れることが決められています。

対象となる相続人ともらえる割合は、以下の表のとおりなので、自分が対象かどうかを調べておきましょう。

【遺留分の民法で定められた法定相続人】

相続人例 相続財産に対する遺留分の割合 各相続人に対する割当
配偶者 その他の相続人
配偶者のみ 1/2 1/2  
配偶者・子ども 1/2 1/4 子ども:1/4
配偶者・故人の父母 1/2 1/3 父母:1/6
配偶者・故人の兄弟姉妹 1/2 1/2 兄弟姉妹:なし
子どものみ 1/2   子ども:1/2
父母のみ 1/3   父母:1/3
兄弟姉妹のみ なし   兄弟姉妹:なし

遺留分請求をする流れは、以下の順番に行います。

【遺留分請求を行う3つの流れ】

1.話し合い(交渉)

2.調停を申し立てる

3.訴訟を起こす

しかし、流れを把握していても、以下3つ時効の内1つでも当てはまれば、どんなに正しい請求をしたとしても無効となりますので、注意が必要です。

【遺留分侵害額請求に関する3つの時効】

1.遺留分を侵害されていると知った 事実を知ってから1年で権利が消滅時効する

※1年以内に意思表示していれば時効は止まる

2.遺留分を侵害されていると知らなかった 相手が相続してから10年で自動的に権利がなくなる
3.遺留分侵害額請求を行った状態で何もしなかった 5年間何もしなければ、消滅時効する

ただし、2020年3月31日以前の遺留分請求の場合は消滅時効が10年

さらに、請求時には以下の項目も確認します。以下の項目に該当する場合、減額または無効になりますので、必ずチェックしましょう。

【遺留分請求で確認するべき4つの項目】

1.遺留分請求の権利を持っている

2.遺留分の時効(最長10年)を迎えていない

3.請求する遺留分額が正しいか

4.10年以内に生前贈与を受けていない

遺留分請求は、精神的にも肉体的にも大変なことです。そのため、初めから遺留分問題が起こらないように対策をしておくことも大切です。

【遺留分問題を回避する方法5つ】

1.遺言書作成の段階で遺留分を考慮した内容にしてもらう

2.生前贈与を行っておく

3.相続人を増やす

4.予め遺留分を放棄してもらう

5.司法書士または弁護士を選任しておく

どんなに知識を持っても不安が解消されないときや、相手が納得してくれないときは、迷わず上記の見出し『遺留分で困ったときの相談先3選』で紹介したところに相談しましょう。

今の不安を解消しながら、後悔のない遺留分請求を行なってくださいね。

関連KW

遺言書より遺留分が優先!侵害額請求をされる前にできる5つの対策法

遺留分侵害額(減殺)請求の対象者と割合表|相続の対処法&費用解説

知らないと損!法定相続分の4つのルールと割合を相続プロが簡単解説

遺留分請求したなら相続税の修正申告をしよう|3つの場面を徹底解説

兄弟に遺留分がない4つの理由&確実に遺産をもらう2つの方法を解説

遺言書より遺留分が優先!侵害額請求をされる前にできる5つの対策法

遺言書の効力と4つの無効なケースを解説!納得いかない場合の相談先

遺言執行者の役割と流れ!事前に知っておくべきメリット&デメリット

知らないと損をする!相続弁護士を選ぶ9つの要点と費用を抑える準備

問い合わせ先の画像

無料資料の請求バナー

【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

プロフィール

運営会社

会社概要

会社名 LDT株式会社
Life Design Technologies co.,Ltd


https://le-tech.jp/
資本金 11,930万円(資本準備金含む)
代表取締役 白石 和也
設立 2019年9月
所在地 〒105-0004
東京都港区新橋5丁目23-10片山ビル6階
TEL:0120-538-175
FAX:03-6800-5820
事業内容 AgeTech(エイジテック)プラットフォーム事業
AgeTech(エイジテック)関連のソフトウェア開発・提供事業
AgeTech(エイジテック)関連のコンサルティング事業

企業理念

ライフエンディング(葬儀)の後悔をなくす

私たちは超高齢社会に適した情報インフラとサービスインフラを構築することにより、人々のQOLの向上に寄与し、社会に貢献し続けます。

やさしいお葬式

「丁寧なお葬式を適正価格で」

私たちは後悔のない終活の
サポートに全力を注ぎます。

私たちはお客様がご納得いただける
まで真摯に向き合います。

私たちはお客様の「ありがとう」を
仕事のやりがいにします

私たちは誰もが知っていて誰もが
使いやすく誰もがなくては困る
そんなサービスを提供し続けます

私たちはこの仕事に誇りを持っています

やさしいお葬式監修

葬祭ディレクターとして10年以上培った経験を活かし、多様化する価値観の中でご相談者様にとって
どのようなご葬儀を選択することがよいのかを丁寧にヒアリングさせていただき、ご提案いたします。

お葬式セミナー講師
エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。