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遺言,書,効力

遺言書の効力と4つの無効なケースを解説!納得いかない場合の相談先

「遺書に書いてあることは絶対的な効力があるの?」

「有効な遺書かどうか知りたい」

「遺書の内容に納得がいかない!どこに相談したらいいの?」

遺言書があるからといって、効力は絶対ではありません。

遺言書の作成については民法に規定があり、正しく書かない場合は、全て無効、または一部無効になるリスクがあるからです。

効力のある遺言書を作成するには、「法的効力のある遺言書の種類」と「3つの条件」を必ず抑えておくと、リスクを軽減することができるでしょう。

【法的効力のある7つの遺言書】

種類 特徴
1.自筆証書遺言 自筆で書かれた遺言書
2. 公正証書遺言 公証役場で公証人に作成してもらう遺言書
3.秘密証書遺言 遺言の存在が公証人によって証明される遺言書
(特別方式遺言)

4.一般危急時遺言

5.難船危急時遺言

6.一般隔絶地遺言

7.船舶隔絶地遺言

死の危機が迫っており、署名や押印が難しい状況下で作成する遺言書

※各項目をクリックすると、詳細記事が表示されます。

且つ、遺言書が法的効力を持つために欠かせない3つの条件を備える必要があります。

1.意思能力のある満15歳以上か

2.成年後見人の場合は条件がある

3.決められたルールに沿って作成されているか?

これらを踏まえた上で、遺言書の効力が決まりますが、これですべてが丸くおさまるとは言い切れません。特に、遺産相続は複雑になりやすく、協議が難航する場合もあるからです。

遺言書には「財産の分配方法」という非常に大切な情報が詰まっており、故人の最後の意思を記載したものなので、法的な争いに発展することもあります。

実際、記述されている内容への異議や、作成の経緯が疑わしいなどの理由により、遺言書の効力について相続人同士が争うケースが後を絶ちません。

令和2年に東京家庭裁判所へ遺言書の検認で2,995件の申し立てがありました。(引用先: ベリーベスト法律事務所 立川オフィス

そこで本記事では、法的効力のある遺言書だけでなく、無効になるケースや記述内容に納得が行かない場合の対処法までをご紹介致します!

遺言書があるからといって有効であるかどうかは別の話になります。遺言書の効力について知っておくことで、記述内容についての遂行、または、異議申立てについて正しい判断ができるでしょう。

遺言書の効力は「絶対」ではない

遺言書があるからといって、絶対的な効力があるとは言えません。なぜならば、法律で決められた方式で書かれた遺言書でないと効力がなくなるからです。

例えば、遺言書以外のビデオやボイスレコーダーで録音した音声には法的効力はありません。さらに、遺言書の記載方法についても「法律の定める方式に従わなければならない」と法律上で明記されています。( 民法960条)実際に遺言書が「無効」になるケースはよくあります。

つまり、遺言書に確実に効力を持たせたい場合は、「法的効力のある遺言書」に「正しい条件」で記載する必要があるのです。

法的効力のある7種類の遺言は以下の通りです。使用される頻度が高い順にご紹介致します。

1.公正証書遺言

2.自筆証書遺言

3.秘密証書遺言

4.一般危急時遺言

5.難船危急時遺言

6.一般隔絶地遺言

7.船舶隔絶地遺言

また、遺言書が法的効力を持つために欠かせない3つの条件も合わせて理解しておくことで、より遺言書の効力についての知識を深めることができるでしょう。

1.意思能力のある満15歳以上か

2.成年後見人の場合は条件がある

3.決められたルールに沿って作成されているか?

法的効力のある7種類の遺言書

遺言書には「普通方式」と「特別方式」の2つの方式があり、「特別方式遺言」以外は全て「普通方式」になります。

【普通方式】

  1. 公正証書遺言 2.自筆証書遺言 (自筆証書遺言

保管制度)

3.秘密証書遺言
概要 公証役場で公証人と一緒に作成する遺言。保管をしてもらえる。 遺言者が自筆で作成した遺言 2020年より始まった「自筆証書遺言」を保管するための制度 自作の遺言書の存在だけを公証役場で証明してもらう遺言。
書き方 公証人が作成 全文を自筆

※財産目録はパソコン可

全文を自筆

※財産目録はパソコン可

パソコンで作成

※署名は必要

費用 財産の価値に応じた手数料 0円 3,900円~ 11,000円
証人 2人以上 不要 2人以上
内容不備の
可能性
公証人が作成するため低い あり あり あり
紛失リスク なし あり なし あり
秘匿性 公証人には内容を知られる 存在と内容 内容のみ 内容のみ
改ざんリスク なし あり なし なし
代筆 本人のみ 代筆可
裁判所の検認 不要 必要 不要 必要

※各項目をクリックすると詳細記事が表示されますので、合わせてご参考ください。

【特別方式遺言】

  一般危急時遺言 難船危急時遺言 一般隔絶地遺言 船舶隔絶地遺言
概要 病気や怪我などにより、生命の危機が迫っている状態で作成する遺言。 船舶遭難者が死亡の危機に差し迫っている場合にする遺言。 伝染病や行政処分等により隔離された人ができる遺言方式。 船舶の中にいる場合に認められた遺言方式。
書き方 証人のうちの一人に口頭で遺言を伝えて書いてもらい、その他の証人が署名を行う。 証人のうちの一人に口頭で遺言を伝えて書いてもらい、その他の証人が署名を行う。 遺言者が作成。 遺言者が作成。
証人 証人3人以上の立ち会いが必要。 証人2人以上の立ち会いが必要。 警察官1人及び証人1人以上の立ち会いが必要。 警察官1人及び証人2人以上の立ち会いが必要。
代筆 あり あり なし なし
裁判所の検認 必要 必要 不要 不要

自筆証書遺言

自筆で書かれた遺言書で、自筆で名前や日付・遺言の内容を記した後に押印するという書き方です。自筆が条件のため、パソコンなどのデータは無効となります。

ただし、2019年1月の法改正により、財産目録はパソコンなどで作成したものでも自筆での署名と押印があれば有効となりました。

自分で作成ができるなど、手軽で良いですが、形式不備により無効となる可能性もあるので、事前に形式や書く内容について確認が必要です。

有効な自筆証書遺言の書き方や形式については、「【自筆証書遺言】有効にするための必須要件と書き方・注意点を全解説」の記事で詳しく解説してあるので事前にご一読ください。

また、財産目録についても書き方のポイントを押さえておくとスムーズです。 「財産目録」の書き方のポイントは5つだけ!簡単な作成のコツを解説の記事を参考にしましょう。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、遺言をする人(遺言者)から遺言の内容を伝えられた公証人が筆記し、公正証書による遺言書を作成する形式の遺言書です。

遺言書をミスなく作成した上で、安全に保管したいという方にとってオススメできる形式と言えるでしょう。

より正確な情報を知りたい方は、公正証書遺言の書き方から流れや費用までを網羅している「 専門知識不要!自分で作れる公正証書遺言作成の流れと費用・必要書類」の記事が参考になります。ご一読いただき、選択肢の一つとしてご検討ください。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者が作成した遺言書を公証人と2人の証人にその存在を証明してもらう形式の遺言書です。

遺言状の内容自体は秘密にしておくことができます。ただし、不備があっても開封までは気付けないため、無効になるリスクが高いです。

秘密証書遺言のメリットをしっかりと押さえてから検討したい方は「秘密証書遺言の特徴と費用!他遺言との違いと作成時の注意を徹底解説」の記事も合わせてお読みください。

特別方式遺言

普通方式の遺言書とは違い、他界が近い緊急時や、事故や伝染病などにかかり外界と隔離されている状態であるなどの特殊なケースに置かれている場合に適用されます。(民法第983条)

特別方式は以下の4つの形式です。

特別方式 内容
一般危急時遺言 ・病気やその他の理由で死亡の危機に迫られている場合に、3名以上の証人の立会いの下、できる遺言。

・死期が迫っており、自ら署名押印ができないため、証人のうちの1人が遺言を書面化し作成する。

・遺言者による自署や書面作成は不要だが、証人全員の署名・押印が必要。

・家庭裁判所への申述も必要。

難船危急時遺言 ・遭難中の船舶の中で死亡の危機に迫られた場合には、証人2人以上の立会いの下、口頭で遺言をすることができる。

・遺言者の自署や書面作成は不要だが、証人全員の署名・押印が必要。

・家庭裁判所への申述も必要。

一般隔絶地遺言 ・伝染病や行政処分や刑事処分(懲役刑の宣告等)等により交通や外界との接触を断たれた場所にいる者が作成できる遺言。

・警察官1名と証人1名以上の立会いの下で遺言をすることができる。

・遺言者の自署及び書面作成並びに、証人全員の署名・押印が必要。

船舶隔絶地遺言 ・船舶中にいて外界から隔絶されている者は、船舶関係者1人、及び証人2人以上の立会いの下、作成できる遺言。

・遺言者の自署及び書面作成、並びに証人全員の署名・押印が必要。

これらはあくまでも緊急時の特別措置のため、遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から6ヶ月間生存する時は、無効となることが民法で定められています。

遺言書が法的効力を持つために欠かせない3つの条件

遺言書にはさまざまな種類がありますが、法的効力を持つために以下の欠かせない3つの条件があります。

1.意思能力のある満15歳以上か

2.成年後見人の場合は条件がある

3.決められたルールに沿って作成されているか?

意思能力のある満15歳以上か

遺言は15歳以上から作成できるため、14歳以下の遺言は無効です。保護者が法定代理人として、15歳未満の遺言書を作ることもできません。(民法第961条)

両親や代理人など、第三者による許可は必要ありませんが、正常な判断能力を持っていなければならないという条件もあります。

さらに、遺言者の真意に基づくものでなければ、遺言は無効です。脅迫されたり騙されたりして書いたものは無効になります。

成年後見人の場合は条件がある

成年後見人とは、認知症や精神障害、知的障害などにより、判断能力が不十分になった人をサポートする役割を持つ人のことです。

原則として、遺言者に認知症等の症状があり「常に判断力が乏しい」という状態の場合は遺言状を作成することはできません。しかし、症状の程度によっては作成が可能です。

例えば「認知症等の症状はあるが判断力が戻る時がある」というような場合は、2名以上の医師に証人として立ち会ってもらうことで遺言状を作成することができます。

もし、作成後に症状が悪化したとしても、「遺言状の作成時には問題がなかった」ということで効力を発揮するのです。

成年後見制度を利用するにあたって、5つのメリット、4つのデメリットがあります。

5つのメリット 4つのデメリット
・不利益になる契約を防ぐことができる

・契約を結んでしまっても、後から解消できる

・財産を詐欺や家族の使い込みから守ることができる

・被後見人の判断能力が不十分でも必要な手続きや契約を進めることができる

・相続発生時に財産の把握ができる

・義務が発生し、手間がかかる

・途中でやめることができない

・柔軟な対応が難しくなる

・専門家が後見人になった場合は継続的に費用がかかる

成年後見人制度についての説明や必要な鉄dき、費用の紹介などの詳しい解説は、「 成年後見人の役割を解説!手続きと費用・メリットとデメリットも紹介」をご一読ください。

決められたルールに沿って作成されているか?

遺言状に記載する内容や、作成方法自体がルールに沿っていないと遺言状は無効になります。

特に自筆証書遺言の場合は、全てを自分1人で作成しなければいけないため、記載内容に不備があってもそれを訂正してくれる人がいません。

【自筆証書遺言を無効にしない5つのチェックポイント】

1.自筆で記載 ・全ての文面を自筆で記載する

※財産目録のみPC可

2.署名・押印する ・署名はフルネームで正しく記載する。押印は認印・実印のどちらでも可
3.日付を記載する ・「◎◎年□月×日」と記載する

あるいは「満70歳の誕生日」という記載方法でも可

4.訂正の方法に気をつける ・間違えた部分に二重線を引く

・その線の上に訂正印を押す

・その近くに正しい文章を記載する

・遺言状の最後に「訂正した箇所」「削除文字数」「追加文字数」を記載して完了

5.2枚以上になる場合 ・ホッチキスなどで留めて、「契印(けいいん)」※

・契印をしていない遺言状が無効になることはない

あくまでも念のための処置だが、押印する方が良。

※契印=2ページにまたがって印鑑を押すこと

上記の具体的なチェックポイントが記載された「 遺言状を完全解説!種類・書き方・扱い・効力を紹介!」の記事が役に立ちますので、あわせてお読み下さい。

「無効」になる遺言書4つのケース

法的に有効で正しく書かれた遺言書であっても無効になるケースもあります。4つのケースに当てはまるものは無効の可能性があるので事前に確認しておきましょう。

1.共同遺言

2.代理遺言

3.遺留分の侵害

4.自筆ではない(自筆証書遺言の場合)

共同遺言

基本的に遺言書は「遺言者1人につき1通」のみ作成することができます。たとえ夫婦だとしても共同で遺言を作ることを禁止しています。(民法第975条)

共同遺言を禁止している理由は、遺言を撤回するのが難しくなるからです。遺言は他の人の意見や考えに左右されずに自分で決めるべきものとされています。

もし2人以上で遺言を作ってしまうと、遺言の撤回や変更の際に他の遺言者の承諾が必要です。遺言者の自由を奪うので、共同遺言は無効となっています。

代理遺言

自筆証書遺言では代筆が禁止されているため、当然「遺言者が以前話していた遺産の話を代理で記載する」ということもできません。

遺言者の話した内容とズレが生じる、または悪意を持って改ざんされてしまう可能性を防ぐためです。

秘密証書遺言や特別方式遺言など、特定の遺言書は代筆が可能です。

遺言と一言にいっても種類や、効力があり、書き方にも決まりがあります。知らないで作成して無効にならないように「 遺言書を完全解説!種類・効力・扱い時・費用を紹介!」、「

遺言書の書き方を完全解説!効力・有効な遺言書の書き方を紹介!」の記事を事前に読まれておくことをオススメします。

遺留分の侵害


遺留分とは、『一定範囲の相続人に認められた、最低限保証される遺産取得分の制度(遺言があることが前提)』です。

遺言書に不公平な内容が遺されているなどの場合は、返還請求をすることもできます。遺留分は、『遺言の内容よりも強い権利』になり、最低限の遺産を相続できると言えるでしょう。

例えば、遺言書に「長男に全財産を譲る」と記載があったとしても、配偶者は遺留分として4分の1の1,000万円を、次男は8分の1の500万円を受け取る権利があります。長男に対して、合計1,500万円の遺留分の請求ができます。

遺留分には受け取れる人の範囲や割合があります。遺留分の計算や侵害された場合の解決策など「 遺留分のもらえる範囲と割合!遺産を損なく受け取れる3つのポイント」の記事で詳しく解説しています。お読みいただき事前に内容を把握することをおすすめします。

自筆ではない(自筆証書遺言の場合)

自筆証書遺言は、名前の通り本人の自筆でなければなりません。自筆でない場合以外にも、無効となる主なケースは以下の通りです。

・作成日の記載がない

・署名・押印がない

・相続財産の内容が不明確

自筆証書遺言では、令和○年○月○日といったように、明確に日付を入れないと無効となります。自筆の署名、押印も必須です。遺言書の作成に使用する印鑑の指定はありませんが、偽造防止の観点から実印の方が良いでしょう。

財産目録のみ、パソコンでの作成が許可されています。財産分与をあいまいな表現にしてしまうと、遺産分割協議の際に難航を極めることにもなりかねません。第三者が読んだ時に、明確でわかりやすいものかを意識して作成することをオススメします。

遺言書の内容に納得がいかない場合の2つの対処法

遺言書の内容に不公平があり、納得いかない場合もあるでしょう。そのような場合は、下記2つの対処法が有効です。

1.相続人や受遺者※と協議する(※故人の財産を譲り受ける人)

2.遺言無効確認の訴えを提起する

相続人や受遺者と協議する

遺言書があっても、「相続人全員の同意」があれば別の方法で遺産分割も可能です。

例えば、「長女にすべての遺産を相続させる」と指定されていても、長女を含めた相続人全員が納得すれば、兄弟で等しく分けられます。

内容に不公平な遺言が出てきた場合は、まず相続人同士でしっかり話し合うことが望ましいです。それが難しい場合や、どうしても合意に至らない場合は、遺言書の無効を裁判所へ訴えることを検討しましょう。

遺留分を侵害された時に行う遺留分侵害額(減殺)請求を成功させるための注意点や、請求で取り戻せる遺留分割合の計算方法があります。詳しくは、 遺留分侵害額(減殺)請求を成功させる全情報!手続き~割合・注意をご一読ください。

遺言無効確認の訴えを提起する

遺言が無効であることを裁判所に認めてもらう「遺言無効確認請求訴訟」を起こせます。それには、まず遺言の無効性を認めてもらう要素を見つける必要があり、専門家に相談して進めることが良いでしょう。

ただし、訴訟に至るまでには一定の時間と費用がかかることを覚えておいて下さい。訴訟提起までの準備に数ヶ月、第一審で1~2年程度、控訴審で半年~1年程度、上告審で半年程度かかります。

さらに、遺言が無効と判断された場合は、そこから遺産分割協議を行う必要があり、1~2年はかかるため、解決までに数年を要する場合がほとんどです。

遺言無効確認請求訴訟にかかる費用は法律事務所によって異なります。一般的には「 (旧)日本弁護士連合会報酬等基準」に従い、遺言が無効と判断された場合に得られる経済的利益(遺産)を基準に計算するケースが多いでしょう。

例えば、経済的利益(遺産)が1500万円の場合、着手金は84万円、報酬金は168万円になります。その他に、控訴審などの各種手続きが発生した場合、その都度、追加で費用が発生します。

相続の内容で困った時の相談先2つ

遺言書に記載されている相続の内容について、相談したいと思っても、どこに相談したら良いのかわからないという方は多いです。

相続の相談先は主に2つあり、「専門家へ依頼」、「無料相談を利用する」です。

弁護士や行政書士の伝手がない人や、いきなりの依頼は不安やハードルが高いと思われる方は、まずは無料相談を利用してみるのもオススメです。「無料相談を利用して専門家を紹介してもらう」でご紹介しています。

専門家へ依頼

専門家が扱える内容や、メリット・デメリットがあります。特性を知り、最適な相談先を決めましょう。

  1.弁護士 2.司法書士 3.税理士
費用 10万円~ 3~5万円 相続遺産金額の0.5~10%
メリット ・各種書類の準備や申し立て作業など、検認に必要な一切の作業をまるごと依頼できる

・相続のアドバイスもしてもらえる

・他の専門家に比べて費用が安い

・財産の名義を相続人に変更する「相続登記」手続きができる

・不動産屋、預貯金、株式の資産について相談できる

・相続税の節税対策を教えてもらえる
デメリット ・費用が高額になりやすい ・相談内容が登記に関することのみ ・税金に関連のみ

・相続遺産が高額なほど、費用が高くなる

弁護士

相続に関するお悩みは、相続に詳しい弁護士に相談しましょう。特に、相続トラブルは、裁判を見据えた対応が必要になることがあります。

相続の内容が複雑であればあるほど、自力で何とかしようとせず、弁護士の力を借りたほうがスムーズに解決できるでしょう。特に遺産相続に関するものは、相続法に関する高度な法律知識、税務や紛争解決の手続きに関する知識が必要となります。

相続に関する相談を弁護士にすべき5つの理由は

1.遺産相続の専門知識がないと損をする

2.親族間の対立を緩和する

3.必要な法的手続きが取れない

4.面倒な手続きを自分でしなければならない

5.納得できない結果に終わってしまう

親族間での言い争いなどで、解決に時間を要する場合もあり、ストレスがかかるものです。弁護士は裁判に参加することができるため、相続人同士の交渉の代理人になれるので、余計なストレスを抱えずに行いたいものです。

弁護士に相続トラブルの解決に関する相談には以下の費用がかかります。

費用の種類 概要 費用相場
相談料 遺産争いの相談にかかる費用 無料、もしくは約5,000円~(30分)
着手金 弁護士が遺産分割や調停に着手した場合の費用 20~30万円
報酬金 遺産争いが解決した場合に発生する費用 経済的利益や着手金相場によって変動
実費 印紙代や切手代、交通費など 1~10万円
日当 出張費用 約5万円

参考: 「相続会議」朝日新聞社

相談料の相場は30分で約5,000円程度ですが、初回相談無料という事務所もあります。

複数の弁護士事務所に見積もりをもらって、費用・実績を比較するのもよいでしょう。

相続に強い弁護士の選び方や、弁護士を決める際のポイントを知っておくことが必要です。弁護士に依頼する際の流れまでを解説した、「 知らないと損をする!相続弁護士を選ぶ9つの要点と費用を抑える準備」の記事が役に立ちますので、お読みください。

司法書士

司法書士には遺言執行報酬の規定がありません。「30万円~」または「相続財産価額の1%」という事務所が多いようです。

司法書士を選ぶ最大のメリットは、不動産登記がある場合、遺言執行がスムーズです。登記の専門家であり、相続財産に不動産が多い場合には司法書士を遺言執行者として検討してみるのもいいでしょう。

司法書士と弁護士では請け負える業務の範囲が異なります。選ぶポイントは、相続に関するトラブルが予想されるかどうかです。

・放棄までに時間がない場合は「司法書士」

・放棄によるトラブルが予想されるなら「弁護士」

司法書士は書類の作成をしてもらえることもあり、特に3ヶ月の期限内に手続きが行えない可能性がある場合は、司法書士への依頼をオススメします。

ただし、相続人同士関係が良好で債権者などのトラブルがないことがポイントです。

なお、司法書士に依頼した場合でも、放棄を申し立てるのはあくまで本人で、書類にはすべて依頼者(申述人)本人の署名・押印が必要となるのでご注意ください。

税理士

依頼する場合の費用相場は基本料金を50万円程度に設定しているところが多く、それに追加して財産総額×0.5~2%程度の報酬が発生しています。

税理士なら、相続税の節税対策を考えた遺言の作成や相続税申告の相談が可能なので、併せて依頼すると良いでしょう。

無料相談を利用して専門家を紹介してもらう

弁護士や行政書士の伝手がない人や、不安がある人は「無料相談」を利用してみるのもオススメです。

どの専門家にお願いすればいいのかなどの疑問も『 やさしい相続』の24時間365日無料相談で承っています。電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。しつこい勧誘等も行いません。

大切なことだからこそ、丁寧に・確実に進めていきましょう。

まとめ

遺言書があるからといって、それが絶対的に効力があるわけではありません。

【法的効力のある7つの遺言書】

種類 特徴
1.自筆証書遺言 自筆で書かれた遺言書
2. 公正証書遺言 公証役場で公証人に作成してもらう遺言書
3.秘密証書遺言 遺言の存在が公証人によって証明される遺言書
(特別方式遺言)

4.一般危急時遺言

5.難船危急時遺言

6.一般隔絶地遺言

7.船舶隔絶地遺言

死の危機が迫っており、署名や押印が難しい状況下で作成する遺言書

※各項目をクリックすると、詳細記事が表示されます。

遺言書には「普通方式」と「特別方式」の2つの方式があり、「特別方式遺言」以外は全て「普通方式」になります。

【普通方式】

  1. 公正証書遺言 2.自筆証書遺言 (自筆証書遺言

保管制度)

3.秘密証書遺言
概要 公証役場で公証人と一緒に作成する遺言。保管をしてもらえる。 遺言者が自筆で作成した遺言 2020年より始まった「自筆証書遺言」を保管するための制度 自作の遺言書の存在だけを公証役場で証明してもらう遺言。
書き方 公証人が作成 全文を自筆

※財産目録はパソコン可

全文を自筆

※財産目録はパソコン可

パソコンで作成

※署名は必要

費用 財産の価値に応じた手数料 0円 3,900円~ 11,000円
証人 2人以上 不要 2人以上
内容不備の
可能性
公証人が作成するため低い あり あり あり
紛失リスク なし あり なし あり
秘匿性 公証人には内容を知られる 存在と内容 内容のみ 内容のみ
改ざんリスク なし あり なし なし
代筆 本人のみ 代筆可
裁判所の検認 不要 必要 不要 必要

※各項目をクリックすると詳細記事が表示されますので、合わせてご参考ください。

【特別方式遺言】

  一般危急時遺言 難船危急時遺言 一般隔絶地遺言 船舶隔絶地遺言
概要 病気や怪我などにより、生命の危機が迫っている状態で作成する遺言。 船舶遭難者が死亡の危機に差し迫っている場合にする遺言。 伝染病や行政処分等により隔離された人ができる遺言方式。 船舶の中にいる場合に認められた遺言方式。
書き方 証人のうちの一人に口頭で遺言を伝えて書いてもらい、その他の証人が署名を行う。 証人のうちの一人に口頭で遺言を伝えて書いてもらい、その他の証人が署名を行う。 遺言者が作成。 遺言者が作成。
証人 証人3人以上の立ち会いが必要。 証人2人以上の立ち会いが必要。 警察官1人及び証人1人以上の立ち会いが必要。 警察官1人及び証人2人以上の立ち会いが必要。
代筆 あり あり なし なし
裁判所の検認 必要 必要 不要 不要

且つ、遺言書が法的効力を持つために欠かせない3つの条件を備える必要があります。

1.意思能力のある満15歳以上か

2.成年後見人の場合は条件がある

3.決められたルールに沿って作成されているか?

また、遺言書があっても無効になる4つのケースがあるので、事前に確認しておきましょう。

1.共同遺言

2.代理遺言

3.遺留分の侵害

4.自筆ではない(自筆証書遺言の場合)

遺言書の内容に不公平があり、納得いかない場合は、2つの対処法があります。

1.相続人や受遺者と協議する

2.遺言無効確認の訴えを提起する

相続の内容で困った時は、相続に詳しい弁護士または、無料相談を利用して専門家を紹介してもらう(やさしいお葬式)ことも有効です。大切なことだからこそ、丁寧に・確実に進めていきましょう。

本記事が遺言書の効力について疑問やお悩みがある方へ、少しでもお役に立てることを願っています。

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【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

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高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

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エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。