遺言書より遺留分が優先!侵害額請求をされる前にできる5つの対策法
「遺言書があるのに遺留分侵害額請求をされたら、必ず遺産を渡さないといけないの?」
「そもそも、遺留分って何?」
遺留分とは「法定相続人に最低限保証される遺産の取得分」のことで、不公平な遺産分割が行われたとき、遺産全体から定められている割合を請求できます。
例えば、下記のように故人が遺言書に「長男に全財産を譲る」と記載しても、妻と次男は長男へ遺留分を請求することが可能です。
このように、遺言書で「指定の人物に遺産を渡す」と記していたとしても、遺留分侵害額請求をされた場合、民法で定められた法定相続人に指定の金額を渡さなければいけません。
【遺留分の民法で定められた法定相続人】
相続人例 |
相続財産に対する遺留分の割合 |
各相続人に対する割当 |
配偶者 |
その他の相続人 |
配偶者のみ |
1/2 |
1/2 |
|
配偶者・子ども |
1/2 |
1/4 |
子ども:1/4 |
配偶者・故人の父母 |
1/2 |
1/3 |
父母:1/6 |
配偶者・故人の兄弟姉妹 |
1/2 |
1/2 |
兄弟姉妹:なし |
子どものみ |
1/2 |
|
子ども:1/2 |
父母のみ |
1/3 |
|
父母:1/3 |
兄弟姉妹のみ |
なし |
|
兄弟姉妹:なし |
遺言書の作成者に限らず、相続人も「遺言書があれば相続も安心」と考えていると、思わぬところで遺産トラブルに巻き込まれる危険性があるのです。
本記事では、遺言書と遺留分についてはもちろんのこと、以下のことを詳しく解説していきます。
【本記事でわかる4つのこと】
1.遺留分侵害額請求に対する5つの対策法
2.遺留分侵害額請求されても認められない5つの事由
3.万が一に備える【遺留分侵害されたときの対処法】
4.遺言書の遺留分で困ったときの相談先3選
遺言書はよく耳にするので周知されていますが、遺留分は知らない方がほとんどです。そのため、突然遺留分の請求をされ、戸惑い泣き寝入りしてしまう方も多くいます。
覚えておくだけで万が一のトラブル回避にも繋がり、請求されたとしても落ち着いて対処できるようになりますので、ぜひ最後までお読みください。
また、遺言書については「 【文例付き】相続プロが教える!有効な遺言書の書き方完全マニュアル」で、例文付きで書き方を紹介しています。
遺言書は一つでも間違えていると無効になってしまう重要な書類ですので、合わせて参考にしてくださいね。
遺言書内容よりも遺留分請求が優先される
遺言書で作成者が「お世話になった人」や「内縁の妻」などに全額相続させると記していたとしても、遺留分を請求されたら、遺言書の内容よりも遺留分請求が優先されます。
そのため、自分以外の相続人から遺留分請求をされてもいいように、以下の遺留分についての知識は順番に理解しておくといいでしょう。
【遺留分について】
1.遺留分とは『最低限保証される遺産の取得分のこと』
2.遺留分侵害額請求とは『遺留分の支払いを相続人に求めること』
遺留分とは『最低限保証される遺産の取得分のこと』
遺留分は不公平な遺言書の内容に左右されないように、相続人の今後の生活を保障し、かつ家族の協力によって得られた遺産を公平に与えるために作られた法律です。
遺留分について知らないと「法律」という言葉に、言われるがままに行動してしまう可能性があるため、以下の内容は理解しておきましょう。
【遺留分について】
1.これで安心!『相続人ごとの遺留分割合表』
2.遺留分を侵害する遺言書でも有効である
これで安心!『相続人ごとの遺留分割合表』
遺留分の割合は以下のとおりです。配偶者・子や孫などの直系卑属・両親や祖父母などの直系尊属は遺留分の請求ができます。
相続人例 |
相続財産に対する遺留分の割合 |
各相続人に対する割当 |
配偶者 |
その他の相続人 |
配偶者のみ |
1/2 |
1/2 |
|
配偶者・子ども |
1/2 |
1/4 |
子ども:1/4 |
配偶者・故人の父母 |
1/2 |
1/3 |
父母:1/6 |
配偶者・故人の兄弟姉妹 |
1/2 |
1/2 |
兄弟姉妹:なし |
子どものみ |
1/2 |
|
子ども:1/2 |
父母のみ |
1/3 |
|
父母:1/3 |
兄弟姉妹のみ |
なし |
|
兄弟姉妹:なし |
被相続人の兄弟や姉妹には、被相続人が亡くなったとしても生活が困窮しないことや財産貯蓄への貢献度が低いため、遺留分を請求する権利がありません。
遺産相続の順位がわかりにくい分、遠縁の親戚などが突然しゃしゃり出てくる可能性もあるため、相続人の順位だけでなく優先順位の決定要素についても把握するといいでしょう。
「 遺産相続は配偶者が最優先!順位を決める4つのポイントと割合を解説」を読めば、いざというときに、落ち着いて対処できるようになりますので参考にしてくださいね。
遺留分を侵害する遺言書でも有効である
たとえ故意に遺留分を無視した不利益な内容の遺言書が作成されていても、相続人から遺留分の申し立てがない限り「有効」となり遺産分割は行われます。
あくまで相続人が「自分の遺留分が侵害されている」と、申告しなければ請求されることはありません。不公平な遺言書であっても、遺留分請求をするかは相続人の自由なのです。
遺言者本人の意思を尊重し、請求しない人もたくさんいるため、まずは遺留分の侵害が起こらないように、遺言書を作成する段階で気を付けることが何よりも大切です。
ただし、原則相続があったことを知っても遺留分の申し立てがない場合、1年で時効消滅し遺産分割は完了します。
遺留分侵害額請求とは『遺留分の支払いを相続人に求めること』
遺留分請求とは『遺留分侵害額請求権』ともいい、侵害された遺留分を相続人に求めることができる権利のことを指します。
たとえば、「長男に遺産全額1千万円を相続させる」と遺言書で書いてあったとしても、次男は遺留分を侵害されたとして、全体の遺産1/2である500万円相当を請求できるのです。
該当する法定相続人には必ず遺留分侵害額請求権があるため、最低限の遺留分を取り戻し請求できますので、「遺言書があるから」と安心しないようにしましょう。
請求を拒否できるのか、時効や期限といった気になる部分は、「 遺留分侵害額(減殺)請求を成功させる全情報!手続き~割合・注意」で紹介していますので、参考にしてくださいね。
遺言作成者が行える「遺留分侵害額請求権」への5つの対策法
生前、遺言作成者が「相続人同士でのトラブルを回避させたい」場合、以下5つの対策方法があります。
【遺留分侵害額請求権に対する対策法5つ】
1.遺言書の付言事項(ふげんじこう)で記載しておく
2.生前に遺留分を減らしておく
3.相続人を増やす
4.遺留分を請求しそうな人に対して放棄させる
5.遺言執行者に司法書士または弁護士を選任しておく
遺留分侵害額請求権に対する対策は、生前に行う必要があるため、注意が必要です。知っておくだけで、万が一のときに落ち着いて対応できるようになりますよ。
以下、簡単にできる項目から順番に紹介していきますので、ポイントだけでも抑えておきましょう。
どうしても相続人同士で争う場合は、「万が一に備える【遺留分侵害されたときの対処法】」にて対応方法も紹介していますので、参考にしてください。
1.遺言書の付言事項で記載しておく
遺言書に相続トラブルを回避するため、「遺産の分け方と決定に至った理由」を記載しておきましょう。
遺言書は付言事項という、相続人へのメッセージを書くことが許されています。遺産の分け方だけではなく、相続人への気持ちなども書いておけば、思いが伝わるかもしれません。
ただし、付言事項には法律上の効力はありません。あくまでお願いになってしまいますが、理由を記載しておけば、多少は円満解決にも繋がるはずです。
遺言書の作成については民法に規定があり、正しく書かない場合は、全て無効、または一部無効になるリスクがあります。無効にしたくない場合は「遺言書の効力と4つの無効なケースを解説!納得いかない場合の相談先」の記事も合わせてお読みください。
2.生前に遺留分を減らしておく
生前に遺留分を減らす方法は、以下の2つの方法があります。予め相続財産を減らしておけば、遺留分額も減らせる可能性があるのです。
【生前に遺留分を減らす2つの方法】
・生前贈与を行う
・生命保険の掛け金で支払ってしまう
ただし、生前贈与は相続開始前10年間、相続人以外の人に対しては相続開始前1年間に行われたものは、遺留分の基本財産に含まれますので注意してください。
遺留分対策は、できるかぎり早い段階で行うことが何よりも大切です。
3.相続人を増やす
相続人を増やす方法は、「養子縁組」を行うことも一つです。子どもの遺留分は頭割りであるため、子どもが増えれば、一人ひとりの遺留分が減らせます。
養子縁組というと外部の親がいない子どもを養子にするイメージがありますが、ここでは息子の奥さんや孫を養子にするということを意味します。
相続税の控除も増えるため、相続税対策にもつながります。しかし、他の相続人の遺留分を下げるためだけに行った養子縁組は、無効になる場合もあるので、注意しましょう。
4.遺留分を請求しそうな人に対して放棄させる
相続人に遺留分の放棄をしてもらえれば、遺留分に対する問題は起こらないため、請求してきそうな相続人に放棄するよう促すことも大切です。
被相続人が生前に遺留分の放棄を行う場合、相続人となる人が家庭裁判所で、「遺留分放棄の許可」を申し立てなければいけません。
遺留分放棄は、以下のような明確な内容がなければ、家庭裁判所の許可がおりない可能性があるため、注意しましょう。
【家庭裁判所の許可がおりない例】
・遺留分を放棄する合理的な理由がある
・相続人に相当な対価(生前贈与)が与えられている
基本、対価などもなく一方的に遺留分を放棄させることはできず、相続人本人が遺留分放棄をしなければいけません。
被相続人が生前のうちに、無理矢理遺留分放棄をさせることはできませんので、行う場合には十分に話し合い、納得してもらうようにしましょう。
5.遺言執行者に司法書士または弁護士を選任しておく
遺言執行者に、司法書士や弁護士を選任しておけば、遺言書の内容を実現しやすくなります。
そもそも、遺言執行者とは遺言者の死後に遺言書の内容を実現するために、必要な手続きを行う人のことをいいます。基本的に、未成年や破産者以外であれば、誰でも選任できます。
しかし、相続人を遺言執行者に選任してしまうと、親族同士での対立が生じ、より相続トラブルに発展しやすくなってしまいます。
司法書士や弁護士であれば、中立の立場であると同時に、法律の専門家でもあるため、どんな相続人も納得しやすくなるでしょう。
専門家が関わることで不公平な遺言書内容であっても、目をつぶる方が多いため、遺留分請求が心配なら、活用するといいですよ。
ただし、外部に依頼することは費用がかかります。弁護士や司法書士に対する詳しい報酬は、「 遺言執行者の役割と流れ!事前に知っておくべきメリット&デメリット」で紹介しています。
遺留分侵害額請求が認められない5つの事由
上記では、「遺言書があっても請求されれば、相続人は特定の相続人に遺留分を支払わなければいけない」と紹介しましたが、以下5つの事由に該当する場合は、遺留分は認められません。
【遺留分を請求できない5つの事由】
1.被相続人※から10年以内に生前贈与を受けた
2.被相続人や同順位以上の人を殺害し、有罪となった過去がある
3.被相続人の殺害を知りながら、刑事告訴しなかった
4.被相続人に無理やり自分に優位な内容の遺言書を書かせた、または訂正させた
5.故意に遺言書を隠した、または処分した
※相続される人(故人)
原則は遺言書より遺留分の方が優先されますが、上記の内容にあるように遺留分請求者へ生前贈与があったり、被相続人に対して危害を加えていたりする場合、認められないため注意してください。
万が一に備える【自分の遺留分が侵害されたときの対処法】
仮に自分の遺留分が侵害される遺言書が見つかった場合、以下の流れで対処します。相手の行動を知れば、次に何が来るかがわかるので落ち着いて対応できるようになるでしょう。
もちろん、問題が起こらないことが何よりも大切ですが、知識として知っておくといいですよ。以下流れの順番に紹介しますので、覚えておくようにしてください。
【遺留分侵害されたときの対処法】
1.遺言無効を主張する |
遺言書に以下項目いずれかが該当する場合、無効となるためはっきりと主張する。
・民法所定の形式を満たしていないところがある
・不明確な内容である
・被相続人に遺言能力がなかった
・偽造されたもの
|
2.相続人と財産を調査し、遺産がどの程度あるのか確認する |
相続人の人数と総資産は最終的な遺留分の増減に関係する。
必ず弁護士や司法書士に依頼し、調査してもらう。
|
3.遺留分侵害額請求をする |
調査が完了したら、相手(相続人)に遺留分侵害額請求を伝える。
【通知方法】
・内容証明郵便で送付
・弁護士から通知してもらう
遺留分請求の時効を止められ、さらに相手にプレッシャーを与え、支払いの可能性が高まる。
|
4.遺留分である返済額と返済期限を話し合う |
相手が話に応じる場合は、以下の内容について話し合う。
・話し合いの日時を調整
・支払い金額
・支払い期限
分割にするにしても、一括で支払うにしても、相手が途中で心変わりしないよう、間に弁護士を挟むようにする。
|
原則、話がまとまらないのなら、調停や訴訟を検討しなければいけません。遺言無効確認訴訟を提起し、裁判所に遺言無効の判断を求めることもできます。
そのため、労力だけでなく精神的にも大変であるため、第三者となる弁護士に依頼するとより安心して、無事に終えることができるでしょう。
遺言書の遺留分について困ったときの相談先3選
遺言書の作成時、遺留分で困ったときには、以下3つの相談先があげられます。相談先を知っておけば、遺言書の段階でトラブル回避ができるようになります。
3つの相談先 |
費用目安 |
特徴 |
1.弁護士 |
5,000円~(30分)
※初回相談のみ無料の事務所もある
|
法的に有効で、内容的に適切な遺言書をスムーズに作成することができる。 |
2.行政書士 |
0円
※初回相談のみ
|
遺言書の文案・内容についての細かいアドバイスがもらえる。作成費用は弁護士より安い。 |
3.無料相談を利用して専門家を紹介してもらう |
0円
※初回相談のみ
|
どの専門家にお願いすればいいのかなどのアドバイスがもらえる。 |
「緊急度の高い順」にご紹介しています。相談を上手に活用して、自筆証書遺言の作成をスムーズかつ不備のないように進めるようにしてくださいね。
1.弁護士に相談する【費用:無料または5,000円~】
遺言書の段階で、相続に関して不安がある場合は、迷わず弁護士に相談した方がスムーズに解決できます。
たとえ、プラスではなくマイナスの財産でも、被相続人の名義であれば全て相続財産になります。金額や遺産の種類によっては、相続がすぐに終わらない可能性もあるのです。
相続は法律に触れるため、不安や悩みを抱えている人も多いでしょう。弁護士に相談したからといって必ず依頼しないといけないわけではないので、安心して相談するといいですよ。
ただ「弁護士だから誰に依頼しても大丈夫」とはいきません。弁護士にも得意分野があるため、相続に強い弁護士を選ぶ必要があるのです。
相続に強い弁護士の選び方や選び方のポイントなどは、「 知らないと損をする!相続弁護士を選ぶ9つの要点と費用を抑える準備」で紹介してますので参考にしてくださいね。
2.行政書士に相談する【費用:0円~】
司法書士や行政書士でも遺言書作成業務を扱っているので、お硬いイメージの弁護士よりも相談しやすいでしょう。
費用も弁護士に依頼するよりも安く済ませられますが、遺言書作成を行っている事務所でないと対応してくれないため、注意が必要です。
まずは、電話で問い合わせを行うか、事務所のホームページを確認して、遺言書作成業務を受け付けているかを確認するといいでしょう。
3.無料相談を利用し適切な専門家につなげてもらう【費用:0円~】
どうしても弁護士や行政書士に対して抵抗があったり、依頼することに気が引けてしまう場合には、「無料相談」を受けてみるのもいいでしょう。
たとえば、「どの専門家にお願いすればいいのか」などの疑問も『 やさしい相続』の24時間365日無料相談で承っています。
電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。しつこい勧誘等も行いません。大切なことだからこそ、丁寧に・確実に進めていきましょう。
まとめ【遺言書の用意と遺留分請求への対策を必ず行う】
遺言書で特定の人物に相続させると記していたとしても、遺留分請求をされた場合、法定相続人に定められた金額分を支払わなければいけません。
遺留分とは法定相続人に与えられている最低限保証されている遺産の取得分で、遺留分侵害額請求権は、侵害された遺留分を相続人に求めることができる権利のことを指します。
相続人ごとの遺留分割合は以下の表でわかりやすく紹介していますので、あわせて参考にしてくださいね。
【相続人ごとの遺留分割合表】
相続人例 |
相続財産に対する遺留分の割合 |
各相続人に対する割当 |
配偶者 |
その他の相続人 |
配偶者のみ |
1/2 |
1/2 |
|
配偶者・子ども |
1/2 |
1/4 |
子ども:1/4 |
配偶者・故人の父母 |
1/2 |
1/3 |
父母:1/6 |
配偶者・故人の兄弟姉妹 |
1/2 |
1/2 |
兄弟姉妹:なし |
子どものみ |
1/2 |
|
子ども:1/2 |
父母のみ |
1/3 |
|
父母:1/3 |
兄弟姉妹のみ |
なし |
|
兄弟姉妹:なし |
遺留分を請求されてもいいように、生前に準備しておくことが何よりも大切です。以下の対策は生前に行える対策となりますので、ポイントだけでも覚えておきましょう。
【遺留分侵害額請求権に対する対策法5つ】
1.遺言書の付言事項で記載しておく
2.生前に遺留分を減らしておく
3.相続人を増やす
4.遺留分を請求しそうな人に対して放棄させる
5.遺言執行者に司法書士または弁護士を選任しておく
遺留分侵害額請求は、請求されたら必ず遺言書よりも遺留分が優先されますが、以下5つの事由に該当する場合は、請求権が認められませんので注意が必要です。
【遺留分を請求できない5つの事由】
1.被相続人から10年以内に生前贈与を受けた
2.被相続人や同順位以上の人を殺害し、有罪となった過去がある
3.被相続人の殺害を知りながら、刑事告訴しなかった
4.被相続人に無理やり自分に優位な内容の遺言書を書かせた、または訂正させた
5.故意に遺言書を隠した、または処分した
自分が遺留分侵害を受ける側になる場合に限らず、請求される側でも必ず侵害されたときの対処法は知っておく必要があります。
予め対処法を知っておけば、相手が次に行う行動が見えてきます。落ち着いて対処できるようにもなりますので、以下の流れは把握しておくといいでしょう。
【遺留分侵害されたときの対処法】
1.遺言無効を主張する |
遺言書に以下項目いずれかが該当する場合、無効となる。
・民法所定の形式を満たしていないところがある
・不明確な内容である
・被相続人に遺言能力がなかった
・偽造されたもの
|
2.相続人と財産を調査し、遺産がどの程度あるのか確認する |
相続人の人数と総資産は最終的な遺留分の増減に関係する。
必ず弁護士や司法書士に依頼し、調査してもらう。
|
3.遺留分侵害額請求をする |
調査が完了したら、相手(相続人)に遺留分侵害額請求を伝える。
【通知方法】
・内容証明郵便で送付
・弁護士から通知してもらう
遺留分請求の時効を止められ、さらに相手にプレッシャーを与え、支払いの可能性が高まる。
|
4.遺留分である返済額と返済期限を話し合う |
相手が話に応じる場合は、以下の内容について話し合う。
・話し合いの日時を調整
・支払い金額
・支払い期限
分割にするにしても、一括で支払うにしても、相手が途中で心変わりしないよう、間に弁護士を挟むようにする。
|
遺言書の作成時、相談先を知っておけば、遺言書の段階でトラブル回避ができるようになりますので、合わせて参考にしてくださいね。
3つの相談先 |
費用目安 |
特徴 |
1.弁護士 |
5,000円~(30分)
※初回相談のみ無料の事務所もある
|
法的に有効で、内容的に適切な遺言書をスムーズに作成することができる。 |
2.行政書士 |
0円
※初回相談のみ
|
遺言書の文案・内容についての細かいアドバイスがもらえる。作成費用は弁護士より安い。 |
3.無料相談を利用して専門家を紹介してもらう |
0円
※初回相談のみ
|
どの専門家にお願いすればいいのかなどのアドバイスがもらえる。 |
遺留分と遺言書は、法律に関係するため、自分一人では不安に感じたり、相手に言われるがまま泣き寝入りしてしまったりする可能性も多いです。
納得がいかない相続には、関係者同士で話し合いを行いましょう。もし、自分だけでは解決が難しい場合には、無料相談を活用して後悔のない選択をするようにしてくださいね。
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【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)
- 略歴
- 高橋圭 (たかはし けい)
- 青山学院大学法学部卒業。
- 2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
- 司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員
プロフィール