連れ子に相続させる方法3つ!実子と差をつける・つけないコツを解説
「連れ子がいるが、遺産をどう相続させるか迷っている…」
「パートナーの連れ子を養子縁組すべきかどうか、決めかねている…」
「実子に多く残したい気持ちもあるが、連れ子にも多少残してやりたい…」
連れ子さんをお持ちの方で、ご自身の遺産をどう相続すべきか頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか。
特に、連れ子さんと実子それぞれをお持ちの場合は、相続割合をどうすべきか決めかねてしまいますよね。
結論から言いますと、連れ子さんは養子縁組すれば相続可能ですが、その他にも連れ子さんに相続する方法があります。
1.連れ子さんを養子縁組する
2.連れ子さんに相続させる旨の遺言書を書く
3.連れ子さんに生前贈与する
連れ子さんを養子縁組することで法律上、実子と同じ扱いをうけることができます。
よって、連れ子さんは実子と同じ割合で相続することになります。
遺言書を書く場合と生前贈与する場合、養子縁組は必要ありません。この場合、被相続人が連れ子さんに対しどれだけの相続(または遺贈)するかを自由に決められます。
ただし、遺言書を書く場合は実子などほかの相続人が受け取る権利を持つ遺留分を侵さないように注意してください。
遺留分を侵してしまうと、実子から連れ子さんに対して遺留分請求が発生するなど親族間のトラブルになりかねません。
遺留分に関するトラブルを避け、スムーズに相続したい方は 遺留分のもらえる範囲と割合!遺産を損なく受け取れる3つのポイントをご覧ください。
また、一度連れ子さんを養子縁組すると、解消するのはかなり困難です。養子縁組して相続するかどうかは慎重に考える必要があります。
本記事を読めば、連れ子さんに相続するための全パターンを知り尽くしたうえで、自分の納得できる相続ができますよ。
連れ子さんに『義両親の相続権はない』
故人との血縁関係も法律上の関係(養子縁組)もない連れ子さんは、義両親の相続権を持てません。なぜなら、相続権が発生するのは『法定相続人だけ』だからです。
法定相続人とは、民法で定められた故人の財産を相続できる人を指し、相続できるかどうか、いくら相続できるのかは基本的に故人との血縁関係によって変わります。
つまり、故人との血縁関係も法律上の関係(養子縁組)もない連れ子さんは、義両親の相続権を持たないといえますね。
それ以外の人で故人と生前、縁があり身体面や金銭面でどれだけ尽くしたとしても「法定相続人」になることはできません。
連れ子さん以外でも、法定相続人になれないケースを以下にまとめました。
・内縁の妻
・離婚した元配偶者
・配偶者の連れ子(養子縁組していない場合)
・被相続人の姻族(配偶者の兄弟姉妹、親など)
・相続の順位により法定相続人から外れる人(子が生きている場合の父母や兄弟姉妹など)
・いとこ
・伯父伯母、叔父叔母
法定相続人の考え方
相続人の範囲から優先順位、受け取れる割合は、 民法第886条から 民法第895条にわたり民法で定められています。下記に決められている範囲と割合について解説致します。
配偶者
法定相続人の代表格は故人の配偶者です。相続開始時に存在していれば相続権が発生します。
ここでいう配偶者とは、法律上婚姻関係にある者を指します。長年内縁関係(事実婚含む)であったり、同性婚などのパートナー制度を利用したりしていても、配偶者とはいえません。
相続する人の優先順位を知り、自分が相続人になれるかどうかを知りたい方は 遺産相続は配偶者が最優先!順位を決める4つのポイントと割合を解説をご覧ください。
第1順位(子どもおよび代襲相続人)
故人の血族は相続人になりますが、より血縁の近い方が優先されます。
故人の子どもが最優先、もし子どもが亡くなっていれば、その子ども(故人から見た孫)が法定相続人となるのです。
法定相続人になるのは、配偶者と第1順位までですので注意してください。
「代襲相続」とは、本来相続をするはずだった相続人が、被相続人より先に死亡した場合にその子どもが代わりに相続をすることで、例えば第一順位の子どもが死亡していた場合は、故人からみた孫が相続することになります。
第2順位(父母や祖父母などの直系尊属)
第1順位がいない場合、故人の父母が法定相続人になります。父母がいない場合は祖父母が該当します。
第2順位が相続人になるのは第1順位がいない場合のみですので注意しましょう。
第3順位(兄弟姉妹および代襲相続人)
第1順位および第2順位もいない場合は、故人の兄弟姉妹が法定相続人になります。兄弟姉妹が無くなっている場合は、その子ども(故人から見た姪や甥)が相続します。
第3順位が相続人になるのは、第1順位および第2順位がいないときのみですので注意してください。
連れ子さんに相続するための3つの方法
連れ子さんに相続するための方法は3つあります。
一般的に検討されることが多い順(養子縁組する方法を筆頭に、養子縁組しなくても相続する方法)に紹介しています。
1.連れ子さんを養子縁組する
2.連れ子さんに遺産相続する旨の遺言書を書く
3.連れ子さんに生前贈与する
連れ子さんを養子縁組する
代表的な相続方法は、連れ子さんを養子縁組するというもの。
養子縁組することで、血縁関係のない連れ子さんでも法律上、実子と同じ扱いをうけることができます。
ただし、法定相続人になれる養子の人数には限りがあり、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までですのでご注意ください。
なお、配偶者の連れ子を養子にした場合は、この制限を受けません。
加えて、一度養子縁組してしまうと養子縁組を解消するのはかなり困難です。
養子縁組したときのメリットデメリットをしっかり押さえ、後悔のない選択をしたい方は「 養子縁組の相続を完全解説!養子が受取れる相続分・節税効果を紹介!」をご覧ください。
実子との相続割合は同じ
養子縁組した連れ子さんと、実子の相続割合は同じになります。
連れ子さんを養子縁組すると、実子と同じ扱いをうけるためです。
例えば、故人の血を分けた子どもが1人、再婚相手の連れ子1人がいるとしましょう。
故人の配偶者である再婚相手は、法定相続人(配偶者)として遺産の2分の1を相続します。
残り2分の1は子ども2人に相続され、どちらも法律上の子どもである(法定相続人である)ことからそれぞれ4分の1ずつ相続することとなります。
このように、相続割合を決める際は、故人と血を分けているかどうかではなく、法律上の親子関係にあるかどうかが重視されることに注意してください。
連れ子さんの養子縁組に必要な2ステップ
連れ子さんの養子縁組は以下2ステップで進めることができます。
1.養親と養子が養子縁組に同意したことを確認する
2.養親の本籍もしくは養子の本籍がある役所で「養子縁組届」を提出する
また、届出の際に必要な書類は以下3点です。
・届書1通(成年の証人2人が署名したもの。)
・戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
※養親および養子の本籍が届出地の市区町村でないときのみ
・本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
養子縁組する連れ子さんが15歳未満の場合は代理法廷人※が必要なので注意してください。
※代理法廷人とは、法律によって代理権が発生する代理人のこと。本人が未成年者の場合に法律を代行する役割を持つ。
連れ子さんに相続する旨の遺言書を書く
連れ子さんに相続するという内容の遺言書を書けば、養子縁組なしで連れ子さんにお金を残すことができます。
なぜなら、法定相続分※よりも故人の遺言書の方が優先されるためです。
※法定相続分とは、民法で定められた故人の財産を相続できる人を指し、相続できるかどうか、いくら相続できるのか(法定相続分)は基本的に故人との血縁関係によって変わります。
法定相続分よりも故人の遺言書の方が優先されることは、民法964条で規定されています。
つまり、遺言書にある故人の意志が最優先されるということ。
遺言書で「財産のこれだけを連れ子に相続させる」旨を明記しておけば、法定相続人でない連れ子さんにも正しく相続できるのです。
正しい書式にのっとった有効な遺言書の書き方を知りたい方は、「 遺言書の書き方を完全解説!効力・有効な遺言書の書き方を紹介!」をご覧ください。
実子との相続割合は変えられる
実は、遺言書を通じて連れ子さんに相続することで、実子と連れ子さんの相続割合を変えることができるんです。
遺言書は法定相続分よりも優先されるため、「連れ子に遺産の2分の1を、残りの遺産を配偶者と実子に2分の1ずつ相続する」ということも可能となります。
ただし、相続分を遺言書で配分する際には法定相続人がもともと相続する権利を持っていた金額「遺留分」を侵さないよう注意してください。
例えば、全財産を、実子もしくは連れ子にといった遺留分を考えていない遺言書は無効となる可能性が高いです。
実子の遺留分についてトラブルを避けたい方は「実子の遺留分を侵害しないよう注意」をご覧ください。
確実に相続させるには公正証書遺言書がオススメ
連れ子さんへの相続を確実にしたい方は、遺言書の中でも『公正証書遺言書』で作成するのがオススメです。
なぜなら、公正証書遺言書は公的機関による確認と元本保管がおこなわれることで「有効な遺言書である保証」があるからです。
また、下記表にあるように、公正証書遺言書は他の遺言書に比べて内容不備や紛失、改ざんリスクが低いことも理由に挙げられますね。
「自筆証書遺言書」など、その他の遺言書は場合によって無効になる可能性があります。
【遺言書の種類と特徴】
|
公正証書遺言 |
秘密証書遺言 |
自筆証書遺言 |
自筆証書遺言
保管制度
|
概要 |
公証役場で公証人と一緒に作成する遺言。保管をしてもらえる。 |
自作の遺言書の存在だけを公証役場で証明してもらう遺言。 |
遺言者が自筆で作成した遺言 |
2020年より始まった「自筆証書遺言」を保管するための制度 |
書き方 |
公証人が作成 |
パソコンで作成 可
※署名は必要
|
全文を自筆
※財産目録はパソコン可
|
全文を自筆
※財産目録はパソコン可
|
費用 |
財産の価値に応じた手数料 |
11,000円 |
0円 |
3,900円~ |
証人 |
2人以上 |
2人以上 |
不要 |
内容不備の 可能性 |
公証人が作成するため低い |
あり |
紛失リスク |
なし |
あり |
あり |
なし |
秘匿性 |
公証人には内容を知られる |
内容のみ |
存在と内容 |
内容のみ |
改ざんリスク |
なし |
なし |
あり |
なし |
代筆 |
公証人 |
代筆可 |
本人のみ |
裁判所の検認 |
不要 |
|
必要 |
不要 |
※各項目をクリックすると詳細記事が表示されますので、合わせてご参考ください。
遺族に遺言書の確認で手間を取らせたくない、遺言書を確実に保管しておきたいという方は「 専門知識不要!自分で作れる公正証書遺言作成の流れと費用・必要書類 」をご覧ください。
実子の遺留分を侵害しないよう注意
遺言書を用いて連れ子さんに相続する場合、実子の遺留分を侵害しないように注意してください。
遺留分とは、法定相続人に分配される最低限の相続分を表す言葉です。
連れ子さんに相続する際にも、法定相続人への遺留分を残しておく必要があります。
仮に遺言書の内容が法定相続人に遺産を分配しないという内容だった場合、本来遺産を受け取れるはずの方が受け取れないことになりますよね。
その結果、法定相続人の生活が危ぶまれることになるため、そういった事態を防ぐために遺留分という制度が設定されています。
相続人が遺留分でどんな権利を持っているか詳しく知りたい方は「 遺留分のもらえる範囲と割合!遺産を損なく受け取れる3つのポイント」の記事もご参考ください。
連れ子さんを養子縁組していない場合は相続税が2割増しでかかる
養子縁組をしていない連れ子さんに相続した場合、相続税が2割増しでかかります。
法定相続人と法定相続人でない者が、法律上同じ税額で相続するのは不公平だという考えによるものといわれています。
相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族(中略)及び配偶者以外の者である場合においては、その者に係る相続税額は、前条の規定にかかわらず、同条の規定により算出した金額にその百分の二十に相当する金額を加算した金額とする。
引用元: e-gov法令検索|相続税法第十八条
養子縁組するかしないかのひとつの判断材料にしておきましょう。
連れ子さんに生前贈与する
養子縁組せず、連れ子さんに生前贈与という形で相続するのもひとつの手です。
生前贈与の具体的な手順やメリットデメリットを順に解説していきますね。
1.贈与税の上限は110万円
2.生前贈与のメリットデメリット
3.生前贈与をおこなう方法を3ステップで解説
贈与税の上限は110万円
生前贈与するときの贈与税は上限110万円までかかりません。贈与には年間110万円の基礎控除枠があるためです。
遺産が110万円以上ある方は、1年に一度贈与していくことで遺産を渡す暦年贈与がオススメとなります。
ただし、注意したいのが暦年贈与と似たシステムである「定期贈与」です。定期贈与だとみなされると、年間110万以下だとしても贈与税が発生してしまいます。
例えば、10年かけて1,000万の贈与をする場合、暦年贈与と定期贈与では下記のように「偶発的なのか?」もしくは「取り決めがあったか?」の違いがあるのです。
名称 |
説明 |
前提 |
暦年贈与 |
年110万の基礎控除を利用して10年間毎年贈与をすること |
たまたま毎年贈与をおこなっていた |
定期贈与 |
1,000万円の贈与を10回に分けて贈与すること |
1,000万贈与する取り決めがあって分割で贈与していた |
定期贈与だと判断されないためには、以下2つのポイントを押さえてください。
・入金する時期や金額をバラバラにする
・贈与を受ける方が普段給与や生活費の支払いに使用している預金口座に入金する
生前贈与のメリットデメリット
生前贈与のメリットとデメリットを以下にまとめました。
生前贈与のメリット |
生前贈与のデメリット |
・贈与税の節税が見込める場合がある
・贈与する相手を自由に選べる
|
・高い税金(相続税・贈与税)を支払う可能性がある |
生前贈与の一番のメリットは、相続とは異なり「贈与する相手を自由に選べる」点で、法定相続人ではない連れ子さんへも、望むだけ財産を分与することが可能となります。
一方、生前贈与のデメリットは、場合によっては高い贈与税を支払う可能性があることです。
養子縁組した連れ子さんや、被相続人に次いで亡くなった実の親の代襲相続をする連れ子さんの場合、生前贈与してから3年以内に被相続人が死亡すると相続税がかかってしまうこともあります。
「代襲相続って何?」という方は、「養子縁組していない連れ子さんに財産が渡るケース「代襲相続」」をご覧ください。
連れ子さんに確実な生前贈与をしたいという方は、プロの力に頼ることも考えましょう。詳しくは「相続に関して困ったときの3つの相談先」をご覧くださいね。
生前贈与をおこなう方法を3ステップで解説
生前贈与をおこなう際に必要な手続きは、何を贈与するかにより異なります。
すべてに共通していえるのは、以下2つです。
・贈与契約書を作ること
・税金の申告を忘れずおこなうこと
贈与契約書は必ずしも必要なものではありませんが、いざという時に「どれだけ贈与したか」がパッとわかる証拠として活用できます。
2通作成し、割印をして各自が1通ずつ保管するにしてください。
後々の親戚間トラブルを防ぎ、税務調査の際にもサッと提示できるように持っておきたい書類です。
また、お金を移動させる以上税金の申告が必要です。年度末の確定申告で忘れず申告するようにしてください。
養子縁組していない連れ子さんに財産が渡るケース「数次(すうじ)相続」
珍しいケースですが、遺産分割協議中に連れ子の親(被相続人の配偶者)が亡くなられた場合、配偶者が受け取るはずだった財産を連れ子が相続することも可能です。
具体的に説明しますね。
1.実母と養父が結婚
2.養父が死亡
3.直後(遺産分割協議中)に実母が死亡
上記が、養父が亡くなった直後、遺産分割協議中に実母も死亡するというかなりレアなケースです。
このパターンですと実母が受け取るはずだった養父の相続が、連れ子さんへと「数次相続」されるため、結果的に連れ子は被相続人の配偶者(連れ子の実親)が持っていた相続権をそのまま引き継ぎます。
数次相続を規定する直接的な根拠はありませんが、「相続分をもった方が死亡し、その相続分を次の相続人が承継する」ことは下記の法定相続分を定めた条文から解釈できます。
被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
引用元: Wikibooks|民法第887条の2
連れ子さんの相続に関してよくある5つの質問
この項目では、連れ子さんへの遺産相続に関してよくある質問を5つご紹介いたします。
1.養子縁組を解消することは可能か?
2.養子縁組した連れ子が相続後に注意すべきことは何か?
3.養子縁組せずに相続させたいがどうすればよいか?
4.連れ子さんが再婚相手を介護していた場合相続できるか?
5.養子は相続税の基礎控除人数に含まれるか?
養子縁組を解消することは可能か?
養子縁組を解消することは可能です。
ただし、手続きが多く、相手側の了承も得にくいことから「制度としては可能だが成功するとは限らない」と覚えておきましょう。
普通養子縁組の場合の離縁方法4つの概要を以下にまとめました。解決が難しいケース順となります。
1.協議離縁 |
養子と養親どちらも離縁を了承していて、離縁届の提出のみで終わる |
2.調停離縁 |
養子と養親の話し合いが難しく、家庭裁判所に調停を申し立てて行う |
3.審判離縁 |
調停が成立しない場合、家庭裁判所が相当と認める際に、必要な調停に代わる審判をする |
4.裁判離縁 |
協議によっても調停によっても当事者間の話し合いによる離縁が困難である場合に、家庭裁判所に離縁訴訟を起こして離縁を行う |
具体的な違いは、以下の通りです。
|
養親と養子の合意はあるか? |
協議に応じるか? |
財産分与などの問題があるか? |
1.協議離縁 |
〇 |
〇 |
× |
2.調停離縁 |
〇 |
× |
× |
3.審判離縁 |
〇 |
- |
〇 |
4.裁判離縁 |
× |
× |
〇 |
養親と養子が離縁に合意しており、協議を済ませ、財産分与などの問題がない協議離縁は離縁届を出すだけで済みます。もっともスピーディーな方法です。
その他は家庭裁判所に申し立てを起こしておこなうため、数か月?1年程度かけて手続きすることになりますので注意してください。
養子縁組した連れ子が相続後に注意すべきことは何か?
養子縁組した連れ子についても、実子同様に相続分に相続税や贈与税がかかってくるので注意してください。
養子縁組した連れ子は実子と同等の扱いを受けるので、確定申告の必要があります。
相続税に関して正しい手順を押さえ、トラブルなく確定申告したい方は 【プロ解説】遺産相続の全手続き|死亡届~相続税還付まで徹底解説をご覧下さい。
養子縁組せずに相続させたいがどうすればよいか?
養子縁組せずに相続するには、以下2通りの方法があります。
1.連れ子さんに遺産相続する旨の遺言書を書く
2.連れ子さんに生前贈与する
遺産相続と生前贈与のメリットデメリットを踏まえたうえで決断したい方は、連れ子さんに相続する旨の遺言書を書くおよび連れ子さんに生前贈与するをご覧ください。
連れ子さんが再婚相手を介護していた場合相続できるか?
法定相続人ではない連れ子さんが、再婚相手の介護をしていた場合は、特別寄与料といって、介護に相当する金額を相続人に請求することができる可能性があります。
被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。
引用元: WIkibooks|民法第1050条
特別寄与料を請求できるのは、無償で療養看護などを提供した相続人以外の親族です。
請求するためには介護日誌のような「介護をしていた証拠」を残しておく必要がありますので、ご注意ください。
養子は相続税の基礎控除人数に含まれるか?
養子は相続税の基礎控除人数に含まれることは、相続法第十五条の2と3で定められています。
ただし、法定相続人になれる養子の人数には限りがあり、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までですのでご注意ください。
なお、配偶者の連れ子を養子にした場合は、制限を受けません。
相続に関して困ったときの相談先3つ
「ひとりで相続手続きを進めるのは無理!」
こんな方は、相続に関する手続きをプロに相談・解決してもらうことをおすすめします。「緊急度の高い順」にご紹介しています。相談を上手に活用して、検認作業をスムーズに進めていきましょう。
|
1.弁護士 |
2.行政書士 |
費用 |
25万円~
|
15万円~
|
メリット |
・各種書類の準備や申し立て作業など、相続に必要な一切の作業をまるごと依頼できる
・相続のアドバイスもしてもらえる
|
・戸籍謄本などの書類を取り寄せてもらえる
・弁護士よりも依頼費用が安い
|
デメリット |
・費用が高額になりやすい |
・相続に関する争いには対応できない |
いきなり、弁護士や行政書士に依頼するのは、ハードルが高い…という方は、
3.無料相談を利用して専門家を紹介してもらう
で、一度相談してみるのがおすすめです。
1.弁護士(相場:25万円~)
弁護士へ相続に関する相談をする場合は、以下の手順で依頼しましょう。
1.法律相談事務所へ遺産争いの内容を相談する
2.費用について弁護士から説明を受ける
3.着手金の支払い後、弁護活動を開始してもらう
必要に応じて、弁護士と都度打ち合わせが入る場合もあります。
また、弁護士へ遺産争いに関する相談をする場合は、以下の費用がかかることを覚えておきましょう。
費用の種類 |
概要 |
費用相場 |
相談料 |
遺産争いの相談にかかる費用 |
無料、もしくは約5,000円?(30分) |
着手金 |
弁護士が遺産分割や調停に着手した場合の費用 |
20?30万円 |
報酬金 |
遺産争いが解決した場合に発生する費用 |
経済的利益や着手金相場によって変動 |
実費 |
印紙代や切手代、交通費など |
1?10万円 |
日当 |
出張費用 |
約5万円 |
参考: 「相続会議」朝日新聞社
2.行政書士(相場:15万円~)
行政書士へ相続に関する相談をすると、弁護士に依頼するよりも比較的安く済ませることが可能です。
金額は15万円程度としましたが、おこなう手続きの複雑さや処理する案件の数、相続人の数によって変動します。
行政書士の中には、サービスごとに料金表を設けているところや、パック料金で一律の料金を定めているところがありますので、依頼する内容の複雑さにより使い分けましょう。
3.無料相談を利用して専門家を紹介してもらう
相続に関するお悩みに応える、 日本司法支援センター(法テラス)がおすすめです。
日本司法支援センター(法テラス)は国が設立した法的トラブルの総合解決所です。誰でも無料で相談でき、適切な支援先を紹介してもらうことができますよ。
『 やさしい相続』でも、24時間365日無料相談で承っています。電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。しつこい勧誘等も行いません。
大切なことだからこそ、丁寧に・確実に進めていきましょう。
まとめ
今回は連れ子さんに相続するための方法について解説いたしました。
一般的には「養子縁組すれば相続できる」とお考えの方が多いですが、実は養子縁組の他にも連れ子さんに相続する方法があります。
主な方法は以下の3通りあります。
1.連れ子さんを養子縁組する
2.連れ子さんに相続させる旨の遺言書を書く
3.連れ子さんに生前贈与する
代表的な相続方法である「連れ子さんを養子縁組する」では、実子と同等額を相続させることができるのがメリットです。
デメリットは、実子と相続割合を変えられないことと、養子縁組を解消するのが難しいことです。
連れ子さんの養子縁組は以下2ステップで進めることができます。
1.養親と養子が養子縁組に同意したことを確認する
2.養親の本籍もしくは養子の本籍がある役所で「養子縁組届」を提出する
また、届出の際に必要な書類は以下3点です。
・届書1通(成年の証人2人が署名したもの。)
・戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
※養親および養子の本籍が届出地の市区町村でないときのみ
・本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
養子縁組する連れ子さんが15歳未満の場合は代理法廷人※が必要なので注意してください。
※代理法廷人とは、法律によって代理権が発生する代理人のこと。本人が未成年者の場合に法律を代行する。
連れ子さんに相続させる旨の遺言書を書く、もしくは生前贈与する場合は、養子縁組せずに連れ子さんに相続できます。
加えて、実子と相続割合を変えて相続させることができますので、「実子より少な目に」「実子より多めに」という相続を考えている方にはピッタリだと言えますね。
ただし、連れ子さんに相続する分は法定相続人の遺留分を侵さないよう配慮する必要がありますので注意してください。
遺留分の配慮を忘れると、連れ子さんが法定相続分に遺留分を請求されるなど親族間のトラブルに発展しかねません。
生前贈与をするにしても、上限金額や納税義務が発生する条件・タイミングなどを押さえ、賢く遺産を渡せるようにしましょう。
自分の相続方法が正しいかどうか、後々トラブルにつながることは全て無くしておきたいなどの心配がある方は一度プロに相談するのがおすすめです。
弁護士や行政書士のほか、法テラスといった無料で相談できる施設もありますよ。
この記事があなたにとって後悔のない相続に役立つよう祈っております。
【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)
- 略歴
- 高橋圭 (たかはし けい)
- 青山学院大学法学部卒業。
- 2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
- 司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員
プロフィール