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遺産,相続,長男

遺産相続で長男は「優遇されない」!トラブルを避ける為の3つの知識

「長男に全財産を相続するのは納得できない…」

「長男の嫁が故人の介護をしていたのに、一銭ももらえないのはおかしい…」

肉親や、生活を共にする家族であっても、相続で揉めることは決して珍しくありません。

これまで仲の良かった親族が、相続を通してだんだんと対立していくのには心が痛みますよね。

「正しい相続の基準を知って、親族間の相続争いを防ぎたい…」こんな風に思い悩んでおられませんか?

長男による遺産相続については、下記4つを押さえておくと納得でき、かつ金銭面や面倒な争いなどで損をすることはありません。

1.長男の総取りは現在は「不可」

2.遺言書を書いて、長男へ全財産を引き継がせることは「可能」

3.(不服があれば)法定相続人は「遺留分」を請求できる

4.生前に介護していれば「特別寄与(とくべつきよ)」を請求できる

昔は長男が財産を全て受け継ぐ「家督(かとく)相続」が旧民法(明治31年?昭和22年)で定められていましたが、現在は廃止されています。

遺言書は法定相続人の権利が優先されるため「長男へ全て遺す」と記載することは可能ですが、法定相続人がある一定の金額を受け取る権利「遺留分」は侵されません。

つまり、『法定相続人である限り、遺留分として定められた金額分の相続は必ずできる』ということです。

相続では、「遺産を独り占めするとバチがあたる」と言われますが、現在の法律では他の相続人が納得しない限り、総取りは不可能ということですね。

さらに、法定相続人ではない場合でも、被相続人の生前に介護などで尽力していた場合は「特別寄与料」を請求できます。

これは2019年に制定された新しい法律で、下記のように定められています。

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

引用元: Wikibooks|民法第1050条

例えば、被相続人の長男の嫁は法定相続人ではありませんが、生前に介護などで時間を割いていた場合に事情を考慮した金額を「特別寄与料」として受け取ることが可能です。

このように、遺言書に「全てを長男に相続する」とあっても、法定相続人や被相続人の介護に尽力した法定相続人以外の人は取り分を受け取る権利があるといえますね。

長男の遺産相続におけるポイントを押さえ、使える制度を事前に把握することで、スムーズかつ損せずに相続できます。

相続人の定義から、遺言書と民法の関係、よくある質問までを順に解説することで、ポイントを抜けや漏れなく押さえることができますよ。

本記事では、このように長男が遺産を総取りしそうなときにできる対策について徹底解説してまいります!

民法ベースで法定相続人と遺言書の権利を理解することで、相続時の損や余計なトラブルを避けることができますよ。

本記事を最後まで読んで、法定相続人の知識に加え、遺言書と民法のつながりをバッチリ押さえましょう。

遺産相続で長男が「優遇されることはない」


結論から言いますと、遺産相続で長男だけが得をすることはありません。

遺産相続は長男や長女など生まれた順に関わらず、法定相続人であれば平等に権利を持ちます。

法定相続人とは、民法で定められた故人の財産を相続できる人を指し、相続できるかどうか、いくら相続できるのかは基本的に故人との血縁関係によって変わります。

民法第886条から 民法第895条までに、相続人の範囲から優先順位、受け取れる割合まで、民法で定められているのです。下記に決められている範囲と割合について解説致します。

1.法定相続人の範囲

2.受け取れる遺産の割合

法定相続人の範囲

法定相続人になれるのは、下記4つに該当する血縁者のみです。法定相続人になれない人を含めて、順番に紹介していきますね。

【法定相続人の範囲】

1.故人の配偶者

2.第1順位(子どもおよび代襲相続人)

3.第2順位(父母や祖父母などの直系尊属)

4.第3順位(兄弟姉妹および代襲相続人)

【その他】

5.法定相続人になれない人

代襲相続(だいしゅうそうぞくにん)とは、相続人が被相続人よりも早く亡くなった場合、もしくは相続権を喪失した場合に、その子どもなどが代わりに相続権を得ることを指します。

相続人が大きく変わりそうなときに役立つ代襲相続の知識を得ておきたい方は、「 代襲相続人を完全解説!相続割合・権利・範囲を紹介!」をご覧ください。

筆頭は故人の配偶者


法定相続人の代表格は故人の配偶者です。相続開始時に存在していれば相続権が発生します。

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。

引用元: Wikibooks|民法第890条

ここでいう配偶者とは、法律上婚姻関係にある者を指します。長年内縁関係(事実婚含む)であったり、同性婚などのパートナー制度を利用したりしていても、配偶者とはいえません。

相続する人の優先順位を知り、自分が相続人になれるかどうかを知りたい方は「 遺産相続は配偶者が最優先!順位を決める4つのポイントと割合を解説」をご覧ください。

第1順位(子どもおよび代襲相続人)


故人の血族は相続人になりますが、より血縁の近い方が優先されます。

故人の子どもが最優先、もし子どもが亡くなっていれば、その子ども(故人から見た孫)が法定相続人となるのです。

法定相続人になるのは、配偶者と第1順位までですので注意してください。

第2順位(父母や祖父母などの直系尊属)


第1順位がいない場合、故人の父母が法定相続人になります。父母がいない場合は祖父母が該当します。

第2順位が相続人になるのは第1順位がいない場合のみですので注意しましょう。

第3順位(兄弟姉妹および代襲相続人)


第1順位および第2順位もいない場合は、故人の兄弟姉妹が法定相続人になります。兄弟姉妹が無くなっている場合は、その子ども(故人から見た姪や甥)が相続します。

第3順位が相続人になるのは、第1順位および第2順位がいないときのみですので注意してください。

法定相続人になれない人

それ以外の人で故人と生前縁があり、身体面や金銭面でどれだけ尽くしたとしても「法定相続人」になることはできません。

法定相続人になれないケースを以下にまとめました。

・内縁の妻

・離婚した元配偶者

・配偶者の連れ子(養子縁組していない場合)

・被相続人の姻族(配偶者の兄弟姉妹、親など)

・相続の順位により法定相続人から外れる人(子が生きている場合の父母や兄弟姉妹など)

・いとこ

・伯父伯母、叔父叔母

ただし、一定の手続きをすれば「特別縁故者」として相続が可能です。

「故人と同居していた長男の妻が一人で介護をしていた」等の理由がある場合、法定相続人ではなくても特別寄与料を相続人に請求できるようになりました。

法定相続人ではないからと相続を諦める前に、自分のおこないに見合った相続を受けたいという方はチェックしてみてくださいね。

法定相続人が受け取れる遺産の割合


法定相続人になった場合、遺産のうち受け取れる割合は相続人の順位と人数により変動します。

相続人の組み合わせパターンと相続割合は下記の通りです。

相続人 遺産の相続割合
配偶者のみ すべて
子供のみ すべて
配偶者と子供 2分の1ずつ
配偶者と2人の子供 配偶者が2分の1、子供が4分の1ずつ
両親のみ 2分の1ずつ
配偶者と両親 配偶者が3分の2、両親が6分の1ずつ
配偶者と親 配偶者が3分の2、親が3分の1
兄弟姉妹のみ(1人) すべて
兄弟姉妹2人のみ 2分の1ずつ
兄弟姉妹3人のみ 3分の1ずつ
配偶者と兄弟姉妹 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
配偶者と2人の兄弟姉妹 配偶者4分の3、兄弟姉妹8分の1ずつ

上記表を当てはめると、法定相続人が配偶者のみの場合(第1順位にあたる子どもがいない)は配偶者が遺産の100%を受け取りますが、子どもがいると2分の1になります。

子どもも、1人であれば遺産の2分の1ですが、2人いる場合は2分の1を半分にした4分の1ずつということになりますね。

実際のケース(上記図)に当てはめてみると、例えば遺産が6,000万円あった場合は遺産の相続割合は「配偶者が2分の1、子供が4分の1ずつ」となります。

よって、妻が6,000万円×1/2=3,000万円。子供一人に対し、6,000万円×1/4=1,500万円が受け取れる計算になります。

このように、長男であっても法定相続人として受け取る金額に変わりはないということがわかりますね。

遺言書があれば長男に全財産を継がせることが可能

法定相続において長男が優遇されることはありませんが、遺言書を用意しておけば、長男に全財産を継がせることは法律上では可能です。

下記に、理由と対策を順番にご紹介致します。

1.「故人の遺言書>法定相続分」で優先される

2.納得できなければ最低限の取り分の「遺留分」を請求可能

「故人の遺言書>法定相続分」で優先される

実は、法定相続分よりも故人の遺言書の方が優先されます。

これは民法964条で規定されており、遺言書にある故人の意志が尊重されるといえますね。

遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。

引用元: Wikibooks|民法第964条

さらに詳しく言いますと、故人の遺言書の次に優先されるのは遺産分割協議、次に法定相続分となります。

遺産分割協議とは、相続人全員で誰がどのように相続するのかという話し合いのことです。

つまり、法定相続人とはいえ、有効な遺言書により相続を指定されていたり、遺言書がなくても遺産分割協議で相続配分を決められた場合にはそれらに従う必要があるといえますね。

遺産分割協議で必ず作る遺産分割協議書について、要点を押さえてスムーズに作成したいという方は「 遺産分割協議書作成について7つのポイント&項目別の書き方と注意点」をご覧ください。

納得できなければ最低限の取り分の「遺留分」を請求可能


例え「長男に全財産を相続させる」という遺言書があったとしても、法定相続人には遺留分をもらう権利があります。

遺留分とは、法定相続人に分配される最低限の相続分を表す言葉です。

仮に遺言書の内容が法定相続人に遺産を分配しないという内容だった場合、本来遺産を受け取れるはずの方が受け取れないことになります。

その結果、法定相続人の生活が危ぶまれることになるため、そういった事態を防ぐために遺留分という制度が設定されています。

遺留分が請求できる条件を知っておき、相続で損をしたくない方は「 遺留分を完全解説!計算方法・侵害請求権の行使方法を紹介!」の記事もご参考ください。

遺留分の割合

実際に相続人が持っている遺留分割合について、下記にまとめました。

相続人の組み合わせにより変動する相続、遺留分の割合を見ておきましょう。

相続人 遺産の相続割合 遺留分割合
配偶者のみ すべて 2分の1
子供のみ すべて 2分の1
配偶者と子供 2分の1ずつ 配偶者が4分の1、子どもが4分の1
配偶者と2人の子供 配偶者が2分の1、子供が4分の1ずつ 配偶者が4分の1、子どもが8分の1ずつ
両親のみ 2分の1ずつ 3分の1ずつ
配偶者と両親 配偶者が3分の2、両親が6分の1ずつ 配偶者が3分の1、両親が12分の1ずつ
配偶者と親 配偶者が3分の2、親が3分の1 配偶者が3分の1、親が6分の1
兄弟姉妹のみ(1人) すべて なし
兄弟姉妹2人のみ 2分の1ずつ なし
兄弟姉妹3人のみ 3分の1ずつ なし
配偶者と兄弟姉妹 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1 配偶者が2分の1、兄弟姉妹なし
配偶者と2人の兄弟姉妹 配偶者4分の3、兄弟姉妹8分の1ずつ 配偶者が2分の1、兄弟姉妹なし

特別寄与料は被相続人の介護などをしていれば請求できる

法定相続人以外でも、被相続人の生前のお世話や介護などに尽力していれば「特別寄与料(とくべつきよりょう)」を請求することができます。

特別寄与料の根拠法の紹介から、請求に必要なもの、請求できる金額の割合を順に説明いたしますね。

1.相続人以外でも請求できる

2.請求するのに必要なもの

3.請求できる金額の割合は事情を汲んで計算する!

条件を満たせば相続人以外でも請求できる

特別寄与料は、法定相続人以外でも請求することができ、請求できる人については、民法1050条で下記のように定められています。

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

引用元: Wikibooks|民法第1050条

親族とは、 民法725条で以下3つの範囲に当てはまる人を指すと決められています。

・6親等内の血族

・配偶者

・3親等内の姻族

例えば、長男の親の介護に尽力した長男の嫁は、法定相続人ではありませんが特別寄与料を請求できる人になりますね。

対して、近所に住んでいるだけの人や、昔から付き合いのあった知人などは、どれだけ介護に尽力していても特別寄与料は請求できませんので注意してください。

また、特別寄与料を請求できるのは期待される以上に貢献した特別な寄与をおこなった方のみです。

介護をする代わりに、親の家に家賃なしで住まわせてもらっていた…などでは受け取ることはできません。

「仕事を辞めて必死に介護した」など、ある程度の貢献をおこない、かつ領収書や介護日誌などで証拠として残す必要があるので注意してください。

請求するのに必要なもの

特別寄与料の請求に必要な書類は、特にありません。ただし、特別寄与料を計算する基準となる以下2点は用意するようにしてください。

・介護日誌など介護した日数や状況がわかるもの

・介護に関する支出の領収書

なお、特別寄与料を決めるのに当事者間(法定相続人と特別寄与者)の話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停で決めることが可能です。

ただし、相続の開始から6カ月以内でないと請求できませんのでご注意ください。

前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6箇月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、この限りでない。

引用元: WIkibooks|民法第1050条の2

請求できる金額の割合は事情を汲んで計算する!

特別寄与料として請求できる金額の割合は、民法第1050条の2に定められるように、事情を汲んで計算されます。

前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。

引用元: WIkibooks|民法第1050条の3

一切の事情というのは、特別寄与者が介護に携わった日数やかかった費用はもちろんのこと、過去に特別寄与料として認められた判例が活用されます。

過去の判例と比べても納得できる額の特別寄与料を得たいという方は、相続で困ったときの相談先として「弁護士(相場:25万円~)」をご覧ください。

長男の遺産相続でよくある5つの質問

長男の遺産相続に関して、よくある順に5つの質問をご紹介いたします。

1.「長男にすべて相続し長男は長女に2千万払う」この遺言は有効か?

2.相続で長男が言うことには全て従わなくてはいけないのか?

3.「跡取りに全財産相続する」という遺言書に従う必要はあるか?

4.長男の嫁に遺産相続をする権利はあるのか?

5.長男は遺産でどれだけの割合をもらうのが妥当か?

いざという時に相続で悩まない、トラブルに巻き込まれないためにしっかり確認しておいてくださいね。

「長男にすべて相続し長男は長女に2千万払う」この遺言は有効か?

これは「代償分割」という相続方法なので有効です。

厳密にいうと、遺産の分割方法は対象物によって「現物分割」「換価分割」「代償分割」呼び方に違いがあり、その中のひとつ「代償分割」にあてはまります。

【遺産の分割方法】

代償分割

(だいしょうぶんかつ)

遺産を相続した人が、自分以外の相続人に対して相続相当額に値する金銭を支払うこと
現物分割

(げんぶつぶんかつ)

相続するもの(土地や建物)をそのままの状態で相続すること
換価分割

(かんかぶんかつ)

遺産の売却代金を相続すること

代償分割をするメリットやデメリットを押さえて、遺産分割協議をスムーズに進めたい方は「 代償分割を完全解説!意味と課税価格の計算方法と注意点を解説!」をご覧ください。

相続で長男が言うことには全て従わなくてはいけないのか?

相続で長男が言うことに全て従う必要はありません。

かつては「家督相続(かとくそうぞく)」という法律で長男長女が有利になっていた相続ですが、昭和22年に廃止されているためです。

法定相続人全員が平等に相続の権利を持つ今、長男の言うことだけに従う必要は特にありません。

「跡取りに全財産相続する」という遺言書に従う必要はあるか?

遺言書に効力がある場合、従う必要があります。なぜなら、法定相続分よりも故人の遺言書の方が優先されるためです。

遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。

引用元: Wikibooks|民法第964条

ただし、法定相続人は遺留分を請求することができます。

自分が受け取るべき金額を遺留分として取り戻したい方は「納得できなければ最低限の取り分の「遺留分」を請求可能」をご覧ください。

長男の嫁に遺産相続をする権利はあるのか?

長男の嫁には、遺産相続をする権利はありません。なぜならば、長男の嫁は法定相続人ではないためです。

しかしながら、もし被相続人に介護などで生前に尽力していた場合は特別寄与料を請求できる権利があります。

生前のおこないにしかるべき報酬を受け取りたいという方は「特別寄与料は被相続人の介護などをしていれば請求できる」をご覧ください。

長男は遺産でどれだけの割合をもらうのが妥当か?

長男は遺産でどれだけの割合をもらうのが妥当か、判断すべき基準は法律にはありません。

民法では、法定相続人は等しく相続する権利を持つと定めており、生まれ順により価格の差を付けてはいません。

遺言書が残されていない場合は、話し合いか法定相続分の割合で分けるなど検討しましょう。

相続に関して困ったときの相談先3つ

「ひとりで相続手続きを進めるのは無理!」

こんな方は、相続に関する手続きをプロに相談・解決してもらうことをおすすめします。「緊急度の高い順」にご紹介しています。相談を上手に活用して、検認作業をスムーズに進めていきましょう。

  1.弁護士 2.行政書士
費用

25万円~

15万円~

メリット ・各種書類の準備や申し立て作業など、相続に必要な一切の作業をまるごと依頼できる

・相続のアドバイスもしてもらえる

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デメリット ・費用が高額になりやすい ・相続に関する争いには対応できない

いきなり、弁護士や行政書士に依頼するのは、ハードルが高い…という方は、

3.無料相談を利用して専門家を紹介してもらう

で、一度相談してみるのがおすすめです。

1.弁護士(相場:25万円~)

弁護士へ相続に関する相談をする場合は、以下の手順で依頼しましょう。

1.法律相談事務所へ遺産争いの内容を相談する

2.費用について弁護士から説明を受ける

3.着手金の支払い後、弁護活動を開始してもらう

必要に応じて、弁護士と都度打ち合わせが入る場合もあります。

また、弁護士へ遺産争いに関する相談をする場合は、以下の費用がかかることを覚えておきましょう。

費用の種類 概要 費用相場
相談料 遺産争いの相談にかかる費用 無料、もしくは約5,000円?(30分)
着手金 弁護士が遺産分割や調停に着手した場合の費用 20?30万円
報酬金 遺産争いが解決した場合に発生する費用 経済的利益や着手金相場によって変動
実費 印紙代や切手代、交通費など 1?10万円
日当 出張費用 約5万円

参考: 「相続会議」朝日新聞社

相続弁護士を選ぶには、あなたが置かれている状況や相続人数によっていろいろな基準があります。

後悔のない相続ができる弁護士をお探しの方は、 知らないと損をする!相続弁護士を選ぶ9つの要点と費用を抑える準備をご覧ください。

2.行政書士(相場:15万円~)

行政書士へ相続に関する相談をすると、弁護士に依頼するよりも比較的安く済ませることが可能です。

金額は15万円程度としましたが、おこなう手続きの複雑さや処理する案件の数、相続人の数によって変動します。

行政書士の中には、サービスごとに料金表を設けているところや、パック料金で一律の料金を定めているところがありますので、依頼する内容の複雑さにより使い分けましょう。

3.無料相談を利用して専門家を紹介してもらう

相続に関するお悩みに応える、 日本司法支援センター(法テラス)がおすすめです。

日本司法支援センター(法テラス)は国が設立した法的トラブルの総合解決所です。誰でも無料で相談でき、適切な支援先を紹介してもらうことができますよ。

やさしい相続』でも、24時間365日無料相談で承っています。電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。しつこい勧誘等も行いません。

大切なことだからこそ、丁寧に・確実に進めていきましょう。

まとめ

今回は、長男に関する遺産相続の問題を解説してきました。

長男による遺産相続で金銭面や面倒な争いなどの不利益を被らないためには、下記4つを押さえておくことがポイント。

1.長男の総取りは現在は「不可」

2.遺言書を書いて、長男へ全財産を引き継がせることは「可能」

3.(不服があれば)法定相続人は「遺留分」を請求できる

4.生前に介護していれば「特別寄与(とくべつきよ)」を請求できる

かつて「家督相続」として長男長女の相続を有利にしていた法律は、昭和22年に廃止されました。

現在は法定相続人であれば等しく相続する権利を持ちますが、法定相続人の権利に優先される遺言書を用いることで「長男に全財産を相続させることは可能」となっています。

しかしながら、法定相続人には相続で最低限受け取るはずだった金額として「遺留分」を請求できる権利がありますので、万が一侵害された場合には請求することが可能です。

また、法定相続人ではない人であっても、民法に定めるところの親族(以下3条件を満たした人)であれば特別寄与料を請求することができますよ。

・6親等内の血族

・配偶者

・3親等内の姻族

例えば、長男の嫁が被相続人の介護に尽力していた場合、特別寄与料を請求できます。

請求額の目安として、介護に携わった日数がわかる介護日誌やかかった費用を知るために介護で支出した分の領収書などを控えておくようにしましょう。

ただし、請求できるのは相続が始まってから6カ月以内ですので注意してください。

長男が相続内容に同意しなかったり、相続の手続きが進まないなどのトラブルに巻き込まれた時は、一度プロに相談するのがおすすめです。

弁護士や行政書士のほか、法テラスといった無料で相談できる施設もありますよ。

この記事があなたにとって後悔のない相続に役立つよう祈っております。

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【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

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エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。