お寺での葬儀を成功させる5つのコツ!依頼~費用相場までプロが解説
「敷居が高い」「お布施が相場より高額になりそう」「マナーを守れるか心配」
そんな不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
実はお寺、民営斎場も費用や葬儀の流れに大差はなく気おくれする必要はありません。
お寺での葬儀は荘厳な雰囲気の中でゆっくりと故人を見送れるだけでなく、寺院によっては葬儀費用が相場より安くなるというメリットも。
ご紹介する「費用」「流れ」「依頼方法」「規模」「移動手段」の5つを抑えるだけで、相場やマナー、参列者への気配りに配慮したスムーズな葬儀が可能に。
初めは誰でも戸惑うお寺での葬儀。
5つのコツを知ることで、余裕を持って依頼や検討をすることができるようになります。
ぜひ最後までお読みください。
お寺で葬儀の費用相場(葬儀使用料+お布施)
お寺の葬儀使用料やお布施は、民間斎場とほぼ同額で、葬儀使用料は全国平均約120万円。お布施相場は約25万円という統計が出ています。
全国平均は約120万円(2020年情報)
お寺によって若干異なりますが、葬儀費用の全国平均は約120万円です。
実際、大河ドラマの舞台になった『松源寺(しょうげんじ)』(長野県)では、寺院葬の案内に「使用料として10万円を納めて頂いております」の記載が。
また、弘法大師が訪れたという『円泉寺(えんせんじ)』(埼玉県)では、葬儀での本堂と霊安室を「無料」としています。
※「松源寺」「円泉寺」共に2021年現在の情報
松源寺(しょうげんじ)の10万円は民間斎場の利用相場とほぼ同額です。
そして、円泉寺(えんせんじ)のように民間斎場よりもお寺の方が安くなるケースも珍しくありません。
「お寺の葬儀をもっと安くできないかな?」と思われた方は下記記事も合わせてご参考ください。
・葬式の費用はどれ位?予算内で希望の葬儀を行うための方法も紹介
家族葬・一日葬などの相場や安く抑える為の工夫を紹介しています。
お布施の平均相場は約25万円(2020年情報)
全国のお布施の相場は約25万円です。
お布施の内訳は「読経」と「戒名」の御礼で構成されているため、宗派、状況によっても変わります。
戒名の知識は「戒名とはなにか?戒名の構成やランクを一覧にしながら戒名の付け方やお布施の相場、お布施について完全解説!」をご覧ください。
相場や付け方について詳しく紹介しています。
お布施は多く包む必要なし!相場は確認してもよい
お寺の葬儀であっても、お寺の葬儀ではない場合でも「多く包むのが正解」ではありません。
「いくらつつめばいいんだろう…。」と不安になりましたら、お寺へ相場を確認しても問題ありません。
お布施は感謝の気持ちを表わすものですので、「お布施料金はおいくらですか?」と聞くのはNG。
多くの場合で「お気持ちで結構です」とはぐらかされてしまう可能性があります。
「他の方はおいくらほど包んでいるのでしょうか?」と遠回しな尋ね方の方がスマートで良い回答が得られるでしょう。
お布施についてさらに知識を高めたい方は、「【令和3年最新】葬儀時の僧侶お布施相場〜抑えるべきマナーのすべて」をご参考ください。
お布施をお渡しする際の包み方や渡し方などマナーもご紹介しています。
祭壇、お車代は不要な場合も
お寺によっては、祭壇が不要になるケースも。
民営斎場では別途祭壇を用意する必要がありますが、お寺は既に設置済みの場所が多いです。この場合、新たに祭壇を設ける必要はありません。
祭壇の相場は約10万円~100万円ですので、大きく費用を抑えることができます。
また、僧侶へ交通費としてお渡しするお車代も不要に。お寺での葬儀ではお渡しする必要がなく、お車代の平均相場5千円~1万円を抑えることができます。
祭壇については「後悔しない祭壇の選び方:意味と宗教ごとの祭壇と相場を解説!」で種類や選び方を詳しくご紹介しています。
把握しておきたい葬儀の流れと動線
続いては、葬儀の流れと参列者の動線を把握します。
費用は一般葬と変わらないものの、民間斎場とお寺では構造や設備が異なります。
参列者のスムーズな移動や希望の葬儀が行えない可能性もあるので注意しましょう。
葬儀の流れは一般葬と同じ
お寺での葬儀でも一般葬と同じです。お寺でのお式の一般的な流れは下記の通りです。
1.ご遺体の搬送と安置
2.通夜
3.葬儀・告別式
4.火葬
お寺から葬儀社を紹介されるケースが多く、その場合、手慣れた葬儀スタッフが対応・進行してくれます。
一般葬の具体的な流れは「御葬式とは?意外と知らない御葬式のマナーや流れ、お通夜・葬儀・告別式の違いまで完全解説!」に詳しく紹介しています。
儀式ごとに詳細に解説していますので、葬儀の流れに不安や確認したい方はぜひ、ご参考ください。
お寺の設備によっては葬儀に不向き
葬儀内容によっては、お寺の構造や設備を理由に、喪主側の希望を断られる場合も。
その為、当日混乱しないためにも、葬儀での不安や特別な演出があればお寺へ事前に確認しておきましょう。
例えば、
「故人に付き添う宿泊施設が無かった」
「葬儀で故人の好きな音楽を流したがったが、音響設備が無く断られた」
「待合室が無く外で長時間待たされた」
といったケースです。
特に普段行き来していないお寺での葬儀であれば、事前にHPや口コミを参考にするのも良いでしょう。
また、ほとんどのお寺には、お布団に安置する用意はありません。
そのため、お棺に納棺された状態でないと受けて頂けない寺院も多いです。
参列者の健康に配慮
年配者や体が弱い方への配慮も忘れてはいけないポイントのひとつ。
「〇〇家の葬儀に参列したら体調を崩した」
という事態は避けたいもの。
実際、全国ではバリアフリーに対応していないお寺も多く、車いすや足腰が弱い方の移動を気に掛ける必要があります。
駐車場が無いお寺では、電車の移動が大変な場合も。
また、お寺によっては畳の上で葬儀を行う場合もあります。
長時間の正座が大変な方へは椅子の貸し出しが必要な場合も。最大何脚まで貸し出し可能かも聞いておきましょう。
このように、
『葬儀の流れ』
『お寺の設備』
『参列者の状態』
『駐車場の有無』
上記4点は、お寺の葬儀を決める上で大切な判断基準になります。
お寺へのスムーズな依頼方法
お寺へのスムーズな依頼には、『連絡するべき場所』と『伝えるべき内容の整理』が必須です。落ち着いて伝えられ、二度手間を防止することができます。
菩提寺へは直接依頼する
普段、お世話になっている菩提寺への依頼は、直接の電話で問題ありません。
菩提寺がない場合は、お寺のHPから寺院葬を行っているか確認し、手順に従って申し込みをします。
HPを見ても不明な場合は、寺院葬を行えるか葬儀社に仲介してもらいましょう。
また、お寺によっては葬儀社が指定されている場合も。事前にお寺へ確認しておくと良いでしょう。
檀家や同一宗派で無ければ葬儀を断られるケースもあり、葬儀社であれば情報を持っている可能性が高いからです。
『やさしいお葬式』でも寺院葬が可能です。お寺での葬儀をご希望の方は、是非ご相談ください。
また、8月のお盆や3月・9月のお彼岸はお寺の繁忙期です。法事や催事で忙しく、断られることもあるのを念頭に入れておきましょう。
「お盆・お彼岸で何をするのか?」を知りたい方は下記記事もご参考ください。
・お盆(盂蘭盆会)とは?期間・意味・マナーを完全解説!
・お彼岸はいつから?お彼岸の時期や意味、お彼岸の準備やマナーまで完全解説!
事前に連絡事項と質問をまとめる
お寺へのスムーズな連絡のコツは、「連絡事項」と「質問」をまとめておくことです。
また、メモを取ることも予想されますので、筆記用具の準備も忘れないようにしましょう。
家族が亡くなって慌ただしいなか、何度も連絡するのは相手にとってはもちろん、自分にとっても負担になる為、最低限の回数で済ませるようにしましょう。
【連絡事項】
1.故人の名前
2.通夜・葬儀の希望日
3.戒名のお願い
4.質問(お布施の目安など)
葬儀規模が適切か見定める
「葬儀規模とお寺の収容人数が一致しているか?」の見極めも大切なポイント。
会場が混雑したりお寺の迷惑にならないよう注意が必要です。
待機・食事場所の確保
葬儀規模が適切かどうかは、葬儀会場だけでなく待機場所や食事場所も念頭にいれておくべきです。
家族葬などで人数が想定できれば問題ありませんが、参列者が多そうであれば、お寺の収容人数を確認すべきです。
なぜならお寺での葬儀では、待機場所が屋外になるケースも多いためです。
焼香の順番待ちに寒空や猛暑の中、参列者を長時間お待たせしてはゆっくりと故人を見送れません。
同様に、精進落としなど会食を行う場合は、十分な食事スペースが確保できるかの確認も必要に。
「せっかく会食に誘われたけど座る席が無くて帰った」
などということが無いようにしましょう。
精進落としの流れとマナーについては下記記事で詳しく紹介しています。会食を検討されている方はぜひご参考ください。
・精進落としとは?葬儀後に行われる食事の席の流れや内容から注意点やマナーまで徹底解説!
他の参拝客への配慮
他の参拝客の迷惑にならないよう配慮も忘れないようにしましょう。
大きなお寺であれば他の参拝客がいる可能性も高く、意識していなくても参拝の邪魔になってしまうことも。
例えば、
「お寺の駐車場を参列者が独占していた」
「葬儀への参列者が多すぎて参拝の邪魔になった」
などという場合、お寺からの信頼を失うことにもなりかねません。
人数が多い場合は、参列者同士で車を乗り合わせてもらうなどを検討しましょう。
お寺への移動方法の確保
お寺によっては山頂や山奥にあり、参列者の移動が困難な場合があります。
参列者がスムーズにたどり着けるかは必ず抑えておきましょう!
駐車場や交通手段の確認
交通手段や駐車場の有無は必ずHPや場合によってはお寺へ確認しておきます。
特に、動きにくい喪服での移動は大変です。状況によってお寺の更衣室で着替えてもらうなどの配慮も必要になります。
自分にとっては行き慣れた近所のお寺であっても、駐車場が少なかったり駅から長時間歩かないとたどり着けないケースもあります。
小さいお寺ですと駐車場自体が無い場合も。バスの本数やタクシーなども含め、参列者が迷ったり負担にならないかも大切なポイントです。
お寺に葬儀を依頼する手順
お寺に葬儀を依頼するタイミングは故人がお亡くなりなり、死亡診断書を受け取ってからです。
菩提寺がある場合は、直接連絡をし葬儀の相談をします。この際、前述したように連絡事項や質問はまとめておくとスムーズです。
お寺から葬儀社を紹介され、以降は葬儀社とのやり取りになることも多いです。
菩提寺が無い場合は、葬儀を行いたいお寺のHPを確認し寺院葬の有無を確認します。不明な場合は一度、葬儀社に確認してみましょう。
葬儀社とのやり取りが不安な方は「事前に知っておきたい、葬儀会社のスタッフに聞かれること」を確認しておくと安心して対応できます。
『やさしいお葬式』でも寺院葬が可能です。お寺での葬儀をご希望の方は、是非ご相談ください。
【補足】神社で葬儀はおこなえない
「お寺でなく神社で葬儀をおこないたい!」という方もいらっしゃるかも知れません。残念ながら神社では葬儀はできません。
なぜなら、神道では亡くなられた方は「穢れ(けがれ)」と解釈され神聖な境内に入ることができないからです。
神道の葬儀は、仏式と同じ斎場や葬祭ホールで行われます。
神道についてくわしく知りたい方は、下記記事もご参考ください。
・神社のお葬式とは?神道のお葬式の流れから作法まで完全解説!
お寺での葬儀のまとめ
お寺での葬儀について大切な5つのコツを解説いたしました。
コツ |
内容 |
1 |
費用 |
・民間斎場とお布施含めほぼ同額 ・祭壇、お車代は安くなるケースも ・お布施相場はお寺に聞いてもOK |
2 |
流れ |
・一般葬と同じ ・施設設備は要確認 |
3 |
依頼方法 |
・菩提寺あり→直接連絡 ・菩提寺なし→HP確認か葬儀社へ連絡 ・依頼内容は要準備 |
4 |
規模 |
・寺院規模と参列者人数 ・他の参列者への配慮 |
5 |
移動手段 |
・交通手段の確保 |
お寺での葬儀といっても敬遠する必要はありません。費用や流れも一般葬と大きな違いはなく、お布施も相場をお包みしても大丈夫です。
ただ、ほとんどのお寺は民間斎場のように設備が整っていません。参列者の数によっては葬儀が難しいケースもあります。
葬儀の参列者の移動や流れ、演出には十分な配慮と事前確認が必要です。
また、お寺への依頼の際には、故人の情報と共にあらかじめ気がかりなことをメモしておくとスムーズです。
さらに、交通が不便な場所にあるお寺では、駐車場の台数や移動手段の確保も大切なポイントになります。
昨今は『お寺離れ』と言われる時代ですが、お寺での葬儀はむしろ歓迎される可能性の方が高いです。
本記事の5つのコツを抑え、お寺特有の神聖な雰囲気の中、参列者と共に故人をゆっくりと見送れると良いですね。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール