葬式のお金はこれで完璧!内訳と相場から後悔のない選び方を考えよう
「葬式にかかるお金を予め用意しておきたい・・・」
「喪主をやることになりそうだが、葬式ってどのくらいお金がかかるものなの?」
「費用を抑えた葬式をしたいが、安すぎるのも不安・・・」
葬式の費用は、参列者の人数や宗派、風習で増減が大きいため、このようなお悩みを抱えている方は、少なくないでしょう。
近年、安価な葬式プランを掲げる葬儀社も増えてきているものの、全国的な相場は「131万円」と高い水準をキープしています。
葬式の費用内訳 |
全国
相場
|
内容 |
葬式に必要な費用 |
プラン
料金
|
約46万円 |
・安置に必要な搬送、安置室利用、ドライアイス、棺、枕飾り、線香など
・葬式で使用する祭壇、遺影、受付など
・葬式スタッフ、司会などの人件費など
|
火葬
費用
|
約5万円
|
・火葬料金
・火葬場での待合室利用料など
|
お布施 |
約30万円
|
・僧侶へお渡しする「読経」と「戒名」の御礼 |
参列者の飲食と返礼 |
約50万円
|
・通夜と葬式後の会食費用
・参列して頂いた方へお渡しする「会葬御礼」
・香典を頂いたお返しの「香典返し」
|
葬式費用参考:全国の葬式費用相場は46万円!都道府県別の葬式費用一覧を全公開
131万円という金額だけを見ると「もっと安く抑えたい」「セットで数十万円というプランを提示している葬儀社を選ぼうかな」と感じてしまいがちですが、葬式費用に関しては、安ければ良いというものではありません。
葬式費用について考える時は「価格が適正か」「内容と価格に納得できているか」という2つを軸に検討を進めていくことが推奨されます。
ポイント |
概要 |
価格が適正か |
・内訳それぞれの価格が相場からかけ離れていないか
・プラン内容は適正で、不必要なオプション等で価格のつり上げが行われていないか
|
内容と価格に納得できているか |
・内容と価格のバランスが取れているか
・内容は家族の希望に沿ったものか
|
2つのポイントをおさえた葬式選びをするためにも、喪主や家族が葬式についてある程度の知識を持っておくことは非常に重要です。
当記事では、「葬式にかかる費用が高すぎてその後の生活に支障が出た」「費用を抑え過ぎたのか、式の内容が不十分だと感じた」といった後悔を生まないための葬式の選び方について解説します。
葬式費用の内訳や相場を知り、費用に関する正しい知識をつけましょう。その上で、「故人に満足してもらえる」という点はもちろん「遺族に過度な負担を強いらない」皆が温かい気持ちで終えられる式にする考え方のポイントも紹介します。
「予算の範囲内で、納得のいく葬式を行いたい。」
「安い葬式と高い葬式の違いを知り、どこにお金をかけるべきか検討したい。」
「葬式のクオリティは落とさず、費用負担を抑える方法はあるの?」
このようなお悩みがある方は、当記事を読むことで葬式にかかる費用についての理解が深まり自信を持って検討を進めていけるでしょう。是非最後までお読みください。
葬式の平均費用は約131万円
葬式にかかった費用総額は、平均して「131万円」程です。これは、葬式という式典を開催すること自体にかかる費用に加えて、お坊さんへのお布施や弔問客のもてなしなどにかかった費用などをすべて合算した総額です。
この金額は年々減少傾向にあり、背景にはライフスタイルの変化や世界情勢など様々な影響があると考えられます。
【葬式の費用が減額している理由】
・ご近所付き合いの減少
・少子化に伴い、親族の人数が減少
・感染症蔓延等による弔問客の人数制限
・家族葬や1日葬といった小規模葬式の需要増加
日本消費者協会が発表したデータをみても、総支払額が100万?199万円と回答した人が、最も多いという結果が出ています。
それでも、「平均131万円」という額は決して安いものではありません。葬式にかかる費用の内訳や詳しい相場について確認しましょう。
全国の葬儀費用の総額平均は、131万円です。
※各地域をクリックすると詳細記事が開きますので合わせてご確認ください。
※下記金額は、「葬儀プラン+お布施+飲食」の総額です
葬式費用は「3つの区分」で考える
葬式にかかる費用は、「何に対して発生したお金か」によって3つに分けて考えるのが一般的です。
葬式の費用内訳 |
全国
相場
|
内容 |
葬式に必要な費用 |
プラン
料金
|
約46万円 |
・安置に必要な搬送、安置室利用、ドライアイス、棺、枕飾り、線香など
・葬式で使用する祭壇、遺影、受付など
・葬式スタッフ、司会などの人件費など
|
火葬
費用
|
約5万円
|
・火葬料金
・火葬場での待合室利用料など
|
お布施 |
約30万円
|
・僧侶へお渡しする「読経」と「戒名」の御礼 |
参列者の飲食と返礼 |
約50万円
|
・通夜と葬式後の会食費用
・参列して頂いた方へお渡しする「会葬御礼」
・香典を頂いたお返しの「香典返し」
|
合計金額:約131万円 |
平均費用である131万円という数字は、3つの項目の合計金額を表しています。いずれも、葬式を執り行う上で必要不可欠な項目ですが、費用はあくまでも平均なので葬式の規模や格式によって変動します。
それぞれの詳細な費用の内訳について、重要度合いの高いものから順に確認しましょう。
葬式自体にかかるお金 相場:51万円
葬式自体にかかるお金の全国平均は、51万円です。こちらは、葬儀社に支払う「プラン料金(基本料金)46万円」と火葬場に支払う「火葬費用5万円」を合算した金額で、葬式を執り行うための必要経費と言えますね。
内訳 |
概要・ポイント |
相場 |
プラン費用 |
「安置代」+「葬式代」を合算した基本費用
【安置代】
・安置日数や搬送距離によって価格が変動
【葬式代】
・葬式の規模やスタイルによって価格が変動
|
全国平均:51万円 |
一般葬:71万円 |
一日葬:50万円 |
家族葬:44万円 |
直葬:18万円 |
火葬費用 |
ご遺体を火葬するための費用
・火葬場に対して支払う
(葬儀社が代行して支払ってくれるケースもある)
・地域により価格が変動
|
全国平均:5万円 |
プラン費用には、祭壇・安置に必要な搬送、安置室利用、ドライアイス、棺、枕飾り、線香といった葬式を行うにあたっての必要経費の他、葬式場の利用料、葬式スタッフ、司会などの人件費なども含まれます。
全国平均は51万円となっていますが、弔問客を招いた一般葬プランでは平均71万円・葬式としての儀式を最も簡略化した直葬プランでは平均18万円と、葬式の規模や格式によって大きく金額が変動します。
一方、葬式スタイルが火葬費用に与える影響はほとんどありません。基本的には葬儀社と火葬場は別帯であり、火葬場の多くは自治体が運営する公営施設です。そのため、価格も地域により異なります。
【火葬費用相場】
北海道札幌市・・・無料
東京都・・・7.5万円
神奈川県横浜市・・・1.2万円
京都府京都市・・・2万円
広島県広島市・・・0.9万円
都道府県によっては、公営の火葬場が少なく民間の火葬場が多い地域(東京都など)がある他、葬儀社が自社で火葬施設を併設しているケースもあります。そのような場合には、公営の火葬場よりも費用が高めになってしまうでしょう。
お布施や戒名にかかるお金 相場:30万円
日本で行われる仏教をベースとした葬式では、僧侶による読経や戒名付けなどが行われます。その際、僧侶に対して支払う謝礼がお布施であり、相場は30万円程です。
お布施は「心付け」とも呼ばれ、あくまでも僧侶に対するお礼の気持ちを形にしたものであると考えられており、多くの場合、明確な金額は定められていません。そのため、相場を参考にしながら自分達で包む金額を考える必要があります。
戒名には「位(くらい)」という概念があり、どの位の戒名をつけてもらうかによってもお布施の相場が変動します。宗派によって戒名への考え方に機微があるため、必ずしもこの表の通りとはいきませんが、一般的には戒名の位によるお布施の相場は以下の通りです。
戒名(男性、女性) |
お布施の相場 |
位 |
信士、信女 |
20万~30万円 |
高い
↑
↑
↑
低い
|
居士、大姉 |
50万円~ |
院信士、院信女 |
80万円~ |
院居士、院大姉 |
100万円~ |
日本で最も多いのは「信士、信女」の戒名であるため、当記事ではお布施や戒名にかかる費用の相場を30万円としています。
お車代を別途支払う必要があるという意見もありますが、お布施とはその日の施しについてのお礼という意味合いでお渡しするものです。「お車代」「読経へのお布施」「戒名付けへのお布施」と分けてお渡しするのではなく、お車代も含めて総額を包むようにしましょう。
お布施について詳しくは「お布施を完全解説!意味・相場・表書き・裏書などを解説!」や「お布施はどれくらいの金額を包めば良い?なかなか知らないお布施の金額の相場からお布施のマナーまで完全解説!」といった記事があります。
お布施の用意の仕方や僧侶への渡し方など、葬式の前に知っておきたい様々な情報を分かりやすく解説しています。当記事と併せて、参考にしてください。
会食や返礼品にかかるお金 相場:50万円
会食や返礼品など、遺族による儀式や弔問客へのもてなしにかかる費用の相場は1回の葬式で約50万円です。
項目 |
概要 |
相場 |
精進落とし
(しょうじんおとし)
|
忌中の苦労をねぎらいながら、親族で会食を行う日本の慣習 |
5千円/1人 |
弔問客へのもてなし |
故人がお世話になった方へ感謝の気持ちを込め、食べ物やお酒を振る舞う |
2千~3千円/1人 |
香典返し・返礼品 |
香典をくれた方に対する、法事が無事に終わったという報告を兼ねたお礼 |
香典の3分の1~半分 |
こちらは、親族や弔問客の人数によって値段が大きく変動する項目です。近年では、弔問客を限定した小規模な葬式が主流となってきているため、費用負担は軽減傾向にあります。
ただし、もてなしに関しては「感謝の気もち」が基本となってくる部分ではあるので、周囲とのバランスなども考えながら金額を決めていくことが大切です。
会食や香典返しについて詳しくは「精進落としとは?葬式後に行われる食事の席の流れや内容から注意点やマナーまで徹底解説!」や「香典返しのマナーを完全解説!相場・時期・挨拶状・例文・品物も紹介!」といった記事があります。
会食の場所選びや喪主の挨拶についても解説している他、香典返しとしてオススメの品物についても紹介しています。自身や配偶者が喪主を務めるため、失礼の無いよう立ち振る舞いたいという方の参考になるでしょう。
葬式の種類とプラン費用の相場
現在、葬式は4つの種類に分けて考えるのが一般的です。各葬儀会社では、葬式の種類にあわせて「棺桶、祭壇、葬式場スタッフの人件費、葬式場の利用料、ご遺体の運搬」など必要なものをセットにしたプラン料金を設けています。
葬式の種類 |
概要 |
プラン費用の相場 |
一般葬 |
弔問客を招き 通夜・葬式を行う、最も一般的な形の葬式 |
71万円 |
家族葬 |
遺族と親族のみで通夜・葬式を行う |
50万円 |
一日葬 |
通夜と葬式を分けず、1日で完結させる |
44万円 |
直葬 |
通夜や葬式は行わず、必要最低限の内容のみをお別れの儀式として行う |
18万円 |
※各項目をクリックすると詳細記事が開きますので、合わせてご参考ください。
お布施や弔問客へのもてなしなどは含まず、純粋に葬式を執り行うため葬儀社に払う費用であるものとして相場を算出すると、プランによって50万円近く相場価格に差が生まれています。
葬式の種類別の費用について、相場価格の高いものから順に詳しく確認しましょう。
一般葬 相場:71万円
一般葬とは、通夜、葬式・告別式を省略せずにおこなう葬式のことです。そのため、総額は葬式形式の中で最も高額な71万円が相場です。
特徴 |
・古くから葬式の主流として行われてきたお見送りのスタイル
・通夜や告別式を行う
・家族や親族以外にも、多くの参列者を招くことができる
|
費用相場 |
71万円 |
メリット |
・知人や友人など多くの人に故人を送り出してもらえる
・葬式を簡素化することでの批判をうけることがない
|
デメリット |
・費用が高額
・決めることが多く、日数もかかるため大変
|
小規模スタイルの葬式が主流となりつつありますが、一般葬は従来からある伝統的な葬式の形です。葬式の前日の通夜をはじめとし、葬式・告別式と一連の宗教儀式を行います。
【一般葬が向いている方】
・知人、友人、会社関係者など交友関係が広い方
・社会的な人間関係を重視する家系の方
・周囲との密な付き合いがある地域の方
一般葬の費用に関しては「一般葬の費用相場と内訳|誰でも金額を抑えられる7つのコツを全解説」でも解説しています。
一般葬の総額を最大で100万円以上抑えるポイントを分かりやすく紹介しており、葬式の中でも価格が高くなりがちな一般葬を少しでも手頃に執り行いたいという方にオススメの記事です。一般葬を検討している方は、是非ご一読ください。
家族葬 相場:50万円
家族葬とは、家族や親族・ごく一部の友人など、限られた範囲の人だけで行う小規模な葬式のことです。大きな会場を必要としないことなどから、プラン費用の相場は50万円と、一般葬よりも若干安くなります。
特徴 |
・通夜、葬式、告別式と、一般葬と流れは変わらない
・弔問客がいない分、遺族の心労が軽減される
|
費用相場 |
50万円 |
メリット |
・親しい人だけで最後の時間を過ごすことができる
・参列者への対応がない分 慌ただしさが減り、遺族も落ち着いて式に望める
・自由度の高いお葬式ができる
|
デメリット |
・費用としては比較的高め
・参列者からの香典が見込めないため、実質負担が大きくなる
|
お葬式としての宗教儀礼は簡素化されずに行われる為、一般葬との違いは「参列者」だけです。家族・親族のみで行われることが一般的ですが、場合によってはごく親しい友人が1人?2人程度参列する場合もあります。
【家族葬が向いている方】
・親しい間柄の人だけでお別れをしたい方
・弔問客への対応やもてなしなど、遺族に負担をかけたくない方
・独自の演出や送り方を希望している方
家族葬の詳しい内容や声をかける範囲などについては「家族葬は小規模な葬儀!費用相場や人数・流れや注意点などすべて解説」でも解説しています。選ぶ際に配慮するべき点や、費用の抑え方についても紹介しているので、是非参考にしてください。
一日葬 相場:44万円
一日葬とは、従来2日間かけて行う葬式の通夜を省いて1日で完結させるスタイルです。所要日数が1日少なくなることなども影響し、プランの費用相場は44万円と比較的安価な水準です。
特徴 |
・葬式、告別式のみを行う
・通夜は行わない
・家族や親族以外にも、多くの参列者を招くことができる
|
費用相場 |
44万円 |
メリット |
・1日で葬式が終わるので、体力的・時間的な負担が少ない
・知人や友人など多くの人に故人を送り出してもらえる
|
デメリット |
・儀式を簡略化することへの理解が得られない場合もある
・心の整理が付かないまま火葬となってしまうことも
|
ライフスタイルの変化などに伴い、近年需要が増えてきているスタイルの葬式です。仏教に対する信仰心の強い方や菩提寺によっては、簡略化した葬式を受け入れられないという方もいるため、選択には配慮が必要でしょう。
【1日葬が向いている方】
・親族が遠方から集まるなど、時間的に余裕がない方
・高齢の親族が多い場合など、体力的に2日間の開催が厳しい場合
・価格を抑えながらも、ある程度の儀式は行いたい方
一日葬の詳しい内容は「【一日葬の流れとタイムスケジュール】後悔を避ける為の2つの注意点」にて紹介しています。一日葬を選ぶべきなのはどのような方なのか・選ぶ際に配慮するべき点など分かりやすく解説しており、検討の参考になるでしょう。
直葬 相場:18万円
直葬とは「火葬式(かそうしき)」とも呼ばれ、通夜・葬式・告別式を行わず、火葬のみを行う葬式形態です。仏事としての儀式がない分、費用負担を大幅に軽減させることが可能で、プランの相場は18万円です。
特徴 |
・祭壇を用いた儀式は行わない
・参列者の受け入れはなく、遺族と親族のみ
・安置後、「納棺→火葬→骨上げ」という順で進む
|
費用相場 |
18万円 |
メリット |
・費用を安価に抑えることができる
・仏事が省かれるため、時間的・精神的な負担が軽減
|
デメリット |
・儀式を簡略化することへの理解が得られない場合もある
・心の整理が付かないまま火葬となってしまうことも
|
納棺時に、簡単なお別れの時間が設けられる場合があるものの、基本的には儀式が無いためあっという間に火葬となってしまいます。
「故人を送り出す気持ちが大切なので、儀式を重要視しない」という考え方の人にとってはシンプルで良いスタイルですが、「心の整理がつけられない」と感じる方もいるため選択には注意と配慮が必要です。
【直葬が向いている方】
・葬式よりもお墓や仏壇など供養を重視したい方
・遺族に仏事で金銭的負担をかけたくない方
直葬の費用や流れについては「火葬式を完全解説!費用・流れ・マナー・香典・一般葬式との違いを紹介!」でも解説しています。メリット・デメリットや、意識調査の結果などについてもふれており、直葬を検討している方は是非検討の参考にご一読ください。
葬式の費用を考える大事なキーワード3つ
「葬式の費用にいくらかけるべきなのか・・・」と悩んだ時は、自分や家族にあった葬式とはどのようなものなのかを3つのキーワードを元に考えてみましょう。
キーワード |
概要 |
希望 |
葬式~納骨の中で何を重要視するか |
予算 |
仏事にかけられるお金はいくらあるのか |
納得 |
本人や家族が内容・費用に納得しているか |
希望の葬式をすることを重要視した結果、遺族に高額な金銭的負担が降りかかることはNGですし、予算を少なくしすぎて納得のできない内容の式になることも避けたいですよね。
葬式の費用を検討する上で最も大切なのは、「バランス」です。キーワードに合わせた内容や状況を箇条書きで書き出していくことで、どんな葬式にするべきか・配慮するべき点はどこなのかといった具体案が見えてくるでしょう。
後悔のない葬式を執り行うためにも、考えるべき3つのキーワードについて考えていくべき順番に沿って解説します。
【希望】葬式~納骨の中で何を重要視するか
仏事は宗教的な儀式である以上、個々の価値観や考え方に正解がありません。葬式から納骨までの中で、本人や家族が何を重要だと考えるか「希望」を確認しましょう。
【希望】の例
・仲の良い友人に集まって見送ってもらいたい
・大掛かりな式ではなく、ごく親しい家族のみで葬式をしてほしい
・立派なお墓を建てて、ちゃんとお墓参りをしてほしい
・先祖代々お世話になっているお寺に弔ってもらいたい
エンディングノートなども活用しながら、本人の希望や家族の希望を明確化することが大切です。
【予算】仏事にかけられるお金はいくらあるのか
お亡くなりになってから行うべき仏事事は、葬式だけではありません。「葬式にお金をかけすぎてしまい、お墓を建てるお金がなくなってしまった」とならないよう、予算を明確に出して計画的に仏事を進めていきましょう。
まずは、遺産や死亡保険なども考慮し、家族として仏事にいくらかけることができるのかをできるだけ明確にします。その上で、希望を反映させた時の予算との兼ね合いや香典などの収入も加味して具体的に検討を進めます。
【希望】と【予算】がまとまった時点で、葬儀社に相談するとより自分達家族にあったプラン等のアドバイスが受けられるでしょう。
【納得】本人や家族が内容・費用に納得しているか
最後に、【希望】と【予算】を踏まえてたどり着いた内容に、本人や家族が【納得】できているか確認します。せっかくの葬式が親族間トラブルの火種となってしまっては悲しいですよね。後悔を避けるためにも、最後の確認を怠らないようにしてください。
・本人の希望は可能な範囲で叶えられているのか?
・予算の範囲内で執り行えそうか?
・事前に親族の理解は得られているか?
一日葬や直葬では、儀式を簡略化することに対して親族への事前の説明が必要です。また、声をかける知人の範囲や開催地など、本人や遺族の希望に沿っているか今一度確認しましょう。
葬式内容を変えずに費用負担を抑える制度利用のコツ
補助金や税金の控除など使える制度を上手に活用し、葬式の費用負担を少しでも軽減させましょう。葬式の費用にまつわる3つの制度を紹介します。
制度 |
概要 |
相続税の控除制度 |
葬式代を故人の資産から賄うことで、相続税の控除が受けられる |
葬式に使える補助金制度 |
故人が加入していた健康保険組合によっては仏事関係の補助金制度が設けられている場合がある |
生前予約による割引 |
葬式を行う場所やプランを生前に決めてもう死んでおくことで、代金等の割引が受けられる |
これらの制度を活用することで、葬式の内容を変えることなく実質的な金銭負担の軽減が見込めます。負担軽減効果の高いものから順に確認しましょう。
相続税の控除制度を使う
相続に伴って発生する税金である相続税の支払額から「お葬式のためにかかった費用」を控除することができます。但し、全ての費用を差し引けるわけではありませんので注意が必要です。
控除できる費用 |
1.お通夜や告別式をするために葬儀社に払う費用
2.お通夜や告別式に参列した人々の飲食接待費
3.葬式にてお手伝いしてもらった人へ渡す心付け
4.宗教者へ支払ったお布施や戒名、読経のための費用
5.故人を火葬し、お墓に埋葬するために必要な費用
6.故人の遺体を捜索したり、見つかった故人を搬送したりするための費用
7.葬式の際に参列者に対して渡す御礼品のための費用
|
控除できない費用 |
1.香典返しのためにかかったお金
2.墓石等や墓地の買い入れに必要なお金や、墓地を借りるためのお金
3.初七日や法事などに必要なお金
4.ご遺体を解剖するために必要なお金
|
このように一部控除の対象とならないものもありますが、葬式費用の大半は控除の対象として扱われています。相続する資産額や相続人の数にもよりますが、数十万円の節税につながる場合もあります。
相続税をつかった葬式費用の控除については「【プロ監修】相続税から葬式費用を出す4つの秘訣と申請方法を解説!」も参考にしてください。実際の申告に必要な資料やスムーズに手続きを進めるための遺言書の書き方などを紹介しており、非常に役立つ記事内容です。
葬式に使える補助金制度
葬式を行った人全てを対象とした国の補助金制度というものはありませんが、故人の死亡状況や加入していた健康保険によっては、葬式に使える給付金制度があります。
制度名 |
対象者 |
補助金額 |
葬祭費 |
国民健康保険加入者 |
相場:3万円
(地域により異なる)
|
葬祭料 |
労災で亡くなった場合、労災保険から支給 |
故人の給付基礎日額による |
葬祭扶助制度 |
故人が生活保護を受給していた場合 |
地域により異なる |
会社などに雇用され社会保険に加入していた方には、葬式に関する制度ではなくお墓への埋葬に対する補助金である「埋葬費」や「埋葬料」といった制度が別途設けられています。
これらの制度は、対象になったことで自動的に給付されるものではなく自ら給付申請を行う必要があります。期限が過ぎると申請できなくなるものもあるため、忘れないうちに手続きしましょう。
仏事関係の補助金制度については「申請忘れは損!死亡手続きで受け取れる補助金5選とやるべきこと」や「埋葬料とは?請求方法・申請書の書き方・振り込まれる時期を完全解説!」といった記事もあります。
実際の詳しい申請方法や、振込までの流れなどを確認したい場合の参考にしてください。
生前予約の割引を活用
葬式の生前予約とは予め葬式の施行を葬儀社に予約しておくことを意味します。予約といっても日時を決めるものではなく、プランや参列者の大まかな人数などを含め「自身が亡くなったらここで葬式をあげます」という約束の取り付けのようなイメージです。
【生前予約や事前登録での割引例】
このように、葬儀社や葬儀仲介業者によって内容は異なりますが、事前の予約や登録で様々な特典が受けられるため、上手に活用していきましょう。
葬式費用についてよくある質問3選
葬式に対する知識をより深めるために、是非知っておきたい「葬式費用に関する3つの情報」をQ&A方式で紹介します。
質問 |
答え |
1.安い葬式と高い葬式は何が違う? |
仏具のクオリティや会場の設備の他、スタッフの人数などにも違いが出る。 |
2.保険で葬式費用の支払いは可能? |
受取人が請求すればすぐにお金を受け取れるため、葬式費用に充当が可能。 |
3.葬式費用は誰が払うべき? |
喪主が代表して支払うことが一般的。実質的な費用負担については家族でよく話し合って決めましょう。 |
それぞれの回答について、より詳しく確認しましょう。
安い葬式と高い葬式は何が違う?
葬式の費用の違いは「内容やクオリティの違い」に直結し、安いには安いなりの・高いには高いなりの理由が存在すると考えましょう。
【違いが出やすいポイント】
・祭壇の大きさ
・棺や骨壺となど物品のクオリティ
・祭壇や花輪の豪華さ
・葬儀社スタッフの人数
故人の遺体を納める棺1つをとっても、3万円以下の安価なものから数十万円する高級なものまであります。また、とにかく低価格でできることだけを重視した結果「読経が5分で終わってしまいあっけにとられた」という後悔の声も聞かれます。
そうとはいえ、高いお金をかけた葬式をすることが故人を想う最善の形とは言い切れません。低予算でも温かみのある葬式を行えたケースも多く存在します。本人・家族の希望や考え方と、費用のバランスがとれていることを確認し、契約を結ぶようにしましょう。
保険で葬儀費用の支払いは可能?
故人が加入していた生命保険の保険金で、葬式費用を支払うことができます。
突然決まった葬式など、費用をどこから捻出するべきか悩む方も多いでしょう。故人の銀行預金などは、死亡届けの提出と共に口座が凍結されてしまい所定の手続きを踏まなければお金を引き出すことができません。
保険金の支払いは、受取人として登録されている家族が保険会社に請求をかけることですぐに審査が行われ、現金が振り込まれます。医療保険など、審査に一定の期間を要するものもありますが、生命保険は必要書類が揃っていれば比較的早くお金が受け取れます。
【死亡時に保険金が受け取れる可能性があるもの】
・死亡保険
・生命保険
・定期保険
・終身保険
・養老保険
このように、一言で「保険」といっても様々な種類があることに加え、契約内容は様々です。いざとなって慌てることのないよう、事前に「死亡時にもらえる金額」や「保険金の請求方法」について確認しておきましょう。
葬式費用は誰が払うべき?
葬式費用の支払いは、喪主が代表して行うことが一般的です。喪主が建て替えのような形で一旦全額を支払い、遺産の相続時に精算して返金してもらうという流れです。しかし、法的なルールはないため喪主の補佐的な役割である「施主」が負担する場合もあります。
【その他の支払い例】
・喪主が一旦支払い、後日きょうだいで折半
・葬式費用に使うよう託されていた現金があったので、そこから喪主が支払う
・故人の死亡保険のお金を受け取り、そこから喪主が支払う
・話し合いの結果、葬式代を支払う代わりに喪主が香典を全額受け取ることになった
葬式の費用額や遺産額などは、一人一人異なるため家族内でしっかりと話しあっておくことが大切です。
まとめ
当記事では、「葬式の費用」について解説しました。1回の葬式にかける総額の平均は131万円となっており、この金額は年々減少傾向にあります。
内訳 |
概要・ポイント |
相場 |
プラン費用 |
「安置代」+「葬式代」を合算した基本費用
【安置代】
・安置日数や搬送距離によって価格が変動
【葬式代】
・葬式の規模やスタイルによって価格が変動
|
全国平均:51万円
|
(一般葬:71万円
一日葬:50万円
家族葬:44万円
直葬 :18万円)
|
火葬費用 |
ご遺体を火葬するための費用
・火葬場に対して支払う
・地域により価格が変動
|
全国平均:5万円 |
お布施 |
・僧侶へお渡しする「読経」と「戒名」の御礼
・戒名は、位によって価格が変動
|
約30万円 |
参列者の飲食と返礼 |
・通夜と葬式後の会食費用
・参列して頂いた方へお渡しする「会葬御礼」
・香典を頂いたお返しの「香典返し」
|
約50万円 |
合計:131万円
|
「高い葬式だから良い」「安い葬式だから悪い」と、金額で葬式の良し悪しを一概に決めることはできません。葬式の価格について考える上で最も大事なことは、「適正であるかどうか」「納得して選んでいるかどうか」の2点です。
本人・家族の希望や考え方をベースに、費用とのバランスがとれた遺族への負担がかかりすぎない葬式を行うことを頭にいれて検討を進めましょう。その為にも、葬式の費用に関する正しい知識をつけることは大切です。
「故人に満足してもらえる」という点はもちろん「遺族に過度な負担を強いらない」皆が温かい気持ちで終えられる葬式を目指しましょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール