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プロ監修|相続で損をしない!遺留分の割合~取り戻し方までを全解説

Aug 16 2020

相続遺留分とは最低限の遺産をもらえる権利のこと。受け取っていなくても10年以内に遺留分請求を行う事でお金を取り戻すことができます。相続プロが損せず遺留分を受け取る為に必要な計算方法や割合、取り戻し方を具体例を交えて徹底解説します!

2021/8/23 情報更新

皆さんは相続遺留分という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

相続遺留分とは、最低限相続人がもらえる遺産を保証するものです。

この遺留分にはもらえる割合や、どうやったら請求できるのかなど、法律が絡むため難しい問題です。

この記事では相続遺留分の基礎知識から、請求する場合の方法・費用について解説していきます。

直近で相続が発生した方や相続に興味がある方はぜひ一度目を通してみてください。

相続遺留分とは?

相続遺留分は、「ある一定の範囲内の法定相続人に認められている最低限の相続できる遺産」のことです。

もしこの相続遺留分が無ければ、被相続人が子どもや配偶者に対して遺産を渡したくないというような場合、第三者に遺産を全て渡したり、処分してしまうようなことが可能になります。

つまり、相続遺留分は相続人の遺産に関する権利を守るためにあります。

では、遺留分制度の詳しい概要や遺留分を請求することができる人・できない人の違いには何があるのかについて解説していきます。 

遺留分制度の概要

遺留分制度とは、「ある一定の範囲内の法定相続人に認められている最低限の相続できる遺産」のことです。

この制度は法定相続人が遺産を相続できないというようなケースを避けるためのものです。

遺言書があっても遺留分は守られる

また、この遺留分については遺言書などの効力によっても侵害されることはありません。

つまり、「遺言書で一切の遺産を相続させない」と記載されたとしても、遺留分の金額は相続を受けることが可能です。

しかし、法定相続人が全て遺留分を請求できるわけではなく、請求できる人とできない人がいます。

また、法定相続人と被相続人との関係によって遺留分の割合は違います。 

遺留分侵害額(減殺)請求権の時効は10年

この遺留分制度を利用したい場合の注意点として、遺留分侵害額(減殺)請求権を行使できるのは、相続が発生した時点または生前贈与や遺贈があったと知った日から1年または相続が発生した時点から10年までです。

この期限を過ぎてしまうと請求権を行使することができなくなります。 

遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違い

遺留分の請求については民法が改正され、2019年7月1日に遺留分減殺請求が遺留分侵害額請求に変更され施行されました。以前の「遺留分減殺請求」では、遺産そのものを取り戻す為の請求でしたが、不動産や株式など分割が難しい場合、トラブルになることも多かったです。

「遺留分侵害額請求」では、遺産そのものではなく金銭での清算が可能となりました。

遺留分侵害額(減殺)請求権がある人

遺留分侵害額(減殺)請求権がある人は、被相続人の妻・夫・子ども・父母・祖父母になります。

また、遺留分を請求できる人のことを遺留分権利者と呼ぶことがあります。遺留分はある一定の代襲相続にも認められています。 

代襲相続とは、相続人が死亡した場合または相続廃除などによって相続権が認められない場合、その子どもが相続人の代わりに相続権を得るというものです。

このように、遺留分を請求できる人は限られているため注意しておく必要があります。 

養子は遺留分権利者となるのか?

養子であっても遺留分権利者になります。養子であっても遺留分の割合は変わりません。

>>養子縁組の相続を完全解説!養子が受取れる相続分・節税効果を紹介!

遺留分侵害額(減殺)請求ができない人

遺留分侵害額(減殺)請求権ができない人は、被相続人の兄弟や姉妹、相続欠格者、相続人廃除を受けた人、相続放棄をした人などが当てはまります。

兄弟姉妹

兄弟や姉妹が遺留分の請求ができないのは意外と思う人が多いかもしれません。

しかし、もともと兄弟や姉妹は法定相続の順位が一番低いのです。そのため、遺留分の請求ができないと言われています。

相続放棄した人 

また、相続放棄をした人は相続に関する全ての権利を放棄することとなるため、遺留分の請求も行えません。

相続欠格者

相続欠格者は、被相続人を殺めたもしくは本人以外の相続人を殺めた、被相続人に無理やり遺言書の内容を変えさせた、というような人が当てはまります。 

相続欠格を受けた場合、子の代襲相続はできますが遺贈は受け取ることができません。

相続人廃除を受けた人

相続人廃除とは、被相続人の申し出によって相続の権利を剥奪された人です。

例えば、被相続人に対して非行をした場合、もしくは相続人が犯罪行為を犯しており有罪判決を受けている場合などが当てはまります。

遺留分については下記記事もご参考ください。
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相続についてのご相談はやさしい相続でも無料で承っていますので、お気軽にご連絡下さい。24時間365日無料で専門オペレーターが対応致します。

遺留分の放棄とは?

遺留分の権利は放棄することが可能です。しかし、放棄をする際には注意が必要です。

遺留分放棄には家庭裁判所の認可が必要

遺留分の放棄は、相続が始まる前にしかできません。そして、放棄をする際には家庭裁判所の認可も必要です。

家庭裁判所の認可が必要な理由

なぜ家庭裁判所の認可が必要なのかというと、遺留分は最低限の権利のため、これを放棄する場合には誰かが本人の意思とは裏腹に無理やり放棄させたというケースを避けるためです。

そのため、自ら遺留分を放棄しますという意思表示が必要になります。 

遺留分放棄≠相続放棄

ちなみに、遺留分の放棄を行なったとしても相続権は放棄されることはありません。

ですので、相続人同士で行われる遺産分割協議などが開催された場合には出席の必要があります。

注意しておきたいこととして、遺留分の放棄だけでは借金まで相続することになる可能性が出てくるということです。

もし一切の権利を放棄したい場合には、相続放棄を行いましょう。

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相続人の遺留分割合とは?

相続人の遺留分割合は法律で決められています。「親や祖父母などの直系尊属のみが相続人の場合は三分の一、それ以外のケースは二分の一」です。

また、遺留分権利者についてですが、遺留分権利者全員に割り当てられる遺留分を「総体的遺留分」と言いますが、この総体的遺留分が指すのが「親や祖父母などの直系尊属のみが相続人の場合は三分の一、それ以外のケースは二分の一」になります。

総体的遺留分に対して各相続人の法定相続分を掛けることで、個人の遺留分である「個別的遺留分」を求めることができます。

ここでは具体的な被相続人との関係別での遺留分の基本的な割合と、遺留分の計算例を具体例を用いて解説していきます。 

関係別での遺留分の基本的な割合

遺留分は被相続人との関係性によって基本的な割合が異なります。

具体的には、「親や祖父母などの直系尊属のみが相続人の場合は三分の一、それ以外のケースは二分の一」です。

つまり、親だけが相続人の場合・祖父母だけが相続人の場合、母と祖父が相続人の場合は3分の1です。

妻と子供が相続人の場合、妻だけが相続人の場合は2分の1です。

相続人が配偶者だけの場合は二分の一、配偶者と子ども1人の場合、それぞれの遺留分は4分の1、配偶者と父の場合はそれぞれの遺留分は6分の2、6分の1となります。

遺留分の計算例(具体例込み)

続いては遺留分の計算方法についてです。

遺留分は、「遺留分算定財産-債務」に対して、総体的遺留分と個別的遺留分を掛けると計算できます。

式で表すと「(遺留分の基礎となる財産-債務)×総体的遺留分×個別的遺留分」となります。 

この遺留分の基礎となる財産とは、相続が発生した際に存在した財産と被相続人が死亡した日から1年以内に贈与した財産、相続人が受けた遺贈や婚姻のための生前贈与、当事者同士が遺留分を侵害すると理解した上での贈与、または有償行為が該当します。

どこまでが遺留分の基礎となる財産になるのかの判断は、過去の判例などによって解釈が別れることがあるため、税理士などの専門家に尋ねて確定させた方が良いです。 

それでは実際に遺留分の計算を行ってみましょう。遺留分の計算は、相続人の人数や関係性によって異なるため、三つの状況で解説します。

・一つ目の例(相続人が妻と子ども一人)

遺産が3,000万円で相続人が妻と子ども一人の場合です。

まず総体的遺留分は二分の一になります。それに対して、妻と子どもそれぞれの法定相続分は二分の一ずつとなりますので、妻の遺留分は「3,000万円×二分の一×二分の一=750万円」となります。

子どもの遺留分も同様に「3,000万円×二分の一×二分の一=750万円」となります。

・二つ目の例(相続人が妻と子ども二人)

遺産が3,000万円で相続人が妻と子ども二人の場合です。

総体的遺留分は、一つ目のパターンと同様に二分の一になります。

妻の法定相続分も同様に二分の一のため、妻の遺留分は「3,000万円×二分の一×二分の一=750万円」となるため子どもが増えたとしても妻の遺留分は一つ目のパターンと一緒です。

しかし、子どもの遺留分を計算してみると、子ども全体の遺留分は二分の一となるため子どもが二人になると、子ども一人あたりの個別的遺留分は「二分の一×二分の一=四分の一」となります。

そのため、子どもの一人当たりの遺留分は、「3,000万円×二分の一×二分の一×二分の一=375万円」となります。

・三つ目の例(相続人が被相続人の母と妻の二人)

遺産が9,000万円で相続人が被相続人の母と妻の二人の場合です。総体的遺留分は二分の一です。

母の法定相続分は三分の一のため、母の遺留分は「9,000万円×二分の一×三分の一=1,500万円」となります。

妻の法定相続分は三分の二のため、妻の遺留分は「9,000万円×二分の一×三分の二=1,500万円」となります。

このように、遺留分の計算は法定相続人が増えれば増えるほど複雑になるため、計算を間違えないように注意しましょう。

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遺留分侵害額(減殺)請求の対象

遺留分侵害額(減殺)請求の対象となる行為として、下記の三つが挙げられます。

1:遺贈

2:死因贈与

3:生前贈与 

大きく分けると遺贈と贈与に分けることができますが、遺贈は遺言書によって効力が発揮されるため、被相続人が死亡しない限り発生しません。

それに対して贈与は、当事者同士で交わされる契約となります。

他にも課せられる税金などの種類が異なるため、それぞれの特徴について詳しく解説していきます。 

遺贈

遺贈とは、遺言によって無償で自身の財産を他人に与える行為のことを指します。

遺言は十五歳以上から作成可能になるため、遺贈も同様に十五歳以上から行うことができます。

遺贈を受け取る人を「受遺者」と呼びますが、受遺者は相続人でも他人でも問題ありませんし、法人も受遺者になることが可能です。

遺贈には包括遺贈と特定遺贈があります。

包括遺贈とは?

包括遺贈とは、相続財産を一定の割合で譲渡する方法です。具体的には「友人Bに自分の財産の30%を遺贈する」、というような形です。

ただし、この場合だと財産には負債が含まれていることがあります。

なので、財産が全体として負債額が上回る場合、借金を背負うことになってしまうことになります。

そういったリスクを避けるために、相続の場合と同様に限定承認や相続放棄を行うことが可能です。 

もし遺贈を放棄したい場合には、遺贈の事実を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の手続きを行いましょう。

もし3ヶ月を過ぎた場合には単純承認したとみなされるため注意が必要です。また、遺産分割協議が行われる場合には、参加しなければいけません。

特定遺贈とは?

特定遺贈とは、所有している財産のうち、「土地を遺贈する」や「家屋を遺贈する」など特定の財産を指定して譲渡する方法です。

そのため、特に負債などを受け取るような心配はありません。

遺贈の特徴として、相続税よりも税金が1.2倍かかってしまいます。しかし、認定NPO法人に対する遺贈の場合は非課税となります。

認定NPO法人とは所轄庁に認定されたNPO法人のことですが、2020年の段階で、全国で約一千件ほど存在します。

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死因贈与

死因贈与とは、贈与者が亡くなったことを原因として受遺者に財産を贈与するという契約を相互間の同意で締結することです。

死因贈与の特徴として、遺言書の内容に記載する必要がないという点です。極論ですが、口約束でも死因贈与は成立します。

しかし、後々のトラブルについて考えると、公正証書などで法的効力を持つ書類として契約内容を残しておくと良いでしょう。

また、死因贈与は法律行為となるため、十五歳未満では自己判断で行うことができません。

もし行いたい場合には親権者などの法定代理人が代理手続きを行う必要があります。

不動産を贈与する場合

不動産を贈与する場合、登録免許税と不動産取得税というものが発生します。死因贈与の場合、登録免許税は2.0%、不動産取得税は4.0%です。

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負担付死因贈与

死因贈与には、「負担付死因贈与」という方法があります。

負担付死因贈与とは、「死因贈与を行う代わりに、受贈者に対して条件を提示することができる」というものです。

つまり、「死因贈与をする代わりに、介護などをしてください」というような条件を提示することが可能です。 

この場合、死因贈与は原則撤回を行うことができますが、相手に何かしらの義務を負わせている場合には撤回が難しくなるため注意しましょう。 

生前贈与

生前贈与とは、相続が発生する前の生前のうちに子どもなどに贈与を行うことです。

生前のうちに贈与を行うことで、相続が発生するタイミングの遺産の総額を減らして相続税の負担を減らすために利用されることが多いです。 

生前贈与でも贈与税が発生する

しかし、生前贈与にも贈与税が発生し、税率の高さとしては贈与税>相続税となります。

それではどうして生前贈与を選択するのかと疑問に思うかもしれませんが、生前贈与には非課税枠や優遇措置が設けられているため、上手に生前贈与を行えば、結果的に節税になることがあります。 

暦年贈与

生前贈与には「暦年贈与」という方法があります。

暦年贈与とは、贈与税の基礎控除額である「一人あたり毎年110万円を超えない」ように財産を贈与するという方法です。

1年に1人だけ暦年贈与を行うと効果は薄いですが、複数人に長期間にわたって行えば大きな効果が見込めます。

5人に3年間行うと、550万円×3=1650万円となります。 

ただし、毎年決まった金額を贈与してしまうと、定期贈与と見なされて贈与税がかかるため注意しましょう。

教育資金の贈与の特例

暦年贈与以外にも、「教育資金の贈与の特例」というものがあります。

この特例は、30歳未満の子どもまたは孫に対して行う教育資金の贈与は1,500万円まで非課税になります。

ただし、この贈与の使用用途は学校への入学金や授業料と限定されています。

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遺留分侵害額(減殺)請求先の優先順位

遺留分侵害額(減殺)請求をする際には、遺贈>贈与と優先順位が法律で定められています。

遺贈に対して遺留分を請求する際には、遺贈の金額に合わせて割合で請求することになります。

つまり、受遺者Aが2,000万円、受遺者Bが1,000万円の遺贈を受けていた場合には受遺者A:受遺者B=2:1の割合になります。

ただし、遺言書の内容で請求先の指定がある場合にはそれに準じることとなります。 

遺贈の場合には、後に行われた遺贈から順に請求を行わなければいけません。

2020年と2019年に遺贈が行われていた場合には、2020年の遺贈から請求します。

遺留分侵害額(減殺)請求を行う方法と手順

実際に遺留分が侵害されているということが分かったら、侵害している人物に対して遺留分を請求することができます。

では実際にどのような方法と手順で遺留分を請求することになるのでしょうか。

基本的には当事者同士の話し合いによる解決を求められますが、相手が応じない場合には調停や裁判にまでもつれ込む可能性があります。

ここでは具体的な内容について詳しく解説していきます。

内容証明郵便の送付と話し合い

遺留分を請求する際には、基本的に話し合いでの解決が求められます。

もし当事者同士での話し合いでは解決できない場合には、調停や訴状へと段階を踏んで行います。

そのため、まずは遺留分を請求したいという意思表示のために、「内容証明郵便」を相手に送付しましょう。 

なぜ内容証明郵便なのかというと、遺留分の請求には1年の時効があるからです。

この日に自分は相手に請求を行ったという事実を証拠として残すために、内容証明郵便で送る必要があります。

この時、配達証明も行うことでより確実性が生まれます。

内容証明郵便を送ったら、相手とやりとりを行い話し合いをすることになります。

この話し合いでは、どのように遺留分を返還するかについて取り決めを行います。

相続が全て現金だった場合には、遺留分の金額を返還してもらえば問題ないですが、不動産などが含まれていた場合は複雑になるため注意が必要です。

解決後は公正証書に内容を記載する

お互いに話し合いで解決ができれば、公正証書に取り決めた内容を記載しましょう。

公正証書であれば法的に有効なため、相手がもし遺留分の返還に応じなかった場合に対処が可能になります。

また、話し合いの際には内容を録音しておくとより安心です。 

請求調停

もしお互いに話し合いで同意が得られなければ、請求調停を行うことになります。

請求調停では、調停者と裁判官が間に入って話し合いを進めてくれます。調停にはまず申立が必要です。

申立では申立書、遺言書の写し、被相続人と全ての相続人の戸籍謄本などが必要になります。

申立書は裁判所のホームページでダウンロードすることが可能です。

申立書に記載する内容

記載する内容としては、申立人(遺留分を請求する人)の名前や住所、趣旨と内容についてです。

申立の趣旨にはどういう解決を求めるのかを記載しましょう。

申立の内容には、遺留分がどのくらい侵害されているのかなど、遺産についての内容を記載します。 

調停の流れ

では実際に調停の流れについて解説します。申立書と添付する書類が全て揃ったら、管轄の家庭裁判所へ持参します。

裁判所が受理したら、第一回の調停が開催されます。 

調停の場ではお互いに話し合うわけではなく、お互いが個室で調停委員に対して意見を述べることになります。

もし一回で解決ができなかった場合には、第二回・第三回と調停期日を設定します。調停では解決不可能となった場合には、訴訟へ移ることになります。 

解決後は「調停調書」を作成

もし調停の段階で解決した場合には、「調停調書」という書類を作成します。

調停調書には、遺留分の返還の内容や返還方法、期日などを記載します。

調停調書は法的効力を持つため、もし相手が返還に応じなかった場合には財産の差し押さえなどが可能になります。 

調停にかかる費用

調停にかかる費用は、収入印紙1,200円分と連絡用の切手代だけです。

もし弁護士に頼む場合には、着手金と報酬金、日当などが必要になります。

着手金は150,000円〜200,000円ほどですが、報酬金は請求できた金額によって異なります。 

>>相続弁護士の選び方を完全解説!依頼の流れ・費用・期間を紹介!

裁判での訴訟請求

遺留分を請求する際の訴訟は被相続人の本籍の管轄の裁判所で行いますが、請求する遺留分の金額によって担当の裁判所が異なります。

もし遺留分額が1,400,000円以下の場合には簡易裁判所、1,400,000円を超える場合には地方裁判所で行います。

裁判を起こすためには訴状と内容証明郵便、被相続人と相続人全員分の戸籍謄本、遺言書の写しなどが必要です。

今までとは異なり話し合いではなく裁判での決着となるため、自分に遺留分があり、それを侵害されているというような証拠をもとに裁判は進行することになります。

裁判の流れ

では裁判の具体的な流れを解説します。

裁判所が申立人の訴状と必要書類を受理した場合、後日裁判の第一回期日の開催日についての連絡がきます。

公判ではお互いに主張を唱え、それの事実確認などを行い立証していきます。最終的には裁判官から判決を下されることになります。

また、裁判中でも和解ができるように、話し合いの場が設けられることがあります。

もしそこで和解ができたら「和解調書」を作成します。

和解調書は調停調書同様に法的効力を持つため、もし相手が無視したとしても強制的に財産を差し押さえることが可能です。

裁判にかかる費用

裁判の費用は、請求する遺留分額が高ければ高いほど上がっていきます。

遺留分額が1,000,000円以下の場合、100,000円ごとに1,000円、

遺留分侵害額が1,000,000円を超えてかつ5,000,000円以下の場合、200,000円ごとに1,000円、

遺留分侵害額が5,000,000円を超えてかつ10,000,000円以下の場合、500,000円ごとに2,000円、

遺留分侵害額が10,000,000円を超えてかつ10億円以下の場合、1,000,000円ごとに3,000円の収入印紙が必要です。

和解

裁判中でも当事者同士の和解は可能です。

もし裁判中に和解が行われれば、裁判官が仲介として入ることで話を進めてくれます。

和解が成立したら「調停調書」という書類を作成します。

調停調書には、遺留分の返還の内容や返還方法、期日などを記載します。

調停調書は法的効力を持つため、もし相手が返還に応じなかった場合には財産の差し押さえなどが可能になります。

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遺留分侵害額請求の時効

遺留分侵害額請求には時効が存在します。相続が発生した時点あるいは遺贈か贈与が行われていると知った時から1年間です。

遺留分の時効は10年

また、相続が発生した時点から10年で完全に権利は喪失します。

つまり、相続の発生あるいは遺贈・贈与を知った時点で一年経過してしまうと、遺留分の請求はできないため遺留分請求の手続きは一年以内に行わなければいけません。

しかし、1年間の間に請求すれば、請求した時点で時効はリセットされるため、請求が終わるまで1年間というわけではありません。

相続が発生してから11ヶ月後に請求を行えば、その時点でまた一年のカウントダウンが始まります。

先ほど紹介した内容証明郵便の送付もしくは請求調停、請求訴訟を行ったタイミングで、請求権を行使したとみなされるため時効はリセットされることになります。

遺留分で良くあるトラブル

遺留分に関するトラブルにはどのようなものがあるのでしょうか。

①相続人からの遺留分放棄を求められた場合

一つは被相続人または他の相続人から遺留分の放棄を求められた場合です。

遺留分の放棄は被相続人が生前のうちに行わなければならず、かつ自分の意思で放棄をしなければなりません。

そのため、他人が無理やり遺留分の放棄を促しても裁判所から認められることはありません。 

②遺言書で一人だけに相続される旨が記載された場合

二つ目は、遺言書で1人の人間に対して遺産を全て相続させるという旨が記載されていた場合です。

この場合、本来であれば遺産を相続されるはずだった人物が遺産をもらえなくなるため、遺言書に記載された人物に対して相続人が遺留分を請求することとなります。

事前に被相続人から何かしらの相談があれば別ですが、このような場合には金銭の問題のため親族同士での深刻なトラブルに発展しやすいです。 

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③遺産に不動産が含まれていた場合

三つ目は、遺産に不動産が含まれていた場合です。

遺産が全て預貯金などであれば精算するのは容易いですが、不動産が含まれている場合にはその不動産を売却してお金にするのか、あるいは共有名義にして保有するのかなど取り扱いに悩むことが出てきます。

特に遺留分の計算をする際に、不動産の金額をどのように決めるのかについても問題が出てきます。

不動産の評価方法

不動産の価値の評価方法には、「路線価」・「固定資産税評価額」・「公示価格」の三種類があります。

路線価は時価の80%程度、固定資産税評価額の70%程度、公示価格は限りなく時価に近いです。

どの評価で不動産の価値を決めるのかによって、金額が大きく異なるため遺留分の計算に幅が出やすいです。

この評価については遺産分割協議で話し合うことが多いため、価格が高い方が自分に有利なのか、安い方が自分に有利なのかをしっかりと確認しておきましょう。

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遺留分のトラブルを避けるために

遺留分のトラブルを避けるためには、遺言書の作成に注意が必要です。

遺言書では、自分の意思で好きな相続人に対して好きな割合で遺産を相続させることができます。

しかし、遺言書でも法定相続人の遺留分を侵害することは不可能です。

そのため、遺言書において「相続人Aに対して遺産を全て相続させる」という記載は可能です。

しかし、相続人A以外に法定相続人がいた場合には、この遺言は無効となります。

この場合、相続人A以外の法定相続人が遺留分を請求することが可能になります。

遺留分に配慮した遺言書を書く

つまり、遺言書の内容に相続人の遺留分を侵害しないように相続内容を記載すれば、遺留分の請求は行われずに済むようになります。

遺留分の侵害がなければ、余計な相続人同士でのトラブルを避けることができます。

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遺留分侵害額(減殺)請求を弁護士に依頼した際の費用

遺留分侵害額(減殺)請求を弁護士に依頼した際の費用支払う費用では、「法律相談料」、「交渉費用」、「着手金」、「報酬金」、「調停費用」、「訴訟費用」などが発生します。

そのほかにも裁判に代理で出廷してもらうには、交通費や日当がかかりますし、宿泊などが伴えばそれによって経費がかかります。

ここでは弁護士費用の目安と、弁護士に頼むとどのような恩恵があるのかについて解説します。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に遺留分の請求に関して依頼した場合、どのようなメリットがあるか見ていきましょう。

メリット①遺留分請求の手続きを一任できる

メリットの一つ目は遺留分請求に関する全ての手続きに関して一任できるという点です。

相続財産の調査や、遺留分の正しい計算、請求するにあたって必要な書類の作成など、素人では時間がかかる手続きなどをスムーズに行ってくれます。

特に日中に働いており、役所などに行くことが難しい人にとってはかなりメリットがあると言えます。 

メリット②相手とスムーズな交渉

二つ目は相手との交渉で損をしないで済むということです。

遺産が全て金銭であればそこから遺留分を清算してもらえば解決しますが、不動産などが含まれている場合は不動産を売却して金銭に変えるのかや、それとも共有名義にするのかなど複雑なやりとりが発生します。

このような場合に弁護士に相談ができれば、法律が絡む複雑なやりとりも進めることができます。

メリット③調停や裁判になっても安心

三つ目は調停や裁判になっても安心という点です。

話し合いで解決できれば問題ないですが、解決できなかった場合には調停や訴訟なもつれ込む恐れがあります。

もし裁判になったら素人だけではとてもではないですが、太刀打ちできない可能性があります。

そのような場合のために、あらかじめ弁護士に依頼を行い、ストレスを軽減しておくことが良いかもしれません。

弁護士に依頼した時の費用目安

弁護士に遺留分の請求を依頼したらいくらくらいかかるのか疑問だと思います。

ここではそれぞれのパターンに沿った弁護士への依頼料を見ていきましょう。

ただし注意しておいて欲しいこととして、こちらに記載する金額は目安となります。

法律事務所や弁護士によって金額は違いますので、あらかじめ公式のホームページなどを見てみると良いでしょう。 

法律相談料

法律相談料とは、弁護士に対して現在抱えている問題について相談を行い、アドバイスや依頼した場合の流れ・費用について説明をしてもらいます。

目安は30分から60分で5,000円から10,000円程度です。しかし、初回相談を無料で請け負っている場合もあるので確認してみましょう。

交渉費用

交渉費用とは、相手と相談人が初めに行う話し合いおいて、弁護士に代理で行ってもらう場合の費用です。

交渉費用の目安は300,000円程度で、もし相手が和解に応じたら別途で成功報酬を支払います。

着手金

着手金とは弁護士が仕事を請け負った場合に支払う費用です。

仕事を請け負った時点で支払うため、成功してもしなくても支払う必要があります。

遺留分の請求に関する着手金は150,000円から300,000円程度です。 

報酬金

報酬金とは、依頼した仕事が解決した場合に支払う費用です。遺留分として請求できた金額に応じて金額が異なることが多いです。

請求額が3,000,000円までは6.0〜8.0%で最低金額が50万円などというように定められています。

通常は請求額が高ければ高いほど、報酬金が高くなる傾向にあります。 

調停

遺留分請求調停を依頼した場合、着手金と成功報酬、日当を支払う必要があります。

調停の場合の着手金は300,000円程度、成功報酬は請求額の2割程度です。

そのほかに、弁護士が裁判所まで出向く場合には日当として別途数万円がかかります。 

訴訟

遺留分請求訴訟を依頼した場合、着手金と成功報酬、日当を支払う必要があります。

訴訟の場合の着手金は300,000円程度、成功報酬は請求額の2割程度です。

公判が複数回行われる場合には、その度弁護士に出向いてきてもらう必要があるため高額になる恐れがあります。 

相続の専門家については下記記事もご参考ください。
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相続遺留分についてのまとめ

相続遺留分についての仕組みや制度、侵害されていた場合の請求方法などについて解説してきました。

法律が絡む内容なため、かなり複雑だったと思います。一旦ここで内容を整理してみましょう。

・相続遺留分とは、相続人がもらえる遺産を保証するための制度である。

・この遺留分は被相続人との関係性によって割合が異なる。

・遺留分を請求できる人物は、配偶者、子供、両親、祖父母である。

・遺留分を請求できない人物は、相続の権利を放棄した、相続欠落者、相続人廃除を受けた、兄弟姉妹である。

・遺留分の請求には時効がある。

・遺留分を請求する場合には、当事者同士の話し合い>請求調停>請求訴訟の順で行われる。

・途中で和解ができれば、それ以降のやりとりは発生しない。

・遺留分の請求には法律が絡むため、弁護士に依頼する方法がある。

・弁護士に依頼するメリットとして、日中に仕事をしていて時間が避けない場合や法律手続きに心配があるような際にスムーズな解決が望める。

・弁護士にかかる費用は、着手金、成功報酬、法律相談料、日当が主である。

・解決までに時間がかかればかかるほど、弁護士に払う日当がかさんでしまう可能性がある。

相続遺留分は法律で定められているところが多く、素人だけでは理解するのも一苦労な面が多くあります。

そのため、相続に関するトラブルが発生した場合には、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

やさしいお葬式やさしい相続では相続相談に特化した専門家を紹介させて頂いております】いつでもお問い合わせくださいませ。

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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