末期がんについて知るべき5つのこと!治療と余命と自分らしい生き方
もし、「末期(まっき)がん」という宣告を受けたら、大きなショックを受けたり落胆して自暴自棄になったり…。
あまり知られていませんが、「末期がん」という医療用語はなく、がんが進行あるいは再発して有効な治療の手段がなくなり、身体ががんに耐えられないと判断された状態を指します。
さらに末期がんは余命宣告ではありません。
実際、末期がんから生還した方やまだ元気に日常生活を送っている人など末期がんに関して、生きることに希望を持てるような事実や医療の進歩、がんの縮小や消失(寛解)の事例も少なくありません。
もちろん易しい状況でないことも明確です。
そこでこの記事では、末期がんとは何かを医学的に言及し、治療やがんの縮小や消失(寛解)の可能性、片や万一の場合の準備などにふれながら、この病気とどうつきあっていくのがベストなのか、いかに生きていくべきかを考える判断材料になればと思います。
ご自身はもちろん、家族や恋人、友人知人が宣告された方々も、どうぞ最後までお読みいただき、末期がんとの向き合い方のお役に立てれば幸いです。
「末期(まっき)がん」は余命宣告ではない
「末期(まっき)がん」は決して余命に直結するものではなく、あくまでがんの進行の程度を表す指標です。
しかし、「末期(まつご)」という言葉と「がん」という恐ろしい病名を合わせた語感から、圧倒的に死の秒読みが始まっている状態だと思われてしまうことが多いでしょう。
実は医学的には、「末期がん」という言葉には明確な定義がなく最近の医師はこの言葉を使わなくなっています。
医療用語には「末期がん」はない
前述通り、医学用語として「末期がん」という言葉はありません。
ただし一般的には、「末期がん」とは、がんが進行あるいは再発して手術や有効な治療の手段がなくなり、余命が数週間から数ヶ月と想定される状態を示す言葉として使われることが多いようです。
また、余命とは、医師が統計データと実際の臨床経験に基づいて推測したものであり、必ずしも正確とは限りません。
例えば、余命3ヶ月と宣告されると、多くの人は「必ず3ヶ月以内に亡くなる」と思われがちです。
しかし、余命を告げられる際の多くは、生存期間の平均的な値として中央値が使われます。データでみれば、3ヶ月未満で亡くなる人がいる一方で、1年以上(あるいは5年以上)生存しているケースもあります。
「ステージ4」でも治せる
「末期がんはがんの進行具合を示す「ステージ4」に分類されることが多いようですが、
最近ではこのステージ4でも完治する人も少なくなく、あるいは、がんと共存しながら5年、10年と生きている方もいます。
なぜならば、ステージ4は末期がんとは限らないからです。
【ステージ0からステージ3のがんの状態】
ステージ0 |
がんがまだ上皮と呼ばれる部分に止まって、リンパ節に転移していない状態 |
ステージ1 |
広がった腫瘍が筋肉の層までで止まり、リンパ節に転移していない状態 |
ステージ2 |
筋肉の層を越えて広がってはいるもののリンパ節へ転移していない状態
もしくは、リンパ節への転移が小さくあるものの腫瘍が広がっていない状態
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ステージ3 |
腫瘍が筋肉の層を越えているだけでなく、リンパ節への転移も見られる状態 |
ステージ4 |
臓器の壁を越えて周りの血管や他の臓器にも転移している状態 |
なお、ステージ4は、どの部位のがんなのかで、細かいステージ分類は異なります。
【例:大腸がんと舌がんのステージ4の状態】
大腸がん |
腹膜や肝臓、肺などの臓器にがんの転移が認められる |
舌がん |
ステージ4A…がんが舌の周囲に広がり、1つまたは複数の6cm以下の頸部リンパ節転移がある
ステージ4B…あごの骨の外側または内頸動脈にがんが広がり、6cmを超える頸部リンパ節転移がある
ステージ4C…がんの大きさにかかわらず遠くの臓器への転移が見られる
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ステージ4の治療の難しさ
いずれのがんにせよ、ステージ4とは非常に深刻な状態にあることはたしかです。
複数の部位にがんが存在している状態のため、1箇所だけを切除したとしても大きな状態の改善は見込めません。
言い換えれば、何度も手術を繰り返すことになり、基本的にはステージ4で手術を行うことは少ないのです。ただ、転移した部位が手術しやすい位置だったり、安全に取り除けることが確認されれば手術することもあります。
また、手術以外の治療法が残っていないわけではありません。抗癌剤を用いた治療法です。抗癌剤は全身に薬を届け、転移した先々の腫瘍に働きかけることができます。抗癌剤治療によって腫瘍が小さくなった場合、手術することも可能となっています。
このように仮にステージ4と診断されても、治療法はいろいろあるのです。もちろん簡単ではありませんが、医師と相談しながら前向きにどんな治療が可能かを検討してみましょう。
また、現在の病院では治療法がないと判断された場合も、セカンドオピニオンとして別の選択肢を与えてくれる病院や医師が見つかるケースもあります。
ステージ4の部位ごとの治療法
ステージ4は、全身にがんが転移している厳しい状態が多いです。しかし、転移したそれぞれの場所を治療していくことは可能です。臓器ごとのがんの特徴を知り、的確な治療を行うことが、人生に大きな希望を与えてくれるかもしれません。
【部位別ステージ4のがん治療法】
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ステージ4の状態 |
ステージ4の治療法 |
肺がん |
肺の別の場所や、悪性胸水、脳、肝臓、副腎、骨などに転移がある状態。 |
手術や放射線治療をするケースは稀で、緩和療法と抗がん剤治療がメインの治療法となる。 |
胃がん |
がんがリンパ節で遠隔転移したケース、もしくは肝臓・肺・腹膜などに転移している場合。 |
手術によって根治を目指すのは難しい。
抗がん剤が主な治療法。
エビデンスの多いグレードA の標準治療が主流。
ただし、臨床試験などに参加して新しい治療を試すという選択肢もある。
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大腸がん |
大腸からリンパ管・リンパ節・静脈を通ったがんが転移している状態 |
開腹手術、抗がん剤治療、樹状細胞がんワクチンなど |
肝臓がん |
リンパ節や遠隔臓器への転移が見られないもの、もしくはリンパ節転移はあるが遠隔転移がないケース。 |
肝臓以外の臓器へと転移した場合、分子標的薬による治療を検討
門脈など脈管への広がりがある場合、肝切除や肝塞栓法に加えて、肝動注化学療法、分子標的薬による治療などが複合的に行なう。
がんが進行し肝臓が機能しない場合には、肝移植を検討。
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食道がん |
Ⅳa期
食道の周囲にある大動脈や気管などの組織まで広がってしまい切除ができない場合やリンパ節まで転移がある場合
Ⅳb期
リンパ節遠隔転移がみられる場合
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全身状態を考慮しながら化学放射線治療もしくは化学療法が選択。
がんによる傷みの程度によっては緩和ケアも導入。
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乳がん |
ステージ4でもほとんど実感できる症状がなく、気づかずに生活している人も少なくない。 |
乳房を摘出しなければいけない可能性が高くなる。
乳房の温存に放射線療法を選択する場合もある。
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子宮がん |
子宮頸(けい)がん:
小骨盤腔へがんが広がっている、または膀胱・直腸の粘膜に広がりが見られる状態
子宮体がん:
骨盤を超えたがんが膀胱などの別の部位や粘膜に広がる、または他の臓器への遠隔転移がある状態
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手術ができる場合は外科治療。
難しい場合や抗がん剤の方が効果的と判断された場合は、化学療法も行う。
他、放射線治療も基本的な治療法。
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(引用:あきらめない末期がん(癌ステージ4)治療ガイド)
ステージ4の生存率
がんのステージ4という指針は、症状がかなり進行している状態に間違いはありません。ただ、医療技術の進歩や薬の開発も進み、状態によっては根治させられるケースも増えてきました。医学の進化とともに、生存率はさらに高まっていくことでしょう。
実際、『全がん協加盟施設の生存率共同調査』全がん協生存率によると、数十年の間で全ステージにおける5年生存率は大きく向上。例えば、肺がんの場合、1963年の生存率は、男性が13.8%、女性が9.2%だったのに対し、1998年には男性が35.9%、女性が48.1%とかなり改善しています。
ステージ4の場合も、十数年を比べてみてもかなり改善が見られます。1997年~1999年の調査結果と、2011年から2013年の5年生存率を比較すると向上している項目が多く、特に乳がんは、29.4%から38.8%へ。前立腺がんにいたっては47.8%から66.7%へと大きく回復しています。
【ステージ4での5年生存率】
がんの種類 |
1997~1999年の5年生存率 |
2011~2013年の5年生存率 |
食道がん |
7.9% |
12.4% |
胃がん |
6.2% |
6.2% |
結腸がん |
17% |
20.2% |
直腸がん |
15.8% |
27.9% |
肝がん |
10.2% |
3.7% |
乳がん |
29.4% |
38.8% |
子宮頸がん |
17.2% |
26.5% |
前立腺がん |
47.8% |
65.6% |
(引用:『全がん協加盟施設の生存率共同調査』全がん協生存率)
がんの治療にはできるだけステージ初期の段階で発見することが肝心ですが、ステージ4の段階で発見されたとしても最初から諦めないようにしましょう。 まさに医療の進化は日進月歩。数字が語っています。
末期がんから生還した人たちが実践した9つのこと
腫瘍内科学領域の研究者、ケリー・ターナー博士がその著書でベストセラーになった『がんが自然に治る生き方』の中で、末期がんから自力で生還した人たちが実践している9つの項目を示しました。
著書は、奇跡的な回復を遂げた1000件以上の症例報告論文を分析し、1年間かけて世界10カ国へ出かけ、奇跡的な生還を遂げたがん患者と代替治療者を対象に、治癒に至る過程についてのインタビューを行ない博士論文にまとめたものです。
9項目に順位はありませんが、奇跡の回復を遂げたインタビュー対象者のほぼ全員が、9項目のほとんどを実践していたといいます。
ここでは9項目の概要を簡潔にお伝えしましょう。
「どうしても生きたい理由」を持つ
とにかく諦めないことです。
「私は生き続けたいんだ。」という確信を持ちましょう。希望や夢を持ち続けてください。
できることを大いに楽しんでいきましょう。
治療法は自分で決める
自分で行動しましょう、受身にならずに。
自分の意志で人生を変えましょう。
「切る、焼く、殺す」三大療法に身体を預けるのもOK。
自然に学び食事や生活習慣を見直し、体内環境や心を整えて、生き方を変えて改善を目指す選択も正解。
もちろん、両方を実践することもあり得ます。
直感に従う
直感は本能的に湧き上がってくるものです。
ジークムント・フロイトいわく
「大きな決断をするときは、無意識の声に従うべきである」と。
直感は信頼に値するという実験結果があります。
直感とは、私たちが頭で答えを出す前に、どうするのが一番良いかを教えてくれるものなのですから。
自分の魂と深くつながる
人間の本質は魂です。
身体は、人間が物理的に存在するための借りの宿。地球上で生活するための着ぐるみです。
体内にいる潜在意識(ウニヒピリ)や良い判断をしてくれる高次元の自分自身、ハイヤーセルフに話しかけて助けてもらいましょう。
抑圧された感情を解き放つ
病気は、心がアンバランスな状態で、水道管の「詰まり」のようなものです。
こころの詰まり、例えば父母とのしがらみなどによる恨みや怒りといったマイナス感情や埋もれてしまった記憶が、病気を作り出しています。
自分も他者もすべて自分です。カンタンにはいかないかもしれませんが、許し合い、愛で包み込んでしまいましょう。
より前向きに生きる
人生の目的は、楽しむこと、幸せになることです。
辛いことを我慢することではありません。
どんな時も、明るく朗らかにいることを心がけて。笑顔の練習を毎日しましょう。
毎日幸せを感じることこそが、最良の薬なのです。
抜本的に食事を変える
身体は毎日の食事から作られています。
砂糖、肉、乳製品など、がんを育てる食事はやめにして、がんを抑える食事を摂っていきましょう。
野菜スープなど野菜・豆類・海藻類をうまく使ったメニューなどがオススメです。
ハーブとサプリメントの力を借りる
現代の食事では、農薬で育った食材を使い添加物の多い加工食品を利用します。
ただ、そこに含まれる栄養素や効力だけでは、やっかいながんを抑えるのに力不足。
そんな時には、ハーブやサプリメントを上手く利用して免疫力を強化したり、体内環境を改善していきましょう。
ハーブは使い方によってマイナスな効果もあると言われているため、医師と相談しながらがベストです。
周囲の人の支えを受け入れる
孤立、孤独は生命力を低下させます。
人は社会的な生き物です。
お互い様です。助けてくれる人には遠慮なく頼りましょう。支えてくれる医療資源をもっともっと活用すればいいのです。
「病は気から」はやはり事実?
以上の9項目が、末期がんから自力で生還した人たちが実践していたことです。
このうち合理的、論理的に説明できるのは「抜本的に食事を変える」「治療法は自分で決める」「ハーブとサプリメントの力を借りる」の3つくらいで、他は患者の心の中で起こる複雑でミステリアスな心理的な活動だといえます。
特に「『病は気から』は科学的に分析、定量、定性ができない、心の動きが末期がんの治癒に必要不可欠なものであることは否定できない」と語る医師も多いです。
万一の場合の準備について
手術や治療などで末期がんと前向きに向き合っていたとしても、余命宣告を受けることはあります。
「動揺しないで」、「悲しまないで」とたやすくいうことはできませんが、いざというときに備えてどんな準備が必要かをご紹介しましょう。
家族や大切な人とのコミュニケーションをとる
余命宣告は、患者本人が受けた場合も、その家族が受けた場合も大変ショックなものだと思います。ただ、一番辛いのは患者本人だと考え、家族は聞き役に徹するような姿勢が肝心です。
他方で、必要以上に面倒をみないことも気に留めてください。自分ができることは自分ですることは、自分の能力を確信する大切な機会となります。
逆に患者本人は、頼るところは頼る、という感謝の気持ちを持つようにしましょう。
こうした相互のコミュニケーションをとることで、患者と家族が一緒になって病気に向き合って過ごすことで精神状態を安定させることができます。
保険などを確認する
保険会社へ病状を連絡しましょう。生命保険の中には事前に受け取り可能な「リビングニーズ特約」と呼ばれる死亡保証金があります。
「リビングニーズ特約」は、余命半年以内と医師から宣告を受けた場合に手続きできるというものです。
さらに、保険内容によっては、医療費や入院費の補填に適用される場合もありますので、まずは、受取人の確認も含めて保険会社へ連絡することが肝心となります。
多くの保険会社で対応していますが、日本生命「ニッセイ みらいのカタチ」のリビングニーズ特約やアクサダイレクト生命の「アクサダイレクトの終身医療」による医療費の補填などを参照してください。
エンディングノートに記す
家族への思いや自分の人生について、さらに相続を考えてエンディングノートにいろいろなことを書き留めることはとてもいいことです。
【エンディングノートに書き留める一例】
氏名
住所
生年月日
配偶者や子ども・兄弟姉妹・親戚に関する氏名や住所・連絡先
かかりつけの病院の連絡先
延命措置についての希望
臓器提供の意向
葬儀に関する希望
相続や財産・保険に関する内容および連絡先
通帳や印鑑の保管場所 家族や友人知人へのメッセージ など
エンディングノートには、決まった書き方や形式はありません。好みのノートを選んでカラーペンを多様したカラフルな内容にすることもOKですし、PCやタブレット、スマホに打ち込むことも可能です。自分の好みのスタイルを選んでみてはいかがでしょうか。
余命宣告を受けてからの時間を充実させるためにも、早い段階から少しずつエンディングノートを書き進めることをお勧めします。
エンディングノートの選び方や、具体的な書き方については「30代での遺書の書き方|ポイントやメリット・遺言書との違いを紹介」「エンディングノート最新人気ランキング20選!書き方も完全解説!」の記事もご参考ください。
終末期のこと
がんの「終末期」は「末期がん」と言われてから時間が経過し、ガンが進行し体力も衰退し、徐々に生活範囲が狭まり、より多角的な援助が必要な時期です。
あくまで一般的な使われ方からイメージした解釈となり、「末期がん」と同様に医学的な定義はありません。
「終末期」がどのような段階かを簡単にご説明します。
段階的な症状
ひと口に終末期といっても、余命が月単位である時と、週単位の時と、日単位、時間単位の時とでは、見た目の状況やよく出る症状は以下のように異なります。
1)余命1~2カ月以内
・全身倦怠感や食欲不振。
・ADL(日常の立ち居振る舞い)が少しずつ困難になる。
・気力が枯渇し寝て過ごす時間が多くなる。
・一般的に「やりたいことを何とかやれる」時期。例えば最後の旅行など。
2)余命1~3週間以内
・全身倦怠感が強くなる。
・トイレ歩行も困難になってくる。
・ほとんどの時間をベッドで寝て過ごす。
・声帯のやせからのしわがれ声や、耳の違和感、視力低下の出現。
・いま起きていることがわからなくなる見当識障害も出現し始める。
・意識障害であるせん妄・混乱に至る場合もある。
・一般的には、「最低限ならば、やり残したことをやれる」限界のライン。外泊が何とかできる程度。
3)余命数日以内
・苦痛症状が一番強くなる。特に全身倦怠感が強くなり、身の置き所のないような痛みを訴える。
・ベッドから動くことは難しい。トイレにも行けない。
・苦悶の表情を浮かべ、眉間にしわが寄る。
・寝ているか、あるいは身の置き所のなさ・全身倦怠感で苦しまれるか、というどちらかの状態。
・意思の疎通は通常困難となってくる。せん妄・混乱の頻度も高くなる。
・急変も起こりやすい。看取りに居合わせたい家族はそばにいたほうが良い。
4)余命1日以内(ほぼ数時間程度)
・意識レベルが低下し、苦痛症状を訴えなくなる。
・体動が消失する。
・表情がなくなる。眉間からしわの消失。
・声漏れが出る。
・喉の奥からゴロゴロ音が出る。
・触診で動脈を感じなくなる。
・尿の流出が止まる。
・看取りに居合わせたい家族はそばにいたほうが良い。
ご家族の厳しい状態に驚き、動揺してしまうのは仕方のないことです。ですが、そのような時だからこそ、冷静な判断と行動が必要になるでしょう。
症状については下記記事も合わせてご参考下さい。
・臨終の前にはどのような症状があるの?臨終前の症状を体と心に合わせてわかりやすく解説
・重篤とは?危篤・重体・重症の意味と読み方を3分で完全解説!
・臨終とは?臨終の意味から前後の流れ、家族が亡くなった際にすべきことまで完全解説!
自分はどうしたいかの意思表示
患者自身の意思が明確なうちに、どんな治療を希望するのか、どんな段階で治療を中止するのかなどを示した文書を用意し、患者が判断能力を失ったときのために代弁とすることが重要となります。
なぜなら、がんの終末期は今後の治療についての判断が難しく、治療の開始・継続・中止の判断は基本的に患者本人の意思が尊重されるためです。
まとめ:希望を携えいかに生きていくかを決める
末期がんは、余命宣告でもなく、ステージ4という状態でもありません。ただ、がんが進行した予断を許さない状態であることには変わりありません。
もちろん、末期がんの状態から、手術やいろいろな治療法を駆使し、本人の強い意志から劇的な生還を果たした例も少なくなく、医療の進歩から生存率も格段に向上しています。「末期」という文字面に惑わされることなく、「生きる」ことを選択してください。
「病は気から」ではありませんが、ケリー・ターナー博士は著書の中で、末期がんから生還した人たちが実践した9つの項目を挙げました。
1.「どうしても生きたい理由」を持つ
2.治療法は自分で決める
3.直感に従う
4.自分の魂と深くつながる
5.抑圧された感情を解き放つ
6.より前向きに生きる
7.抜本的に食事を変える
8.ハーブとサプリメントの力を借りる
9.周囲の人の支えを受け入れる
この9つの項目の多くは、医学的・科学的に分析、定量、定性ができないものですが、心の動きが末期がんの治癒に効果的であることを医師も肯定しています。
ただ、何度もいいますが、末期がんは厳しい状況です。万一のためにいろいろな準備を考えることも必要です。エンディングノート などに、思うことや希望やメッセージ、生前整理として相続や財産のことなども書き留めておくことも大切です。
そして、自分自身でいかに病気と向き合うか、いかにその後の人生を生きていくかを考えることが、きっと有効な治療法の一つになり、自分自身と家族や大切な人たちとの絆を深めてくれるものではないでしょうか。
すべての「末期がん」患者のみなさんに、明るい希望が訪れることを祈ります。
【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール