焼香の作法と順番:仏教・宗派別に徹底解説
「焼香の作法や焼香の順番、焼香の回数は宗派で違うの?」――そんな疑問に、初めてでも迷わず動けるよう丁寧に解説します。
この記事では、葬儀・通夜・法要での基本から、仏教・宗派別の焼香の違い、当日の立ち居振る舞いまでを網羅。最後にチェックリストも用意しました。迷ったときの“正解の仕方”がわかります(焼香 マナーのNG例も掲載)。
さらに、会場での誘導に合わせやすい実践的な手順を中心に構成。宗派や地域差への配慮も盛り込み、誰に見られても恥ずかしくない所作を身につけられます。
焼香とは?—意味と背景—
焼香の意味(仏教における位置づけ)
焼香(しょうこう)は、香を焚いて仏・故人に供える行為です。香りによって場と身を清め、故人を偲ぶ心を整えます。通夜・葬儀・告別式・各種法要の中心的な所作であり、宗派や地域ごとに細かな違いがありますが、「静かに・短く・丁寧に」という基本は共通です。
焼香のスタイル(立礼・座礼・回し焼香)
会場や人数により次の形が採用されます。
- 立礼焼香:椅子席で焼香台の前に立って行う最も一般的なスタイル。
- 座礼焼香:畳や本堂で座って行う。正座が難しい場合は椅子で対応可。
- 回し焼香:焼香盆(香炉)を列席者で回す。大人数やスペースに制約がある場面で用いられます。
本記事ではまず共通の焼香 作法を押さえてから、宗派別の違いを確認していきます。
基本の焼香 作法(立礼)
立礼焼香:これが最短で正しい手順
- 焼香台へ進む:前の方に続き、静かに一歩ずつ。私語・スマホ操作は厳禁。
- ご本尊・遺影へ一礼→合掌:姿勢を正し、短く丁寧に。
- 香をつまむ:右手の親指・人差し指・中指(浄指)で少量を。左手は添えるだけ。
- 香をくべる:宗派によりおしいただく(額の高さへ一瞬上げる)/いただかないが分かれます。
- 合掌→一礼→下がる:一歩下がってから礼をして退きます。立ち止まらずスムーズに。
迷ったら「回数は1回」「所作は静かに短く」「前の人にならう」が最適解。宗派不明でも失礼にあたりません。
座礼焼香(寺院本堂など)
基本の流れは立礼と同じです。正座が難しい場合は椅子でも問題ありません。足腰に不安がある方は遠慮なく係へ申し出ましょう。
回し焼香(会場が混み合うとき)
焼香盆が来たら、軽く会釈→合掌→入香→会釈して次の方へ。香をこぼさないよう、盆は安定した位置で扱います。スピードよりも静かな所作を優先。
「おしいただく/いただかない」とは?
香をつまんで額の高さに一瞬上げる仕草を「おしいただく」と表現します。禅宗・天台・真言・浄土宗では行う場面が多く、浄土真宗では行わないのが一般的です(詳細は後述「宗派別」へ)。
焼香の順番:席次と動線のルール
葬儀・通夜の基本の焼香 順番
喪主 → ご遺族 → 親族 → 会社関係 → 友人 → 一般参列者が原則。席次も祭壇に近い側が上座となるのが一般的です。係からの合図・誘導がある場合は必ずそれに従います。
法要(四十九日・年忌・初盆)の順番
施主(主催家)から順に焼香します。会食や僧侶の読経の進行に合わせるため、立つタイミングは司会・僧侶の合図優先です。
会社葬・団体葬などの順番
役職序列が加味される場合があります。弔辞や献花の順と混同しがちなので、配布プログラムや係の指示を確認しましょう。
焼香の順番・動き方の要点
・係の誘導>席次表>一般的な慣習の順で優先
・立つ・下がる・礼をする位置を短く正確に
・列の流れを止めない(会釈で十分)
仏教・宗派別:焼香の回数と作法 早見表
同じ「焼香」でも宗派によって焼香 回数や「おしいただく/いただかない」が異なります。会場の掲示や司会の案内があればそれを最優先にしましょう。
天台宗
回数:1~3回(地域・寺院差)。おしいただくのが一般的。線香は立てるのが通例です。
真言宗
回数:3回が基本。おしいただく。三宝・三毒に由来する説明が添えられることもあります。
浄土宗
回数:明確な定めなし。会場や寺院の指示に従います。おしいただく所作を行う例が広く見られます。
浄土真宗(本願寺派・西)
回数:1回。おしいただかない。焼香前の合掌を省略する場合があります。線香は折って横に寝かせる(立てない)のが基本。
浄土真宗(大谷派・東)
回数:2回。おしいただかない。入香後に合掌・念仏・頭礼を行う流儀が代表的です。
臨済宗
回数:こだわらない(葬儀では1回が多い)。おしいただくのが基本形として案内されることがあります。
曹洞宗
回数:2回が代表例。1回目はおしいただく/2回目はいただかずにくべます。
日蓮宗
導師は3回、一般参列者は1回が基本。入退の礼・合掌を丁寧に行います。
注意:地域差・寺院差があります
同じ宗派でも寺院や地域による差は小さくありません。迷ったら会場の案内・掲示・司会の指示に従いましょう。
焼香 マナー:よくあるNGと正しい振る舞い
立ち居振る舞い・所作
- 列での私語・スマホ操作は避ける(通知は事前にオフ)。
- 香は少量。盛りすぎ・こすり合わせはNG。
- 焼香台の前で位置取りに迷ったら一歩下がって一礼が基本。
数珠・服装・身だしなみ
- 数珠は左手に掛け、合掌時は両手に軽く添える。
- 光るアクセサリー・強い香水・派手ネイルは避ける。略喪服~喪服の範囲で。
- 子どもは動きやすいダークトーンの服装でOK。音の出る靴・装飾は外す。
線香・香炉まわりのマナー
- 線香の火は息で吹き消さない。手であおぐ・軽く振る。
- 香炉を覗き込まない。灰を散らさない。
- 浄土真宗は線香を寝かせる点に注意(立てない)。
線香の扱いは下記記事も参考になります。
・線香とは?種類・選び方・供え方の作法
子ども・高齢者・体調に配慮が必要な場合
椅子席・座席焼香・代理焼香など柔軟に対応されます。無理をせず係に相談してください。
迷ったときの最適解(宗派不明・初参列)
宗派がわからないときの基本
「回数1回」「静かに短く」「前の人にならう」。この3点でほぼ問題ありません。会場の指示>一般的慣習の順で優先します。
身体の事情があるとき
立礼が難しい・正座がつらいなどは珍しくありません。椅子・座席焼香・同行者の補助など、配慮を申し出ましょう。
混雑時のコツ
歩幅を小さく、列を止めない。礼は短く。香をつまむ量は最小限に。焼香台から下がってから礼をすることで動線がスムーズになります。
シーン別:通夜・葬儀・法要での焼香ポイント
通夜
時間帯が遅い・会場が混みやすいため、回し焼香や1回焼香が採用されがちです。弔問の挨拶は簡潔に。
葬儀・告別式
式次第に沿って進みます。喪主・遺族→親族→一般の順。弔辞・献花の有無で動線が変わるため、配布プログラムを一読しておくと安心です。
年忌法要・初盆
焼香の回数は会場・寺院の案内に合わせます。服装・お供えに迷ったら下記記事も参考に。
・七回忌の服装(男女・子ども)
・七回忌のお供え:表書き・相場
よくある質問(FAQ):焼香 作法・順番・回数
Q. 焼香の回数は1回だと失礼?
A. 失礼ではありません。宗派・会場により異なりますが、参列者は1回で簡潔に行う場面が多く、迷ったら1回が安全です。
Q. 「おしいただく」は必須? 額に上げないとダメ?
A. 宗派差があります。浄土真宗は「いただかない」のが基本。他宗派は行う場面が多いですが、会場指示を最優先に。
Q. 香をこぼしてしまったら?
A. あわてて手で払わず、係へ一声。自分で拾おうとして列を止める方がマナー違反です。
Q. マスク着用時の配慮は?
A. 焼香の前後で外す必要はありません。合掌・一礼の所作を丁寧に、声量は控えめにします。
Q. 香りが苦手/アレルギーがある場合
A. 立ち位置を短時間にして最小量で入香。体調が不安なら、焼香を辞退し黙礼のみでも失礼にはあたりません。
まとめ:最低限の正解だけ覚える
3行まとめ
・焼香は「静かに・短く・丁寧に」
・順番は「喪主→遺族→親族→一般」
・宗派不明は「1回・前にならう・会場指示優先」
当日チェックリスト
- 通知OFF・スマホは鞄へ/私語なし
- 列に合わせて前進→一礼・合掌→入香→合掌→一礼
- 香は最小量、おしいただく/いただかないは会場指示
- 退く前に一歩下がって一礼、列を止めない
困ったら専門家に相談—24時間365日サポート
焼香の作法や焼香の順番・回数・マナーで不安がある方は、『やさしいお葬式』の無料相談をご利用ください(24時間365日)。服装やお供え、会場での立ち居振る舞い、故人の宗派に沿った作法まで個別にアドバイスいたします。
焼香の基礎理解には次の記事も役立ちます。
・焼香とは?意味・種類・宗派ごとの作法を完全解説
・葬儀の種類と宗教ごとの違い
・供物とは?贈り方と相場
こちらも読まれています
・七回忌の服装(男女・子ども・アクセサリー)
・七回忌のお供え:相場・表書き・おすすめ
・お盆(盂蘭盆会)とは?期間・意味・マナー
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