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遺留分請求されたら放置厳禁!減額&無効にする4つのポイントを紹介

「遺留分請求されたら、どうやって対処したらいい?」

「納得がいかないから、放置または無視したい!」

「遺留分」とは、法定相続人が最低限もらえる相続財産のことで、遺産を相続した人に対して、自分の遺留分を侵害されたと請求することを『遺留分侵害額請求』といいます。

たとえば、あなたが遺産の全額を相続した後、あなたの弟が遺留分請求をしてきた場合、必ず定められた金額を相手に支払わなければいけないのです。

遺留分を請求された場合、無視や放置は不利益になる為、必ず対応しなければいけません。

【遺留分請求されたら確認するべき4つのポイント】

1.請求してきた相手に、遺留分の権利があるか確認する

2.遺留分の時効(最長10年)を確認する

3.請求された遺留分の金額が正しいかを確認する

4.生前贈与がされていなかったか確認する

遺留分請求をされたら、慌てて言われるがままの金額を支払ってしまう方も多いです。

本記事では、遺留分請求されたら確認するべき以下のポイントを詳しく解説しながら、『請求された後の行動方法』や『支払いが難しい場合の対処法』・『相談先』を紹介します。

正しい知識をつけて、「相手に遺留分請求の権利があるか」「正しい金額か」を落ち着いて確認できるようになるためにも、ぜひ最後までお読みください。

遺留分請求されたら放置は危険!

遺留分請求されたら、絶対に放置してはいけません。遺留分の請求は、民法で保障された権利であるため、必ず内容が正当であれば支払わなければいけないのです。

無視して裁判所への出頭を拒否したり、話し合いにも全く応じなかったりすると、調停や訴訟に発展して、最悪の場合、財産を差し押さえられる可能性があります

さらには、請求された分だけではなく放置していたがために、延滞損害金や相手の弁護士費用も上乗せされる可能性もありますので、必ず話し合いには応じるようにしましょう。

寄与分(きよぶん)や個人の意見は遺留分請求に影響しない

自分が遺言作成者と寄与分※に関係しており、さらに個人的な関係により「遺留分請求は認めない」と主張したとしても、その主張は認められません。

※寄与分とは、無償で事業を手伝ったり、仕事を辞めてまで介護をしていたりしていた人が、定められた金額よりも遺産を多く受け取れる権利のことです。

相続分の計算に影響を与えますが、遺留分を計算するときには考慮されません。

たとえば、長男が父親の生活保障と介護を数十年間献身的に行い、遺言書で「全財産を長男へ」と指名されていても、兄弟から遺留分請求をされたら支払わなければいけないのです。

自分に寄与分がある(遺言作成者に特別貢献した)からといって、遺留分請求に対して減額や無効を訴えたとしても、法的根拠がなく認められないため、注意してくださいね。

遺留分請求されたら確認するべき4つのポイント

遺留分請求されたら拒否できませんが、自分にとって不利益にならないために、確認するべき4つのポイントがあります。

【遺留分請求されたら確認するべき4つのポイント】

1.請求してきた相手に、遺留分の権利があるか確認する

2.遺留分の時効(最長10年)を確認する

3.請求された遺留分の金額が正しいかを確認する

4.生前贈与がされていなかったか確認する

上記のポイントを確認せず、相手の主張通りの内容を鵜呑みにしてしまうと、損をしてしまったり、そもそも支払わなくていい相手に支払ってしまったりする可能性もあります。

ここでは確認するべき順番に紹介しますので、請求内容を用意して以下ポイントの順に確認しましょう。

請求してきた相手に、遺留分の権利があるか確認する

請求してきた相手に、遺留分請求の権利があるかを必ず確認してください。権利を持っている相続人は以下のとおりです。

【遺留分の民法で定められた法定相続人】

相続人例 相続財産に対する遺留分の割合 各相続人に対する割当
配偶者 その他の相続人
配偶者のみ 1/2 1/2  
配偶者・子ども 1/2 1/4 子ども:1/4
配偶者・故人の父母 1/2 1/3 父母:1/6
配偶者・故人の兄弟姉妹 1/2 1/2 兄弟姉妹:なし
子どものみ 1/2   子ども:1/2
父母のみ 1/3   父母:1/3
兄弟姉妹のみ なし   兄弟姉妹:なし

上記で紹介したとおり、遺留分請求権を持っている人は、遺言書作成者(被相続人)の配偶者とその子どもや孫(直系卑属)、父母や祖父母(直系尊属)のみです。

それ以外の人は認められません。もし、遺言作成者の兄弟姉妹から遺留分請求されているのであれば、兄弟姉妹には権利がないため、主張自体を無効にできます。

同様に、内縁関係にある人が「自分には寄与分があるから、遺留分請求権利がある」と主張してきても無効になるため、『誰が請求してきたか』を見極めるようにしてください。

遺留分の時効(最長10年)を確認する

遺留分には時効があり、以下のような事例ごとに民法で定められています。

【3つの時効】

1.遺留分を侵害されていると知った 事実を知ってから1年経過すると権利が消滅時効する

※1年以内に相手が意思表示していれば時効は止まる

2.遺留分を侵害されていると知らなかった 相続人が相続してから、10年が経過している場合、自動的に消滅時効する
3.遺留分請求を行った状態で何もしなかった 5年間何もしなければ、消滅時効する

ただし、2020年3月31日以前の遺留分請求の場合は消滅時効が10年になっている

上記のように民法で時効が定められているため、まずは自分が『いつ相続したか』『相手にいつ相続した事実を伝えたか』を確認してください。

自分が相続したことを相手に伝えて、すでに1年以上が経過している場合は、遺留分請求の時効に該当するため、無効を主張できます。

請求された遺留分の金額が正しいかを確認する

次に請求された遺留分の金額が、本当に正しいかを確認してください。

基本となる計算式は簡単ですが、不動産や生前贈与の存在があると金額が大きく変わり、算定もかなり複雑になってきます。

【遺留分の民法で定められた法定相続人】

相続人例 相続財産に対する遺留分の割合 各相続人に対する割当
配偶者 その他の相続人
配偶者のみ 1/2 1/2  
配偶者・子ども 1/2 1/4 子ども:1/4
配偶者・故人の父母 1/2 1/3 父母:1/6
配偶者・故人の兄弟姉妹 1/2 1/2 兄弟姉妹:なし
子どものみ 1/2   子ども:1/2
父母のみ 1/3   父母:1/3
兄弟姉妹のみ なし   兄弟姉妹:なし

例えば、遺産の総額が3,000万円の場合で相続人が兄と弟の2人の場合、兄弟が遺留分請求をされたら、総額から1/2である1,500万円を渡さなければいけません。

可能であれば弁護士といった専門家に正しい遺留分の金額を計算してもらうと、想定された請求額額よりも減額されることもありますよ。

生前贈与がされていなかったか確認する

生前贈与がなかったかを確認しましょう。相手が相続開始前の10年以内に受けている場合、遺留分を減額できる可能性があります。

以下のようなものが該当するので確認しておいてくださいね。

・不動産や金融資産

・特別受益(とくべつじゅえき)※にあたる生前贈与(婚姻や養子縁組・生計時の資本金、生命保険が該当)

・遺留分を侵害すると知ってから行われた贈与など

※特別受益とは、特定の相続人だけが遺言作成者から受け取った利益(財産)のことをいいます。上記のような利益を計算に入れることで、平等に分けられるようになります。

とはいえ、生前贈与を調べるためには、不動産登記や預貯金の取引状況を調べる必要があるため、弁護士に相続財産調査などを依頼すると、よりスムーズに話し合いが進みますよ。

遺留分請求後の選択肢2つと対応方法

遺留分請求された後は、以下2つの選択肢があり、どちらかを必ず選ばなければいけません。

【遺留分請求後の選択肢2つ】

1.遺留分請求に応じる 現物返還は認められず、金銭で支払う
2.遺留分請求に応じない 1.相手と話し合い『減額や無効を求める』

2.調停や訴訟を想定して弁護士に依頼しておく

1.遺留分請求に応じる『金銭で支払うこと』

2.遺留分請求に応じない場合の流れ

どちらも選ばないということは、放置になります。上記の見出し「遺留分請求されたら放置は危険!」で紹介したとおり非常に危険な行為ですので、注意しましょう。

ここでは応じる・応じないの順番に対応方法を紹介しますので、参考にしてくださいね。

遺留分請求に応じる場合『金銭で支払うこと』

上記の「遺留分請求されたら確認するべき4つのポイント」を確認した上で、適切な金額で提示されていて、なおかつあなたが納得した場合は、早めに支払いに応じます。

とはいえ、遺留分請求での支払いは必ず金銭での支払いが求められるため、証券や不動産などでの代用はできません。

万が一、金銭での支払いが難しい場合には、「支払いが困難なときの対処法2つ」を参考にしてくださいね。

遺留分請求に応じない場合の流れ

遺留分請求の内容が納得できず提示されている金額が間違えていて、応じない選択をした場合は、以下のように進めていきます。

【応じない場合の流れ】

1.相手と話し合い『減額や無効を求める』

2.調停や訴訟を想定して弁護士に依頼しておく

基本的には相手が合意さえすれば、遺留分請求を減額または取り下げてもらえます。しかし、ここまで来たら相手も引き下がらないため、争うことになるでしょう。

いざというときにどんな行動をすればいいのか、以下の見出しで紹介しますので覚えておきましょう。

相手と話し合い『減額や無効を求める』

まずは相手と話し合う(任意交渉)を行い、減額や無効を求めるようにしてください。費用や労力がかかるため、最初から調停や訴訟に発展することはないでしょう。

交渉のときには、必ず郵送では配達証明付き内容証明で行い、会話のときは録音するといった方法で、後で言った言わないのトラブルにならないように記録を残してください。

ただし、双方が感情的になり意見が食い違ってしまう場合には、当事者同士での話し合いは難しいため、弁護士を挟むとスムーズに進められるはずですよ。

調停や訴訟を想定して弁護士に依頼しておく

話し合いではまとまらない場合は、家庭裁判所による調停や訴訟が想定されるため、弁護士に依頼しておくと安心です。

調停はあくまで家庭裁判所が仲介をし、当事者同士で話し合って解決をしていくため、支払いを命じらることはありません。

しかし、訴訟となると相手に遺留分請求の権利があるのか、請求額が適切か、双方の言い分を聞いた上で審理して判決を下されます。

この判決に不満がある場合は上級裁判所に不服申し立てを行うことになり、更に時間や手続きが複雑となるため、専門家の知識が必要となるでしょう。

万が一、支払いが困難なときの対処法2つ

納得した上で支払うとしても遺留分の支払いは、金銭での支払が求められるため、すぐに支払えない場合は、以下2つの方法があります。

【支払いが困難なときの対策法2つ】

1.相手に支払い期間や方法を相談する

2.裁判所に支払いの延期を依頼する

たとえば、相続が土地や株式である場合、金銭を用意するところから始まるため、すぐには支払えない場合も出てくるでしょう。

相手に相談するべき順番に紹介しますので、確認しておいてくださいね。

相手に支払い期間や方法を相談する

まずは、相手に支払い期間や方法を相談してください。その際には、必ず「支払えない理由」と一緒に説明して、相手に納得してもらいましょう。

相手も支払い意思を示していれば、費用や時間をかけてまで裁判を起こさないはずです。

支払期間の延長や分割支払いにすれば、かなり負担が軽減されますので、無理せず円満な解決を目指してください。

ただし、話し合いで決まったことは、必ず書面で残してください相手が忘れてしまったり、突然知らないと言われたりしても安心です。

裁判所に支払いの延期を依頼する

遺留分請求をされていて裁判も起こされた状況であった場合、支払いが困難であれば裁判所に支払期限を延長するように申告しましょう。

裁判所が支払いが難しいと認めた場合、金銭を用意できる分の期間まで延長できます。あくまで支払期間が変更されるため、遅延金や利子が発生しません

しかし、あなたに支払うだけの資産がある際には、延期は認められないことが多いため、注意してくださいね。

遺留分請求で困ったときの相談先2つ

遺留分請求をされて困っている場合、以下2つの相談先があります。1人では泣き寝入りするしかないときでも、今よりも良い結果へと導いてくれるはずです。

2つの相談先 費用目安 特徴
1.弁護士

5,000円~(30分)

※初回相談のみ無料の事務所もある

法的に有効で、内容的に適切な遺言書をスムーズに作成することができる。
2.無料相談を利用して専門家を紹介してもらう

0円

※初回相談のみ

どの専門家にお願いすればいいのかなどのアドバイスがもらえる。

明らかに減額や無効であろう内容だとしても、相手がちょっとでも法律に強かったり、弁護士が絡んでいたりすると、相手のペースに乗せられてしまいます。

ここでは、解決に向けて動きやすい順番に紹介しますので、相談先をうまく利用しながら、後悔のないように進めていってくださいね。

弁護士に相談する【費用:無料または5,000円~】

遺留分請求をされたら、早めに弁護士に相談してください。請求内容が本当にあっているかを確認してもらえば、何が正しいのかが分かってくるでしょう。

弁護士に相談したら、必ず依頼しなければいけないわけではありません。遺留分請求で争う場合、費用や時間もかかりますので、十分に悩んでからでも遅くはないはずです。

まずは、「このような状況であるため、何をするべきか」を相談するといいでしょう。しかし、弁護士にも得意分野があるため、遺留分に強い弁護士を選びましょう。

知らないと損をする!相続弁護士を選ぶ9つの要点と費用を抑える準備」では、相続関係に強い弁護士の選び方を紹介していますので、合わせて参考にしてください。

無料相談を利用し適切な専門家につなげてもらう【費用:0円~】

弁護士を探す時間もないし、落ち着いて探せない場合は、「無料相談」を申し込むのも1つの方法です。

やさしい相続』は24時間365日相談可能で、遺留分や相続に関する手続きをすべて代行していますので、あなたの抱えている悩みに対してピンポイントで対応できます。

電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡ください。しつこい勧誘等も行いません。大切なことだからこそ、丁寧に・確実に進めていきましょう。

まとめ【遺留分請求されたら放置せず正当な請求かチェック】

遺留分請求は民法で保障された権利であるため、正当な内容であれば必ず支払わなければいけません。

内容に納得できず自己判断で放置してしまえば、最悪の場合、相手から財産の差し押さえもありえるのです。

しかし、請求が来たからといってすぐに支払わないといけないわけではなく、まずは本当に正しい内容かを確認してください。

【遺留分請求されたら確認するべき4つのポイント】

1.請求してきた相手に、遺留分の権利があるか確認する

2.遺留分の時効(最長10年)を確認する

3.請求された遺留分の金額が正しいかを確認する

4.生前贈与がされていなかったか確認する

すべてを確認したら、以下2つの選択肢から選び、適した対応をしましょう。

【遺留分請求後の選択肢2つ】

1.遺留分請求に応じる 現物返還は認められず、金銭で支払う
2.遺留分請求に応じない 1.相手と話し合い『減額や無効を求める』

2.調停や訴訟を想定して弁護士に依頼しておく

ただし、どうやっても支払いが難しい場合は、以下2つの対策法もありますので、合わせて参考にしてくださいね。

【支払いが困難なときの対策法2つ】

1.相手に支払い期間や支払い方法を相談する

2.裁判所に支払いの延期を依頼する

遺留分請求は法律に関わるため、弁護士に依頼した方が安心です。

法律は一つの項目は簡単ですが、いろいろな法律が関わり複雑です。素人が行えば余計に支払ってしまったり、トラブルに発展してしまったりする可能性が大きくなります。

自分自身が安心して、なおかつ不利にならないようにするために、専門家である弁護士に相談して、後悔のない選択をしてくださいね。

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【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

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お葬式セミナー講師
エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。