墓じまい費用は誰が払うか決まりはない!損しない負担方法3つを紹介
「墓じまいの費用は、誰が払うべき?」
「必ず、長男や長女が払わなければいけないの?」
墓じまい費用は、長男や長女などの長子が負担する印象ですが、民法で「お墓の継承者が払う」としているだけで、必ずしも長子が払わないといけないという決まりはないのです。
『PR TIMESのライフドットが行った実態調査』によれば、50万円未満で済ませられる方は全体の26.3%だけで、残り73.7%は50万円以上かかっています。
情報引用元:PR TIMES|お墓・霊園探しの「ライフドット」が「墓じまい」に関する実態調査を実施
墓じまいの費用の多くは50万円以上と高額で、基本一括での支払いが求められるため、ほとんどの方々が費用は誰が払うべきかで揉めることが多いでしょう。
そこで本記事では、「誰が負担するべきで、どの程度負担し合うべきなのか」と悩んでいる方向けに、『費用負担方法3つと同時に起こりえる問題3つ』も合わせて紹介します。
【墓じまい費用の負担方法3つ】
1.お墓の継承者が全額支払う |
お墓の継承者が財産を100%相続する場合は、全額負担が一般的。 |
2.お墓の継承者と兄弟や親戚と協力して払う |
お墓の継承者と兄弟が財産を分けた場合は、協力して払うと不平不安は出にくい。 |
3.親が支払う |
予め親の代で墓じまいをする、または費用を用意しておくと一番不平不満がなくなるのでオススメ。 |
墓じまいの費用を誰が払うかで揉めてしまい、今後の関係にも亀裂が生じる可能性も起こります。
予め負担方法を知っておけば、金銭トラブルも回避しながら、親族間でのわだかまりもなくなりますので、ぜひ読了ください。
墓じまいにかかる費用の相場や内訳、手続きの流れについて詳しく知りたい場合は、「墓じまいの費用を完全解説!相場・手続き・作業の流れ・費用を抑える方法を紹介!」をご参照ください。
墓じまい費用の負担方法3つ
墓じまい費用は長男や長女などの長子が支払う以外にも、下記3つの負担方法があります。
初めに長子が支払うという決まりはないと言ったのは、民法が下記のように定めているからです。そのため、費用の負担額は「財産をどのように分けたか」が重要となります。
第八百九十七条(祭祀に関する権利の承継)
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
情報引用元:e-Gov法令検索
あくまで、『継承すべき者』とされているだけで、長男や長女といった長子の文言はありません。
上記のことを踏まえた上で、下記3つの負担方法を事例が多い順番に紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
【墓じまい費用の負担方法3つ】
1.お墓の継承者が全額支払う |
お墓の継承者が財産を100%相続する場合は、全額負担が一般的。 |
2.お墓の継承者と兄弟や親戚と協力して払う |
お墓の継承者と兄弟が財産を分けた場合は、協力して払うと不平不安は出にくい。 |
3.親が支払う |
予め親の代で墓じまいをする、または費用を用意しておくと一番不平不満がなくなるのでオススメ。 |
1.お墓の継承者が全額支払う
お墓の継承者が財産を100%相続している場合は、墓じまいの費用を全額継承者が支払うことが一般的です。
財産を100%相続している方のほとんどが、長男や長女といった方が家を継いで相続していることが多いため、必然的に長子が支払うことが一般的という印象を与えます。
まずは、お墓の所有権が誰になるのか、合わせて財産を100%相続したかどうかを考え、費用を負担するようにしましょう。
2.お墓の継承者と兄弟や親戚と協力して払う
財産をお墓の継承者と兄弟、親戚で分けた場合は、協力し合って支払うことが一般的です。
財産は故人がお墓の管理も含めて残していることが多いため、公平に負担すると不平不満も出にくく、親戚同士のトラブルにも繋がりにくくなります。
負担の割合は以下の通りですので、合わせて参考にしてくださいね。
【負担割合例】
遺産の割合例 |
墓じまい費用の負担割合例 |
長男:7割、長女(次男):3割 |
長男:7~8割、長女:3~2割 |
長男:5割、次男:3割、親戚:2割 |
長男:5割、次男:3割、親戚:2割 |
3.親が支払う
一番トラブルにならないのが、墓じまいの費用を親が負担することです。ただ、あまり事例がないのも事実です。
親が今現在墓じまいについての考えがある場合には、今後のことを考えて用意している可能性があります。すでに亡くなっている場合は、遺言や貯金をよく確認しましょう。
今まではお墓を継いで、管理・供養していくことが当たり前でしたが、近年では子どもを持たない世帯や核家族化が進み、お墓の継承方法も変化しています。
可能であれば、生前に話し合いを行うことが何よりも大切ですね。
墓じまいの費用負担で起こる3つの問題
墓じまいの費用負担で、下記3つの問題が起こる可能性がありますので、十分に注意してください。
【3つの問題】
1.お墓の継承者が継ぐのを拒否する
2.お金のことで親戚と揉める
3.お墓を放置すると高額な費用を請求させる可能性がある
起こりえる3つの問題を事前に知っておけば、墓じまいについての話し合いの場でも落ち着いて、起こった時に相手の話を落ち着いて聞けるようになります。
下記3つの問題を重要な順番に順に紹介しますので、参考にしてくださいね。
1.お墓の継承者が継ぐのを拒否する
お墓の継承者がお墓の継承を拒否するのは、起こってしまうと一番大きなトラブルになりますので、注意が必要です。
お墓の管理と墓じまいは手間と費用がかかるため、放棄したいと考える方もいます。「継承者だから」「長子だから」という理由で、一人に押し付けないようにしましょう。
墓じまいは、自分たちの先祖代々が受け継いできた場所でもありますので、家族や親戚が一丸となって取り組んでいくといいですよ。
2.お金のことで親戚と揉める
墓じまいを行う上で、費用のことで親戚と揉めるという話も耳にします。お金は人間関係を悪化させ、人を変えるものでもあります。
突然、墓じまいの費用について話せばトラブルの原因となりますので、まずは墓じまいを考えた時点で相談するようにしましょう。
丁寧になぜ墓じまいを行いたいかを説明して、理解を深めていくことが何よりも大切です。
3.お墓を放置すると高額な費用を請求させる可能性がある
墓じまいをせずに、誰も管理しない状態のまま放置していると、管理者から高額な費用を請求される可能性があります。
さらに、放置していれば隣接する墓所に迷惑がかかり、最悪の場合、無縁墓・無縁仏扱いになり、強制的に撤去され遺骨が二度と手元に戻って来ない可能性があるのです。
そのため、墓じまいの話し合いがまとまらないからといって、放置したままにすることだけはやめ、墓じまいまでは定期的に管理するようにしましょう。
「無縁仏とは?無縁仏になる理由や無縁仏にならないためにできることを完全解説!」では、無縁仏や管理費用を滞納した場合などのことを、紹介しているので参照ください。
墓じまいの費用を『最大40万円』抑える3つの方法
墓じまいの費用を少しでも抑えたい場合は、下記3つの方法を参考にしてください。3つの方法を実行できれば、最大40万円もの費用を抑えられます。
方法を知っておけば、何も知らずに墓じまいを行うよりも費用を抑えられるでしょう。ここでは、費用を大きく抑えられる順番に紹介していきます。
【墓じまいの費用を抑える方法3つ】
3つの方法 |
内容 |
費用対効果 |
1.自治体で補助金またはサポート制度について相談する |
自治体によっては、墓じまいの一部費用を助成してくれるので窓口などで相談する。 |
20~40万円
|
2.費用を抑えられる改葬先を選択する |
永代供養や樹木葬、納骨堂など、できるだけ費用負担にならない改葬先を選ぶ。 |
1万円~
|
3.石材店の見積もりを比較する |
複数の石材店から見積もりを取り、比較してなぜこの値段なのか確認する。 |
~10万円
|
1.自治体で補助金またはサポート制度について相談する
自治体によっては墓じまいの費用の一部に対して、補助金やサポート制度を設けている場合がありますので、まずはお墓がある役所に問い合わせしてください。
補助金制度を設けている場合、20万円~40万円支給してくれる自治体もあるのです。ただし、対象となる費用や金額は、墓地の規模などで大きく異なります。
まずは、役所の窓口などに問い合わせするか、インターネットで「○○県 ○○市 墓 補助金」と検索すれば、行っている自治体は出てきますので調べてみましょう。
補助金制度を行っている自治体や補助金の詳細が知りたい方は、「墓じまいで40万円得する!補助金の貰い方と費用の抑え方5つを紹介」を合わせて参考にしてください。
2.費用を抑えられる改葬先を選択する
費用を抑えられる改葬先を選ぶことで、改葬先次第で墓じまい費用を大きく抑えられます。
改葬先を知っておけば、墓じまいをする際に焦らずに自分に合った改葬先を選べるようにもなりますので、下記5つの改葬先は覚えておくといいでしょう。
5つの改葬先 |
特徴 |
1.永代供養
【費用:5万円~150万円】
|
・寺院や霊園の管理者が、使用者の代わりに供養する。
・個別の墓や合祀墓から選ぶのが一般的。
・一定期間供養したら33回忌などの節目に合祀にする。
・合祀後は遺骨を取り出せないので注意が必要。
|
2.合祀墓
【費用:3万円~10万円】
|
・他人の遺骨と一緒に埋葬する。
・基本、永代供養料と納骨料の初期費用で済む。
・年間費用は管理者によって異なる。
・遺骨の取り出しは不可なので注意。
|
3.樹木葬
【費用:5万円~80万円】
|
・墓石に代わり樹木や草花がシンボル。
・骨壷のありなしで費用は大きく変わるので注意。
合祀型樹木葬 |
5万円~20万円 |
個別型樹木葬 |
15万円~60万円 |
家族型樹木葬 |
15万円~80万円 |
・遺骨を取り出す予定がある人は注意。 参考記事:最近人気の樹木葬とは?その歴史や種類から費用相場や注意すべきポイントまで徹底解説!
|
4.手元供養 【費用:5,000円~40万円】 |
・遺骨を加工して身近で管理する。
アクセサリーで身につける |
1万円~3万円 |
ミニ骨壷で保管 |
5,000円~10万円 |
ミニ仏壇やインテリアで飾る |
1万円~40万円 |
・遺骨の保管や管理方法によって費用は大きく変わる。 |
5.散骨 【費用:0円~90万円】 |
・遺骨を粉骨して海や山などに巻き、自然に還す。 ・散骨は所有権がない場所のみできるため、確認が必要。
自分で粉骨して散骨 |
0円 |
海洋 |
8万円~60万円 |
山岳 |
10万円~90万円 |
バルーン |
25万円程度 |
・散骨専門の業者があるので、要確認。 参考記事:散骨とは?流れや注意点、メリットデメリットなど散骨の全てを徹底解説! |
3.石材店の見積もりを比較する
墓石の撤去・解体を行う石材店では相場という決まりがないため、少なくとも2〜3社を選び見積もり依頼をしてください。
相場がないので、業者によって費用は大きく異なります。1社だけで決めてしまうと、後から「この業者の方が安かった」といった後悔にも繋がるのです。
また、見積もりの見方として、1㎡あたり約10万円で行われているところが多いため、10万円を基準に考えながら判断すると安いか高いかが判断しやすいでしょう。
ただし、お墓の管理者によっては、すでに石材店が決めている可能性があり、自分では選択できないこともありますので、管理者に予め確認してくださいね。
費用が払えない場合の対策法2つ
墓じまいの費用が払えない場合、2つの対策法がありますので押さえておきましょう。
お墓を放置すれば無縁墓となり、使用者の意思と関係なく合祀墓(他の方と遺骨が混ざるお墓)へ移され、遺骨が取り出せなくなる可能性が高くなります。
そのため、「お金が払えない」からといって、お墓を放置するのは得策ではありません。以下で2つの対策を実行しやすい順番に紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
費用が払えないと悩んでおり、詳しい対策法を知りたい方は、「墓じまいの費用が高額で払えない!知れば安心する5つの対策法を解説」を合わせてご参照ください。
【墓じまいの費用が払えない場合の対策法2つ】
2つの対策法 |
内容 |
1.家族や親族の協力を得る |
期限を決めて、家族や親戚で話し合う。 |
2.メモリアルローンを利用する |
銀行からお墓関連で使用できるローンを契約する。 |
1.家族や親族の協力を得る
墓じまいは、先祖代々受け継いだお墓を時代に合わせて引っ越しさせる大事な場面でもあるため、お墓の継承者が抱える問題と考えず、必ず家族や親族で話し合ってください。
費用が100万円〜250万円と高額ですが、皆で協力し合えば一人の負担は軽減されます。また、同意を得たことで墓じまい後のトラブルも起こりづらくなるでしょう。
墓じまいを行うことは、不幸ではなく無縁墓・無縁仏になることを未然に防ぐ大切な行動です。まずは墓じまいを考えた時点で、必要性を説明し協力し合うようにしてくださいね。
2.メモリアルローンを利用する
家族や親族の協力が難しい場合は、「メモリアルローン」も検討します。メモリアルローンとは、金融機関からお墓関係(葬儀や墓じまいなど)で利用できるローンのことです。
住宅ローンとは違い、審査が早く収入証明がいらない場合が多いです。また金利も低めため、比較的利用しやすいローンと言えます。
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まとめ【墓じまい費用は誰が払うかは親族で相談する】
墓じまい費用は長男や長女などの長子が支払う以外にも、下記3つの負担方法があり、費用の負担額は「財産をどのように分けたか」が重要となります。
【墓じまい費用の負担方法3つ】
1.お墓の継承者が全額支払う |
お墓の継承者が財産を100%相続する場合は、全額負担が一般的。 |
2.お墓の継承者と兄弟や親戚と協力して払う |
お墓の継承者と兄弟が財産を分けた場合は、協力して払うと不平不安は出にくい。 |
3.親が支払う |
予め親の代で墓じまいをする、または費用を用意しておくと一番不平不満がなくなるのでオススメ。 |
しかし、墓じまいの費用について相談する場合、下記のような3つの問題が発生する可能性があります。
【3つの問題】
1.お墓の継承者が継ぐのを拒否する
2.お金のことで親戚と揉める
3.お墓を放置すると高額な費用を請求させる可能性がある
全て必ず「一人に押し付けるのではなく、家族や親戚同士で相談する」ことで、解決に向かうはずです。
墓じまいの費用を抑えたい、または払えないという場合には下記の方法を参考にしてください。
【墓じまいの費用を抑える方法3つ】
3つの方法 |
内容 |
費用対効果 |
1.自治体で補助金またはサポート制度について相談する |
自治体によっては、墓じまいの一部費用を助成してくれるので窓口などで相談する。 |
20~40万円
|
2.費用を抑えられる改葬先を選択する |
永代供養や樹木葬、納骨堂など、できるだけ費用負担にならない改葬先を選ぶ。 |
1万円~
|
3.石材店の見積もりを比較する |
複数の石材店から見積もりを取り、比較してなぜこの値段なのか確認する。 |
~10万円
|
【費用が払えない場合の対策法2つ】
2つの対策法 |
内容 |
1.家族や親族の協力を得る |
期限を決めて、家族や親戚で話し合う。 |
2.メモリアルローンを利用する |
銀行からお墓関連で使用できるローンを契約する。 |
墓じまいは先祖代々受け継いだお墓を、時代に合わせて引っ越しさせる大事な場面でもあります。一人で抱え込まずに、家族や親戚、自治体などに相談してみましょう。
お墓の放置はトラブルの原因にも繋がりますので、上記の方法を参考にして不安を解消しながら、後悔のない墓じまいを行えるといいですね。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール