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代襲相続を完全解説!範囲・割合・相続放棄のルールを紹介!

Sep 01 2020

誰かが亡くなった時に考えなければならないのが相続の問題です。本来の相続人が相続を行えなかった場合、代襲相続人が代わりに相続します。本記事では代襲相続とは何か?どこまでの範囲で行われるのか?相続放棄や遺留分についてまで詳しくご紹介していきます。

2021/5/21 情報更新

誰かが亡くなった時に考えなければならないのが相続の問題。

基本的に相続は、配偶者や子供、親兄弟といった民法で定められた相続人が遺産を相続することが一般的です。

ただ、その相続人が死去など何かしらの理由ですでに家系に存在しないケースもあり、そういった場合に出てくるのが代襲相続と呼ばれる制度です。 

今回は代襲相続について、相続人は誰まで含まれるのかといったことや、遺産の配分割合をはじめ、その他細かい仕組みについて詳しくご紹介していきます。

代襲相続の基礎知識

代襲相続の場合、財産を譲渡する側である被相続人から見て、孫やひ孫、甥姪などへと相続権が移行するため、「結局誰が相続するのか?」と混乱してしまう人も少なくありません。
「代襲相続って具体的にどういうことだろう?」

「もし自分の子供や配偶者が自分より亡くなってしまった場合、自分の遺産はどうなるのだろう。」 

そんな風に思っている方に向けて、ここからは代襲相続の基本的な知識について詳しく見ていきましょう。

代襲相続とは?

相続人(遺産を譲り受けることが決まっている人)が、事故や病気など何かしらの理由で被相続人(相続財産を残したまま亡くなった人)よりも先に逝去している場合、相続人の子や孫、甥姪などが親や叔父叔母の代わりに相続する制度のことを代襲相続といいます。

相続において、亡くなった被相続人の財産は、原則として被相続人とある一定の親族関係にある人に譲渡されます。

また、この相続する権利のある人のことを法定相続人といいます。

遺言により意志表示を行う

なお、死者は遺言という形で、自分の財産を誰に譲るのかを意思表示することができます。

したがって遺言書がある場合は、基本的にその遺言に従って財産が誰にどの程度譲渡されるのかが決まります。

ただし、この遺言書がない場合は、民法の定めるところにより、法定相続人へ分配される遺産の割合が自動的に決定します。 

法定相続人の優先順位

さらに、法定相続人の相続には優先順位があり、子が第一順位、父母や祖父母といった直系尊属が第二順位、そして兄弟姉妹が第三順位の立場にあります。

たとえば、相続人である子が被相続人より先立ってしまっている場合などには孫が代襲相続人となることで、遺産を相続する権利をもらえます。 

なお、後で改めてご説明しますが、配偶者はこの優先順位の中には組み込まれておらず、どのような状況でも相続することが決まっています。 

代襲相続の例

ここからは代襲相続における例をいくつか挙げてみましょう。

①子が先に死去している場合

「Aさんには、配偶者のBさんとの間にCさんという子がおり、またCさんとCさんの配偶者との間にDさんという子がいた。

しかし、Aさんの生前にAさんとBさんの子であるCさんが死亡した後に、Aさんが続いて逝去した。一方で、Aさんの両親EさんとFさんは健在であることが判明した。」 

このケースの場合、被相続人のAさんの配偶者であるBさんと子のCさんは本来最も優先される相続人ですが、Cさんが他界したことにより、Cさんの相続権がCさんの子Dさんへと移り変わります。

こういった仕組みが代襲相続です。 

②子・孫が先に死去している場合

「Aさんには、配偶者であるBさんとの間にCさんという子がおり、またCさんとCさんの配偶者との間にDさんという子がいた。

さらに、Dさんと配偶者との間にEさんという子がいた。しかし、Aさんの生前にCさんとDさんがすでに死亡。その後、Aさんが死亡した。」 

被相続人の死亡する前に、被相続人から見た子と孫がすでに他界している場合はさらにその血統直下の子、つまりひ孫にあたる人物が代襲相続します。

なお、このような仕組みを再代襲相続と呼びます。再代襲相続については後で詳しくご説明します。

③兄弟姉妹が先に死去している場合

「生涯独身で子がいなかったAさんが死亡。Aさんの死亡時にはAさんの直系尊属に該当する人はいなかったものの、弟のBさんがおり、Bさんは配偶者との間にCさんという子がいた。

しかし、Aさんの生前にBさんが死亡し、その後Aさんが死亡した。」 

被相続人が死亡した時点ですでに兄弟姉妹は死亡し、その子は生きているという状況です。

代襲相続は兄弟姉妹であっても認められます。

したがって、被相続人が逝去した時点で、兄弟姉妹がすでにこの世にいないといった場合に、その兄弟姉妹の子が存在すればその人が代襲相続をする運びとなります。 

④さらに兄弟姉妹の子も先に死去していた場合

「Aさんには配偶者がいたものの子はおらず、さらにAさんが死亡した際にはAさんの直系存続に健在の人がいなかった。

また、Aさんには弟のCさんがいて、そのCさんの子で甥であるDさんには妻がいて、間にEさんという子がいた。

しかし。Aさんの生前にCさん、Dさんが死亡し、その後Aさんが死亡した。」 

被相続人が死亡した際に、先に兄弟姉妹と兄弟姉妹の子(甥)が他界し、甥の子が生存している場合は誰が相続することとなるのでしょうか。

兄弟姉妹の場合、再代襲相続は認められていないため、甥の子は代襲相続権を得ることができません。

なお、再代襲相続に関する詳細については後々記述していきます。

代襲相続については「代襲相続人を完全解説!相続割合・権利・範囲を紹介!」の記事もご参考ください。

法律上の相続人の範囲と順位

相続においては、そもそも誰が相続の権利を得るのか、相続人を確定させる必要があります。

誰が相続権を保持しているのかは民法によって決められています。死者の財産は基本的に一定の親族関係にある人が譲り受けることになっています。

相続人の範囲

一定の親族関係に当てはまる人は、被相続人から見た、配偶者、子、直系尊属(父母、祖父母)、兄弟姉妹が該当します。これを法定相続人と呼びます。 

相続人の順位

また、この相続人には順位があります。

配偶者は常に相続人としてみなされることが民法で定められており、そこから順番に子供が第一順位、被相続人の血統かつ前の世代である直系尊属が第二順位、そして被相続人の兄弟姉妹が第三順位となります。

配偶者を筆頭に、第一順位から順番に優先度が高くなっています。 

たとえば、被相続人に子がいるのであれば、被相続人の配偶者とその子が相続人となります。

また、子がいない場合は、被相続人の配偶者と直系尊属に当たる父母、祖父母が相続できる権利を得ます。

さらに、子と直系尊属両方がいない場合は、被相続人の配偶者と兄弟姉妹にあたる人が相続可能となります。 

遺産の配分は民法によって決められており、配偶者は基本的にどのような場合であっても、最も多く遺産を譲り受ける立場です。

仮に被相続人が遺言書を通じて遺産の配分を指定していない場合、民法の定める基準に従い、以下のように遺産が分配されます。

・配偶者と子が相続人である場合、相続分はそれぞれ2分の1ずつ

・配偶者と直系尊属(父母、祖父母)が相続人である場合、相続分は配偶者が3分の2、直系尊属がのこりの3分の1

・配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合、相続分は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1

・子がおらず配偶者が相続人となる場合、相続分全てを相続

・子と配偶者がおらず、兄弟姉妹が相続人となる場合、相続分全てを相続

・子や配偶者がいない場合に相続人となった直系尊属の相続分全てを相続

・子や配偶者、直系尊属がいない場合は、兄弟姉妹が相続分すべてを相続

この遺産の分配についても後で詳しく述べていきます。

相続については下記記事もご参考ください。
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代襲相続人がいても他の相続人の相続分は変わらない

代襲相続人が受け取れる相続分は、自分が代襲相続人となった分のみとなります。その為、相続人が複数いた場合、代襲相続人以外の相続人が受けとる金額が減るなどということはありません。

代襲相続が発生するケース

それでは、具体的に代襲相続はどのような場合において発生するのでしょうか?

ここからは代襲相続が発生する状況について具体的にご説明していきます。

相続人が被相続人より先に死亡した

前述の通り、相続人が被相続人よりも先に死亡した場合に代襲相続は発生します。

また、相続する権利のある人のことを法定相続人と呼びますが、この法定相続人に該当するのは前被相続人の配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹と民法で決められています。

代襲相続が行われる

この相続人に該当する人が被相続人よりも先に他界してしまった場合、孫やひ孫、甥姪が代わりに相続人となり、代襲相続が行われます。 

たとえば、子供がいない夫婦の夫が死亡すると被相続人の両親が相続人となりますが、ただこの両親がすでに他界している場合には、被相続人の兄弟姉妹が代襲相続人となります。

遺産分配についての話し合いが必要になる

ただし、残された配偶者は遺産分割協議という相続人との遺産分配についての話し合いを行わねばなりません。

もしかすると配偶者にとっては、夫婦で築いてきた大切な財産を兄弟姉妹にも分配しなければならない状況に疑問を感じてしまったり、気がかりなことがあったりするかもしれません。

親族同士の関係性はそれぞれ異なりますが、代襲相続では相続人たちがお互いに繊細な問題に向き合わなければならないため、慎重に進める必要があります。 

相続人が相続欠格者

相続人が欠格者である場合においても、代襲相続が発生します。

欠格者というのは民法891条において規定されている不正な事由がある場合に相続権を失効させることを指します。

相続欠格は相続人が法を犯したりすることで発生します。なお、 

・自分以外の相続人を殺害した、もしくは殺害しようとして処刑された人

・被相続人が殺害されたことを知っていながら告発および告訴をしなかった人

・被相続人の遺言書作成や変更、撤回などの行為を脅迫などによって妨げた人

・被相続人の遺言書を勝手に偽造したり、破棄したりした人

などが相続欠格者の事由として挙げられます。 

一度この相続欠格者になってしまうと相続人としての権利を再び得ることはできません。

遺言書があっても無効となる

たとえば、被相続人がその相続欠格者への相続を遺言として残していたとしても、その遺言書は無効となります。 

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不動産の場合は相続欠落者の証明が必要

ただし、相続欠格者である事実は戸籍には残らないことから、不動産の相続登記を行う場合は相続欠格者と証明されていなければ相続登記が可能です。

よって、事実上、相続の権利を有していることになります。

相続欠格者に相続登記をさせない条件としては、自身が相続欠格者であることを認める書類を相続登記の際に提出することなどが挙げられます。 

不動産相続については下記記事もご参考ください。
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相続人が相続廃除されている

相続廃除とは、被相続人の意向で相続人の相続権を失効させることを指します。

家庭裁判所への申し立てが必要

この相続排除には家庭裁判所への申し立てが必須です。相続廃除できる要件として、「被相続人への重大な侮辱や虐待を行った」、「相続人が被相続人に影響するほどの著しい非行を行った」場合などがあります。

この侮辱や虐待、著しい非行といった要素は価値基準をどこに定めるべきなのかという疑問も残りますが、「相続的協同関係を破壊すること」が一つの基準として定められています。

実際の相続排除の実例

一例として、過去数十年間もの間、相続人である子供が数千万の多額の借金を親に負担させた上に、自宅に押しかける債権者への対応を押しつける行為によって、親へ経済的、精神的ダメージを与えたことにより、相続廃除が認められたケースもあるとのことです。

もう一度簡単にまとめると、相続人が被相続人によって相続排除された場合、相続権が移ることで代襲相続が可能となります。

代襲相続人になれる要件

「親族であれば必ず代襲相続人になれる!」と思っている方もいるかもしれませんが、具体的に代襲相続人になれるポイントを知っている方は多くはないのではないでしょうか?

代襲相続人になるためには家系における自分の立場を理解したりするなど、必要なことがいくつかあります。

ここからは、「どのようにすれば代襲相続人になれるのか?」その要件についてご紹介していきます。 

相続人(子どもか兄弟姉妹)の直系卑属

相続人の直系卑属というのはつまり、血統が直下している血縁関係にあり、さらに自分より後の代の人のことを言います。

一般的に子や孫のことを指します。ちなみに、血統が同じで自分より先の代の人たち(父母や祖父母など)のことを直系尊属と呼びます。直系卑属である子は基本的に配偶者と同様、第一順位の相続人となります。

ただし、この子が何かしらの理由で被相続人よりも早くに他界している場合において、孫にあたる人が生存していれば、その人が被相続人の遺産を相続する代襲相続人になるということです。 

死亡していない

当然と言えば当然ですが、生存していることが代襲相続人になるために重要な項目となります。

たとえば、自分が被相続人の孫、ひ孫である場合や、甥姪に該当する場合は、代襲相続人になる可能性があります。

自身の立場が、孫やひ孫というポジションである状況下で仮に死亡してしまうと、代襲相続権は自分の子、もしくは孫など直系卑属がいれば、その人たちに代襲相続権が移行します。

よって、自分が代襲相続する場合は、死亡していないことが一つの欠かせない条件となります。 

相続欠格、相続廃除者ではない

相続において、相続人は何をしても遺産を相続できるとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、それは誤った理解です。

前述にもある通り、民法では相続欠格と廃除と呼ばれる制度が設けられており、これに該当する相続人は相続の権利を剥奪されてしまうこともあります。

相続欠格とは?

相続人が遺産を譲り受ける上で不正な行為を行った場合、相続の権利が認められなくなることを相続欠格と呼びます。

相続欠格には特別な裁判手続きなどは必要なく、民法で定められている欠格事由に当てはまった場合に、法律上の相続欠格者となり、相続権を強制的にはくだつされてしまうのです。

相続廃除者とは?

相続廃除者はどちらも遺産を相続する権利を剥奪された人のことを指します。 

一方、欠格と似ているものに廃除がありますが、廃除は被相続人の意向を家庭裁判所へと申し出ることで、特定の相続人の相続資格を無効とする制度です。

相続廃除されると遺留分の請求も行えない

相続廃除となれば相続人は、最低限受け取ることが保証されている遺留分の請求もできなくなります。 

このように相続欠格、相続廃除者となってしまうと、たとえ被相続人の親族で相続人であったとしても遺産を相続することは不可能です。

同様に、代襲相続人になることもできません。 

相続放棄していない

相続人が相続の権利を放棄すると代襲相続はできません。

相続放棄した人は、初めからその相続における相続人ではなかったと見なされてしまうためです。

したがって相続人が相続放棄した場合、代襲相続人は元の相続人の代わりに遺産を譲り受けることはできません。 

相続は遺産をもらえる点に意識が向きがちですが、債務も譲渡されることとなります。

相続するかどうか決める期間

状況からきちんと判断をして、遺産を相続するのかしないのかを基本的には3ヶ月以内に決めなければいけないとされています。(熟慮期間) 

単純承認とは?

また、相続をする場合には単純承認と限定承認という2つの手段があります。

単純承認の場合、被相続人の資産と債務全てを相続するシンプルな相続方法で、一方限定承認では、相続財産で債務を清算し、余剰が出た場合はその分を相続するという方法です。

限定承認とは?

なお、限定承認の場合はすべての相続人との合意形成のもと、財産目録という書類を作成したり、それを家庭裁判所へ限定承認の申し出を行わなければならず、制約が多く非常に手間なのでほぼ利用されていないと言われています。

相続放棄とは?

これらに対し、相続放棄は文字の通り、一切の遺産を相続しないことを指しますが、この相続放棄に関しては財産目録の作成は不要ですが、熟慮期間中に家庭裁判所への申し出が必要となってきます。

相続放棄というのは、相続によって生じる権力を完全に消滅させるため、債務の承継から逃れることが可能です。

なお、一部の財産のみに対し相続放棄を行うことはできません。 

注意したいのが、相続放棄にも法律上の相続放棄と事実上の相続放棄の2種類が存在します。

事実上の相続放棄とは?

事実上の相続放棄は、相続人である人が他の相続人に対し、「自分は遺産はいらないため、他の相続人で分配してほしい。」と意思表示することを指します。

この場合は法的には継続して相続人という立場であるため、正式に相続放棄している状況であるとは言えません。 

法律上の相続放棄とは?

一方、法律上の相続放棄は、家庭裁判所への申し出によってきちんと法的にも相続放棄が受理されている状態です。

この場合は、正式に相続人でなくなるため、同時に代襲相続もできなくなります。 

再代襲相続人

代襲相続の権利を有した子や孫が亡くなった場合には、さらに下の代のひ孫などの直系卑属に代襲存続の権利が認められます。

これを再代襲相続と呼びます。前述の通り、代襲相続とは第一順位の相続人である子が、被相続人よりも先に他界していた時に、直下の子が代わりに遺産を相続できる代襲相続人となることを指します。

ただし、その代襲相続人という立場である子が、被相続人よりも先に死亡し、なおかつの子がいる状況であれば、そのひ孫にあたる存在が結果的に被相続人の遺産を相続することとなります。

つまり、代襲のさらに代襲であるため再代襲とも考えられるでしょう。 

再代襲が認められていないケースも

なお、兄弟姉妹が相続人の場合、甥姪に該当する者が代襲相続することは認められていますが、その甥姪の子が再代襲することは禁止されています。

したがって、直系卑属の場合のみ、ある代で代襲相続できなくても再代襲相続によって代襲相続人を新たに立てることが可能なのです。 

被相続人の兄弟姉妹の場合は一代限り

前述にもある通り、代襲相続の権利を有した子や孫が亡くなった場合、そのさらにひ孫などの直系卑属に代襲相続の権利が認められます。

これを再代襲相続と呼びます。

また直系卑属の代襲相続同様に、被相続人の兄弟姉妹が相続権を失い、なおかつ被相続人の子や直系尊属がいない場合は、兄弟姉妹の子である被相続人から見た甥姪が代襲相続人として遺産を相続する権利を得ます。

ただし、ここで注意しなければいけないのは、直系卑属が再代襲尊属できるのに対し、甥姪の子の代まで遡ってしまうと再代襲相続ができないということ。

というのも、日本では血縁関係において、血の濃さが価値とされてきたという背景もあり、甥姪はただでさえ被相続人の血縁から遠い場所にある存在であることから、兄弟姉妹の代襲相続に関しては一代限りと決められているという説もあります。

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代襲相続にならない相続人の種類

ここまで代襲相続に該当する場合について説明してきましたが、ここからは代襲相続人にならない相続人の種類についてご説明します。

まず、親は代襲相続人にはなりません。代襲相続とは既出の通り、相続権のある人の権利を代わりに引き継ぐという意味があります。

民法のもとでは親は第二順位の相続人に該当するため、代襲相続人にはなりえません。 

配偶者

親が代襲相続人となりえない理由と重複しますが、代襲相続とは本来相続するはずだった人の相続権が継承されることを指します。

被相続人の相続関係者には民法の元優先順位が定められていますが、配偶者はその順番からも除外されているのです。

配偶者は被相続人が死亡した場合、いかなる理由があっても相続人となることが決められているため、代襲相続人になることはありえません。 

代襲相続があった場合の財産分割

代襲相続が実際に生じた際の財産の分配にはどのようなルールがあるのでしょうか?

代襲相続の場合の財産分割は、配偶者や子が相続する場合と異なり、相続人の数が多くなることがあるため、財産がどのように配分されるかは遺産分割協議と呼ばれる親族間の会議などで話し合う必要があります。

ここからは、代襲相続において無視することはできない財産分割について基礎的な部分をご説明していきます。 

孫が代襲相続する場合

孫の代襲相続では、状況としては相続権を持っている被相続人の子が、被相続人よりも先に死亡していることが挙げられます。

本来、相続人である子が遺産を相続する場合は、配偶者と1/2ずつ分配されます。代襲相続では子が保持していた相続権を孫へ移行させるため、同様に1/2ずつ分配されるというのが一般的です。

ただし、孫が2人いる場合は1/2を2等分した1/4ずつが、孫が3人いる場合は、1/2を3等分した1/6ずつがそれぞれに等しく分配されます。 

甥・姪が代襲相続する場合

甥や姪による代襲相続では、もともと甥姪の親が受け継ぐ予定だった取り分が分配されます。

たとえば、被相続人と配偶者との間に子がおらず、なおかつ直系存続である父母や祖父母がすでに他界している場合に、兄弟姉妹は配偶者の取り分である3/4を差し引いた1/4分の遺産を譲り受けることができます。

ただし、孫が代襲相続する場合と同様に、甥や姪の数が増えるほど1人あたりの取り分は少なくなります。

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代襲相続と相続放棄について

遺産相続において引き継ぐのは被相続人のプラスの遺産だけではありません。

もし被相続人に借金があった場合は、債務も相続人が継承しなければならないのです。

「負の遺産で多額の借金を背負ってしまった」そのようなことは避けたいものです。

そこで、ここでご紹介したいのが相続放棄という選択肢についてです。代襲相続と相続放棄の密接な関わりについてご説明していきます。 

相続放棄すると代襲相続は発生しない

相続放棄というのはその名の通り、相続人が相続権を自ら手放すことを指し、法的に相続放棄した場合、本来相続人であった人も相続権を失います。

また、もう少し掘り下げてみると、相続放棄した後は、その人ははじめから相続人ではなかったのだという見方をされてしまうのだとか。

よって、元から相続人ではなかった人から引き継ぐことのできる権利はないと判断されるため、相続人が相続放棄したことによって、相続放棄をした人の子や孫、兄弟姉妹が代襲相続をすることは現状では不可能です。

代襲相続による借金相続の可能性

代襲相続で注意したいのが借金などの負の遺産を相続しなければならない可能性があるということです。

マイナスの資産も引き継がなければいけない

遺産相続は預金などのプラスの資産だけではなく、借金などのマイナスの資産も同様に引き継がなければなりません。

>>親の借金を相続しないための方法を完全解説!

したがって、被相続人がプラスの資産を上回るほどのマイナスの資産を残していた場合であっても、基本的には相続人は責任を持ってそれを受け取らねばなりません。

そのため、代襲相続の場合であっても、相続のケース同様に被相続人の残した借金を相続しなければいけない可能性がないとは言えません。 

また、借金を相続しないためには相続放棄の処置を施す必要がありますが、相続放棄を行うと次は別の相続人が相続しなければいけなくなるため、借金の場合は相続人みんなで相続放棄することを推奨します。

親の遺産相続放棄と祖父母の代襲相続

親が遺産相続を放棄した場合に祖父母に相続権が移りますが、これは厳密には代襲相続とは呼びません。

ですが、同じ直系尊属という立場として継承する資格があります。

本来、遺産相続において子の次に相続の優先順位が高いのが直系尊属です。

したがって、相続は父母およびに祖父母のどちらがしてもいいのですが、仮に父母が相続権を持った場合は祖父母には相続権がありません。

ただ、親が何かしらの理由で遺産相続を放棄する場合、次に相続権を得るのは祖父母か曽祖父など、生存している他の直系尊属の人があてはまります。

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確実に財産を残したい場合は生前贈与を行う

確実に財産を残したい相手がいる場合は、生前贈与という方法もあります。生前贈与は、相続税の節税対策としても非常に有効な方法です。

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代襲相続の注意点

ここまで代襲相続についての様々な情報をお届けしてきましたが、代襲相続には注意しなければならないことがいくつかあります。

代襲相続人として遺産を相続する立場になったものの、「こんなはずじゃなかった…」と思うことがないように、いざという時のためにも頭に入れておいておくとよいでしょう。 

遺留分がないケース

遺留分とは?

遺留分とは、被相続人が相続人に対して最低限残さなければならないとされている財産の分け前のことを指します。

仮に被相続人が遺言書である特定の相続人に対して相続をしないと記載していたとしても、相続人にまったく財産を譲渡しないということができない制度です。

ただし、人によっては遺留分自体がない場合があります。

したがって、仮に代襲相続人になったとしても、遺産として譲渡できるようなもの自体が存在しないこともあります。 

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集める戸籍謄本類が増える

代襲相続とは相続権が委譲されることですが、枝分かれした家系の中で代襲相続をするとなると、該当する相続人の人数が多くても不思議ではありません。

また、代襲相続の手続きを行う際には、代襲相続人全員分の戸籍が必要となります。

これは戸籍謄本でも戸籍全部事項証明書などを提出する必要があるのですが、たくさんの人から何かを集めなければならないというのは想像以上に手間がかかり面倒であるので、注意が必要です。

法定相続人が増えて相続税控除額にメリットがある

相続には相続税という税金がかかります。相続税は遺産の金額によって決定しますが、相続人の人数によっても変動します。

さらに、相続税は累進課税であるため、財産の金額が大きくなればなるほど税金も増加していきます。

元々相続税は富裕層の富の集中を抑制するために設けられたとも言われています。 

相続税控除額とは?

なお、財産の金額がある一定の金額であれば税金がかからないラインがあり、これを相続税控除額と言います。

この控除額を求めるには、

「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」

といった数式でわかります。

数式を見ても分かる通り、法定相続人が増えるとこの相続控除額が大きくなっていきます。 

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代襲相続についてのまとめ

「代襲相続」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。

【代襲相続とは?】
●相続人の子や孫、甥姪などが親や叔父叔母の代わりに相続する制度のこと

【法律上の相続人の範囲と順位】
●被相続人から見た、配偶者、子、直系尊属(父母、祖父母)、兄弟姉妹が該当する
●配偶者は必ず相続人となる。その後、子供が第一順位、被相続人の血統かつ前の世代である直系尊属が第二順位、そして被相続人の兄弟姉妹が第三順位となります。

【代襲相続が発生するケース】
●相続人が被相続人より先に死亡した
●相続人が相続欠格者
 -相続欠格者とは相続人を殺害しようとするなどした場合に権利の権利を失う
●相続人が相続廃除されている
 -被相続人に虐待を行うなどし、家庭裁判所への申し立てして認められた場合

【相続放棄した場合の代襲相続】
相続人が相続放棄すると、相続放棄をした人の子や孫、兄弟姉妹が代襲相続をすることはできない

【代襲相続の注意点】
●代襲相続人になっても被相続人に財産が無い場合がある
●代襲相続の手続きを行うには代襲相続人全員分の戸籍が必要となる

代襲相続についてまとめてきましたがいかがでしたでしょうか?日本では血のつながりというものが古くから大切にされてきたこともあり、代襲相続の仕組みにも血縁というものが色濃く反映されています。

また、最近の日本では単身世帯や子供を持たない夫婦も増加してきていることもあり、代襲相続という言葉が珍しくなくなってきました。

代襲相続の仕組み自体はそこまで複雑ではありませんが、家族の形は人それぞれです。

よって話し合いなどで頭を悩ませてしまうこともきっとあると思います。

いざというときのためにも自分が代襲相続人や身近な関係者となった場合に起こる影響など、あらかじめシュミレーションできているとよいでしょう。

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【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

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