遺体を安置できるのは3日?期間と場所や方法・費用まで疑問を全解説
「ご遺体をどのように保管するのか知らないし、長く置いておいても大丈夫なのかな……?」
故人との突然のお別れは、とてもつらいものです。
できるだけ長く、故人との別れを惜しむ時間を取りたくなるのが人情でしょう。
結論をいえば、遺体の安置期間は3日程度となるのが一般的です。また、安置できる期間は最短で24時間、最長でも50日程度となります。
とはいっても、
「安置期間が延びるとどうなるのか?」
「遺体をどうやって保管するのか?傷みは出ないのか?」
「費用はどのくらいかかるのか?」
など、不安や心配事が次々と出てくることも懸念されます。
そこで、本記事では、遺体を安置する期間や場所、かかる費用について詳しく説明します。
安置方法についての知識をあらかじめ得ておけば、いざ葬儀となった場合でも冷静な対処が可能です。
「故人をきれいな姿で送れるように、遺体の安置期間や方法についてあらかじめ知っておきたい」とお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
遺体の安置期間は3日以内が一般的
遺体の安置期間は、24時間以上3日程度が一般的です。しかしながらさまざまな状況により、その期間は変化します。
遺体安置の期間
遺体を安置する期間は最短で24時間となり、これよりも短くすることはできません。
24時間以内だと蘇生の可能性があるため、「墓地、埋火葬に関する法律」によって「逝去から24時間経過するまで火葬してはならない」と定められているためです。
通夜・葬儀を実施する場合は火葬まで約3日、早くても2日はかかるため、遺体の安置期間は平均で逝去後3日程度となります。
安置期間が延びるケース
ただし、下記のような理由で安置日数が延びるケースがあります。
安置期間が長くなれば、その期間分の施設利用料や保冷の費用がかかります。
安置する環境にもよりますが、1週間程度は保冷によって遺体の保管は可能です。
普通に葬儀を執り行った場合であれば、これ以上火葬を待たされるケースはめったにありません。
エンバーミングで長期安置が可能
何らかの理由で火葬まで1週間以上かかる場合、「エンバーミング」という処理をすれば長期の安置ができるようになります。
エンバーミングとは遺体に殺菌や防腐の処理をし、保冷せずきれいな状態で保存できるようにする技術で、理論上は永久に遺体を安置できます。
しかし日本遺体衛生保全協会では「遺体の安置は50日以内」という基準があるため、50日以内に火葬するのが通例です。
遺体の安置期間は遺族の希望で決められますが、長くなればなるほどかかる費用が増えるのは頭に入れておきましょう。
遺体安置の流れ
個人が逝去後に、遺体を安置するまでの一連の流れは下記の通りです。
1.死亡診断書の発行
2.遺体の安置場所の決定
3.遺体の搬送、安置
1.死亡診断書の発行
病院や介護施設で逝去された場合、医師によって死亡確認がされ、死亡診断書が発行されます。
自宅で逝去された場合は、かかりつけの医師がいる場合は医師へ連絡します。かかりつけ医のいない場合、明らかに亡くなっていると判断できる場合は警察への連絡が必要です。
事件性を疑われないように遺体に触れずに到着を待ち、医師や警察の判断のもとで死亡診断書や死体検案書を作成してもらいます。
警察によって詳しく検死(死因特定のための検査や解剖)が必要と判断された場合は警察へ引き取られ、検死終了後に遺体の引き渡しがされます。
引き渡しまでの期間は、2日程度から数か月と状況によって大きく変わるのが特徴です。
2.遺体の安置場所の決定
遺体の引き渡しの前に、遺族で話し合って遺体の安置場所を決めます。
病院で亡くなった場合、エンゼルケア(遺体の処置や着替え、死化粧など)が施されればすぐに移送するのが前提となります。
そのため病室や霊安室の利用時間は3時間から長くても半日程度となり、時間的な余裕はあまりありません。
時間がなくてもあわてず、どうすればよいかわからなければ落ち着いて病院か葬儀社に相談するのが賢明です。
警察での検死などで遺体の引き渡しまでに時間のある場合、検死を待っている間に安置場所を決めておくとよいでしょう。
エンゼルケアの具体的な流れや方法は下記記事でもご紹介しています。
・エンゼルケアとは?聞いたことはあっても詳しくは知らないエンゼルケアについてその目的や内容を徹底解説!
3.遺体の搬送、安置
安置場所が決まれば、遺体を搬送し安置します。
自宅で亡くなってそのまま自宅で安置する場合は、移送は必要ありません。
病院などから自宅へ搬送する場合は、安置場所の確保や搬入搬出経路の確認など、事前準備が必要となります。
葬儀社の安置室や遺体保管業者を利用する場合は、受け入れ準備は先方で対応してもらえます。
遺体の搬送については、専門の業者である葬儀社などに依頼するのが望ましい方法です。
自家用車で搬送するのも、とくに法律違反とはならず可能ではあります。
しかしながら体液の流出など衛生面の問題や、遺体の損傷など取り扱いのリスクが大きく、現実的ではありません。
よほどの理由がない限りは、搬送は葬儀社に依頼しましょう。
遺体を安置する場所と特徴
遺体の安置場所としては、大きくは次の3つとなります。
・自宅
・斎場や葬儀社の安置室
・民間業者の遺体保管場所
それぞれの特徴について、順に説明します。
自宅
自宅の仏間などに布団を敷き、安置する方法です。
自宅で最期のお別れができるのは、故人や遺族にとって希望に叶う選択肢となるでしょう。
メリット |
デメリット |
・故人とのお別れの時間をゆっくりと確保できる
・利用料などが必要なく、費用面では安くなる
|
・マンションなどスペース的に遺体の搬入搬出のできないケースがある
・遺体の管理や面会は基本的に遺族が対応するので、体力的な負担が大きい
・部屋の確保と空調設備が必要となる
・弔問客による近隣住民への迷惑を考える必要がある
|
遺体の管理方法や手順がわからない場合は、自宅安置でも葬儀社に相談すれば援助してもらえます。
斎場や葬儀社の安置室
以前は自宅で安置する方が多かったのですが、近年では斎場や葬儀社の安置室を利用する方が増えています。
場所の確保や搬送の問題など自宅での安置が難しい場合、斎場や葬儀社の安置室を使えば管理面や対応面で安心です。
メリット |
デメリット |
・遺体の管理と面会対応をしてもらえるため、遺族の体力的負担が減らせる
・場所の確保や空調設備の準備がいらない ・通夜や葬儀の際に搬送する必要がない
|
・面会や弔問の時間が決められている
・長期間安置すれば施設の利用料が増える
・宿泊設備が整っていなければ遺族の付き添いが難しい
|
民間業者の遺体保管場所
遺体の安置に特化した、民間業者が運営する遺体保管場所という施設も近年増えてきました。
一時的な保管で利用するなど、さまざまな利用方法に対応しています。
メリット |
デメリット |
・場所の確保や管理が必要ない
・面会時間に制限のない施設が多く故人との別れをゆっくり取れる
|
・施設数が少なく自宅から遠くなる可能性がある
・葬儀の設備がなく別途葬儀場への搬送が必要となる ・長期間安置すれば費用が増える
|
それぞれの安置場所のメリットとデメリットをよく比較検討し、故人と遺族の希望に沿った安置場所を決めるのが大切です。
遺体の安置費用の内訳
遺体を安置するためには、下記費用が必要です。
・遺体搬送費用
・施設利用料
・保冷のための費用
・付き添い費用
・エンバーミングの費用
遺体搬送費用
病院などの遺体の引き渡し場所から、安置場所への搬送費用です。おおよその目安としては、10kmで2万円程度となります。
安置場所によって金額の増減はなく、距離によって費用が決まります。
施設利用料
安置する施設を利用するための費用は、場所によって値段が上下します。
おおよその目安としては葬儀社の安置室で1日1万円から3万円、遺体保管場所で1万円程度となります。
自宅で安置する場合、費用はかかりません。
保冷のための費用
遺体の傷みや腐敗を抑えるため、ドライアイスなどで保冷する必要があります。
費用は自宅や葬儀社の安置所では1日1万円から3万円程度、気温が高くなれば保冷剤が多く必要となるためそのぶん高額となります。
遺体保管場所では保冷費用が少し安くなる傾向があり、1日7,000円から1万円くらいが目安です。
付き添い費用
遺体に問題がおきていないか確認するためにかかる費用で、施設によって1日5,000円から5万円と差があるのが特徴です。
この費用も遺体保管場所の方が少し安くなる傾向が見られます。
自宅で安置する場合、遺族が付き添うため費用はかかりません。
エンバーミングの費用
エンバーミング処理をする場合は、別途費用がかかります。
費用は遺体の状態により15万円から25万円程度、これにエンバーミングをする施設までの搬送費が別途必要です。
エンバーミングを施した遺体は保冷の必要がないため、保冷のための費用がかからなくなります。
エンバーミングの役割やメリット・デメリットは「エンバーミングとは?聞き馴染みのないエンバーミングについてその役割や方法、長所短所まで徹底解説!」の記事もご参考ください。
安置場所によってかかる費用を、一覧表にしました。
|
自宅 |
斎場・葬儀社の 安置室 |
民間業者の 遺体保管場所 |
遺体搬送費用 (10km) |
2万円 |
2万円 |
2万円 |
施設利用料 (日) |
0円 |
1~3万円 |
1万円程度 |
保冷のための費用(日) |
1~3万円 |
1~3万円 |
7,000円~1万円 |
付き添い費用 (日) |
0円 |
5万円程度 |
5,000円~3万円 |
あくまで目安ですので、すべてがこの金額内でおさまるとは限りません。
地方や施設によっても金額が変わりますので、不明点などがあれば葬儀社に確認してみましょう。
安置費用を抑える方法
できるだけ安置費用を抑えるためには、下記の方法があります。
・自宅で安置する
・複数の葬儀社から見積もりを取る
・火葬式(直葬)にする
1.自宅で安置する
自宅で安置すると施設の使用料や付き添い費用がかからないため、結果的に安くあげられるケースが多くなります。
安置場所の確保、空調設備、搬入搬出の可否、遺族の負担など確認すべき点はいくつかありますが、すべてクリアできれば安くするためには一番よい方法です。
2.複数の葬儀社から見積もりを取る
費用を抑えるには、複数の葬儀社の見積もりを比較するのもよい方法です。
何社かの見積もりを比較することで、費用と内容について納得できる業者を選択できます。
時間的な余裕がない場合は難しいのですが、事前に準備する時間があればできるだけ複数社から見積もりを取って検討しましょう。
特に安置日数や搬送距離は、プラン内の既定を超えると追加料金となるため、平均安置日数の4日以上の葬儀社を選ぶなど注意が必要です。
●各葬儀社の家族葬の比較表(2024年5月現在)
3.火葬式(直葬)にする
火葬式(直葬)とは、通夜や葬儀をせずに火葬のみを実施する葬儀方法です。
通夜や葬儀がないため施設の利用料や安置期間が短くなり、葬儀全体の費用も抑えられます。
お別れの時間が取れないので、周囲からの反感を招く可能性があるのが大きなデメリットです。
いずれの場合も、ただ安く抑えたいために個人や遺族の意思がないがしろにされてしまうとゆくゆく問題となります。
周囲の意見も参考にしながら、無理のない範囲で考えるのが賢明といえるでしょう。
直葬の費用や流れについては、下記記事もご参考ください。
・直葬の費用相場は20万円!安く抑える為の7つのポイントと注意点
・直葬とは?流れ・費用・マナー・選ばれる理由を完全解説!
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まとめ
遺体の安置期間は平均で3日程度、最短で24時間、長くとも50日程度で火葬となります。
保冷で安置できるのは約1週間、それ以上置いておくにはエンバーミング処理をすれば可能です。
安置に必要な費用は下記のとおりです。
|
自宅 |
斎場・葬儀社の 安置室 |
民間業者の 遺体保管場所 |
遺体搬送費用 (10km) |
2万円 |
2万円 |
2万円 |
施設利用料 (日) |
0円 |
1~3万円 |
1万円程度 |
保冷のための費用(日) |
1~3万円 |
1~3万円 |
7,000円~1万円 |
付き添い費用 (日) |
0円 |
5万円程度 |
5,000円~3万円 |
故人とのお別れはつらく、名残惜しいのはよく理解できます。
だからといって遺体を長く安置するには、その分費用がかかるのを忘れてはいけません。
故人をきれいな状態で送ってあげるにはどのような方法を取ればよいか、費用面も考えて遺族でよく話し合って決めるのが賢明といえるでしょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
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