よく見かけるご芳名とは？今さら聞けないご芳名の使い方や消し方を完全解説！
皆さんは「ご芳名」という言葉を聞いたことはありますか？
冠婚葬祭でよく見かけるこの言葉ですが、なんとなく「名」がついているので名前なのかなと想像はできるものの、正しい意味や使い方を理解しているかと問われると、自信のない人が多いはずです。今回は、よく聞くけれど詳しくは知らない、「ご芳名」について解説します。
ご芳名（ごほうめい）とは？
ご芳名という言葉を聞いたことはありますか。招待状や丁寧な書類などによく使われているので、一度ぐらいは見たことがあるかもしれません。今回はそんな冠婚葬祭などでよく使われる「ご芳名」について、その意味や読み方、使い方を解説していきます。
ご芳名の意味
ご芳名とは、読んで字の如く「名前」のことです。なかには「名前」でいいのでは、と思われる方もいらっしゃると思いますが、「ご芳名」はただの名前ではなく、名前の敬語、敬称表現となっています。そのため、改まった場である冠婚葬祭でよく使われるのです。
また、敬語は敬語でもただの敬語ではありません。相手を尊敬する場合に使われる尊敬語なのです。ですから、この言葉は、自分自身に対して使うことはできない言葉なのです。もし間違えて使ってしまうと、恥ずかしい思いをする可能性もあるため、普段から使い方には十分に気をつけましょう。
ご芳名の読み方
ご芳名の正しい読み方は「ごほうめい」です。「ごほうみょう」では無いので注意しましょう。ちなみに、「芳名」とは昔は「良い風評」のことを指していたようです。
また、パソコンなどで変換する際は「法名」になっていないか十分に注意しましょう。ちなみに法名は人が仏の弟子になった際につけられる名前のことで、仏教用語となっています。
招待状などでの「ご芳名」の消し方
さて、ここからは「ご芳名の正しい消し方」について解説していきます。なかには、「ご芳名を消すとはどういうこと？」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご芳名は冠婚葬祭の招待状などに記載される事が多く、この場合ご芳名を消すことが作法となっているのです。招待状に記載のあるご芳名の字を消し忘れてしまうと、招待者から常識のない人だと思われてしまう可能性もあるため、そういったものを送り返す際はかならず確認するようにしましょう。
なぜご芳名を消す必要があるのか？
冠婚葬祭などの案内状が届いた場合、ご芳名の字は消すことが作法となっています。そもそもご芳名は、相手の名前を指し示す尊敬語となっています。ゆえに、自分自身に対して使うことは間違っています。ですから、ご芳名の字は消してから送り返すといったことは作法として定着したのです。
日本語の本来の使い方に沿った作法ですので、一度理解し覚えてしまえば、定着しやすい作法なのではないかと思います。
ご芳名の消し方
続いては、具体的なご芳名の消し方についてご紹介します。人生に幾度となく訪れる冠婚葬祭の作法ですので、早めにしっかりと覚えてしまうようにしましょう。
【ご芳名を消す場合】
●尊敬語となる「ご＋芳」を消す
●「名」のみを残し、必ず丁寧に二重線で消す
この時バツ印で消したり、ぐちゃぐちゃに消したりすることは無いようにしましょう。この２つは常識的に考えて普通のことでは無いかと思いますが、一重線で消すこともやめるようにしましょう。一重線では受け取り手が見づらく、勘違いに発展する可能性もあります。またスラッシュを入れて1字ずつ消していくことも見栄えが悪く、せっかく頂いた招待状が汚くなってしまうのでやめましょう。
ご芳名の書き方や使い方
ご芳名という言葉は、冠婚葬祭を初め、改まった場で幅広く使われます。ここからは、ビジネスで用いる場合、結婚式で用いる場合、葬儀で用いる場合に分けて、それぞれの使われ方をご紹介します。
ビジネスで用いる場合
まず、ビジネスシーンでの使い方です。ビジネスで使う場合は、「ご芳名」や「御名前」など、単に丁寧な表現として使われます。一般的には、「ご芳名」と書かれた文書を受け取った場合、特に必要な作業はありません。しかし、もし返信する書類に「ご芳名」とあった場合には注意が必要です。ご芳名は相手を尊敬する場合に使う言葉ですので、ご芳名を消す作業が必要になります。
例えば、文章中で「ご芳名」と使われている場合は、そのまま「名前」という意味で読み進めていけば問題ありません。しかし、社内・社外資料に限らず出席票や参加票など、相手に送り返す場合は必ず消す作業をするようにしましょう。
結婚式で用いる場合
結婚式の招待状で用いる場合は、送る側と受け取る側で２種類の対応があります。
送る側
まず、送る側ですが、送る招待状に相手の名前を書く欄がある場合は、「名前」ではなく「ご芳名」と書くようにしましょう。
受け取る側
一方で受け取る側の場合は、ご芳名を消す必要があります。また、結婚式の招待状の場合、ご芳名の前後で住所を書く欄があります。その場合は、「ご住所」となっている「ご」を消す必要があるので注意しましょう。
さらに、「ご出席・ご欠席」となっている場合も同様に「ご」を消す必要があります。また、返信用の封筒などに予め自分の名前が「〇〇様」とある場合は「様」を消しましょう。
【ご芳名を消す方法】※実際は二重線で消す
●ご芳名
→ご芳名
●ご住所
→ご住所
●ご出席・ご欠席
→ご出席・ご欠席
●〇〇様
→〇〇様
葬儀で用いる場合
最後に葬儀で用いる場合です。葬儀の際によく聞く使い方は「芳名帳」になります。芳名帳とは、葬儀への出席者が自らの名前を書き、出席の記録を残す帳簿のことです。この場合は、特に何もする必要はありません。しかし、葬儀への招待状に返事をする場合は、ご芳名を消す必要があるため注意が必要です。芳名帳は別名、芳名録とも呼ばれます。
葬儀についての知識は「今更聞けない葬儀・告別式のマナーと費用を地域別に徹底解説！」「仏式葬儀とは？一般的なマナーや葬儀の流れについて徹底解説」もご参考ください。
ご芳名を消す際の注意点
さて、ここまでご芳名の消し方などをご紹介してきました。ここからは、ご芳名を実際に消す際の注意点を解説します。せっかく作法を守ってご芳名の字を消しても、次で解説する注意点が守られていないとマナー違反となりますので注意しましょう。
修正ペンなどを使用して修正してはいけない
よくありがちな間違いとして丁寧に「修正ペンで消す」というものがあります。また、ご芳名の消し方を間違った際に修正ペンで消す方もいらっしゃいますが、こちらも汚く汚れるだけですのでやめましょう。
招待状などは、相手が丁寧に送ってくれた正式な書類となります。こうしたものに修正ペンを入れることは大変失礼になるため絶対に行わないようにしましょう。また、こうした修正ペンを使用せずに、きちんと二重線で消すといった作法は、ご芳名を消す際以外にも、一般的に言えることですので、普段から十分に注意しておくと良いかもしれません。
二重線で消すときは定規を使う
また、二重線で消す際も、フリーハンドで二重線を引くのではなく、しっかり定規などの道具を使って丁寧に、真っ直ぐな線を引くようにしましょう。人生において冠婚葬祭は幾度となく訪れますが、開く本人にとっては人生に1度程度の大きな行事です。相手の心情にもしっかりと気を配りながら、丁寧な返事を心がけるようにしましょう。
間違えたときは、「きれいに分かりやすく」訂正する
もしも間違えてしまった場合は、下手にごまかそうとせずに、「きれいにわかりやすく」訂正しましょう。ミスは誰にでもあるものです。そのミスをごまかそうとせずに、相手にしっかりと訂正したことが伝わるように丁寧にわかりやすく訂正することが作法となります。
またここで、訂正箇所のペンを変えるなどはする必要はありません。あくまで自然にわかりやすく訂正することを心がけましょう。
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ご芳名についてのまとめ
今回は、冠婚葬祭などでよく耳にする「ご芳名」ついて、その意味や消し方、使い方や注意点などを解説しました。
「ご芳名」について重要となるポイントを下記にまとめました。
【ご芳名とは？】
●名前の敬語、敬称表現
●改まった場である冠婚葬祭でよく使われる名前
【ご芳名を消す方法】
※実際は二重線で消す
●ご芳名
→ご芳名
●ご住所
→ご住所
●ご出席・ご欠席
→ご出席・ご欠席
●〇〇様
→〇〇様
【ご芳名を消す際の注意点】
●修正ペンで消さない
●消すときは定規を使う
●間違えたときは「きれいに分かりやすく」修正する
ご芳名はあくまで相手を尊敬する際に使う尊敬語であることを念頭に置けば、自然と消す場合・消さない場合などもわかってくるはずです。また、ご芳名を使う招待状を出すような行事は、その主催者にとって大きな特別な意味を持つものであることがほとんどです。
招待者が気持ちよく迎えてくださるように、また、準備していただけるように、なるべく丁寧にご芳名を消すようにできると良いでしょう。加えて、間違えは誰にでもあるものです。ですからミスした際も下手にごまかそうとせずに、素直に間違えた場所を自然に訂正するように注意しましょう。そうすれば、受け取り手も不快な思いをせずに、お互い気持ちよく過ごすことができるでしょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- １９７７年生まれ
- 出生地：東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書：初めての喪主マニュアル（Amazonランキング２位獲得）
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