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「相続財産」と「みなし相続財産」の違い!具体例と5つの注意を紹介

「うちは相続する財産がそんなにないから、相続トラブルや税申告で困る事はなさそう」

そう思っている方はいませんか。実は故人が所有していた財産以外にも、「故人が亡くなったことで受け取る財産」も相続税申告の対象になるんです。

死亡保険金や死亡退職金をはじめとするこれら「故人が亡くなったことで受け取る財産」は、「みなし相続財産」と呼ばれます。

遺族にとってはとても貴重な財産ですが、相続時の扱いには注意が必要です。なぜなら、「みなし相続財産」には預貯金や不動産といった通常の相続財産とは扱いの異なる点があるためです。

例えば、「みなし相続財産」は基本的に遺産相続や遺留分算定に含まれません。その点を考慮に入れないと、死亡保険金を受け取った上に通常の財産の相続まで求められるなどトラブルの種になってしまうのです。

今回は「みなし相続財産」の説明から具体例、「みなし相続財産」があった場合の5つの注意点までご紹介します。

本記事を読めば、「みなし相続財産」の事を理解した上で、トラブル回避や正しい申告への対応をとることができます。

財産の多少にかかわらず発生する話ですので、ぜひ最後までお読みください。

みなし相続財産とは「被相続人が亡くなることで受け取る財産」

みなし相続財産とは、「被相続人が亡くなることで受け取る財産」の事です。

現金や預貯金、不動産といった通常の相続財産のように民法で定められているわけではないものの、相続税法上では相続財産と「みなして」扱われているため「みなし相続財産」という訳です。

「みなし相続財産」の扱いがある理由は、課税の公平性を保つためです。

例えば同じ1,000万円にしても、現金1,000万円だと相続財産として相続税がかかるが、死亡保険金1,000万円なら相続税がかからないとなったらどうでしょうか。

「ならば、すべての財産を生命保険金にかえて遺そう」と考えて実行する人も出てくることでしょう。

それを防ぐために、相続や遺贈とは異なってもそれと同様の経済効果をもたらす財産については、「相続があった」とみなして相続税を課税しているわけです。

みなし相続財産の具体例

みなし相続財産としては、次のようなものがあります。

みなし相続財産の具体例
・死亡保険金
・死亡退職金(弔慰金や花輪代、葬祭料が含まれる場合もある)
その他

・定期金

・保険の解約返戻金や満期保険金

・債務の免除分(借金の返済が無くなった場合など)

・特別縁故者への分与財産(故人に対し、献身的な介護をした人へ遺産を遺す場合)

・公共法人等から受ける利益

・信託受益権(不動産などの資産から得た利益)

死亡保険金

「死亡保険金」とは、保険に加入していた被相続人が亡くなったことで相続人らに支払われる生命保険金の事です。

保険金は被相続人が元々持っていた財産ではないため、民法上の相続財産とはなりません。

だからといって事前に財産を保険契約に替えて課税を逃れる行為が許されては、課税の公平性が保たれません。

そのため、死亡保険金も「みなし相続財産」として課税対象となっているのです。

なお、死亡保険金については一定の額までは非課税枠として税金がかかりません。また、保険を掛けられていた被保険者、保険料の負担者、保険金の受取人がそれぞれ誰かによって、課せられる税が変わります

詳しくは、この後の「みなし相続財産の5つの注意点」でご紹介しますので、そちらをご覧ください。

死亡退職金

「死亡退職金」とは、被相続人が生前に勤めていた会社から支払われる退職金のことを言います。課税対象となるのは、その中でも被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものです。

この死亡退職金にも非課税枠が設けられていますので、「みなし相続財産の5つの注意点」でご確認ください。

なお、被相続人が在籍した企業から支払われる弔慰金や花輪代、葬祭料といった名目の金銭も、一定の要件を満たすと死亡退職金として扱われます

その他

その他の例としては、次のようなものがあります。

・被相続人の死亡によって受け取る権利が移った、年金や保険金などの定期金

・被相続人が保険料を負担していた保険の解約返戻金や満期保険金

・遺言により被相続人への債務が免除された場合の免除金額

など

みなし相続財産の5つの注意点

みなし相続財産には通常の相続財産と異なる点があり、相続をする際には注意が必要です。

注意が必要な点としては、原則論から具体例、またそれぞれで当てはまるケースが多い順に次の5つがあります。

みなし相続財産の5つの注意点
1.基本的に遺産分割の「対象外」
2.原則として遺留分算定の「対象外」
3.相続放棄をしても受け取れるが課税もされる
4.死亡保険金と死亡退職金には非課税枠がある
5.保険の契約内容によって死亡保険金への課税が変わる

それぞれについてご説明しましょう。

基本的に遺産分割の「対象外」

注意点の一つ目は、みなし相続財産は基本的に遺産分割の対象外であるという事です。

これは、死亡保険金をはじめとするほとんどの場合で受取人が指定されているみなし相続財産は、受取人固有の財産と考えられているためです。

「受取人が指定されているならあくまでも受取人のものであって、引き取り手が決まっていない遺産の分け方を考えるのとは話が違う」という訳ですね。

原則として遺留分算定の「対象外」

また、みなし相続財産は原則として遺留分算定の対象外となっています。

これも、「みなし相続財産は受取人固有の財産」という考え方によるためです。

ただし、財産の受取人となった相続人とほかの相続人との間に著しい不公平が生じた場合は、遺留分の対象になる場合もあるため注意が必要です

例えば、預貯金など通常の相続財産はほとんどなかったにも関らず、保険金の受取人となっていた相続人だけ多額の保険金が手に入ったといった場合などは、みなし相続財産も遺留分の対象となると考えられています。

相続放棄をしても受け取れるが課税もされる

みなし相続財産は、相続放棄をしても受け取ることができます

みなし相続財産は民法上の相続財産ではない事がその理由で、受取人になっていれば財産を受け取ることは可能です。

とは言え、同時に受取額に見合った相続税も課されます参考までに、取得した遺産の金額ごとに課せられる相続税の税率をご紹介しましょう。

取得した遺産の金額 税率
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15%
5,000万円以下 20%
1億円以下 30%
2億円以下 40%
3億円以下 45%
6億円以下 50%
6億円超 55%

死亡保険金と死亡退職金には非課税枠がある

死亡保険金と死亡退職金には、一定額まで税金が課されない非課税枠があります。非課税となるのは、死亡保険金・死亡退職金とも次の金額です。

死亡保険金・死亡退職金の非課税枠
500万円×法定相続人の数

例えば父が亡くなって、相続人は母と子の2人。子が1000万円の死亡保険金受取人となっている場合。

非課税枠は「500万円×2人(母・子)=1,000万円」となり、保険金に課税される金額は0円です。また、もし受取金額が非課税額を超えている場合は、超えた分のみが相続税の課税対象となります。

ただし、相続放棄をした人が受取人となっている場合、非課税枠の対象になりません

先ほどの例を使えば、受取人の子が相続放棄をしていた場合、受取金の1,000万円全額が相続税の対象となってしまいます。

保険の契約内容や実態によって死亡保険金への課税が変わる

死亡保険金に関しては、保険の契約内容や実態によって課される税が変わる事も注意点です。

父・母・子の3人家族の父が亡くなったケースを例としましょう。

保険料の負担者が被保険者の夫以外であれば「相続財産」とはみなされず、相続税は課せられませんその代わり、金銭の移転が行われているとみなされ、所得税や贈与税などが課税されます。

考えられるパターンを、下記の表にまとめました。

(例)父・母・子の3人家族の父が亡くなったケース

被保険者 保険料の負担者 保険金の受取人 課される税
夫(被相続人) 夫(被相続人) 相続税
夫(被相続人) 所得税
夫(被相続人) 贈与税(妻から子への分として)

例えば、保険料の負担者が夫で受取人が妻の場合は、夫の財産を相続したとみなされ相続税が課せられます。

一方、妻が保険料を負担し受取人も妻自身である場合は、妻に所得税が。妻が保険料を負担し受取人が子である場合は、妻から子への贈与とみなされ子に贈与税が、それぞれ課せられるのです。

不明点は「税理士」に相談を!

「みなし相続財産」に関しては、通常の相続財産と違う点がある事で申告額の計算が複雑になる上、そもそもどの財産を「みなし相続財産」とするか判断が難しいケースがあります。

よくわからない場合は一人で悩まず、専門家である税理士にご相談ください。相談料は30分で5,000円?が相場ですが、初回相談は無料で行っている事務所も多いです。

また、税理士のツテがない人は、『やさしい相続』で24時間365日無料相談を承っています。電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。しつこい勧誘等も行いません。

まとめ

今回は「みなし相続財産」について、具体例から注意点までご紹介してきました。改めてまとめます。

・みなし相続財産とは、「被相続人が亡くなることで受け取る財産」の事

・みなし相続財産の代表例としては死亡保険金と死亡退職金がある

・またその他に、

・被相続人の死亡によって受け取る権利が移った、年金や保険金などの定期金

・被相続人が保険料を負担していた保険の解約返戻金や満期保険金

・遺言により被相続人への債務が免除された場合の免除金額

などもある

・みなし相続財産には、通常の相続財産と異なる点があり、相続時には次の5つの注意点がある。

みなし相続財産の5つの注意点
基本的に遺産分割の対象外
原則として遺留分算定の対象外
相続放棄をしても受け取れるが課税もされる
死亡保険金と死亡退職金には非課税枠がある
保険の契約内容によって死亡保険金への課税が変わる

・「みなし相続財産」に関して不明点があった場合は、専門家である税理士に相談するのが賢明。

ご自身が「みなし相続財産」を相続する立場になった際は、ぜひ今回の記事を参考になさってください。

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【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
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1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。