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お盆(盂蘭盆会)とは?期間・意味・マナーを完全解説!

Jun 10 2020

お盆は夏の行事として馴染みある言葉ですが、その由来は「盂蘭盆(うらぼん)」からきていると言われます。本記事ではお盆(盂蘭盆会)の意味や、いつから行うかの期間や各地域の風習の違いなどについて解説します。

小さい頃に「うらぼん」と聞いて、「裏盆」と勘違いしていたなどということはありませんか?

お盆は夏の行事として、また長期休暇が取れる時期として現在の日本では馴染みある言葉ですが、その由来は「盂蘭盆(うらぼん)」からきていると言われます。

この盂蘭盆が現在「お盆」といわれている仏事となりました。今回はこのお盆(盂蘭盆会)の意味や、その期間、各地域の風習の違いなどを解説します。

お盆とは?

お盆とは、そもそもどのような意味があるのでしょうか?意味や歴史について解説します。 

お盆とは?

お盆というのは、亡くなった方の霊魂が浄土のあの世から、現世のこの世に戻られるという期間のことです。

盂蘭盆会が正式名称

正式名称では、盂蘭盆会(うらぼんえ)といいます。

このお盆の時期は、故人となった家族・先祖たちの精霊を自宅に迎え入れ一緒に過ごす期間とされます。ご先祖様に気持ちを向け感謝するという目的もあります。 

盂蘭盆会とは?

盂蘭盆会(うらぼんえ)というのは、月の満ち欠けをもとにした暦である太陰暦の7月15日を中心に7月13日から16日の、4日間おこなわれる仏教行事が始まりとされます。

また、盂蘭盆会はお釈迦様の弟子が神通力を使って見たあの世で、母が飢餓の世界にいて苦しんでいると知り、救いたい一心でお釈迦様の教えに従い、修行し徳を積むことで母を救ったという説話が由来でもあります。 

盂蘭盆会の意味

盂蘭盆会は古代のインド語の「ウランバナ」が語源と言われます。

ウランバナは「逆さにかかる」や「逆さ吊り」という意味であり、それを漢字に置き換え表記したものだそうです。

盂蘭盆会は、逆さ吊りになる死者の苦しみを解放するとの意味もあり、現在ではご先祖様の供養を行うお盆として日本の仏教行事となっています。

お盆(盂蘭盆会)の歴史

お盆(盂蘭盆会)の歴史は、推古天皇が行ったものだったとされますが、記録が残されているものによると、657年(斉明天皇3年)に、飛鳥寺に盂蘭盆会を行ったとされます。659年8月8日には「盂蘭盆経」で父母を報謝したと記録されています。

その後、733年(天平5年)7月には、大膳職に盂蘭盆供養させるようになり、そののち宮中恒例の仏事として毎年7月14日に開催されるようになりました。

庶民によるお盆の仏事が一般的となったのは、夜に明かりをつけることが可能になった江戸時代からです。

お盆(盂蘭盆会)の時期

続いて、お盆について気になる時期や日程について解説します。

地域によってお盆の時期は異なる

お盆の時期は、地域によってさまざまです。

東京や関東の一部地域では7月13日から16日、関西や全国の広い地域では8月13日から8月16日、他にも8月20日からの時期をお盆とする地域もあります。 

新暦・旧暦を元にしている

この、お盆を7月に行うか8月に行うかの違いは、新暦・旧暦のどちらの暦をもとにして決定しているのかというところにあります。

昔は旧暦が採用されていて、7月にお盆を行っていたのですが、日本政府が明治に入り新暦を採用するようになり、旧暦と新暦の差をふまえて新暦の8月15日にお盆を行うようになりました。 

しかし一部では、お盆の時期を新しい暦に合わせて新しくした地域もありました。

この違いが、今のお盆時期の地域差を生んでいます。東京や関東で行われる7月のお盆は「新のお盆」(新盆)、8月のお盆は「旧のお盆」(旧盆)ともいわれます。

ただし、これらのお盆の呼び方も地域により違いがあります。

迎え火と送り火

お盆の期間中で、お盆に入る日には「迎え火」を焚き、お盆が明ける日には「送り火」を焚きます。

迎え火とは?

盆入りの日の夕方に焚く「迎え火」は、ご先祖の霊魂が里に戻るための目印といわれ、自宅の軒先でおがらなどを焚いて作った迎え火を提灯にともして吊るしておくものです。

霊魂に、より早く迷わず帰ってきてもらうために、夕方といっても明るいうちから準備します。

【迎え火の手順】

迎え火は、玄関前やお墓で行われます。素焼きのお皿の上(炮烙)にオガラと呼ばれる麻の茎をのせ火を付けます。お墓で行った場合は、火を盆提灯に移し家に持ち帰り、黙祷後に消します。

送り火とは?

また「送り火」はお盆が明ける日に霊魂を送るためのもので、より長い時間いてもらうために迎え火よりも遅い時間に行います。

迎え火・送り火の日程については、地域の習わしや家庭によって変わることがあります。 

【送り火の手順】

送り火の手順も迎え火と同じです。玄関やお墓で火を灯し、その後黙祷し火を消します。地域によっては送り火を流す灯篭流しを行います。

中日にすること

8月13日からお盆期間が始まる地域であれば、8月14日または15日がお盆の中日ということになります。

お盆の中日には親族が集まり会食を行い、僧侶を呼んでご先祖様の供養をします。 

亡くなってから迎えるお盆が「新盆」

故人が亡くなられてから最初のお盆を「新盆」と言い、その時には親族・知人・友人を呼んで大規模に法要をします。

家に僧侶を招き読経してもらうのが一般的ですが、寺院に出向き、読経してもらうこともあります。その場合には御供物料が必要とされます。

その後の通常のお盆ではお墓に僧侶を呼び、墓の前でお経を読んでもらうのみにとどめ、法要は控えめに執り行うことが一般的です。 

お盆休みの時期

一般企業の長期休暇の1つにあるのが、お盆休みですね。実際のお盆の時期は地域によってさまざまで、7月である場合も多いですが、お盆休み自体は、全国的に8月中に取得するのが一般的です。

実際のお盆の時期は変わりませんが、お盆休みは毎年、カレンダーの曜日によって異なることがありますので、その年ごとで確認する必要があります。

2021年のお盆(盂蘭盆会)の時期

お盆は、7月の「新のお盆」と8月の「旧のお盆」とに分かれます。

7月の「新のお盆」に行われる場合だと、2021年は7月13日(火)から7月16日(金)ということになります。 

8月の旧のお盆に行う地域であれば、8月13日(金)から16日(月)ということです。それぞれの中日は14日もしくは15日です。

有給休暇などを上手く活用できれば、8月7日(土)から16日(月)まで10連休を取ることも可能です。

2021年はオリンピックの為、祝日が移動する

7月の第三月曜は「海の日」ですが、2021年は延期したオリンピックの開催が7月23日(金)に予定されています。その為、海の日を22日(木)に移動となります。

同様に、8月11日の「山の日」も移動され2021年は8月8日(日)となります。こちらはオリンピックの閉会式が予定されている為です。8日は日曜日なので、月曜は振替休日となります。

新型コロナウイルスの影響で、オリンピックの開催が危ぶまれています。仮に2022年に延期された場合も祝日が移動される可能性が高いでしょう。

2022年のお盆(盂蘭盆会)の時期

2022年のお盆の期間は下記になります。

7月の「新のお盆」に行われる場合だと、2022年は7月13日(水)から7月16日(土)ということになります。 

8月の旧のお盆に行う地域であれば、8月13日(土)から16日(火)ということです。それぞれの中日は14日もしくは15日です。

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お盆(盂蘭盆会)の過ごし方・風習・マナー

お盆(盂蘭盆会)の事前準備

お盆(盂蘭盆会)では、霊魂をこの世にお迎えして共に過ごし、再びあの世へお送りすることになります。

そのための準備がさまざまありますので、ご紹介していきます。 

①お墓や仏壇の掃除

まず、先祖の霊魂を気持ちよく迎えるために、お墓や仏壇の掃除をしておきます。

②線香・蝋燭・供物の準備

中日にお墓参りにいくことも考え、お参りする際に必要な、線香・蝋燭・供物も準備しておくとよいでしょう。

>>線香とは?身近だけど意外と知らない線香の種類や選び方、供える際の作法まで徹底解説!
>>供物とは?意味と葬儀・法要での正しい贈り方と相場!

③精霊棚(しょうりょうだな)の飾り

また、宗派やその家により違いがありますが、精霊棚(しょうりょうだな)の飾りなどを行います。

精霊棚をいつから飾るのか特に決まりはないようですが、お盆月となれば飾り始めて構いませんので、準備は早めに行いましょう。

④精霊舟・灯篭の用意

お盆の最後に精霊流しや灯篭流しを行う地域もありますから、その場合は精霊舟・灯篭を用意しておくことも忘れないようにしましょう。

⑤ろうそくや香典の準備

また、その他の準備としては、送り火・迎え火を灯しておく盆提灯の準備、その火をおこすためのおがらやろうそく、香典や供物をいただいた際のお返しの用意が必要です。

⑦お寺への予約

また読経していただくためには、菩提寺への法要の予約も必要です。

お盆時期の僧侶は特に多忙となるため、なるべく早めに予約を済ませるようにしましょう。

僧侶派遣はやさしいお坊さんでもご相談を受け付けております。追加費用が不要でお車代、御膳料、お心づけなども必要ありません。

 

お盆(盂蘭盆会)の過ごし方

お盆(盂蘭盆会)の過ごし方は、地域の習わしなどによりさまざまです。

先ほど説明したとおり、お盆の始まりには、霊魂をお迎えする「迎え火」を、お盆の終わりには、お送りするための「送り火」を焚きます。

地域で異なる先祖供養

地域によっては、木製の枠組みに和紙をはった、灯篭を作り、「灯篭流し」をすることや、施餓鬼(せがき)といわれる、餓鬼棚(がきだな)を用いて先祖を供養する、といった地方もあります。

>>先祖供養とは?先祖供養の効果や正しい供養の方法を完全解説!

中日には法事やお墓参り

お盆の中日には、法事やお墓参りをするのが一般的です。 

お盆には海に入ってはいけない地域もある

さらに、地域や宗教宗派によって、お盆の期間にやってはならないとされることもあります。

まずお盆の時期は、海に入る行為は避けるべきとされることがあります。海水浴、さらには漁師が海に出ることをしないという地域もあります。

さまざまな考え方からこのようなことが言われるようになりましたが、霊が返ってくる時期だからとか、海には良くない霊が集まることがあるからなどという、霊によってあの世に連れていかれないようにということからの風習となっています。

このような風習からだけではなく、実際お盆期間中の海では、クラゲが発生したり高波だったりすることも多いですから、気を付けなければならないこともあるでしょう。

お盆中は殺生を禁じられている

また、お盆の期間は、仏教にある「不殺生戒(ふせっしょうかい)」という教えから、生き物を殺すことが許されません。

そのため、魚を殺すことになる釣りはしないほうがいいと言われますし、肉や魚を食べる事も、生き物を殺して得た食べ物を採ることになりますから口にせず、精進料理だけを口にするということもあります。

こういった習慣は、現代社会ではだんだんと薄れつつありますが、お住まいの地域や、故郷での習慣は大事にされていることもありますから、確認しておくとよいでしょう。 

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盂蘭盆会(お盆)のお布施、香典

盂蘭盆会(お盆)には、僧侶へ読経していただくに際しての謝礼となるお布施や、お盆の期間中に知人や親戚宅に伺い、仏前に線香をあげる際には香典の持参が必要になるでしょう。

お布施や香典では、表書きの書き方など様々な決まり事があります。

お布施の書き方・渡し方

お盆には、先祖や故人の供養のために僧侶にお願いし読経していただくことになります。

お盆の時期の暑い中、檀家に出向いてくださる僧侶への感謝の気持ちからの謝礼としてお渡しします。

謝礼となるお布施は、適当な封筒に入れてお渡しするということはせず、包み方や渡し方のマナーを守るようにしましょう。

正式な包み方としては、半紙でお札を包んだものを中包みとして、それを更に奉書紙で包みます。

ですが一般的には、市販されている「お布施」と印刷された封筒を使うことも多いでしょう。 

ご自身で白い封筒に「お布施」と表書きされることもあるかと思いますが、その時はくれぐれも薄墨を使うことのないように気を付けましょう。

お布施は僧侶への謝礼であり、香典とは違います。通常の黒い墨を使って書くのが正しい方法です。

また僧侶へお渡しする際は手渡しやテーブル・畳の上などにおいておくことは失礼となります。

必ず切手盆や袱紗の上に乗せて、僧侶に差し出すようにしましょう。

お布施の金額相場については、新盆で3万〜5万円、それ以降のお盆では5千〜1万円前後とされています。

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香典の相場

お盆のお香典では、偶数を避けた金額にすべきという決まりがあります。

縁が切れることを思い起こさせる、割り切れてしまう数字である偶数は避けるべき数と言えるでしょう。

また、「四」や「九」など「死」や「苦」といった言葉を思わせる金額も避けます。このことから、3千円、5千円、1万円が香典の相場といわれます。

ただ、新盆である場合や、故人・遺族との関係によって金額は決めるべきでしょう。

新盆で故人が近しい親族であるときは、1万円から3万円が一般的で、繋がりの深い友人である場合には5千円から1万円、法要後に会食があるときでは、食事代を追加で包むのがマナーといわれています。

食事代の相場については一人3千円から1万円程度となっています。

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盂蘭盆会(お盆)の盆棚、精霊棚

盆棚や精霊棚(しょうりょうだな)はお盆期間中、故人の霊魂の滞在する場所として用意しておくもので、普段の仏具のほかに、仏教でお釈迦様が病気になった人をその上に横たわらせたといういわれがある「まこも」という植物から作られたござのような敷物を敷き、ご先祖様の乗り物となると言われている精霊馬(しょうりょううま)などを飾ります。

精霊馬とは?

精霊馬は、キュウリやナスに割りばし等で足をつけたお供えもので、お盆時期には見たことがあるという人も多いのではないでしょうか?

ご先祖様に早く帰ってきて欲しいという気持ちを込めて、早く走れる馬を、現世からあの世へ向かうときには、時間をかけて帰って欲しいという気持ちを込めて、ゆっくりと歩む牛を供えるといわれます。

>>盆棚とは?意味・飾り方・時期を完全解説!

盂蘭盆会(お盆)の供物

お盆の供物には、この世に帰ってきている故人の霊やご先祖様をもてなし、感謝の気持ちを示すものという意味があります。

五供(ごくう)とは?

仏壇への供物の基本に「五供(ごくう)」といわれる、香・花・灯明・水・飲食の5品があります。お盆にお供えをする時にはこの基本の品であれば問題ないでしょう。

供物に選ばれるもの

お盆に親戚の家を訪問されるときには、お線香やお花などを持参すると喜んでいただけるのではないでしょうか。

またお盆では、野菜を角切りにしたものを蓮の葉の上に置いた水の子や、素麺・昆布、鬼灯、生花、お団子、その他その時期に採れた野菜・果物等が供物として用いられます。

故人が好きだった食べ物を供えることもありますが、宗教宗派によってはよくない事とされる場合もありますので確認が必要です。 

>>供物とは?意味と葬儀・法要での正しい贈り方と相場!

盂蘭盆会(お盆)の精進料理

精進料理は仏教の修行の1つで、肉類・魚類を食べず、野菜などを主とする粗食です。

五辛五葷(ごしんごくん)とは?

野菜中心ということで、野菜ならば何でも調理していいということではなく、五辛五葷(ごしんごくん)は食べることを許されていません。

五辛五葷(ごしんごくん)は、ニラ、ネギ、タマネギ、ニンニク、らっきょうの5種類で、辛みやにおいの強い野菜です。

霊供膳(りょうぐぜん)とは?

お盆の期間ではこの精進料理を、霊供膳(りょうぐぜん)といわれる小さなお膳にして、霊魂にお供えすることになります。

仏様への感謝や、里に帰ってきている故人をもてなす、あるいは供養するという意味があるそうです。 

霊供膳は、汁物・漬物・煮物・壺物の一汁三菜と白飯の精進料理をそれぞれ盛り付けしてお膳に配置します。

この配置については宗派により異なりますので注意が必要です。霊供膳はお盆のほか、四十九日などの法要後にも用意するものになります。 

お返しについて

お盆に頂いた供物や香典のお返しは、法要に参列してくださった方であればその日にお返しするのが一般的です。

返礼品の相場

頂いた金額の半額程度が相場ですが、用意していたお返しがその額に見合わないものであった場合は、後日追加でお返しをするのがマナーです。

返礼品に使われる品物

お返しによく使われる品物としては、食品や消耗品、カタログギフトなどがあります。 

返礼品の熨斗

また、お返しには熨斗を付けることになりますが、その表書きは「志」とします。熨斗のかけ方は内熨斗と外熨斗があります。

郵送になる場合のことや、お返しを控えめにするということから、内熨斗をおすすめしますが、その状況によって使い分けるようにしましょう。

服装のマナー

お盆は宗派や地域、またその家ごとに習慣が違います。そのため服装に関しても違いがでますので、迷った場合には親族などに確認するとよいでしょう。 

お盆に参列者を迎える側であれば喪服を着用するのが一般的です。

参列者側も同様ですが、新盆で案内状を受けた場合、平服での参列をお願いされていることもあります。

また、家族だけでのお盆では、喪服でなくとも良いかもしれません。平服で行う場合でも法事であることを意識した、節度ある服装を心がけるのがよいでしょう。

弔事の服装については下記記事もご参考ください。
法事とは?日程とお布施と服装持物を徹底解説!
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お盆(盂蘭盆会)の片付けるタイミングと片付け方

お盆には、故人の霊やご先祖様が、あの世から自宅に戻ってきておられます。お盆飾りはそんな霊たちをお迎えしもてなすものとして準備します。

お盆に使用した盆棚などのお盆飾りを片付けるタイミングは、「送り火」を焚いて霊魂をあの世へ送り出した後ですので、8月がお盆の場合は8月17日以降ということになります。

果物やお菓子などの供物は、傷んでしまう前に盆棚より下げます。

その他お盆飾りは地域や家ごとに扱いが違いますが、菩提寺に持参してお焚き上げしてもらうのがよいでしょう。

新盆とは?

お盆と新盆の違い

お盆はこれまでに亡くなった故人の霊、そしてご先祖様方があの世から戻ってくる仏教の行事です。

そのなかでも、亡くなった方の四十九日法要を終えてから、初めてのお盆のことを、新盆(しんぼん、にいぼん)や、初盆(はつぼん)といいます。

この新盆では通常のお盆とは違う法要の仕方になるので準備や参列者側のマナーも違ってきます。

新盆の時期

新盆(しんぼん・にいぼん)は、故人が亡くなられてから最初に来るお盆になります。

そのため普段のお盆よりも、飾り棚や供物など、しっかり準備して迎えます。家族や親族、親しい方々、僧侶を招いて法要を行います。 

四十九日が過ぎた後の最初のお盆が新盆

仏式での新盆は亡くなられてから四十九日が過ぎた後の最初のお盆が正しい時期です。

例をあげると、6月や7月に故人が亡くなった場合では、その家のお盆がいつ行われているかによって、四十九日が来る前にお盆の時期が来る可能性があります。そのときは、翌年が亡くなられた方の新盆ということになりますから注意しましょう。

このように、お盆に近い時期に亡くなられた方がいる家に訪問する予定がある時、いつが新盆にあたるのか不明な場合は、事前に確認し伺うことも考えましょう。

四十九日については下記記事もご参考ください。
49日とは?49日(四十九日)の意味や行われる法要について徹底解説!
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新盆で行うこと

新盆は故人が亡くなった後の最初のお盆ですので、家族や親族、その他親しい方々を招き執り行うことが多いです。

僧侶の読経

新盆の際は僧侶にもお願いし読経していただくことが一般的です。

白提灯を飾る

普段のお盆とは違い、新盆のみで準備されるのが、白提灯と呼ばれる白木で作った提灯です。

この白提灯は軒先や仏壇前に飾られ、霊魂が帰る家を間違えたり、迷ったりすることのないように用意するものです。

また白提灯は新盆のみで使用するものですので、終わったら処分されるものです。

今は自宅で燃やすことは難しくなっていますから、菩提寺に持っていてお焚き上げしていただくのがよいでしょう。 

白団子を供える

それから新盆用の供物では、白団子をお供えします。「お迎え団子」を13日に、「おちつき団子」を14日・15日に、「送り団子」を16日に供えます。それぞれの団子に意味が込められているので毎日取り換えることになっています。

新盆のマナー

新盆は、故人が亡くなられてから初めてのお盆ということで、親族・知人などの参列者を招いて通常より規模が大きい法要を行うこともあるでしょう。

新盆では喪服を着用

通常のお盆であれば平服で、落ち着いた色味の普段着でも構いませんが、新盆においては法要を執り行う施主側も参列者側も喪服を着用するのがマナーです。

御膳料を用意

自宅に僧侶をお招きして読経していただく際は、お布施の中に、御車代、また法要後の会食に僧侶が参加しなかった場合には御膳料を用意しておきます。

>>御膳料とは?相場と渡し方と注意点とマナーを解説!

贈る際は白提灯ではなく絵柄の入った提灯を用意する

親戚に新盆を迎える方がいる場合には、御仏前として現金を包むことや、お菓子などの供物、提灯を贈ります。提灯を準備して差し上げる際には、白提灯ではなく絵柄の入った提灯を早めに届くようにお送りするようにしましょう。

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宗派によるお盆(盂蘭盆会)の違い

お盆は仏教行事ではありますが、その宗派によって扱い方は変わってきます。ここでは宗派による違いをみていきます。

浄土真宗

浄土真宗では、人が亡くなったときはすぐに仏様になるという考え方があります。

霊魂としてあの世とこの世を行き来するという考え方自体がないということになります。

そのため、お盆にだけ子孫のもとに帰ってくることがないので、お盆に行う「迎え火」や「送り火」を焚くことや、精霊棚をおくということもしません。 

お盆時期に特別な法要を行うことはありませんが、お墓参りには出向きますし、浄土真宗でのお盆は「歓喜会(かんぎえ)」という日とされ、亡きご先祖様に気持ちを向けて偲び、多くのご縁へ感謝する仏事となっており、寺院で説法会に参加します。

真言宗

真言宗では一般的なお盆と同じように行事をおこないますが、提灯に重要な意味があります。

一般的な霊魂が迷うことなくこの世に戻って来ることができるようにという意味合いの他に、亡くなった方の迷いの世界での道を照らす灯りとしての役割があるとされています。

また追善供養を大事にしているため、故人のお墓だけでなく御本尊へお参りも欠かせないこととなっています。 

>>真言宗はどんな戒名をつけるの?戒名の意味から真言宗の戒名の特徴、生前戒名まで徹底解説!

曹洞宗・浄土宗

その他、曹洞宗・浄土宗も一般的なお盆と同じですが、曹洞宗の特徴としては、盆棚に「水の子」と「閼伽水」を用意することが重要とされています。 

>>曹洞宗の葬儀の特徴は?葬儀の流れからお布施の相場、注意点まで完全解説!

また、浄土宗の特徴は、盆花に生花ではなく、ほおずき、枝豆、ガマの穂などを逆さに吊るして生けます。 

宗派による様々な違いがありますが、それよりも地域の習慣を大事にするという考えもあるようです。

地域ごとでのお盆(盂蘭盆会)の違いと理由・風習

宗派で違いがみられるお盆の執り行い方ですが、その他、各地方でもお盆に行う行事や供物などに違いがみられますので、ここでまとめておきます。

北海道

北海道全域では、8月にお盆を行うことがほとんどです。特徴がみられるのは、函館の一部地域です。函館のお盆は7月に行われ、函館近郊の地域では、7月7日の七夕の夜に近所の子供たちがハロウィンのように家々を回ってお菓子貰って歩く「ろうそくもらい」がおこなわれています。

「ろうそくもらい」は、昔提灯に入れる蝋燭をもらうために歩いた行事からはじまったのだそうです。

函館のお盆が7月になったのは諸説ありますが、函館八幡宮の大祭が8月に行われているため、その時期とお盆をずらすためではないかともいわれています。

東北地方

東北地方では、県ごとにさまざまな風習がみられます。他の地域よりも祭りが大規模で、供養が手厚いところからも、手間をかけて丁寧に行っていることが分かります。

青森県では、墓前に弁当を持って行ってお供えします。お供えした弁当はお墓で食べるという風習があります。

また、山形県では供物に、郷土料理であるあべかわ餅やほうとうが用いられます。山形大花火大会などお盆中の祭りも盛んに行われています。 

関東地方

関東全域では8月のお盆が主流ですが、東京では足立区や江戸川区以外では7月にお盆が行われます。

その他東京の一部地域では8月1日から行うなど、その期間には違いがみられます。 

東京でお盆に行う行事等は一般的なものと変わりませんが、精霊馬の手綱にうどんを用いる地域があります。

また、神奈川県ではお盆に砂山を作り、そこにお線香を立てる習慣があります。その他、埼玉県では供物におはぎ・ぼた餅を用いる事が他の地域よりも多いそうです。

東京のお盆が早い理由

全国でみると8月にお盆が行われることが多く、企業のお盆休みも8月というのが殆どなのではないかと思いますが、東京や一部地域では7月にお盆を行う「七月盆」となります。このようにお盆が他の地域よりも早いというのは、いくつか理由があります。 

東京以外の地方では、農業が盛んに行われていてその繁忙期と重なるとお盆を行うのが難しかったと言われます。

その点、江戸時代から大きな都市だった東京では農業の繁忙期というものとは関係なく新しい暦になった際に日付通りの7月をお盆にできたのではないかということです。

このように、大都市と地方の生活環境の違いからお盆の時期の違いがあると考えられています。 

中部地方

中部地方では他の地域に比べると、昔からの習慣が色濃く残っていると言われます。 

石川県の金沢では、墓参りに「キリコ」と呼ばれる灯篭をもっていく独自の風習があります。「キリコ」には箱キリコ、風鈴キリコなどといろいろな形がみられます。

岐阜県では、郡上おどりという盆踊りが行われるのが有名です。岐阜県は提灯を墓に立てる風習があり、その際使われる提灯は岐阜提灯とも呼ばれています。 

近畿地方

近畿地方のお盆で有名なのは、地蔵盆と呼ばれる子供達の無病息災を願い供養する行事があるということです。

その発祥は京都府と言われています。京都府にはもともと神社仏閣が多いためその行事もたくさんあり、大文字焼や灯篭流しなど大規模で有名なイベントがあります。 

近畿地方の各地で行われる地蔵盆のなかでも最も規模が大きい地蔵盆を行うのも京都府です。 

中国地方

中国地方では、カラフルな灯篭を飾り付ける盆灯篭が風習として有名です。

岡山県では切子灯篭と言われる特徴ある灯篭を軒先に吊るしてお盆を迎えます。その他にも立派な祭壇を用意するなど家ごとにお盆を重要としている様子が伺えます。 

山口県では毎年8月の6日・7日に、室町時代から続く伝統行事である七夕提灯祭りが行われています。また、亀山八幡宮の祭りなどにもたくさんの人が参加します。

四国地方

四国地方には、お盆に行われる盆踊りやお祭りが各県でさまざま執り行われています。

日本には、三大盆踊りといわれるお盆の行事がありますが、その中のひとつが、徳島県の阿波踊りです。

非常に有名な盆踊りで、国内最大級ともいわれていますね。徳島県では墓参りに「樒(しきみ)」を使う風習があります。

九州/沖縄地方

九州/沖縄地方のお盆は、中国からの考え方を取り入れているものなど、捉え方の違いからさまざまな風習があります。

宮崎県では、お墓の前で松明を燃やした火をろうそくに移し、家まで持って帰ります。これはお墓から霊魂を家まで案内するという行いです。

この灯りは、お盆の間、家の中でともし続けられ、盆明けには家からお墓の前まで運ばれ、それが送り火となっています。

また長崎県での精霊流しは有名で全国最大級となります。

この精霊流しはもともと中国から来たものといわれ、長崎県では中国式に、お墓の前で花火を賑やかに行うこともあるそうです。 

沖縄県では独自の風習があり、供物なども独特なものがあります。

エイサーを踊る事や、故人にあの世で使っていただくために打ち紙を燃やすなど、ほかではあまり見られない風習が行われています。

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お盆(盂蘭盆会)についてのまとめ

「お盆(盂蘭盆会)」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。

【お盆とは?】
●正式名称は盂蘭盆会(うらぼんえ)
●亡くなった方の霊魂が浄土のあの世から、現世のこの世に戻られるという期間のこと

お盆(盂蘭盆会)の時期
●東京や関東の一部地域では7月13日から16日、関西や全国の広い地域では8月13日から8月16日、他にも8月20日からの時期をお盆とする地域もある

【お盆(盂蘭盆会)の過ごし方・風習・マナー】
●地域によっては、木製の枠組みに和紙をはった、灯篭を作り、「灯篭流し」を行ったり施餓鬼(せがき)といわれる、餓鬼棚(がきだな)を用いて先祖を供養する
●中日には、法事やお墓参りをするのが一般的
●地域によっては海に入らないとされる
●殺生は禁じている
●精霊棚や精霊馬、供物を用意し、ご先祖を迎える

【お盆(盂蘭盆会)の片付けるタイミングと片付け方】
●「送り火」を焚いて霊魂をあの世へ送り出した後
●8月がお盆の場合は8月17日以降

【お盆と新盆の違い】
●亡くなった方の四十九日法要を終えてから、初めてのお盆のことを、新盆(しんぼん、にいぼん)や、初盆(はつぼん)という

宗派によるお盆(盂蘭盆会)の違い
●浄土真宗にはお盆の概念がない
●曹洞宗では盆棚に「水の子」と「閼伽水」を用意する
●浄土宗では盆花に生花ではなく、ほおずき、枝豆、ガマの穂などを逆さに吊るして生ける

お盆(盂蘭盆会)は、歴史ある仏教行事であり、行われる時期や地域ごとの風習というのはさまざまなものがありました。

また宗派による違いや、家庭によっても違いがあって、お盆中に行う行事も色々とございます。

全国各地域のお盆の歴史や、行事・風習には違いがありますが、亡くなった方や、ご先祖様を供養し偲ぶ気持ちは、すべての方に共通するものなのではないでしょうか?

墓参りのみで簡単にお盆を済ませるということも、時代の流れと共に増えているようですが、お盆の意味を再認識し、昔ながらの風習でお盆を過ごしてみるのも良いですね。

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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