忌引休暇とは?突然の訃報に、忌引休暇で対応するための方法や忌引休暇の一般的な期間を完全解説!
近しい方の訃報が飛び込んでくる時、誰しもが悲しみに沈むもの。しかしそのような状況であっても、故人の供養のため葬儀を行う必要があります。
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この葬儀の準備から片付けまでの一連の流れには手間がかかるため、まとまった時間の確保が必要です。
今回はそのような時間に充てることができる「忌引休暇」についてご紹介します。
忌引休暇とは?
それではまず、忌引休暇に関する基本的な内容を確認しておきましょう。
そもそも忌引とはなにか?
忌引休暇について知るには、まず「忌引」の意味を把握しておきましょう。
忌引きとは?
「忌引」とは、配偶者や子供などの家族や近しい親族が亡くなった場合に喪に服す慣習のことを指します。
元々は「忌服」と呼ばれており、その期間は自宅にこもり身を清めるというのが一般的でした。その名残が「忌中は49日」「喪中は1年」という形で残っています。
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とはいえ、現代ではそれほどの長期間に渡って自宅にこもることはほぼありません。基本的に忌引の間は、お通夜や葬儀・告別式の準備や片付け、故人に関する行政上の手続きなどを行います。もちろん喪に服すという意味合いもあります。
忌引休暇とはなにか?
「忌引休暇」とは、忌引期間に上記のような必要手続きを行うために取得できる休暇のことです。
忌引休暇は法律で定められている制度ではありません。各企業の就業規則や福利厚生の一部として設定されていることが多いです。
企業以外にも、子供の通う学校に対して忌引きによる休暇申請を行うこともできます。この時に伝える休暇日数は厳密なものではなく目安で大丈夫です。
忌引休暇については「忌引休暇とは?突然の訃報に、忌引休暇で対応するための方法や忌引休暇の一般的な期間を完全解説!」の記事もご参考ください。
忌引休暇の実際
このように忌引休暇に関する法的な定めは無いため、取得できるかどうかは各企業の裁量に任されているというのが実際のところ。とはいえ、現在では多くの企業に忌引休暇制度が設けられていると言われています。
ただし、忌引休暇が設けられている企業であっても以下の2パターンに分かれるので注意してください。
①欠勤扱いにならず給料も通常通り支払われる
②欠勤扱いにはならないが給料は支払われない
これらのどちらに当てはまるのかは、勤務先の就業規則や福利厚生によって異なるので注意しましょう。さらに学校における忌引休暇も、欠席扱いになる場合とそうでない場合があります。子供の出席日数に関わることなので事前に確認しておくと良いでしょう。
また、もう一つ注意点として「忌引休暇が付与されるのは基本的に正社員のみ」ということも忘れてはいけません。
忌引休暇は企業ごとの裁量に任されているため一概にはいえませんが、アルバイト・パート・派遣写真などには付与されないことが多いです。
忌引休暇は有給になるのか?
忌引休暇は各企業で自由に設定できますが、有給に関しては法律で必ず付与しなければいけないと定められています。
そのため忌引休暇があればそれを適用すれば良いですが、無ければ有給を割り当てるということになるでしょう。もちろんその場合有給の残り日数は減ります。
忌引き休暇の名称
ちなみに忌引休暇が設定されている場合でも、名称は「特別休暇」「慶弔休暇」等になっていることが多いです。
忌引休暇を利用する場合、企業によっては確認を取るため以下のような書類の提出を求められることもあります。必要に応じて準備しておきましょう。
・死亡診断書
・会葬礼状(参列者へのお礼状のこと)
・火葬許可証
公務員の忌引休暇に関しても民間企業と同様に各自治体の判断に任せられることが多いです。
ただし地方公務員の規定は国家公務員の内容に合わせることが一般的。そのため、有給とは別で忌引休暇が設定されている国家公務員に合わせて忌引休暇を設定している自治体がほとんどです。
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忌引休暇の一般的な日数
このように忌引休暇は自分の勤務先に確認をしておくのがベストです。それでは忌引休暇がある場合、具体的に何日を目安に休めるのかを確認しておきましょう。
忌引休暇の取得日数は、故人との関係性によって異なります。続柄が近い順に取得日数が増えるのが一般的です。
もちろんあくまでも続柄だけを考慮し設定された日数のため、実際の故人との繋がりの深さによって変動する可能性はあります。
また、喪主を務めたり遠方に行かなければならないなどの事情があれば、規定よりも延長することも可能です。この辺りの対応も企業によって異なるので確認しておきましょう。
配偶者のケース
故人が配偶者の場合は「10日間」が目安です。故人との関係性が最も深いと考えられているため、精神的なダメージを癒せるようにと一番長い日数が設定されています。
一親等以内の親族のケース
故人が一親等以内の場合は「3〜7日間」が目安です。一親等としては「本人の両親・本人の子供・配偶者の両親」が当てはまります。
それぞれ以下のように日数が規定されているため確認しておきましょう。
①本人の両親
7日間
②本人の子供
5日間
③配偶者の両親
3日間
二親等以内の親族のケース
故人が二親等以内の場合は「1〜3日間」が目安です。二親等としては「本人の祖父母及び兄弟姉妹・本人の孫・配偶者の祖父母及び兄弟姉妹」が当てはまります。
①本人の祖父母及び兄弟姉妹
3日間
②本人の孫
1日間
③配偶者の祖父母及び兄弟姉妹
1日間
それ以外のケース
それ以外の「叔父叔母・甥姪・曾祖父母」などは三親等に当てはまり、忌引休暇日数も「1日間」であることが多いです。
ただし企業によっては、三親等以上を遠い親戚とみなして忌引休暇の対象外とする場合もあります。
そのため上記に加えて、四親等であるいとこが故人である場合も忌引休暇を適用できない可能性が高いです。
しかし、上記はあくまでも単純に続柄で分類したに過ぎません。人によっては三親等以上の親戚であっても交流が深かったということもあります。
そうした事情がある場合は、企業に相談の上で忌引休暇の対象にできないかを確認しておきましょう。
休日が忌引休暇に被った場合の対応について
配偶者が亡くなり長期の忌引休暇が必要な場合、土日祝日と被る可能性もあります。もちろん3日間程度の短期であってもそうなることがあるかもしれません。
その場合に「土日祝日も忌引休暇としてカウントするのか?」ということは、企業によって異なります。この対応によって忌引休暇の取得日数が変動するため事前に確認しておきましょう。
特に遠方への移動がある場合、休日に関するカウントの確認は重要です。葬儀後に一息つくことも考慮すると、忌引休暇の日数を多めに取得する必要があるかもしれません。その場合、土日祝日をカウントするかどうかで自分が申請できる日数も変動します。
一般的な葬儀までの期間
このように忌引休暇の日数は故人との関係性によって異なります。そして、実際にその期間内で葬儀等を終わらせることができるかは気になりますよね。
それでは、葬儀終了までに必要な日数の目安を葬儀の種類ごとに確認しておきましょう。
一般葬:6日前後
大型の葬儀(企業主催の社葬など):7日前後
火葬式(直葬):4日前後
家族葬:5日前後
葬儀の規模や参列者数によって、準備の量や当日の進行は変動するため一概には言えません。また、火葬場の混み具合などによっても日数は変動します。
葬儀については下記記事もご参考ください。
・御葬式とは?意外と知らない御葬式のマナーや流れ、お通夜・葬儀・告別式の違いまで完全解説!
・葬儀に関するシステム化が進んでいる?葬祭関連システムの実例を完全解説
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連絡の方法
近しい方が亡くなり忌引休暇を取得する必要が発生したら、速やかに自分の勤務先や子供の通う学校に連絡をしましょう。
連絡方法はそれぞれ以下の通りです。
会社員のケース
基本的には直属の上司に伝えます。もしも伝えるタイミングを逃した場合は、一旦別の方に伝言をお願いし改めての機会に上司へ伝えると良いでしょう。
企業によっては勤怠などの管理部署への連絡が必要なこともあります。伝える際は、口頭か電話によって自分の言葉で伝えるのが理想です。
メールでの申請方法
ただし休日に忌引休暇の申請をする場合は、上司も休んでいることに配慮してひとまずメールで伝えても問題ありません。その後改めて口頭か電話で伝えましょう。
場合によっては、以下のような詳細を別途メールで送る必要もあります。
・お通夜・葬儀・告別式の日程
・故人との関係性
・忌引休暇の希望申請日数
・緊急連絡先
これらの情報を基に忌引休暇の日数を決めることもあるので、企業から指示された場合はきちんと送っておきましょう。
学生のケース
子供の担任教師に伝えれば大丈夫です。もし不在なら学校の事務員に伝言を依頼しましょう。
小・中・高であればそれで問題ありませんが、大学や専門学校の場合は特定の担任教師がいないこともあります。その時はゼミなどで関わりのある教授や学生部に連絡をすると良いでしょう。
連絡する際の例文
それでは具体的に連絡をする際の例文を見ていきましょう。電話とメールの2パターンをご紹介します。
電話の場合
電話などの口頭で伝える場合は以下のような文章を参考にしましょう。
「お疲れ様です。実は◎月◎日に母が亡くなったため、忌引休暇を頂きたいと思います。お通夜は□月□日で、葬儀は×月×日です。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。」
メールの場合
メールの場合は以下のような文面を送れば大丈夫です。
件名
忌引休暇取得の件について
本文
(必要に応じて部署名)
(上司の名前)様
お疲れ様です。(自分の名前)です。
◎月◎日に母が亡くなり、それに伴い忌引休暇を取得したくご連絡致しました。下記が詳細です。ご確認お願いします。
故人:(故人の名前)
取得希望期間:◎月◎日〜◎月◎日までの7日間
取得理由:母のお通夜や葬儀、その他に関わる準備や片付けのため
お通夜日程:□月□日
葬儀日程:×月×日
忌引休暇の間に何かありましたら、以下まで連絡をお願いします。
(緊急連絡先)
以上となります。お手数をおかけしますがどうぞよろしくお願いします。
忌引休暇のマナー
忌引休暇は近しい方が亡くなった時に取得するため、気持ちの面で沈んでいるかもしれません。
とはいえ忌引休暇を取得する際は少なからず仕事に影響は与えてしまうもの。そのため、気持ちの整理がつかない状態であっても最低限のマナーを守る必要はあります。
具体的には以下のような点に注意して忌引休暇を取得しましょう。
連絡はなるべく口頭で行う
会社を休むことになるので、極力口頭で伝えましょう。その場で上司から忌引休暇に関する重要事項などが伝えられることもありますし、仕事に関する確認点について聞かれるかもしれません。こうしたことを考慮すると、口頭でのやり取りが一番スムーズです。
やむを得ない場合はひとまずメールを送るだけでも問題はありません。しかし、伝えられるタイミングがあれば必ず口頭でも改めて伝えましょう。
復帰後の挨拶はしっかり行う
忌引休暇後の出勤時には、葬儀が無事に終わった旨と関係者へのお礼を忘れずに伝えましょう。
忌引休暇が長期に渡れば、上司や同僚に仕事を代理で担当してもらう可能性もあります。そうした面も含めお手数をおかけしているはずなので、それに関するお礼を忘れてはいけません。
個別で感謝の気持ちを伝えても良いですし、全体朝礼の場などがあればそこで挨拶をしても良いでしょう。
余裕があれば挨拶の時に簡単な菓子折りも渡しておきます。もし香典を頂いていれば香典返しを渡しても良いですね。
>>香典返しのマナーを完全解説!相場・時期・挨拶状・例文・品物も紹介!
さらに社内の関係者だけでなく、例えば「取引先とのアポイントをずらしてもらった」などの事情があればそうした方にもお詫びと感謝の気持ちを伝えましょう。
これらの挨拶は必ず口頭で直接行います。よほどの事情が無い限りはメールだけで済ませるようなことはしないでください。
忌引休暇の注意点
上記以外にも、忌引休暇を取得する際に注意すべき点があります。
忌引休暇はなるべく早く申請する
近しい方が亡くなり次第、忌引休暇は速やかに申請しましょう。企業であれば仕事に影響を与える可能性がありますし、学校であれば子供の出席日数に関わってきます。
特に重要な仕事の引き継ぎや取引先とのアポイントなどを代わってもらう場合は、相手の仕事量も大きく変わるので素早く正確に伝えておきましょう。
就業規則を確認しておく
先述の通り、忌引休暇は法律で定められたものではありません。そのため、いざ確認してみたら「勤務先には忌引休暇制度が無かった」という事態もあり得ます。
そうなると有給の残り日数を確認したりと別の手間が発生してしまい時間がかかってしまうでしょう。そのため、あらかじめ就業規則に目を通しておくことが大切です。
ちなみに就業規則を確認する際は、以下の点に注意すると良いでしょう。
・そもそも忌引休暇制度はあるか?
・(忌引休暇制度がある場合)その期間中の給与は発生するのか?
・欠勤扱いになるか?
・何親等までなら忌引休暇を適用できるのか?
・休日も忌引休暇にカウントされるのか?
・忌引休暇の申請の際に死亡診断書などの書類は必要か?
引き継ぎをしっかりする
先ほども触れた通り、場合によっては仕事の引き継ぎも発生します。ここで適当に引き継ぎをしてしまうと取引先に迷惑をかけたり業務に支障が出るかもしれません。
確かに葬儀の準備等で忙しくなる時期ではありますが、同僚や上司、取引先などに迷惑をかけないように引き継ぎは正確に行いましょう。
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忌引休暇についてのまとめ
以上が忌引休暇に関する基本的な内容です。最後に今回ご説明した知識をまとめて振り返りましょう。
◎そもそも「忌引」とは、配偶者や子供などの家族や近しい親族が亡くなった場合に喪に服す慣習のことを指す。「忌引休暇」とは、忌引期間に葬儀などに必要な手続きを行うために取得できる休暇のこと。
◎忌引休暇に関する法的な定めは無いため、取得できるかどうかは各企業の裁量に任されているというのが実際のところである。
◎忌引休暇があればそれを適用すれば良いが、無ければ有給を割り当てるということになる。
◎忌引休暇の取得日数は故人との関係性によって異なる。具体的な日数はそれぞれ以下の通り。
①故人が配偶者の場合は「10日間」が目安
②本人の両親の場合は「7日間」が目安
③本人の子供の場合は「5日間」が目安
④配偶者の両親の場合は「3日間」が目安
⑤本人の祖父母及び兄弟姉妹の場合は「3日間」が目安
⑥本人の孫の場合は「1日間」が目安
⑦配偶者の祖父母及び兄弟姉妹の場合は「1日間」が目安
⑧それ以外の場合も「1日間」が目安
◎「土日祝日も忌引休暇としてカウントするのか?」ということは、企業によって異なる。
◎一般的に葬儀までに必要な期間は以下の通り。
①一般葬:6日前後
②大型の葬儀(企業主催の社葬など):7日前後
③火葬式(直葬):4日前後
④家族葬:5日前後
◎忌引休暇の申請連絡の方法は以下の通り。
①会社員の場合は直属の上司に伝える
②学生の場合は子供の担任教師に伝える
◎忌引休暇のマナーは以下の通り。
①連絡はなるべく口頭で行う
②復帰後の挨拶はしっかり行う
◎その他の忌引休暇の注意点は以下の通り。
①忌引休暇はなるべく早く申請する
②就業規則を確認しておく
③引き継ぎをしっかりする
「忌引休暇を取得する=身内に不幸があった」ということ。そのような悲しい状況のため、周囲の方も配慮はしてくれるでしょう。
しかしだからと言って適当に忌引休暇を取得すれば良いというわけではありません。忌引休暇を取得する際は、関係者への伝え方やマナーに気をつけながらこちらも周囲への配慮を忘れないようにしましょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール