火葬場は故人と最後のお別れをするとても大切な場所です。本記事では火葬場とは何なのか、火葬場の火葬炉についてや骨上げの手順、東京都の公営・民営の火葬場の利用方法、火葬費用を安くするための方法についてをご紹介していきます。
火葬場は、故人と最後のお別れをし、お骨にするとても大切な場所となります。
火葬場とは何なのか、また火葬の実際の行い方や骨上げの手順、火葬場の利用方法、火葬場の安い選び方などについて詳しくご説明したいと思います。
火葬場とは?
火葬場とは、ご遺体(故人)を火葬するための施設です。
現在日本では埋蔵について「墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号):通称、墓埋法(ぼまいほう)」という法律が定められており、
・ご遺体(故人)を焼却してから葬る「火葬」
>>火葬(直葬)の費用を完全解説!相場・内訳・費用を抑える方法を紹介!
・ご遺体(故人)を焼却せずにそのまま土の中に埋め葬る「土葬」
の2種類があります。
日本は火葬大国
しかし土葬は自治体の許可が必要であったり、地域の風習などにら基づき行われる場合のみと一般的な埋蔵方法ではなく、全体の1パーセントにも満たないと言われています。
ですので、日本における埋葬方法はほぼ火葬だと考えていいでしょう。
世界的に見ると土葬が主流になっている国が多いので、日本はまれに見る火葬大国ということになります。
火葬場とは?
火葬場とは、日本の法律第二条7において「火葬場とは、火葬を行うために、火葬場として都道府県知事の許可をうけた施設をいう」と位置づけられています。
そして火葬場の経営のほとんどを、地方自治体が行なっています。
火葬場のメインとなる施設は火葬するための炉、すなわち火葬炉です。
日本では台車式が一般的
日本で使用されている火葬炉は「台車式」が一般的です。
「台車式」とは、まず主燃料炉と呼ばれる場所に台車と棺を運搬し、その後バーナーで棺を台車ごと一緒に焼くという火葬方法です。
火葬炉は「台車式」の他に、「ロストル式」と呼ばれるものもありますが、「台車式」の方が遺骨を綺麗に残して焼け、有害物質ダイオキシンが出にくいことから悪臭も少なく、そして衛生面の管理も比較的しやすいことが「台車式」が一般的になった背景です。
火葬場で荼毘に伏す(だびにふす)=火葬を行うのに必要な時間は地域で違いがありますが、平均1時間から1時間半程度が通常となります。
妊婦は火葬場に行ってはいけない?
また、古い言い伝えでは、妊婦さんは火葬場に行ってはならないというお話があります。
「妊婦が火葬場に行くと、悪い霊がお腹の中の子供に入ってしまう。」
現在は火葬場にはレストランなどが併設されており、故人を偲びながら家族や親戚とお弁当をいただくのが主流ですが、昔は女性たちが炊事などをし、家族や親戚をもてなすために大変忙しくしていたそうです。
妊婦だと当然体にも負担がかかってしまうと思われますので、まわりの人が気遣いからこのような話が現在まで残っているのかもしれません。
火葬場については下記記事もご参考ください。
・民間火葬場「東京博善株式会社」とは?東京の火葬場費用・事情について
・斎場とはどんな場所?斎場の選び方・種類・火葬場との違いを目的別に完全解説!
・火葬業とは?よく似た斎場と火葬場の違いや火葬業の仕事内容、給与事情まで徹底解説!
火葬場の利用方法
火葬場を利用する時、個人でも予約ができる地域も一部ございますが、気持ちが落ち込みさらに慌ただしい中手配までするとなると大変ということと、地域にもよりますが、葬儀会社を通じての予約のみを行っている場合もあり、実際は葬儀会社が予約・手配をすることがほとんどです。
葬儀会社が対応を行う事で、死亡届、死亡診断書、火葬許可申請書の提出、火葬に必要な火葬許可証の発行と受け取り等も含めて手続き全般を代行してもらえるのでかなり負担が減ります。
火葬場へ持参するもの
火葬場に行く当日は、
・火葬許可証
>>火葬するには火葬許可証が必要!発行の流れや再発行について解説
・位牌(死者の戒名や法名、法号などを記した木の板)
>>俗名とは?戒名との違いから俗名での位牌の作り方まで完全解説!
・遺影
>>遺影写真の原稿で悩まないようにするには
・骨壺(事前に自身で準備している場合。火葬場での手配可能です。)
>>ご先祖のお骨壺の大きさを知っていますか?地域で大きさ・種類が違うお骨壺について
を忘れずに持参します。
遺影写真について
また、遺影は出来るだけ故人が大きくはっきりと写っているものがいいとされています。故人の人柄が分かるように写真で、家族が気に入っている写真を選ぶのが一番良いでしょう。
副葬品(お棺に入れて差し上げる愛用品等)について
棺の中には故人が好きだったものや愛用したものを一緒に入れ火葬することができます。但し、燃えないもの、燃えにくいものは一緒に火葬をすることができません。
近年はさらに一緒に入れることが出来るものの条件が厳しくなり、一昔前では一緒に棺に納め火葬が出来たものが出来なくなっている場合も多くあります。
六文銭に関しては昔、三途の川の渡し賃と六文銭を一緒に埋葬していたことの名残りがまだあり、現在では六文銭の模様を印刷した模造紙幣(紙銭)を入れることも多いと言われています。
ちなみに六文銭の模様を印刷した模造紙幣を入れる場合、葬儀社で手配できます。
燃えるものなら基本的になんでも一緒に火葬することが可能ですが、あの世に呼ばれてしまうという迷信から生きている人の写真を入れるのはあまりよろしくないとされています。
納棺や副葬品については下記記事もご参考ください。
・納棺とは?意味・流れ・入れるもの・マナーを完全解説!
・納棺の儀式とは何?儀式の流れで知っておきたいことについて
・棺桶(御棺)とは?意味と選び方と副葬品に入れてよいものダメなものを解説!
故人の服装について
故人の服装は男女ともに白装束(死装束)と呼ばれる真っ白な着物を着せるのが一般的と言われておりましたが、近年では普段着やお気に入りの服装等をお着せすることが多くなりました。
白装束をお着せする場合は、左前に着せるのがマナーです。
そして白い三角頭巾、手甲(てっこう)、脚絆(きゃはん)を着せ、三途の川の渡し賃である六文銭の模様を印刷した模造紙幣を入れるための頭陀袋をつけます。
参列者の服装について
参列者の服装は男性は黒の上下スーツ、女性は黒のスーツやワンピースを着用し、真珠の1連のネックレスと婚約指輪以外の装飾品は基本的にNGとされています。髪が長い場合は一つにまとめ、化粧も控えめにします。
>>お通夜の髪型はどうする?男性と女性の髪型の注意点を徹底解説!
お骨上げ(収骨)について
火葬後には遺骨を骨壺に納める「お骨上げ」と呼ばれる儀式があります。
遺骨の周りに家族や親戚が集まり、喪主から順に2人1組になってひとつの骨(同じ身体の部位の骨)を、長さの違う竹製と木製の箸1本ずつを1組として拾い骨壷に納めます。
竹製と木製の箸を使う訳は、竹と木は互いに接ぎ木できないことから「決別」を意味していると言われています。
お骨上げが終わると遺骨を喪主が持ち、他の遺族などが遺影を胸に抱え火葬場を後にします。
火葬場では撮影禁止
葬儀や告別式では記録の為に撮影可とされていても、ご遺骨が映る可能性のある火葬場では撮影禁止となっている場所がほとんどです。マナー違反とならないように注意しましょう。
詳細は下記記事をご参考ください。
・葬儀・葬式での故人の撮影はOK?遺体の撮影の可否と撮影のマナーを解説!
弔事についての不明点や疑問は『やさしいお葬式』から24時間365日無料相談も承っています。電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。『やさしいお葬式』では葬儀の見積もり、遺影写真、参列者のリストアップなど事前準備をおすすめしています。葬儀の作法や服装などについてもご相談できます。
火葬場の使用料を安くする方法(公営の火葬場の指定エリアで利用する)
一般的に葬儀にかかる費用は高額とされていますので少しでも費用を安く抑えたいと考えます。
火葬場には「無料」で利用できる場所があるのです。
公営の火葬場を使用する
火葬場には「公営」と「民営」がありますが、費用を抑えたい場合はまず「公営」をチェックしましょう。
自治体によっては無料で利用可能
公営の火葬場は実は無料で利用できる場合があります。(自治体により異なります)
東京都内であれば、江戸川区にある瑞江葬儀所(都営)、大田区にある臨海斎場(大田区・目黒区・品川区・世田谷区・港区の合同管理斎場)立川市にある立川聖苑、八王子市にある八王子市営斎場などが代表的です。
しかし実態として東京23区の場合、23区の地域が広すぎるために、23区唯一の都営である火葬場:瑞江葬儀所を利用する方は江戸川区・葛飾区南部・江東区など瑞江葬儀所近郊である23区東部でお葬式を行われた方が大半であり、また大田区の臨海斎場は組織区(大田区・目黒区・品川区・世田谷区・港区)住民が割引対象となるため、他の区にお住まいの方の場合は割引が適応されません。
東京23区の実態として、故人は基本的にお葬式が行われた地域の近くである火葬場を民営・公営問わず、火葬を行っております。
無料で利用できる自治体の場合、その火葬場がある自治体内もしくは周辺に住んでいることが条件となります。
事前に確認しておくと、いざその時が来た時にスムーズに進めることができます。
東京都の火葬場については下記記事もご参考ください。
・瑞江葬儀所とは⁈東京23区で唯一の都営火葬場の概要・使用料金・予約方法とは
・東京都大田区にある臨海斎場とは?その特徴や利用できる設備、使用料金を徹底解説!
・八王子市で葬儀を行う方は必読!費用・葬儀社・斎場・火葬場の情報を完全解説!
公営と民営での費用相場
無料で利用できる火葬場でない場合の火葬場の相場は、「公営」か「民営」によって異なりますが「公営」で無料〜約8万円、「民営」で約5万円〜15万円ほどです。
一般的に「民営」よりもやはり「公営」の方が比較的に安価になっている場合が多いです。
火葬費用の内訳は、下記となります。
民営火葬場は葬儀会社によって運営されていることがほとんどですので、葬儀会社を選ぶ際にきちんと確認しておく事が大切です。
葬儀会社によっては独自のパッケージプランもあるため、うまく選べば安く利用できる場合もあります。
ちなみに、「墓地、埋葬等に関する法律」第3条の条文により火葬は死後24時間以上経過していないと利用できません。
これは現在の医療技術ではほぼ0といっても良いですが、万が一の医者による死亡診断ミスを防ぐ為です。
※新型コロナウイルスなどの国が定めた特定感染症で亡くなられた方は24時間以内の火葬を認めています。
<参考>新型コロナウイルスに関するQ&A(関連業種の方向け):厚生労働省ホームページより
基本的には「24時間以上経過していないと火葬はできない」ことになります。
新型コロナの葬儀については下記記事もご参考ください。
・コロナへの葬儀社・火葬場・斎場の葬義/葬式への対応方法まとめ!
・新型コロナが葬儀に与える影響とは?死亡者の葬儀・葬儀社の対応方法を公開!
・新型コロナウイルスで亡くなった人は葬儀依頼を受けてもらえない⁉︎「緊急事態宣言下の葬儀の現状」
自治体から補助金を受けとる
自治体から葬祭費として、補助金を受けとることができます。支給金額の目安としては、国民健康保険に加入している人の場合が5万円から7万円程度、後期高齢者医療保険に加入している人の場合が3万円から7万円です。
ただし、自治体によっては葬儀を行わず火葬のみの場合では葬祭費を受けとることができませんので、注意しましょう。
葬祭の補助金については下記記事もご参考ください。
・忘れてはいけない⁈申請すれば頂ける葬祭費・埋葬料とは?給付金制度の概要と申請時のポイント
・埋葬とは?意味・手続の流れ・必要物・給付金・注意点を完全解説!
・葬祭扶助とは?支給の条件から金額、申請方法まで徹底解説!
葬儀費用を抑える方法(斎場・葬儀場と併設の火葬場を利用する)
斎場(葬儀場)に火葬場が併設されている施設も、東京都ではよく利用されています。
斎場から、火葬場への移動の必要がないため、移動にかかる費用や負担を軽減することが可能となります。
併設施設の方が全体として葬儀費が安くなるかどうかは、選ばれる施設や火葬場の組み合わせにもよるため、慎重に確認したほうが良いでしょう。
火葬場併設施設の場合、居住地による利用者制限はありませんが、人気となっているため、予約が先々までとれないこともあります。
東京都の葬儀場や火葬場については下記記事もご参考ください。
・東京を中心に葬儀を行える平安祭典とは?平安祭典の葬儀プランや新型コロナ対策など徹底解説!
・落合斎場とは⁈東京都新宿区・中野区・豊島区・渋谷区などでお葬式を行う方が使用する斎場の概要・費用・手配について
・東京都港区の方がよく利用をする「港区立区民斎場:やすらぎ会館」とはどんな葬儀場?
火葬場の選び方に関するまとめ
「火葬場の選び方」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。
【火葬場とは?】
●火葬場とは、ご遺体(故人)を火葬するための施設
●日本における埋葬方法はほぼ火葬
【火葬場の利用方法】
●個人でも予約ができる地域もある
●葬儀会社が予約・手配をすることがほとんど
【火葬の費用を安くする方法】
●公営の火葬場を使用する
-自治体によっては無料で利用可能
-「公営」で無料〜約8万円、「民営」で約5万円〜15万円ほど
●葬儀会社によっては独自のパッケージプランもある
●斎場・葬儀場と併設の火葬場を利用する
-火葬場への移動の必要がないため、移動にかかる費用や負担を軽減することが可能となる
火葬場は故人の肉体と最後のお別れをする場所です。
そして、故人が肉体から解放された姿とはじめて対面する場でもあります。
人の死後についての考え方は実に様々です。
「死とは何であるか?」
死生学として古代から研究されてきました。
古代ギリシア人の哲学者のプラトンは「霊魂は肉体とは異なる次元に永遠不滅に存在するもので、肉体は死ぬと"無"に帰するが、霊魂は死後肉体を離れて新たな次元で永遠の幸福に生きる」と説いています。
死後をどのように考えるかを問わず、故人の肉体とのお別れはとても辛い時間となりますが、後悔がないように火葬場での最後の時間を大切にしましょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール