香典返しトラブル事例｜親族間でもめた理由と解決策

Dec 20 2025

香典返しは「形式の作業」に見えて、実は親族関係の“空気”が出やすい場面です。

返す・返さない、金額の基準、品物選び、辞退の扱いなど、少しの判断ミスが香典返しトラブルに発展することもあります。

この記事では、親族間でもめやすい実例をもとに、原因と解決策、そして再発防止のチェックポイントを整理します。

香典返しで親族がもめやすい理由

葬儀後は心身ともに疲れているうえ、慣習・地域差・家の考え方が交差します。そこに「お金」と「評価」が絡むため、親族もめる葬儀の火種になりがちです。

「半返し」が絶対だと思っている人と、柔軟に考える人がいる
高額香典や連名など、イレギュラー対応が混ざる
喪主が独断で決めたと思われやすい
辞退の扱いが親族内で割れやすい

【実例①】高額香典への返し方で「不公平だ」ともめた

ある家では、叔父が10万円の香典を包みました。喪主は「半返し」を基準に5万円相当の品物を用意しましたが、別の親族から「うちは3万円なのに、叔父だけ特別扱いだ」と不満が出ました。

結果として、叔父側も気まずくなり、葬儀後トラブルとして親族関係がぎくしゃくしました。

原因：香典返しの基準が共有されていなかった

香典返しの考え方は家庭によって違います。高額香典は「半返し」だと負担が大きい場合もあり、「3分の1返し」「1万円単位で上限を設ける」など運用が必要になることもあります。

しかし、判断の理由を共有していないと「不公平」に見えやすく、香典返し判断ミスと受け取られてしまいます。

解決策：基準を先に言語化し、親族内で一言共有する

高額香典は「3分の1返し」にする
返礼の上限を2万円までにする
差が出る場合は「会葬御礼＋後日改めてお礼」の形にする

大切なのは「同じルールで運用した」と説明できる状態を作ることです。

【実例②】品物が原因で「センスがない」「失礼」と言われた

喪主がカタログギフトで香典返しを用意したところ、年配の親族から「カタログは手抜きだ」「相手に選ばせるのは失礼」と批判され、親族間で言い合いになりました。

原因：世代・地域で“常識”が違う

香典返しトラブルの多くは、「良かれと思った選択」が別世代の価値観に合わないことが原因です。近年はカタログも一般的ですが、地域や年齢層によって受け止め方が変わります。

解決策：親族向けは“無難な定番”で統一する

お茶・海苔・タオルなど昔からの定番
消えもの（食品・洗剤）中心で好みの差を減らす
親族には「選べる系」より「贈答品感」のある品を優先

「親族だけ別ライン」を作るのは、結果的にトラブル回避になります。

【実例③】「香典返しは不要」と言われたのに、後から非難された

高額香典を包んだ親族から「香典返しは不要」と辞退され、喪主は返礼を送らなかったところ、別の親族が「礼を欠いている」と指摘し、親族もめる葬儀の空気になってしまいました。

原因：辞退した本人と、周囲の親族の認識がズレた

辞退は本心の気遣いである一方、周囲からは「形だけでも返すのが礼儀」と見られやすい点が落とし穴です。ここでの問題は“返したかどうか”よりも、“説明と配慮があったかどうか”です。

解決策：辞退でも「お礼状＋小さなお礼」を基本にする

辞退の申し出があっても、お礼状は必ず送る
親族には1,000〜3,000円程度の消えものを添える
「お気持ちだけ頂戴しました」の一文を添える

大きな返礼を避けつつ、礼は尽くす。これが最も角が立ちにくい対応です。

こじれたときのリカバリー手順

もし香典返しの判断が原因で不満が出た場合でも、早い段階で丁寧に対応すれば修復できることがあります。

喪主（または窓口の親族）が「まず謝意」を伝える
判断の経緯（基準・事情）を短く説明する
必要なら「遅れてでもお礼」を追加で送る

正しさの議論に入るほど感情がこじれます。最優先は「置き去りにしない姿勢」です。

香典返しトラブルを防ぐチェックリスト

以下を事前に整理しておくだけで、葬儀後トラブルの多くは避けられます。

香典の金額・連名・辞退の有無を一覧化した
親族向け／一般参列者向けで返礼品を分ける方針を決めた
高額香典の返礼基準（半返し・3分の1など）を決めた
地域・家の慣習を確認した
最終決定者（喪主・施主・長兄など）を明確にした

迷ったら「香典返し相談」を使うべきケース

次に当てはまる場合は、親族内だけで抱えず、葬儀社や返礼品担当などに香典返し相談をするのがおすすめです。

親族が多く、意見が割れている
高額香典が複数ある
辞退・法人・連名が混在している
地域の慣習が不明
判断に不安がある

相談は「弱さ」ではなく、トラブル回避のための手段です。実務経験のある第三者が入るだけで、空気が落ち着くケースも多いです。

まとめ｜香典返しは“正解”より“納得感”が大切

香典返しは、葬儀の締めくくりの大切なコミュニケーションです。形式が合っていても、説明や配慮が足りないと不満が残ります。

香典返しトラブルを防ぐためには、基準を決め、共有し、必要なら相談すること。これだけで、親族の心の摩擦は大きく減らせます。

「礼を尽くしたい」という気持ちが伝わる判断を、最優先にしていきましょう。

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所在地	〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2丁目3−5 COERU渋谷二丁目3階 TEL：0120-538-175 FAX：03-6800-5820
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栗本喬一（くりもときょういち）

1977年東京生まれ（名古屋育ち）

略歴: 母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者（セレモニーディレクター）として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、５,０００件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等: 株式会社GSI グリーフサポートアドバンスコース修了。