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納棺とは?意味・流れ・入れるもの・マナーを完全解説!

Jun 14 2020

納棺とは、ご遺体を清めてあの世への旅支度を整え副葬品などと共に棺桶に納める特別な儀式のことです。本記事では納棺の義の意味や納棺までの流れや服装、マナーはもちろん、納棺師の資格についても解説致します。

身近な方が臨終を迎えられ葬儀に至るまでに、決められた手続きや、行わなければならないことはさまざまあります。

亡くなられた後、故人と対面することが出来る時間は短いですから、悲しみの中であってもしっかりとお別れの準備はしていきたいものです。

今回は、納棺の意味や、納棺までの流れ、マナーなどを解説致します。

納棺とは?

故人が亡くなられると、通夜・葬儀を行うことになります。

通夜の前までに、ご遺体を清めてあの世への旅支度を整え、副葬品などと共に、棺桶に納める特別な儀式のことを納棺といいます。 

納棺は、ごく親しい方が行う儀式ですから、人生のなかで立ち会うことはそう多くはないことかもしれません。

しかし身近な方が亡くなれば経験する、大事な儀式となります。

亡くなった方があの世へ旅立つための大切な儀式でもありますし、どのようなものなのかしっかりと理解しておきたいものです。

納棺までには、準備するものや決まった手順がありますから、それを知っておくと、儀式を滞りなく進めることができるでしょう。

納棺の儀式についての解説

一般的な仏式での儀式

納棺の儀式は、故人が亡くなってから安置された場所で行われます。

一般的にはご自宅で行うことになりますが、現在は自宅に戻らず、葬儀を行う葬祭場に直接ご遺体が安置されることも多いですから、その際は葬祭場にて儀式を行うこととなります。

故人を納棺するまでには、いくつかの手順がありますが、進行自体は葬儀業者のスタッフや、納棺師が行うことが多く、その中でご遺族も参加することになります。

納棺をいつ行うのかに決まりはありませんが、通夜の前までに済ませることになります。

末期の水

仏式での納棺の儀式は、「末期の水」といわれるものから始まります。

「末期の水」は「死に水」とも呼ばれ、ご臨終を迎えられた後の安置場所で、お茶碗に水を準備して、脱脂綿を箸の先にはさみ、その水で湿らせ、亡くなった方の口元を水で濡らします。

これは故人があの世に渡ってから渇きに苦しむことのないようにという願いや、生き返ってもらいたいという思いが込められた習慣で、血縁関係の近い方や、故人との関係が深かった順に行うことになっています。

「末期の水」を行うかどうかは、宗派や地域でも違いがあります。

湯灌(ゆかん)

納棺を行う前には、「湯灌(ゆかん)」を行います。湯灌は、お湯やアルコールで亡くなった方の体を丁寧に清めることです。

ご遺体を清潔にするということだけでなく、生前のけがれや苦しみ、煩悩を清めるという意味もあり行われるものです。

病院で亡くなったときは、看護師の手によって湯灌のかわりに「清拭(せいしき)」が行われることもあります。

清拭は、体液が口や耳から出てしまわないように脱脂綿を詰め、タオルにアルコールを含ませて体をふくものになります。 

死化粧

その他にも納棺前には、ご遺体に死化粧(しにげしょう)を施します。

死化粧は、化粧といっても女性にだけということではなく、身なりを整えるという意味で行われるもので、最近では「エンゼルメイク」などと言われることもあります。

一般的に生前に使っていたものを用いて、女性には薄く化粧をし、男性ではヒゲを剃るなどします。

また、爪の手入れや、髪の毛も整えます。

ご遺体の状態によっては、傷を隠すためのメイクを行うということもあります。

故人のお顔は、時間が経つごとに変わっていきますから、メイクを施して生前の状態を保つことで、ご遺族の悲しみを軽減する役割もあるでしょう。

死装束

納棺前の最後には、ご遺体に死装束(しにしょうぞく)の着付けを行います。

死装束とは、故人が最期に着る、あの世へ旅立つための衣装です。全身白色の衣装を左前で合わせご遺体に着せます。

白色の衣装は、経帷子(きょうかたびら)という和服で、手を守るための手甲(てっこう)、脚を守るための脚絆(きゃはん)を着けます。

その他にも白足袋や笠、杖などを入れます。

最近では、伝統的な衣装を着せるよりも、亡くなった方が生前愛用していた洋服を着せることが増えており、死装束は上からかけるだけの場合も多くなっています。 

納棺にかかる時間

納棺にかかる時間は、地域の風習や葬儀業者によって違いがありますが、平均で1時間程度です。

ゆっくりと時間をかけて、故人を偲びながら行う場合では2時間程かかることもあります。

納棺の後、すぐにお通夜が執り行われるときには、18時頃からのお通夜であれば、およそ15時から17時に納棺が行われることが多くなるでしょう。

仏式葬儀の流れに関しては「仏式葬儀とは?一般的なマナーや葬儀の流れについて徹底解説」をご覧ください。

近年の納棺儀式の傾向

昔から、納棺の儀式は親族だけですべてを行ってきました。

納棺は業者任せがほとんど

しかし現代では、人間の意識や考え方、社会環境や生活様式の変化で、故人が亡くなった後の葬式全般を葬儀業者に依頼することが増えたことで、納棺の儀式も併せて業者などに任せることがほとんどとなっています。 

映画などで納棺師という職業が知られるようになった影響もあるのか、葬儀業者によっては、葬儀全体を納棺師が中心になり計画するサービスもあるそうです。 

>>納棺師とは?資格取得の方法と費用・年収・将来性を徹底解説!

葬儀プランの中に組み込まれていることも多い

また、葬儀が昔ながらの死者を送る儀式というよりは、故人とのお別れをするためのセレモニーとして扱われ、その中の納棺については、ご遺族のなかに最も印象に残る儀式として、葬儀プランの中に組み込まれていることも多いです。

各葬儀業者では、独自の儀式を用意し、地域の風習を取り入れるなどしていて、他社とのサービスの差を出しているところもあります。

宗派ごとでの特徴

納棺の儀式は、宗派によって違いがみられます。

真言宗

真言宗では、洗い清めた土砂を亡くなった故人に振りかける「土砂加持(どしゃかじ)」という納棺する際の特徴的な儀式があります。 

浄土真宗

また、仏式では一般的に、あの世で苦しむことのないようにという願いが込められた「末期の水」をとる儀式を行いますが、浄土真宗では行われません。

浄土真宗の教えでは、故人は亡くなってすぐに成仏し極楽浄土へ行くということになっていますから、あの世で苦しむという考え方がないので「末期の水」をとることはありません。

同じ仏教であっても、教えの違いにより納棺までの手順が異なることもありますから、僧侶や葬儀業者のアドバイスを受けながら、納棺の儀式を執り行うとよいでしょう。

地域での特徴ある儀式

納棺の儀式には、地域によって特徴がみられます。

近年では葬儀業者に任せることが増えた納棺ですが、地方によっては、儀式のすべてを遺族の手で行う習慣が今でも残っているところもあります。 

香川県

香川県では、自宅で葬儀を執り行う場合、亡くなった故人を納棺せずに通夜を行う風習があります。

その後納棺される際には、納棺する方は襷を逆さにかけて行うという地域もみられます。 

神奈川県

また、神奈川県のある地域では、納棺に立ち会う方全員が酒を口に含み、一丁のお豆腐を回して食べるという習慣があるのだそうです。

>>神奈川県で粉骨をするなら?粉骨が必要な理由や費用相場・対応業舎まで完全解説!

お豆腐は四隅から食べるルールになっていて、角が立たないようにという意味があるそうです。 

このほかにも地域ごとにさまざまな風習があり、葬儀を執り行う方が遠方にお住まいで、その風習を知らないことも考えられます。

納棺を行うときには、親戚や葬儀業者へ確認するとよいでしょう。

地域についての違いは「今更聞けない葬儀・告別式のマナーと費用を地域別に徹底解説!」「亡くなった日にお通夜ができる地域もあれば、1週間以上待つ地域もある」の記事もご参考ください。

ご臨終から納棺までの流れ

納棺を行うまでには、だいたいの流れは決まったものになっています。

最近はご臨終後の搬送から納棺、葬儀まで、一連の手順を葬儀業者へ依頼することも多いです。

しかし、自宅や葬祭場にご遺体が安置されてから、どのように納棺までが行われるのかを知っておくことで、落ち着いて行動することができますから、確認しておくとよいでしょう。

ご臨終

患者が病院で亡くなると、医師によって遺族に対し死亡したことが宣告されます。

医師から死亡診断書が発行され、これは役所へ死亡届を出す際に必要な書類となります。

また、自宅で亡くなった場合では、かかりつけの医師に息を引き取ったことを連絡します。その医師によって死亡判定をしてもらい、死亡診断書を受け取ります。 

どこで亡くなられたとしても、医師から発行される死亡診断書がなければ、死亡届の手続き、火葬や埋葬を行うことはできません。

>>死亡届の基礎知識を押さえておこう!書き方やその他の手続きについても解説

ちなみに、地方自治体へ提出する死亡届は、死亡知った日から7日以内に出さなければならないと決められています。こういった手続きも早急に行わなければなりません。

>>意外と知られていない「死亡届の提出方法」につい徹底解説!

末期の水

亡くなった故人に行われる儀式に、「末期の水」があります。故人が渇きに苦しむことがないように、などの願いが込められた風習です。

病院で行われることもありますが、その後のご遺体の安置先で行われることもあります。

故人との関係が一番深かった方から順に、水を含ませた脱脂綿などで故人の口を潤します。 

エンゼルケア

死後のご遺体に関する手当て全般を「エンゼルケア」と言います。病院で亡くなった場合は、看護師によって、清拭(せいしき)が行われます。

清拭で行われることは、ご遺体をアルコールなどで拭いて清潔な状態にしたあと、体液が出てしまわないように、口・耳・鼻・肛門に脱脂綿を詰めることや、下あごを固定して閉口のケアをすることなどになります。

その後、病衣からご遺族が準備した衣類に着替えを行います。また、エンゼルケアでは、死化粧(エンゼルメイク)を行います。

頭髪を整えることや、男性では髭剃りなども含めて行い、ご遺体の乱れを直しお顔に薄化粧します。

死化粧は病院では行われないこともあるので、その場合はご自宅や葬祭場に安置されたあと、ご遺族か葬儀業者が行うことになります。

ご遺体の安置

ご臨終後のご遺体へのケアが終わった後、病院であれば病室から霊安室へ運ばれます。

霊安室に安置された後は、看護師などから手当てを受けることはなくなり、その後のご遺体の安置場所などの手配はご遺族が行わなければなりません。

霊安室は一時的な安置場所であり、長期間は利用できませんので、早めにさまざまな手配が必要になります。

このとき親族への死去の報告なども併せて早めに行います。

葬儀社への連絡

葬儀社が決まっているのであれば、病院など故人が死亡した場所を伝え、ご遺体の搬送をしてもらえるよう連絡をとります。

急逝され、すぐに葬儀業者が決められない場合には、病院が紹介してくれる葬儀業者に依頼することもできます。

しかし、紹介料などがかかり、少し割高になる場合もありますから、時間が許すのであればご遺族側でも探してみることをおすすめします。

まずはご遺体の搬送だけを頼むこともできますから、搬送先を決めて依頼してもよいでしょう。

最近ではご自宅へ安置するのではなく、葬祭場へ直接搬送することも多くなっています。

また、葬儀を行うにあたり、葬儀プランや火葬場の手配、通夜告別式などの日程を決めるなど、葬儀社とはさまざまな決め事や相談などをしなければなりません。

特に日程を決める場合には、僧侶や、遠方の親族の都合の確認、火葬場の都合などを調整することになりますので、葬儀社とは早めに話し合っておくことが必要です。

急な葬儀についての不明点や疑問はやさしいお葬式から24時間365日無料相談も承っています。電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。

 

葬儀社の手配については「葬儀屋/葬儀社の手配方法を完全解説!流れ・タイミング・費用を紹介!」「お葬式の依頼方法はどうすれば良い⁉︎葬儀社手配の方法とは」の記事もご参考ください。

ご遺体の搬送

法律上、故人が亡くなってから、24時間経つまでは火葬ができないことが決まっています。

これは昔の医療技術では、死亡判断のミスで蘇生する可能性が考えられたために決められたものだそうです。

今の日本の医療では、死亡診断後に生き返るということはあまり考えられませんが、法律を遵守しますから、まずは病院からご自宅もしくは葬祭場へご遺体を搬送して安置することになります。

ご遺体を搬送したら、まず布団へ安置します。この時ご遺体は、頭を北に向けて寝かせ、顔に白い布を被せます。

北枕にするのは、仏教の教えで、この世への未練を断って成仏し、お釈迦様の元へ向かうというところから、その習慣になったといわれます。 

ご遺体の胸元の布団の上には、邪気を払うための守り刀をおきます。 

ご遺体の搬送については「ご遺体の長距離搬送とは⁉︎長距離搬送を手配する方法・段取りについて」「海外搬送とは⁉︎海外への故人様の搬送手配・手続きについて」の記事もご参考ください。

枕飾り

故人の枕元には、仮祭壇ともいわれる「枕飾り」を用意します。

仏式では白木の台の上に白い布をかけ、香炉・鈴・燭台・水・一膳飯・枕団子・花瓶が置かれます。

花瓶にはしきみを飾るのが一般的ですが、菊やユリなどが飾られることもあります。そのほか枕元には屏風を逆さにして置くこともあります。

しきみについては「樒とは?榊との違いは?仏事に必須の樒を解説!」の記事もご参考ください。

お通夜までの間に弔問客が訪れることもありますので、駆け付けて下さった方には、この祭壇に手を合わせていただくことになります。 

枕勤め(枕経)

枕飾りの用意を終えたら、僧侶をお呼びして「枕勤め」をしていただきます。

枕勤めは、ご遺体の傍で読経をするもので、最近では省略され、お通夜の読経と一緒にしていただくことも多くなりました。

この枕勤めは、昔は亡くなる前の臨終を迎えつつある人の枕元で読経されるものでありましたが、今では臨終を迎えられたあとに行うのが一般的になりました。

枕勤めについては、近親者だけで営まれることがほとんどです。また読経していただいた後、納棺までの間は、枕飾りの線香と蝋燭の火は絶やさないようにしておきます。

枕経については「枕経とは?何のために亡くなった方へ枕経を行うのか、実際のお布施の相場とは」の記事もご参考ください。

葬儀の準備や手続き

通夜・告別式を営むためには、さまざまな準備や手続きが必要になります。

葬儀業者に依頼するのであればその依頼先の選定から、葬儀内容についての打ち合わせ、内容が決まれば関係者への連絡、仏式で執り行うのであれば僧侶への連絡など、身近な方が亡くなれば悲しんでいる最中であっても、やらなければならないことが非常にたくさんあります。

親族や近しい方々、葬儀業者にフォローしてもらいながら準備をすすめ、葬儀が最後まで滞りなくできるようにしていきましょう。

僧侶手配はやさしいお坊さんでもご相談を受け付けております。追加費用が不要でお車代、御膳料、お心づけなども必要ありません。やさしいお坊さんでは業界最安値でのご依頼が可能です。

納棺

納棺前には、湯灌(ゆかん)を行い、死装束(しにしょうぞく)を着せます。

湯灌は故人を風呂に入れて清める儀式で、昔は自宅の風呂でご遺体が清められることもあったそうですが、現在は専門業者が給排水できる設備によって行います。

今では、湯灌は行わず、清拭のみで済ませることも多くなっています。

ご遺体を清めた後には死装束を着せます。

三角巾や経帷子(きょうかたびら)を着せるのが、昔からの風習でしたが、現在ではご遺体には故人が生前に着ていた洋服を着せて、経帷子を上にかけるだけに止めることもあります。

準備が出来たらご遺体を棺桶に納めることになります。棺に納めた後は、再度出棺することはありません。

昔は遺族のみで行っていた納棺ですが、納棺師や葬儀業者のもと行われることが増えました。

とはいえ現在でも実際に棺に納めるときには葬儀業者などの指示のもと、遺族の手で納めることが多いのは、故人があの世へ旅立つ準備という大事な儀式だからなのかもしれません。

棺の中のご遺体へ合掌し、棺のふたを閉めます。

納棺についての詳細は『納棺の儀式とは何?儀式の流れで知っておきたいことについて』もよく読まれています。

死装束とは?

死装束のしきたり

納棺の前に清めたご遺体に着せる死装束(しにしょうぞく)は、古くから続く習わしです。

亡くなった後、故人は浄土というあの世へ旅立つとされ、棺に一緒に納めるものは、その旅支度のためのものと言われています。 

日本における死装束を着せる習慣は仏教からきているもので、修行僧の服装となっています。

死装束は経帷子(きょうかたびら)と呼ばれる白い衣類を着せます。死装束が白いのは、日本人の中で、人が生まれることが紅、人が死ぬことは白、という考え方があるからだと言われます。

また清い印象のある白を身につけ、浄土へ清らかな状態で旅立ってもらいたいという願いも込められています。

死装束は衣類の他にも、用意されるものがあります。

死装束の詳細は『死装束とは?意味と着せ方と注意点を徹底解説!』もよく読まれています。

天冠(てんかん)

三角の頭巾で、親族など近縁の方の魔除けなどとされます。

最近ではご遺体の顔の印象が変わってしまうので、頭に被せることはせずに、棺に一緒に納めるだけということもあります。

手甲(てっこう)、脚絆(きゃはん)

旅の最中に傷つかないように、手首や腕、脚にあてるものです。

頭陀袋(ずだぶくろ)

亡くなった方が、三途の川を渡るのに六文銭というお金が必要であるといい、そのお金を入れておくための袋が頭陀袋です。

昔は硬貨を入れていましたが、最近は火葬の際に金属を棺に入れる事を禁止していることもあるので、紙に印刷されたお金を入れます。

白足袋、草履

あの世まで無事に歩き辿り着けるように、足につけます。 

杖、編笠

旅の道中に倒れず、雨風や日差しから身を守ってもらうために持たせます。

杖は故人が愛用されたものを入れたいという場合もあるでしょうが、金属製のものは入れることができません。

数珠

数珠は葬儀に参列するときに持参しますが、亡くなられた方にも持たせます。

数珠には、煩悩をなくし仏の功徳があるという意味があります。故人が使用していた数珠があればそれを使うことも可能です。

死装束は主に仏教からきている習慣ですが、すべての葬儀で行われるものではありません。

たとえば浄土真宗の教えでは、亡くなってすぐ成仏すると考えられていて、故人があの世へ旅することはないため、行われないこともあります。

宗派ごとの教えによってその習慣が異なることはあります。 

神式の場合

納棺時の故人の装束ですが、神式の場合、仏式では旅支度のための死装束なのに対し神様と同じ姿にします。

亡くなった方は、その家や子孫たちを守護する神になるという考えあり、死装束には神様の衣である白の狩衣(かりぎぬ)を用意します。

男性の場合には鳥帽子(えぼし)を被せ、笏(しゃく)を手に持たせるようにします。女性であれば扇を持たせます。

近年では、仏式、神式とも同様に、故人が生前気に入っていた洋服や和服を死装束にすることが多くなりました。

ご遺体の状態によっては実際に死装束を着用させることが困難な場合もありますので、ご遺体の上にかけるだけという場合もあります。

神道(神式)については「神式葬儀の流れとは?仏式との違いや基本的なマナーについても解説」の記事もご参考ください。

納棺で入れるもの

続いて、棺に故人と一緒に納めるものについて解説していきます。

副葬品

納棺の際には、棺桶の中に副葬品を入れます。

副葬品は死者を弔い、亡くなった後にも必要であろうものを、ご遺体と一緒に埋葬する品です。故人が生前に大事にしていたものや、よく使っていたものなどになります。

副葬品については「棺桶(御棺)とは?意味と選び方と副葬品に入れてよいものダメなものを解説!」の記事もご参考ください。

副葬品として入れられるもの

火葬をするのであれば、棺桶は火葬場へ搬送され、そのまま火葬炉の中へ入れられることになりますので、基本的に火葬炉に支障が出ない燃える物であれば入れる事ができます。

ただ、燃える物であっても有害なガスが発生するプラスチック、ビニールなどや、爆発する可能性がある密封された容器などを入れる事はできません。

また、燃えにくいものも副葬品としては避けるべきでしょう。

水分が多いものや分厚い紙類、木製でも硬い木でできているものなどは燃えるのに時間がかかりますので避けます。

さらに注意したいのは、火葬後のご遺骨を変質させてしまうようなものです。

生花を副葬品としてご遺体と一緒にいれることがありますが、色の濃い花はご遺骨に色が移ってしまうことがあるそうですし、プラスチック製のものは、ご遺骨に付着してしまうことがあるので、それらには注意する必要があります。

納棺で入れてはいけないもの・注意点

納棺には副葬品を入れることになるとお伝えしましたが、火葬ではなく土葬が多かった時代では、副葬品に対する制限は特にありませんでした。

ただ、火葬が多くなった現代では、火葬炉を使って火葬が行われることもあり、燃えない物や、爆発しそうな物などはご遺骨だけでなく、火葬を執り行う係員を傷つける可能性があるので納棺時にいれてはいけません。

棺の中に入れてはいけないものの例としては、宝石や腕時計などの貴金属、メガネや入れ歯、酒類の瓶、ゴルフボールなどです。

メガネは、生前ずっと身につけていることが多いもので、入れてあげたいというご遺族が多いですが、レンズやフレームが解けてご遺骨に付着してしまうなどの恐れがあります。

火葬後の収骨の際、骨壺に一緒に入れた方がよいでしょう。

また、釣り竿やテニスのラケット等、カーボン製のものは、電気炉のヒューズが飛んで火葬炉を止めてしまうこともあるそうで、入れることはできません。

その他にも、燃えにくい物として、大型のぬいぐるみや、水分を多く含む果物、分厚い本、厚手の布団なども避けましょう。

書籍は、愛読していたものを入れたくなりますが、分厚いものは燃えにくく、灰が残るので火葬後の収骨の妨げになることもあります。

また特に気を付けたいのは、亡くなった方が心臓にペースメーカーを付けていたときです。

そのまま火葬してしまうと突然の爆発を起こすこともあり、非常に危険です。火葬を行う施設には、事前にペースメーカーを装着していることを伝えておきましょう。

納棺のときに入れてはいけないものは、他にもさまざまあります。

火葬を行う場所や自治体によって決まりが定められていることもありますので、葬儀業者などに相談して副葬品を決める方が良いでしょう。

納棺時の服装・マナー

納棺時の服装

納棺を行うのは、基本的に家族や親しい親族に限られます。ですので、自宅での納棺でしたら私服でよいという場合もあるでしょう。

しかし地域の風習によって異なりますから、どうしたらよいか迷う場合には喪服を着用しておけば間違いありません。 

私服でよい場合であっても、亡くなった方のための儀式ですから、派手な色味の服は避け、場の雰囲気を考えた服装にすべきでしょう。

また、私服ではなく平服でという場合もあるでしょう。

そのときは、グレーなどの暗めの色のスーツや、女性であれば黒のアンサンブルなどを着用しましょう。

葬祭場での納棺であれば、その後そのまま通夜が行われることもありますから、喪服を着用した方がよいでしょう。

弔事の服装については「喪主とは?喪主の決め方と役割、服装、マナー、挨拶を解説!」「お通夜のマナーとは? 服装や香典マナー、流れを喪主側参列者側で徹底解説!」「ユニクロで喪服を用意できる?ユニクロで喪服を用意する際のメリットやデメリット、注文方法を完全解説!」の記事もご参考ください。

納棺のマナー

納棺では、お顔に死化粧を施すことや死装束を着せるなど、素肌を露出することやご遺体の肌に直接触ることが多いです。

そのため、故人と親しかった方であっても近しい家族以外の方は、納棺の儀式への立ち合いは遠慮したほうがよいでしょう。

どうしてもという場合であれば、きちんとご家族の同意をいただいてください。

また、納棺時にご遺体を傷つけたりすることがないように、アクセサリーなどは着用しないようにします。

湯灌が行われる場合では、水がかかることも考えられますから、腕時計なども外しておくべきでしょう。

納棺については「納棺の儀式とは何?儀式の流れで知っておきたいことについて」の記事もご参考ください。

納棺に関する費用と抑え方

納棺に関する費用

納棺を行うにあたっては、納棺前に行う儀式に必要なものを用意する費用など、さまざまなことにお金がかかることになります。

そのほかにも、ご自宅であれば必要ないですが、安置場所に対しての使用料がかかることもあります。

納棺に使うドライアイスについて

また、ご遺体が傷まないように、安置される際には、ドライアイスが使われます。このドライアイスは1日に5千円から1万円程の費用がかかります。

夏の暑い時期であれば、通常よりも多くドライアイスを使うことになりますし、火葬場の混雑などにより葬儀がすぐに行えない場合では、数日間ドライアイスを交換しながら、ご遺体を安置することになります。

そういった費用もかかることは考えておかなければならないでしょう。

また、ドライアイスでご遺体の腐敗を抑えるのは、4日程が限度だといわれます。

エンバーミングとは?

ドライアイスが一番価格を抑えられる方法ではありますが、ご遺体を長く安置することになるのであれば、「エンバーミング」という処置も検討してもよいかもしれません。

エンバーミングは、ご遺体の体液を抜くなどの処置を行い、消毒や殺菌を行うことで腐敗を防ぐものです。

衛生面を保つのが主な目的ですが、生前のような表情を保つために行われることもあります。

火葬場の混雑によって火葬までの時間がかかる場合だけでなく、遠方に住むご家族が来られるまでに長時間かかるため葬儀を待たなければならない場合などにもエンバーミングが行われます。

エンバーミングを行うことによって、ドライアイスを使用せず、1週間程度ご遺体の腐敗を防ぐことができるそうです。

エンバーミングの費用相場は15万円から30万円程度となっています。

エンバーミングについては「新型コロナウイルスで亡くなった故人へのエンバーミングプランと最後の面会プランと直葬プラン(火葬)とお別れ会プラン(後葬)への対応を開始しました。」の記事もご参考ください。

納棺に関する費用を抑えるポイント

納棺の費用は、さまざまなものにかかりますが、費用を抑えるポイントとしては、納棺から葬儀までの日程を短くすることがあげられます。

ご遺体の腐敗を防ぎながら安置するには、ドライアイスの利用や、場合によってはエンバーミングの処置をしなければなりません。 

葬儀までの日数が長くなればなるほど、そういった費用がかさむことになります。

また、葬儀業者へ依頼した場合であれば、葬儀プランの中にドライアイスの料金や安置場所の料金は含まれていることがありますが、その期間には規定の日数があり、それを超えれば追加料金が発生する可能性もあります。

安置場所の費用相場

1日5千円から3万円程が安置場所の費用相場ですから、数日伸びることになれば、金額は大きくなります。

追加料金については、葬儀業者に確認を取っておいた方が安心です。 

信頼のおける葬儀業者に依頼することで、葬儀場の予約、ご遺体の安置や葬儀も予算内に収まるように提案してもらえるということもあるでしょう。

期間短縮のために手際よくすすめてくれる葬儀業者選びも費用を抑える一つの方法といえるかもしれません。

安置場所については「故人様を預かる施設が足りない⁈都会のご安置所事情」の記事もご参考ください。

葬儀の費用を抑えることについては「葬儀費用はどうやって決めれば良い⁉︎葬儀に掛ける費用について」「葬儀を安くする5個の方法を解説!葬儀費用の相場と内訳を紹介!」の記事もご参考ください。

納棺後の流れ

通常、納棺が終わった後はお通夜、葬儀、出棺し火葬を行います。直葬や火葬式の場合は、そのまま火葬となります。

直葬や火葬式については「火葬のみで葬儀を行う「直葬」を完全解説!」「葬儀無しで火葬のみ?直葬の流れからメリットデメリットまでを徹底解説!」の記事もご参考ください。

お通夜

通夜とは、親族や親しい友人などが集まり、灯と線香の火を絶やさずに故人の冥福を祈る儀式のことを指します。現代では短時間で終了する「半通夜」のことを「通夜」と呼ぶことがほとんどです。通夜は自宅で行う場合と斎場で行う場合があります。

お通夜については「通夜と葬式の違いは?どんな目的で行うもの?それぞれの流れを紹介!」「意外と知らないお通夜の流れとマナー」の記事もご参考ください。

葬儀・告別式

葬儀の後に告別式が行われるのが一般的です

葬儀については「今更聞けない葬儀・告別式のマナーと費用を地域別に徹底解説!」「仏式葬儀とは?一般的なマナーや葬儀の流れについて徹底解説」の記事もご参考ください。

出棺

出棺とは葬儀・告別式が終わり遺体を棺に納め、霊柩車で火葬場へ運ぶ際に行う個人と参列者の最後の別れの儀式になります。

出棺については「出棺の挨拶のポイントは?出棺の挨拶のポイントから出棺のマナーまで徹底解説!」の記事もご参考ください。

納棺についてのまとめ

「納棺」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。

【納棺とは?】
●通夜の前までに、ご遺体を清めてあの世への旅支度を整え、副葬品などと共に、棺桶に納める特別な儀式のことを納棺といいます

【宗派ごとでの特徴】
真言宗
・洗い清めた土砂を亡くなった故人に振りかける「土砂加持(どしゃかじ)」という納棺する

●浄土真宗
・仏式では一般的に、あの世で苦しむことのないようにという願いが込められた「末期の水」をとる儀式を行いますが、浄土真宗では行われません。

【地域での特徴ある儀式】
香川県
・亡くなった故人を納棺せずに通夜を行う風習がある

神奈川県
・納棺に立ち会う方全員が酒を口に含み、一丁のお豆腐を回して食べるという習慣があるのだそうです。

【ご臨終から納棺までの流れ】
①ご臨終
②末期の水
③エンゼルケア
④ご遺体の安置
⑤葬儀社への連絡
⑥ご遺体の搬送
⑦枕飾りの用意
⑧枕勤め(枕経)
⑨葬儀の準備や手続き
⑩納棺

【納棺で入れるもの】
●副葬品
・副葬品は死者を弔い、亡くなった後にも必要であろうものを、ご遺体と一緒に埋葬する品

●副葬品として入れられるもの・入れられないもの
・基本的に火葬炉に支障が出ない燃える物であれば入れる事ができる
・火葬後のご遺骨を変質させてしまうようなもの
・宝石や腕時計などの貴金属、メガネや入れ歯、酒類の瓶、ゴルフボールなどは入れられない
・ペースメーカーは爆発する可能性があるため入れられない

【納棺時の服装・マナー】
●どうしたらよいか迷う場合には喪服を着用しておけば間違いない
●私服でよい場合であっても、亡くなった方のための儀式ですから、派手な色味の服は避け、場の雰囲気を考えた服装にすべき
●故人と親しかった方であっても近しい家族以外の方は、納棺の儀式への立ち合いは遠慮したほうがよい

【納棺に関する費用と抑え方】
●遺体が傷まないように、安置される際には、ドライアイスが使われます。
●ドライアイスは1日に5千円から1万円程の費用がかかる
●ご遺体を長く安置することになるのであれば、「エンバーミング」という方法もある
●エンバーミングの費用相場は15万円から30万円程度

納棺は、ご遺体を清めてあの世への旅立ちの準備をするという、亡くなった方に対する大切な儀式であるだけでなく、ご遺族が身近な方を亡くした悲しみのなかでも、故人と最後のお別れをするための重要な時間でもあります。

ご臨終から納棺までの時間はそう長くはありません。

ご遺族には、葬儀を滞りなく行い故人を最期までお見送りするために、短期間にやらなければならないことがたくさんあります。悲しみに浸る間もないかもしれません。 

亡くなった方を直接お世話することができる最後のタイミングが納棺の儀式になりますから、忙しいなかではありますが、時間の許す限り、故人とゆっくり過ごしたいものです。

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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