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遺骨の粉骨について完全解説!粉骨の目的からポイント、粉骨方法までを完全網羅!

散骨や自宅供養の見直しなどで、遺骨の粉骨を検討されている人もいるのではないでしょうか?

大切な人の遺骨を粉骨するにあたり、手順やポイントをしっかり押さえて臨みたいです。

この記事では、遺骨の粉骨について、方法から注意点まで徹底的にご紹介していきます。

遺骨の粉骨とは

はじめに、遺骨の粉骨について、そもそも粉骨とはどういったものなのか、また粉骨する理由やメリットやデメリットに関してご説明していきます。

遺骨の粉骨とは

遺骨の粉骨とは、故人の遺骨をパウダー状になるまで細かく粉砕することを意味します。

火葬を行っているとは言えど、遺骨には固い部分があったり、場合によっては有害な物質を含んだりしている可能性があります。

したがって、粉骨を行う際は、専門業者に依頼して行うことが一般的です。

ただし、正しい手順を踏まえていれば、自分で行うことも不可能ではありません。

遺骨を粉骨する理由・目的

遺骨の粉骨を行う理由としては、粉骨が必須条件である供養方法があったり、遺骨の収納をよりコンパクトにしたいといった要望を実現するためです。

まず、前者の粉骨が必要になる供養方法の代表的なものとして、散骨があります。

散骨の詳細に関しては後述しますが、粉砕した遺骨を海や山にまく行為を指します。

散骨のガイドラインを定める日本海洋散骨協会によると、粉骨を行う場合には、2mm以下のサイズまで小さくしなければならないと決められていることからも、散骨において粉骨は必ず行わなければならないのです。

一方で、後者の遺骨収納の見直しによる粉骨についてですが、遺骨を粉状にすることで遺骨の体積が小さくなるため、骨壺のような大きい入れ物で遺骨を保管する必要がなくなり、コンパクトに収納ができます。

さらに、骨壷を家で安置していると、生活の中でどうしても遺骨を意識してしまったり、それで辛い気持ちになる人もいます。

したがって、できるだけ生活風景に溶け込むように遺骨をコンパクトに収納できる方法を望む方にとっても、粉骨は選択肢の1つとして検討されています。

遺骨を粉骨するメリット

遺骨を粉骨するメリットとしては以下のような点が挙げられます。 

・保管に場所をとらない

・分骨する場合に分けやすい

・散骨ができる 

遺骨を規定サイズの2mm以下程度まで細かくするとパウダー状になるため、本来の遺骨の状態の時よりも保管にスペースを取りません。

また、粉状にしていることで、たとえば分骨(2箇所以上の場所で遺骨を保管すること)を行う際、遺骨の分配がスムーズにできる点もメリットの1つです。

なお、粉骨することで、散骨を行うことができます。

遺骨の粉骨後の供養

遺骨の粉骨後の供養として、散骨と自宅供養、分骨などが挙げられます。それぞれの特徴についてご紹介していきます。

散骨

散骨は前述の通り、遺骨を粉骨し、さらさらの粉状になるまで細か砕いたのち、海や山へと遺骨をまく方法です。遺骨は骨壷に入れてお墓に埋葬するのが一般的ですが、最近では「死後は狭苦しいお墓の中ではなく、自然の中で伸び伸びしたい」「海や山に思い入れがあり、自然に還りたい」そんな風に考える人が増えてきたこともあり、死後の供養方法として散骨が選択されることも珍しくなくなってきました。

また、少子高齢化による家族形態の変化で、独身世帯や子供を持たない夫婦が多くなってきたことから、墓守である存在がいないために、基本的に管理が必要ない散骨が検討されることもあります。

なお、散骨を自分で行うこともできますが、地域によってはルールを設けていたり、船の手配が必要になってきたりするため、業者に頼んで行うのが一般的です。

自宅供養

自宅供養は、その名の通り家で遺骨を供養することです。

たとえば、家からお墓までに距離があり、なかなかお墓参りに行けない場合や、体の不都合でなかなか遠出ができないといった場合に、遺骨を身近な場所においておくことで、移動の負担を防ぐことができます。

また、故人がお墓ではなく住み慣れた家で供養をされたい場合や、そもそもお墓がない場合において選択されることもあります。

分骨

分骨は、遺骨を安置する場所を複数に分散させることを指します。

「散骨をしたいけど全ての遺骨を海や山にまいてしまうのは不安」などといった理由から、あらかじめ遺骨を分けておき、それぞれの場所で供養を行うこともあります。 

遺骨の粉骨を行う方法

遺骨の粉骨を行う方法は、業者へと依頼をする場合と、自分自身の手で粉骨を行う方法の2種類があります。

遺骨によっては、洗浄や乾燥をしなければならない状況になっているかもしれないため、自分で粉骨を行うよりも、業者へ委託するケースが多いと思われます。

遺骨の粉骨を行う方法について、メリットデメリットを踏まえながらご紹介していきます。

業者に依頼するメリット・デメリット

まず、専門業者へ依頼する場合に挙げられるメリットには以下のようなものがあります。

・粉骨の知識や道具を持っていなくても、プロが最初から最後まで責任を持ってサポートしてくれる

・殺菌や有害物質の無菌化など、個人でやるには難しい範囲の処置まで行ってくれる

一方でデメリットは以下のような点が挙げられます。 

・自分で粉骨するより費用がかかる 

業者に依頼することで想定されるメリット・デメリットを踏まえながら、周囲と相談して依頼するのかどうか決定しましょう。

業者に依頼した際の費用相場

業者に依頼した際の費用は、粉骨のみ行うのか、それとも遺骨の洗浄や乾燥も合わせて行うかによって変動します。

まず、粉骨のみ行う場合の費用相場は、7,000〜25,000円程度です。

骨壷のサイズが大きいほど、また手作業での粉骨を選択すると料金が高くなります。

一方で、粉骨のみならず、洗浄や乾燥まで行う場合は別途20,000〜35,000円程度が追加費用としてかかることが一般的です。

また、他にも立ち合いや、遺骨を返してもらう際の入れ物の種類によっても多少費用が変わります。

自分で行うメリット・デメリット

業者に依頼せず、自分で粉骨を行うことも可能です。その際に想定されるメリットは、以下のような点です。

・故人への弔いの気持ちを行動として示すことができる

・業者に依頼するほどの費用はかからない

一方でデメリットは以下のような点です。

・遺骨を粉砕するという行為が、人によっては精神的な負担となる可能性がある

・2mm以下のサイズまで手作業で粉砕するのは、時間と労力がかかる

骨をすりつぶすという行為自体は、人によっては過度な刺激となるでしょう。

また、パウダー状にするにはなかなかの手間が必要で、経済的なコストは抑えられますが、一方で時間や労力のコストを多く費やすことになります。

ただ、自分で行う粉骨自体は違法ではないため、個人を弔う気持ちが大きく、自分でやってみいと強い意志を持つ人は、検討してみてもよいかもしれません。 

自分で粉骨を行う際にかかる費用

自分で粉骨を行うにあたり、乳鉢やすり鉢、ハンマーなどの器具を購入する際に費用がかかります。

なお、乳鉢であれば、1000円以下で手に入るものも多くあり、高くとも1万円以下で手に入る器具がほとんどです。

また、粉骨に使用するこれらの器具は、遺骨を入れるために大きめのサイズを購入されることをおすすめします。

業者に依頼した時の粉骨の流れ

業者に依頼した時の粉骨の流れについてご紹介していきます。大切な遺骨を粉骨し、供養するために必要な過程となるため、頭に入れておきましょう。

受け取り

粉骨するにあたって、まずは遺骨の引き渡し、受け取りから始まります。業者への遺骨を受け渡す際、業者へと直接持参することも可能ですが、配送することもできます。

配送する際には、骨壷の蓋はテープなどでしっかりと密閉し、新聞紙などの緩衝材を敷き詰めた箱に入れ、多少揺らしても動かない程度に梱包しましょう。

なお、1点注意しなければないのが、配送業者についてです。現在の日本において、遺骨を配送できるのは、日本郵便のゆうパックのみとなっています。

したがって、配送での受け取りを選択する方は、ゆうパックで手続きを行いましょう。

水切り

お墓の中に長年安置されていた骨壷の場合、湿気がこもることで、骨壷の底に水分が溜まっており、遺骨自体も水分を吸ってしまっているケースが考えられます。

この場合、フィルターを敷いたバットなどにのせて、水分を切ります。 

洗浄

お墓の下で保管されていた骨壷である場合、土や埃などが混じっていたり、カビが生じている可能性や、遺骨に六価クロムという人体や環境に有害な物質が含まれている可能性があるため、遺骨の状態によっては洗浄を行わなければならないケースもあります。

なお、洗浄する際には、遺骨が下水道に流れていかないように専用のフィルターを使用するなど、慎重かつ丁寧な処置が必要となります。 

洗浄の手順ですが、まず目立った汚れを刷毛と温水で除去し、その後何度かすすぎ洗いを行うことで、残った不純物を取り除くことができます。

さらに、超音波洗浄機などの専用機器を使用し、遺骨の中に入り込んでしまった細かいゴミや汚れを洗浄します。

乾燥

遺骨に水分が残っている場合、粉末状に砕くことが困難となるため、遺骨を十分に乾燥させる必要があります。乾燥室や専用の送風機などを使用し、30分〜1時間程度乾燥させていきます。

その後、遺骨が深部まで完全に乾いたのを確認し、再度遺骨に異物が混入していないかを確認します。

異物が少しでもあると、粉砕する際に妨げとなり、綺麗な粉末状にできないこともあるため、遺骨以外は何も含んでいない状況にすることが重要です。

粉骨

乾燥が十分に済むと、ようやく粉骨に取りかかることができます。

事業者にもよりますが、粉骨の手段としては、機械を使用して遺骨を粉砕する機械粉骨と、器具を使いながら手作業で遺骨を細かくする手作業粉骨があります。

手作業での粉骨の方が手間がかかってしまうこともあり、その分料金は機械粉骨よりもかかります。

機械粉骨の場合は専用のミルを使用し、手作業の場合は乳鉢を使用して遺骨を細かくしていきます。なお、専用機器の場合、金属を細かくすることができないため、異物がないようにしておきましょう。 

紫外線殺菌

遺骨を粉末状にできたら、紫外線で殺菌作業を行なっていきます。

UV照射を行うことで、カビなどの繁殖を防げる点や、人体や環境への負担を減らすという点でも重要となる工程です。

真空パック

紫外線による殺菌が済んだ後、事業者によっては、粉砕した遺骨を骨壷に入れる前に真空パックで密閉することもあります。

真空パックに入れることで、湿気による水分から遺骨を防ぐことができるため、さらさらのパウダー状のまま依頼主の手元に届けることができます。

骨壷に収骨

粉骨をする前の遺骨と粉骨をした後の遺骨を比較すると、粉骨後の遺骨はパウダー状になることで体積が小さくなっている分、使用していた骨壷ではサイズ感が合いません。したがって、大きさに合った骨壷や桐箱などに収骨します。

手元へ

全ての工程が無事済んだところで、依頼主の手元に粉骨が完了した遺骨が送り返されます。

立ち会いができるか?どれくらい時間がかかるか?

大切な遺族の遺骨を粉骨するにあたり、その様子をしっかりと見届けたいと思うのは何ら不思議なことではないでしょう。

そのような場合、事業者によって多少の違いはありますが、粉骨室を持つ事業者であれば、遺骨粉骨の立会いを許可していることが多いです。

立ち会いを必須条件と考えている方は、各事業者のサイトや問い合わせで、立会いが可能であるのか、また可能である場合は、どのくらい滞在できるのかをしっかりと確認することをおすすめします。 

なお、粉骨にかかる時間は、遺骨の状態や粉骨を手作業で行うのか、機械で行うのかなどの条件でも多少変動はありますが、洗浄や乾燥作業まで含むとなると3日〜数週間かかることが一般的です。

ただし、洗浄も乾燥も必要がない場合においては、1時間程度で完了する場合もあります。

自分で粉骨をする方法・流れ

故人への強い思いから、業者に依頼することなく、自分の手で粉骨を行い供養を行いたいと考える人もいるでしょう。

自分で粉骨を行うには、粉骨を行うための道具類が必要となり、たとえば乳鉢やすりこぎ、ハンマーや電動ミルなどが該当します。

もしくは、粉骨専用の機械を2万円以下程度でレンタルすることも可能であるため、検討しても良いでしょう。

道具を調達できたら、それぞれの器具を使用して粉骨を行います。

特に、乳鉢やすりこぎなどを使用する際には、粉砕した遺骨が周りに飛び散ったりしないよう、遺骨のサイズが考慮された大きめのサイズのものを使用することをおすすめします。 

なお、遺骨は2mm以下のサイズまで細かくしなければならないため、乳鉢などで行う場合はかなりの労力が必要となることも頭に入れておきましょう。

さらに、遺骨をすりつぶすという行為自体も、人によっては精神的に負担がかかるかもしれません。

したがって、自分で粉骨を行うことで故人への思いを体現できたり、コストを安く抑えられるケースもありますが、様々な要素をしっかりと熟慮した上で進行することが大切だと言えるでしょう。

ペットの粉骨と散骨

ここまで、人間の遺骨を粉骨する際の手順や注意点などについてご説明してきましたが、近頃では、家族の一員であるペットの遺骨の処理について考える方もいらっしゃるようです。

最後に、ペットの散骨およびに粉骨についてまとめていきます。 

ペットの散骨

ペットの遺骨を自分のお墓に入れる場合もありますが、お寺や霊園によっては許可されないこともあります。

したがって、ペットの遺骨を家で安置している方も少なくありません。

ただ、死後は骨壷の中ではなく、もっとのびのびと過ごしてほしいという思いから、散骨を検討される人もいるため、現在ではペット散骨に特化した粉骨業者も存在します。

なお、人間とペットで散骨の方法に際立った違いはありません。 

ペットの粉骨

ペットの遺骨であっても、散骨にあたり粉骨はつきものです。

ペットの粉骨に関しても、人間と同様に業者に依頼するか、自分で遺骨を粉砕するかの選択肢があります。

業者に依頼する場合、骨壷のサイズや、手作業での粉骨を行うかどうかなどによって多少異なりますが、ペット1匹につき、約8,000円〜10,000円程度の費用で行うことができます。

遺骨の粉骨についてのまとめ

大事な人の遺骨の管理方法考えるにあたり、散骨や自宅供養、手元供養といった、お墓での埋葬以外での供養方法を選択する人も今では珍しくなくなりました。

粉骨を行うと、遺骨を海や山にまいて故人を自然に還すことができたり、よりコンパクトな形で自分の側に置いておくことができます。

一方で、粉骨は遺骨を粉砕する行為であるため、親族の中には粉骨を受け入れるのが難しい人もいるかもしれません。

したがって、粉骨を検討する際には、周囲の人としっかりと話し合い、注意点やポイントをしっかりと押さえて進行するようにしましょう。

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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お葬式セミナー講師
エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。