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粉骨にかかる費用を完全解説!自分で行う場合・専門業者に依頼する場合、粉骨の基礎知識まで

現在の日本では、人が亡くなると遺体を火葬し、遺骨をお墓に納めるのが一般的です。

新しく作ったお墓であれば問題が生じることはありませんが、先祖代々から受け継いでいるお墓ですと、カロート(納骨室)の容量がいっぱいで遺骨が納められない、という問題が起きることがあります。

また、改葬後の遺骨の安置先がない時や、自然葬(樹木葬や海洋葬式など)を行う時など、火葬した状態のままの遺骨では保管や散骨が難しいという場合もあります。このような時に、「粉骨」という手段を選ばれるかたが年々増えてきています。

今回は、粉骨とは何なのか、どんな方法で行うのか、費用はどのくらいかかるのか、などについてお伝えしたいと思います。

粉骨とは

はじめに、粉骨とは何か、その目的やメリット・デメリットなどについてお伝えします。 

粉骨とは

粉骨とは、文字通り「骨を粉にする」ということです。

専用の機械を使って粉砕する場合と手作業で行う場合があり、粉骨後の遺骨を散骨する場合は、ひとつの骨片が2㎜以下になるようにする必要があります。

ただし、粉骨した遺骨をお墓に埋葬する、もしくは自宅で保管する場合はこの限りではありません。 

粉骨の目的

粉骨する目的としては、いくつかの理由が考えられます。 

①埋葬されている遺骨が多くてお墓に納まりきれなくなった

②改葬後に新しいお墓を作らず、遺骨を自宅で保管・供養することなった

③分骨や自然葬を行うのに遺骨を粉砕する必要がある

④遺骨を用いたアクセサリーを作りたい

などの理由が多いです。

粉骨のメリット

粉骨する主なメリットは下記の通りです。

①お墓に埋葬する時の骨壺を小さくすることができる

カロート(納骨室)の大きさには限度があります。そのため、粉骨してから納骨すれば、より多くの遺骨を収容できるようになります。

また、新しい遺骨はそのままで古い遺骨を粉骨して納骨しなおす、ということもできます。 

②供養の仕方の選択肢が広がる

遺骨は、骨壺に収めてお墓に納骨するのが一般的ですが、粉骨すれば海に散骨するなど、自然葬での供養が可能になります。

また、遺骨を埋葬せずに自宅に安置して供養をすることもできます。他にも、遺骨の一部をアクセサリーや陶器などに加工して、身に着けたり使用したりするかたもいます。

③分骨しやすくなる

分骨して供養することになった場合は、火葬したままの遺骨では平等に分骨することが難しいです。

粉骨すれば、遺骨を平等に分けて供養することができます。 

粉骨のデメリット

粉骨する主なデメリットは下記の通りです。

①粉骨することに対する心理的な抵抗感

遺骨を粉砕することに対して、不快感を露わにしたり抵抗を感じたりするかたがいるのは事実です。

遺骨をモノのように扱い、故人を冒涜しているかのように感じられるのかもしれません。

そのため、粉骨という方法を選ぶ場合は、粉骨する理由をきちんと説明して、関係者の理解を得る必要があります。

②業者に頼むと費用がかかる

粉骨を専門に扱う業者は全国に存在します。彼らは「粉骨のプロ」ですので、依頼すれば遺骨をきれいな粉末状にして戻してもらえます。

ただし、そこには当然費用が発生し、洗骨や乾燥、六価クロム検査等のオプションをつけた場合は、それなりの金額がかかってしまいます。

③自力でやると時間がかかる

自らの手で粉骨する場合は、相当の時間と体力が要ります。お墓に埋葬する場合は粗めに粉砕しても問題ありませんが、自然葬の場合は骨片を2m㎜以下にして、同時に異物除去も行わなければなりません。

さらに、遺骨の状態によっては専用の機械を使わないと粉骨できない場合もあります。

また、自分の手で故人の遺骨を粉砕することに対して、心理的な負荷がかかる可能性も考えられます。

粉骨を行う方法

次に、粉骨の方法についてお伝えします。 

業者に依頼する

粉骨を専門に行う業者は複数存在します。専用の機械を使って処理することで、遺骨はきれいなパウダー状になります。

また、保存状態のよくない遺骨や土葬だった場合は、遺骨をきれいに洗って乾燥させてから粉骨します。

さらに、粉骨後の埋葬や保管の方法を伝えておけば、骨を最適な保存容器(袋)に収めてもらえるので、そのまま分骨や散骨ができます。

また、粉骨作業時に遺族の立ち会いを認めている業者も一部ですがあります。 

自分で行う

自分で粉骨することもできます。遺骨の粉砕に関する法的な規制はないので、自分で行っても構わないのです。

ただし、粉骨は単に遺骨を砕けばいいというものではなく、それなりの準備と道具が必要です。

また、時間と体力勝負なところもありますし、自分の手で骨を砕くという心理的負荷がかかることを考えると、なかなかハードルが高いかもしれません。 

業者に依頼するポイント

粉骨業者を決めるには、以下のポイントを押さえるといいでしょう。

家から近い、費用が安いなどの理由で安易に決めてしまうと、後で後悔するかもしれません。

優良な粉骨業者の選び方

優良業者を見分けるポイントと選び方は下記の通りです。

①粉骨を専門に扱っている

粉骨専門業者は、人骨に関する知識はもちろん、粉骨の方法や高い水準の技術も持ち合わせているので、大切な人の遺骨を安心して任せることができます。

いわば遺骨のエキスパートなので、単に遺骨を粉砕するだけではなく、「喉仏だけは粉骨しないでほしい」などのニーズにも応えてくれます。

②社名が明らかで看板などがある

しっかりした業者であれば、ホームページや看板などで社名を名乗り、業者としてどのようなことを行っているかをきちんと明記してあるはずです。

これらがない場合は信用度が低くなるので、依頼しないほうがいいかもしれません。

③提示された費用が明瞭である

粉骨にかかる費用は、遺骨を粉砕するだけではありません。遺骨の状態によっては、洗ったり乾燥させたり、異物の除去や特殊な検査を行わなくてはならない場合もあります。

さらに、粉状になった遺骨を保存する容器代や、粉骨を証明する書類の発行など、業者によって料金設定は様々です。

単体での料金とセット料金があるケースがほとんどなので、必要な内容を選択できるシステムであれば安心です。 

④粉骨室や機械類が清潔である

粉骨作業を行う場所や使用する機械などの清掃が不完全な場合、他人の骨片が紛れ込む可能性が否定できません。

作業毎の徹底的な清掃、および機具の洗浄を行っている業者を選ぶようにしましょう。

また、作業時に遺族が立ち会うことを許可している業者であればより安心です。 

⑤必要以上のオプションを勧めない

粉骨後の供養に使う道具や、アクセサリーの制作などを執拗に勧めてくるような業者は要注意です。

そのような行為があった場合は、見積もりの段階で検討業者から外したほうがいいでしょう。 

⑥遺族の気持ちを理解し寄り添ってくれる

粉骨業者に限らず、サービス業にとって一番大切なのが、お客様の気持ちを理解し寄り添うことです。

「ご遺族様が粉骨という選択に至るまでには様々な出来事や葛藤があったかもしれない」ということを理解している業者であれば、故人への敬意を払い、心を込めて丁寧に作業を行ってくれるはずです。 

粉骨業者に依頼する費用相場(基本)

粉骨の費用は、基本的に現在の骨壺の寸法で決まることが多いです。

また、遺骨を持ち込みするのか配送するのか、機械で粉砕するのか手作業で行うのかなどによっても料金が変わってきます。

以下に標準的な料金を記載しておきます。(業者により差があります) 

・骨壺のサイズ 2寸~3寸 7,000円~12,000円前後

・4寸~5寸 9,000円~18,000円前後

・6寸~7寸 15,000円~25,000円前後 

※8寸以上の場合は特別料金が加算される場合が多いです。

粉砕した遺骨は、骨壺や専用のパッケージなどに封入された状態で返却されます。

粉骨後の保管方法によって、骨壺やアルミパッケージ、水溶性の紙袋など、用途に応じた状態で収めてもらえます。

業者によっては、桐箱などに入れて渡してくれるところもあります。 

粉骨業者に依頼する費用相場(オプション要素)

基本的に遺骨の粉砕は機械粉骨なので、手作業で粉骨する場合は割増料金がかかることがほとんどです。

また、粉骨作業に立ち会う場合は、無料のところと有料のところがあるほか、以下のようなオプションもあります。費用の目安は下記の通りです。 

・洗骨および乾燥 20,000円~50,000円前後

埋葬後かなりの年月が経過していたり土葬されていた場合は、遺骨が湿っていたり土砂などの不純物が付着していることがあります。

そのままでは粉骨できないため、遺骨を洗浄して乾燥させる必要があります。 

・再火葬 15,000円前後

土葬だった遺骨を改葬する場合などに行います。

長期間土中にあった遺骨は、土や細菌などの微生物が付着している可能性があり、墓所や霊園に納骨する場合は公衆衛生上、火葬された遺骨でないと受け付けてもらえないところがほとんどです。

遺骨に土が付着していた場合は、土の処分費用が加算される場合があります。(5,000円~) 

・お焚き上げ 1点につき3,000円~5,000円前後

位牌や遺影、生前に故人が使用していた愛用品などを、業者が提携している寺院で供養してからお焚き上げしてもらえるサービスです。

・粉骨証明書の作成

粉骨した遺骨を持って移動する必要がある場合にあるといい書類です。

特に飛行機に乗る場合は、死亡証明書や埋葬許可証などと一緒に携帯し、遺骨は機内持ち込み手荷物にして搭乗することをおすすめします。

粉骨証明書自体は公的なものではありませんが、海外での散骨を考えている場合、空港の検疫や税関などで思わぬトラブルになる可能性があります。 

(違法薬物との混同など)業者によっては、粉骨証明書を英文で作成してくれるところもあるので、必要な場合は事前に依頼しておくといいでしょう。

・六価クロム検査 1,000円~3,000円前後

遺体を火葬する時の台がステンレス製だった場合、火葬後の遺骨に六価クロムが付着することがあります。

特に自然葬での散骨を希望する場合は、生態系への環境汚染防止のため六価クロムを除去してから散骨する配慮が必要です。

検査は、遺骨の一部を水につけて、水に六価クロムが溶け出していないかを確認します。

なお、検査後の遺骨は乾燥してから他の遺骨とともに粉骨されます。

・中和・無害化処理 3,000円~5,000円前後

上記の検査で陽性反応が出た場合、薬剤を用いて中和し無害化する処理を行います。

環境省が示している基準値:0.05mg/l以下となるまで中和作業を続けます。

自分で粉骨をする

粉骨作業は、業者に委託する以外に自分で行うことも可能です。遺骨の粉砕は死体損壊にはあたらないため、法律に違反する行為ではありません。

自分で粉骨をする方法

自分で粉骨するには、手作業で行う方法と機械で行う方法があります。

手作業で行う場合は、遺骨を砕くための金槌や、遺骨を粉状にするためのすり鉢・すりこ木、乳鉢や乳棒などがあれば粉骨できます。

別途、金属片などの異物混入を防ぐための網目の細かいふるいや、粉砕した遺骨を保存する袋なども必要です。

また、人骨は柔らかいところと硬いところがあるため、骨の状態によっては専用の機械を使って粉砕しなければならない場合もあります。

その際は、専用機材をレンタルすることもできます。

自分で粉骨をするのにかかる費用

時間も体力もあって道具も揃っているのなら、基本的に費用はかかりません。

粉骨用に道具を購入した場合はそれらの費用がかかりますが、業者に依頼するよりはかなり抑えることができるでしょう。

なお、機械をレンタルする場合は、1週間程度で20,000円前後が相場です。

粉骨費用についてのまとめ

昨今の葬儀スタイルの多様化に伴い、納骨や供養の方法についても選択肢が広がりつつあります。

その中のひとつが粉骨ですが、粉骨料金や付随するオプションの価格設定については業者によって差があるため、安すぎるのも高すぎるのも考えものです。

業者に依頼する場合は、事前に複数の業者から見積もりを集め、オプションの有無や料金を比較検討してから決定するのがいいでしょう。 

また、自分で粉骨する場合は、粉骨場所の確保や道具を集めなければなりませんので、ある程度時間に余裕を持つ必要があります。

心のこもった供養ができるよう、遺族で話し合い、関係者の理解を得た上で粉骨が行えるといいですね。

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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お葬式セミナー講師
エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
資格等
株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。