三回忌 香典・お供えの金額相場と表書き
三回忌は、故人が亡くなってから丸2年が経過した節目の法要です。家族の気持ちも徐々に落ち着いてくる一方で、香典やお供えについては「いくら包めばいい?」「のし袋の表書きは?」「三回忌は一周忌より少なくてもいい?」など、意外と迷う場面が多いものです。
しかし安心してください。三回忌は一周忌ほど格式が高くないため、香典の金額相場も幅が広く、無理のない範囲で問題ありません。
この記事では、三回忌 香典の金額相場、お供え品の選び方、のし袋や表書きの基本マナーを、専門家として丁寧に解説します。読み終える頃には、どんな立場でも迷わず・安心して三回忌に臨める知識が身につきます。
【1】三回忌 香典の金額相場
三回忌は「年忌法要の中でも少し格式が下がる時期」にあたります。そのため、金額の相場は一周忌よりやや控えめになるのが一般的です。
結論:三回忌の香典相場は 3,000円〜10,000円 が中心
■ 親族の相場
- 両親・兄弟姉妹:10,000円〜30,000円
- 祖父母:5,000円〜10,000円
- 叔父・叔母・いとこ:5,000円〜10,000円
■ 一般参列者(友人・職場関係)
参列者側は無理のない範囲で十分です。三回忌は小規模で行われることも多く、「気持ちをいただけるだけでありがたい」と考える遺族がほとんどです。
金額に“正解”はありません。大切なのは、故人を偲ぶ気持ちです。
■ 会食の有無で金額が変わる場合も
会食あり → 香典はやや高め
会食なし → 相場の下限でOK
ただし「会食があるから必ず高くする必要がある」という決まりはありません。「参加する側が負担にならない額」を最優先にしましょう。
【2】三回忌 香典の“包み方”とマナー
金額だけでなく、「のし袋の選び方」「表書き」「中袋の書き方」も大切です。ここでは迷いやすいポイントを丁寧に整理します。
■ のし袋は「黒白の水引」または「双銀」
三回忌は「仏式の法要」のため、次のどちらかを選びます。
- 黒白の水引(本州で最も一般的)
- 双銀(関西で多い)
※黄白は地域性が強いため、迷ったら黒白で問題ありません。
■ 水引の結び方は「結び切り」
結婚式のような「何度あっても良いこと」ではないため、一度きりで終わる「結び切り」が必須です。
■ 表書きの書き方
三回忌の香典で最も多いのは次の3つです。
- 御仏前(一般的)
- 御香料(宗派問わず使える)
- 御供物料(お供えの代わりとして渡す場合)
迷ったら「御仏前」を選べば間違いありません。
※「御霊前」は四十九日まで。三回忌では避けるのがマナーです。
■ 名前の書き方
表書きの下にフルネームを記載します。 家族連名の場合は次の例を参考にしてください。
例(夫婦・家族連名):
- 夫婦 → 中央に夫の名前、左下に妻の名前
- 一家 → 「〇〇家」と記載
■ 中袋の書き方
中袋には次を記載します。
金額は無理に旧字体で書かなくても問題ありません。迷ったら普段の数字で構いません。
【3】三回忌のお供え(お供物)の選び方
香典だけでなく「お供え」を持参してもマナーとして問題ありません。むしろ、三回忌は少人数で行われることが多いため、やさしい気遣いとして喜ばれます。
■ 三回忌のお供え品の定番
- 菓子折り(個包装・日持ちするもの)
- 果物(盛り合わせ)
- 線香・ろうそく
- 飲み物(ジュース・お茶など)
「消えもの(使ってなくなるもの)」が基本です。
■ お供えの金額相場
1,500円〜5,000円程度が最も一般的。
高額だと遺族が気を遣ってしまうため、控えめで十分です。
■ のし(熨斗)の表書きは?
お供え品の表書きは、以下から選びます。
どれも間違いではありませんが、迷ったら「御供」を選べば安心です。
のし紙は白黒の結び切りを使用します。
【4】香典とお供えは両方必要?──結論は「どちらでも大丈夫」
三回忌では、香典とお供えのどちらを準備すべきか迷う方がとても多いですが、どうか安心してください。
結論:香典だけ、またはお供えだけでも失礼にはならず、両方を揃える必要もありません。
三回忌は一周忌より格式がやわらぎ、家族で静かに故人を思い返す“やさしい法要”です。そのため、金額や品物の有無よりも、あなたの気持ちが何より大切にされます。
■ 香典だけの場合
もっとも一般的な形です。 3,000〜10,000円の相場内で無理のない金額を包めば十分です。
■ お供えだけの場合
小規模な三回忌では、菓子折りなど“消えもの”のお供えだけ持参する方も多く、まったく問題ありません。
■ 香典+お供えの場合
両方そろえると丁寧な印象にはなりますが、遺族に気を遣わせる場合もあるため、気持ちと負担のバランスで決めてOKです。
迷ったら、家族構成や法要の規模を思い浮かべてください。
「この程度なら負担にならず、自然だな」と感じる形が、あなたにとって最良の選択です。
【5】宗派別|三回忌の香典・お供えの注意点
三回忌の香典マナーは宗派ごとに変わるのでは? ──と心配される方もいますが、実は大きな違いはほとんどありません。
三回忌は“仏式”で行われることが一般的。表書き・水引はほぼ共通で大丈夫です。
■ 仏式(もっとも一般的)
三回忌という考え方があるのは仏教のみです。
- 表書き:御仏前(最も一般的)/御香料/御供物料
- 水引:黒白または双銀の「結び切り」
「御仏前」を選べば、どの宗派の仏式でも安心です。
■ 神式(慰霊祭の場合)
神道では「三回忌」という表現は用いず、「二年祭」「三年祭」などの慰霊祭を行います。
- 表書き:御玉串料・御神饌料・御神前
- 水引:白黒/双銀/黄白など地域性がある
仏教用語(御仏前・御香料など)は使用しないよう注意しましょう。
■ キリスト教(カトリック・プロテスタント)
キリスト教では香典ではなく「献金」や「御花料」という考え方に近いです。
- 表書き:御花料・献花料
- 水引:なし(白封筒でOK)
- お供え:白い花・菓子など
仏式用ののし袋は使いません。
■ 宗派が分からない時の最適解
迷ったら「御供」または「御仏前」を選べば失礼になりません。
また、お供え品は宗派を問わず喜ばれやすい以下の品が安全です。
- 個包装の菓子
- 果物
- お茶・ジュース
- 線香・ローソク
どの宗派でも「心を込めた静かな贈り物」が一番の供養になります。
【6】香典を郵送する場合のマナー──離れていても伝わる「やさしい供養」
近年、仕事や距離の問題で法要に参加できず、
「香典だけでもお送りしたい」という相談が大変増えています。
どうか安心してください。
三回忌の香典は、郵送してもまったく失礼にはなりません。
むしろ「遠方だからこそ丁寧に気持ちを届けたい」という、その優しさが遺族にとって何よりの供養になります。
■ 郵送の正式な流れ
香典を郵送する際は、次の手順で進めれば安心です。
- 郵便局で「現金書留用封筒」を購入する
金銭を安全に送るための唯一の方法です。
- 香典袋を用意する
表書きは通常の三回忌と同じく「御仏前」「御香料」で問題ありません。
- 封筒に入れて郵送
宛名は遺族の代表者へ。名字だけでも丁寧です。
■ 香典と一緒に「添え状」を入れると印象がやわらぐ
手紙が一枚添えられているだけで、受け取る側の気持ちは驚くほど温かくなります。
《添え状の好印象文例》
「このたびの三回忌にあたり、心ばかりではございますが、ご仏前にお供えいただければ幸いです。
ご家族皆様が穏やかにこの日を迎えられますよう、お祈り申し上げております。」
長文でなくても構いません。 “あなたを思っています”という一言が、何よりの供養になります。
■ 郵送はいつ送ればいい?
- 法要の1週間前〜前日までが目安
- 当日に届いてもマナー違反ではない
遺族が準備に追われる時期なので、早めの到着が好まれます。
■ 参列しない場合のお悔やみの伝え方
香典とともに、メールや電話での連絡も丁寧です。
「本日は心ばかり手を合わせております。」 「ご家族の皆様が穏やかにお過ごしになれますよう。」
このような短い言葉だけでも、遺族にとっては支えになります。
【7】お供えを辞退された場合の対応──“従うこと”が最大の思いやり
近年では、
「お供えは辞退します」「香典はお気持ちだけで」
という案内を出すご家庭も増えています。
理由の多くは、
- 負担をかけたくない
- 準備やお返しがたいへん
- 気軽な形で法要をしたい
といった、参列者への思いやりです。
■ 結論:辞退の意向があれば必ず従う
辞退された場合に贈り物をすると、遺族に気を遣わせてしまいます。
「気持ちだけいただきます」という言葉には、やさしい配慮が込められています。 そのお気持ちに寄り添うことが、最も美しいマナーです。
■ とはいえ“何かしたい”ときの代替案
それでも心が動く時は、次の控えめな方法がおすすめです。
- 短い手紙を送る(贈り物はなし)
- 法要の日に手を合わせると伝える
- メールで一言だけ思いを伝える
「香典やお供えをしない」ことが冷たいわけではありません。 あなたの“そっと寄り添う思い”は、遺族の心に必ず伝わります。
■ お供え辞退の中でも唯一OKなケース
お菓子などの実物はNGでも、弔電であれば迷惑になりにくい場合があります。
ただし、家庭によって考え方が異なるため、気になる場合は自然な形で確認を取ると安心です。
■ 気持ちの伝え方(例文)
《控えめで好印象な例文》
「ご家族の皆様が心穏やかに三回忌の日を迎えられますよう、遠くよりお祈り申し上げます。」
この程度の言葉でも十分です。 大切なのは、形式より“気持ちに寄り添う姿勢”です。
【8】親族間で金額差を出さないコツ
意外と多いのが、「親族同士で金額差が気になってしまう」という悩みです。
しかし、次の工夫でほぼ解消できます。
■ ① 相場の“真ん中”を選ぶ
例えば親族なら 5,000〜10,000円の範囲であれば、7,000円〜8,000円程度を選ぶと安定します。
■ ② 親族にそっと確認する
たった一言で不安が消える魔法の確認。
「皆さん、香典はいくらくらいをお考えですか?」
■ ③ 無理に高額に合わせない
「あの人が1万円だから自分も…」と合わせすぎる必要はありません。経済状況は家庭ごとに違うため、無理をしないことが何より大切です。
【9】香典を多く包むべきケース / 控えるべきケース
■ 多く包むべきケース
- とてもお世話になった人
- 生前の交流が深かった人
- 施主に負担をかけたくないとき
■ 控えるべきケース
- 遺族が「お気持ちだけで」と伝えている
- 会食がない小規模な法要
- 遠方で郵送のみの場合
金額は義務ではなく気持ち。
経済的負担を感じるほど包む必要は絶対にありません。
【10】よくある質問(FAQ)
Q1:三回忌の香典は「奇数」「偶数」どちらが良い?
A:気にしなくて問題ありません。偶数がNGというのは結婚祝いなどの慶事の風習です。
Q2:1,000円札を複数入れるのは失礼?
A:3,000円を1,000円札3枚で包むのは一般的です。失礼にはなりません。
Q3:新札は避けるべき?
A:新札は“準備していた”印象が強いため、折り目を入れて使うのが無難です。
Q4:会社の関係者の三回忌はどうする?
A:職場関係は無理のない 3,000〜5,000円で十分。参列しない場合はカードやメッセージを添えても良いでしょう。
【11】まとめ ― 三回忌の香典は“気持ちがすべて”
最後に、この記事の要点を整理します。
・三回忌の香典相場は 3,000〜10,000円
・親族は 5,000〜30,000円と幅広い
・表書きは「御仏前」が最も一般的
・お供えは1,500〜5,000円の消えものが最適
・辞退された場合は必ず従う
・郵送も完全にマナーとして問題なし
・金額よりも「気持ち」が何より大切
三回忌の香典・お供えに迷うのは、故人や遺族を思う優しさがあるからこそです。相場やマナーはあくまで“目安”。あなたの無理のない範囲で気持ちを添えるだけで、十分すぎるほど立派な供養になります。
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